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特許7238047心臓弁輪の絞扼および心臓弁輪上へのリングの設置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】心臓弁輪の絞扼および心臓弁輪上へのリングの設置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132740
(22)【出願日】2021-08-17
(62)【分割の表示】P 2019514303の分割
【原出願日】2017-09-08
(65)【公開番号】P2021184818
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】62/395,357
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/519,529
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518416975
【氏名又は名称】カーディアック・インプランツ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・アロン
(72)【発明者】
【氏名】ニムロド・メラー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ノイマルク
(72)【発明者】
【氏名】ラズ・ビラン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500696(JP,A)
【文献】特開2012-005846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256304(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0166649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁輪の近傍にシンチングコードを送達するための装置であって、
細長い内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する主要チャネル、(c)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、それぞれのプルワイヤを収容するようにそれぞれが寸法設定された少なくとも4つの第1のチャネル、および(d)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を収容するように寸法設定された少なくとも1つの第2のチャネルを有する、細長い内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも4つのアンカ打込み機と
複数の支持リングであって、前記支持アームは前記支持リングに対して固定され、前記支持リングから遠位方向に延在する、複数の支持リングと、
前記支持リングに対して固定された複数の支持ロッドであって、前記支持リングから近位方向に延在する複数の支持ロッドと
を備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成され
前記内芯部は、近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し前記支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の第3のチャネルを有し、
前記支持アームは、前記第3のチャネルに前記支持ロッドを挿入することにより前記内芯部に対して取り付けられる、装置。
【請求項2】
前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのアンカと、
遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有するシンチングコードであって、前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は前記少なくとも1つの第2のチャネル内に配設され、前記アンカは前記シンチングコードの前記遠位ループ部分に対して連結される、シンチングコードと、
前記第1のチャネルのそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのプルワイヤであって、前記プルワイヤのそれぞれが、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される、少なくとも4つのプルワイヤと
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記主要チャネルは、前記内芯部の径方向中心を中心として位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のチャネルのそれぞれおよび前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、前記内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のチャネルのそれぞれがルーメンを備え、前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれがルーメンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のチャネルのそれぞれおよび前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、前記内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置し、前記第1のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備え、前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも4つの支持アームは、少なくとも8つの支持アームを備え、前記少なくとも4つの第1のチャネルは、少なくとも8つの第1のチャネルを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は、少なくとも8つのアンカ打込み機を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記弁輪は僧房弁輪である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記弁輪は三尖弁輪である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の前記形状に対応する位置へと移動自在になる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
弁輪の近傍に弁輪リングを送達するための装置であって、
細長い内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する主要チャネル、(c)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、それぞれのプルワイヤを収容するようにそれぞれが寸法設定された少なくとも4つのルーメンを有する、細長い内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも4つのアンカ打込み機と
複数の支持リングであって、前記支持アームは前記支持リングに対して固定され、前記支持リングから遠位方向に延在する、複数の支持リングと、
前記支持リングに対して固定された複数の支持ロッドであって、前記支持リングから近位方向に延在する複数の支持ロッドと
を備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成され
前記内芯部は、近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し前記支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の支持チャネルを有し、
前記支持アームは、前記支持チャネルに前記支持ロッドを挿入することにより前記内芯部に対して取り付けられる、装置。
【請求項14】
前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのアンカと、
前記アンカが連結される弁輪リングと、
前記ルーメンのそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのプルワイヤであって、前記プルワイヤのそれぞれが、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される、少なくとも4つのプルワイヤと
をさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記主要チャネルは、前記内芯部の径方向中心を中心として位置し、前記ルーメンのそれぞれが、前記内芯部の前記径方向中心から同一の径方向距離に位置する、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも4つの支持アームは、少なくとも8つの支持アームを備え、前記少なくとも4つのルーメンは、少なくとも8つのルーメンを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は、少なくとも8つのアンカ打込み機を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の前記形状に対応する位置へと移動自在になる、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年9月15日に出願された米国特許仮出願第62/395,357号および2017年6月14日に出願された米国特許仮出願第62/519,529号に基づく利益を主張するものである。これらの仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
