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特許7238035運転支援装置、運転支援方法及び運転支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法及び運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20230306BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20230306BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W40/09
G08G1/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021116859
(22)【出願日】2021-07-15
(62)【分割の表示】P 2017055649の分割
【原出願日】2017-03-22
(65)【公開番号】P2021178633
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亮太
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081086(JP,A)
【文献】特開2006-243248(JP,A)
【文献】特開2010-198214(JP,A)
【文献】特開2002-362185(JP,A)
【文献】特開2015-090609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者による車両の運転情報に基づき前記運転者自身の運転操作の診断を行う運転支援装置において、
診断結果を表示装置に表示させる制御部と、
前記表示装置に表示された前記診断結果に対して好適な運転操作または不適な運転操作を選択可能な操作部と、
を備え、
前記制御部は、前記診断結果に対する前記操作部による前記好適な運転操作の選択に対応して、前記運転者による前記車両の前記好適な運転操作に係る実際の運転映像を前記表示装置に表示させることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
運転者による車両の運転情報に基づき前記運転者自身の運転操作の診断を行う運転支援装置において、
診断結果を表示装置に表示させる制御部と、
前記表示装置に表示された前記診断結果に対して好適な運転操作または不適な運転操作を選択可能な操作部と、
を備え、
前記制御部は、前記診断結果に対する前記操作部による前記好適な運転操作の選択に対応して前記運転者による前記車両の前記好適な運転操作に係る実際の運転映像を前記表示装置に表示させ、前記診断結果に対する前記操作部による前記不適な運転操作の選択に対応して前記運転者による前記車両の実際の運転映像とは異なる理想的な運転映像を前記表示装置に表示させることを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
前記診断結果は、複数の運転操作毎の診断結果を含み、
前記制御部は、前記運転操作毎の前記診断結果を前記表示装置に表示させるとともに、表示された前記運転操作に対応する前記診断結果に対する前記操作部による操作に応じて前記運転映像を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記診断結果を前記表示装置にチャートとして表示させるとともに、表示された前記チャートに対応する前記診断結果に対する前記操作部による操作に応じて前記運転映像を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行中に記録された車両の運転情報に基づき解析した運転傾向の診断結果を運転者に提示する運転支援装置が知られている。このような運転支援装置の従来技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された従来の運転技術診断システムは、車両の挙動を表す計測データを記録するデータ記録手段と、その計測データに基づいて運転者の運転操作技術を診断する診断装置と、を備える。診断装置は、車両の挙動に対する運転操作の特徴情報を生成し、さらにこの特徴情報に基づいて運転者の運転操作技術を定量化した診断情報を生成する。この運転技術診断システムは車両の挙動を表す計測データを比較、評価することで、運転者の運転技術を客観的に評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-211265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術は運転者自身の運転傾向を、運転者が目の当たりにした実際の走行中の運転状況と対応させて視覚的に理解することができないことが課題であった。すなわち、定量化されたデータだけでは、運転者自身がその運転傾向を振り返ることが困難であることが懸念された。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、運転者自身の運転傾向を、実際の走行中の運転状況と対応させて視覚的に理解することが可能な運転支援技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運転支援装置は、走行中に記録された車両の運転情報に基づき解析した運転傾向の診断結果を運転者に提示する運転支援装置において、前記運転傾向を解析するとともに、前記運転情報として記録された実際の走行中の運転映像と解析した前記運転傾向の診断結果とを表示装置に表示させる制御部を備える構成(第1の構成)である。
