(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】農業支援システム
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
(21)【出願番号】P 2021102522
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】玉谷 健二
(72)【発明者】
【氏名】奥山 裕二
(72)【発明者】
【氏名】阪口 和央
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 祐介
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-037775(JP,A)
【文献】特開2008-177146(JP,A)
【文献】特開2019-188963(JP,A)
【文献】特開2012-148654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0317454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00 - 69/08
G05D 1/00 - 1/12
B60P 3/00 - 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業機械に設けられ且つ情報を送信可能な第1通信装置と、
前記農業機械を運搬可能な運搬車に設けられ且つ前記第1通信装置が送信した前記情報を取得可能な第2通信装置と、
前記農業機械に設けられ且つ前記農業機械の走行ルートを作成するルート作成部と、を備え
、
前記第1通信装置は、前記情報として前記ルート作成部によって作成された前記走行ルートを前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記走行ルートを受信する農業支援システム。
【請求項2】
前記農業機械に設けられ且つ前記農業機械の位置を測位する測位装置を備え、
前記第1通信装置は、前記情報として前記測位装置が測位した前記位置を前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記位置を受信する請求項1に記載の農業支援システム。
【請求項3】
前記ルート作成部は、前記運搬車に対して設定されていない走行ルートを作成する請求項
1に記載の農業支援システム。
【請求項4】
農業機械に設けられ且つ情報を送信可能な第1通信装置と、
前記農業機械を運搬可能な運搬車に設けられ且つ前記第1通信装置が送信した前記情報を取得可能な第2通信装置と、
前記農業機械に設けられ且つ第1地図を記憶する第1記憶装置を備え、
前記第1通信装置は、前記情報として前記第1記憶装置に記憶している第1地図を前記情報として前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記第1地図を受信する農業支援システム。
【請求項5】
前記農業機械に設けられ且つ第1地図を記憶する第1記憶装置を備え、
前記第1通信装置は、前記情報として前記第1記憶装置に記憶している第1地図を前記情報として前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記第1地図を受信する請求項1
又は2に記載の農業支援システム。
【請求項6】
前記運搬車に設けられ且つ第2地図を記憶する第2記憶装置と、
前記運搬車に設けられ且つ前記第2地図を表示可能な表示装置と、
を備え、
前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記第1地図を前記表示装置に出力し、前記表示装置は、前記第2地図上に前記第1地図を表示する請求項
4又は5に記載の農業支援システム。
【請求項7】
前記第1記憶装置は、前記第2地図に含まれていない道路情報を含む第1地図を記憶している請求項6に記載の農業支援システム。
【請求項8】
前記第1通信装置から前記第2通信装置へ情報の送信を前記農業機械に指示する指示部を備えている請求項1~7のいずれかに記載の農業支援システム。
【請求項9】
前記指示部は、前記運搬車に設けたスイッチである請求項8に記載の農業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、農業機械を運搬可能な運搬車による農業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の農業機械を圃場において自動走行させるための走行予定経路(走行ルート)を作成する技術として特許文献1に示す技術が知られている。特許文献1に記載の農業機械は、マップに圃場を登録するマップ登録部と、マップに登録された圃場内に走行ルートを作成する走行経路生成部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の農業機械は、マップへの圃場の登録と、圃場内の走行ルートの作成とが可能であり、圃場内の走行ルートを自動走行することができる。しかしながら、農業機械を運搬可能な運搬車は、農業機械が有するマップ(例えば、圃場、及び、圃場内の走行ルートを含むマップ)を有していない。このため、運搬車については、圃場内の走行支援を受けることができない。詳述すれば、運搬車は、一般的にカーナビゲーション装置を備えているが、カーナビゲーション装置にて用いる地図提供会社等から得られたマップには、圃場、圃場に至る農道などの地図情報が含まれていないことがある。この場合には、カーナビゲーション装置による圃場内の走行支援を受けることができない。そもそも、運搬車は、農業機械からの情報を受信できないので、農業機械からの情報を農業支援に活用することができないのが実情である。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、農業機械を運搬可能な運搬車が当該農業機械からの情報を農業支援に活用することができる農業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
農業支援システムは、農業機械に設けられ且つ情報を送信可能な第1通信装置と、前記農業機械を運搬可能な運搬車に設けられ且つ前記第1通信装置が送信した前記情報を取得可能な第2通信装置と、前記農業機械に設けられ且つ前記農業機械の走行ルートを作成するルート作成部と、を備え、前記第1通信装置は、前記情報として前記ルート作成部によって作成された前記走行ルートを前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記走行ルートを受信する。
農業支援システムは、前記農業機械に設けられ且つ前記農業機械の位置を測位する測位装置を備え、前記第1通信装置は、前記情報として前記測位装置が測位した前記位置を前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記位置を受信する。
【0007】
前記ルート作成部は、前記運搬車に対して設定されていない走行ルートを作成する。
農業支援システムは、農業機械に設けられ且つ情報を送信可能な第1通信装置と、前記農業機械を運搬可能な運搬車に設けられ且つ前記第1通信装置が送信した前記情報を取得可能な第2通信装置と、前記農業機械に設けられ且つ第1地図を記憶する第1記憶装置を備え、前記第1通信装置は、前記情報として前記第1記憶装置に記憶している第1地図を前記情報として前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記第1地図を受信する。
【0008】
農業支援システムは、前記農業機械に設けられ且つ第1地図を記憶する第1記憶装置を備え、前記第1通信装置は、前記情報として前記第1記憶装置に記憶している第1地図を前記情報として前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記第1地図を受信する。
農業支援システムは、前記運搬車に設けられ且つ第2地図を記憶する第2記憶装置と、前記運搬車に設けられ且つ前記第2地図を表示可能な表示装置と、を備え、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から送信された前記第1地図を前記表示装置に出力し、前記表示装置は、前記第2地図上に前記第1地図を表示する。
【0009】
前記第1記憶装置は、前記第2地図に含まれていない道路情報を含む第1地図を記憶している。
農業支援システムは、前記第1通信装置から前記第2通信装置へ情報の送信を前記農業機械に指示する指示部を備えている。
前記指示部は、前記運搬車に設けたスイッチである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、農業機械を運搬可能な運搬車が当該農業機械からの情報を農業支援に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における農業支援システムのブロック図を示す図である。
【
図5A】走行軌跡K1から圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)を求める図である。
【
図5B】走行軌跡K1の変曲点から圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)を求める図である。
【
図5C】走行時のスイッチ操作から輪郭H1(圃場マップMP2)を求める図である。
【
図6】マップ選択画面M10の一例を示す図である。
【
図7】エリア設定画面M21の一例を示す図である。
【
図8A】第1エリアA21の設定の一例を示す図である。
【
図8B】第2エリアA22の設定の一例を示す図である。
【
図8C】第3エリアA23の設定の一例を示す図である。
【
図9A】第1領域線J1nを用いて第1エリアA21を設定する図である。
【
図9B】第2領域線J2nを用いて第2エリアA22を設定する図である。
【
図10】第3エリアA23などに走行ルートL1を設定する一例を示す図である。
【
図11A】トラクタが自動運転して圃場FAから圃場FBに移動する様子を示した図である。
【
図11B】トラクタが運搬車に積み込まれた状態を示す側面図である。
