(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】腕時計等の時計又は宝飾品のための支持要素
(51)【国際特許分類】
G04D 1/06 20060101AFI20230306BHJP
G04B 43/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G04D1/06
G04B43/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132188
(22)【出願日】2021-08-16
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・キスリング
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/098853(WO,A1)
【文献】特開2009-153533(JP,A)
【文献】特表2017-526500(JP,A)
【文献】特開2019-155088(JP,A)
【文献】米国特許第5873457(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04D 1/06
G04B 1/00 - 99/00
A45C 11/00 - 11/16
A47F 7/02 - 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)であって、前記支持要素(100、200)は、前記時計(10)又は前記宝飾品と少なくとも部分的に直接接触するよう構成された受承表面(111)を含み、前記支持要素(100、200)は、前記受承表面(111)を支持する周縁部分(110)、及び材料のブロックで形成された中央部分(120、220)を含み、前記支持要素(100、200)は、前記支持要素(100、200)が、前記中央部分(120、220)に凹部を形成する内部キャビティ(130、230)を備え、前記内部キャビティが、前記支持要素(100、200)内に物体(140)を受承して所定の位置に保持するよう構成された容積を画定
し、
前記中央部分(120、220)は、発泡材料、エラストマ、又は粘弾性ポリマー製の少なくとも1つの領域を含み、前記内部キャビティ(130、230)は、発泡材料、エラストマ、又は粘弾性ポリマー製の前記領域に配置される
ことを特徴とする、支持要素(100、200)。
【請求項2】
時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)であって、前記支持要素(100、200)は、前記時計(10)又は前記宝飾品と少なくとも部分的に直接接触するよう構成された受承表面(111)を含み、前記支持要素(100、200)は、前記受承表面(111)を支持する周縁部分(110)、及び材料のブロックで形成された中央部分(120、220)を含み、前記支持要素(100、200)は、前記支持要素(100、200)が、前記中央部分(120、220)に凹部を形成する内部キャビティ(130、230)を備え、前記内部キャビティが、前記支持要素(100、200)内に物体(140)を受承して所定の位置に保持するよう構成された容積を画定
し、
前記中央部分(120、220)は、ポリウレタンフォーム又はポリエチレンフォーム製の少なくとも1つの領域を含み、前記内部キャビティ(130、230)は、ポリウレタンフォーム又はポリエチレンフォーム製の前記領域に配置される
ことを特徴とする、支持要素(100、200)。
【請求項3】
前記物体(140)は、前記内部キャビティ(130、230)の変形後の前記材料の弾性又は粘弾性応答により、前記内部キャビティ(130、230)内に保持されることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項4】
前記中央部分(120、220)は、ショアA30~90の
硬度を有することを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項5】
前記周縁部分(110)は、発泡材料、エラストマ又は粘弾性ポリマーで作製されることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項6】
前記周縁部分(110)及び前記中央部分(120)は一体として形成されることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項7】
