(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】判定方法、受光装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08C 25/00 20060101AFI20230306BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20230306BHJP
G01R 31/3835 20190101ALI20230306BHJP
G01R 31/396 20190101ALI20230306BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G08C25/00 J
G08C15/00 D
G01R31/3835
G01R31/396
H01M10/48 P
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2021093135
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509193533
【氏名又は名称】株式会社キャプテックス
(73)【特許権者】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聖夫
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】川崎 洋志
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 紳太郎
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/189750(WO,A1)
【文献】特開2017-83474(JP,A)
【文献】特開2007-157403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
G01R 31/3835
G01R 31/396
H01M 10/00-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光装置において、単電池の状態を判定する判定方法であって、
複数の単電池から、各単電池の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する受信ステップと、
上記光信号が光電変換された電圧波形を取得する取得ステップと、
上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する状態判定ステップと、
上記電圧波形に基づいて、上記状態判定ステップにおける判定の信頼度を判定する信頼度判定ステップと、
を含むことを特徴とする判定方法。
【請求項2】
上記状態判定ステップにおいて、
上記電圧波形が第1閾値を超えた部分のパターンに応じて、上記単電池の状態を判定し、
上記信頼度判定ステップにおいて、
上記電圧波形が上記第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた部分に応じて、上記状態判定ステップにおける判定が、上記光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定方法。
【請求項3】
上記信頼度判定ステップにおいて、
上記電圧波形における、上記第2閾値から第N閾値(但し、Nは2以上の整数)までの単調増加する(N-1)個の閾値の各々を越えた部分をそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて、上記状態判定ステップにおける判定が、2個以上N個以下の上記光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の判定方法。
【請求項4】
上記パルスパターンは、先頭に固定長のダミーパルスパターンが含まれており、
上記状態判定ステップにおいて、
上記ダミーパルスパターンを検出した場合に、上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の判定方法。
【請求項5】
上記信頼度判定ステップにおいて、
上記電圧波形に含まれるパルスの幅に基づいて、上記状態判定ステップにおける判定が、上記光信号の接近の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の判定方法。
【請求項6】
単電池の状態を判定する受光装置であって、
複数の単電池から、各単電池の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する受信部と、
上記光信号が光電変換された電圧波形を取得する取得部と、
上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する状態判定部と、
上記電圧波形に基づいて、上記状態判定部による判定の信頼度を判定する信頼度判定部と、
を備えることを特徴とする受光装置。
【請求項7】
上記状態判定部は、
上記電圧波形が第1閾値を超えた部分のパターンに応じて、上記単電池の状態を判定し、
上記信頼度判定部は、
上記電圧波形が上記第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた部分に応じて、上記単電池の状態の判定が、上記光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項6に記載の受光装置。
【請求項8】
上記電圧波形における、上記第1閾値から第N閾値(但し、Nは2以上の整数)までの単調増加するN個の閾値の各々を越えた部分をそれぞれ出力するN個の比較部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の受光装置。
【請求項9】
上記信頼度判定部は、
上記電圧波形に含まれるパルスの幅に基づいて、上記状態判定部による判定が、上記光信号の接近の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の受光装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一項に記載の受光装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記状態判定部および上記信頼度判定部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光装置において単電池の状態を判定する判定方法、受光装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、単電池において、当該単電池の状態(例えば、電圧)を光信号によって出力し、受光装置において、単電池の状態を判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第WO2020/189750号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来技術において、受光装置が、複数の単電池から出力された光信号を共通の経路を介して受信する場合、複数の光信号が干渉ないし接近することによって単電池の状態が誤判定される可能性がある。誤った判定に基づいて処理が行われると、問題が生じ得る。
【0005】
本発明の一態様は、上述した誤判定に起因する問題を抑制するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定方法は、受光装置において、単電池の状態を判定する判定方法であって、複数の単電池から、各単電池の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する受信ステップと、上記光信号が光電変換された電圧波形を取得する取得ステップと、上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する状態判定ステップと、上記電圧波形に基づいて、上記状態判定ステップにおける判定の信頼度を判定する信頼度判定ステップと、を含む。
