(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】消火栓収納箱
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20230306BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
(21)【出願番号】P 2021121260
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2017050787の分割
【原出願日】2017-03-16
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
(72)【発明者】
【氏名】峯村 知孝
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-074542(JP,A)
【文献】特開2003-128201(JP,A)
【文献】特開2006-103838(JP,A)
【文献】実開昭62-164203(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104922832(CN,A)
【文献】特開2004-083026(JP,A)
【文献】特開2006-124003(JP,A)
【文献】特開2006-181057(JP,A)
【文献】米国特許第09169594(US,B1)
【文献】特開2003-190315(JP,A)
【文献】特開2017-035440(JP,A)
【文献】特開2001-009053(JP,A)
【文献】特開2016-198169(JP,A)
【文献】特開2016-214446(JP,A)
【文献】特開2016-214558(JP,A)
【文献】特開2016-214559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00 - 99/00
B65F 1/00 - 1/16
B65D 88/00 - 90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの壁面に沿って道路面より一段高く設けられた監視員通路に配置される消火栓収納箱であって、
監視員通路の下に埋設され、ホースが収納された筐体と、
前記筐体の道路側の面に形成された前面扉開口に、上下方向に開閉自在となるように配置された前扉と、
前記筐体の前記監視員通路面側の面に形成された上面扉開口に、扉後縁側を
第1軸として
当該第1軸回りに前開き自在となるように軸支されると共に、扉前縁側を
第2軸として後開き自在となるように軸支され
た上扉と、
前開き操作により前記前扉の係止を解除して
て開放すると共に前記上扉の係止を解除して前開きさせ
るものであって、前記上扉を後開きする場合に
は前記上扉の前縁側を
前記第2軸により軸支する第1開閉機構と
、
後開き操作により前記上扉の係止を解除して後開きさせ
るものであって、前記上扉を前開きする場合に
は前記上扉の後縁側を
前記第1軸により軸支する第2開閉機構と、
を備え、
前記第1開閉機構及び前記第2開閉機構は、
前記筐体の前記監視員通路面側に設けられており、
前記第1軸と前記第2軸とは略平行であって、前記筐体の前後方向において相互に対向するように配置されたことを特徴とする消火栓収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル付きホースを引き出して消火用水又は消火泡を放出させる消火栓収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内に設置するトンネル非常用設備として消火栓装置が設けられており、消火栓装置は開放自在な消火栓扉を備え、先端にノズルを装着したホースと消火栓弁を含むバルブ類を収納している。
【0003】
消火栓装置は、一般的に、トンネル側壁に沿って例えば50メートル間隔でトンネル壁面に埋込み設置されている。火災を伴う車両事故が発生した場合には、監視員通路のあるトンネルでは、事故車両の運転者等の道路利用者は監視員通路の側面に設置されたステップ等により監視員通路に登り、トンネル壁面に設置された消火栓装置の消火栓扉を前方に開放してノズル付きのホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【0004】
監視員通路は道路に対し高くした側壁通路として設けられ、トンネル内の車両通行を妨げることなく且つ安全にトンネル内に設置している消火栓装置を含む各種の機器の点検を行うことを可能としている。
【0005】
また、監視員通路のないトンネルにあっては、事故車両の運転者等の利用者は、トンネル壁面に設置された消火栓装置に近づき、同様に、消火栓扉を前方に開放してノズル付きのホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-181057号公報
【文献】特開2008-055024号公報
【文献】特開2009-285126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、シールド工法等により作られた都市型トンネルにあっては、トンネル壁面に消火栓装置を埋込み設置できない構造であり、監視員通路側面(壁面)に消火栓装置を埋込み設置する必要がある。
【0008】
しかしながら、従来の消火栓のように扉を前開きする消火栓装置を監視員通路に設置した場合には、消火栓扉が開くと建築限界を超えて道路側に飛び出す問題がある。
【0009】
一方、この問題を解決できたとしても、消火栓装置をトンネル内の道路に面した監視員通路壁面に沿って埋込設置した場合、車両火災が発生して消火栓扉の前に車両が停止すると、停止車両が邪魔になって、消火栓扉を開いてホースを引き出すことができない場合がある。更に、仮に監視員通路上から操作できる場合でも、監視員通路から消火栓扉を開くには、体をかがめて手を伸ばす必要があり、消火栓装置の操作に手間取ってしまう場合もある。
【0010】
本発明は、道路側及び監視員通路側から消火栓装置を簡単且つ容易に取り扱うこと及びコストの低減を可能とするトンネル内消火栓設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(消火栓収納箱)
本発明は、トンネルの壁面に沿って道路面より一段高く設けられた監視員通路に配置される消火栓収納箱であって、
監視員通路の下に埋設され、ホースが収納された筐体と、
筐体の道路側の面に形成された前面扉開口に、上下方向に開閉自在となるように配置された前扉と、
筐体の監視員通路面側の面に形成された上面扉開口に、扉後縁側を第1軸として当該第1軸回りに前開き自在となるように軸支されると共に、扉前縁側を第2軸として後開き自在となるように軸支された上扉と、
前開き操作により前扉の係止を解除して開放すると共に上扉の係止を解除して上扉を前開きさせるものであって、上扉を後開きする場合には上扉の前縁側を第2軸により軸支する第1開閉機構と、
後開き操作により上扉の係止を解除して上扉を後開きさせるものであって、上扉を前開きする場合には上扉の後縁側を第1軸により軸支する第2開閉機構と、
を備え、
第1開閉機構及び第2開閉機構は、筐体の監視員通路面側に設けられており、