【
図12】農業支援システムの運搬車によるナビゲーション処理を示すフローチャートである。
【
図13】運搬車の表示装置におけるナビゲーション画面の一例を示す図である。
【
図14】運搬車の表示装置におけるナビゲーション画面の一例を示す図である。
【
図15】カーナビゲーション装置の第2地図上に農業機械からの第1地図を重ね合わせて合成マップを作成する一例を示す図である。
【
図16】運搬車の表示装置におけるナビゲーション画面に合成マップが表示された例を示す図である。
【
図17】ナビゲーション画面の合成マップにトラクタの軌跡情報が表示された例を示す図である。
【
図18】第2実施形態における農業支援システムのブロック図を示す図である。
【
図19A】トラクタが積み込まれた運搬車の表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図19B】トラクタが積み込まれた運搬車の表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図19C】トラクタが積み込まれた運搬車の表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図19D】トラクタが積み込まれた運搬車の表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図19E】運搬車に積み込まれた作業車両が後方の周囲状態を検出する様子を示す平面図である。
【
図19F】運搬車に積み込まれた作業車両が後方の周囲状態を検出する様子を示す側面図である。
【
図19G】運搬車に積み込まれた作業車両が側方の周囲状態を検出する様子を示す平面図である。
【
図19H】運搬車に積み込まれた作業車両が側方の周囲状態を検出する様子を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における農業支援システムのブロック図を示している。農業支援システムは、自動運転可能な農業機械(例えば、トラクタ1)と、当該農業機械を運搬可能な運搬車80とを備え、運搬車80が農業機械からの情報を農業支援に活用することを可能にしたシステムである。トラクタ1と運搬車80との構成について順番に説明する。
【0013】
まず、農業機械の一例であるトラクタ1(作業車両)について説明する。
図20に示すように、トラクタ1は、走行装置7を有する走行車両3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ等である。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。走行車両3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
【0014】
また、走行車両3の後部には、3点リンク機構等で構成された昇降装置8が設けられている。昇降装置8には、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を昇降装置8に連結することによって、走行車両3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、
図20では、作業装置2として散布装置を取り付けた例を示している。
【0015】
図1に示すように、トラクタ1は、操舵装置11を備えている。操舵装置11は、ハンドル(ステアリングホイール)11aと、ハンドル11aの回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)11bと、ハンドル11aの操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)11cと、を有している。補助機構11cは、油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から吐出した作動油が供給される制御弁22と、制御弁22により作動するステアリングシリンダ23とを含んでいる。制御弁22は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁22は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁22は、操舵軸11bの操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ23は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)24に接続されている。
【0016】
したがって、ハンドル11aを操作すれば、当該ハンドル11aに応じて制御弁22の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁22の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ23が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置11は一例であり、上述した構成に限定されない。
図2に示すように、昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0017】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0018】
トラクタ1は、測位装置40を備えている。測位装置40は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置40は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、トラクタ1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。測位装置40は、受信装置41と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)42とを有している。受信装置41は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42とは別に走行車両3に取付けられている。この第1実施形態では、受信装置41は、走行車両3、即ち、キャビン9に取付けられている。なお、受信装置41の取付箇所は、第1実施形態に限定されない。
【0019】
慣性計測装置42は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。走行車両3、例えば、運転席10の下方に設けられ、慣性計測装置42によって、走行車両3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
図1に示すように、トラクタ1は、制御装置60を備えている。制御装置60は、トラクタ1における走行系の制御、作業系の制御等を行う装置であり、CPU、電気電子回路等から構成されている。
【0020】
制御装置60は、トラクタ1の自動走行を制御する自動走行制御部61を有している。自動走行制御部61は、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動走行制御部61は、自動走行を開始すると、走行車両3が圃場内の走行ルートL1(走行予定ルート)又は後述する圃場間の道路走行ルートL2(道路走行予定ルート)に沿って走行するように操舵装置11の制御弁22を制御する。また、自動走行制御部61は、自動走行を開始すると、変速装置5の変速段、原動機4の回転数等を自動的に変更することによって、トラクタ1の車速(速度)を制御する。つまり、自動走行制御部61は、ライン型自動運転の制御を行うことが可能である。ライン型自動運転の制御では、予め設定された走行ルートL1又は道路走行ルートL2に沿ってトラクタ1(走行車両3)が移動するように、操舵装置11、変速装置5及び原動機4等の制御を行う。
【0021】
図3に示すように、トラクタ1が自動走行を行っている状況下において、車体位置と走行ルートL1との偏差が閾値未満である場合、自動走行制御部61は、操舵軸(回転軸)11bの回転角を維持する。車体位置と走行ルートL1との偏差が閾値以上であって、トラクタ1が走行ルートL1に対して左側に位置している場合は、自動走行制御部61は、トラクタ1の操舵方向が右方向となるように操舵軸11bを回転する。車体位置と走行ルートL1との偏差が閾値以上であって、トラクタ1が走行ルートL1に対して右側に位置している場合は、自動走行制御部61は、トラクタ1の操舵方向が左方向となるように操舵軸11bを回転する。なお、上述した第1実施形態では、車体位置と走行ルートL1との偏差に基づいて操舵装置11の操舵角を変更していたが、走行ルートL1の方位とトラクタ1(走行車両3)の進行方向(走行方向)の方位(車体方位)F1とが異なる場合、即ち、走行ルートL1に対する車体方位F1の角度θgが閾値以上である場合、自動走行制御部61は、角度θgが零(車体方位F1が走行ルートL1の方位に一致)するように操舵角を設定してもよい。また、自動走行制御部61は、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位(方位偏差)に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動操舵における最終の操舵角を設定してもよい。上述した第1実施形態における自動操舵における操舵角の設定は一例であり、限定されない。なお、後述する
図11Aに示す道路走行ルートL2の場合でも、
図3に示す走行ルートL1の場合と同様に、トラクタ1が道路走行ルートL2に沿って自動走行することができる。
【0022】
以上のように、制御装置60によって、トラクタ1(走行車両3)を自動走行させることができる。