【0007】
本発明の一態様に係る受光装置は、単電池の状態を判定する受光装置であって、複数の単電池から、各単電池の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する受信部と、上記光信号が光電変換された電圧波形を取得する取得部と、上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する状態判定部と、上記電圧波形に基づいて、上記状態判定部による判定の信頼度を判定する信頼度判定部と、を備える。
【0008】
本発明の各態様に係る受光装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記受光装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記受光装置をコンピュータにて実現させる受光装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、単電池の状態判定結果の信頼度を判定することができるため、単電池の状態の誤判定に起因する問題を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電池制御システム1の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1における単電池の構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1における比較部の構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る判定方法の流れの一例を示すフロー図である。
【
図5】本発明の実施形態1における各部からの出力の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態1におけるデコード処理部の動作の一例を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態1における各部の出力と信頼度判定結果との関係の一例を説明する図である。
【
図8】本発明の実施形態1におけるデコード処理部の動作の一例を説明する図である。
【
図9】本発明の実施形態1におけるデコード処理部の動作の一例を説明する図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る電池制御システム1の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態2における受光素子110の出力と、各閾値との関係を説明する図である。
【
図12】本発明の実施形態2におけるデコード処理部の動作の一例を説明する図である。
【
図13】本発明の実施形態2における各部の出力と信頼度判定結果との関係の一例を説明する図である。
【
図14】本発明の実施形態3における単電池が出力する光信号の構造の一例を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態3に係る判定方法の流れの一例を示すフロー図である。
【
図16】複数の単電池が出力する光信号のパルスパターンの例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態4におけるデコード処理部の動作の一例の一部を説明する図である。
【
図18】本発明の実施形態5に係る電池制御システム1の概略構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<電池制御システムの構成>
図1は、本実施形態に係る電池制御システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、電池制御システム1は、M個の単電池10(単電池10-1~10-M)、光学系20、受光装置100、および、電池状態判断部50を備えている。
【0013】
(単電池)
単電池10は、充電池であり、一態様において、積層電池の各層を構成する電池である。単電池10は、一例として、正極集電体、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層および負極集電体が順に積層されたリチウムイオン電池であってもよいが、これに限定されず、公知の充電池の構成であってよい。
【0014】
また、単電池10には、温度モニタ11、制御部12および発光素子13が設けられている。温度モニタ11は、単電池10の温度をモニタする回路である。温度モニタ11は、一例において、単電池10の温度が閾値を越えたか否かを検知するものであってもよいし、単電池10の温度を検知するものであってもよい。発光素子13は、単電池10の状態を示す光信号を出力する発光素子であり、一例として、発光ダイオード(LED)であってもよいが、これに限定されず、公知の発光素子の構成であってよい。
【0015】
制御部12は、(i)単電池10の電圧をモニタするとともに、(ii)単電池10の温度および電圧に応じた単電池10の状態を決定し、(iii)単電池10の状態に対応付けられたパルスパターンで発光素子13を発光させる制御回路である。一態様において、制御部12は、単電池10の状態に対応付けられた出力パルス幅および出力パルス数の組み合わせに従って、繰り返し発光素子13を発光させる。表1に、単電池10の状態と、パルスパターンとの関係の一例を示す。なお、各数値は仮の値であり、本実施形態を限定するものではない。
【0016】
【0017】
一態様において、各単電池10は同期されていない。制御部12は、電源が投入されると、外部からの同期信号によらずに、上述した制御を実行する(フリーラン)。
【0018】
図2は、単電池10の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、単電池の各電極14は、それぞれ他の単電池10(図中A、B)に直列に接続されている。また、電極14から分岐した配線が制御部12に接続されており、制御部12に発光素子13が接続されている。なお、
図2では温度モニタ11は省略している。
【0019】
なお、上述した単電池10の構成は一例であって、他の構成をとってもよい。例えば、単電池10は、温度モニタ11を備えていなくともよく、また、制御部12とは別に電圧モニタを備えていてもよい。
【0020】
(光学系)
光学系20は、各単電池10から出力された光信号を、受光装置100(の受光素子110)に入射させるための光学的経路を提供する。光学系20は、例えば、導光板、光ファイバ、ミラー、レンズ、プリズム等の光学部品およびその組み合わせによって構成されてよい。
【0021】
なお、各単電池10から出力された光信号は、少なくとも一部において共通の経路を介して受光装置100に入射される。「共通の経路を介して受光装置100に入射される」とは、換言すれば、各単電池10から出力された光信号が混ざった状態で受光装置100に入射されることを意味する。
【0022】
(受光装置)
受光装置100は、単電池10の状態を判定する。受光装置100は、受光素子(受信部、取得部)110、2個の比較部120(比較部120-1および比較部120-2)、デコード処理部150を備えている。
【0023】
受光素子110は、複数の単電池10から、各単電池10の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信し、当該光信号が光電変換された電圧波形を取得する。受光素子110は、一例として、光ダイオード(PD)であってよいが、これに限定されず、公知の受光素子の構成であってよい。受光素子110は、光信号が光電変換された電圧波形を、比較部120-1および120-2に出力する。
【0024】
比較部120-1は、入力された電圧波形が第1閾値を超えた部分をデコード処理部150に出力する。比較部120-2は、入力された電圧波形が第2閾値を超えた部分をデコード処理部150に出力する。なお、第2閾値は、第1閾値よりも大きいものとする。
【0025】