【0008】
また、上記第1の構成の運転支援装置において、前記運転情報が所定の適否条件に基づき判別された不適な運転状態の情報を含むものであって、前記運転情報の前記不適な運転状態を含まない所定領域を前記運転傾向のうちの好適な運転部分として認識し、当該好適な運転部分に含まれる実際の走行中の運転映像を前記表示装置に表示させる構成(第2の構成)であっても良い。
【0009】
また、上記第1または第2の構成の運転支援装置において、前記運転情報が所定の適否条件に基づき判別された不適な運転状態の情報を含むものであって、所定の道路状況に対応した理想の運転状態を表す理想映像を記憶する記憶部を備え、前記制御部が、前記不適な運転状態に対応する前記記憶部に記憶された前記理想映像を前記表示装置に表示させる構成(第3の構成)であっても良い。
【0010】
また、上記第3の構成の運転支援装置において、前記理想映像が、所定の模範コースを走行したときの運転状態を記録した映像である構成(第4の構成)であっても良い。
【0011】
また、上記第1~第4の構成の運転支援装置において、前記運転情報が所定の適否条件に基づき判別された不適な運転状態の情報を含むものであって、前記制御部は、前記運転情報の前記不適な運転状態を含む所定領域を前記運転傾向のうちの不適な運転部分として認識し、当該不適な運転部分に含まれる実際の走行中の運転映像を前記表示装置に表示させる構成(第5の構成)であっても良い。
【0012】
また、上記第2~第5の構成の運転支援装置において、前記制御部は、前記不適な運転状態の発生回数が所定の閾値未満である運転操作に関して、前記運転情報の前記不適な運転状態を含まない所定領域を前記運転傾向のうちの好適な運転部分として認識し、当該好適な運転部分に含まれる実際の走行中の運転映像を前記表示装置に表示させる構成(第6の構成)であっても良い。
【0013】
また、上記第2~第6の構成の運転支援装置において、前記記憶部が、複数回の前記運転傾向の前記診断結果を記憶し、前記制御部は、前記記憶部に記憶された複数回の前記診断結果のうちの前後の前記診断結果を比較し、前記不適な運転状態の発生回数が前回よりも減少した運転操作について、前記運転傾向のうちの前記好適な運転部分として認識する構成(第7の構成)であっても良い。
【0014】
また、本発明に係る運転支援方法は、走行中に記録された車両の運転情報に基づき解析した運転傾向の診断結果を運転者に提示する運転支援方法において、前記運転傾向を解析する工程と、前記運転情報として記録された実際の走行中の運転映像と解析した前記運転傾向の診断結果とを表示装置に表示させる工程と、を含む構成(第8の構成)である。
【0015】
また、本発明に係る運転支援プログラムは、走行中に記録された車両の運転情報に基づき解析した運転傾向の診断結果を運転者に提示する運転支援プログラムにおいて、コンピュータに、前記運転傾向を解析する処理と、前記運転情報として記録された実際の走行中の運転映像と解析した前記運転傾向の診断結果とを表示装置に表示させる処理と、を実行させる構成(第9の構成)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、運転者は自身が運転する車両の実際の走行中の映像と、解析した運転傾向の診断結果とを表示装置を用いて見ることができる。したがって、運転者自身の運転傾向を、実際の走行中の運転状況と対応させて視覚的に理解することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の運転支援装置の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態の運転支援装置によって表示装置に表示された運転傾向の診断結果を示す正面図である。
図3】第1実施形態の運転支援装置による運転傾向の診断処理の流れの例を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の運転支援装置における運転操作の診断方法を示す図である。
図5】第1実施形態の運転支援装置によって表示装置に表示された好適な運転傾向の診断結果を示す正面図である。
図6】第1実施形態の運転支援装置によって表示装置に表示された不適な運転傾向の診断結果を示す正面図である。