第1軸と第2軸とは略平行であって、筐体の前後方向において相互に対向するように配置されたことを特徴とする。
【0012】
(第1開閉機構)
第1開閉機構は、
前扉の前縁側に配置された前開きハンドルの両側に連結され、前開きハンドルの操作により引き込まれる一対の第1ロッド棒と、
一対の第1ロッド棒の先端の各々に、第1ロッド取付軸に水平面で後方にコ字形に開いた第1コ字形リンク部材を軸方向に固定した第1ロッド連結部を介して連結された第1ヒンジ部材と、
第1ヒンジ部材が出没自在となるように嵌め込まれる軸穴を備えた第1ヒンジ受け部材と、
第1ヒンジ部材を第1ヒンジ受け部材側に付勢する第1付勢部材と、
前扉の裏側に配置され、前開きハンドルの非操作状態で第1ロッド連結部の第1ロッド取付軸側に第1フック部材を係止して前扉を閉鎖位置に保持させる前扉ハンガー部と、
を備え、前開きハンドルの操作により第1ロッド棒が引き込まれた場合に、第1フック部材の位置に第1ロッド連結部の第1コ字形リンク部材を引き込み移動させることにより、第1フック部材の係止を解除して前扉を落下させて開放すると共に、第1ヒンジ受け部材に没した状態の第1ヒンジ部材を第1付勢部材の付勢に抗して引き出して上扉を前開きさせる。
【0013】
(第2開閉機構)
第2開閉機構は、
上扉の後縁側に配置された後開きハンドルの両側に連結され、後開きハンドルの操作により引き込まれる一対の第2ロッド棒と、
一対の第2ロッド棒の先端の各々に、第2ロッド取付軸に水平面で前方にコ字形に開いた第2コ字形リンク部材を軸方向に固定した第2ロッド連結部を介して連結された第2ヒンジ部材と、
第2ヒンジ部材が出没自在となるように嵌め込まれる軸穴を備えた第2ヒンジ受け部材と、
第2ヒンジ部材を第2ヒンジ受け部材側に付勢する第2付勢部材と、
筐体の背面に配置され、後開きハンドルの非操作状態で第2ロッド連結部の第2ロッド取付軸側に第2フック部材を係止して上扉を閉鎖位置に保持させる上扉ハンガー部と、
を備え、後開きハンドルの操作により第2ロッド棒が引き込まれた場合に、第2フック部材の位置に第2ロッド連結部の第2コ字形リンク部材を引き込み移動させることにより、第2フック部材の係止を解除すると共に、第2ヒンジ受け部材に没した状態の第2ヒンジ部材を第2付勢部材の付勢に抗して引き出して上扉を後開きさせる。
【0014】
(第1開閉機構のハンドルロック)
第1開閉機構は、第1ロッド取付軸に続いて固定された第1コ字形リンク部材のリンク片を後方に延在して第1ロック片が形成され、上扉が前縁側の第1ヒンジ部材を軸心線として後開きして起立された場合に、第1ロッド連結部のロッド引き込み方向への移動を第1ロック片の第1フック部材への当接により規制して前開きハンドルをロックさせる。
【0015】
(第2開閉機構のハンドルロック)
第2開閉機構は、第2ロッド取付軸に続いて固定された第2コ字形リンク部材のリンク片を前方に延在して第2ロック片が形成され、上扉が後縁側の第2ヒンジ部材を軸心線として前開きして起立された場合に、第2ロッド連結部のロッド引き込み方向への移動を第2ロック片の第2フック部材への当接により規制して前開きハンドルをロックさせる。
【0016】
(軸荷重の低減機構)
上扉の第1開閉機構の係止による閉鎖状態で、扉前縁側の軸に加わる荷重を低減させる軸荷重低減機構が設けられる。
【0017】
(前扉押上機構)
軸荷重低減機構として、上扉の第1開閉機構の係止による閉鎖状態で上扉に所定の押上力を付与し、上扉の係止が解除された場合に押上力に抗して前扉を落下させて開放する前扉押上機構が設けられる。
【0018】
(磁気吸着機構)
(磁気吸着機構)
軸荷重低減機構として、上扉の第1開閉機構の係止による閉鎖状態で、上扉と前面扉開口の間を磁気吸着させ、上扉の係止が解除された場合に磁気吸着に抗して前扉を落下させて開放する磁気吸着機構が設けられる。
【0019】
(前扉アシスト機構)
上扉と筐体の間に、上扉を前開き及び後ろ開きする開放力をアシストする付勢部材を備えた扉開放付勢機構が設けられ、付勢部材は例えばガススプリングとする。
【発明の効果】
【0020】
(基本的な効果)
本発明は、トンネルの壁面に沿って道路面より一段高く設けられた監視員通路に配置される消火栓収納箱であって、監視員通路の下に埋設され、ホースが収納された筐体と、筐体の道路側の面に形成された前面扉開口に、上下方向に開閉自在となるように配置された前扉と、筐体の監視員通路面側の面に形成された上面扉開口に、扉後縁側を第1軸として当該第1軸回りに前開き自在となるように軸支されると共に、扉前縁側を第2軸として後開き自在となるように軸支された上扉と、前開き操作により前扉の係止を解除して開放すると共に上扉の係止を解除して前開きさせるものであって、上扉を後開きする場合には上扉の前縁側を第2軸により軸支する第1開閉機構と、後開き操作により上扉の係止を解除して後開きさせるものであって、上扉を前開きする場合には上扉の後縁側第1軸により軸支させる第2開閉機構と、を備え、第1開閉機構及び第2開閉機構は、筐体の監視員通路面側に設けられており、第1軸と第2軸とは略平行であって、筐体の前後方向において相互に対向するように配置されたため、車両事故による火災の発生時に、利用者は、扉前面の前開きハンドルを操作すると、道路に面した前扉がスライド開放されると共に上扉が奥行方向に開く前開きが行われ、消火栓収納箱の前面上部及び上面が大きく開口され、ホース収納部から簡単且つ容易にノズル付きホースを引き出して消火を行うことができる。
【0021】
また、消火栓装置の前に車両が停止して利用者が道路側からの操作ができない場合には、利用者は監視員通路に登り、かがみこんで後開きハンドルを操作すると上扉が道路側に開く後開きが行われ、停止車両に妨げられることなく、ホース収納部から簡単且つ容易にノズル付きホースを引き出して消火を行うことができる。
【0022】
また、上扉が道路側に後開きした場合にフェンスとして機能するため、上部開口からノズル付きのホースを引き出す場合に、利用者が道路側に落ちるような危険が回避され、また、内部から取り出したノズルを道路側に落としてしまうようなことも防止可能となる。
【0023】
また、第1開閉機構は、前扉の開閉機構及び上扉の前開きする場合の閉鎖解除機構として機能すると同時に上扉を後開きする場合のヒンジ機構として機能し、また、第2開閉機構は上扉の後開きする場合の閉鎖解除機構として機能すると同時に上扉を前開きする場合のヒンジ機構として機能し、道路側からの前扉と上扉の開放操作および監視員通路側からの上扉の開放操作を可能とする。
【0024】
(第1開閉機構と第2開閉機構の効果)