前記内部キャビティ(130、230)は前記中央部分(120、220)の両側に延在することを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項8】
前記内部キャビティ(130、230)は、前記支持要素(100、200)内に時計付属品又は宝飾品を受承して所定の位置に保持するよう構成された、容積を画定することを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項9】
前記時計付属品は拡大装置であることを特徴とする、
請求項8に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項10】
前記内部キャビティ(130、230)は座ぐりの形状を有することを特徴とする、請求項1~
9のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項11】
前記支持要素(100、200)は、前記物体(140)を前記内部キャビティ(130、230)から取り外すことができるよう構成された取り外し部材(150)を備えることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(100、200)。
【請求項12】
前記中央部分(220)は、前記内部キャビティ(230)の周縁に形成された少なくとも1つの取り外し可能な部分(220b、220c)を備え、前記取り外し可能な部分(220b、220c)は、前記取り外し可能な部分(220b、220c)を前記中央部分(220)から取り外すと、前記内部キャビティ(230)の形状及び/又は寸法が修正されるよう構成されることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(200)。
【請求項13】
前記支持要素(200)は、前記受承表面(111)で腕時計を受承するよう適合された形状を有することを特徴とする、請求項1~
12のいずれか1項に記載の時計(10)又は宝飾品のための支持要素(200)。
【請求項14】
時計(10)又は宝飾品を収納するための部材(300)であって、前記部材(300)は、前記部材(300)が:
‐閉鎖位置と開放位置との間で可動である可動部分(312)を含む外部エンベロープ(311)であって、前記可動部分(312)の前記開放位置は、前記外部エンベロープ(311)の内側に形成された内部区画(315)へのアクセスを可能とする、外部エンベロープ(311);
‐前記内部区画(315)内に取り外し可能に位置決めされた、請求項1~
13のいずれか1項に記載の支持要素(100、200)を備えることを特徴とする、部材(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、物体、特に時計又は宝飾品の展示及び保護のための装置に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、収納部材及び/又は陳列スタンドに統合されるよう設計された、例えば腕時計のための取り外し可能な支持要素に関する。
【背景技術】
【0003】
箱又は保護的展示ケースといった収納部材の中で、時計又は宝飾品を展示することは公知の慣例である。
【0004】
このような収納部材は様々な形状をとることができ、また一般に、1つ以上の時計の収納及び/又は輸送を可能とする。これらの収納部材は従来より、陳列スタンド、箱、保護ケース、収納箱、ケース、エンクロージャ、ホルダ、ポーチ等と呼ばれている。
【0005】
従って、本出願の残りの部分では、用語「収納部材(storage member)」は、時計又は宝飾品を受承し、衝撃、引っ掻き傷、又は擦り傷から保護するよう設計されたケース、エンクロージャ、保護ケース、ホルダ、箱、陳列スタンド、収納空間、ポーチ、又はいずれの他の容器を指すために使用される。
【0006】
時計又は宝飾品の保護及び輸送のために従来より使用される収納部材は一般に、剛性設計を有し、また柔軟な、キルト状の、又はベルベットのような内部コーティングを有してよく、これにより、収納部材内に格納される物体に対する損傷のいずれのリスクを回避する保護ケースが形成される。
【0007】