また、制御装置60は、手動昇降制御、自動上昇制御等を行うことができる。手動昇降制御では、制御装置60に接続された昇降スイッチ72の操作に基づいて昇降装置8による作業装置2の昇降する制御である。具体的には、昇降スイッチ72は、運転席10の周囲に設けられていて、3位置切換スイッチである。昇降スイッチ72を中立位置から一方に切り換えると、昇降装置8(リフトアーム8a)を上昇させる上昇信号が制御装置60に入力される。また、昇降スイッチ72を中立位置から他方に切り換えると、昇降装置8(リフトアーム8a)を下降させる下降信号が制御装置60に入力される。制御装置60は、上昇信号を取得すると制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を上昇させ、下降信号を取得すると制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を下降させる。つまり、制御装置60は、昇降スイッチ72の手動操作に応じて昇降装置8を昇降させる手動昇降制御をすることができる。
【0023】
また、自動上昇制御では、操舵装置11の操舵角が所定以上、例えば、旋回に対応する操舵角である場合に、自動的に昇降装置8を作動させることで作業装置2を上昇する制御である。具体的には、制御装置60には、操舵角検出装置70と、切換スイッチ71とが接続されている。操舵角検出装置70は、操舵装置11の操舵角を検出する装置である。切換スイッチ71は、自動上昇制御の有効/無効を切り換えるスイッチであって、ON/OFFに切り換え可能なスイッチである。切換スイッチ71がONである場合、自動上昇制御が有効に設定され、切換スイッチ71がOFFである場合、自動上昇制御が無効に設定される。
【0024】
制御装置60は、自動上昇制御が有効であり且つ操舵角検出装置70が検出した操舵角が旋回に相当する操舵角以上である場合、制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を自動的に上昇させる自動上昇制御を行う。
以上のように、制御装置60によって、トラクタ1に関する制御、例えば、手動昇降制御、自動上昇制御を行うことができる。
【0025】
トラクタ1は、走行支援装置100を備えている。走行支援装置100は、トラクタ等の作業車両の走行を行う場合の支援を行う装置である。この第1実施形態では、走行支援装置100は、例えば、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯型の端末(携帯端末)、パーソナルコンピュータ、サーバ等の固定型のコンピュータ等の固定型の端末(固定端末)などであり、トラクタ1に対して着脱自在な装置又は固定された装置の何れであってもよい。ここでは、走行支援装置100は、運転席10の近傍に設けられたタブレット(携帯端末)である。
【0026】
走行支援装置100は、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネルのいずれかで構成された表示部50を備えている。走行支援装置100は、トラクタ1の走行を支援するための情報の他に、トラクタ1、作業装置2に関する様々な情報を、表示部50に表示可能である。
走行支援装置100は、マップ登録部101と、マップ記憶部102とを備えている。マップ登録部101は、走行支援装置100に設けられた電気・電子部品、走行支援装置100に組み込まれたプログラム等から構成されている。マップ記憶部102は、不揮発性のメモリ等から構成されている。マップ登録部101は、所定の圃場の輪郭、例えば、所定の圃場の輪郭に対応した位置を登録する。
【0027】
図4に示すように、作業者(運転者)が表示部50に対して所定の操作を行うと、マップ登録部101は、表示部50にマップ登録画面M1を表示する。マップ登録画面M1には、圃場を含むマップMP1、トラクタ1の車体位置VP1、圃場名及び圃場管理番号等の圃場識別情報が表示される。マップMP1には、圃場を示す画像データの他に緯度、経度等の位置情報が対応付けられている。トラクタ1が圃場内に入り、圃場内を周回すると、マップ登録画面M1には、トラクタ1が周回したときに測位装置40が検出した現在の車体位置VP1が表示される。トラクタ1による圃場内の周回が終了し、マップ登録画面M1に表示された登録ボタン51が選択されると、
図5Aに示すように、マップ登録部101は、トラクタ1が周回したときの複数の車体位置によって得られた走行軌跡K1を圃場の輪郭(外形)H1とし、当該輪郭H1で表される圃場マップMP2を圃場識別情報と共に登録する。
【0028】
なお、
図5Bに示すように、マップ登録部101は、車体位置VP1で示される走行軌跡から変曲点を演算して変曲点を結ぶ輪郭K2を圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)として登録してもよいし、
図5Cに示すように、トラクタ1が周回する際に運転者等がトラクタ1に設けられたスイッチ等によって圃場の端部を指定し指定された端部を結んだ輪郭K3を輪郭H1(圃場マップMP2)として登録してもよい。上述した圃場の登録方法は、一例であり、限定されない。圃場の輪郭、即ち、圃場マップMP2は、位置(緯度、経度)で示されたデータであっても、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータであっても、その他の表現で示されたデータであってもよい。
【0029】
マップ記憶部102は、マップ登録部101によって登録した輪郭(外形)を示す圃場マップMP2を記憶する。即ち、マップ記憶部102は、圃場マップMP2、圃場の輪郭を示すデータ(所定の圃場を表すためのデータ)を記憶する。
上述したように、走行支援装置100は、マップ登録部101によって複数の圃場マップMP2を登録することができる。作業等を行うにあたっては、複数の圃場マップMP2のうち、所定の圃場を示す圃場マップMP2を取得する。具体的には、走行支援装置100は、マップ取得部120を備えている。マップ取得部120は、走行支援装置100に設けられた電気・電子部品、走行支援装置100に組み込まれたプログラム等から構成されている。
【0030】
作業者(運転者)が表示部50に対して所定の操作を行うと、
図6に示すように、マップ取得部120は、表示部50にマップ選択画面M10を表示する。マップ選択画面M10には、マップ記憶部102に記憶された圃場、即ち、圃場の圃場識別情報の一覧表が表示される。運転者が表示部50に対して所定の操作を行うと、マップ選択画面M10に表示された複数の圃場識別情報の中から、例えば、1つの圃場識別情報を選択することができる。圃場識別情報が選択されると、マップ取得部120は、マップ記憶部102を参照し、選択された圃場識別情報に対応する圃場マップMP2、即ち、所定の圃場マップMP2を取得する。
【0031】
さて、マップ取得部120が取得した圃場マップMP2、即ち、所定の圃場に対して、走行及び作業に関する設定を行うことが可能である。
走行支援装置100は、第1エリア設定部141と、第2エリア設定部142と、第3エリア設定部143とを備えている。第1エリア設定部141、第2エリア設定部142及び第3エリア設定部143は、走行支援装置100に設けられた電気・電子部品、走行支援装置100に組み込まれたプログラム等から構成されている。
【0032】
第1エリア設定部141は、圃場マップMP2(所定の圃場)に、走行車両3の走行及び作業装置2の作業が行えない第1エリアA21を設定する。即ち、第1エリア設定部141は、圃場マップMP2(所定の圃場)において、走行及び作業を禁止する第1エリアA21を設定する。
第2エリア設定部142は、圃場マップMP2(所定の圃場)に、走行車両3の走行は可能で、作業装置2の作業が行えない第2エリアA22を設定する。即ち、第2エリア設定部142は、圃場マップMP2(所定の圃場)において、走行は許可する一方、作業を禁止する第2エリアA22を設定する。
【0033】
第3エリア設定部143は、圃場マップMP2(所定の圃場)に、走行車両3の走行及び作業装置2の作業が可能な第3エリアA23を設定する。即ち、第3エリア設定部143は、圃場マップMP2(所定の圃場)において、走行と作業との両方を許可する第3エリアA23を設定する。
以下、第1エリアA21、第2エリアA22及び第3エリアA23の設定について詳しく説明する。
【0034】
運転者が表示部50に対して所定の操作を行うと、
図7に示すように、走行支援装置100は、表示部50にエリア設定画面M21を表示する。エリア設定画面M21には、マップ取得部120が取得した圃場マップMP2を表示する圃場表示部(マップ表示部)130が表示される。圃場表示部130には、例えば、ポインタ165が表示される。ポインタ165は、圃場表示部130、即ち、圃場マップMP2を移動可能である。
【0035】
圃場マップMP2上にポインタ165が表示された状態で、エリア設定画面M21に表示された第1設定ボタン161が選択されると、走行支援装置100は、第1エリアA21を設定するモードに移行する。
図8Aに示すように、圃場マップMP2上にポインタ165が表示されている状態において、所定の操作が行われると、所定の操作が行われた時の圃場マップMP2上のポインタ165の位置を、第1エリア設定部141は、選択された位置(選択位置)Q1n(n:選択された数、Q1:第1エリアの設定用であることを示す)として保持する。例えば、
図8Aに示すように、圃場マップMP2に対して、4つの選択位置Q11、Q12、Q13、Q14が選択された場合、第1エリア設定部141は、4つの選択位置Q11、Q12、Q13、Q14を通る設定エリアA25を作成する。言い換えれば、第1エリア設定部141は、4つの選択位置Q11、Q12、Q13、Q14で囲まれる設定エリアA25を作成する。設定エリアA25が作成された状態で、エリア設定画面M21に表示された決定ボタン166が選択されると、第1エリア設定部141は、設定エリアA25を第1エリアA21に設定する。このように、圃場マップMP2上の任意の位置を、ポインタ165によって選択することにより、簡単に第1エリアA21を設定することができる。
【0036】
また、エリア設定画面M21に表示された第2設定ボタン162が選択されると、走行支援装置100は、第2エリアA22を設定するモードに移行する。
図8Bに示すように、圃場マップMP2上にポインタ165が表示されている状態において、所定の操作が行われると、所定の操作が行われた時の圃場マップMP2上のポインタ165の位置を、第2エリア設定部142は、選択された位置(選択位置)Q2n(n:選択された数、Q2:第2エリアの設定用であることを示す)として保持する。