また、第1開閉機構は、前扉の前縁側に配置された前開きハンドルの両側に連結され、前開きハンドルの操作により引き込まれる一対の第1ロッド棒と、一対の第1ロッド棒の先端の各々に、第1ロッド取付軸に水平面で後方にコ字形に開いた第1コ字形リンク部材を軸方向に固定した第1ロッド連結部を介して連結された第1ヒンジ部材と、第1ヒンジ部材が出没自在となるように嵌め込まれる軸穴を備えた第1ヒンジ受け部材と、第1ヒンジ部材を第1ヒンジ受け部材側に付勢する第1付勢部材と、前扉の裏側に配置され、前開きハンドルの非操作状態で第1ロッド連結部の第1ロッド取付軸側に第1フック部材を係止して前扉を閉鎖位置に保持させる前扉ハンガー部とを備え、前開きハンドルの操作により第1ロッド棒が引き込まれた場合に、第1フック部材の位置に第1ロッド連結部の第1コ字形リンク部材を引き込み移動させることにより、第1フック部材の係止を解除して前扉を落下させて開放すると共に、第1ヒンジ受け部材に没した状態の第1ヒンジ部材を第1付勢部材の付勢に抗して引き出して上扉を前開きさせるよう構成され、第2開閉機構は、上扉の後縁側に配置された後開きハンドルの両側に連結され、後開きハンドルの操作により引き込まれる一対の第2ロッド棒と、一対の第2ロッド棒の先端の各々に、第2ロッド取付軸に水平面で前方にコ字形に開いた第2コ字形リンク部材を軸方向に固定した第2ロッド連結部を介して連結された第2ヒンジ部材と、第2ヒンジ部材が出没自在となるように嵌め込まれる軸穴を備えた第2ヒンジ受け部材と、第2ヒンジ部材を第2ヒンジ受け部材側に付勢する第2付勢部材と、筐体の背面に配置され、後開きハンドルの非操作状態で第2ロッド連結部の第2ロッド取付軸側に第2フック部材を係止して上扉を閉鎖位置に保持させる上扉ハンガー部とを備え、後開きハンドルの操作により第2ロッド棒が引き込まれた場合に、第2フック部材の位置に第2ロッド連結部の第2コ字形リンク部材を引き込み移動させることにより、第2フック部材の係止を解除すると共に、第2ヒンジ受け部材に没した状態の第2ヒンジ部材を第2付勢部材の付勢に抗して引き出して上扉を後開きさせるよう構成されるようにしたため、例えば第1開閉機構を例にとると、前開きハンドルの操作による第1ロッド棒の引き込みにより先端側の第1ヒンジ部材が第1ヒンジ受け部材から引き外されて係止が解除され、同時に、第1コ字形リンク部材のコ字形に開いた部分が前扉に固定された第1フック部材の位置に移動して係止が解除されることで、前扉をスライド落下により開放させることができる。
【0025】
また、第2開閉機構についても、後開きハンドルの操作による第2ロッド棒の引き込みにより先端側の第2ヒンジ部材が第2ヒンジ受け部材から引き外されて係止が解除され、同時に、第2コ字形リンク部材のコ字形に開いた部分が筐体背面に固定された第2フック部材の位置に移動して係止が解除されることで、上扉の後縁側の係止が解除されて、後開きさせることができる。
【0026】
更に、第1開閉機構と第2開閉機構は、第1フック部材が前扉裏面に固定されるか、第2フック部材が筐体背面に固定されるかの点で相違するが、それ以外の構成は基本的に同じとなり、機構構造が簡単で部品も共通化でき、高い生産性が得られることで、コストも低減可能となる。
【0027】
(ハンドルのロックによる効果)
また、第1開閉機構は、第1ロッド取付軸に続いて固定された第1コ字形リンク部材のリンク片を後方に延在して第1ロック片が形成され、上扉が前縁側の第1ヒンジ部材を軸心線として後開きして起立された場合に、第1ロッド連結部のロッド引き込み方向への移動を第1ロック片の第1フック部材への当接により規制して前開きハンドルをロックさせ、第2開閉機構は、第2ロッド取付軸に続いて固定された第2コ字形リンク部材のリンク片を前方に延在して第2ロック片が形成され、上扉が後縁側の第2ヒンジ部材を軸心線として前開きして起立された場合に、第2ロッド連結部のロッド引き込み方向への移動を第2ロック片の第2フック部材への当接により規制して前開きハンドルをロックさせるようにしたため、上扉を前開きした状態で後開きハンドルを操作しようとしても、ロッド棒の引き込み移動が阻止されていることから、ハンドルがロックされて動かず、上扉の前開き状態で扉後縁のヒンジ部が引き込まれて外れてしまうような不具合を確実に防止できる。
【0028】
また、上扉を後開きした状態で前開きハンドルを操作しようとしても、ロッド棒の引き
込み移動が阻止されていることから、ハンドルがロックされて動かず、上扉の後開き状態で前扉の係止が解除されてスライド落下して開放され、同時に、上扉の前縁のヒンジ部が引き込まれて外れてしまうような不具合を確実に防止できる。
【0029】
(軸荷重の低減機構による効果)
また、上扉の第1開閉機構の係止による閉鎖状態で、扉前縁側の軸に加わる荷重を低減させる軸荷重低減機構が設けられたため、第1開閉機構のヒンジ受け部に嵌め込まれたヒンジ部材や第1フック爪が係止された第1ロッド連結部には前扉の重量が加わり、ロッド棒を引き込む前開きハンドルの操作に強い操作力を必要として容易に操作できなくなるが、軸荷重低減機構により軸荷重が低減され、前開きハンドルの操作力が軽くなり、容易に操作することができる。
【0030】
(前扉押上機構の効果)
また、軸荷重低減機構として、上扉の第1開閉機構の係止による閉鎖状態で上扉に所定の押上力を付与し、上扉の係止が解除された場合に押上力に抗して前扉を落下させて開放する前扉押上機構が設けられたため、例えば、前開きハンドルの操作力をトンネル消火栓設備に要求されている例えば49ニュートン以下に低減して誰でも操作可能とする。
【0031】
(磁気吸着機構の効果)
また、軸荷重低減機構として、上扉の第1開閉機構の係止による閉鎖状態で、上扉と前面扉開口の間を磁気吸着させ、上扉の係止が解除された場合に磁気吸着に抗して前扉を落下させて開放する磁磁気吸着機構が設けられたため、マグネットとマグネット受けを設けるという簡単な構造により、前開きハンドルを誰でも操作できる操作力に低減可能とする。
【0032】
(前扉アシスト機構の効果)
また、上扉と筐体の間に、上扉を前開き及び後ろ開きする開放力をアシストする付勢部材を備えた扉開放付勢機構が設けられ、付勢部材は例えばガススプリングとしたため、上扉の係止解除により上扉を扉開放付勢機構のアシストで自動的又は軽い力で前開き又は後ろ開きできる。
【0033】
また、上扉の閉鎖状態でガススプリングによる押上力が上扉に加わっているため、上扉を介して前扉に押上力が加わり、第1開閉機構の軸荷重が低減され、前開きハンドルの操作力が軽くなり、容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】シールドトンネル内に設置した消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図
【
図2】消火栓収納箱の内部構造を正面及び平面から示した説明図
【
図3】消火栓収納箱の内部構造を通常時、前扉開放と上扉前開き時、上扉後開き時について断面で示した説明図
【
図4】前扉と上扉の閉鎖状態での第1開閉機構と第2開閉機構を正面から見た断面及び平面で示した説明図
【
図5】前扉と上扉の閉鎖状態での第1開閉機構と第2開閉機構を側面から見た断面で示した説明図
【
図6】前扉と上扉の閉鎖状態での第1開閉機構を筐体内部から見て示した斜視図
【
図7】
図6の一部破断してコ字形リンクに形成されたロック片を示した斜視図
【
図8】前開きハンドルを操作した場合の第1開閉機構による前扉と上扉の係止解除動作を正面から見た断面及び平面で示した説明図
【
図9】前開きハンドルを操作した場合の第1開閉機構による前扉と上扉の係止解除動作を側面から見た断面で示した説明図
【
図10】上扉が前開きした状態で第2開閉機構のロック片によるロッド取付軸のロック動作を側面から見た断面で示した説明図
【
図11】後開きハンドルを操作した場合の第2開閉機構による上扉の係止解除動作を平面で示した説明図
【
図12】後開きハンドルを操作した場合の第2開閉機構による上扉の係止解除動作を側面から見た断面で示した説明図
【
図13】上扉が後開きした状態で第1開閉機構のロック片によるロッド取付軸のロック動作を側面から見た断面で示した説明図
