(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】発電機制御システム及びその始動方法
(51)【国際特許分類】
H02P 9/04 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
H02P9/04 J
(21)【出願番号】P 2021100052
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】202011154668.3
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510002442
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Delta Electronics,Inc.
【住所又は居所原語表記】No.3,Tungyuan Road,Chungli Industrial Zone,Chungli City,Taoyuan County Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 錦豪
(72)【発明者】
【氏名】李 正中
(72)【発明者】
【氏名】江 紘興
(72)【発明者】
【氏名】陳 建宇
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-162996(JP,A)
【文献】特開2011-089327(JP,A)
【文献】特開2012-175801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/04
H02M 7/48
H02P 27/06
H02P 101/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動発電機(200)に結合される発電機制御システム(10)であって、
直流電圧(Vdc)を受信する直流ポート(10-1)と、
交流出力ポート(400)に結合される第1スイッチユニット(20)と、
直流バス(14)と、
該直流バス(14)に結合される第1側(162)と該第1スイッチユニット(20)に結合される第2側(164)を含む第1電源変換回路(16)と、
該直流バス(14)に結合される第1側(182)と該電動発電機(200)に結合される第2側(184)を含む第2電源変換回路(18)と、
一端が該第1電源変換回路(16)と該第1スイッチユニット(20)に結合され、他端が該直流ポート(10-1)に結合される第2スイッチユニット(22)と、
を含
み、
前記発電機制御システム(10)の始動又は作動の過程おいて、同じ時間帯には前記第1スイッチユニット(20)又は第2スイッチユニット(22)のうちの1つのみが導通されることを特徴とする発電機制御システム(10)。
【請求項2】
該第1電源変換回路(16)に結合され、第1制御信号(Sc1)を提供して該第1電源変換回路(16)を制御して該直流電圧(Vdc)を該直流バス(14)におけるバス電圧(Vbus)に変換するか、又は該第1制御信号(Sc1)を提供して該第1電源変換回路(16)を制御して該バス電圧(Vbus)を第1交流電圧(Vac1)に変換することにより、該第1交流電圧(Vac1)を該第1スイッチユニット(20)に提供する、制御ユニット(30)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項3】
該直流バス(14)の正端子と負端子との間に結合されたエネルギー貯蔵コンデンサ(C)を備え、
該第1電源変換回路(16)は、
該エネルギー貯蔵コンデンサ(C)に並列接続され、直列接続される第1スイッチ(Q1)と第2スイッチ(Q2)を含む第1ブリッジ(166)と、
該第1ブリッジ(166)に並列接続され、直列接続される第3スイッチ(Q3)と第4スイッチ(Q4)を含む第2ブリッジ(168)と、
該第1ブリッジ(166)、該第2ブリッジ(168)及び該第1スイッチユニット(20)に結合されるフィルタユニット(170)と、
を含み、
該制御ユニット(30)は該第1ブリッジ(166)又は該第2ブリッジ(168)の作動を制御して該直流電圧(Vdc)を該バス電圧(Vbus)に変換し、該第1ブリッジ(166)と該第2ブリッジ(168)の作動を制御して該バス電圧(Vbus)を該第1交流電圧(Vac1)に変換することを特徴とする請求項2に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項4】
該フィルタユニット(170)は、
一端が該第1スイッチ(Q1)と該第2スイッチ(Q2)に結合され、他端が該第1スイッチユニット(20)に結合される第1インダクタ(L1)と、
該第1インダクタ(L1)に結合され、一端が該第3スイッチ(Q3)と該第4スイッチ(Q4)に結合され、他端が該第1スイッチユニット(20)に結合される第2インダクタ(L2)と、
一端が該第1インダクタ(L1)の他端と該第2インダクタ(L2)の他端との間に結合される出力コンデンサ(Co)と、
を含み、
該第1スイッチ(Q1)、該第2スイッチ(Q2)及び該第1インダクタ(L1)は第1変換ユニットを構成し、該第3スイッチ(Q3)、該第4スイッチ(Q4)及び該第2インダクタ(L2)は第2変換ユニットを構成し、該制御ユニット(30)は該第1変換ユニット又は該第2変換ユニットを制御して該直流電圧(Vdc)を該バス電圧(Vbus)に変換することを特徴とする請求項3に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項5】