【0037】
なお、第2エリアA22の設定時に、既に第1エリアA21が設定されている状態で、選択位置Q2nが第1エリアA21内の位置を示す場合、第2エリア設定部142は、選択位置Q2nを保持せず、エリア設定画面M21に、選択位置Q2nが選択できない旨のメッセージを表示する。また、第2エリアA22の設定時に、既に第3エリアA23が設定されている状態で、選択位置Q2nが第3エリアA23内の位置を示す場合も、第2エリア設定部142は、選択位置Q2nを保持せず、エリア設定画面M21に、選択位置Q2nが選択できない旨のメッセージを表示する。
【0038】
つまり、第2エリア設定部142は、圃場マップMP2において、第1エリアA21を除く部分を第2エリアA22の設定の対象とする。また、圃場マップMP2において、第3エリアA23を除く部分を第2エリアA22の設定の対象とする。
例えば、
図8Bに示すように、圃場マップMP2に対して、4つの選択位置Q21、Q22、Q23、Q24が選択された場合、第2エリア設定部142は、4つの選択位置Q21、Q22、Q23、Q24を通る設定エリアA26を作成する。言い換えれば、第2エリア設定部142は、4つの選択位置Q21、Q22、Q23、Q24で囲まれる設定エリアA26を作成する。設定エリアA26が作成された状態で、エリア設定画面M21に表示された決定ボタン166が選択されると、第2エリア設定部142は、設定エリアA26を第2エリアA22に設定する。このように、圃場マップMP2上の任意の位置を、ポインタ165によって選択することにより、簡単に第2エリアA22を設定することができる。
【0039】
なお、第2エリアA22の設定時に、既に第1エリアA21及び第3エリアA23の設定が完了している場合、第2エリア設定部142は、圃場マップMP2において、第1エリアA21及び第3エリアA23を除くエリアを、第2エリアA22に設定する。
また、エリア設定画面M21に表示された第3設定ボタン163が選択されると、走行支援装置100は、第3エリアA23を設定するモードに移行する。
図8Cに示すように、圃場マップMP2上にポインタ165が表示されている状態において、所定の操作が行われると、所定の操作が行われた時の圃場マップMP2上のポインタ165の位置を、第3エリア設定部143は、選択された位置(選択位置)Q3n(n:選択された数、Q3:第3エリアの設定用であることを示す)として保持する。なお、第3エリアA23の設定時に、第1エリアA21が設定されている状態で、選択位置Q3nが第1エリアA21内の位置を示す場合、第3エリア設定部143は、選択位置Q3nを保持せず、エリア設定画面M21に、選択位置Q3nが選択できない旨のメッセージを表示する。即ち、第3エリア設定部143は、圃場マップMP2の第1エリアA21を除く部分を第3エリアA23の設定の対象とする。また、第3エリアA23の設定時に、既に第2エリアA22が設定されている状態で、選択位置Q3nが第2エリアA22内の位置を示す場合も、第3エリア設定部143は、選択位置Q3nを保持せず、エリア設定画面M21に、選択位置Q3nが選択できない旨のメッセージを表示する。
【0040】
つまり、第3エリア設定部143は、圃場マップMP2において、第1エリアA21及び第2エリアA22を除く部分を第3エリアA23の設定の対象とする。
例えば、
図8Cに示すように、圃場マップMP2に対して、4つの選択位置Q31、Q32、Q33、Q34が選択された場合、第3エリア設定部143は、4つの選択位置Q31、Q32、Q33、Q34を通る設定エリアA27を作成する。言い換えれば、第3エリア設定部143は、4つの選択位置Q31、Q32、Q33、Q34で囲まれる設定エリアA27を作成する。設定エリアA27が作成された状態で、エリア設定画面M21に表示された決定ボタン166が選択されると、第3エリア設定部143は、設定エリアA27を第3エリアA23に設定する。このように、圃場マップMP2上の任意の位置を、ポインタ165によって選択することにより、簡単に第3エリアA23を設定することができる。
【0041】
なお、第3エリアA23の設定時に、既に第1エリアA21及び第2エリアA22の設定が完了している場合、第3エリア設定部143は、圃場マップMP2において、第1エリアA21及び第2エリアA22を除くエリアを、第3エリアA23に設定する。
以上のように、第1エリアA21、第2エリアA22及び第3エリアA23が設定された場合、第1エリアA21、第2エリアA22及び第3エリアA23を含む圃場マップMP2がルート設定用のマップとして一時的に走行支援装置100に記憶される。
【0042】
上述した第1実施形態では、第1エリアA21、第2エリアA22及び第3エリアA23の全ての設定を行う例を説明したが、圃場マップMP2(所定の圃場)に対して、第1エリアA21と第3エリアA23との2つにエリアを設定してもよいし、第2エリアA22と第3エリアA23との2つのエリアを設定してもよい。或いは、第1エリアA21及び第2エリアA22の設定が不要な場合は、第3エリアA23のみを設定してもよい。
【0043】
第1エリアA21及び第3エリアA23を設定した場合は、第1エリアA21及び第3エリアA23を含む圃場マップMP2がルート設定用のマップとして一時的に走行支援装置100に記憶される。また、第2エリアA22及び第3エリアA23を設定した場合は、第2エリアA22及び第3エリアA23を含む圃場マップMP2がルート設定用のマップとして一時的に走行支援装置100に記憶される。第3エリアA23のみが設定した場合は、第3エリアA23を含む圃場マップMP2がルート設定用のマップとして一時的に走行支援装置100に記憶される。
【0044】
上述した第1実施形態では、複数の選択位置Q1nによって囲まれる設定エリアA25を第1エリアA21に設定していたが、これに代えて、圃場マップMP2の輪郭H1(圃場の輪郭H1)と選択位置Q1nとを用いて、第1エリアA21を設定してもよい。
図9Aに示すように、ポインタ165によって選択位置Q1nが設定された場合、第1エリア設定部141は、選択位置Q1nと圃場マップMP2の輪郭H1とを結ぶ複数の第1領域線J1n(n:直線の数)を生成する。例えば、選択位置Q11が選択された場合、第1エリア設定部141は、選択位置Q11を通り且つ輪郭H1に直交する2つの第1領域線J11、J12を生成する。第1領域線J11と第1領域線J12とは直交する直線であって、第1エリア設定部141は、第1領域線J11、第1領域線J12及び輪郭H1に囲まれる設定エリアA25を作成する。設定エリアA25が作成された状態で、エリア設定画面M21に表示された決定ボタン166が選択されると、第1エリア設定部141は、設定エリアA25を第1エリアA21に設定する。
【0045】
以上のように、第1エリアA21の変形例によれば、圃場マップMP2において、少なくとも最小の点数(1点)を設定することによって、簡単に第1エリアA21を設定することができる。
上述した第1実施形態では、複数の選択位置Q2nによって囲まれる設定エリアA26を第2エリアA22に設定していたが、第1エリアA21と同様に、圃場マップMP2の輪郭H1(圃場の輪郭H1)と選択位置Q2nとを用いて、第2エリアA22を設定してもよい。
【0046】
図9Bに示すように、ポインタ165によって選択位置Q2nが設定された場合、第2エリア設定部142は、選択位置Q2nと圃場マップMP2の輪郭H1とを結ぶ複数の第2領域線J2n(n:直線の数)を生成する。例えば、選択位置Q21が選択された場合、第2エリア設定部142は、選択位置Q21を通り且つ輪郭H1に直交する2つの第2領域線J21、J22を生成する。第2領域線J21と第2領域線J22とは直交する直線であって、第2エリア設定部142は、第2領域線J21、第2領域線J22及び輪郭H1に囲まれる設定エリアA26を作成する。設定エリアA26が作成された状態で、エリア設定画面M21に表示された決定ボタン166が選択されると、第2エリア設定部142は、設定エリアA26を第2エリアA22に設定する。
【0047】
以上のように、第2エリアA22の変形例によれば、圃場マップMP2において、少なくとも最小の点数(1点)を設定することによって、簡単に第2エリアA22を設定することができる。
さて、圃場マップMP2において、少なくとも第3エリアA23(
図10参照)に走行車両3の走行ルートL1を作成することが可能である。
【0048】
走行支援装置100は、
図1に示すように、ルート作成部105と、ルート記憶部106とを備えている。ルート作成部105は、圃場内の走行ルートL1を作成する。ルート作成部105は、走行支援装置100に設けられた電気・電子部品、走行支援装置100に組み込まれたプログラム等から構成されている。ルート記憶部106は、ルート作成部105が作成した走行ルートL1を記憶する。ルート記憶部106は、不揮発性のメモリ等から構成されている。
【0049】
まず、ルート作成部105による圃場内の走行ルートL1の作成について説明する。
図10に示すように、ルート作成部105は、走行支援装置100に一時的に保存されていたルート設定用のマップを読み出し、読み出された圃場マップMP2の第3エリアA23に走行車両3が旋回する旋回エリアA24を設定する。例えば、第3エリアA23において、当該第3エリアA23の輪郭H10と、当該輪郭H10から所定距離L33進んだ位置との間に、旋回エリアA24を設定する。また、ルート作成部105は、読み出された圃場マップMP2に第2エリアA22が含まれる場合は、第2エリアA22も旋回エリアA24として設定する。なお、ルート作成部105は、旋回エリアA24を設定するに際して、第3エリアA23の両側、即ち、旋回エリアA24が互いに対向するように、当該旋回エリアA24を設定する。
【0050】
ルート作成部105は、直進作成部105Aと、旋回作成部105Bとを含んでいる。直進作成部105Aは、第3エリアA23において旋回エリアA24を除く部分A231に、走行車両3が直進する直進部(直進ルート)L1aを作成する。旋回エリアA24を除く部分A231には、縦方向又は横方向に並んだ複数の直進部L1aが作成される。
旋回作成部105Bは、第3エリアA23の旋回エリアA24に、走行車両3が旋回する旋回部(旋回ルート)L1bを作成する。