【
図14】前開きハンドルに設けられたロッド棒を引き込み駆動させるリンク機構の構成を示した説明図
【
図15】前扉に前扉押上機構を設けた消火栓収納箱の実施形態を正面から示した説明図
【
図16】前扉に前扉押上機構を設けた消火栓収納箱の前扉閉鎖時と前扉開放時について側面から見た断面で示した説明図
【
図17】前扉に磁気吸着機構を設けた消火栓収納箱の実施形態を正面から示した説明図
【
図18】消火栓収納箱の外観を正面、平面及び側面から示した説明図
【
図19】放水制御機構を監視員通路側の消火栓収納箱と共に道路側から見た断面で示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
[トンネル非常用設備の概要]
図1は自動車専用道路のトンネル内に設置された消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図である。
図1に示すように、シールド工法により構築されたトンネル10内は円筒形のトンネル壁面12により覆われ、床版18により仕切られることで道路15が設けられており、この例にあっては、道路15は1方向2車線としている。
【0036】
床版18で仕切られた道路15の左側のトンネル壁面12に沿って監視員通路14が設けられ、監視員通路14の下側の内部空間はダクト22として利用され、電線管等が敷設される。監視員通路14は例えば高さが90センチメートル、横幅が70センチメートルといった大きさをもつ。
【0037】
道路15が形成された床版18の下側はトンネル横方向に複数の区画に仕切られており、例えば、監視員通路14の下に位置する区画は、管理用通路20として使用され、また、管理用通路20はトンネル内での火災発生時には、緊急避難通路として使用される。管理用通路20には給水本管24が敷設されている。
【0038】
トンネル10の長手方向の50メートルおきには、消火栓設備16が設置され、消火栓設備16はホースが収納された消火栓収納箱30と放水制御機構収納部120に分離して設置されている。
【0039】
消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面及び道路15側の壁面にかけて箱形に刳り貫かれた消火栓埋込部に配置されている。放水制御機構収納部120は、消火栓収納箱30の下側となる管理用通路20に配置され、給水本管24から分岐した分岐配管24aが引き込まれ、また、消火栓収納箱30に消火用水を供給する給水配管25が立ち上げられている。
【0040】
[消火栓設備]
図2は消火栓収納箱の外観を正面及び平面から示した説明図、
図3は消火栓収納箱の内部構造を通常時、前扉開放と上扉前開き時、上扉後開き時について断面で示した説明図で
ある。
【0041】
(消火栓収納箱の外観構造)
図2に示すように、消火栓設備16の消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面下の内部空間に埋込み設置されている。消火栓収納箱30は、
図2(A)に示すように、筐体の前面中央の上側に形成された前面扉開口31に前扉32が上下方向にスライド自在に配置されている。
【0042】
また、
図2(B)に示すように、消火栓収納箱30の監視員通路14の路面側となる上面に形成された上面扉開口33には、前扉32と同じ横幅の上扉36が配置されている。上扉36は、前開きと後開きができる。
【0043】
ここで、上扉36の前開きとは、
図3(B)に示すように、上扉36の奥行側の後縁部を軸として上向き回りに開閉されることをいう。また、上扉36の後開きとは、
図3(C)に示すように、上扉36の手前の前縁部を軸として上向き回りに開閉されることをいう。
【0044】
図2及び
図3(A)に示すように、前扉32と上扉36は閉鎖状態で係止されており、利用者が道路15側から操作する場合には、前開きハンドル34を開操作すると、前開きハンドル34の両側に連結された一対のロッド棒42aがハンドル側に引き込まれ、筐体28側に軸支されているヒンジ50aを引き込んで上扉36の係止が解除され、また、ロッド棒42aの引き込みに伴い上扉36に対する前扉32の係止が解除され、前扉32は自重により固定扉35の裏側に落下して消火栓収納箱30の前面扉開口31を開放させ、また、
図3(B)に示すように、扉開放付勢機構として機能するガススプリング40の押上により上扉36を前開きすることで、消火栓収納箱30の上面扉開口33を開放させる。
【0045】
この場合、上扉36の前開きは、
図2(B)に示すように、後開きハンドル38の両側に連結しているロッド棒42bの先端のヒンジ50bが筐体28側に軸支されており、ヒンジ50bを軸として前開きされる。
【0046】
また、利用者が監視員通路14側から操作する場合には、後開きハンドル38を開操作すると、
図2(B)に示すように、後開きハンドル38の両側に連結された一対のロッド棒42bがハンドル側に引き込まれ、筐体28側に軸支されているヒンジ50bを引き込んで上扉36の後縁側の係止が解除され、前開きハンドル34の両側に連結しているロッド棒42aの先端のヒンジ50aを軸として、
図3(C)に示すように、ガススプリング40の押上により上扉36を後開きすることで、消火栓収納箱30の上面扉開口33を開放させる。
【0047】
ここで、ガススプリング40はシリンダの内部にピストンを摺動自在に備え、ピストンに連結されたロッドを下部に取出しており、ピストンで仕切られたシリンダ室には窒素ガス等の不活性ガスが加圧充填され、充填されたガス圧によりピストンを介してロッドに押し出す力を加えている。
【0048】
[前扉及び上扉の開閉機構]
図4は前扉と上扉の閉鎖状態での第1開閉機構と第2開閉機構を正面から見た断面及び平面で示した説明図、
図5は前扉と上扉の閉鎖状態での第1開閉機構と第2開閉機構を側面から見た断面で示した説明図、
図6は前扉と上扉の閉鎖状態での第1開閉機構を筐体内部から見て示した斜視図、
図7は
図6の一部破断してコ字形リンクに形成されたロック片を示した斜視図である。
【0049】
本実施形態による前扉32と上扉36の開閉機構は、第1開閉機構と第2開閉機構で構成される。
【0050】
第1開閉機構は、
図2に示した前開きハンドル34の操作による係止の解除により前扉32をスライド開放させると共に上扉36を前開きさせ、また、上扉36を後開きする場合に上扉36の前縁側を開閉自在に軸支させる機構である。
【0051】
また、第2開閉機構は、
図2に示した後開きハンドル38の操作による係止の解除により上扉36を後開きさせ、また、上扉36を前開きする場合に上扉36の後縁側を開閉自在に軸支させる機構である。
【0052】
(第1開閉機構)
第1開閉機構は、
図4、
図5及び
図6に示すように、ロッド棒42a、ロッド取付軸46a、コ字形リンク48a、ヒンジ50a、ヒンジガイド部材52a、コイルバネ54a、ヒンジ受け部材56a及びフック62aを備えた前扉ハンガー部60aで構成される。
【0053】
ロッド棒42aは、
図2に示したように前開きハンドル34の両側に連結されており、前開きハンドル34の操作により引き込まれる。
【0054】
ロッド棒42aの先端には、ロッド取付軸46a、コ字形リンク48a及びヒンジ50aが順次連結固定されている。ロッド取付軸46aは一端にロッド棒42aの先端が軸ピンにより回動自在に連結され、他端にコ字形リンク48aの一端のリンク片が固定されている。
