(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ヘッドレスト、芯材付きヘッドレストステー及びヘッドレストステー
(51)【国際特許分類】
A47C 7/38 20060101AFI20230306BHJP
B60N 2/80 20180101ALI20230306BHJP
【FI】
A47C7/38
B60N2/80
(21)【出願番号】P 2021110011
(22)【出願日】2021-07-01
(62)【分割の表示】P 2017208122の分割
【原出願日】2017-10-27
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 創一朗
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-313726(JP,A)
【文献】特開2008-119314(JP,A)
【文献】特開2006-015826(JP,A)
【文献】特開平09-085755(JP,A)
【文献】特開2006-304869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/38
B60N 2/80 - B60N 2/897
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、
前記ヘッドレストステーと前記芯材との間に挟まれる弾性部材と、
を備え
、
前記弾性部材は、多孔質であるヘッドレスト。
【請求項2】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、
前記ヘッドレストステーと前記芯材との間に挟まれる弾性部材と、を備え、
前記芯材には、前記ヘッドレストステーの一部を収容する収容溝が設けられ、
前記弾性部材は、シート状をなして前記収容溝に収容される部分に巻き付けられているヘッドレスト。
【請求項3】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、
前記ヘッドレストステーと前記芯材との間に挟まれる弾性部材と、を備え、
前記芯材は、ビーズ発泡成形体であるヘッドレスト。
【請求項4】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、
前記ヘッドレストステーと前記芯材との間に挟まれる弾性部材と、を備え、
前記弾性部材は、連続気泡構造のウレタン発泡体であるヘッドレスト。
【請求項5】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、
前記ヘッドレストステーと前記芯材との間に挟まれる弾性部材と、を備えるヘッドレストであって、
前記ヘッドレストステーは、1対の脚部の一端部間を頂部で連絡した略門形状をなし、
前記芯材には、前記1対の脚部の内側に嵌合される隆起部が備えられ、
前記隆起部と前記ヘッドレストステーとの間に前記弾性部材が挟まれていて、
前記隆起部は、前記1対の脚部の内側に圧入されているヘッドレスト。
【請求項6】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、
前記ヘッドレストステーと前記芯材との間に挟まれる弾性部材と、を備えるヘッドレストであって、
前記ヘッドレストステーは、1対の脚部の一端部間を頂部で連絡した略門形状をなし、
前記芯材には、前記1対の脚部の内側に嵌合される隆起部が備えられ、
前記隆起部と前記ヘッドレストステーとの間に前記弾性部材が挟まれているヘッドレスト。
【請求項7】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、を備え、
前記芯材には、前記ヘッドレストステーの一部を収容する収容溝が設けられ、
前記ヘッドレストステーと前記収容溝との間に弾性部材が挟まれているヘッドレスト。
【請求項8】
ヘッドレストステーの一部に取り付けられる芯材と、
前記ヘッドレストステーの一部と前記芯材とを内蔵し、外面を表皮で覆われた状態に成形される発泡樹脂製のパッドと、
前記ヘッドレストステーと前記芯材との間に挟まれる弾性部材と、を備え、
前記ヘッドレストステーは、1対の脚部の一端部間を頂部で連絡した略門形状をなし、
前記芯材には、前記1対の脚部の一部を収容する収容溝が設けられているヘッドレスト。
【請求項9】
ヘッドレストステーの一部に芯材が組付けられて、ヘッドレストに用いられる芯材付きヘッドレストステーであって、
前記ヘッドレストステーと芯材との間には、多孔質材が挟まれている芯材付きヘッドレストステー。
【請求項10】
ヘッドレストステーの一部に芯材が組付けられて、ヘッドレストに用いられるヘッドレストステーであって、
