(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ニコチン粉末送達システム
(51)【国際特許分類】
A61M 15/06 20060101AFI20230306BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20230306BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20230306BHJP
【FI】
A61M15/06 C
A61M15/00 Z
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2021128118
(22)【出願日】2021-08-04
(62)【分割の表示】P 2018529303の分割
【原出願日】2016-12-08
【審査請求日】2021-09-03
(32)【優先日】2015-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ズベール ジェラール
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-505905(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166350(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0000518(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0206350(US,A1)
【文献】米国特許第04069819(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/06
A61M 15/00
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン粉末送達システムであって、
吸入器物品であって、
マウスピース部分と遠位端部分の間に延びる吸入器本体と、
前記吸入器本体内、および前記マウスピース部分と前記遠位端部分の間に配置されたニコチン粉末容器と、
前記吸入器本体を通り前記ニコチン粉末容器内に延びる空気吸込み口ポートと、
前記ニコチン粉末容器を前記マウスピースの近位端と流体接続させるマウスピース空気チャネル
であって、前記マウスピース部分が、前記ニコチン粉末容器を前記マウスピースの近位端に流体接続する少なくとも二つの平行かつ同延の気流チャネルを有する、前記マウスピース空気チャネルとを備えるものと、
前記ニコチン粉末容器内に配置されているニコチン粉末を含むニコチン粉末カプセルであって、空気が前記空気吸込み口ポートから前記マウスピース空気チャネルに流れる時、前記ニコチン粉末カプセルが長軸方向軸の周りを回転するものとを備える、ニコチン粉末送達システム。
【請求項2】
前記空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末カプセルの前記長軸方向軸からオフセットされている、請求項1に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項3】
前記ニコチン粉末容器が円形の断面形状を有し、かつ前記空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末容器に正接する、請求項1または2に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項4】
前記空気吸込み口ポートが第一の空気吸込み口ポートおよび第二の空気吸込み口ポートを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項5】
前記ニコチン粉末容器が円形の断面形状を有し、かつ前記第一の空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末容器に正接し、前記第二の空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末容器に正接する、請求項4に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項6】
前記第一の空気吸込み口ポートが前記第二の空気吸込み口ポートに対向する、請求項5に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項7】
前記ニコチン粉末容器が円形の断面形状および第一の直径を有し、また前記ニコチン粉末カプセルが前記第一の直径よりも小さい第二の直径を有し、前記第二の直径が前記第一の直径約80%~約99%の範囲であるか、または前記第二の直径が前記第一の直径の約90%~約98%の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項8】
遠位端部分が有するエンドキャップ要素が約120mm WGよりも大きな引き出し抵抗(RTD)を有し、前記ニコチン粉末送達システムが約50mm WG~約100mm WGの範囲の引き出し抵抗(RTD)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項9】
前記ニコチン粉末がニコチンを含む粒子を含み、約10マイクロメートル以下、または約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項10】
前記ニコチンを含む粒子がニコチン塩またはニコチン塩水和物を含む、請求項9に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項11】
前記ニコチンを含む粒子が、ロイシン被覆またはL-ロイシン被覆などのアミノ酸被覆を含む、請求項9または10に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項12】