該制御ユニット(30)は、さらに該第2電源変換回路(18)に結合され、該制御ユニット(30)は、第2制御信号(Sc2)を提供して該第2電源変換回路(18)の該バス電圧(Vbus)に対する双方向変換及び第2交流電圧(Vac2)を制御することを特徴とする請求項2に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項6】
該第2電源変換回路(18)は、
該直流バス(14)に並列接続され、直列接続される第5スイッチ(Q5)と第6スイッチ(Q6)を含む第3ブリッジ(190)と、
該第3ブリッジ(190)に並列接続され、直列接続される第7スイッチ(Q7)と第8スイッチ(Q8)を含む第4ブリッジ(192)と、
該第4ブリッジ(192)に並列接続され、直列接続される第9スイッチ(Q9)と第10スイッチ(Q10)を含む第5ブリッジ(194)と、
を含み、
該第3ブリッジ(190)、該第4ブリッジ(192)及び該第5ブリッジ(194)は該電動発電機(200)に結合され、該制御ユニット(30)は該第3ブリッジ(190)、該第4ブリッジ(192)及び該第5ブリッジ(194)の作動を制御することにより、該バス電圧(Vbus)と該第2交流電圧(Vac2)を双方向変換することを特徴とする請求項5に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項7】
該制御ユニット(30)は、さらに該第1スイッチユニット(20)と該第2スイッチユニット(22)に結合され、該制御ユニット(30)は該バス電圧(Vbus)と該電動発電機(200)の発電機回転速度を検出することによって該第1スイッチユニット(20)と該第2スイッチユニット(22)を制御し、
該バス電圧(Vbus)が第1閾値以下である場合、該制御ユニット(30)は該第1スイッチユニット(20)を導通させず、該第2スイッチユニット(22)を導通するように制御し、
該バス電圧(Vbus)が該第1閾値より大きく、又は該発電機回転速度が第2閾値より大きい場合、該制御ユニット(30)は該第1スイッチユニット(20)を導通し、該第2スイッチユニット(22)を導通しないように制御することを特徴とする請求項2に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項8】
該制御ユニット(30)は、さらに該第1スイッチユニット(20)と該第2スイッチユニット(22)に結合され、該制御ユニット(30)が該第1電源変換回路(16)から該第2電源変換回路(18)に流れる方向である第1方向を有するバス電流を検出した場合、該制御ユニット(30)は該第1スイッチユニット(20)を導通しないように制御し、該制御ユニット(30)が該第1方向と逆である第2方向を有する該バス電流を検出した場合、該制御ユニット(30)は該第2スイッチユニット(22)を導通しないように制御することを特徴とする請求項2に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項9】
該第1スイッチユニット(20)はリレーであり、該第2スイッチユニット(22)は双方向トランジスタスイッチであることを特徴とする請求項1に記載の発電機制御システム(10)。
【請求項10】
発動発電機(200)、直流電圧(Vdc)を受信する直流ポート(10-1)、交流出力ポート(400)、該交流出力ポート(400)に結合される第1スイッチユニット(20)、直流バス(14)、該第1スイッチユニット(20)と該直流バス(14)との間に結合される第1電源
変換回路(16)、該直流バス(14)と該電動発電機(200)との間に結合される第2電源変換回路(18)及び該第1電源
変換回路(16)、該第1スイッチユニット(20)と該直流ポート(10-1)に結合される第2スイッチユニット(22)を含
み、始動又は作動の過程おいて、同じ時間帯には前記第1スイッチユニット(20)又は第2スイッチユニット(22)のうちの1つのみが導通される発電機制御システム(10)の始動方法であって、
該直流バス(14)におけるバス電圧(Vbus)が第1閾値以下である場合、該第1スイッチユニット(20)を導通させず、該第2スイッチユニット(22)を導通するように制御するステップ(a)と、
該第1電源変換回路(16)の第1ブリッジ(166)又は第2ブリッジ(168)の作動を制御することにより該直流電圧(Vdc)を該バス電圧(Vbus)に変換するステップ(b)と、
該第2電源変換回路(18)を制御することにより該バス電圧(Vbus)を第2交流電圧(Vac2)に変換して該電動発電機(200)を駆動するステップ(c)と、
を含むことを特徴とする始動方法。
【請求項11】
該バス電圧(Vbus)が該第1閾値より大きく、又は該電動発電機(200)の発電機回転速度が第2閾値より大きい場合、該第2スイッチユニット(22)を導通しないように制御し、その後該第1スイッチユニット(20)を導通するように制御するステップ(d)と、
該第2電源変換回路(18)を制御することにより該第2交流電圧(Vac2)を該バス電圧(Vbus)に変換するステップ(e)と、
第1交流電圧(Vac1)を該第1スイッチユニット(20)に提供するように、該第1ブリッジ(166)と該第2ブリッジ(168)の作動を制御することにより、該バス電圧(Vbus)を第1交流電圧(Vac1)に変換するステップ(f)と、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の始動方法。
【請求項12】
該ステップ(c)は、さらに、
該電動発電機(200)に接続されるエンジン(202)を引火させて該電動発電機(200)の発電機回転速度を第2閾値より大きく向上させるように、該第2電源変換回路(18)の第3ブリッジ(190)、該第3ブリッジ(190)に並列接続される第4ブリッジ(192)、第5ブリッジ(194)の作動を制御することにより、該電動発電機(200)の発電機回転速度を所定の回転速度に調整するステップ(c1)を含むことを特徴とする請求項10に記載の始動方法。