前記ヘッドレストステーにおける前記芯材との組付け箇所には、多孔質材が巻き付けられているヘッドレストステー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッド内にヘッドレストステーの上端部と芯材が埋設されたヘッドレスト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のヘッドレストでは、芯材が樹脂の射出成形品で構成されていて、芯材に設けられたフックにヘッドレストステーの上端部を係合させることで、芯材とヘッドレストステーが一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4620581号(段落[0023]、
図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のヘッドレストにおいて、芯材を硬質の発泡樹脂で形成することが提案されている。この場合、芯材に収容溝を形成して、その収容溝にヘッドレストステーの上端部を嵌め込んで固定する。しかしながら、芯材が発泡樹脂で形成されると、収容溝に寸法誤差が生じ易くなり、芯材がヘッドレストステーから外れるという問題が生じる。特に、発泡成形時に芯材がヘッドレストステーから外れると、表皮内で発泡樹脂が行き渡らない箇所が発生し、パッドの欠肉が発生し得る。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、発泡樹脂で構成される芯材がヘッドレストステーから外れることを防止可能なヘッドレスト及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた態様1の発明は、ヘッドレストステーの上端部に取り付けられた芯材と、発泡樹脂で形成されて、前記ヘッドレストステーの上端部と前記芯材とを埋設するパッドと、前記パッドの外面を覆う袋状の表皮と、を備えたヘッドレストであって、前記芯材は、前記パッドを形成する発泡樹脂より硬質の発泡樹脂によって形成されると共に、前記ヘッドレストステーの上端部を収容する収容溝を有し、前記ヘッドレストステーのうち前記収容溝に収容される部分に、多孔質材料からなるシートが巻き付けられている、ヘッドレストである。
【0007】
態様2の発明は、前記ヘッドレストステーは、上下方向に延在する1対の脚部と、それら1対の脚部の上端部同士を連絡する頂部と、からなる略門形状に形成され、前記シートは、前記頂部に巻き付けられている、態様1に記載のヘッドレストである。
【0008】
態様3の発明は、前記収容溝は、前記頂部を収容する頂部収容部と、前記1対の脚部を収容する1対の脚部収容部と、からなり、前記芯材のうち前記1対の脚部収容部に挟まれた部分が前記1対の脚部に挟まれて圧縮変形している、態様2に記載のヘッドレストである。
【0009】
態様4の発明は、前記芯材は、ビーズ発泡成形体で構成されている、態様1乃至3のうち何れか1項に記載のヘッドレストである。
【0010】
態様5の発明は、前記シートは、連続気泡構造のウレタン発泡体で構成されている、態様1乃至4のうち何れか1項に記載のヘッドレストである。
【0011】
態様6の発明は、ヘッドレストステーの上端部とその上端部に取り付けられた芯材とを袋状の表皮内に挿入した状態で、前記表皮内に発泡樹脂原料を注入し、その発泡樹脂原料を発泡硬化させてパッドを形成するヘッドレストの製造方法であって、前記芯材は、前記パッドを形成する発泡樹脂より硬質の発泡樹脂で形成され、前記ヘッドレストステーの上端部への前記芯材の取り付けは、前記ヘッドレストステーの上端部を前記芯材に形成された収容溝に収容することで行われ、前記ヘッドレストステーの上端部を前記収容溝に収容する前に、前記ヘッドレストステーのうち前記収容溝に収容される部分に多孔質材料からなるシートを巻き付けておく、ヘッドレストの製造方法である。
【0012】
態様7の発明は、前記ヘッドレストステーは、上下方向に延在する1対の脚部と、それら1対の脚部の上端部同士を連絡する頂部と、からなる略門形状に形成され、前記シートを前記頂部に巻き付けておく、態様6に記載のヘッドレストの製造方法である。
【0013】
態様8の発明は、前記収容溝は、前記頂部を収容する頂部収容部と、前記1対の脚部を収容する1対の脚部収容部と、からなり、前記1対の脚部収容部の間の間隔を前記1対の脚部の間の間隔より大きくしておく、態様7に記載のヘッドレストの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
[態様1,4,5,6の発明]
本発明では、ヘッドレストステーのうち収容溝に収容される部分にシートが巻き付けられるので、そのシートによって収容溝の寸法誤差を吸収することができ、芯材がヘッドレストステーから外れることを防止することができる。
【0015】