前記ニコチン粉末カプセルが、風味を含む粒子を含み、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する、請求項9または10に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項13】
前記エンドキャップ要素を通過し、前記ニコチン粉末カプセルに単一の開口部を貫通させる貫通要素をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のニコチン粉末送達システム。
【請求項14】
請求項1~1
3のいずれか一項に記載の複数のニコチン粉末送達システムを含む
吸入器物品であって、貫通要素が前記
吸入器物品に固定され、かつ前記貫通要素が前記エンドキャップ要素を通過し、前記ニコチン粉末カプセルに単一の孔を貫通させ、また前記ニコチン粉末送達システムが消費のために前記貫通要素および
吸入器物品から取り外される、
吸入器物品。
【請求項15】
請求項1~1
4のいずれか一項に記載の複数の前記ニコチン粉末送達システムを含む
吸入器物品であって、複数の貫通要素が前記
吸入器物品に固定され、前記貫通要素の数が前記ニコチン粉末送達システムの数と等しい、
吸入器物品。
【請求項16】
前記複数の貫通要素のそれぞれが、対応するニコチン粉末カプセルに見当合わせされて挿入され、前記ニコチン粉末カプセル内に単一の開口部を形成する、請求項1
5に記載の
吸入器物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入器物品および吸入器物品内に配置されたニコチン粉末カプセルを含む、ニコチン粉末送達システムに関連する。ニコチン粉末カプセルは、空気が吸入器物品を通して流れる時、長軸方向軸の周りを回転しうる。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器(DPI)が周知であり、医薬品を含む乾燥粉末をエアロゾルの形態で、吸入によって患者の気道に送達することによって、呼吸器疾患を治療するために使用される。肺の中に送達するためには、1~5マイクロメートルの範囲の粒子が好ましい。医薬品乾燥粉末において、医薬品有効成分(API)は、より大きい担体粒子(ラクトースなど)の表面上に凝集している。DPIは複雑な機構で動作して、こうした凝集が分散、粉砕、または脱凝集されることを確実にし、その後、APIを肺の中へと吸い込むことができるようになる。担体としてラクトースを含有する医薬品乾燥粉末は20~100マイクロメートルの範囲とすることができる。
【0003】
DPIは患者の吸入力に依存して装置からの粉末を混入し、その後、粉末を粉砕して、肺に入ることができるほどに小さい粒子にする。正しい用量および粉末の完全な脱凝集を確実にするために、十分に高い吸入量が要求される。通常は大量のAPIが担体の表面に付着したまま残り、粉末の不完全な脱凝集によって上部気道に沈着される。既存のDPIの吸入量は通常、20~100リットル/分(L/min)の範囲内である。従って、既存のDPIは、喫煙物品での吸入量とは異なる方法で乾燥粉末をユーザーに送達することにしか適していない。
【0004】
従来的な喫煙方法での吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、ニコチン粒子を肺に送達するニコチン粉末送達システムを提供することが望ましいであろう。従来的な紙巻たばこと同様なサイズおよび構成の吸入器物品を備えたニコチン粉末送達システムを提供することもまた望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
ニコチン粉末送達システムは、吸入器物品および吸入器物品内に配置されたニコチン粉末カプセルを含む。吸入器物品を通した気流管理は、貫通可能なニコチン粉末カプセルを回転させ、ニコチン粉末を気流内に放出しうる。
【0006】
吸入器物品は、マウスピース部分と遠位端部分の間に延びる吸入器本体を含む。ニコチン粉末容器は、吸入器本体内に、およびマウスピース部分と遠位端部分の間に配置される。空気吸込み口ポートは、吸入器本体を通して、ニコチン粉末容器内に延びる。マウスピース空気チャネルは、ニコチン粉末容器をマウスピースの近位端と流体接続する。ニコチン粉末を含むニコチン粉末カプセルは、ニコチン粉末容器内に配置される。ニコチン粉末カプセルは、空気が空気吸込み口ポートからマウスピース空気チャネルに流れる時、長軸方向軸の周りを回転しうる。
【0007】
ニコチンを含む粒子を含むニコチン粉末を含む、すぐに消費できる状態にあるニコチンカプセルについて説明されており、このニコチンカプセルは、エアロゾル化したニコチン粉末を単一の開口部を通して放出するために、ニコチンカプセルを通る単一の開口部のみを有しうる。
【0008】
ニコチンを吸入する方法は、ニコチン粉末吸入器を通して空気を吸入する工程を含み、ここで、ニコチン粉末吸入器は、ニコチンカプセルを通る単一の開口部のみを有するニコチンカプセルを含む。ニコチン粉末は、約2リットル/分未満の気流量で、単一の開口部を通して空気内に放出され、ニコチン粉末をユーザーの肺に送達する。
【0009】
有利なことに、本明細書に記述されるニコチン粉末送達システムは、従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量でニコチンを送達する単純な吸入器およびカプセルシステムを提供しうる。有利なことに、ニコチン粉末送達システムは、ニコチン粉末放出のための単一の開口部を有するカプセルを利用しうる。有利なことに、単一の開口部は、ニコチン粉末送達システムの毎回の吸入または「吸煙」に伴う制御されたニコチン粉末放出を提供しうる。有利なことに、単一の開口部はニコチン粉末の急速な枯渇を阻止しうる。有利なことに、ニコチン粉末カプセルを回転することで、ニコチン粉末を浮遊させることができ、吸入器物品の気流チャネルを通して移動する吸入空気中でニコチン粉末をエアロゾル化する。
【0010】