図10の矢印G1に示すように、例えば、旋回作成部105Bは、隣接する直進部L1aの端部を結ぶことによって、第3エリアA23の旋回エリアA24に旋回部L1bを作成する。
図10の矢印G2に示すように、第3エリアA23の旋回エリアA24のみでは、隣接する直進部L1aの端部同士を繋ぐことができない場合、旋回作成部105Bは、第3エリアA23の旋回エリアA24と、第2エリアA22の旋回エリアA24との両方に跨るように、旋回部L1bを作成する。即ち、旋回作成部105Bは、第2エリアA22及び/又は第3エリアA23に旋回部L1bを作成する。以上のように、ルート作成部105によって作成された走行ルートL1(直進部L1a、旋回部L1b)は、ルート記憶部106に記憶される。また、走行ルートL1は、圃場マップMP2と共に表示部50に表示される。
【0051】
次に、ルート作成部105は、上述した圃場内の走行ルートL1以外に、圃場間の道路を走行する道路走行ルートL2を作成することが可能である。ルート作成部105による道路走行ルートL2の作成について説明する。例えば、トラクタ1を自動運転させて一方の圃場から他方の圃場に移動させる場合がある。
図11Aは、トラクタ1が自動運転して圃場FAから圃場FBに移動する様子を示した図である。
図11Aに示すように、自動運転によってトラクタ1を圃場FAから圃場FBに移動させる場合、ルート作成部105は、圃場FAから圃場FBまでの道路走行ルートL2(道路走行予定ルート)を作成する。具体的には、運転者等が表示部50に対して所定の操作を行うと、制御装置60は、道路走行ルートL2を設定する設定画面M3を表示する。設定画面M3のフィールド部FLには、複数の圃場マップMP2(圃場FA、圃場FBなどの各圃場マップMP2を含む)が配置されたマップMP1が表示される。
【0052】
ルート作成部105は、運転者等が表示部50を操作することによって、フィールド部FLに表示されたマップMP1上に、圃場FAから圃場FBまでの道路走行ルートL2を作成する。マップMP1には、圃場FA~圃場FI及び圃場以外領域に対して、位置情報(緯度、経度)が対応づけられている。ルート記憶部106は、道路走行ルートL2を記憶する。また、マップ登録部101は、ルート作成部105により道路走行ルートL2が作成されると、当該道路走行ルートL2を含む領域を道路RDとして設定し、道路走行ルートL2の位置情報と道路RDとを含む道路マップMP3を、マップ記憶部102に記憶させる。道路RDは、自動車道路、林道、農道等である。マップ記憶部102は、圃場マップMP2、圃場の輪郭を示すデータ(所定の圃場を表すためのデータ)以外に、道路マップMP3(道路走行ルートL2、道路RDを含む)を記憶する。また、マップ登録部101は、圃場マップMP2と道路マップMP3とを一纏めにした集合マップSMPをマップ記憶部102に記憶させる。このように、道路走行ルートL2を作成した場合は、自動走行制御部61は、道路走行ルートL2に沿ってトラクタ1が走行するように、ライン型自動運転の制御を行う。
【0053】
なお、上述した第1実施形態では、運転者等が表示部50を操作することによって、道路走行ルートL2を設定していたが、運転者等が設定画面M3において、圃場FAを出発場所として選択し、圃場FBを到着場所として選択することにより、制御装置60が自動的に道路走行ルートL2を設定するようにしてもよい。
図1に示すように、トラクタ1は、通信装置55(第1通信装置)を備えている。通信装置55は、運搬車80の通信装置83に直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信モジュールであって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置55は、例えば、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行うことができる。
【0054】
通信装置55は、制御装置60又は走行支援装置100による制御の下、トラクタ1の情報を運搬車80に送信する。トラクタ1の情報としては、例えば、測位装置40が測位したトラクタ1の位置、ルート作成部105によって作成された走行ルート(圃場内の走行ルートL1と、道路走行ルートL2とを含む)、マップ記憶部102(第1記憶装置)が記憶する集合マップSMP(第1地図)、トラクタ1の過去の軌跡情報などの情報がある。
【0055】
また、トラクタ1の制御装置60又は運搬車80の制御装置811は、農業機械の第1車格情報(トラクタ1及び作業装置2の全高、全長、全幅、及び全重量)と運搬車80の第2車格情報(運搬車80の全高、全長、全幅、及び全重量)とに基づいて、更新車格情報を取得するとしてもよい。例えば、トラクタ1の通信装置55は、制御装置60又は走行支援装置100による制御の下、農業機械の第1車格情報を、トラクタ1から運搬車80に送信してもよい。運搬車80の制御装置811は、トラクタ1から送信された農業機械の第1車格情報と、記憶装置813に予め記憶された運搬車80の第2車格情報とに基づいて、更新車格情報を算出する。更新車格情報は、農業機械が運搬車80に積み込まれた状態の両方の車両の情報を合算したものを含む車格情報であり、全高、全長、全幅、及び全重量の情報の少なくとも1つを含む。全高は、運搬車80の荷台80aの高さと、農業機械の高さ(作業装置2を有する場合は、トラクタ1又は作業装置2の何れか高い方の高さであり、作業装置2を有さない場合は、トラクタ1の高さ)とを合算した高さ、または運搬車80の全高のうち、いずれか高い方である。全長は、荷台80aの面積内に農業機械が収まっているので、運搬車80の前後方向の全長と一致する長さである。全幅は、荷台80aの面積内に農業機械が収まっているので、運搬車80の全幅と一致する長さである。全重量は、運搬車80の重量と、農業機械の重量(作業装置2を有する場合は、トラクタ1及び作業装置2の合計重量であり、作業装置2を有さない場合は、トラクタ1の重量)とを合算した重さである。なお、通信装置83が運搬車80の第2車格情報をトラクタ1に送信し、制御装置60が農業機械の第1車格情報と運搬車80の第2車格情報とに基づいて、更新車格情報を算出し、この更新車格情報をトラクタ1から運搬車80に送信するとしてもよい。
【0056】
次に、運搬車80について説明する。運搬車80は、トラクタ1を運搬可能な車両(例えば、トラック)である。運搬車80は、荷台の端部に設置された歩み板を通過させてトラクタ1を荷台に積込み積み下ろしが可能である。
図11Bに示すように、トラクタ1は、運搬車80に積み込まれて所定の圃場等に移動する。以下の説明では、トラクタ1が歩み板80bを通過して運搬車80の荷台80aに積み込まれて、運搬車80によって運搬されているとして説明を進める。
【0057】
図1に示すように、運搬車80は、カーナビゲーション装置81と、スイッチ82(指示部)と、通信装置83(第2通信装置)とを備えている。
カーナビゲーション装置81は、運搬車80の走行時などに現在位置及び目的地への経路案内を行う装置である。カーナビゲーション装置81は、制御装置811と、測位装置812と、記憶装置813(第2記憶装置)と、表示装置814と、を備えている。
【0058】
制御装置811は、カーナビゲーションの表示制御を行う装置であり、CPU、電気電子回路等から構成されている。測位装置812は、既知の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置812は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、運搬車80の位置(例えば、緯度、経度)を検出する。記憶装置813は、不揮発性のメモリ等から構成されており、地図提供会社等から得られたマップLMP(後述する
図13、
図15参照)などを予め記憶している。また、記憶装置813は、道路、建物などを示すパターンマッチング用の基準パターン画像を予め記憶している。表示装置814は、液晶表示装置などであり、記憶装置813から取得したマップLMP上に運搬車80の現在位置(測位装置812によって検出された位置)を表示する。
【0059】
スイッチ82は、トラクタ1の情報の送信を要求するために運転者により操作される機械的スイッチである。スイッチ82は、運搬車80の運転席内において、運転者が操作可能な位置に設けられている。
通信装置83は、トラクタ1の通信装置55からの情報を受信可能な装置である。通信装置83は、トラクタ1の通信装置55に直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信モジュールであって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行う。
【0060】
また、カーナビゲーション装置81、表示装置814、記憶装置813、スイッチ82及び通信装置83のうちの一部または全部が、例えば、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯型の端末(携帯端末)によって構成されるものでもよい。例えば、携帯端末が、カーナビゲーション装置81を構成するとしてもよいし、携帯端末が、カーナビゲーション装置81、表示装置814、記憶装置813、スイッチ82及び通信装置83を構成するとしてもよい。また、制御装置811及び測位装置812は運搬車80の車載構成とし、表示装置814のみ外部端末(モニター)とする構成としてもよい。
【0061】
図12は、農業支援システムの運搬車によるナビゲーション処理を示すフローチャートである。ここでは、運搬車80には、農業機械(トラクタ1)が積み込まれており、トラクタ1の通信装置55が通信可能な状態であり、運搬車80のカーナビゲーション装置81を用いて、運搬車80を目的地への経路案内を行う場合について説明する。
カーナビゲーション装置81の制御装置811は、運転者による開始操作(例えば、運搬車80のエンジンの起動操作、運搬車80の電源オンの操作、又は、カーナビゲーション開始操作など)があると、カーナビゲーションを開始する(S1)。具体的には、制御装置811は、運搬車80の現在位置を含むマップLMP(
図13、
図15参照)を記憶装置813から取得し、取得したマップLMPと、当該マップLMPにおける運搬車80の現在位置とを、表示装置814に表示させる。