芯材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のビーズ発泡成形体や硬質ウレタンフォームで構成され、特に、ビーズ発泡成形体で構成されることが軽量化の点で好ましい(態様4の発明)。
【0016】
シートを構成する多孔質材料としては、通気性を有する不織布や連続気泡構造のウレタン発泡体が挙げられる。シートが通気性を有することで、パッドの形成にあたって発泡樹脂原料を発泡硬化させる際に、その発泡樹脂原料をシートに含侵させて、芯材をヘッドレストステーに固定させることが可能となり、芯材の保持力の向上が図られる。シートが連続気泡構造のウレタン発泡体で構成される場合には、ウレタン発泡体の弾発力によって、ヘッドレストステーの収容溝への収容が容易になる(態様5の発明)。
【0017】
[態様2,7の発明]
本発明によれば、ヘッドレストステーのうち収容溝から脱けやすい箇所、言い換えれば、ヘッドレストステーのうち芯材が外れ易い箇所にシートが巻き付けられるので、芯材の外れを効率よく防止することが可能となる。
【0018】
[態様3,8の発明]
本発明では、芯材のうち1対の脚部収容部で挟まれた部分をヘッドレストステーの1対の脚部で挟み付けて、芯材の保持力の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドレストの斜視図
【
図4】芯材の(A)A-A断面図、(B)B-B断面図
【
図6】(A)インサート部材の頂部収容部周辺の断面図、(B)インサート部材の脚部収容部周辺の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態のヘッドレスト10は、シートバック90の上部に固定されるヘッドレストステー11(以下、単に、ステー11と呼ぶ。)にヘッドレスト本体10Hが支持された構造となっている。ヘッドレスト本体10Hは、前後方向に扁平な四角錐台状に形成されている。なお、ステー11がシートバック90に固定された状態で、ヘッドレスト本体10Hの前面10HFは略鉛直に配置され、ヘッドレスト本体10Hの後面10HBは後下がりに傾斜するように配置される。
【0021】
図2に示されるように、ヘッドレスト本体10Hは、パッド22の外面を袋状の表皮21で覆ってなる。表皮21は、複数の表皮片21Hを縫い合わせてなり、表皮21の底面には、ヘッドレスト本体10Hの幅方向に延びたスリット21Sと、ヘッドレスト本体10Hの幅方向に並ぶ1対の挿通孔21A,21A(
図2には、一方の挿通孔21Aのみが示されている。)が設けられている。パッド22は、例えば、軟質のウレタン発泡体で構成され、表皮21内に充填されている。
【0022】
ステー11は、例えば、金属製のパイプを加工してなり、
図5に示されるように、上下方向に沿って延在する1対の脚部12,12と、水平方向に沿って延在して1対の脚部12,12の上端部同士を連絡する頂部13と、からなる略門形状に形成されている。そして、1対の脚部12,12の上端寄り部分と頂部13とがパッド22内に埋設され、1対の脚部12,12が表皮21の1対の挿通孔21A,21Aを通って表皮21の外側に突出している(
図1及び
図2参照)。なお、詳細には、脚部12は、上下方向の中間位置に屈曲点12Pを有し、脚部12のうち屈曲点12Pより下側の部分が、略鉛直に配置される起立部12Aを構成し、脚部12のうち屈曲点12Pより上側の部分が、上側へ向かうにつれて前側へ向かうように傾斜する傾斜部12Bを構成する。そして、起立部12Aが挿通孔21Aを貫通している。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、ヘッドレスト10は、パッド22内に芯材31を備えている。芯材31は、パッド22を構成する発泡樹脂よりも硬質の発泡樹脂で形成されていて、例えば、ポリプロピレンのビーズ発泡成形体で構成されている。芯材31は、ステー11の上端部に取り付けられ、ステー11と共にインサート部材30を構成する。そして、ヘッドレスト10では、インサート部材30の上端寄り部分(詳細には、ステー11の上端部と芯材31)がパッド22内に埋設されている。
【0024】
図3に示されるように、芯材31は、ヘッドレスト本体10Hと同様に、前後方向に扁平な四角錐台状に形成されている。そして、ステー11がシートバック90(
図2参照)に固定された状態で、芯材31の前面31Fはヘッドレスト本体10Hの前面10HFと略平行に配置され、芯材31の後面31Bはヘッドレスト本体10Hの後面10HBと略平行に配置される(
図2参照)。
【0025】