【0055】
コ字形リンク48aは、
図4(B)の平面に示すように、水平面で後方(奥行方向)にコ字形に開いた板部材である。ここで、ロッド取付軸46aとコ字形リンク48aは、ロッド棒42aとヒンジ50aを連結するロッド連結部44aを構成している。
【0056】
ヒンジ50aは先端を球状突起としてヒンジ受け部材56aの軸穴に出没自在に配置され、後端は小径軸部となってヒンジガイド部材52aを貫通してコ字形リンク48aの先端側のリンク片に固定されており、小径軸部にコイルバネ54aが嵌め込まれ、ヒンジガイド部材52aに対しヒンジ50aを先端側に付勢している。
【0057】
一方、前扉32の裏面には、前扉ハンガー部60aが設けられている。前扉ハンガー部60aは、
図4(A)、
図5及び
図6に示すように、前扉32の裏面に固定された取付部材64aに,ネジピン66aによりフック62aを上向きに軸支しており、ねじピン66aに設けられた巻バネ68aによりフック62aの先端のフック爪65aがロッド取付軸46aの上に入るように付勢している。なお、
図4(B)は、前扉ハンガー部60aのフック62aのみを示し、それ以外は省略している。
【0058】
ロッド取付軸46aに連結固定されたコ字形リンク48aのリンク片は、
図5に示すように、ロッド取付軸46aの外径を超えて後方に延在されることで、ここにロック片58aが形成されている。ロック片58aの形成は、フック62aの一部を破断して示した
図7からも明らかとなる。
【0059】
ここで第1開閉機構を構成するロッド棒42a、ロッド取付軸46a、コ字形リンク48a、ヒンジ50a、ヒンジガイド部材52a、コイルバネ54a、ロッド連結部44a、フック62a、ロック片58aは、第1ロッド棒、第1ロッド取付軸、第1コ字形リンク部材、第1ヒンジ部材、第1ヒンジ受け部材、第1ロッド連結部、第1フック部材、第1ロック片として機能する。
【0060】
また、ロッド棒42a、ロッド取付軸46a、コ字形リンク48a、ヒンジ50aからなる軸部材は、上扉36を後開きするための回転用固定軸の機能と、上扉36を前開きするために回転用固定軸を引き外すロッド軸の機能を兼用している。
【0061】
(第2開閉機構)
第2開閉機構は、
図4(B)及び
図5に示すように、ロッド棒42b、ロッド取付軸46b、コ字形リンク48b、ヒンジ50b、ヒンジガイド部材52b、コイルバネ54b、ヒンジ受け部材56b及びフック62bを備えた上扉ハンガー部60bで構成される。第1開閉機構との相違点は、後開きハンドル38で操作される点と、フック62bを備えた上扉ハンガー部60bが筐体背面に固定されている点であり、他の構成と機能は、第1開閉機構と基本的に同じになる。
【0062】
第2開閉機構において、ロッド棒42bは、
図2(B)に示したように後開きハンドル38の両側に連結されており、後開きハンドル38の操作により引き込まれる。
【0063】
ロッド棒42bの先端には、ロッド取付軸46b、コ字形リンク48b及びヒンジ50bが順次連結固定されている。ロッド取付軸46bは一端にロッド棒42bの先端が軸ピンにより回動自在に連結され、他端にコ字形リンク48bの一端のリンク片が固定されている。
【0064】
コ字形リンク48bは、
図4(B)の平面に示すように、水平面で前方にコ字形に開いた板部材である。ここで、ロッド取付軸46bとコ字形リンク48bは、ロッド棒42bとヒンジ50bを連結するロッド連結部44bを構成している。
【0065】
ヒンジ50bは先端を球状突起としてヒンジ受け部材56bの軸穴に出没自在に配置され、後端は小径軸部となってヒンジガイド部材52bを貫通してコ字形リンク48bの先端側のリンク片に固定されており、小径軸部にコイルバネ54bが嵌め込まれ、ヒンジガイド部材52bに対しヒンジ50bを先端側に付勢している。
【0066】
一方、筐体28の背面には、
図5に示すように、上扉ハンガー部60bが設けられている。上扉ハンガー部60bは、筐体28の背面に固定された支持金具64bに,ねじピン66bによりフック62bを上向きに軸支しており、ねじピン66bに設けられた巻きバネ68bによりフック62bの先端のフック爪65bがロッド取付軸46bの上に入るように付勢している。なお、
図4(B)は、上扉ハンガー部60bのフック62bのみを示し、それ以外は省略している。
【0067】
ロッド取付軸46bに連結固定されたコ字形リンク48bのリンク片は、ロッド取付軸46bの外径を超えて前方に延在されることで、ここにロック片58bが形成されている。
【0068】
ここで第2開閉機構を構成するロッド棒42b、ロッド取付軸46b、コ字形リンク48b、ヒンジ50b、ヒンジガイド部材52b、コイルバネ54b、ロッド連結部44b、フック62b、ロック片58bは、第2ロッド棒、第2ロッド取付軸、第2コ字形リンク部材、第2ヒンジ部材、第2ヒンジ受け部材、第2ロッド連結部、第2フック部材、第2ロック片として機能する。
【0069】
また、ロッド棒42b、ロッド取付軸46b、コ字形リンク48b、ヒンジ50bからなる軸部材は、上扉36を前開きするための回転用固定軸の機能と、上扉36を後開きす
るために回転用固定軸を引き外すロッド軸の機能を兼用している。
【0070】
[道路側から上扉及び前扉を開放させる操作]
図8は前開きハンドルを操作した場合の第1開閉機構による前扉と上扉の係止解除動作を正面から見た断面及び平面で示した説明図、
図9は前開きハンドルを操作した場合の第1開閉機構による前扉と上扉の係止解除動作を側面から見た断面で示した説明図、
図10は上扉が前開きした状態で第2開閉機構のロック片によるロッド取付軸のロック動作を側面から見た断面で示した説明図である。
【0071】
利用者が道路側から消火栓収納箱30を操作する場合には、
図2(A)に示した前開きハンドル34のハンドルレバーを手前に引き上げるハンドル操作を行うと、
図8に示すように、第1開閉機構のロッド棒42aがハンドル側に引き込まれ、ロッド棒42aに対しロッド取付軸46a及びコ字形リンク48aを介して連結されているヒンジ50aがヒンジ受け部材56aの軸穴から引き出され、筐体28に対する上扉36の前縁側の係止が解除され、
図9に想像線で示す上扉36aのように上扉36の前開きが始まり、
図3(B)に示したように、ガススプリング40により前開きされる。
【0072】
また、ロッド棒42aの引き込みに伴うロッド取付軸46aとコ字形リンク48aの移動により、それまでフック爪65aはロッド取付軸46aの上側に係止されていたものが、フック爪65aの位置にコ字形リンク48aのコ字形に開いた部分が移動し、フック爪65aの係止が解除され、
図9に示すように、前扉32は自重によりスライド落下し、
図3(B)に示したように、前扉32が開放される。
【0073】
前開きにより開放された上扉36の裏側には、後の説明で明らかにするように泡ノズルがノズルホルダーに係止されていることから、泡ノズルが目の前に出現し、容易に泡ノズルを取り出してホースを引き出すことができる。
【0074】
また、
図10に示すように、上扉36が完全に前開きして起立した状態になると、第2開閉機構の筐体背面に配置されたフック62bの先端のフック爪65bに対し、ロッド取付軸46bは上扉36の回動に伴って上向きとなり、コ字形リンク48bに形成されたロック片58bも上向きの位置に回動し、フック爪65bに相対した位置に移動する。