各比較部120は、一例において、コンパレータ(比較回路)によって構成してもよい。
図3は、コンパレータによって構成した場合の比較部120の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、比較部120は、コンパレータ125および可変電圧源126を備えている。可変電圧源126は、コンパレータ125の非反転入力端子(+)に接続されている。受光素子110(図中C)の出力は、コンパレータ125の反転入力端子(-)に入力される。コンパレータ125の出力は、デコード処理部150(図中D)に入力される。すなわち、
図3に示す例では、各比較部120からの出力は、電圧波形が反転されたものとなる。また、各比較部120における閾値は、可変電圧源126によって設定可能である。
【0026】
デコード処理部150は、状態判定部151および信頼度判定部152を備えている。状態判定部151は、単電池10の状態を判定する。信頼度判定部152は、状態判定部151による判定の信頼度を判定する。
【0027】
一態様において、状態判定部151は、受光装置100が受信した光信号が光電変換された電圧波形が示すパルスパターンに応じて、当該光信号を出力した単電池10の状態を判定する。一態様において、状態判定部151は、上述した表1に示すような、単電池10の制御部12が決定し得る複数種類の状態から、単電池10の状態を判定してもよい。また、一態様において、状態判定部151は、表1に示す複数種類の状態から、単電池10の状態を判定することができない場合には、状態判定部151は、エラー状態であると判定してもよい。
【0028】
また、一態様において、信頼度判定部152は、受光装置100が受信した光信号が光電変換された電圧波形に基づいて、状態判定部151による判定の信頼度を判定する。一態様において、信頼度判定部152は、状態判定部151による判定が誤りの可能性があるか否かを判定してもよいし、状態判定部151による判定が、光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定してもよい。
【0029】
より詳細には、状態判定部151は、比較部120-1からデコード処理部150に入力された、上記電圧波形が第1閾値を超えた部分のパターンに応じて、上記単電池10の状態を判定してもよい。また、信頼度判定部152は、比較部120-2からデコード処理部150に入力された、上記電圧波形が第2閾値を超えた部分に応じて、上記単電池10の状態の判定が、上記光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定してもよい。より詳細な例については後述する。
【0030】
デコード処理部150は、状態判定部151による判定結果および信頼度判定部152による判定結果を電池状態判断部50に出力する。
【0031】
電池状態判断部50は、デコード処理部150から入力された判定結果に基づいて、単電池10の電池状態について各種の判断を行う。
【0032】
例えば、信頼度判定部152が、状態判定部151による判定について、(i)誤りの可能性がないと判定した場合や、(ii)光信号の干渉の影響を受けていないと判定した場合には、一態様において、電池状態判断部50は、状態判定部151の判定結果に従って単電池10の電池状態を判断してもよい。
【0033】
一方、信頼度判定部152が、状態判定部151による判定について、(i)誤りの可能性があると判定した場合や、(ii)光信号の干渉の影響を受けていると判定した場合には、電池状態判断部50は、一態様において、状態判定部151の判定結果を破棄してもよいし、状態判定部151の判定結果を考慮して、真の電池状態を推定してもよい。
【0034】
また、状態判定部151が、単電池10の状態がエラー状態であると判定した場合において、信頼度判定部152が、状態判定部151による判定について、(i)誤りの可能性がないと判定した場合や、(ii)光信号の干渉の影響を受けていないと判定した場合には、一態様において、電池状態判断部50は、単電池10の電池状態が正常ではないと判断してもよい。すなわち、単電池10間のバランスが取れていない状態(電圧が大きくずれているなど)や、制御部12や発光素子13の故障などを検知することができる。
【0035】
一方、状態判定部151が、単電池10の状態がエラー状態であると判定した場合において、信頼度判定部152が、状態判定部151による判定について、(i)誤りの可能性があると判定した場合や、(ii)光信号の干渉の影響を受けていると判定した場合には、電池状態判断部50は、一態様において、単電池10の電池状態の判断を保留してもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、電池状態判断部50は、どの単電池10の電池状態を判断しているか知ることはできない。但し、単電池10と受光装置100との間の光信号のやり取りを双方向のものとすることで、判定対象の単電池10を特定するように構成してもよい。一方、本実施形態のように、単電池10から受光装置100への非同期片方向通信とすることにより、簡易的な構成とすることができる。
【0037】
また、電池状態判断部50は、非同期シリアル通信(UART)等の通信手段を介して受光装置100と通信する情報機器(例えば、PC)として構成されていてもよいし、受光装置100と一体化されていてもよい。
【0038】
<判定方法の流れ>
本実施形態に係る判定方法の流れについて、
図4を参照して説明する。
図4は、受光装置100において、単電池10の状態を判定する判定方法の流れの一例を示すフロー図である。なお、受光装置100は、ステップS1~S5を順に行う必要は無く、一部を並行して行ってもよいし、一部の順序を入れ替えて行ってもよい。
【0039】
ステップS1(受信ステップ)では、受光素子110は、複数の単電池10から、各単電池10の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する。これは、以下のように行うことができる。まず、各単電池10の制御部12が、非同期で、各単電池の状態に対応するパルスパターンで発光素子13を発光させることにより、各単電池10から光信号が出力される。なお、一態様において、各単電池10の制御部12は、当該単電池10の電圧が過充電、放電等の電池単体が危険な状態にあることを検出した場合に、発光素子13を継続して発光させて”ベタLOW”(”0”ベタ)信号を出力してもよい。このような信号は、他の信号との干渉の影響を受けないため、重要な異常を通知するために好適である。
【0040】
各単電池10から出力された光信号は、光学系20を通過し、少なくとも一部は共通の経路を介して、受光素子110に入射する。これにより、受光素子110は、光信号を受信する。
【0041】
ステップS2(取得ステップ)では、受光素子110は、受信した光信号を光電変換することにより、光信号が光電変換された電圧波形を取得する。受光素子110は、当該電圧波形を比較部120-1および120-2に出力する。
【0042】
ステップS3(状態判定ステップ)では、状態判定部151は、光信号が光電変換された電圧波形が示すパルスパターンに応じて、単電池10の状態を判定する。一態様において、状態判定部151は、当該電圧波形が第1閾値を超えた部分のパターンに応じて、単電池10の状態を判定する。これは、以下のように行うことができる。
【0043】
まず、光信号が光電変換された電圧波形が入力された比較部120-1は、当該電圧波形が第1閾値を越えた部分をデコード処理部150に出力する。このとき、比較部120-1は、当該電圧波形が第1閾値を越えた部分を正負反転してデコード処理部150に出力してもよい。状態判定部151は、比較部120-1から入力された、光信号が光電変換された電圧波形が第1閾値を越えた部分のパルスパターンと、上述した表1に示すような、単電池10の制御部12が決定し得る複数種類の状態に対応するパルスパターン(候補パルスパターン)とを照合することにより、単電池10の状態を判定する。
【0044】