【0062】
ここでは、運搬車80の表示装置814には、
図13に示すナビゲーション画面M8が表示されているとする。
図13に示すナビゲーション画面M8には、運搬車80の現在位置を示す十字ポインタCPが、例えば、各位置P21~P24を角部とする矩形状の空白領域BS中に表示されている。カーナビゲーション装置81が地図提供会社等から取得して記憶装置813に記憶されたマップLMPには、圃場、圃場に至る農道などの地図情報を有さない領域が含まれていることがあり、
図13に示すように空白領域BSが表示されることがある。つまり、ナビゲーション画面M8において、運搬車80の周囲の地図情報が表示されないことがある。空白領域BSは、道路、建物などの輪郭を含まない領域であって、予め定められた規定値(例えば、1ヘクタール)以上の大きさの領域である。空白領域BSは、例えば矩形状に限定されず、如何なる形状であってもよい。
【0063】
なお、運搬車80の現在位置が空白領域BSの場合だけでなく、運搬車80の目的地周辺が空白領域BSであったり、又は、運搬車80の現在位置から目的地までの経路の間に空白領域BSが含まれたりしている場合に、後述するように、制御装置811は、トラクタ1から送信された集合マップSMP(第1地図)を、記憶装置813に記憶されたマップLMP(第2地図)上に重ね合わせた合成マップGMP(合成地図)を、表示装置814に表示させるとしてもよい。
【0064】
制御装置811は、運搬車80の現在位置を示す十字ポインタCPが、地図情報を有さない空白領域BSに位置しているか否かを判定する(S2)。具体的には、制御装置811は、表示装置814に表示されたマップLMPにおいて、十字ポインタCPが位置する矩形状の領域OAの画像中に、記憶装置813に記憶されているパターンマッチング用の基準パターン画像(道路、建物などを示す画像)が含まれているか否かを、既知のパターンマッチング処理を実行することにより判定する。制御装置811は、基準パターン画像が含まれていない場合に、十字ポインタCPが位置する領域OAが候補領域であると判定し、基準パターン画像が含まれている場合に、十字ポインタCPが位置する領域OAが候補領域でないと判定する。なお、制御装置811は、パターンマッチングだけでなく、地図情報の道路や建物など、運搬車の走行に必要なレイヤーの情報が格納されているか否かで判定するとしてもよい。続いて、制御装置811は、候補領域であると判定した場合、候補領域の面積(つまり、領域OAの面積)が予め定められた規定値(例えば、1ヘクタール)以上の大きさの領域であるか否かを判定する。制御装置811は、マップLMPが有する緯度及び経度を示す位置情報と、十字ポインタCPの位置情報と、候補領域の輪郭を示す情報とを用いて、候補領域の面積を算出する。制御装置811は、算出した候補領域の面積が予め定められた規定値以上であれば、空白領域BSであると判定し(S2でYes)、未満であれば、空白領域BSでないと判定する(S2でNo)。なお、制御装置811は、領域OAの面積が予め定められた規定値(例えば、1ヘクタール)以上の大きさの領域と想定される長さ、例えば、候補領域の一辺長さ、対角線長さなどが、予め定められた規定値(例えば、100m)以上の長さであるか否かを判定するとしてもよい。
【0065】
また、S2でNoの場合、制御装置811は、現在位置(または選択地点)が空白領域BSでないが、トラクタ1から情報を受信するか否かのメッセージ表示を表示装置814に表示させ(S2A)、「トラクタ1から情報を受信する」に対応する指示ボタン(図示しない)の選択操作があると(S2AでYes)、S4に進む。この場合には、空白領域BSでなくても、トラクタ1側の情報を優先して使いたいというケースにも対応することができる。
【0066】
なお、制御装置811は、空白領域BSが輪郭を有さない場合、
図14に示すように、十字ポインタCPを中心とし、且つ、予め定められた規定値(例えば、1ヘクタール)の面積である円形の判定領域JCを用いて、空白領域BSであるか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置811は、マップLMPが有する緯度及び経度を示す位置情報と、十字ポインタCPの位置情報と、円形の判定領域JCの予め定められた半径R(予め定められた規定値の面積の円としたときの半径)とを用いて、マップLMP上に判定領域JCを設定することができる。そして、制御装置811は、表示装置814に表示されたマップLMPにおいて、十字ポインタCPを中心とした判定領域JCの画像中に、記憶装置813に記憶されているパターンマッチング用の基準パターン画像(道路、建物などを示す画像)が含まれているか否かを、既知のパターンマッチング処理を実行することにより判定する。制御装置811は、判定領域JC内に基準パターン画像が含まれていない場合に、判定領域JCが空白領域BSであると判定し(S2でYes)、判定領域JC内に基準パターン画像が含まれている場合に、判定領域JCが空白領域BSでないと判定する(S2でNo)。このように判定領域JCを用いた場合には、空白領域BSが輪郭を有さない場合でも、空白領域BSであるか否かを判定することができる。なお、判定領域JCは、矩形状であってもよい。
【0067】
制御装置811は、運搬車80の現在位置を示す十字ポインタCPが、地図情報を有さない空白領域BSに位置している場合(S2でYes)、
図13又は
図14に示すナビゲーション画面M8に、トラクタ1から情報を受信するための操作を促すメッセージMGを表示させる(S3)。メッセージMGは、例えば、「空白領域あり。スイッチ操作してトラクタから情報を受信して下さい。」というメッセージである。
【0068】
そこで、運転者は、運搬車80の表示装置814に表示されるマップLMPでは不十分であると判断し、「トラクタ1から情報を受信する」に対応する指示ボタン(図示しない)の選択操作をした場合(S2AでYes)、又は、表示装置814のメッセージMGを見た場合(S3)、スイッチ82を操作する。制御装置811は、S2でYesとなった場合には、S3での表示装置814のメッセージMGの表示開始時点、又は、S2AでYesの場合には、「トラクタ1から情報を受信する」に対応する指示ボタン(図示しない)の選択操作をした時点から所定時間(例えば、30秒)以内にスイッチ82の操作の有無を判定する(S4)。制御装置811は、スイッチ82の操作があると(S4でYes)、トラクタ1の情報の送信を要求する要求信号を、通信装置83によりトラクタ1に送信する。この要求信号には、送信要求信号と、空白領域BSの位置情報とが含まれる。なお、運転者が運搬車80の表示装置814に表示されるマップLMPでは不十分と判断し、「トラクタ1から情報を受信する」に対応する指示操作をした場合(ステップS2AでYes)、ステップS5に進んで、制御装置811がトラクタ1の情報を送信する要求信号を通信装置83よりトラクタ1に送信するフローであってもよい。
【0069】
一方、トラクタ1の通信装置55は、運搬車80からの要求信号を受信すると、制御装置60又は走行支援装置100による制御の下、トラクタ1の情報を送信する。トラクタ1の情報としては、例えば、測位装置40が測位したトラクタ1の現在位置、ルート記憶部106に記憶された走行ルートL1及び道路走行ルートL2のうちで空白領域BSに重なる走行ルート、マップ記憶部102が記憶する集合マップSMP(第1地図)のうちで空白領域BSに重なる集合マップなどの情報がある。
【0070】
運搬車80の通信装置83は、トラクタ1の情報を受信する(S5)。制御装置811は、トラクタ1(農業機械)から集合マップSMP(第1地図)が送信された場合、記憶装置813に記憶されたマップLMP(第2地図)上に、集合マップSMP(第1地図)を表示する(S6)。例えば、制御装置811は、マップLMPにおける集合マップSMPに対応する位置に当該集合マップSMPを重ね合わせることにより作成される合成マップGMP(合成地図)を、表示装置814に表示する。
【0071】
具体的には、
図11Aに示すように、集合マップSMPは、圃場マップMP2及び道路マップMP3を一纏めにした矩形状のマップであり、4隅の位置が位置P11~P14となっている。位置P11~P14はそれぞれ、緯度及び経度により特定された位置データである。制御装置811は、記憶装置813に記憶されたマップLMPには緯度及び経度を示す位置情報が含まれているので、マップLMPにおいて、
図11Aに示す集合マップSMPの各位置P11~P14に一致する位置をそれぞれ特定する。
図13に示すように、ナビゲーション画面M8に表示されているマップLMPの各位置P21~P24はそれぞれ、
図11Aに示す集合マップSMPの各位置P11~P14に一致する。
【0072】
図15に示すように、制御装置811は、記憶装置813に記憶されたマップLMP(第2地図)における各位置P21~P24と、
図11Aに示す集合マップSMPの各位置P11~P14とを一致させた状態で、マップLMP上に集合マップSMP(第1地図)を重ね合わせて合成マップGMPを作成する。なお、トラクタ1の走行支援装置100が運搬車80の通信装置83からLMP(第2地図)を受信して合成マップGMPを作成し、運搬車80の通信装置83に送信するとしてもよい。そして、制御装置811は、合成マップGMPを記憶装置813に記憶し、
図16に示すように、合成マップGMPを表示装置814に表示する。このように、運搬車80の表示装置814には、運搬車80が有さない地図情報、言い換えれば、トラクタ1が有する地図情報を表示することができる。
【0073】
また、制御装置811は、表示装置814に表示された第1表示ボタンが操作されると、表示装置814に表示された
図16に示す合成マップGMPにおいて、圃場内の走行ルートL1(例えば、圃場FAについて
図10に示す走行ルートL1)を表示させる。また、制御装置811は、表示装置814に表示された第2表示ボタンが操作されると、表示装置814に表示された
図16に示す合成マップGMPにおいて、道路走行ルートL2(例えば、
図11Aに示す道路走行ルートL2)を表示させる。なお、運搬車80の制御装置811は、トラクタ1から受信した道路情報と、運搬車80が元々持っている道路情報とを組み合わせて、運搬車80で走行ルート(走行ルートL1、道路走行ルートL2)を生成する構成としてもよい。