【0075】
このため上扉36の前開きが完了した状態で、上扉36の後縁側に設けている後開きハンドル38を操作してロッド棒42bを引き込もうとしても、コ字形リンク48aに形成されたロック片58bがフック爪65bに当たって移動することができず、後開きハンドル38の操作がロックされ、上扉36の後開き状態でヒンジ50bによる軸支が解除されてしまうことを確実に防止している。
【0076】
[監視員通路側から上扉を開放させる操作]
図11は後開きハンドルを操作した場合の第2開閉機構による上扉の係止解除動作を平面で示した説明図、
図12は後開きハンドルを操作した場合の第2開閉機構による上扉の係止解除動作を側面から見た断面で示した説明図、
図13は上扉が後開きした状態で第1開閉機構のロック片によるロッド取付軸のロック動作を側面から見た断面で示した説明図である。
【0077】
利用者が監視員通路側から消火栓収納箱30を操作する場合には、利用者が監視員通路から体をかがめて
図2に示した後開きハンドル38のハンドルレバーを手前に引き上げるハンドル操作を行うと、
図11に示すように、第2開閉機構のロッド棒42bがハンドル側に引き込まれ、ロッド棒42bに対しロッド取付軸46b及びコ字形リンク48bを介して連結されているヒンジ50bがヒンジ受け部材56bの軸穴から引き出され、筐体28に対する上扉36の前縁側の係止が解除される。
【0078】
また、ロッド棒42bの引き込みに伴うロッド取付軸46bとコ字形リンク48bの移動により、それまでフック爪65bはロッド取付軸46bの上側に係止されていたものが、フック爪65bの位置にコ字形リンク48bのコ字形に開いた部分が移動し、フック爪65bによる係止が解除され、
図12の想像線で示す上扉36aのように上扉36の後開きが始まり、
図3(B)に示したようにガススプリング40の付勢を受けて開放される。
【0079】
後開きにより開放された上扉36の裏側には、泡ノズルがノズルホルダーに係止されていることから、泡ノズルが目の前に出現し、監視員通路側から容易に泡ノズルを取り出してホースを引き出すことができる。
【0080】
また、
図13に示すように、上扉36が完全に後開きして起立した状態になると、第1開閉機構の前扉32の裏面に配置されたフック62aの先端のフック爪65aに対し、ロッド取付軸46aは上扉36の回動に伴って上向きとなり、コ字形リンク48aに形成されたロック片58aも上向きの位置に回動し、フック爪65aに相対した位置に移動する。
【0081】
このため上扉36の後開きが完了した状態で、上扉36の前縁側に設けている前開きハンドル34を操作してロッド棒42aを引き込もうとしても、コ字形リンク48aに形成されたロック片58aがフック爪65aに当たって移動することができず、前開きハンドル34を操作がロックされ、上扉36の後開き状態での前扉32の係止解除による開放とヒンジ50aによる軸支の解除を確実に防止している。
【0082】
[ハンドルのリンク機構]
図14は前開きハンドルに設けられたロッド棒を引き込み駆動させるリンク機構の構成を示した説明図であり、
図14(A)に非操作状態を示し、
図14(B)に操作状態を示す。
【0083】
図14(A)に示すように、ハンドル本体34a内に、一対の屈曲したリンク88の一端が移動支点90で連結され、リンク88の屈曲位置が回動支点92としてハンドル本体34a側に固定され、リンク88の他端はスライド支点94として、ロッド軸42aの軸端の支点96に連結されており、更に、移動支点90はスプリング98により図示で上方向に付勢されている。
【0084】
前開きハンドル34を操作していない場合、スプリング98の力を受けて、リンク88は外側に回動することで、ロッド棒42aを非操作位置とし、ロッド軸42aの先端側のヒンジをヒンジ受け部材に嵌め入れ、上扉36及び前扉32を閉鎖位置に係止させている。
【0085】
前開きハンドル34をリフトアップすると、
図14(B)に示すように、図示しないリンク機構を介して移動支点90がスプリング98に抗して下側に移動し、これによりリンク88は内側に回動し、両側のロッド棒42aを内側に引き込むことで、ロッド棒42aの先端側のヒンジをヒンジ受け部材から引き外し、前扉32の係止が解除され、前扉32は自重によりスライドしながら落下して前面上部を開口させ、また、上扉36の係止も解除され、バネスプリングにより前開きされる。
【0086】
なお、後開きハンドル38のリンク機構も
図14と同じになる。また、ハンドルのリンク機構は
図14のリンク機構に限定されず、前開きハンドル34又は後開きハンドル38を操作した場合、両側のリンク棒42a,42bを内側に引き込んでヒンジをヒンジ受け部材から引き外す適宜のリンク機構が含まれる。
【0087】
[第1開閉機構の軸荷重量低減機構]
(前扉押上機構)
図15は前扉に前扉押上機構を設けた消火栓収納箱の実施形態を正面から示した説明図、
図16は前扉に前扉押上機構を設けた消火栓収納箱の前扉閉鎖時と前扉開放時について側面から見た断面で示した説明図である。
【0088】
図4乃至
図6に示した上扉36及び前扉32の閉鎖状態では、第1開閉機構のヒンジ受け部材56aに嵌め込まれたヒンジ50aやフック62aのフック爪65aが係止されたロッド取付軸46aには前扉32の重量Wが加わり、ロッド棒42aを引き込む前開きハンドル34の操作に強い操作力を必要として容易に操作できなくなる可能性がある。
【0089】
そこで本実施形態にあっては、
図15に示すように、前扉32の内部下側に軸荷重低減機構として機能する前扉押上機構100が設けられる。
【0090】
前扉押上機構100は、
図16(A)に示すように、巻バネを備えた回転軸部102、回転軸部102に連結された押上アーム104及び押上アーム104の先端に設けられたローラ106で構成され、第1開閉機構のヒンジ50aによる前扉32の閉鎖状態で、前扉32の下端に押上アーム104の先端のローラ106を当接させて回転軸部102に設けた巻バネによる押上力F1を上向きに加えている。
【0091】
また、第1開閉機構のヒンジ50aには、上扉36の荷重も加わるが、上扉36はガススプリング40により押し上げられており、このためヒンジ50aにはガススプリング40による押上力F2も加わっている。
【0092】
このため前開きハンドル34の操作力F0は、
F0=W-F1-F2
で与えられる。
【0093】
本実施形態のトンネル消火栓設備のハンドル操作力F0としては、誰でも操作可能とするために49N(ニュートン)以下とすることが求められ、ハンドル操作力F0が49N以下となるように、前扉押上機構100の押上力F1を設定する。
【0094】
図16(B)は前開きハンドル34を操作した場合であり、前扉32及び上扉36の係止が解除されると、前扉32の重量Wは前扉押上機構100の押上力F1より大きいことから、前扉32の重量Wを受けて押上アーム104が下向きに回動し、前扉32がスライド落下して開放される。このとき前扉32は押上アーム104のローラ106に接触していることから、前扉32のスライド落下に対し押上アーム104は滑らかに回動し、前扉32を開放させる。
【0095】