芯材31の後面31Bには、ステー11の上端部に対応するように略門形状をなす陥没部32が形成されている。詳細には、陥没部32の頂部は、芯材31の幅方向全体に亘って形成され、陥没部32のうち、その頂部の両端から下方に延びる部分は、芯材31の両側部に形成されている。そして、芯材31のうち陥没部32に囲まれた部分に、陥没部32の奥面に対して突出した隆起部36が形成されている。なお、本実施形態では、芯材31の後面31Bのうち芯材31の幅方向の中央部に、陥没部32よりも陥没深さの浅い中央凹部31Aが形成されている。中央凹部31Aの奥面は、芯材31の前面31Fと略平行になっている(
図4(A)参照)。
【0026】
図4(A)及び
図4(B)に示されるように、陥没部32の奥面全体には、収容溝33が設けられている。そして、この収容溝33にステー11の上端部が嵌め込まれることによって、芯材31はステー11の上端部に取り付けられている。なお、陥没部32の奥面は、芯材31の後面31Bと略平行に配置されていて、収容溝33も芯材31の後面31Bと略平行に配置されている(
図4(A)参照)。
【0027】
収容溝33は、ステー11の1対の脚部12,12を収容する1対の脚部収容部34,34と、頂部13を収容する頂部収容部35と、からなる。ここで、芯材31のうち1対の脚部収容部34,34に挟まれた部分は、ステー11の1対の脚部12,12に挟み付けられて圧縮された状態になっている。
【0028】
図6(A)及び
図6(B)に示されるように、隆起部36のうち陥没部32に臨む部分には、収容溝33に収容されたステー11の脱落を規制する抜止突部33Tが設けられている。なお、上述の如く、芯材31は発泡樹脂で構成されているので、抜止突部33Tは、ステー11が収容溝33に収容される際にはステー11によって圧縮され、ステー11が収容溝33に収容された後には復元するようになっている。
【0029】
ところで、本実施形態では、芯材31が発泡樹脂で形成されているため、収容溝33の寸法誤差が生じやすい。そして、収容溝33の溝幅がステー11の太さよりも広くなると、収容溝33からステー11が脱けて、芯材31がステー11から外れるという問題が生じる。この問題の解決手段として、抜止突部33Tの突出量を大きくすることが考えられるが、この手段では、芯材31を発泡成形型から外すことができなくなる。
【0030】
上記問題を解決するために、本実施形態のヘッドレスト10では、
図5及び
図6(A)に示されるように、ステー11のうち収容溝33に収容される部分にシート15が巻き付けられている。具体的には、シート15は、ステー11のうち収容溝33から最も抜けやすい箇所である頂部13に巻き付けられている。
【0031】
シート15は、多孔質材料で構成され、具体的には、連続気泡構造のウレタン発泡体で構成されている。連続気泡構造のウレタン発泡体からなるシート15には、パッド22を構成する発泡樹脂の原料が含侵している。そして、その含侵した発泡樹脂原料の硬化によって該シート15の硬度が高くなっていると共に、芯材31がステー11に固定されている。
【0032】
ヘッドレスト10は、以下のようにして製造される。ヘッドレスト10を製造するには、まず、ステー11の頂部にシート15を巻き付ける。次いで、ステー11の上端部を芯材31の収容溝33に嵌め込む。これにより、インサート部材30が完成する。ここで、芯材31のうち1対の脚部収容部34,34に挟まれた部分の幅L1(
図4(B)参照)は、ステー11の1対の脚部12,12の間隔L2(
図5参照)よりも若干大きくなっている。従って、収容溝33にステー11が嵌め込まれると、芯材31のうち1対の脚部収容部34,34に挟まれた部分がステー11の1対の脚部12,12に挟み付けられて幅方向に圧縮される。そして、1対の脚部収容部34,34に挟まれた部分の幅L1が1対の脚部12,12の間隔L2と同じになる。
【0033】
次いで、芯材31が取り付けられたステー11の1対の脚部12,12を先端から表皮21のスリット21Sに通し、そのまま脚部12,12の先端を表皮21の内側から挿通孔21Aに通して外側に出す(
図7参照)。そして、脚部12,12のうち表皮21の内側に配置される部分をステー11の上端部側へずらしていき、ステー11の上端部をスリット21Sから表皮21内に挿入する。
【0034】
次いで、
図8に示されるように、表皮21及びステー11が発泡成形型41にセットされる。このとき、表皮21及びステー11は上下逆さまに配置され、表皮21の底面が上側を向き、ステー11の1対の脚部12,12が上方に突出する。そして、表皮21のスリット21Sに注入管42が挿入される。
【0035】
次いで、注入管42から表皮21内に液状の発泡樹脂原料が吐出される(
図9参照)。ここで、注入管42から吐出される発泡樹脂原料が芯材31に当たると、その吐出圧によって芯材31がステー11から外れる虞があるが、本実施形態では、芯材31の中央凹部31Aが注入管42の延長線上に配置されることで、注入管42から吐出される発泡樹脂原料が芯材31に当たることが防がれる。
【0036】