【請求項13】
該第1電源変換回路(16)から該第2電源変換回路(18)に流れる方向である第1方向を有するバス電流を検出した場合、該第1スイッチユニット(20)を導通しないように制御するステップ(g1)と、
該第1方向と逆である第2方向を有する該バス電流を検出した場合、該第2スイッチユニット(22)を導通しないように制御するステップ(g2)と、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の始動方法。
【請求項14】
該発電機回転速度は、位置センサレスのアルゴリズムによって該第2電源変換回路(18)により提供される発電機電流(Iu、Iv、Iw)と該バス電圧(Vbus)を計算して得られることを特徴とする請求項11に記載の始動方法。
【請求項15】
該発電機回転速度は、該電動発電機(200)の逆起電力(BEMF)を計算することによって得られることを特徴とする請求項11に記載の始動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電機制御システム及びその制御方法に関し、特に発電機の始動と電力供給の制御システム及びその始動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のポータブル発電機システムは、通常、プルバルブでエンジンを始動するが、近年、ボタンで始動するポータブル発電機が徐々に主流になり、市場ではブラシ付き直流モータを動力の始動システムとして使用することが一般的である。但し、ブラシ付き直流モータには、ノイズが大きく、損傷しやすいながらスペースを占める等の欠点があるため、ポータブル発電機システムのメーカーは、統合型スタータージェネレーター(Integrated Starter Generator、ISG)システムを使用する傾向がある。つまり、発電機始動時、従来の直流モータの始動システムに代わり、エンジン始動用の電気モータとして使用する。ISGを如何に効果的に実現し、従来の発電機の電気システムと統合するかということは、各メーカー間の技術競争の方向になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1は、第1種類の従来技術における統合型スタータージェネレーター制御システムであり、独立した三相フルブリッジスイッチを使用し、一般的な電動発電機のシステムに対する3つの高電圧高電流(例えば300Vac、45A)のリレー装置Rを介して電動発電機200の前に接続して電動発電機200を始動する機能を実現し、その制御が簡単であるが、以下の欠点がある。
【0004】
1.蓄電池300は電圧の高い高電圧バッテリーが必要である。このアーキテクチャにおいて、蓄電池300は、直接三相フルブリッジ変換回路500に並列接続され電動発電機200が始動するように電力を供給する。したがって、従来のモータの点火回転速度の需要を満たし発電機の仕様を変更しない場合、通常は48ボルトのバッテリーを使用しなければならない。モータの始動に低電圧バッテリー(例えば12ボルト)を使用する場合、電圧が不足の恐れがある。
【0005】
2.比較的に高電圧/高電流のリレー装置Rを3台設置する必要がある。エンジン始動後、発電機が実際に作動する時に発生する交流電圧は、三相フルブリッジ変換回路500素子の許容仕様を超え、そして、三相交流電源が三相フルブリッジ変換回路の接合部ダイオードを通過するため、蓄電池300の充電に安全性が懸念される。このため、エンジン始動後、蓄電池300、三相フルブリッジ変換回路500素子と電動発電機200との分離需要を満たすように、比較的に高電圧/高電流のリレー装置Rを設置する必要がある。
【0006】
3.電動発電機200は仕様の柔軟性が低い。発電電圧、エンジン始動及びバッテリー電圧の3つの仕様の設計は、互いに組み合わせる必要があるが、このアーキテクチャは、蓄電池300を直接三相フルブリッジ変換回路500に並列し、蓄電池300は固定電圧ユニットであるため、電動発電機200の設計上の柔軟性が低い。
【0007】
4.コストが高い。このアーキテクチャは三相フルブリッジ変換回路500を一組追加する以外、比較的に高電圧/高電流のリレー装置Rを3台追加し、蓄電池300と制御ユニット(未図示)に接続する1台の瞬時始動スイッチ(未図示)を追加する必要があるため、スイッチの数が多く、装置の体積が大きくなる。高電圧のバッテリーを使用する場合、蓄電池300のコストが高くなり、実装コストに悪影響を与える可能性がある。
【0008】
このため、如何に発電機制御システム及びその制御方法を設計することにより、回路コストを削減し回路体積を小さくするとともに、始動と給電の操作をスムーズに実現できるのかは、本願の発明者が検討する重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の問題を解決するために、発電機制御システムを提供することである。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る発電機制御システムは電動発電機に結合され、発電機制御システムは、直流電圧を受信する直流ポート、交流出力ポートに結合される第1スイッチユニット、直流バス、直流バスに結合される第1側と第1スイッチユニットに結合される第2側を含む第1電源変換回路、直流バスに結合される第1側と電動発電機に結合される第2側を含む第2電源変換回路、電源出力経路に直列接続される第1スイッチユニット、及び一端が第1電源変換回路と第1スイッチユニットに結合され他端が直流ポートに結合される第2スイッチユニットを含む。
【0011】