ステップS4(信頼度判定ステップ)では、信頼度判定部152は、光信号が光電変換された電圧波形に基づいて、ステップS3における状態判定部151による判定の信頼度を判定する。一態様において、信頼度判定部152は、当該電圧波形が第2閾値を超えた部分に応じて、ステップS3における状態判定部151による判定が、光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する。なお、第2閾値は、第1閾値よりも大きいものとする。これは、以下のように行うことができる。
【0045】
まず、光信号が光電変換された電圧波形が入力された比較部120-2は、当該電圧波形が第2閾値を越えた部分をデコード処理部150に出力する。このとき、比較部120-2は、当該電圧波形が第2閾値を越えた部分を正負反転してデコード処理部150に出力してもよい。信頼度判定部152は、状態判定部151が判定のために用いた電圧波形の部分が、比較部120-2から入力された、光信号が光電変換された電圧波形が第2閾値を越えた部分を含んでいる場合、当該判定は誤りの可能性がある、または、光信号の干渉の影響を受けていると判定することができる。
【0046】
ステップS5では、デコード処理部150は、ステップS3における状態判定部151の判定結果、および、ステップS4における信頼度判定部152の判定結果を電池状態判断部50に出力する。これにより、電池状態判断部50は、デコード処理部150から入力された判定結果に基づいて、単電池10の電池状態について各種の判断を行うことができる。
【0047】
さらに図面を用いて詳細について説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0048】
図5は、各部からの出力の一例を示す図である。
図5に示す例では、単電池10-1が、幅が狭いパルスを4回出力し、単電池10-2が、幅が中程度のパルスを1回出力し、単電池10-1が出力したパルスの最初の2回分と、単電池10-2が出力したパルスとが重なっている。受光素子110が出力する電圧波形では、パルスが重なった部分において出力が大きくなっている。比較部120-1は、単電池10-1および10-2の少なくとも一方がパルスを出力している部分を出力し、比較部120-2は、単電池10-1および10-2の両方がパルスを出力している部分を出力している。なお、
図5に示す例では、比較部120-1および120-2は、正負反転して出力している。
【0049】
図6は、デコード処理部150の動作の一例を詳細に説明する図であって、
図4に示すステップS3~S6をデコード処理部150がどのように実行するかを説明する図である。デコード処理部150は、基準クロックによる割り込みによって、ステップS11~S13から始まる一連の動作を開始する。また、ステップS11~S15は、クロック周期内に完了するように実行される。
【0050】
ステップS11において、状態判定部151は、比較部120-1からの出力において”0”が継続する期間(”0”ランレングス)をカウントする。また、ステップS12において、状態判定部151は、比較部120-1からの出力において”1”が継続する期間(”1”ランレングス)をカウントする。また、ステップS13において、信頼度判定部152は、比較部120-2からの出力に基づいて、光信号の干渉が存在するか否かを示す信頼度判定フラグをセットする。
【0051】
ステップS14において、状態判定部151は、パターンマッチング処理を行う。すなわち、状態判定部151は、ステップS11およびS12においてカウントされた”0”ランレングスおよび”1”ランレングスの蓄積情報と候補パルスパターンとを照合し、適合するパルスパターンに対応する電池状態を判定する。
【0052】
また、状態判定部151は、比較部120-1からの出力において”0”が継続する期間が所定期間を超えた場合には、単電池10が大きな異常を検知したときに出力する”ベタLOW”信号が出力されたと判断し、単電池10の状態を重異常状態と判定してもよい。
【0053】
また、信頼度判定部152は、ステップS13においてセットされた信頼度判定フラグに基づいて、状態判定部151による判定が、光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する。
【0054】
そして、ステップS15において、デコード処理部150は、状態判定部151および信頼度判定部152の判定結果を出力する。
【0055】
図7は、各部の出力と信頼度判定結果との関係の一例を説明する図である。
図7の横軸は時間軸である。
図7に示す例では、単電池10-1および10-2が、
図5に示す例と同様の出力を行っている。なお、
図7では、単電池10-1および10-2の出力について正負反転して示している。
【0056】
比較部120-2からの出力が”1”から”0”に変化した(電圧波形が第2閾値を越えた)タイミングT1において、信頼度判定部152は、光信号の干渉が存在するか否かを示す信頼度判定フラグ1を”1”(光信号の干渉が存在する)に変更する。
【0057】
その後、比較部120-1からの出力が”1”から”0”に変化した(電圧波形が第1閾値を越えた)タイミングT2において、状態判定部151は、カウントされた”0”ランレングスおよび”1”ランレングスの蓄積情報を、候補パルスパターンと照合する。その結果、適合する候補パルスパターンが存在しないため、状態判定部151は、単電池10がエラー状態であると判定する。
【0058】
このとき、信頼度判定フラグ1が”1”であるため、信頼度判定部152は、状態判定部151によるエラー状態という判定について、光信号の干渉の影響を受けていると判定する。また、信頼度判定部152は、信頼度判定フラグ2の値を、信頼度判定フラグ1の値(”1”)に変更し、信頼度判定フラグ1を初期化(”0”(光信号の干渉が存在しない)に変更)する。
【0059】
その後、タイミングT3において、状態判定部151は、カウントされた”0”ランレングスおよび”1”ランレングスの蓄積情報が特定の候補パルスパターンに適合していたため、単電池10の状態を当該特定の候補パルスパターンに対応する電池状態であると判定する。
【0060】
このとき、信頼度判定フラグ1は”0”であるものの、信頼度判定フラグ2が”1”であるため、信頼度判定部152は、状態判定部151におる単電池10の状態の判定について、光信号の干渉の影響を受けていると判定する。また、信頼度判定部152は、信頼度判定フラグ2の値を、信頼度判定フラグ1の値(”0”)に変更し、信頼度判定フラグ1を初期化する。
【0061】
なお、
図7に示す例において、信頼度判定フラグが2つ存在しているのは、状態判定部151による判定が実行され、信頼度判定フラグ1を初期化した後も、次に状態判定部151による判定が実行されるまで、光信号の干渉が存在していることを示すフラグをセットしておくためである。信頼度判定フラグの数は特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、一態様において、信頼度判定フラグは、”0”から”1”に変更されてから、所定の時間後に”0”に戻る構成であってもよい。
【0062】
図8は、デコード処理部150の動作の一例を更に詳細に説明する図であって、
図4に示すステップS3~S6をデコード処理部150がどのように実行するかを説明する図である。デコード処理部150は、基準クロックによる割り込みによって、ステップS81およびS94から始まる一連の動作を開始する。
【0063】
まず、デコード処理部150が用いる変数について説明する。”B_0_LENGTH_COUNT”は、1つ前にカウントされた”0”ランレングスを示す。”N_0_LENGTH_COUNT”は、現在カウント中の”0”ランレングスを示す。”1_LENGTH_COUNT”は、現在カウント中の”1”ランレングスを示す。”0_PULSE_COUNT”は、現在カウント中のLOWパルス(”0”パルス)数を示す。”0->1FLAG”は、サンプリングした値が”1”から”0”への変化点であるか否かを示す。”1->0FLAG”は、サンプリングした値が”0”から”1”への変化点であるか否かを示す。幅1、幅2および幅3はそれぞれ候補パルスパターンにおけるパルスの幅の種類であり、”CNT_1”は幅1に対応するパルス検出回数の蓄積情報、”CNT_2”は幅2に対応するパルス検出回数の蓄積情報および”CNT_3”は幅3に対応するパルス検出回数の蓄積情報をそれぞれ示す。