これらの収納部材は一般に、少なくとも1つの区画を有し、これは、腕時計等の時計又は宝飾品を受承するよう設計された取り外し可能な支持要素の位置決めを可能とするよう構成される。これらの支持要素により、時計、又は宝飾品を上記区画内の特定の位置に維持し、収納部材を開放したときに物体が正確に所定の位置に存在するような、収納部材の中での物体の展示を考えることもできる。
【0008】
これらの支持要素は、支持機能を果たすだけでなく、時計の、又は宝飾品の内部要素を、擦り傷、ひっかき傷及び/又は衝撃から保護する。
【0009】
支持要素は、例えば腕時計用枕とも呼ばれる一種の取り外し可能なクッション、又は腕時計若しくは宝飾品を受承するよう適合されたC字型ストリップ若しくはブレードを有する可撓性支持体とすることができる。
【0010】
一部の収納部材はまた、例えばブレスレット、清掃用マイクロファイバ拭き取り布、宝飾品、拡大装置等といった様々な付属品を受承するようサイズ設定された追加の区画を含んでよい。
【0011】
しかしながら、複数の区画を有するこれらの収納部材は一般に、大型でかさ高い。従って、これらは頻繁な輸送、特に旅行にあまり適していない。従って、腕時計又は宝飾品の所有者が、外出又は旅行のために、元の収納部材を交換し、トラベルケース等の、寸法がより小さな他の収納部材を一時的に使用することを選択するのは一般的である。
【0012】
これらのトラベルケースはまた、小さな空間要件を提供しながら、腕時計又は宝飾品の輸送及び確実な保護を可能とする。
【0013】
しかしながらこれらのトラベルケースのコンパクト性を考慮すると、腕時計又は宝飾品以外に何も輸送できないことが多い。実際には、このようなケースの主目的は、衝撃、ひっかき傷及びすり傷からの効果的な保護を保証しながら、最適化されたコンパクト性を提供することである。従って、これらのケース又は補助的な収納部材は、追加の付属品の統合のための設計及びサイズ設定には全くなっていない。
【0014】
従って、ユーザは、追加の付属品の輸送ができないものの、空間要件が小さいことによって輸送及び旅行かばん内での収容が容易となっている、小型ケースを使用するか、又は大型でかさ高く、旅行かばんに収めるのに非実用的であるが、少なくとも1つの腕時計若しくは宝飾品と、ユーザがそれと共に輸送したい付属品とを輸送できる、収納部材を使用するかの選択を強いられる。
【0015】
この問題を克服するために、ユーザは、物体及び付属品に沿った中程度の寸法を有する新しい収納部材を購入することを選択できる。しかしながらこの解決策は、携行したい付属品のタイプ及び/又は個数に応じて収納部材の寸法を絶えず適合させなければならないユーザにとって、全く満足のいくものではなく、また経済的に実行可能なものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この文脈において、本発明は、上に提示した欠点の克服を可能とする、時計、特に腕時計、又は宝飾品のための新規の支持要素を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明は、時計、又は宝飾品のための支持要素に関し、上記支持要素は、上記時計、又は上記宝飾品と少なくとも部分的に直接接触するよう構成された受承表面を備え、上記支持要素は、上記受承表面を支持する周縁部分、及び材料のブロックで形成された中央部分を備え、上記支持要素は、上記支持要素が、上記中央部分に凹部を形成する内部キャビティを備え、上記内部キャビティが、上記支持要素内に物体を受承して所定の位置に保持するよう構成された容積を画定することを特徴とする。
【0018】
本発明による上記支持要素により、支持機能に加えて、上記支持要素の材料内に物体を統合して格納できる。従って、機能していない部分を削減することによって、このような支持要素のモジュール性が最適化される。
【0019】
従って、本発明による上記支持要素により、従来技術に存在する腕時計用枕タイプの支持要素の中央領域に位置する「無駄な(lost)」、即ちいずれの特定の機能も有さない容積の利用、強化、使用が可能となる。よって、この無駄になっていた容積を利用する、本発明によるこのような支持要素により、顧客にとって有用な物体を、更にかさばることなく統合できる。
【0020】
有利には、上記内部キャビティの形状は、上記支持要素の中に統合したい上記物体に一致する。従って、上記内部キャビティは必要に応じて、様々な形状、及び特に円形、楕円形、卵形、長方形、又は多角形形状の断面を有することができる。
【0021】