本発明の他の目的は、従来技術の問題を解決するために、発電機制御システムの始動方法を提供することである。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る発電機制御システムの始動方法において、発電機制御システムは、電動発電機、直流電圧を受信する直流ポート、交流出力ポート、交流出力ポートに結合される第1スイッチユニット、直流バス、第1スイッチユニットと直流バスとの間に結合される第1電源変換回路、直流バスと発動発電機との間に結合される第2電源変換回路及び第1電源変換回路、第1スイッチユニットと直流ポートに結合される第2スイッチユニットを含み、始動方法は、直流バスのバス電圧が第1閾値以下である場合、第1スイッチユニットが導通せず、第2スイッチユニットが導通するように制御するステップ(a)と、第1電源変換回路の第1ブリッジ又は第2ブリッジの作動を制御して直流電圧をバス電圧に変換するステップ(b)と、第2電源変換回路を制御してバス電圧を第2交流電圧に変換することにより電動発電機を駆動するステップ(c)と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の主な目的及び効果は、発電機制御システムが、双方向変換機能を有する第1電源変換回路を利用して蓄電池により提供される直流電圧を昇圧することにより、蓄電池の高電圧バッテリー及び比較的に高耐電圧耐流仕様のリレーの使用必要性をなくすことである。これにより、発電機制御システムの体積を大幅に縮小することができる(蓄電池の体積の縮小、及びリレーを双方向トランジスタスイッチに変更することによる体積の縮小を含む)。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来技術における発電機制御システムである。
【
図2】本発明に係る発電機制御システムの回路図である。
【
図3A】本発明に係る発電機制御システムの始動モードの第1ステップ作動の回路図である。
【
図3B】本発明に係る発電機制御システムの始動モードの第2ステップ作動の回路図である。
【
図4A】本発明に係る発電機制御システムの発電モードの第1ステップ作動の回路図である。
【
図4B】本発明に係る発電機制御システムの発電モードの第2ステップ作動の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
所定の目的を達成するために本発明に採用される技術、手段及び効果をさらに理解するために、本発明の以下の詳細な説明及び図面を参照されたい。これらによって、本発明の目的、特徴及び特性をより深く且つ具体的に理解することができるだろう。しかしながら、添付の図面は、参照及び説明のためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0016】
本発明の技術的内容及び詳細な説明について、図面に合わせて以下のように説明する。
【0017】
図2は本発明に係る発電機制御システムの回路ブロック図である。発電機制御システム10の一端は統合型スタータージェネレーター200(Intergrated Starter Generator、ISG、以下、電動発電機と略称する)に結合され、一端は蓄電池300に結合され、且つ一端は交流出力ポート400に結合される。電動発電機200はエンジン202に結合され、電動発電機200はモータ駆動の形態でエンジン202を始動し、エンジン202が引火して始動した後、発電機による発電の形態で、エンジン202に駆動され発電する。
【0018】
発電機制御システム10を始動する始動モードである場合、発電機制御システム10は、蓄電池300により電力が供給され電動発電機200を駆動し、電動発電機200がエンジン202を始動できるようにする。エンジン202始動後の発電モードである場合、発電機制御システム10は、エンジン202により電動発電機200を駆動することにより、電動発電機200が発電機制御システム10に第2交流電圧Vac2を提供するようにする。発電機制御システム10は、第2交流電圧Vac2を第1交流電圧Vac1に変換し、交流出力ポート400に結合される負荷402に給電するように、第1交流電圧Vac1を交流出力ポート400に提供する。
【0019】
発電機制御システム10は、電源出力経路12、直流バス14、直流バス14に結合される第1側162と第1スイッチユニット20を介して電源出力経路12に結合される第2側164を含む第1電源変換回路16、直流バス14に結合される第1側182と電動発電機200に結合される第2側184を含む第2電源変換回路18、第1スイッチユニット20、第2スイッチユニット22及び制御ユニット30を含む。電源出力経路12は交流出力ポート400に結合される。
【0020】
直流バス14はバス電圧Vbusを貯蔵するためのエネルギー貯蔵コンデンサCを含む。バス電圧Vbusは発電機制御システム10により操作されるモードで、第1電源変換回路16又は第2電源変換回路18に選択的に供給される。第1スイッチユニット20は、第1電源変換回路16と交流出力ポート400の接続関係を導通又は切断するように、第1電源変換回路16と電源出力経路12との間に接続される。第2スイッチユニット22の一端は第1電源変換回路16と第1スイッチユニット20に結合され、蓄電池300により提供される直流電圧Vdcを受信するように、他端は直流ポート10-1を介して蓄電池300に結合される。第2スイッチユニット22は第1電源変換回路16と蓄電池300の接続関係を導通又は切断するのに用いられ、発電機制御システム10の始動又は作動の過程において、蓄電池300の直流電力と交流出力ポート400の交流電力の性質が違うため互いに衝突することを避けるために、同じ時間帯には一組のスイッチのみを導通させる(即ち、第1スイッチユニット20又は第2スイッチユニット22のうち1つのみが導通される)。
【0021】