風味粒子はニコチン粉末と組み合わせられうる。これらの風味粒子は、ニコチン粒子よりも大きくてもよく、またニコチン粒子をユーザーの肺に送るのを助け、一方で風味粒子はユーザーの口または口腔に優先的に残る。
【0011】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0012】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費または吸入の間にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図される、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を意味する。「風味剤」または「風味」という用語は、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3~27(例えば、Hall, R.L. & Oser, B.L., Food Technology, February 1965 pg 151-197)、GRAS風味付け物質27(S.M. Cohen et al., Food Technology Aug. 2015 pg. 40-59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4~26に開示された化合物を意味することが好ましい。本開示の目的において、ニコチンは風味剤または風味としては考えられない。
【0013】
本明細書で述べる粒子のサイズは、粒子の空気動力学的粒子径を意味することが好ましい。粉末システムの空気動力学的粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0014】
本開示は、吸入器物品を含むニコチン粉末送達システムに関連し、ニコチン粉末を含むニコチン粉末カプセルは吸入器物品内に配置されている。ニコチン粉末カプセルは、空気が吸入器物品を通して流れる時、長軸方向軸の周りを回転しうる。ニコチン粉末カプセルは、ニコチン粉末カプセルを通る唯一の開口部のみ(つまり、開口部一つ以下または二つ未満)を形成するように貫通されうる。ニコチン粉末およびオプションの風味粒子は、消費中に単一の開口部を抜け出しうる。吸入器物品を通した気流管理は、ニコチン粉末カプセルをニコチン粉末容器内で回転またはスピンさせて、ニコチン粉末のエアロゾルおよびオプションの風味粒子をマウスピースチャネル内に放出し、ユーザーに送達しうる。
【0015】
ニコチン粉末送達システムは、ニコチン粒子を優先的にユーザーの肺に提供し、オプションの風味粒子を優先的にユーザーの頬部または口腔に提供する。ニコチン粉末構成要素およびオプションの風味粉末構成要素の相対的粒子サイズは、相互に組み合わせられた時でも安定を保つことができ、また自由流動の粉末であることが好ましい。ニコチン粉末は、単純な吸入器構造物を用いて、従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で送達されてもよい。
【0016】
吸入器物品はマウスピース部分と遠位端部分の間に延びる吸入器本体と、吸入器本体内およびマウスピース部分と遠位端部分の間に配置されるニコチン粉末容器とを含む。空気吸込み口ポートは、吸入器本体を通して、ニコチン粉末容器内に延びる。マウスピース空気チャネルは、ニコチン粉末容器およびマウスピースの近位端に流体接続する。吸入器本体は紙巻たばこと類似しうることが好ましい。
【0017】
空気吸込み口ポートは、ニコチン粉末容器内でニコチン粉末カプセルを回転またはスピンさせるように配置・構成されうる。ニコチン粉末カプセルは、中心軸に沿った長さだけ延びる円形断面を備えた長円形状を有しうる。空気吸込み口ポートは、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチン粉末カプセルの長軸方向(中心)軸に対して実質的に直行する方向で、ニコチン粉末容器内に空気を配向しうる。
【0018】
空気吸込み口ポートは、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチン粉末カプセルの長軸方向(中心)軸からオフセットしうる。オフセットした空気吸込み口は、消費者による吸入中にニコチン粉末容器内で、ニコチン粉末カプセルの回転またはスピンを誘発しうる。空気吸込み口ポートは、ニコチン粉末カプセルの長軸方向(中心)軸から約2mm、または約3mm、または約4mmだけオフセットしうる。一つ以上の空気吸込み口ポートは、約0.5~1.5mm、または約0.7~約0.9mmの直径を有しうる。空気吸込み口ポートは、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチン粉末カプセルの外径に正接して空気を配向することが好ましい。
【0019】
ニコチン粉末容器は、その中心軸に沿って(長さの距離だけ)延び、円筒形のニコチン粉末容器を形成する、円形の断面形状を有しうることが好ましい。ニコチン粉末容器は、中心軸に沿って延びる長さを持つ、ある半径を備えた直円柱を画定することが好ましい。空気吸込み口ポートは、円筒形のニコチン粉末容器に正接して、ニコチン粉末容器に進入しうる。円筒形のニコチン粉末容器に正接してニコチン粉末容器に進入する二つの空気吸込み口ポートがある。これらの空気吸込み口ポートは相互に対向し、第一の空気吸込み口ポートは第一の方向で、円筒形のニコチン粉末容器に正接して空気を配向し、第二の空気吸込み口ポートは、対向する、つまりは第一の方向と反対方向である第二の方向で、円筒形のニコチン粉末容器に正接して空気を配向することが好ましい。これらの対向する空気吸込み口ポートは、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチン粉末カプセルの反対側で吸入空気を配向し、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチン粉末カプセルの回転を促進しうる。
【0020】