一実施形態によると、上記中央部分は、発泡材料、エラストマ、又は粘弾性ポリマー製の少なくとも1つの領域を含み、上記内部キャビティは、発泡材料、エラストマ、又は粘弾性ポリマー製の上記領域に配置される。従って、上記内部キャビティの材料によって、上記物体を維持できる。
【0022】
一実施形態によると、上記中央部分は、ポリウレタンフォーム又はポリエチレンフォーム製の少なくとも1つの領域を含み、上記内部キャビティは、ポリウレタンフォーム又はポリエチレンフォーム製の上記領域に配置される。
【0023】
一実施形態によると、上記物体は、上記内部キャビティの変形後の上記材料の弾性又は粘弾性応答により、上記内部キャビティ内に保持される。
【0024】
一実施形態によると、上記中央部分は、ショアA30~90の密度を有する。
【0025】
一実施形態によると、上記周縁部分は、発泡材料、エラストマ又は粘弾性ポリマーで作製される。従って、上記周縁部分の材料は、時計の位置決めのための、柔らかく、変形可能な接触を提供する。
【0026】
一実施形態によると、上記周縁部分及び上記中央部分は一体として形成される。従って、製造方法は簡略化される。
【0027】
一実施形態によると、上記内部キャビティは上記中央部分の両側に延在する。従って、上記内部キャビティ内の上記物体の取り外しが容易になる。
【0028】
一実施形態によると、上記内部キャビティは、上記支持要素内に時計付属品又は宝飾品を受承して所定の位置に保持するよう構成された、容積を画定する。従って、腕時計等の時計に加えて、支持要素に統合できる追加の時計付属品又は宝飾品を輸送できる。
【0029】
一実施形態によると、時計付属品は拡大装置である。従って、ユーザは、時計職人用拡大鏡を、更にかさばることなく容易に運ぶことができる。
【0030】
一実施形態によると、上記内部キャビティは座ぐりの形状を有する。この形状により、有利には、時計職人用拡大鏡を統合すること、及び位置決め用停止部材を形成することが可能となる。
【0031】
一実施形態によると、上記支持要素は、上記物体を上記内部キャビティから取り外すことができるよう構成された取り外し部材を備える。従って、ユーザは、上記支持要素の上記物体又は上記内部キャビティの損傷のリスクなしに、上記物体を上記内部キャビティから容易に取り外すことができるようにする手段を有する。
【0032】
一実施形態によると、上記中央部分は、上記内部キャビティの周縁に形成された少なくとも1つの取り外し可能な部分を備え、上記取り外し可能な部分は、上記取り外し可能な部分を上記中央部分から取り外すと、上記内部キャビティの形状及び/又は寸法が修正されるよう構成される。従って、1つ以上の取り外し可能な部分を上記中央部分から取り外すだけで、上記内部キャビティの寸法及び形状を調節できる。
【0033】
一実施形態によると、上記支持要素は、上記受承表面で腕時計を受承するよう適合された形状を有する。
【0034】
本発明の対象は、時計、又は宝飾品を収納するための部材でもあり、上記部材は、上記部材が、閉鎖位置と開放位置との間で可動である可動部分を含む外部エンベロープを備え、上記可動部分の上記開放位置は、上記外部エンベロープの内側に形成された内部区画へのアクセスを可能とし、本発明による支持要素が上記内部区画内に取り外し可能に位置決めされることを特徴とする。
【0035】
本発明の目的、利点及び特徴は、以下の図面を参照しながら以下の「発明を実施するための形態」を読むことにより、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明による支持要素の第1の例示的実施形態の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した支持要素の第1の例示的実施形態の側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した切断面A-Aに沿った、
図1に示した支持要素の第1の例示的実施形態の断面図である。
【
図4a】
図4aは、
図1に示した支持要素の例示的実施形態の第1の代替実施形態の側面図である。
【
図4b】
図4bは、
図2に示した切断面A-Aに沿った、
図4aに示した支持要素の第1の代替実施形態の断面図を示す。
【
図5a】
図5aは、
図1に示した支持要素の例示的実施形態の第2の代替実施形態の側面図である。
【
図5b】
図5bは、
図2に示した切断面A-Aに沿った、