【0064】
ステップS81において、デコード処理部150は、比較部120-1からの出力をサンプリングする。そして、サンプリングした値が”0”である場合には(ステップS82における”0”)、デコード処理部150は、それが”1”から”0”への変化点であるか判定する(ステップS83)。
【0065】
サンプリングした値が”1”から”0”への変化点である場合(ステップS83における”YES”)、デコード処理部150は、”1->0FLAG”を”1”にセットし(ステップS84)、”B_0_LENGTH_COUNT”の値を、”N_0_LENGTH_COUNT”の値にセットし(ステップS85)、”N_0_LENGTH_COUNT”の値をリセットし(ステップS86)、”N_0_LENGTH_COUNT”に1を加算し(ステップS87)、ステップS96に進む。
【0066】
サンプリングした値が”1”から”0”への変化点ではない場合(ステップS83における”NO”)、デコード処理部150は、”1->0FLAG”を”0”にセットし(ステップS88)、”N_0_LENGTH_COUNT” に1を加算し(ステップS89)、割り込み待ち状態に戻る。
【0067】
一方、サンプリングした値が1である場合には(ステップS82における”1”)、デコード処理部150は、それが”0”から”1”への変化点であるか判定する(ステップS90)。サンプリングした値が”0”から”1”への変化点である場合(ステップS90における”YES”)、デコード処理部150は、”0->1FLAG”を”1”にセットし、”0_PULSE_COUNT” に1を加算し(ステップS91)、ステップS93に進む。
【0068】
サンプリングした値が”0”から”1”への変化点ではない場合(ステップS90における”NO”)、デコード処理部150は、”0->1FLAG”を”0”にセットし(ステップS92)、ステップS93に進む。
【0069】
ステップS93では、デコード処理部150は、”1_LENGTH_COUNT”に1を加算し、ステップS96に進む。
【0070】
また、並行して、ステップS94において、デコード処理部150は、比較部120-2からの出力をサンプリングする。そして、ステップS95において、信頼度判定部152は、上述したように、サンプリングした値に応じて信頼度判定フラグをセットし、ステップS97に進む。
【0071】
ステップS96では、状態判定部151は、現在の変数情報に基づいて、単電池10の電池状態を判定することができるか否かを判定する。判定の詳細については後述する。状態判定部151が電池状態を判定することができると判定した場合(ステップS96における”YES”)、状態判定部151が単電池10の電池状態を判定するとともに、信頼度判定部152が、ステップS96において設定した信頼度判定フラグを参照して、状態判定部151による判定の信頼度を判定する(ステップS97)。そして、デコード処理部150は、状態判定部151および信頼度判定部152による判定結果を出力し(ステップS98)、各変数を初期化して(ステップS99)、割り込み待ち状態に戻る。状態判定部151が電池状態を判定することができないと判定した場合(ステップS96における”NO”)も、割り込み待ち状態に戻る。
【0072】
図9は、
図8におけるステップS96~S97における状態判定部151の動作をさらに詳細に説明する図である。
図8におけるステップS96が開始すると、
図9に示すステップS100において、状態判定部151は、比較部120-1からの出力をサンプリングした値が、”1”であるか否かを判定する。
【0073】
サンプリングした値が”1”である場合(ステップS100における”YES”)、状態判定部151は、”0->1FLAG”が1であるか否かを判定する(ステップS101)。”0->1FLAG”が1である場合(ステップS101における”YES”)、状態判定部151は、”N_0_LENGTH_COUNT”の値がどのような範囲にあるかを判定する(ステップS102)。
【0074】
”N_0_LENGTH_COUNT”が、幅1を中心とする範囲である場合には、状態判定部151は、”CNT_1”に1を加算し(ステップS103)、ステップS107に進み、幅1の候補パルスパターンとマッチングを行う。”N_0_LENGTH_COUNT”が、幅2を中心とする範囲である場合には、状態判定部151は、”CNT_2”に1を加算し(ステップS104)、ステップS108に進み、幅2の候補パルスパターンとマッチングを行う。”N_0_LENGTH_COUNT”が、幅3を中心とする範囲である場合には、状態判定部151は、”CNT_3”に1を加算し(ステップS105)、ステップS109に進み、幅3の候補パルスパターンとマッチングを行う。”N_0_LENGTH_COUNT”が、いずれの範囲からも外れる場合には、状態判定部151は、ステップS110に進み、エラー状態であると判定する(ステップS110における”YES”)。
【0075】
また、”0->1FLAG”が0である場合(ステップS101における”NO”)、状態判定部151は、ステップS102~S105を経ずに、ステップS107~S109に進み、候補パルスパターンとのマッチングを行う。
【0076】
ステップS107~S109の完了後、状態判定部151は、マッチング結果に基づいて、エラー状態と判定可能か判定する(ステップS110)。状態判定部151は、例えば、何れの候補パルスパターンともマッチングせず、また、さらに光信号を受信してもマッチングする可能性がない場合に、エラー状態と判定可能であるとしてもよい。
【0077】
状態判定部151がエラー状態と判定可能ではない場合(ステップS110における”NO”)、状態判定部151は、マッチング結果に基づいて、単電池10の状態を判定可能か判定する(ステップS111)。状態判定部151は、例えば、何れの候補パルスパターンともマッチングした場合に、単電池10の状態を判定可能であるとしてもよい。
【0078】
状態判定部151がエラー状態と判定可能である場合(ステップS110における”YES”)、および、状態判定部1521が単電池10の状態を判定可能である場合(ステップS111における”YES”)、状態判定部151は、単電池10の状態を判定する(ステップS112)。状態判定部1521が単電池10の状態を判定可能ではない場合(ステップS111における”NO”)、デコード処理部150は、割り込み待ちに戻る。
【0079】
また、サンプリングした値が”1”ではない場合(ステップS100における”NO”)、状態判定部151は、”1->0FLAG”が1であるか否かを判定する(ステップS120)。
【0080】
”1->0FLAG”が1ではない場合(ステップS120における”NO”)、状態判定部151は、サンプリングした値が”0”であることが規定回数以上連続しているか否かを判定する(ステップS121)。そして、サンプリングした値が”0”であることが規定回数以上連続していた場合(ステップS121における”YES”)、状態判定部151は、単電池10から”ベタLOW”信号が出力されていると判定し、単電池10の状態を重異常状態であると判定して、当該異常状態を出力する(ステップS122)。その後、デコード処理部150は、割り込み待ちに戻る。なお、ステップS121では、サンプリングした値が”0”であることの回数ではなく、期間が閾値(例えば、1~10秒など)を超えたか否かを判定してもよい。
【0081】
また、サンプリングした値が”0”であることが規定回数以上連続していなかった場合(ステップS121における”NO”)、デコード処理部150は、割り込み待ちに戻る。
【0082】