ニコチン粉末容器は、第一の直径を備えた円形の断面形状を有しうることが好ましい。ニコチン粉末容器内に収容されたニコチン粉末カプセルは、第一の直径よりも小さい第二の直径を有する。(ニコチン粉末カプセルの)第二の直径は、(ニコチン粉末容器の)第一の直径の約80%~約99%、または約90%~約98%の範囲としうることが好ましい。ニコチン粉末カプセルの直径は、ニコチン粉末容器の直径よりも約0.5~約2mmだけ小さいか、ニコチン粉末容器の直径よりも約1~約2mmだけ小さくしうることが好ましい。ニコチン粉末容器は、約10mm~約30mm、または約15mm~約25mm、または約20mmの範囲の長さを有しうる。
【0021】
エンドキャップ要素は、約120mm WGよりも大きいか、約120mm WG~約200mm WGの範囲もしくは約120mm WG~約150mm WGの範囲の引き出し抵抗(RTD)を有する任意の貫通可能な材料で形成されうる。エンドキャップ要素を形成する有用な一つの材料は、酢酸セルロースまたは高密度酢酸セルロースとしうる。以下に説明する通り、貫通要素はエンドキャップ要素を貫通し、かつニコチン粉末カプセルの壁を貫通する単一の開口部を形成しうる。エンドキャップ要素を形成する材料は、材料内に形成された穴を実質的に塞ぎ、貫通要素が貫通要素から取り外されるとエンドキャップ要素を形成しうる。エンドキャップ要素は、約2mm~約20mm、または約5mm~約15mm、または約8mm~約12mm、または約10mmの範囲の長さを有しうる。
【0022】
マウスピース部分は有用な任意の材料で形成されうる。マウスピース部分は、ニコチン粉末容器をマウスピースの近位端に流体接続する少なくとも一つの気流チャネルを持つ。マウスピース部分は、ニコチン粉末容器をマウスピースの近位端に流体接続する少なくとも二つの平行かつ同延の気流チャネルを有しうる。一つ以上のマウスピース気流チャネルは、少なくとも約0.5mmの直径を有し、また約0.5mm~約2mm、または約1mm~約2mmの範囲でもよい。一つ以上のマウスピース気流チャネルは、マウスピース部分の長さに沿って線形としうることが好ましい。マウスピース部分は、約10mm~約25mm、または約10mm~約20mmの範囲の長さ、または約15mmの長さを有しうる。
【0023】
ニコチン粉末送達システムは、100mm WG未満、または約50mm WG~約100mm WGの範囲の全体的な引き出し抵抗(RTD)を有しうる。ニコチン粉末送達システムは紙巻たばこの構成を模倣しうる。ニコチン粉末送達システムまたは吸入器は、約40mm~約110mm、または約40mm~約80mmの範囲の長さ、および約5mm~約10mm、または約7mm~約8mmの範囲の直径を有しうる。
【0024】
ニコチン粉末カプセルはニコチン粉末容器内に配置されうる。ニコチン粉末カプセルは、空気が一つ以上の空気吸込み口ポートから、ニコチン粉末容器を通過して、マウスピース空気チャネルに流れる時、その長軸方向軸または中心軸の周りを回転するように構成されうる。カプセルは、吸入器によって貫通または穿孔されうる気密材料で形成されてもよい。汚染物質をカプセル外に保つ役目を果たしうるが、カプセル内の粉末が消費される前に、貫通要素によって貫通または穿孔されうる金属材料または高分子材料でカプセルは形成されうる。カプセルはポリマー材料で形成されうる。ポリマー材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)としうる。カプセルはサイズ2~サイズ4のカプセル、またはサイズ3のカプセルであることが好ましい。
【0025】
ニコチン粉末カプセルは、ニコチン粒子を含むニコチン粉末(「ニコチン粉末」または「ニコチンを含む粒子」ともいう)およびオプションの風味粒子を含む。ニコチン粉末カプセルは、所定の量のニコチン粒子およびオプションの風味粒子を含みうる。カプセルは、少なくとも2回のニコチンの吸入または「吸煙」、または少なくとも約5回のニコチンの吸入または「吸煙」、または少なくとも約10回のニコチンの吸入または「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含みうる。カプセルは、約5~50回のニコチンの吸入または「吸煙」、または約10~30回のニコチンの吸入または「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含みうることが好ましい。毎回のニコチン粒子の吸入または「吸煙」は、約0.1mg~約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg~約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達しうる。毎回の「吸煙」で、約50~約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達されることが好ましい。
【0026】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または含みうる。カプセルは約30mg未満のニコチン粒子、または約25mg未満のニコチン粒子、または20mg未満のニコチン粒子を保持しうる、または含む。カプセルは、約5mg~約30mgのニコチン粒子、または約10mg~約20mgのニコチン粒子を保持または含みうる。
【0027】
カプセルの中で風味粒子がニコチン粒子とブレンドまたは組み合わせられた時、毎回の吸入または「吸煙」でユーザーに送達される所望の風味を提供する量の風味粒子が存在する。
【0028】
ニコチンを含む粒子は、優先的にユーザーの肺に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。粉末システムは、約10マイクロメートル以下の粒子サイズの粒子から成る粉末システムのニコチンの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約5マイクロメートル以下の粒子サイズの粒子から成る粉末システムのニコチンの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムのニコチンの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0029】