制御ユニット30は第1電源変換回路16、第2電源変換回路18、第1スイッチユニット20及び第2スイッチユニット22に結合され、それぞれ第1電源変換回路16を制御する第1制御信号Sc1、第2電源変換回路18を制御する第2制御信号Sc2、第1スイッチユニット20を制御する第3制御信号Sc3及び第2スイッチユニット22を制御する第4制御信号Sc4を提供する。上記制御信号Sc1~Sc4はある回路を制御するための信号の総称であり、例えば、第1電源変換回路16の内部を制御するスイッチQ1~Q4は4組の制御信号を含み、その4組の制御信号は第1制御信号Sc1と総称され、その他はこれによって類推することができる。発電機制御システム10はさらに補助巻線32を含む。逆起電力BEMFを利用して発電機制御システム10を制御するように、補助巻線32は制御ユニット30に結合され、電動発電機200の逆起電力BEMFを感知する。
【0022】
始動モードの場合、第1制御信号Sc1は第1電源変換回路16を制御して直流電圧Vdcを昇圧してバス電圧Vbusに変換し、バス電圧Vbusをエネルギー貯蔵コンデンサCに貯蔵する。さらに、第2交流電圧Vac2を利用して電動発電機200を駆動するように、第2制御信号Sc2は第2電源変換回路18を制御してバス電圧Vbusを第2交流電圧Vac2に変換する。発電モードの場合、第2制御信号Sc2は第2電源変換回路18を制御して第2交流電圧Vac2をバス電圧Vbusに変換し、バス電圧Vbusをエネルギー貯蔵コンデンサCに貯蔵する。さらに、第1スイッチユニット20と電源出力経路12を介して第1交流電圧Vac1を交流出力ポート400に提供するように、第1制御信号Sc1は第1電源変換回路16を制御してバス電圧Vbusを第1交流電圧Vac1に変換する。
【0023】
第3制御信号Sc3は第1スイッチユニット20の導通と切断を制御し、第4制御信号Sc4は第2スイッチユニット22の導通と切断を制御する。始動モードの場合、蓄電池300は電動発電機200の始動に必要な電力を供給しなければならず、この時、エンジン200が完全に始動されていないため、安定且つ信頼できる第1交流電圧Vac1を供給することができない。そのため、始動モードの場合、制御ユニット30は第3制御信号Sc3を介して第1スイッチユニット20を導通しないように制御し、第4制御信号Sc4を介して第2スイッチユニット22を導通するように制御し、電動発電機200を駆動するように、蓄電池300により提供される直流電圧Vdcは負荷402に伝送されず、第1電源変換回路16及び第2電源変換回路18を介して第2交流電圧Vac2に変換させる。
【0024】
発電モードの場合、エンジン202は既に引火して始動し、蓄電池300により提供される直流電圧Vdcを使用する必要なく、電動発電機200を駆動して第2交流電圧Vac2を発生させることができる。そのため、発電モードの場合、制御ユニット30は第3制御信号Sc3を介して第1スイッチユニット20を導通するように制御し、第4制御信号Sc4を介して第2スイッチユニット22を導通しないように制御し、第2交流電圧Vac2を第1交流電圧Vac1に変換して交流出力ポート400に供給する。
【0025】
さらに、
図1に示すように、従来の発電機制御システム10は、通常、エンジン202をスムーズに点火して早い回転速度に作動させるように、大きな電力を提供して電動発電機200を安定した回転速度で作動させなければならないため、蓄電池300は、高電圧バッテリー(例えば、48ボルトであるがそれに限定されない)である必要があり、通常は、バス電圧Vbusの消費を直接補充するように、エネルギー貯蔵コンデンサCに結合されなければならない。蓄電池300は高電圧バッテリーでなければならないので、蓄電池300を発電機制御システム10に結合させるか又は蓄電池300を発電機制御システム10から切断させるスイッチは比較的に高耐電圧仕様のリレーでなければならない。しかし、本発明の発電機制御システム10は、第1電源変換回路16を利用して蓄電池300により提供される直流電圧Vdcを昇圧するので、
図1に示す従来技術のように、高電圧バッテリーを使用する必要なく、市販の体積が小さい低電圧バッテリー(通常は12ボルトのバッテリー)を使用することができる。また、本発明の蓄電池300は低電圧バッテリーであるため、蓄電池300を発電機制御システム10に結合させるか又は蓄電池300を発電機制御システム10から切断させる第2スイッチユニット22は低耐電圧仕様のスイッチ(例えば、双方向トランジスタスイッチであるがそれに限らない)であってもよい。これにより、発電機制御システム10の体積を大幅に縮小することができる(蓄電池300の体積の縮小、及びリレーを双方向トランジスタスイッチに変更することによる体積の縮小を含む)。注意すべきことは、第1電源変換回路16により提供される第1交流電圧Vac1は依然として比較的に高電圧電力であるため、第1スイッチユニット20は依然として比較的に高耐電圧仕様のリレーを使用する必要がある。
【0026】
図2に示すように、発電機制御システム10はさらにコンバータ10-2を含む。コンバータ10-2は、蓄電池300、発電機制御システム10の内部電源及び制御ユニット30に結合され、蓄電池300により提供される直流電圧Vdcを制御ユニット30が作動する時に必要な電圧に変換するのに用いられる。具体的には、始動モードの場合、発電機制御システム10は、始動モード期間中に制御ユニット30に安定した電力を供給できないので、制御ユニット30は、外部電源によりその作動に必要な電力を供給しないと、発電機制御システム10を制御することができない。制御ユニット30の作動に必要な電力は、コンバータ10-2によって直流電圧Vdcを変換することによって得ることができるか、又は外部電力供給装置によって供給することができる。エンジン202が始動した後、発電機制御システム10は、蓄電池300により電力を供給する必要なく、制御ユニット30に安定した電力を供給することができるため、コンバータ10-2は、バス電圧Vbus又は補助巻線32における電圧を変換して制御ユニット30に供給することができる。注意すべきことは、本発明の一実施例において、蓄電池300を外部電力供給装置に置き換えることができ、直流電圧Vdcを安定的に供給できる装置であれば、何れも本実施例の範囲に含まれるべきである。