【0074】
また、運搬車80の通信装置83は、トラクタ1の通信装置55から送信された情報(例えば、トラクタ1の過去の軌跡情報を受信しているとする。ここでは、トラクタ1の過去の軌跡情報は、
図17に示す圃場FA~FE、及び、圃場FIについて走行ルートL1に沿って移動したことを示す軌跡情報であるとする。運搬車80の制御装置811は、表示装置814に表示された第3表示ボタンが操作されると、トラクタ1の過去の軌跡情報を表示装置814に表示させる。
図17に示すように、表示装置814に表示された合成マップGMPにおいて、トラクタ1が走行ルートL1にて走行済みの圃場(
図17では、走行済みの圃場FA~FE、及び、圃場FIにハッチングが付されている)が表示される。運搬車80の運転者は、圃場FA~FE、及び、圃場FIについては、作業済みであると知ることができ、未作業の圃場FF~FHを知ることができる。未作業の圃場(例えば、圃場FF~FH)に運搬車80を移動させて、トラクタ1を下ろすことができ、農業支援を行うことができる。
【0075】
また、制御装置811は、表示装置814に表示された第4表示ボタンが操作されると、表示装置814に表示された
図16に示す合成マップGMPにおいて、トラクタ1の現在位置情報を、運搬車80の現在位置情報に代えて、或いは、運搬車80の現在位置情報と共に表示させるとしてもよい。なお、運搬車80の制御装置811は、第4表示ボタン操作以外に、「運搬車80の測位装置812の位置情報の精度又は通信感度が所定値よりも低い場合」をトリガーとして、トラクタ1の測位装置40で測位した位置情報(=トラクタ1の現在位置)を表示する構成としてもよい。
【0076】
また、制御装置811は、
図13に示すマップLMP(第2地図)と、
図11Aに示す集合マップSMP(第1地図)とを、横並び又は縦並びに表示可能な大きさで表示装置814に並列表示する構成、又は、LMP(第2地図)とSMP(第1地図)のうち運転者によって選択されたいずれか一方を表示する構成とし、運転者による更新指示があった場合に合成マップGMPを作成し、運転者による更新しない指示があった場合に合成マップGMPを作成しないとしてもよい。この場合は、運転者の確認を受けて、合成マップGMPの作成及び表示をすることができ、ニーズに応じた表示を適切に行うことができる。
【0077】
また、制御装置811は、
図11Aに示す集合マップSMP(第1地図)の画像と、
図13に示すマップLMP(第2地図)における集合マップSMPの位置と一致するエリアの画像とのマッチング処理を実行することにより、両画像の一致度を判定し、両画像の一致度が予め定められた判定値(例えば、80%)未満である場合、マップLMP上に集合マップSMPを重ね合わせて合成マップGMPを作成し、前記判定値(例えば、80%)以上である場合、合成マップGMPを作成しないとしてもよい。これによれば、両画像の内容が異なる場合に、合成マップGMPを生成して、表示装置814に表示することができる。一方、両画像の内容が同一又はほぼ同一である場合、合成マップGMPを作成せず、マップLMPをそのまま表示することができる。
【0078】
図12のS2において、制御装置811は、運搬車80の現在位置を示す十字ポインタCPが空白領域BSに位置していない場合(S2でNo)、例えば、道路、建物、圃場、駐車場などの地図情報を有する領域に位置している場合、S2Aに進み、「トラクタ1から情報を受信しない」に対応する指示ボタン(図示しない)の選択操作があった場合、または「トラクタ1からの情報を受信する」に対応する指示操作がない場合(S2AでNo)、本処理を終了する。
【0079】
また、S7において、制御装置811は、S2でYesとなった場合には、S3での表示装置814のメッセージMGの表示開始時点、又は、S2AでYesの場合には、「トラクタ1から情報を受信する」に対応する指示ボタン(図示しない)の選択操作をした時点から所定時間(例えば、30秒)が経過したか否かを判定する(S7)。制御装置811は、所定時間(例えば、30秒)が経過していない場合(S7でNo)、S4の処理に戻る。一方、制御装置811は、所定時間(例えば、30秒)が経過している場合(S7でYes)、本処理を終了させる。
【0080】
以上のように、農業支援システムは、トラクタ1(農業機械)に設けられ且つ情報を送信可能な第1通信装置(通信装置55)と、トラクタ1を運搬可能な運搬車80に設けられ且つ通信装置55が送信した情報を取得可能な第2通信装置(通信装置83)と、を備えている。これによれば、トラクタ1(農業機械)を運搬可能な運搬車80が当該農業機械からの情報を農業支援に活用することができる。詳述すると、トラクタ1(農業機械)を運搬可能な運搬車80が当該農業機械からの情報を走行支援に役立てることができる。例えば、運搬車80は、走行する上で、必要な情報が足りないエリアでも情報を得ることができる。カーナビゲーション装置81が表示するマップに記載されていないような圃場内の農道、私道などを走行することができる。また、自己位置推定するための目印になるような構造物が無いエリアでも、運搬車80側において自己位置推定ができる。これにより、一般道、市街地を走行することを主とする運搬車(輸送車)でも、農道を走行し、農業機械を輸送できる。
【0081】
トラクタ1(農業機械)に設けられ且つトラクタ1の位置を測位する測位装置40を備え、第1通信装置(通信装置55)は、前記情報として測位装置40が測位した前記位置を第2通信装置(通信装置83)へ送信し、通信装置83は、通信装置55から送信された前記位置を受信する。これによれば、トラクタ1(農業機械)を運搬する運搬車80が、トラクタ1の位置を取得することができる。このため、トラクタ1(農業機械)を運搬可能な運搬車80は、圃場における走行支援を受けることができる。
【0082】
トラクタ1(農業機械)に設けられ且つトラクタ1の走行ルートを作成するルート作成部105を備え、第1通信装置(通信装置55)は、前記情報としてルート作成部105によって作成された前記走行ルートを第2通信装置(通信装置83)へ送信し、通信装置83は、通信装置55から送信された前記走行ルートを受信する。これによれば、トラクタ1(農業機械)を運搬可能な運搬車80が、トラクタ1のルート作成部105によって作成された走行ルートを取得することができる。このため、トラクタ1(農業機械)を運搬する運搬車80の運転者は、トラクタ1による圃場の走行ルートを知ることができ、圃場の走行ルートの始点近くの位置にトラクタ1を下すことができる。このように、トラクタ1(農業機械)を運搬する運搬車80は、圃場の走行ルートを用いた走行支援を受けることができる。
【0083】
トラクタ1のルート作成部105は、走行ルートL1及び道路走行ルートL2を作成する。言い換えれば、ルート作成部105は、運搬車80に対して設定されていない走行ルートを作成する。これによれば、トラクタ1(農業機械)を運搬する運搬車80は、運搬車80に対して設定されていない走行ルート(つまり、トラクタ1の走行ルートL1及び道路走行ルートL2)を用いた、圃場における走行支援を受けることができる。
【0084】
トラクタ1(農業機械)に設けられ且つ第1地図(集合マップSMP)を記憶するマップ記憶部102(第1記憶装置)を備え、通信装置55は、前記情報としてマップ記憶部102に記憶している第1地図(集合マップSMP)を前記情報として通信装置83へ送信し、通信装置83は、通信装置55から送信された第1地図(集合マップSMP)を受信する。これによれば、トラクタ1(農業機械)を運搬する運搬車80は、トラクタ1から送信された第1地図(集合マップSMP)を用いた、圃場における走行支援を受けることができる。
【0085】
運搬車80に設けられ且つ第2地図(マップLMP)を記憶する第2記憶装置(記憶装置813)と、運搬車80に設けられ且つ第2地図(マップLMP)を表示可能な表示装置814と、を備え、通信装置83は、通信装置55から送信された第1地図(集合マップSMP)を表示装置814に出力し、表示装置814は、第2地図(マップLMP)上に第1地図(集合マップSMP)を表示する。これによれば、トラクタ1(農業機械)を運搬する運搬車80は、第2地図(マップLMP)上にトラクタ1からの第1地図(集合マップSMP)を表示させた合成マップGMPを用いた、圃場における走行支援を受けることができる。
【0086】
マップ記憶部102(第1記憶装置)は、第2地図(マップLMP)に含まれていない道路情報を含む第1地図(集合マップSMPの道路マップMP3)を記憶している。これによれば、第2地図(マップLMP)に含まれていない道路情報を含む第1地図(集合マップSMPの道路マップMP3)を用いた、圃場における走行支援を受けることができる。
【0087】
通信装置55(第1通信装置)から第2通信装置(通信装置83)へ情報の送信をトラクタ1に指示するスイッチ82(指示部)を備えている。これによれば、運搬車80は、運転者がスイッチ82に指示するタイミングにて、トラクタ1からの情報を取得することができる。
指示部は、運搬車80に設けたスイッチ82である。これによれば、運搬車80は、当該運搬車80に搭乗した作業者(運転者)がスイッチ操作するタイミングにて、トラクタ1からの情報を取得することができる。
【0088】
なお、上記の実施の形態では、運搬車80のスイッチ82の操作は、表示装置814のメッセージMGの表示開始から所定時間(例えば、30秒)以内に限って有効としているが、これに限定されない。スイッチ82の操作は、常時有効としてもよい。スイッチ82の操作は、運搬車80が停車状態にある場合に行うことが好ましい。運搬車80の表示装置814に合成マップGMPが表示された状態で、運搬車80の走行を開始させることにより、適切に走行案内することができる。
【0089】
また、