図7】第1実施形態の運転支援装置の変形例によって表示装置に表示された不適な運転傾向の診断結果を示す正面図である。
図8】第2実施形態の運転支援装置における運転操作の診断方法を示す図である。
図9】第3実施形態の運転支援装置の概略構成を示す図である。
図10】第3実施形態の運転支援装置による運転傾向の診断処理の流れの例の一部を示すフローチャートである。
図11】第4実施形態の運転支援装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0019】
<1.第1実施形態>
<1-1.運転支援装置の構成>
図1は、第1実施形態の運転支援装置1の概略構成を示す図である。図2は、運転支援装置1によって表示装置201に表示された運転傾向の診断結果を示す正面図である。
【0020】
運転支援装置1は、図1に示すその本体1aに操作部2、制御部10、内部記憶部20、外部記憶部30及び通信部3を備える。一方、外部記憶部30は本体1aから離隔されて設けられる。外部記憶部30は通信部3を介して有線または無線によって本体1aと接続され、データの授受が可能である。さらに、外部記憶部30がネットワーク上に設けられる構成であっても良い。
【0021】
運転支援装置1は、走行中に記録された車両の運転情報に基づき解析した運転傾向の診断結果を表示装置201等に表示させ、運転者に提示する。車両の運転情報はドライブレコーダ101によって走行中に記録される。
【0022】
表示装置201は制御部10からの指令を受信し、運転者の運転傾向の診断結果に係る各種の情報を表示する。表示装置201は、例えば図2に示す運転者の運転傾向の診断結果を表示する。運転傾向の診断結果としては、例えば運転操作に対する総合的な点数やコメント201a、急加速、急ハンドル、ふらつきなどといった個々の運転操作に対する評価を図示したチャート201b等の総合評価が表示される。操作部2は表示装置201に表示された診断結果に対する運転者の操作、入力を受け付ける。
【0023】
制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備えるコンピュータである。制御部10は内部記憶部20に記憶されたプログラム21に基づいてCPUが演算処理を行い、運転支援装置1の全体を統括的に制御する。
【0024】
内部記憶部20はプログラム21に加えて、診断条件データ22を記憶する。診断条件データ22は運転者の運転傾向の診断結果を導出する際に用いられる。診断条件データ22としては、例えば運転操作の評価を行うための閾値等のデータが含まれる。
【0025】
外部記憶部30は理想映像31を記憶する。理想映像31は所定の道路状況に対応した理想の運転状態を記録した映像である。詳細に言えば、理想映像31は所定の模範コース、例えば自動車教習所のコースを走行したときの運転状態を記録した映像である。理想映像31には、例えば後述する急加速、急減速、急ハンドル、狭小車間距離、ふらつきといった不適な運転状態各々に対応して、個別の理想的な運転映像が含まれる。理想映像31は運転傾向の診断結果を運転者に提示する際に用いられる。理想映像31は車室内に設置されたカメラが撮像した車両の前方の映像で構成される。
【0026】
通信部3は有線または無線によって外部記憶部30と接続される。さらに、通信部3はドライブレコーダ101と接続される。通信部3とドライブレコーダ101とは有線または無線によって接続されても良いし、ドライブレコーダ101の着脱可能な記憶部120(例えばメモリーカード)が通信部3に直接取り付られることで接続されても良い。運転支援装置1は通信部3を介して外部記憶部30及びドライブレコーダ101の記憶部120とデータの授受が可能である。
【0027】
ドライブレコーダ101は、例えば図1に示す運転情報取得部102、記憶部120及び記録制御部110を備える。ドライブレコーダ101は車両の運転情報を走行中に記録する。
【0028】
運転情報取得部102は、例えば不図示のカメラ、加速度センサー、GPS(Global Positioning System)アンテナ等を含む。カメラは車両の前方の映像を撮像する。加速度センサーは車両に生じる加速度の変化を検出する。GPSアンテナは車両の位置情報を取得する。
【0029】
記憶部120はドライブレコーダ101の内部に設けられたRAMとして構成しても良いし、ドライブレコーダ101に対して着脱可能なメモリーカード等として構成しても良い。記憶部120は運転情報取得部102が取得した運転情報として、例えば運転映像121、運転データ122を記録する。運転映像121は運転情報取得部102のカメラが撮像した車両の前方の映像で構成される。運転データ122は加速度センサーが検出した加速度情報、GPSアンテナを介して取得した車両の位置情報等に基づいて形成される。
【0030】
記録制御部110は、図示しないCPU、RAM、ROMを備えるコンピュータである。記録制御部110は記憶部120に記憶された不図示のプログラムに基づいてCPUが演算処理を行い、ドライブレコーダ101の全体を統括的に制御する。