【0027】
また、
図2に示すように、第1電源変換回路16はフルブリッジインバータであり、第1ブリッジ166、第2ブリッジ168及びフィルタユニット170を含んでもよい。第1ブリッジ166は直流バス14におけるエネルギー貯蔵コンデンサCに並列接続され、直列接続される第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を含む。第2ブリッジ168は第1ブリッジ166に並列接続され、直列接続される第3スイッチQ3と第4スイッチQ4を含む。フィルタユニット170は第1ブリッジ166、第2ブリッジ168及び第1スイッチユニット20に結合され、且つフィルタユニット170は第1インダクタL1、第2インダクタL2及び出力コンデンサCoを含む。具体的には、第1インダクタL1の一端は第1スイッチQ1と第2スイッチQ2との間のノードに結合され、第2インダクタL2の一端は第3スイッチQ3と第4スイッチQ4との間のノードに結合される。第1インダクタL1と第2インダクタL2は電磁誘導結合インダクタを構成し、第1ブリッジ166を流れる電流と第2ブリッジ168を流れる電流を均流可能にする。出力コンデンサCoの一端は第1インダクタL1の他端と第1スイッチユニット20の第1端に結合され、出力コンデンサCoの他端は第2インダクタL2の他端と第1スイッチユニット20の第2端に結合される。
【0028】
さらに、第1スイッチQ1、第2スイッチQ2及び第1インダクタL1は第1変換ユニットを構成し、第3スイッチQ3、第4スイッチQ4及び第2インダクタL2は第2変換ユニットを構成する。始動モードにおいて、制御ユニット30は第1制御信号Sc1を提供して第1スイッチQ1と第2スイッチQ2の切り替えを制御し、第1インダクタL1と組み合わせて昇圧変換回路になることにより、直流電圧Vdcを第1変換ユニットによってバス電圧Vbusに変換することができる。又は、制御ユニット30は第1制御信号Sc1を提供して第3スイッチQ3と第4スイッチQ4の切り替えを制御し、第2インダクタL2と組み合わせて昇圧変換回路になることにより、直流電圧Vdcを第2変換ユニットによってバス電圧Vbusに変換することができる。発電モードにおいて、制御ユニット30は第1制御信号Sc1を提供して第1ブリッジ166と第2ブリッジ168の作動を制御し、インバータ回路とすることにより、バス電圧Vbusを第1交流電圧Vac1に変換する。注意すべきことは、本発明の一実施例において、フィルタユニット170は単一インダクタのみを含むフルブリッジインバータであってもよい。フィルタユニット170が単一インダクタのみを有する場合、直流電圧Vdcは、単一インダクタ昇圧回路のみを介して昇圧し、バス電圧Vbusに変換されなければならない。
【0029】
また、
図2に示すように、第2電源変換回路18は三相インバータであり、第3ブリッジ190、第4ブリッジ192及び第5ブリッジ194を含んでもよい。第3ブリッジ190は直流バス14におけるエネルギー貯蔵コンデンサCに並列接続され、直列接続される第5スイッチQ5と第6スイッチQ6を含む。第4ブリッジ192は第3ブリッジ190に並列接続され、直列接続される第7スイッチQ7と第8スイッチQ8を含む。第5ブリッジ194は第4ブリッジ192に並列接続され、直列接続される第9スイッチQ9と第10スイッチQ10を含む。各スイッチQ5~Q10の間のノードはそれぞれ電動発電機200の各相に結合され、3相の第2交流電圧Vac2を提供する。始動モードの場合、制御ユニット30は、第3ブリッジ190、第4ブリッジ192及び第5ブリッジ194の内部のスイッチQ5~Q10の切り替えを制御し、バス電圧Vbusを第2交流電圧Vac2に変換する。発電モードの場合、制御ユニット30は、第3ブリッジ190、第4ブリッジ192及び第5ブリッジ194の内部のスイッチQ5~Q10の切り替えを制御し、第2交流電圧Vac2をバス電圧Vbusに変換する。
【0030】
注意すべきことは、本発明の一実施例において、発電機制御システム10は位置センサレス又は位置検出器(例えば、ホールセンサHall sensor)の制御システムであってもよい。位置センサレスの制御アーキテクチャにおいて、電動発電機200の位置、角度、速度は電動発電機200の逆起電力BEMF、第2交流電圧Vac2及び/又は対応する発電機電流Iu、Iv、Iwを検出し位置センサレスのアルゴリズムにより計算して得られる。これによって、ホールセンサの回路コストを削減、センサ制御機構の設計を省略し、発電機制御システム10の回路体積を縮小することができる。
【0031】
図3Aは本発明に係る発電機制御システムの始動モードの第1ステップの作動図であり、
図3Bは本発明に係る発電機制御システムの始動モードの第2ステップの作動図である。更に
図2を参照し、
図3A~3Bを繰り返して参照して説明する。発電機制御システム10がエンジン202をスムーズに点火して始動させる前に、制御ユニット30は第1スイッチユニット20を導通せず、第2スイッチユニット22を導通するように制御する。第2スイッチユニット22を導通された場合、第1スイッチユニット20と第2スイッチユニット22を同時に導通するリスクを避けるために、制御ユニット30は第1スイッチユニット20を導通しないように強制的に制御する。そのため、発電機制御システム10の始動モードを始動する場合、発電機制御システム10の始動経路は、順番に直流ポート10-1、第2スイッチユニット22、第1電源変換回路16、直流バス14、第2電源変換回路18、電動発電機200である。