図5aに示した支持要素の第2の代替実施形態の断面図を示す。
【
図6a】
図6aは、
図1に示した支持要素の例示的実施形態の第3の代替実施形態の側面図を示す。
【
図6b】
図6bは、
図2に示した切断面A-Aに沿った、
図6aに示した支持要素の第3の代替実施形態の断面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明による支持要素の第2の例示的実施形態の側面図を示す。
【
図8】
図8は、
図1に示した支持要素の第1の例示的実施形態の内部キャビティ内への付属品の導入を示し、支持要素は
図2に示した切断面A-Aに対する断面で示されている。
【
図9】
図9は、
図1に示した支持要素の第1の例示的実施形態の内部キャビティ内に格納された付属品を示し、支持要素は
図2に示した切断面A-Aに対する断面で示されている。
【
図10】
図10は、本発明による支持要素を受承するよう設計された収納部材の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明による支持要素100の第1の例示的実施形態の概略斜視図である。
【0038】
図2は、
図1に示した支持要素100の第1の実施形態の側面図を示す。
【0039】
図3は、
図2に示した切断面A-Aに沿った、
図1に示した支持要素100の第1の例示的実施形態の断面図を示す。
【0040】
支持要素100は、腕時計等の時計10及び/又は宝飾品(図示せず)の位置決め及び設置のために適合された全体形状を有する。
【0041】
従って、支持要素100は例えば、円筒形、卵形、楕円体形状等を有してよく、また1つ以上の曲率半径で形成された1つ以上の凸面で構成してよい。
【0042】
円筒形状は、直線母線が平行である線織面、即ち平行線からなる空間内に表面を有する形状を意味する。従って、本発明による円筒形状は必ずしも、円筒の1つの特定の形状である真っ直ぐな円筒に関するものではない。
【0043】
図1~3に示した第1の実施形態では、支持要素100は、時計及び/又は宝飾品、特に腕時計を受承するのに好適な幾何学的形状及び寸法を有する、クッション又は腕時計用枕タイプのものである。
【0044】
支持要素100は、材料のブロックを形成する中央部分120、及び中央部分120の周縁に形成された周縁部分110を備え、上記周縁部分110は、取り外し可能であるか、又は中央部分120と一体である。
【0045】
好ましくは、支持要素100は、中央部分120及び周縁部分110を含む材料のブロックである。
【0046】
周縁部分110は、上記時計10、より詳細には腕時計のブレスレットの内径、場合によっては腕時計のケーシング又は宝飾品の背部と少なくとも部分的に直接接触するよう設計された、基本的に凸状である湾曲した受承表面111を有する。
【0047】
図1~3に示した例示的実施形態では、受承表面111は、複数の曲率半径を有する複数の凸面で構成される。
【0048】
周縁部分110はまた、
図1~3に示すように、支持要素100の保持を容易にして支持要素100を確実に安定して保持するために、十分に大きな平坦な下面112を備えてよい。
【0049】
支持要素100はまた、支持要素100の側面を形成する2つのフランク121、122を有する。よって周縁部分110、中央部分120、及びフランク121、122は、支持要素100の全体的な容積を画定する。
【0050】
図1~3に示す例示的実施形態は、支持要素100のフランク121、122を示しており、これらは実質的に平面状であり、また互いに平行であるため、支持要素は全体として円筒形状を有する。しかしながら、この図示は例示的実施形態であり、本発明を限定するものではない。実際には、支持要素100のフランク121、122は、様々な形状(例えば湾曲した、凸状の又は凹状の形状)を有することができ、また同一の平面内に配置されていてもいなくてもよく、また対称であってもなくてもよい。
【0051】
本発明による支持要素100はまた、中央部分120に凹部を形成する、内部ハウジング又は内部キャビティ130を有する。
【0052】
内部キャビティ130は好ましくは、支持要素100の中央部分120に設けられる。
【0053】
好ましくは、内部キャビティ130は実質的に、中央部分120の中央領域に形成される。
【0054】
好ましくは、内部キャビティ130は、支持要素100のフランク121、122のうちの一方において開いている。
【0055】