”1->0FLAG”が”1”である場合(ステップS120における”YES”)、状態判定部151は、”0_PULSE_COUNT”が0であるか否かを判定する(ステップS123)。”0_PULSE_COUNT”が0である場合(ステップS123における”YES”)には、デコード処理部150は、割り込み待ちに戻る。”0_PULSE_COUNT”が0ではない場合(ステップS123における”NO”)には、状態判定部151は、”B_0_LENGTH_COUNT”-AREA<=1_LENGTH_COUNTY<=”B_0_LENGTH_COUNT”+AREAであるか否かを判定する(ステップS124)。
【0083】
ステップS124では、状態判定部151は、サンプリングした値が”0”に変化するまでにカウントした”1”ランレングスが正常であるか否かを判定する。一態様において、パルスパターンは、基本的にはDUTY比が50%となるように設定されているため、状態判定部151は、当該”1”ランレングスと、1つ前にカウントされた”0”ランレングス(すなわち、”B_0_LENGTH_COUNT”)とが同じであるか否かを判定することにより、当該”1”ランレングスが正常であるか否かを判定する。但し、単電池10からの光信号が非同期であることや、光信号の立ち上り時間、立ち下がり時間などの影響により、DUTY比が50%からずれるケースもあるため、所定のずれ幅AREAを許容している。
【0084】
”B_0_LENGTH_COUNT”-AREA<=1_LENGTH_COUNT<=”B_0_LENGTH_COUNT”+AREAではない場合(ステップS124における”NO”)には、状態判定部151は、正常な“1”ランレングスではなく、カウントを継続すべきでないと判定し、ステップS107~S109において、それまでに蓄積した”CNT_1”、”CNT_2”、”CNT_3”といった変数を用いて候補パルスパターンとのマッチングを行う。”B_0_LENGTH_COUNT”-AREA<=1_LENGTH_COUNTY<=”B_0_LENGTH_COUNT”+AREAである場合(ステップS124における”YES”)、状態判定部151は、正常な“1”ランレングスであり、カウントを継続すべきと判定し、デコード処理部150は、割り込み待ちに戻る。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る判定方法は、受光装置100において、単電池10の状態を判定する判定方法であって、複数の単電池10から、各単電池10の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する受信ステップと、光信号が光電変換された電圧波形を取得する取得ステップと、上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、単電池10の状態を判定する状態判定ステップと、電圧波形に基づいて、状態判定ステップにおける判定の信頼度を判定する信頼度判定ステップと、を含む構成が採用されている。
【0086】
また、本実施形態に係る受光装置100は、単電池10の状態を判定する受光装置100であって、複数の単電池10から、各単電池10の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信するとともに、当該光信号が光電変換された電圧波形を取得する受光素子110と、当該電圧波形が示すパルスパターンに応じて、単電池10の状態を判定する状態判定部151と、当該電圧波形に基づいて、状態判定部151による判定の信頼度を判定する信頼度判定部152と、を備える構成が採用されている。
【0087】
このため、本実施形態に係る判定方法および受光装置100によれば、単電池10の状態判定結果の信頼度を判定することができるため、信頼度に基づいて単電池10の状態判定結果を好適に利用することができる。これにより、単電池10の状態の誤判定に起因する問題を抑制することができる。
【0088】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0089】
実施形態1では、受光装置100が2個の比較部120を備えている構成について説明したが、受光装置100が備える比較部120の数は2個に限定されない。本実施形態では、受光装置100が、第1閾値から第N閾値(但し、Nは2以上の整数)までの単調増加するN個の閾値の各々を越えた部分をそれぞれ出力するN個の比較部を備えている構成について説明する。
【0090】
図10は、本実施形態における電池制御システム1の概略構成の一例を示す図である。
図10に示すように、受光装置100は、3個の比較部120(比較部120-1、120-2および120-3)を備えている。
【0091】
比較部120-1は、入力された電圧波形が第1閾値を超えた部分をデコード処理部150に出力する。比較部120-2は、入力された電圧波形が第2閾値を超えた部分をデコード処理部150に出力する。比較部120-3は、入力された電圧波形が第3閾値を超えた部分をデコード処理部150に出力する。第2閾値は第1閾値よりも大きく、第3閾値は第2閾値よりも多い。このように、受光装置100は、第1閾値から第N閾値(但し、Nは2以上の整数)までの単調増加するN個の閾値の各々を越えた部分をそれぞれ出力するN個の比較部を備えている構成とすることができる。
【0092】
また、本実施形態において、信頼度判定部152は、
図4に示すステップS4において、光信号が光電変換された電圧波形における、第2閾値から第N閾値までの(N-1)個の閾値の各々を越えた部分をそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて、ステップS3における状態判定部151による判定が、光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定するように構成することができる。
【0093】
以下では、
図10に示すように、受光装置100は、3個の比較部120を備えている場合について説明する。
【0094】
図11は、光信号が干渉している場合の受光素子110の出力と、各閾値との関係を説明する図である。
図11に示すように、第1閾値TH1は、1つの光信号(パルス)に対応する出力よりも小さい値に設定される。第2閾値TH2は、2つの光信号(パルス)に対応する出力よりも小さく、1つの光信号(パルス)に対応する出力よりも大きい値に設定される。第3閾値TH3は、3つの光信号(パルス)に対応する出力よりも小さく、2つの光信号(パルス)に対応する出力よりも大きい値に設定される。なお、3つの光信号(パルス)に対応する出力が、受光素子110の飽和レベルSLにほぼ一致するように、受光素子110の出力レベルが調整されていることが好ましい。
【0095】
図12は、デコード処理部150の動作の一例を詳細に説明する図であって、
図4に示すステップS3~S6をデコード処理部150がどのように実行するかを説明する図である。デコード処理部150は、基準クロックによる割り込みによって、ステップS11~S13およびS21~S23から始まる一連の動作を開始する。また、ステップS11~S15およびS21~S25は、クロック周期内に完了するように実行される。
【0096】
デコード処理部150は、ステップS11~S15を実行する第1の判定処理E1と、ステップS21~S25を実行する第2の判定処理E2とを行う。ステップS21~S25は、比較部120-1からの出力の替りに比較部120-2から出力を用い、比較部120-2からの出力の替りに比較部120-3から出力を用いる他は、ステップS11~S15と同様に実行される。
【0097】
このように、本実施形態では、
図4に示すステップS3~S6において、デコード処理部150が、第1~第(N-1)までの(N-1)個の判定処理を行い、第iの判定処理(iは1以上(N-1)以下の整数)では、(i)状態判定部151が、光信号が光電変換された電圧波形が第i閾値を超えた部分のパターンに応じて、単電池10の状態を判定し、(ii)信頼度判定部152が、当該電圧波形が第(i+1)閾値を超えた部分に応じて、第iの判定処理における状態判定部151による判定が、光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する。
【0098】