発泡樹脂原料の注入が完了すると、注入管42がスリット21Sから外される。そして、発泡成形型41が型閉じされ、発泡樹脂原料が発泡硬化される。すると、表皮21内にパッド22が形成される(
図10参照)。ここで、発泡硬化過程において、例えば、発泡圧により芯材31がステー11から外れると、芯材31と表皮21との間隔が狭くなって、その隙間に発泡樹脂原料が行き渡らず、パッド22に欠肉が発生する。しかしながら、本実施形態では、シート15によってステー11が収容溝33から抜けにくくなっている。また、シート15に発泡樹脂が含侵するとシート15が硬化し、芯材31がステー11に固定される。以上により、芯材31がステー11から外れることが防がれ、パッド22の欠肉の発生が防がれる。
【0037】
パッド22が形成されると、成形品が発泡成形型41から外される。以上により、
図1及び
図2に示されるヘッドレスト10が完成する。
【0038】
このように、本実施形態のヘッドレスト10及びその製造方法では、ステー11のうち収容溝33に収容される部分に多孔質材料のシート15が巻き付けられるので、そのシート15の弾性によって収容溝33の寸法誤差を吸収することができ、芯材31がステー11から外れることを防止することができる。また、シート15が通気性を有する多孔質材料で構成されると、パッド22の形成にあたって発泡樹脂原料を発泡させる際に、その発泡樹脂原料をシート15に含侵させて、芯材31をステー11に固定させることが可能となる。
【0039】
また、本実施形態によれば、ステー11のうち収容溝33から脱けやすい箇所、言い換えれば、ステー11のうち芯材31が外れ易い箇所である頂部13にシート15が巻き付けられるので、芯材31の外れを効率よく防止することが可能となる。
【0040】
さらに、本実施形態は、芯材31のうち1対の脚部収容部34,34で挟まれた部分をステー11の1対の脚部12,12で挟み付けるので、芯材31の保持力の向上が図られる。
【0041】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0042】
(1)上記実施形態において、シート15が連続気泡構造のウレタン発泡体で構成される代わりに独立気泡構造の発泡体で構成されてもよい。この場合でも、その独立気泡構造の発泡体の弾性により収容溝33の寸法誤差を吸収することができる。
【0043】
(2)上記実施形態において、シート15が不織布で構成されてもよい。この場合であっても、パッド22を構成する発泡樹脂がシート15に含侵して、芯材31をステー11に固定することができる。
【0044】
(3)上記実施形態において、シート15は、ステー11の脚部12のうち脚部収容部34に収容される部分に巻き付けられてもよい。
【0045】
(4)上記実施形態において、芯材31は、ポリエチレンやポリスチレンのビーズ発泡成形体で構成されてもよいし、硬質のウレタン発泡成形体で構成されてもよい。
【0046】
(5)上記実施形態では、収容溝33が、芯材31の後面31Bに形成されていたが、前面31Fに形成されてもよい。
【0047】
(6)上記実施形態では、陥没部32が、芯材31の幅方向全体に形成されていたが、幅方向の一部に形成されてもよい。
【0048】
(7)上記実施形態では、収容溝33は、芯材31に設けられた陥没部32の奥面に形成されていたが、芯材31に陥没部32を設けずに、芯材31の後面31Bに形成されてもよい。
【0049】
(8)ステー11が収容溝33に嵌め込まれる前の段階で、芯材31のうち1対の脚部収容部34,34に挟まれた部分の幅L1は、ステー11の1対の脚部12,12の間の間隔L2と同じであってもよいし、該間隔L2より狭くてもよい。この場合、1対の脚部収容部34,34に挟まれた部分は、1対の脚部12,12によって圧縮変形されない。
【0050】
(9)上記実施形態では、インサート部材30を完成させてから、ステー11を表皮21内に挿入していたが、予めステー11のみを挿通孔21Aを通して表皮21内に挿入し、その後、ステー11の上端部をスリット21Sから表皮21の外に出して、ステー11の頂部13にシート15を巻き付け、ステー11の上端部を芯材31の収容溝33に嵌め込み、ステー11の上端部をスリット21Sから表皮21内に戻してもよい。また、ステー11を表皮21内にセットする(即ち、シート15が巻き付けられたステー11の上端部が表皮21内に配置され、ステー11の脚部12,12が挿通孔21Aを貫通している状態とする)と共に芯材31を表皮21内に挿入し、表皮21内でステー11の上端部を芯材31の収容溝33に嵌め込んで、ステー11に芯材31を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 ヘッドレスト
11 ヘッドレストステー
15 シート
21 表皮
22 パッド
31 芯材
33 収容溝