【0032】
図3Aにおいて(第1ステップSs1)、制御ユニット30はまずバス電圧Vbusを検出するが、始動前にバス電圧Vbusがまだ確立されていないため、バス電圧Vbusは所定の閾値(例えば、48ボルトであるがそれに限定されない)以下である。制御ユニット30によりバス電圧Vbusが所定の閾値以下であることを検出した場合、制御ユニット30は第3制御信号Sc3を提供して第1スイッチユニット20を導通しないように制御し、第4制御信号Sc4を提供して第2スイッチユニット22を導通するように制御する。この時、蓄電池300に貯蔵された直流電圧Vdcは第2スイッチユニット22によって第1電源変換回路16に提供される。その後、制御ユニット30は第1制御信号Sc1を提供して第1スイッチQ1と第2スイッチQ2の切り替えを制御し、第1インダクタL1と組み合わせて昇圧変換回路になることにより、直流電圧Vdcを第1変換ユニット(第1スイッチQ1、第2スイッチQ2及び第1インダクタL1により構成される)によってバス電圧Vbusに変換する。又は、制御ユニット30は第1制御信号Sc1を提供して第3スイッチQ3と第4スイッチQ4の切り替えを制御し、第2インダクタL2と組み合わせて昇圧変換回路になることにより、直流電圧Vdcを第2変換ユニット(第3スイッチQ3、第4スイッチQ4及び第2インダクタL2により構成される)によってバス電圧Vbusに変換する。第1電源変換回路16が直流電圧Vdcをバス電圧Vbusに変換する過程において、制御ユニット30は、少なくとも、バス電圧Vbusとフィルタユニット170に流れるインダクタ電流Ilを継続的に検出し、よって第1制御信号Sc1のデューティ比を調整することにより、バス電圧Vbusの電圧値を調整し安定させる。
【0033】
注意すべきことは、制御ユニット30はさらに直流バス14における電流を検出し、第1スイッチユニット20と第2スイッチユニット22を制御することができる。制御ユニット30により第1電源変換回路16から第2電源変換回路18へ流れる方向である第1方向を有するバス電流を検出した場合、蓄電池300から流出した電流が第1スイッチユニット20を介して交流出力ポート400の負荷402に流れて負荷402を損害するか、又は複数台の電動発電機200を並列接続して使用する場合、そのうち1台の電動発電機200の出力が並列接続された交流出力ポート400を介してその他の電動発電機200の蓄電池300に流れ、蓄電池300を損害することを避けるために、制御ユニット30は第1スイッチユニット20を導通しないように制御し、蓄電池300から流出した電流が第1電源変換回路16のみを経由して第2電源変換回路18に流れるように確保し、外部電流が交流出力ポート400を介して蓄電池300に流れないように確保する。また、制御ユニット30により第2電源変換回路18から第1電源変換回路16へ流れる方向(即ち、第2方向と第1方向は逆である)である第2方向を有するバス電流を検出した場合、電動発電機200から出力された電流が第2スイッチユニット22を介して蓄電池300に流れ、蓄電池300を損害することを避けるために、制御ユニット30は第2スイッチユニット22を導通しないように制御する。
【0034】
図3Bにおいて(第2ステップSs2)、制御ユニット30により検出されたバス電圧Vbusの電圧値が所定の閾値に大体等しい場合、制御ユニット30は第2制御信号Sc2を提供してスイッチQ5~Q10の切り替えを制御し、バス電圧Vbusを第2交流電圧Vac2に変換する。第2電源変換回路18によりバス電圧Vbusを第2交流電圧Vac2に変換する過程において、制御ユニット30は少なくともバス電圧Vbusと発電機電流Iu、Iv、Iwを継続的に検出し、よって第2制御信号Sc2のデューティ比を調整することにより第2交流電圧Vac2の電圧値と発電機電流Iu、Iv、Iwの電流値を調整し安定させる。さらに、制御ユニット30は第2交流電圧Vac2、発電機電流Iu、Iv、Iw及び逆起電力BEMFを検出し計算することによって電動発電機200の発電機回転速度を取得し、エンジン202がスムーズに点火され始動するように、第2制御信号Sc2のデューティ比を調整することによって電動発電機200の発電機回転速度を所定の回転速度(例えば、400rpmであるがそれに限定されない)に制御する。エンジン202がスムーズに点火され始動した後、発電機回転速度はさらに上昇し始め、発電機回転速度を、エンジン202が既に始動したことを表す第2閾値(例えば、1000rpmであるがそれに限定されない)に近接し始めるようにし、よってエンジン202の始動プロセスをスムーズに完了させる。
【0035】
図4Aは本発明に係る発電機制御システムの発電モードの第1ステップの作動図であり、
図4Bは本発明に係る発電機制御システムの発電モードの第2ステップの作動図である。さらに
図2~3Bを参照し、
図4A~4Bを繰り返して参照しながら説明する。発電機制御システム10によりエンジン202をスムーズに点火して始動させた後、制御ユニット30は直ちに第1スイッチユニット20を導通し、第2スイッチユニット22を導通しないように制御しない。その理由は、エンジン202の作動が不安定で発電機制御システム10が働かないリスクを避けるために、制御ユニット30はエンジン202が通常通りに作動していることを確認しなければならないからである。
【0036】
図4Aにおいて(