好ましくは、内部キャビティ130は、支持要素100の2つのフランク121、122において開いており、これにより内部キャビティ130は、支持要素100の中央部分120の両側を通過する。
【0056】
好ましくは、内部キャビティ130は、支持要素100の中心軸C1に略平行な軸X-Xに沿って延在する。
【0057】
好ましくは、内部キャビティ130は、支持要素100の中心軸C1と同軸である軸X-Xに沿って延在する。
【0058】
内部キャビティ130は、支持要素100内への付属品140の導入、及びこの内部キャビティ130内での支持要素100の保持を可能とするよう、寸法設定される。
【0059】
内部キャビティ130は、支持要素100の中に統合したい付属品140のタイプに一致する形状を有する。従って、内部キャビティ130は、必要に応じて様々な形状、特に円形、楕円形、卵形、長方形、又は多角形形状の断面を有することができる。
【0060】
図4a、5a及び6aは、
図1~3に示した支持要素100の代替実施形態を側面図で示す。
図4b、5b、6bは、
図2に示した同一の切断面A-Aに沿ったこれらの代替実施形態の断面図を示す。
【0061】
図4a及び4bを参照すると、本発明による支持要素100aは、円形断面及び一定の寸法を有する内部キャビティ130aを備える。
【0062】
図5a及び5bを参照すると、本発明による支持要素100bは、直径が軸X-Xに沿って変化する円形断面を有する内部キャビティ130bを備え、従って内部キャビティ130bは軸X-Xの方向に凹形状の湾曲したプロファイルを有する。内部キャビティ130bのこのようなプロファイルにより、例えば、小さな寸法の付属品の支持要素100の中心での保持、及び/又は大きな寸法の付属品の内部キャビティ130bの端部(即ちフランク121、122の近く)での保持を保証できる。
【0063】
また、このようなプロファイルにより、特に内部キャビティ130の端部の寸法が付属品140の端部の寸法より大きい場合に、付属品140の内部キャビティ130の中央部分120での最適な保持を保証しながら、ユーザが付属品140を内部キャビティ130から取り外したいときに、ユーザによる付属品140の把持を容易にすることができる。
【0064】
図6a及び6bを参照すると、本発明による支持要素100cは、多角形断面、例えば星型の内部キャビティ130cを備える。このような形状により、例えば、真っ直ぐな円筒形状、球状、立体形状、又は長方形の付属品といった異なる形状の様々な付属品の位置決めを可能とする、万能なハウジングを提供できる。
【0065】
このように、内部キャビティ130の断面は、支持要素100の内部キャビティ130の中に統合したい付属品140のタイプに応じて可変である形状、及び可変である寸法を有することができる。
【0066】
図2、3に示した例示的実施形態では、内部キャビティ130は、一定の断面及び異なる寸法を有する2つの部分で構成された円筒形状を有し、これにより内部キャビティ130は座ぐりを形成する。従って、内部キャビティ130は、その端部のうちの一方において第1の直径d1を有し、他方の端部においてd1より小さい第2の直径d2を有する。よって内部キャビティ130の座ぐり直径の差異により、付属品140のための位置決め用停止部材を形成するよう構成された環状肩部133を、内部キャビティ130内に形成できる。
【0067】
好ましくは、内部キャビティ130の寸法は、支持要素100内に統合することが望まれている付属品140の寸法よりわずかに小さいため、摩擦による、及び/又は内部キャビティ130への付属品140の導入中の材料の変形後の材料の弾性若しくは粘弾性応答による、保持が可能となる。
【0068】
内部キャビティ130内での付属品140の保持は例えば、付属品140を、内部キャビティ130の壁134の少なくとも一部分に対してこすりつけることにより達成される。
【0069】
摩擦による付属品140の保持を改善するために、内部キャビティ130の壁134は、付属品140との相互作用を促進するコーティングで覆うことができ、又は内部キャビティ130の壁134に表面の凸凹若しくは例えばボス等の突起を有することができる。
【0070】
凸凹又は突起は有利には、付属品140との摩擦、擦り、又は相互作用を促進する材料で作製される。
【0071】
凸凹又は突起は、中央部分120の製造に使用される材料とは異なる材料で作製でき、また有利には、必要に応じて、特に支持要素100の操作時に内部キャビティ130内での付属品140の保持を増大させるための、滑り止め特性を有する。