ニコチン粉末中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬品として許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であってもよい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選ばれてもよい。例えば、サリチル酸ニコチンは抗炎症薬または鎮痛剤として解熱のために投与されてもよく、フマル酸ニコチンは多発性硬化症を治療するために投与されてもよく、モノ-ピルビン酸ニコチンは慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療または減量のために投与されてもよい。
【0030】
ニコチンを含む粒子はアミノ酸を含みうる。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであってもよいことが好ましい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供すること、特にニコチンもしくはニコチンを含む粒子をアミノ酸で被覆することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、従ってニコチン粒子の凝集を低減する場合がある。同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減する場合があり、従ってニコチン粒子の風味粒子との凝集も低減する場合がある。本明細書に記述される粉末システムは従って、自由流動の材料であってもよく、またニコチン粒子と風味粒子とが組み合わせられる時でも、各々の粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有しうる。
【0031】
ニコチンは表面修飾したニコチン塩であってもよいことが好ましく、その場合、ニコチン塩粒子は被覆された粒子である。好ましい被覆材料はL-ロイシンである。特に有用な一つのニコチン粉末は、L-ロイシン被覆された重酒石酸ニコチンである。
【0032】
ニコチン粉末カプセルは、オプションとして風味粒子を含みうる。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。
【0033】
粉末システムは、約20マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0034】
風味剤または風味は、固体の風味として(約22℃の室温および1気圧で)提供されてもよく、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含んでもよい。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。本明細書に記述される風味剤は、ニコチン粉末構成要素の味覚特性または芳香特性をその消費または吸入の間に変化させるために、または変化させるよう意図するために選択・利用される感覚刺激性の化合物、組成物、または材料である。
【0035】
風味剤または風味は、天然または合成に由来する各種の風味材料を意味する。これらには、単一の化合物および混合物が含まれる。風味または風味剤は、消費中にニコチン粉末構成要素の体験を高める風味特性を有することが好ましい。風味は、可燃性喫煙物品の喫煙の結果から得られるものと類似する体験を提供するように選択されることが好ましい。例えば、風味または風味剤は、口充足感および複雑さなどの風味特性を高めうる。複雑さは、単一の感覚属性が支配的になることなく、より豊かな風味の全体的なバランスが取れていることとして、一般的に知られている。口充足感は、消費者の口および喉の中での豊かさと量の知覚として説明される。
【0036】
適切な風味には例えば、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミントおよびスペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果実風味、γ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
その他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が含まれてもよい。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2-ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis-3-ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、iso-s吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0038】
風味のさらなる特定の実施例は、現在の文献から見いだされる場合があり、また風味付け、すなわち、臭いまたは味覚を製品に付与する当業者に周知である。
【0039】