なお、前扉押上機構100は上記のアーム回転構造に限定されず、例えば、前扉32の下側に押上力を付与するコイルバネを設けるようにしても良い。
【0096】
(磁気吸着機構)
図17は前扉に磁気吸着機構を設けた消火栓収納箱の実施形態を正面から示した説明図である。
【0097】
図17に示すように、前扉32の左右両側の上部には軸荷重低減機構として機能する磁気吸着機構108が設けられる。磁気吸着機構108は、前扉32の側面に相対した筐体28側の内側面に配置された磁性材料を用いたマグネット110と、マグネット110に相対した前扉32の内部の側面に配置されたマグネット受け部材112で構成される。
【0098】
前扉32が第1開閉機構のヒンジ50aにより係止された閉鎖状態では、前扉32と筐体28との間にマグネット110とマグネット受け部材112による前扉32を上向きに支える磁気吸引力F3が発生する。
【0099】
また、第1開閉機構のヒンジ50aには、上扉36の重量も加わるが、
図16に示したと同様に、上扉36はガススプリング40により押し上げられており、このためヒンジ50aにはガススプリング40による押上力F2も加わっている。
【0100】
このため前開きハンドル34の操作力F0は、
F0=W-F3-F2
で与えられる。
【0101】
ハンドル操作力F0としては、誰でも操作可能とするために49N以下とすることが求められ、ハンドル操作力F0が49N以下となるように、磁気吸着機構108の磁気吸引力F3を設定する。
【0102】
このような磁気吸着機構108が前扉32に設けられたため、マグネット110とマグネット受け部材112を設けるという簡単な構造により、前開きハンドル34を誰でも操作できる操作力に低減可能とする。
【0103】
[消火栓収納箱の内部構造]
図18は消火栓収納箱の外観を正面、平面及び側面から示した説明図である。
図18に示すように、消火栓収納箱30の内部下側はホース収納部150となっており、保形構造のホース160を水平回りに内巻きしている。ここで、消火栓収納箱30の横幅は約1.4メートル程度、奥行きは約0.35メートル程度であることから、ホース収納部150に内巻きされたホース160の1ターンの長さは概ね3.5メートル程度となり、ホース長さは30メートル以上必要とすることから、ホース60は9ターン以上内巻きすればよい。
【0104】
消火栓収納箱30の中央にはホースガイド152が配置されている。ホースガイド152は金属パイプを使用しており、上面から前面にL型の屈曲した2本のガイドパイプ156を、
図2に示した前扉32と上扉36の開口の内側に配置し、前面の略中央で横向きにガイドパイプ154を配置して両端をガイドパイプ156に固定しており、前扉32及び上扉36の開放状態で、上部前面及びこれに続く上部開口をガイドパイプ154,156で仕切ることで、ホース160の取出し空間が形成されている。
【0105】
また、ガイドパイプ156は、その上部を閉鎖している上扉36の下面に位置させ、上扉36を閉鎖状態でガイドパイプ156の上に載置して支える上扉支持構造としている。ここで、上扉36は監視員通路14に沿って例えば1メートルを超える長さを持つが、扉開口の2か所にガイドパイプ156が前後方向に位置して上扉36を支えており、閉鎖している上扉36に人が乗ったとしても、ガイドパイプ156により支えていることで、十分な支持強度が得られている。
【0106】
また、上扉36の両端内側には、筐体28側に固定された板部材による段付受け部が形成され、段付受け部に上扉36の両端が乗ることで、ガイドパイプ156による支持と合わせて、十分な支持強度が得られている。
【0107】
上扉36の裏面にはノズルホルダー164が配置され、ノズルホルダー164にホース160の先端に設けられた泡ノズル162が着脱自在に係止されている。このため上扉36を前開き又は後開きすると、扉裏面に保持されている泡ノズル162が消火栓収納箱30の上部に現れることになる。
【0108】
上扉36の前開きで扉裏面に保持されている泡ノズル162が現れる位置は、道路15から概ね0.9~1.3メートルの範囲のいずれかとなり、これは道路に立った利用者の腰から肩までの範囲に相当し、目の前に泡ノズル162が出現することから、泡ノズル162の取出しが容易にできる。
【0109】
また、上扉36の後開きで扉裏面に保持されている泡ノズル162が現れる位置は、監視員通路14の路面から概ね0.2~0.4メートルの範囲のいずれかとなり、監視員通路14に体をかがめて後開きハンドル38を操作している利用者の目の前に泡ノズル162が出現し、利用者は監視員通路14側から泡ノズル162を容易に取り出すことができる。
【0110】
消火栓収納箱30内の右側に配置されたガイドパイプ156の上側部には操作箱166が配置され、操作箱166には消火栓弁開閉レバー168が設けられ、操作箱166の内部に設けられている手動パイロット弁を開閉操作させるようにしている。消火栓弁開閉レバー168を開操作すると、手動パイロット弁が開放され、分離配置された消火栓弁を遠隔的に開放させることができる。
【0111】
操作箱166内に設けられた手動パイロット弁に対しては下側からパイロット配管136a,136bが接続されている。パイロット配管136a,136bはガイドパイプ156の右側に配置された配管ダクト165の中を下側から通して操作箱166内の手動パイロット弁に接続されている。
【0112】
ホース収納部150に内巻きされたホース160は、
図18(B)の平面に示すように、ガイドパイプ156及び配管ダクト165の部分で内側にわずかに湾曲した状態で巻かれている。このためホース160の前面側の平行線ホース部分が内側に変形されて略ひょうたん形に近い形状となり、この変形によりホース160の変形された平行線ホース部分には外側に広がろうとする反発力が発生し、筐体内壁側に押し付ける力が発生することで、重ねて内巻きしたホース160の平行線部分が内側に崩れてしまうことを確実に防止可能とする。
【0113】
また、扉を開いてホース160を外部に引き出す場合には、ホース160の半径部分の変形によるホース160を押し出そうとする力に加え、ホース160の平行線部分についても、ホースガイド構造による変形力によるホース160を押し出そうとする力が発生し、ホース引き出し力を低減可能とする。
【0114】
[放水制御機構の構成]
図19は放水制御機構を監視員通路側の消火栓収納箱と共に道路側から見た断面で示した説明図である。
【0115】
(放水制御機構の構成)
図19に示すように、消火栓収納箱30が配置された監視員通路14の内部空間の下側となる管理用通路20には放水制御機構収納部120が配置されている。
【0116】
放水制御機構収納部120には、放水制御機構を構成するバルブ類として、加圧開放型の消火栓弁122、自動調圧弁124、泡混合器126が設けられる。
【0117】
給水本管24から分岐された分岐配管24aは消火栓弁122の1次側に接続され、消火栓弁122に続いて自動調圧弁124と泡混合器126が接続される。泡混合器126には泡原液タンク128からの配管が接続され、泡混合器126を流れる消火用水に泡原液を所定割合で混合させた泡消火用水を給水配管25を介して消火栓収納箱30のホース160に供給させるようにしている。
【0118】
消火栓弁122は加圧開放を行うための弁開閉機構として、シリンダ室130にピストン132が摺動自在に設けられ、ピストン132には弁体135がピストンロッドにより連結され、シリンダ室130の反対側にはスプリング134が組み込まれている。