【0031】
記録制御部110は複数の所定の運転操作に関して、カメラ、加速度センサー、GPSアンテナを用いて得られた情報に基づいて運転データ122を形成する。運転データ122には、例えば加速、減速、ハンドル操作、車間距離、車両位置(ふらつき度合)といった運転操作に係るデータが含まれる。そして、例えば加速に関して詳しく言えば、所定の適否条件に基づき判別された急加速状態が不適な運転状態として記憶され、計数される。すなわち、運転データ122には、例えば急加速、急減速、急ハンドル、狭小車間距離、ふらつきといった不適な運転状態の発生回数に係るデータが含まれる。
【0032】
<1-2.運転支援装置による運転傾向の診断処理>
続いて、運転支援装置1による運転傾向の診断処理の流れについて説明する。図3は、運転支援装置1による運転傾向の診断処理の流れの例を示すフローチャートである。図4は、運転支援装置1における運転操作の診断方法を示す図である。図5は、表示装置201に表示された好適な運転傾向の診断結果を示す正面図である。図6は、表示装置201に表示された不適な運転傾向の診断結果を示す正面図である。
【0033】
運転支援装置1による運転傾向の診断処理が開始されると(図3の「開始」)、制御部10が運転映像121及び運転データ122を取得する(図3のステップS11)。運転映像121及び運転データ122は通信部3を介してドライブレコーダ101から取得され、内部記憶部20に記憶される。
【0034】
次に、制御部10は運転傾向の解析を実行する(ステップS12)。運転傾向の解析には運転映像121、運転データ122及び診断条件データ22が用いられる。
【0035】
具体的に言えば、運転傾向の解析では、例えば加速、減速、ハンドル操作、車間距離、車両位置(ふらつき度合)の運転操作に関して、運転者に点数が付与される。運転操作に係る点数は、例えば図4に示すように初期持ち点100点からの減点形式で算出される。これらの運転操作において、不適な運転状態の発生回数が減点される。
【0036】
そして、制御部10は運転情報である運転映像121及び運転データ122において、不適な運転状態を含む所定領域を運転傾向のうちの不適な運転部分として認識する。また、制御部10は運転情報である運転映像121及び運転データ122において、不適な運転状態を含まない所定領域を運転傾向のうちの好適な運転部分として認識する。
【0037】
次に、制御部10は総合評価、コメント等を運転傾向の診断結果として表示装置201に表示させる(ステップS13)。運転傾向の診断結果としては、例えば図2に示した運転操作に対する総合的な点数やコメント201a、急加速、急ハンドル、ふらつきなどといった個々の運転操作に対する点数を図示したチャート201b等の総合評価が表示装置201に表示される。
【0038】
次に、制御部10は運転者によって好適な運転操作に対する診断結果が選択されたか否かを判定する(ステップS14)。運転者は操作部2を用いて、例えば図2に示した表示装置201に表示された診断結果のうちチャート201bに対して操作することで、個々の運転操作に対するさらに詳細な評価を得ることができる。
【0039】
好適な運転操作として、例えば急ハンドルの運転操作(ハンドル操作)に対する診断結果が選択された場合(ステップS14のYes)、制御部10は例えば図5に示すように好適な運転傾向の診断結果としてカーブ走行に係る情報を表示装置201に表示させる(ステップS15)。制御部10は運転傾向のうちの好適な運転部分について、運転情報として記録された実際の走行中の運転映像121と、運転映像121に対するコメント201cとを表示装置201に表示させる。
【0040】
一方、不適な運転操作として、例えば急減速の運転操作(減速操作)に対する診断結果が選択された場合(ステップS16のYes)、制御部10は例えば図6に示すように不適な運転傾向の診断結果として急減速に係る情報を表示装置201に表示させる(ステップS17)。制御部10は運転傾向のうちの不適な運転部分について、不適な運転状態に対応する外部記憶部30に記録された理想映像31と、理想映像31に対するコメント201dとを表示装置201に表示させる。急減速に係る理想映像31は所定の模範コース、例えば自動車教習所のコースを走行したときの減速に係る理想的な運転状態を記録した映像である。
【0041】
上記第1実施形態のように、運転支援装置1は、走行中に記録された車両の運転映像121、運転データ122に基づき解析した運転傾向の診断結果を運転者に提示する装置であって、制御部10が運転傾向を解析するとともに、運転情報として記録された実際の走行中の運転映像121と、解析した運転傾向の診断結果とを表示装置201に表示させる。これにより、運転者は自身が運転する車両の実際の走行中の運転映像121と、解析した運転傾向の診断結果とを表示装置201を用いて見ることができる。したがって、運転者自身の運転傾向を、実際の走行中の運転状況と対応させて視覚的に理解することが可能になる。ドライブレコーダ101で撮影した実際の映像を見せることにより、ユーザはどのような風景が見えている場合のアドバイスであるかを経験的に知ることができる。単に数値的な評価やアドバイスよりも、ユーザは経験的に運転の良し悪しを知ることができる。ユーザはどのような風景が見えている場合に、良い運転又は悪い運転をしたことになるのかを経験的に知ることができる。