風味剤は力価の高い風味剤であってもよく、吸入気流内で結果的に200百万分率未満となるレベルで使用・検出される場合がある。こうした風味剤の例は、β-ダマセノン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、フェニルアセトアルデヒド、グアイアコール、およびフラネオールなどの主なたばこ芳香化合物である。その他の風味剤は、より高い濃度レベルで人間によってのみ感知されうる。本明細書で力価がより低い風味剤と呼ばれるこれらの風味剤は一般に、吸入空気内に放出される風味剤が結果的に、桁違いに多い量のレベルで使用される。力価のより低い適切な風味剤には例えば、天然メントールまたは合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、およびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、およびリナロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含んでもよい。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成してもよい。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムである。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減し、また風味粒子の間の引力を低減する場合があり、従って風味粒子の凝集を低減する場合がある。ひいては、ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減する場合がある。従って、本明細書に記述される粉末システムは、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、ニコチンを含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。粉末システムは自由流動であることが好ましい。
【0041】
乾燥粉末吸入用の従来的な製剤は一般に、活性粒子が吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有する。これらの担体粒子は通常、約50マイクロメートル超の粒子サイズのラクトースまたはマンニトールなどのサッカリドである。担体粒子は製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用される。本開示において、ラクトースまたはマンニトールなどの担体粒子は風味剤または風味材料であると見なされない。
【0042】
本明細書に記述されるニコチン粉末送達システムとともに利用される粉末システムは、担体を含まなくてもよく、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まなくてもよい。担体を含まない、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないことによって、ニコチンは吸入され、かつ一般的な喫煙方法での吸入量または気流量と類似の吸入量または気流量で、ユーザーの肺に送達できるようになる場合がある。さらに、ニコチンは担体を含まないか、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないため、吸入器の気流経路は単純な幾何学的形状または単純な構成を有しうる。
【0043】
ニコチン粉末と風味は、単一のカプセル内に組み合わせられてもよい。上述の通り、ニコチン粉末と風味はそれぞれ、低減された接着力を有してもよく、それらが安定した粉末製剤をもたらし、この場合ではニコチン粉末と風味が組み合わせられた時に各構成要素の粒子サイズは実質的に変化しない。別の方法として、粉末システムは、単一のカプセルの中に収容されたニコチン粒子と、第二のカプセルの中に収容された風味粒子とを含みうる。
【0044】
ニコチン粒子および風味粒子は、ニコチン粒子とともに消費された時にユーザーによって風味粒子が検出されるように、任意の有用な相対的な量で組み合わせられてもよい。ニコチン粒子および風味粒子は、粉末システムの全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0045】
このニコチン粉末送達システムおよび吸入器はあまり複雑でないものとすることができ、既存のDPIと比較して簡易な粉末貯蔵場所および気流経路を有しうる。本明細書に記述されるニコチン粉末送達システムおよび吸入器は、上述した典型的な担体成分(ラクトースなど)を必要としない場合がある。有利なことに、吸入器内でのニコチン粉末カプセルの回転によって、ニコチン粉末をエアロゾル化し、自由流動の粉末の維持に役立ちうる。こうして、吸入器は、上述の乾燥ニコチン粉末を肺に深く送達するために、従来的なDPIの典型的な高い吸入量を必要としない。
【0046】
本発明によるニコチン吸入器は、約5 L/分未満または約3 L/分未満または約2 L/分未満または約1.6 L/分の流量を使用して作動しうる。流量は約1 L/分~約3 L/分、または約1.5 L/分~約2.5 L/分の範囲内であることが好ましい。吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)喫煙方法のそれと同様であり、約 1.6 L/分であることが好ましい。
【0047】
本明細書に記述されるニコチン吸入器は、従来的な紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングなど、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少容量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少容量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定してもよい。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定してもよく、気道の上皮表面に送達される有効な薬剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0048】
金属針または剛直な針などの貫通要素が、カプセルを通る単一の開口部を形成する。カプセルはニコチン粉末容器内に受けられ、また貫通要素はニコチン粉末容器内に受けられるカプセル内に開口部を貫通しうる。貫通要素はエンドキャップ要素を通過しうる。
【0049】