【0072】
付属品140の保持は、これ以前のいくつかの段落で説明した例に対する補完として、又はこれらとは独立して、付属品140が内部キャビティ130内の所定の位置にあるときに付属品140に対して圧力を印加することによっても達成できる。
【0073】
圧力は、特に内部キャビティ130の寸法が付属品140の寸法よりわずかに小さい場合の、付属品140の導入後の内部キャビティ130のわずかな変形を原因とする、周囲の材料の弾性又は粘弾性応答によって、付属品140に印加される。
【0074】
この目的のために、中央部分120は、弾性又は粘弾性特性を有する可撓性材料製の少なくとも1つの領域を含み、内部キャビティ130は、中央部分120のこの特定の領域内に形成される。
【0075】
可撓性材料は、ショアA30~90の密度を有する、手で容易に変形させることができる材料を意味する。
【0076】
可撓性材料は例えば、発泡材料、例えばポリマーフォーム、エラストマ、粘弾性ポリマーであってよい。
【0077】
可撓性材料は例えば、ポリウレタンフォーム又はポリエチレンフォームである。
【0078】
好ましくは、中央部分120全体が、弾性又は粘弾性特性を有する可撓性材料で作製される。
【0079】
好ましくは、支持要素100の中央部分120の材料と周縁部分110の材料とは同一である。しかしながら、これらの2つの部分の密度及び硬度は異なってよい。
【0080】
代替実施形態によると、周縁部分110の材料は、中央部分120の材料とは異なる。よって周縁部分は、中央部分より剛性が高い材料で作製でき、また時計10又は宝飾品の内側部分をすり傷及び/又はひっかき傷から保護するために、例えば革、織物、又は合成材料でコーティングできる。
【0081】
外部コーティングの使用により、支持要素100の外観をカスタマイズすることもできる。
【0082】
好ましくは、支持要素100は一体部品要素であり、即ち中央部分120及び周縁部分110は一体部品として作製される。
【0083】
周縁部分110及び中央部分120は、(異なる特性若しくは同等の特性を有する)同一の材料、又は異なる材料から作製できる。
【0084】
中央部分が、周縁部分とは異なる、例えば硬度及び/又は密度の特徴を有する場合、支持要素は、2つの部分を重合させるか、又は接着することによって製造できる。
【0085】
代替実施形態によると、中央部分120及び周縁部分110は、2つの別個の部品であり、即ち別個に作製される。中央部分120及び周縁部分110は、同一の特徴又は異なる特徴を有してよく、また同一の材料で作製しても異なる材料で作製してもよい。
【0086】
従ってこの代替実施形態では、支持要素100は、C字型ストリップ又はブレードで形成された可撓性支持体タイプの周縁部分と、前述の例及び代替実施形態で述べた可撓性材料又はフォーム状材料製の中実中央部分とからなってよい。
【0087】
ストリップ又はブレードは例えば、ばね鋼又は可塑性材料で作製してよく、また革、織物、又は合成材料等の材料で覆ってよい。
【0088】
その後、2つの部分を、接着によって組み付けて互いに保持させるか、又は互いから取り外し可能とすることができる。
【0089】
図7は、本発明による支持要素200の第2の実施形態を示す。この第2の例示的実施形態は、以下で説明される特徴を除いて、上述の第1の例示的実施形態及び様々な代替実施形態と同一である。
【0090】
この第2の実施形態では、支持要素200の中央部分220は、内部キャビティ230の軸X-Xに沿って同心円状に又は非同心円状に延在する、内部キャビティ130の周縁上に形成された異なる部分220a、220b、220cの組み合わせによって形成される。
【0091】
この第2の例示的実施形態では、2つの取り外し可能な部分220b、220cを示した。これらの取り外し可能な部分220b、220cにより、取り外し可能な部分を取り外すと、支持要素200の内部キャビティ230の形状及び/又は寸法を調節できる。
【0092】
取り外し可能な部分の形状及び外寸が、問題となる上記取り外し可能な部分を取り外している間の、内部キャビティ130の形状及び寸法を画定することが明らかである。
【0093】