図3B後の発電モードの第1ステップSg1の続き)、制御ユニット30は電動発電機200の発電機回転速度とバス電圧Vbusを継続的に検出する。バス電圧Vbusが第1閾値より大きい場合(例えば、80ボルトであるがそれに限定されない)、又は電動発電機200の発電機回転速度が第2閾値より大きい場合(例えば、1000rpmであるがそれに限定されない)、エンジン202がスムーズに点火され始動し、電動発電機200によってエネルギーを発電機制御システム10に戻すことを表す。ここで、本発明にかかる発電機制御システム10にはホールセンサ(Hall sensor)がないため、電動発電機200の発電機回転速度は、まず制御ユニット30によって発電機電流Iu、Iv、Iwとバス電圧Vbusを検出し、その後、制御ユニット30により提供された位置センサレスのアルゴリズムによって計算した後、発電機回転速度を取得する必要がある。又は、発電機回転速度はさらに、補助巻線32によって電動発電機200の作動時の逆起電力BEMFを検出し、逆起電力BEMFによる計算によって取得することができる。
【0037】
エンジン202がスムーズに点火され始動した場合、制御ユニット30は第1制御信号Sc1によって第1電源変換回路16の直流電圧Vdcをバス電圧Vbusに変換する変換操作を中止するように制御し、発電モードを開始するように、第3制御信号Sc3を提供して第1スイッチユニット20を導通するように制御し、第4制御信号Sc4を提供して第2スイッチユニット22を導通しないように制御する。その後、制御ユニット30は第2制御信号Sc2を提供してスイッチQ5~q10の切り替えを制御し、第2交流電圧Vac2をバス電圧Vbusに変換する。第2電源変換回路18により第2交流電圧Vac2をバス電圧Vbusに変換する過程において、制御ユニット30は、少なくとも、発電機電流Iu、Iv、Iwと逆起電力BEMFを継続的に検出し(又は位置センサレスのアルゴリズムにより)、よって第2制御信号Sc2のデューティ比を調整することによりバス電圧Vbusの電圧値を調整し安定させる。
【0038】
図4Bにおいて(第2ステップSg2)、制御ユニット30は第1制御信号Sc1を提供して第1ブリッジ166と第2ブリッジ168の切替を制御し、インバータ回路とすることによりバス電圧Vbusを第1交流電圧Vac1に変換し、第1交流電圧Vac1を第1スイッチユニット20に提供する。第1電源変換回路16によりバス電圧Vbusを第1交流電圧Vac1に変換する過程において、制御ユニット30は少なくともバス電圧Vbusとフィルタユニット170に流れるインダクタ電流Ilを継続的に検出し、よって第1制御信号Sc1のデューティ比を調整することにより第1交流電圧Vac1の電圧値を調整し安定させる。そのため、エンジン202の始動後の発電モードの場合、発電機制御システム10の給電経路は順に、電動発電機200、第2電源変換回路18、直流バス14、第1電源変換回路16、第1スイッチユニット20、電源出力経路12である。
【0039】
上記を纏めると、本発明は以下の特徴と利点を有する。
【0040】
1.本願は、蓄電池を交流の出力側に並列接続することにより、従来の直流-交流変換回路を使用し、エンジンが始動する時に直流-直流の昇圧変換を実行し、従来の交流-直流として用いられた三相フルブリッジスイッチ回路に比較的に高電圧且つ柔軟な直流電圧を提供することができ、直流から交流へのインバータ変換を実行して電動発電機に供給し、よって、点火し爆発しやすくするために、エンジンを適切な回転速度で作動しやすくすることができる。
【0041】
2.最小変動で既に量産された発電機システムに接続する。本願により提供されるシステムアーキテクチャは三相フルブリッジ変換回路の直流リンク電圧を柔軟に調整し、従来の発電機の仕様パラメータと柔軟に対応することができるため、従来の発電機を変更することなく、又は変更を最小限にする。
【0042】
3.エンジンの点火回転速度が最も安定している。直流リンク電圧を48ボルト又は64ボルトまで適切に調整することができるため、エンジンの点火可能回転速度を最も早く且つ安定にする。
【0043】
4.コストが低い。本システムの蓄電池には現在汎用の12ボルトの鉛酸バッテリーを使用することができ、全体として余分なスイッチを追加する必要なく、直接既存の発電機回路のアーキテクチャを利用してエンジンの始動と発電の機能を同時に実現可能であるため、コストは比較的に低い。
【0044】
上記は本発明の好ましい実施形態の詳細な説明及び図面であり、本発明の特徴は上記に限定されるものではなく、本発明を限定するためのものでもない。本発明の全ての範囲は下記の特許請求の範囲に準ずるべきである。本発明の特許請求の範囲における技術的思想及びその類似の変化の実施形態に適合するものは、いずれも本発明の範疇に含まれるべきであり、当業者が本発明の範囲内で容易に想到し得る変化又は修飾はいずれも以下本願の特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
10:発電機制御システム
10-1:直流ポート
10-2:コンバータ
12:電源出力経路
14:直流バス
C:エネルギー貯蔵コンデンサ
16:第1電源変換回路
162:第1側
164:第2側
166:第1ブリッジ
168:第2ブリッジ
170:フィルタユニット
L1:第1インダクタ
L2:第2インダクタ
Co:出力コンデンサ
18:第2電源変換回路
182:第1側
184:第2側
190:第3ブリッジ
192:第4ブリッジ
194:第5ブリッジ
20:第1スイッチユニット
22:第2スイッチユニット
30:制御ユニット
32:補助巻線
200:電動発電機(統合型スタータージェネレーター)
202:エンジン
300:蓄電池
400:交流出力ポート
402:負荷
500:三相フルブリッジ変換回路
Vac1:第1交流電圧
Vac2:第2交流電圧
Vbus:バス電圧
Vdc:直流電圧
Sc1~Sc4:制御信号
Q1~Q10:スイッチ
BEMF:逆起電力
Iu、Iv、Iw:発電機電流
Il:インダクタ電流