貫通要素は、物品または複数のニコチン粉末送達システムを収容する包装用容器に、またはその内部に含まれうる。貫通要素は物品または包装用容器に固定されうる。単一の貫通要素は物品または包装用容器に固定されうることが好ましく、またユーザーが、ニコチン粉末吸入器のエンドキャップを通して、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチンカプセル内に貫通要素を挿入して、カプセルを通る単一の開口部を形成することによって、ニコチン粉末吸入器内に収容されたニコチンカプセルに手動で穴をあけうることが好ましい。次にユーザーは貫通要素からニコチン粉末吸入器を引き出して、ニコチン粉末を消費する。
【0050】
別の方法として、物品または包装用容器内に同数の貫通要素およびニコチン粉末送達システムがあってもよい。貫通要素は、それぞれのニコチン粉末吸入器エンドキャップと、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチンカプセルに見当合わせされて挿入され、各カプセルを通る単一の開口部を形成する。次にユーザーは、各ニコチン粉末吸入器をそのそれぞれの貫通要素から引き出して、ニコチン粉末を消費する。
【0051】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を持つ。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0052】
「上流」および「下流」という用語は、吸入器本体を通して遠位端部分からマウスピース部分に引き出される際の吸入気流の方向に関して説明された吸入器の要素の相対的な位置を意味する。
【0053】
単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は本明細書で使用される場合、複数形の対象を有する実施形態を含蓄するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0054】
「または」は一般的に、本明細書で使用される場合、「および/または」を含めた意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つまたはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0055】
「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは本明細書で使用される場合、制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これに限定されない」を意味する。「から本質的に成る」、「から成る」、およびこれに類する用語は、「含む」およびこれに類するものに包摂されることが理解されるであろう。
【0056】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定のメリットをもたらし得る本発明の実施形態を指す。ただし、同一またはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものでありうる。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、例示的なニコチン粉末送達システム1の概略図である。
【
図2】
図2は、例示的なニコチン粉末送達システム1の概略図である。
【
図3】
図3は、例示的なニコチン粉末送達システム1を包装する、例示的な物品11、12の概略図である。
【
図4】
図4は、例示的なニコチン粉末送達システム1を包装する、例示的な物品11、12の概略図である。
【
図5】
図5は、例示的なニコチン粉末送達システム1を包装する例示的な物品12の側面概略図である。
【0058】
概略図の縮尺は必ずしも正確なものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を図示する。ただし、図面に描かれていないその他の態様が本開示の範囲および精神に則るものと理解される。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1および
図2を参照すると、ニコチン粉末送達システムは、マウスピース部分5と遠位端部分3またはエンドキャップ要素3との間に延びる吸入器本体2を含む吸入器物品1を含む。カプセルくぼみ8を画定するニコチン粉末容器9は、吸入器本体2内およびマウスピース部分5と遠位端部分3の間に配置される。空気吸込み口ポート4は、吸入器本体2を通り、ニコチン粉末容器9内に延びる。マウスピース空気チャネル10は、ニコチン粉末容器9をマウスピース5の近位端と流体接続する。ニコチン粉末カプセル6は、ニコチン粉末容器9内に配置される。ニコチンを含む粒子7および風味を含むオプションの粒子は、ニコチン粉末カプセル6内に配置される。上述の通り、貫通要素は遠位端部分3またはエンドキャップ要素3を通過して、消費のためにニコチン粉末カプセル6内に単一の開口部を形成しうる。空気吸込み口ポート4を通した気流管理によって、空気が空気吸込み口ポート4から下流にマウスピース空気チャネル10へと流れる時、ニコチン粉末カプセル6をその長軸方向軸の周りで回転させる。
【0060】
図3は、例示的なニコチン粉末送達システム1を包装する例示的な物品11の側面概略図である。物品11は、複数のニコチン粉末送達システム1および単一の貫通要素13を含む容器15を含む。ユーザーは、ニコチン粉末送達システム1を容器15から取り外し、また貫通要素13がカプセル6を貫通して、カプセル6を通る単一の開口部を形成するまで、ニコチン粉末送達システム1のエンドキャップ要素3を貫通要素13に挿入する。次にユーザーは貫通したニコチン粉末送達システム1を貫通要素13から取り外して、ニコチン粉末を消費する。貫通要素13は物品11に固定される。貫通されたニコチン粉末送達システム1は、貫通要素13の位置を図示するために、断面で示されている。
【0061】
図4は、例示的なニコチン粉末送達システム1を包装する例示的な物品12の上面概略図である。