図12に示す処理において、S2を設けないとしてもよい。この場合には、制御装置811は、S3において、「トラクタの情報が必要であれば、スイッチ操作して下さい。」というメッセージMGを表示させる。そして、制御装置811は、スイッチ82の操作があると(S4でYes)、トラクタ1の情報の送信を要求する要求信号を、通信装置83によりトラクタ1に送信する。この要求信号には、送信要求信号と、空白領域BSの位置情報に替えて、運搬車80の現在位置を示す位置情報とが含まれる。そして、トラクタ1の通信装置55は、運搬車80からの要求信号を受信すると、制御装置60又は走行支援装置100による制御の下、トラクタ1の情報を送信する。トラクタ1の情報としては、例えば、測位装置40が測位したトラクタ1の現在位置、ルート記憶部106に記憶された走行ルートL1及び道路走行ルートL2のうちで運搬車80の現在位置を含む走行ルート、マップ記憶部102が記憶する集合マップSMP(第1地図)のうちで運搬車80の現在位置を含む集合マップなどの情報がある。
【0090】
なお、運搬車80の現在位置を示す十字ポインタCPが、地図情報を有さない空白領域BSに位置していない場合において、運搬車80の運転者が表示装置814のナビゲーション画面の任意の位置を指定(タッチ操作による指定)することにより、指定された位置を含む領域OAが空白領域BSであるか否かを判定する(S2)としてもよい。
また、上記の実施の形態では、カーナビゲーション装置81の制御装置811は、マップLMP(第2地図)上に集合マップSMP(第1地図)を重ね合わせた合成マップGMPを、表示装置814に表示しているが、これに限定されない。例えば、カーナビゲーション装置81は、トラクタ1からの情報、つまり、トラクタ1の表示部50に表示されているマップMP1(集合マップSMPが配置されたマップMP1)を受信してそのまま表示するようにしてもよい。例えば、制御装置811は、表示装置814に表示された第5表示ボタンが操作されると、トラクタ1の表示部50の表示を表示装置814に表示させる。つまり、運搬車80は、トラクタ1を積み込んでおり、運搬車80において、トラクタ1の位置情報機能(カーナビゲーション機能)をそのまま利用してもよい。
【0091】
上述した第1実施形態では、カーナビゲーション装置81の測位装置812によって検出された位置を表示装置814に表示していたが、トラクタ1の測位装置40が検出した位置を、運搬車80の現在位置として、表示装置814に表示してもよい。この場合、測位装置40が検出した位置は、トラクタ1の通信装置55によって運搬車80の通信装置83に送信される。
[第2実施形態]
図18は、第2実施形態における農業支援システムのブロック図を示す図である。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0092】
図18に示すように、トラクタ1は、センシング装置90を備えている。センシング装置90は、光学式センサ、音波式センサ等である。センシング装置90が光学式センサである場合、当該センシング装置90は、カメラ等の撮像装置、ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging)等である。撮像装置は、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサを搭載したCCDカメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを搭載したCMOSカメラである。ライダー(レーザセンサ)は、1秒間に何百万回ものパルス状の赤外線等を照射し、反射した時間を測定することで、赤外線を反射した対象物までの距離を検出する。センシング装置90が音波式センサである場合、当該センシング装置90はソナーである。ソナーは、音波を照射して、音波を反射した対象物までの距離を検出する。第2実施形態では、センシング装置90は、撮像装置、ライダー(レーザセンサ)、ソナーのいずれであってもよく、撮像装置、ライダー(レーザセンサ)、ソナーのそれぞれを適宜組み合わせて、トラクタ1に搭載してもよく、限定されない。
【0093】
また、センシング装置90は、トラクタ1(走行車両3)の前方、側方、後方の周囲をセンシングするように当該トラクタ1に取り付けられている。なお、センシング装置90によるセンシングの方向は限定されない。
運搬車80にトラクタ1が積み込まれた状態で、当該運搬車80とともにトラクタ1が移動する場合、トラクタ1のセンシング装置90で検出した検出した検出情報を、通信装置55を介して通信装置83に送信する。
図11Bに示すように、運搬車80にトラクタ1を積み込んだ状態では、センシング装置90は、運搬車80の周囲の状態を検出することができ、周囲の状態(検出情報)を運搬車80に送信することができる。例えば、センシング装置90は、運搬車80にトラクタ1が積み込まれた状態において、
図19A、
図19Bに示すように、周囲の状態(検出情報)として、撮像装置で撮像した撮像画像GH(例えば運搬車80の前方の画像)を、通信装置55を介して通信装置83に送信する。また、通信装置83に送信された前方の撮像画像GHは、表示装置814が表示した表示画面M4に表示する。
【0094】
図19Aに示す撮像画像GHは、運搬車80に積み込まれたトラクタ1のセンシング装置90によって撮像された、運搬車80の前方を示す撮像画像であり、例えば道路301、道路301の凹凸201、道路301に設置された構造物202(例えば電柱)が含まれ、運搬車80のルーフ部分が映っている。また、
図19Bに示す撮像画像GHには、例えば道路302、道路302の構造物203(例えばガードレール)、道路302の凹凸204が含まれ、運搬車80のルーフ部分が映っている。周囲の状態には道路状態が含まれ、道路状態とは、道路301、302の凹凸201、204、道路301、302の舗装の有無、道路301、302に設置された構造物202、203の幅、高さ、道路301、302の幅などが含まれる。なお、構造物202、203には、例えば、電柱、信号、道路標識、側溝、看板、ゲート、街頭、歩道橋、橋脚、ポール、ガードレール、フェンス、歩道等が含まれる。
【0095】
なお、運搬車80にトラクタ1が積み込まれた状態において、センシング装置90が検出した検出情報(例えば、
図19Cに示す後方の撮像画像GH)を、通信装置55を介して通信装置83に送信し、表示装置814の表示画面M4に表示してもよい。例えば、
図19E、
図19Fに示すように、センシング装置90が検出した所定範囲A1は、荷台80aの一部(トラクタ1の後部から後方の荷台80aの一部)、及び荷台80aの後方を含んでいる。即ち、センシング装置90は、少なくとも、荷台80aの後端から後方であって、水平方向では、荷台80aから後方、垂直方向では、荷台80aの下端から地面までの範囲を検出し、
図19Cに示す後方の撮像画像GHなどの検出情報を表示装置814に表示している。これにより、運搬車80の荷台80aの後方を荷台80aに積み込まれたトラクタ1(運搬物)に装着されたセンシング装置90によって検出することができる。
【0096】
また、運搬車80にトラクタ1が積み込まれた状態において、センシング装置90が検出した検出情報(例えば、
図19Dに示す側方の撮像画像GH)を、通信装置55を介して通信装置83に送信し、表示装置814の表示画面M4に表示してもよい。例えば、
図19G、
図19Hに示すように、センシング装置90が検出した所定範囲A1は、荷台80aの一部(トラクタ1の側方から左又は右の荷台80aの一部)、及び荷台80aの左側の外方、右側の外方を含んでいる。即ち、センシング装置90は、少なくとも、水平方向では、荷台80aから左側の外方、垂直方向では、荷台80aの左側から地面までの範囲、又は、水平方向では、荷台80aから右側の外方、垂直方向では、荷台80aの右側から地面までの範囲を検出し、
図19Dに示す側方(左側方、右側方)の撮像画像GHなどの検出情報を表示装置814に表示している。これにより、運搬車80の荷台80aの側方を荷台80aに積み込まれたトラクタ1(移動可能な運搬物)に装着されたセンシング装置90によって検出することができる。言い換えれば、運搬車80の側方を、荷台80aの斜め情報からトラクタ1(移動可能な運搬物)に装着されたセンシング装置90によって検出することができる。
【0097】
以上のように、運搬車80に運搬される車両(例えばトラクタ1)などの運搬物であって、移動可能な運搬物に搭載されたセンシング装置90によって、運搬車80の周囲を検出し、運搬車80に通知することができる。
なお、撮像画像GHは、運搬車80の前方の画像、後方の画像及び側方の画像の少なくとも2つ以上を含むとしてもよい。
【0098】
運搬車80の運転席の周辺に設けた表示装置814(
図18参照)は、撮像画像GHを含む表示画面M4を表示する。これによれば、運搬車80にセンシング装置を設けていなくても、運搬車80の走行時に周囲の画像をトラクタ1の撮像装置によって取得することができる。なお、第2実施形態では、撮像画像GHを例に挙げて説明したが、トラクタ1に設けたライダー(レーザセンサ)で検出した検出情報、ソナーで検出した検出情報などを運搬車80に送信し、当該検出情報を運搬車80の表示装置814に表示してもよい。
【0099】
以上、第2実施形態の農業支援システムは、農業機械に設けられたセンシング装置90を備え、通信装置55は、情報としてセンシング装置90が検出した検出情報を通信装置83へ送信し、通信装置83は、通信装置55から送信された検出情報を受信する。これによれば、例えば、運搬車80によってトラクタ1を搬送中に、運搬車80の周囲の状態をトラクタ1側からの情報によって簡単に把握することができる。
【0100】
また、運搬車80に設けられ且つ、センシング装置90が検出した検出情報を表示する表示装置814を備えている。これによれば、運搬車80を運転している運転者が、運搬車80の周囲の状態を把握しながら運転することができる。
上記の各実施形態では、農業機械は、トラクタ1(作業車両)としているが、作業車両に限定されない。農業機械は、作業装置が連結されたトラクタ、作業装置を有する田植機及びコンバイン等であってもよい。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 トラクタ(農業機械)
40 測位装置
55 通信装置(第1通信装置)
80 運搬車
82 スイッチ(指示部)
83 通信装置(第2通信装置)
102 マップ記憶部(第1記憶装置)
105 ルート作成部
813 記憶装置(第2記憶装置)
814 表示装置
SMP 集合マップ(第1地図)
LMP マップ(第2地図)
GMP 合成マップ(合成地図)