【0119】
消火栓弁122は通常状態では閉鎖している。消火栓弁122の閉鎖は、シリンダ室130から消火用水を排出してパイロット圧を減圧してゼロとし、ピストン132をスプリング134により閉鎖方向に押し、弁体135を弁座に当接させることにより1次側と2次側の流路を閉じて閉鎖状態としている。
【0120】
消火栓弁122を開放させるには、シリンダ室130に消火用水を供給してパイロット圧を加圧させることで、スプリング134に抗してピストン132を外側にストロークさせ、弁体135を弁座から離して1次側と2次側を連通させることで開放状態とする。
【0121】
消火栓弁122を遠隔操作により開放させるため、消火栓収納箱30の操作箱166には、消火栓弁開閉レバー168により開閉される手動パイロット弁140が設けられている。
【0122】
手動パイロット弁140の1次側には分岐配管24aから引き出されたパイロット配管136aが接続され、手動パイロット弁140の2次側は、パイロット配管136bにより消火栓弁122のシリンダ室130に接続されている。
【0123】
なお、本実施形態にあっては、消火栓弁開閉レバー168により手動パイロット弁140を直接開閉するようにしているが、手動パイロット弁140を消火栓収納箱30内の別の場所に配置し、ワイヤリンクなどにより遠隔開閉させても良い。
【0124】
また、消火栓収納箱30の前面左上部には通報装置パネル170が設けられる。通報装置パネル170には、赤色表示灯172、発信機174、応答ランプ176及び電話ジャック178が設けられている。赤色表示灯172は常時点灯し、消火栓設備の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機174を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ176が点灯され、更に、赤色表示灯172が点滅される。
【0125】
(消火栓設備の動作)
トンネル10内で火災を伴う車両事故が発生した場合には、利用者は火災発生場所に近い消火栓設備16に出向き、通報装置パネル170の発信機174を押して監視センターの防災受信盤に火災通報信号を送信し、防災受信盤から確認応答信号を受信して応答ランプ176が点灯されると共に赤色表示灯172が点滅され、監視センター側への通報完了を確認する。
【0126】
続いて、道路15側から消火作業を行うため、消火栓収納箱30の前開きハンドル34を操作して係止を解除すると、前扉32がスライド落下して開放され、また、上扉36を前開きすると、前開きした上扉36の裏面に係止された泡ノズル162が上部に露出される。
【0127】
利用者はノズルホルダー164から泡ノズル162を取り外してホース160を引き出すが、このとき引き出されるホース160はガイドパイプ154、156に摺接しながら、滑らかに引き出される。
【0128】
なお、消火栓収納箱30の前に車両が停止していて前面側から操作できない場合には、利用者は監視員通路14から操作することになる。
【0129】
続いて、消火栓収納箱30の開口空間の右側に配置されている操作箱166に設けられた消火栓弁開閉レバー168を開方向に操作すると、手動パイロット弁140が開放され、分岐配管24aからの消火用水がパイロット配管136a、手動パイロット弁140及びパイロット配管136bを介して消火栓弁122のシリンダ室130に供給されてパイロット圧が加圧され、スプリング134に抗してピストン132を外側にストロークさせ、弁体135を弁座から離すことで消火栓弁122が開放される。
【0130】
消火栓弁122が開放されると給水本管24からの消火用水が消火栓弁122、自動調圧弁124、泡混合器126を介して給水配管25から消火栓収納箱30のホース160に向かって流れ、泡混合器126で泡原液が所定割合で混合され、消火栓収納箱30から引き出されたホース160の泡ノズル162から泡消火用水が放出される場合に、空気を巻き込むことで形成される消火泡が放出される。
【0131】
また、消火栓弁122が開放された場合に、ポンプ起動信号を消火ポンプ設備に送信して起動させる必要があることから、水圧を検知してオンする圧力スイッチ145を消火栓弁122の2次側に設けている。なお、圧力スイッチ145に代えて、消火栓弁開閉レバー168の開操作でオンしてポンプ起動信号を送信する消火栓弁開検出スイッチを操作箱166に設けても良い。
【0132】
火災が鎮火して消火作業が終了した場合には、消火栓弁開閉レバー168を閉位置に戻し、手動パイロット弁140を閉鎖させる。続いて、オリフィス146を介してシリンダ室130の水がゆっくりと排水され、パイロット圧がゼロに減圧され、スプリング134によりピストン132が押し戻されて弁座に当接させ、これにより消火栓弁122が閉鎖して消火泡の放出が停止される。
【0133】
また、放水制御機構を点検する場合には、担当者が管理用通路20に配置された放水制御機構収納部120に出向き、手動開放弁142を開くと、シリンダ室130に消火用水が供給されてパイロット圧が加圧され、消火栓弁122を開放させて所定の放水試験を行わせることを可能とする。この場合、消火栓弁122を閉鎖させるために、手動排水弁144を開くようにしても良い。
【0134】
[本発明の変形例]
(第1及び第2開閉機構)
上記の実施形態に示した第1及び第2開閉機構は一例であり、上扉の前開きに伴い前扉の係止を解除してスライド開放させ、また、前扉を閉鎖位置に保持したまま上扉を後ろ開きさせる機能であれば、適宜の機構が含まれる。
【0135】
(泡消火栓設備)
上記の実施形態は、消火泡を放出させる泡消火栓設備を例にとっているが、これに限定されず、消火用水を放水させる消火栓設備としても良い。
【0136】
(その他)
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0137】
10:トンネル
12:トンネル壁面
14:監視員通路
15:道路
16:消火栓設備
18:床版
20:管理用通路
22:ダクト
24:給水本管
24a:分岐配管
25:給水配管
28:筐体
30:消火栓収納箱
28:筐体
31:前面扉開口
32:前扉
33:上面扉開口
34:前開きハンドル
34a:ハンドル本体
35:固定扉
36:上扉
38:後開きハンドル
40:ガススプリング
42a,42b:ロッド棒
44a,44b:ロッド連結部
46a,46b:ロッド取付軸
48a,48b:コ字形リンク
50a,50b:ヒンジ
52a,52b:ヒンジガイド部材
54a,54b:コイルバネ
56a,56b:ヒンジ受け部材
58a,58b:ロック片
60a:前扉ハンガー部
60b:上扉ハンガー部
62a,62b:フック
64a,64b:支持金具
65a,65b:フック爪
66a,66b:ねじピン
68a,68b:巻バネ
100:前扉押上機構
108:磁気吸着機構
120:放水制御機構収納部
122:消火栓弁
124:自動調圧弁
126:泡混合器
128:泡原液タンク
130:シリンダ室
132:ピストン
134:スプリング
135:弁体
136a,136b:パイロット配管
140:手動パイロット弁
142:手動開放弁
144:手動排水弁
145:圧力スイッチ
146:オリフィス