これにより、単電池がN個以上の場合に、N個の閾値を用いて判定することにより、N個までの光信号の干渉を判定することができる。これにより、単電池の状態の判定結果の信頼度を精度高く判定することができる。
【0099】
図13に示す例では、単電池10-1が、幅が狭いパルスを4回出力し、単電池10-2が、幅が広いパルスを1回出力し、単電池10-1が出力した全てのパルスと、単電池10-2が出力したパルスとが重なっている。
【0100】
本実施形態によれば、
図13に示す例においても、タイミングT5において、デコード処理部150は、比較部120-1の出力および比較部120-2の出力を参照する第1の判定処理により、単電池10-2の状態を判定し、当該判定の信頼度を判定することができる。さらに、タイミングT4において、デコード処理部150は、比較部120-2の出力および比較部120-3の出力を参照する第2の判定処理により、単電池10-1の状態を判定、当該判定の信頼度を判定することができる。一方、実施形態1では、デコード処理部150が第2の判定処理を行わないので、単電池10-1の状態を判定することができない。このように、本実施形態によれば、様々な状況下においても、単電池10の状態を首尾よく判定し、その信頼度を判定することができる。
【0101】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0102】
図14は、本実施形態において単電池10が出力する光信号の構造の一例を示す図である。
図14に示すように、単電池10が出力する光信号は、先頭に固定長のダミーパルスパターンP1が含まれており、その後ろに、実施形態1~2で用いられた可変長のパルスパターンP2が含まれている。一態様において、固定長のダミーパルスパターンP1は、可変長のパルスパターンP2よりも十分に長いもの(例えば、2倍以上)としてよい。
【0103】
図15は、本実施形態において、受光装置100が、単電池10の状態を判定する判定方法の流れの一例を示すフロー図である。
図4に示す例と異なるのは、ステップS2の後に、ステップS6が挿入されている点である。
【0104】
ステップS6では、状態判定部151は、ステップS3における状態判定を開始する前に、光信号が光電変換された電圧波形から、固定長のダミーパルスパターンを検出する。そして、状態判定部151が固定長のダミーパルスパターンを検出できなかった場合には(ステップS6における”NO”)、ステップS1に戻る。一方、状態判定部151が固定長のダミーパルスパターンを検出できた場合(ステップS6における”YES”)には、ステップS3に進み、単電池10の状態の判定を行う。
【0105】
このように構成することにより、
図16に示すような場合でも、正確に単電池10の状態を判定することができる。
図16に示す例では、単電池10-1が、幅が狭いパルスを1回出力し、単電池10-2が、単電池10-1の後に、幅が狭いパルスを1回出力しているため、比較部120-1が出力するパルスパターンが、一つの単電池10が、幅が狭いパルスを2回出力したパルスパターンと区別が付かない。そのため、状態判定部151が、誤った判定をしてしまう可能性がある。
【0106】
しかしながら、本実施形態のように、パルスパターンの先頭にダミーパルスパターンが含まれており、状態判定部151が、ダミーパルスパターンを検出した場合に、パルスパターンに応じて、単電池10の状態を判定する構成では、状態判定部151が、誤った状態を判定してしまう可能性は生じない。
図16に示す例のように、2つの単電池10が出力したパルスパターンが近接した場合、ダミーパルスパターンが干渉するため、状態判定部151がダミーパルスパターンを検出できず、それ以降の処理が行われないからである。
【0107】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0108】
本実施形態では、信頼度判定部152が、光信号が光電変換された電圧波形に基づいて、状態判定部151による判定の信頼度を判定するための、別の手法について説明を行う。当該手法は、
図16に示す例において、状態判定部151が誤った判定をすることを避けるための手法の一つでもあり、光信号の近接を判定するための手法でもある。
【0109】
一般に、各単電池10が出力するパルスの形状は、単電池10ごとに僅かに異なっている(
図5参照)。そのため、
図16に示す例でも、単電池10-1が出力したパルスの幅W1と、単電池10-2が出力したパルスの幅W2とでは、僅かに長さが異なっており、両者の長さが同一となる確率は非常に低い。
【0110】
そこで、本実施形態では、信頼度判定部152は、光信号が光電変換された電圧波形に含まれるパルスの幅に基づいて、状態判定部151による判定が、光信号の接近の影響を受けているか否か、または、誤っている可能性があるか否かを判定する。
【0111】
一態様において、状態判定部151が、あるパルスパターンに基づいて、単電池10の状態を判定したとき、信頼度判定部152は、当該あるパルスパターンに含まれる互いに異なるパルス幅のパルスが含まれている場合、状態判定部151による判定が、光信号の接近の影響を受けている、または、誤っている可能性があると判定する。状態判定部151は、例えば、あるパルスのパルス幅が、その前のパルスのパルス幅よりも1クロックを超えて幅が異なる場合に、光信号の接近の影響を受けている、または、誤っている可能性があると判定してもよい。
【0112】
以上の処理は、一例として、以下のように、
図9に示す処理に組み込むことができる。すなわち、ステップS101とステップS102との間に、
図17に示すステップS130~S132を挿入すればよい。
【0113】
ステップS130では、信頼度判定部152は、”0_PULSE_COUNT”が1であるか否かを判定する。換言すれば、信頼度判定部152は、判定対象となるパルスパターンに、他のパルスが含まれているか否かを判定する。”0_PULSE_COUNT”が1であり、判定対象となるパルスパターンに、他のパルスが含まれていない場合(ステップS130における”YES”)、ステップS102に進み、そうでない場合(ステップS130における”NO”)、ステップS131に進む。
【0114】
ステップS131では、信頼度判定部152は、”N_0_LENGTH_COUNT”が、”B_0_LENGTH_COUNT”-1以上、かつ、”B_0_LENGTH_COUNT”+1以下であるか否かを判定する。換言すれば、信頼度判定部152は、判定対象となるパルスパターンに含まれる前のパルスとのパルス幅の差異が1以下であるか否かを判定する。”N_0_LENGTH_COUNT”が、”B_0_LENGTH_COUNT”-1以上、かつ、”B_0_LENGTH_COUNT”+1以下であり、判定対象となるパルスパターンに含まれる前のパルスとのパルス幅の差異が1以下である場合(ステップS131における”YES”)、ステップS102に進み、そうでない場合(ステップS131における”NO”)、ステップS132に進む。
【0115】
ステップS132では、信頼度判定部152は、”接近FLAG”を1にセットする。
【0116】
その後、ステップS112における判定処理において、信頼度判定部152は、”接近FLAG”が1にセットされている場合、判定対象となるパルスパターンに含まれる互いに異なるパルス幅のパルスが含まれており、光信号の接近の影響を受けている可能性があると判定する。
【0117】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0118】
実施形態4では、信頼度判定部152が、状態判定部151による判定が、光信号の干渉の影響を受けている可能性、および、光信号の接近の影響を受けている可能性の両方について判定を行っている。しかし、信頼度判定部152は、何れか一方の可能性のみを判定してもよい。
【0119】
図18は、本実施形態における電池制御システム1の概略構成の一例を示す図である。
図18に示すように、受光装置100は、1個の比較部120(比較部120-1)を備えている。
【0120】
このような構成であっても、信頼度判定部152は、状態判定部151による判定が光信号の接近の影響を受けている可能性を判定することにより、状態判定部151による判定の信頼度を判定することができる。