例えば、取り外し可能な部分220b、220cが所定の位置にあるとき、内部キャビティ230は、直径d3の軸X-Xに沿って一定のサイズの円形断面を有する。第1の取り外し可能な部分220cを取り外したとき、中央部分220は異なる寸法及び/又は形状を有してよい。例示的実施形態では、内部キャビティ230は、円形状及びd3より大きい直径d1、d1を有する一定の断面を有する。
【0094】
次に第2の取り外し可能な部分220bを取り外すと、内部キャビティ130の形状及び寸法を再び修正できる。すると、第1の直径d1及び第2の直径d2を有する座ぐりの形状の内部キャビティ130を有する、
図2及び3で既に説明した構成を得ることができる。
【0095】
取り外し可能な部分220b、220cは好ましくは、中央部分220の残りの部分220aと同一の材料で作製される。
【0096】
上述した第1の実施形態と同様に、中央部分220は、弾性又は粘弾性特性を有する可撓性材料で作製される。従って中央部分220は、ポリマーフォーム、エラストマ、粘弾性ポリマー等で作製できる。
【0097】
例として、可撓性材料は例えばポリウレタンフォーム又はポリエチレンフォームである。
【0098】
第1の実施形態と同様に、様々な取り外し可能な部分220b、220cは、摩擦によって、又は材料の弾性若しくは粘弾性応答によって、所定の位置に保持される。
【0099】
図8及び9は、
図1~3を参照して説明し、示したような、本発明による支持要素100への付属品140の挿入の例を示す。
【0100】
例として示されている付属品140は、その端部のうちの一方にフレア状カラー143を有し得る、時計職人用拡大鏡等の拡大装置である。
【0101】
図3を参照して説明した内部キャビティ130の座ぐり形状は特に、これらの端部の一方にフレア状カラーを有するこのような拡大装置の挿入及び保持に良好に適合される。
【0102】
従って、
図8に示すように、このような付属品140の配置は、最大直径d1を有する内部キャビティ130の部分に、フレア状カラー143を有する第2の端部142の反対側の第1の端部141を導入することによって、達成される。
【0103】
付属品140は、付属品140が環状肩部133に当接するまで軸X-Xに沿って並進運動することにより、内部キャビティ130内に導入される。中央部分120の材料は有利には可撓性かつ変形可能であるため、環状肩部133の半径方向内側部分を弾性変形させることによって、付属品の内部キャビティ130内への導入を少しだけ継続できる。付属品140の保持は、内部キャビティ130の環状肩部133及び/又は壁134における材料の弾性又は粘弾性応答によって、付属品140がクランピングされることにより、達成される。
【0104】
内部キャビティ130内の所定の位置にある付属品140の取り外しを促進するために、支持要素100は、付属品140を内部キャビティ130の外側へ摺動させ取り外すことができるよう構成された、取り外し部材150を備えてよい。このような部材150により、ユーザが付属品140を取り外すために、付属品140を直接押圧するのを防止できる。従って、これにより、この取り外し作業中に付属品140上に生成され得る指跡、ひっかき傷が排除される。
【0105】
取り外し部材150は例えば、使用時につかむのが容易な1つの端部151と、付属品140が内部キャビティ130内にあるときに付属品140に接触する1つの端部152とを有する、プルタブである。取り外し部材150の端部151を引っ張ることにより、ユーザは、端部152の少なくとも一部分を移動させることによって、導入方向とは反対の方向への付属品140の取り外しを開始し、これによって付属品の把持及び付属品の完全な取り外しが促進される。
【0106】
図10は、本発明による支持要素100、200を受承するよう設計された収納部材300を概略的に示す。
【0107】
収納部材300は例えば、例えば圧縮ボール紙又は木材で作製された剛性設計の外部エンベロープ311を有し、可動部分312、例えば閉鎖位置と収納部材300の内部へのアクセスを可能とする開放位置との間で可動であるカバーを有する、箱である。
【0108】
収納部材300は、上述した本発明による支持要素100、200を受承するよう構成された、少なくとも1つの第1の区画315を有する。
【0109】
収納部材300はまた、追加の付属品の位置決めを可能とする少なくとも1つの第2の区画310を備えてよい。
【符号の説明】
【0110】
10 時計
100、200 支持要素
110 周縁部分
111 受承表面
120、220 中央部分
130、230 内部キャビティ
140 物体