図5は、例示的なニコチン粉末送達システム1を包装する例示的な物品12の側面概略図である。物品12は、複数のニコチン粉末送達システム1と、包装用容器12内の同数の貫通要素13およびニコチン粉末送達システム1とを含む容器15を含む。
【0062】
ここで、貫通要素13は、各貫通要素がカプセル6を通過して、カプセル6を通る単一の開口部を形成するように、各ニコチン粉末送達システム1上に予め装填される。ユーザーは貫通したニコチン粉末送達システム1を貫通要素13から取り外して、ニコチン粉末を消費する。複数の貫通要素13は、物品12に固定される。一つのニコチン粉末送達システム1が、それぞれの貫通要素13の位置を図示するために、断面で示されている。貫通要素13は、それぞれのニコチン粉末吸入器エンドキャップ3と、ニコチン粉末容器内に収容されたニコチンカプセル6に見当合わせされて挿入される。次にユーザーは、各ニコチン粉末吸入器1をそのそれぞれの貫通要素13から引き出して、ニコチン粉末を消費する。
【0063】
1. ニコチン粉末送達システムであって、
吸入器物品であって、
マウスピース部分と遠位端部分の間に延びる吸入器本体と、
前記吸入器本体内、および前記マウスピース部分と前記遠位端部分の間に配置されたニコチン粉末容器と、
前記吸入器本体を通り前記ニコチン粉末容器内に延びる空気吸込み口ポートと、
前記ニコチン粉末容器を前記マウスピースの近位端と流体接続させるマウスピース空気チャネルとを備えるものと、
前記ニコチン粉末容器内に配置されているニコチン粉末を含むニコチン粉末カプセルであって、空気が前記空気吸込み口ポートから前記マウスピース空気チャネルに流れる時、前記ニコチン粉末カプセルが長軸方向軸の周りを回転するものとを備えた、ニコチン粉末送達システム。
2. 前記空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末カプセルの前記長軸方向軸からオフセットされている、1に記載のニコチン粉末送達システム。
3. 前記ニコチン粉末容器が円形の断面形状を有し、かつ前記空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末容器に正接する、1または2に記載のニコチン粉末送達システム。
4. 前記空気吸込み口ポートが第一の空気吸込み口ポートおよび第二の空気吸込み口ポートを備える、1~3のいずれかに記載のニコチン粉末送達システム。
5. 前記ニコチン粉末容器が円形の断面形状を有し、かつ前記第一の空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末容器に正接し、前記第二の空気吸込み口ポートが前記ニコチン粉末容器に正接する、4に記載のニコチン粉末送達システム。
6. 前記第一の空気吸込み口ポートが前記第二の空気吸込み口ポートに対向する、5に記載のニコチン粉末送達システム。
7. 前記ニコチン粉末容器が円形の断面形状および第一の直径を有し、また前記ニコチン粉末カプセルが前記第一の直径よりも小さい第二の直径を有し、前記第二の直径が前記第一の直径約80%~約99%の範囲であるか、または前記第二の直径が前記第一の直径の約90%~約98%の範囲である、1~6のいずれかに記載のニコチン粉末送達システム。
8. 遠位端部分が約120mm WGよりも大きな引き出し抵抗(RTD)を有するエンドキャップ要素を有し、前記ニコチン粉末送達システムが約50mm WG~約100mm WGの範囲の引き出し抵抗(RTD)を有する、1~7のいずれかに記載のニコチン粉末送達システム。
9. 前記ニコチン粉末がニコチンを含む粒子を含み、約10マイクロメートル以下、または約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する、1~8のいずれかに記載のニコチン粉末送達システム。
10. 前記ニコチンを含む粒子がニコチン塩またはニコチン塩水和物を含む、9に記載のニコチン粉末送達システム。
11. 前記ニコチンを含む粒子が、ロイシン被覆またはL-ロイシン被覆などのアミノ酸被覆を含む、9または10に記載のニコチン粉末送達システム。
12. 前記ニコチン粉末カプセルが、風味を含む粒子を含み、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する、9または10に記載のニコチン粉末送達システム。
13. 前記エンドキャップ要素を通過し、前記ニコチン粉末カプセルに単一の開口部を貫通させる貫通要素をさらに備える、1~12のいずれかに記載のニコチン粉末送達システム。
14. 1~13のいずれかに記載の複数のニコチン粉末送達システムを含む物品であって、貫通要素が前記物品に固定され、かつ前記貫通要素が前記エンドキャップ要素を通過し、前記ニコチン粉末カプセルに単一の孔を貫通させ、また前記ニコチン粉末送達システムが消費のために前記貫通要素および物品から取り外される、物品。
15. ニコチンを含む粒子を含むニコチン粉末を含み、かつエアロゾル化されたニコチン粉末を単一の開口部を通して放出するために前記ニコチンカプセルを通る前記単一の開口部のみを有する、すぐに消費できるニコチンカプセル。
16. ニコチンを吸入する方法であって、
ニコチン粉末吸入器を通して空気を吸入することと、ニコチンカプセルを通る単一の開口部のみを有する前記ニコチンカプセルを含むことと、前記単一の開口部を通して約2リットル/分未満の気流量でニコチンを含む粒子を前記空気中に放出して前記ニコチン粉末をユーザーの肺に送達することとを含む、方法。
17. ニコチンを含む粒子を前記単一の孔を通して前記空気中に放出する時に、空気を吸入する前記工程が前記ニコチンカプセルを長軸方向軸の周りで回転させる、16に記載の方法。
18. 1~14のいずれかに記載の複数の前記ニコチン粉末送達システムを含む物品であって、複数の貫通要素が前記物品に固定され、前記貫通要素の数が前記ニコチン粉末送達システムの数と等しい、物品。
19. 前記複数の貫通要素のそれぞれが、対応するニコチン粉末カプセルに見当合わせされて挿入され、前記ニコチン粉末カプセル内に単一の開口部を形成する、18に記載の物品。