【0042】
また、上記構成の運転支援装置1は、運転情報が所定の適否条件に基づき判別された不適な運転状態の情報を含むものである。そして、制御部10は運転情報の不適な運転状態を含まない所定領域を運転傾向のうちの好適な運転部分として認識し、この好適な運転部分に含まれる実際の走行中の運転映像121を表示装置201に表示させる。これにより、運転者は好適な運転状態であった運転操作に関して、実際の走行中の運転映像121を見ることで運転者自身の運転傾向を視覚的に理解することができる。すなわち、運転者は自身の運転における良い操作を容易に理解することが可能になる。
【0043】
また、上記構成の運転支援装置1は、所定の道路状況に対応した理想の運転状態を記録した理想映像31を記録する外部記憶部30を備える。そして、制御部10は不適な運転状態に対応する外部記憶部30に記録された理想映像31を表示装置201に表示させることと、を実行する。これにより、運転者は不適な運転状態であった運転操作に関して、理想映像31を見ることで運転者自身の運転傾向を視覚的に理解することができる。すなわち、運転者は自身の運転の悪い操作に対する理想的な操作を容易に学習することが可能になる。したがって、運転者は、例えば理想的な加速、減速、ハンドル操作、車間距離、車両位置の運転状態をイメージしながら好適な運転技術を習得できるようになる。
【0044】
なお、理想映像31は所定の模範コース、例えば自動車教習所のコースを走行したときの運転状態を記録した映像である。これにより、運転者が走行したことが無い地域の映像を見て、理想的な運転操作を学習することを防止することができる。したがって、学習した運転操作の実践時に生じる虞がある運転者の困惑を抑制することが可能になる。
【0045】
<1-3.第1実施形態の運転支援装置の変形例>
続いて、運転支援装置1の変形例について説明する。図7は、運転支援装置1の変形例の表示装置201に表示された不適な運転傾向の診断結果を示す正面図である。
【0046】
図2に示す運転傾向の診断結果としての総合評価から、運転者が不適な運転操作、例えば急減速の運転操作(減速操作)に対する診断結果を選択した場合、制御部10は例えば図7に示すように不適な運転傾向の診断結果として急減速に係る情報を表示装置201に表示させる。制御部10は運転傾向のうちの不適な運転部分について、運転情報として記録された実際の走行中の運転映像121と、運転映像121に対するコメント201eとを表示装置201に表示させる。
【0047】
これにより、運転者は不適な運転状態であった運転操作に関して、実際の走行中の運転映像121を見ることで運転者自身の運転傾向を視覚的に理解することができる。すなわち、運転者は自身の運転における悪い操作を容易に理解することが可能になる。
【0048】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図8は、運転支援装置1における運転操作の診断方法を示す図である。なお、第2実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と異なる構成要素については以下で説明し、第1実施形態と共通する構成要素については詳細な説明を省略する。
【0049】
第2実施形態の運転支援装置1の制御部10は、図8に示す予め定められた所定の閾値Aに関して、不適な運転状態の発生回数が閾値A未満である運転操作を「好適な運転操作」と判別し、不適な運転状態の発生回数が閾値A以上である運転操作を「不適な運転操作」と判別する。そして、制御部10は、不適な運転状態の発生回数が所定の閾値A未満である好適な運転操作に関して、運転情報の不適な運転状態を含まない所定領域を運転傾向のうちの好適な運転部分として認識し、この好適な運転部分に含まれる実際の走行中の運転映像121を表示装置201に表示させる。
【0050】
上記第2実施形態の構成によれば、不適な運転状態が比較的少ない厳選された運転操作が好適な運転操作として判別される。このような好適な運転操作に関して、実際の走行中の映像を見れば、運転者は運転技術をより一層向上させることが可能になる。
【0051】
<3.第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図9は、運転支援装置1の概略構成を示す図である。図10は、運転支援装置1による運転傾向の診断処理の流れの例の一部を示すフローチャートである。なお、第3実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と異なる構成要素については以下で説明し、第1実施形態と共通する構成要素については詳細な説明を省略する。