【0121】
〔ソフトウェアによる実現例〕
受光装置100(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各ブロック(特に比較部120およびデコード処理部150)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0122】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0123】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0124】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0125】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0126】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0127】
(まとめ)
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0128】
(付記1)
受光装置において、単電池の状態を判定する判定方法であって、
複数の単電池から、各単電池の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する受信ステップと、
上記光信号が光電変換された電圧波形を取得する取得ステップと、
上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する状態判定ステップと、
上記電圧波形に基づいて、上記状態判定ステップにおける判定の信頼度を判定する信頼度判定ステップと、
を含むことを特徴とする判定方法。
【0129】
上記構成によれば、複数の単電池から共通の経路を介して受信した光信号が光電変換された電圧波形を用いて、単電池の状態判定および当該状態判定の信頼度判定を行うことができる。これにより、単電池の状態判定結果の信頼度を判定することができるため、単電池の状態の誤判定に起因する問題を抑制することができる。
【0130】
(付記2)
上記状態判定ステップにおいて、
上記電圧波形が第1閾値を超えた部分のパターンに応じて、上記単電池の状態を判定し、
上記信頼度判定ステップにおいて、
上記電圧波形が上記第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた部分に応じて、上記状態判定ステップにおける判定が、上記光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする付記1に記載の判定方法。
【0131】
光信号の干渉が生じると、電圧波形において大きなピークが発生する。そのため、上記構成によれば、電圧波形が第1閾値を越えた部分のパターンに応じて、単電池の状態を判定し、電圧波形が第1閾値よりも大きい第2閾値を越えた部分に応じて、光信号の干渉が生じているか否かを判定することができる。これにより、単電池の状態の判定結果の信頼度を判定することができる。
【0132】
(付記3)
上記信頼度判定ステップにおいて、
上記電圧波形における、上記第2閾値から第N閾値(但し、Nは2以上の整数)までの単調増加する(N-1)個の閾値の各々を越えた部分をそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて、上記状態判定ステップにおける判定が、2個以上N個以下の上記光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする付記3に記載の判定方法。
【0133】
上記構成によれば、単電池がN個以上の場合に、N個の閾値を用いて判定することにより、N個までの光信号の干渉を判定することができる。これにより、単電池の状態の判定結果の信頼度を精度高く判定することができる。
【0134】
(付記4)
上記パルスパターンは、先頭に固定長のダミーパルスパターンが含まれており、
上記状態判定ステップにおいて、
上記ダミーパルスパターンを検出した場合に、上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する
ことを特徴とする付記1から3の何れか1つに記載の判定方法。
【0135】
上記構成によれば、ダミーパルスパターンを検出した場合に、その後のパターンに応じて、単電池の状態を判定するので、複数の光信号が干渉ないし接近していない状態で、単電池の状態を判定することができる。
【0136】
(付記5)
上記信頼度判定ステップにおいて、
上記電圧波形に含まれるパルスの幅に基づいて、上記状態判定ステップにおける判定が、上記光信号の接近の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の判定方法。
【0137】
複数の光信号が接近し、異なる単電池から出力されたパルスパターンがつながっている場合、当該パルスパターン間でパルスの幅が変化することがある。そのため、上記構成によれば、上記電圧波形に含まれるパルスの幅に基づいて、異なる単電池から出力された光信号が接近しているか否かを判定することができる。
【0138】
(付記6)
単電池の状態を判定する受光装置であって、
複数の単電池から、各単電池の状態を示すパルスパターンを有する光信号を共通の経路を介して受信する受信部と、
上記光信号が光電変換された電圧波形を取得する取得部と、
上記電圧波形が示すパルスパターンに応じて、上記単電池の状態を判定する状態判定部と、
上記電圧波形に基づいて、上記状態判定部による判定の信頼度を判定する信頼度判定部と、
を備えることを特徴とする受光装置。
【0139】
記構成によれば、複数の単電池から共通の経路を介して受信した光信号が光電変換された電圧波形を用いて、単電池の状態判定および当該状態判定の信頼度判定を行うことができる。
【0140】
(付記7)
上記状態判定部は、
上記電圧波形が第1閾値を超えた部分のパターンに応じて、上記単電池の状態を判定し、
上記信頼度判定部は、
上記電圧波形が上記第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた部分に応じて、上記単電池の状態の判定が、上記光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする付記6に記載の受光装置。
【0141】
上記構成によれば、単電池が2個以上の場合に、光信号が光電変換された電圧波形を用いて、単電池の状態を判定する。さらに、その判定が光信号の干渉の影響を受けているか否かを判定する。したがって、単電池の状態を判定するだけでなく、その判定結果の信憑性を示すことができる。
【0142】
(付記8)
上記電圧波形における、上記第1閾値から第N閾値(但し、Nは2以上の整数)までの単調増加するN個の閾値の各々を越えた部分をそれぞれ出力するN個の比較部をさらに備えることを特徴とする付記7に記載の受光装置。
【0143】
上記構成によれば、電圧波形の、各閾値を超えた部分を出力するので、各判定を容易に行うことができる。
【0144】
(付記9)
上記信頼度判定部は、
上記電圧波形に含まれるパルスの幅に基づいて、上記状態判定部による判定が、上記光信号の接近の影響を受けているか否かを判定する
ことを特徴とする付記6から8の何れか1つに記載の受光装置。
【0145】
複数の光信号が接近し、異なる単電池から出力されたパルスパターンがつながっている場合、当該パルスパターン間でパルスの幅が変化することがある。そのため、上記構成によれば、上記電圧波形に含まれるパルスの幅に基づいて、異なる単電池から出力された光信号が接近しているか否かを判定することができる。
【符号の説明】
【0146】
1 電池制御システム
10 単電池
11 温度モニタ
12 制御部
13 発光素子
20 光学系
50 電池状態判断部
100 受光装置
110 受光素子
120 比較部
150 デコード処理部
151 状態判定部
152 信頼度判定部