【0052】
第3実施形態の運転支援装置1は、図9に示すように内部記憶部20が従前の診断結果23を記憶する。すなわち、運転支援装置1は新たに運転傾向の診断結果を運転者に提示するにあたって、内部記憶部20が複数回の運転傾向の診断結果を記憶することとなる。
【0053】
図3に示すステップS12に相当する運転傾向の解析処理が開始されると(図10の「開始」)、制御部10は内部記憶部20に記録された複数回の診断結果のうちの前後の診断結果を比較する(ステップS21)。すなわち、新たな運転傾向の診断結果と、その前回の運転傾向の診断結果とを比較する。なお、診断結果の前後比較は、例えば加速、減速、ハンドル操作、車間距離、車両位置(ふらつき度合)といった運転操作に関して、個別に行われる。
【0054】
次に、制御部10は各運転操作に関して、不適な運転状態の発生回数が前回よりも減少したか否かを判定する(ステップS22)。そして、制御部10は不適な運転状態の発生回数が前回よりも減少した好適な運転操作について(ステップS22のYes)、運転傾向のうちの好適な運転部分として認識する(ステップS23)。
【0055】
この後、この好適な運転操作に対する診断結果が運転者によって選択された場合、制御部10はこの好適な運転操作に関して、運転傾向のうちの好適な運転部分について、運転情報として記録された実際の走行中の運転映像121と、この運転映像121に対するコメントとを表示装置201に表示させる。
【0056】
なお、不適な運転状態の発生回数が前回よりも増加した運転操作を不適な運転操作とし、この不適な運転操作に関して、外部記憶部30に記録された理想映像31を表示装置201に表示させるようにしても良い。
【0057】
上記第3実施形態の構成によれば、不適な運転状態の発生回数が前回よりも減少した運転操作が好適な運転操作として判別される。このような好適な運転操作に関して、実際の走行中の運転映像121を見れば、運転者は運転技術をより一層向上させることが可能になる。
【0058】
<4.第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図11は、運転支援装置1の概略構成を示す図である。なお、第4実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と異なる構成要素については以下で説明し、第1実施形態と共通する構成要素については詳細な説明を省略する。
【0059】
第4実施形態の運転支援装置1は、図11に示すように内部記憶部20が理想映像31を記憶する。理想映像31としては、例えば急加速、急減速、急ハンドル、狭小車間距離、ふらつきといった不適な運転状態各々に対応して、少なくとも必要最小限の個別の理想的な運転映像が含まれる。これにより、運転支援装置1の処理速度が向上する。したがって、不適な運転状態であった運転操作に関して、理想映像31を迅速に表示装置201に表示することができる。
【0060】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。以下では、上記実施形態の全体に係る変形例について説明する。なお、上記実施形態の全ての要素と、以下で説明する形態の全ての要素とは、適宜組み合わせて実施することができる。
【0061】
上記実施形態では、運転支援装置1がドライブレコーダ101と別個の装置であることとしたが、運転支援装置はドライブレコーダと一体として構成された装置であっても良い。また、運転支援装置は、プログラムを実行することで運転支援装置として機能するコンピュータであっても良い。このコンピュータとしては、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末などの可搬性装置を含む。
【0062】
また、上記実施形態において、運転傾向に含まれる運転操作が加速、減速、ハンドル操作、車間距離、車両位置(ふらつき度合)であることとしたが、運転操作はこれらに限定されるわけではない。例えば、速度超過やアイドリング時間、長時間運転といった他の運転操作について、運転傾向の診断を行うことにしても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されていると説明したが、これらの機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路によって実現されても良い。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 運転支援装置
2 操作部
3 通信部
10 制御部
20 内部記憶部(記憶部)
30 外部記憶部(記憶部)
31 理想映像
101 ドライブレコーダ
121 運転映像(運転情報)
122 運転データ(運転情報)
201 表示装置
図1
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図11