心臓弁輪に対してシンチングコードまたは弁輪リングを送達および設置するための様々なアプローチが、米国出願第14/364,060号(米国特許出願公開第2014/0309730号として公開)および米国出願第14/895,711号(米国特許出願公開第2016/0120645号として公開)に記載されている。これらの米国出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国出願第14/364,060号(米国特許出願公開第2014/0309730号)
【文献】米国出願第14/895,711号(米国特許出願公開第2016/0120645号)
【文献】米国特許出願第15/163,453号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、弁輪の近傍にシンチングコードを送達するための第1の装置に関する。この第1の装置は、細長内芯部、少なくとも4つの支持アーム、および少なくとも4つのアンカ打込み機を備える。細長内芯部は、(a)遠位端部と、(b)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する主要チャネルと、(c)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも4つの第1のチャネルであって、それぞれのプルワイヤを収容するようにそれぞれが寸法設定された少なくとも4つの第1のチャネルと、(d)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第2のチャネルであって、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を収容するように寸法設定された少なくとも1つの第2のチャネルとを有する。少なくとも4つの支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。アンカ打込み機のそれぞれが、遠位端部を有し、支持アームのそれぞれ1つにより支持される。
【0005】
支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0006】
第1の装置のいくつかの実施形態は、少なくとも4つのアンカ、シンチングコード、および少なくとも4つのプルワイヤをさらに備える。アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設される。シンチングコードは、遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有し、第1の近位部分および第2の近位部分は、少なくとも1つの第2のチャネル内に配設され、アンカは、シンチングコードの遠位ループ部分に対して連結される。プルワイヤのそれぞれが、第1のチャネルのそれぞれの中に配設され、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される。
【0007】
第1の装置のいくつかの実施形態は、複数の支持リングおよび複数の支持ロッドをさらに備える。支持アームは、支持リングに対して固定され、支持リングから遠位方向に延在する。支持ロッドは、支持リングに対して固定され、支持リングから近位方向に延在する。これらの実施形態では、内芯部は、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在し支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の第3のチャネルを有し、支持アームは、第3のチャネルに支持ロッドを挿入することにより内芯部に対して取り付けられる。任意には、これらの実施形態は、支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む。
【0008】
第1の装置のいくつかの実施形態では、主要チャネルは、内芯部の径方向中心を中心として位置する。第1の装置のいくつかの実施形態では、第1のチャネルのそれぞれおよび少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置する。第1の装置のいくつかの実施形態では、第1のチャネルのそれぞれがルーメンを備え、少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれがルーメンを備える。第1の装置のいくつかの実施形態では、第1のチャネルのそれぞれおよび少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置し、第1のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備え、少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備える。
【0009】
第1の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも4つの支持アームは、少なくとも8つの支持アームを備え、少なくとも4つの第1のチャネルは、少なくとも8つの第1のチャネルを備え、少なくとも4つのアンカ打込み機は、少なくとも8つのアンカ打込み機を備える。第1の装置のいくつかの実施形態では、弁輪は僧房弁輪である。第1の装置の他の実施形態では、弁輪は三尖弁輪である。
【0010】
第1の装置のいくつかの実施形態は、遠位端部を有する、内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備える。外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である。外方スリーブが延伸位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、外方スリーブ内に配設される。外方スリーブが後退位置にある場合に、アンカ打込み機および支持アームの少なくとも一部分は、外方スリーブの遠位端部を越えて遠位方向に延在する。
【0011】
第1の装置のいくつかの実施形態は、遠位部分を有する、内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、第1のスリーブの遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブとをさらに備える。第2のスリーブが初期位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、第2のスリーブ内に配設され、第2のスリーブが取り外され第1のスリーブが後退位置にある場合には、アンカ打込み機は、弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる。
【0012】
本発明の別の態様は、弁輪の近傍にシンチングコードを送達するための第2の装置に関する。この第2の装置は、細長内芯部、少なくとも8つの支持アーム、および少なくとも8つのアンカ打込み機を備える。細長内芯部は、(a)遠位端部と、(b)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する主要チャネルと、(c)主要チャネルを径方向に越える位置にて近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも8つの第1のチャネルであって、それぞれのプルワイヤを収容するようにそれぞれが寸法設定された少なくとも8つの第1のチャネルと、(d)主要チャネルを径方向に越える位置にて近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する複数の第2のチャネルであって、シンチングコードの各近位部分を収容するようにそれぞれが寸法設定された複数の第2のチャネルとを備える。この少なくとも8つの支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。アンカ打込み機はそれぞれ、遠位端部を有し、支持アームのそれぞれ1つにより支持される。支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0013】
第2の装置のいくつかの実施形態は、少なくとも8つのアンカ、シンチングコード、および少なくとも8つのプルワイヤをさらに備える。アンカのそれぞれは、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設される。シンチングコードは、遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有し、第1の近位部分および第2の近位部分は、第2のチャネルのそれぞれ1つの中に配設され、少なくとも8つのアンカは、シンチングコードの遠位ループ部分に対して連結される。プルワイヤはそれぞれ、第1のチャネルのそれぞれ1つの中に配設され、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される。
【0014】
第2の装置のいくつかの実施形態は、複数の支持リングおよび複数の支持ロッドをさらに備える。支持アームは、支持リングに対して固定され、支持リングから遠位方向に延在する。支持ロッドは、支持リングに対して固定され、支持リングから近位方向に延在する。これらの実施形態では、内芯部は、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在し支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の第3のチャネルを有し、支持アームは、第3のチャネルに支持ロッドを挿入することにより内芯部に対して取り付けられる。任意には、これらの実施形態は、支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む。
【0015】
第2の装置のいくつかの実施形態では、第1のチャネルのそれぞれが、内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置する。第2の装置のいくつかの実施形態では、第1のチャネルのそれぞれおよび第2のチャネルのそれぞれが、内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置する。第2の装置のいくつかの実施形態では、第1のチャネルのそれぞれがルーメンを備え、第2のチャネルのそれぞれがルーメンを備える。
【0016】
第2の装置のいくつかの実施形態は、複数の支持リング、複数の支持ロッド、および放射線不透過性材料をさらに備える。支持アームは、支持リングに対して固定され、支持リングから遠位方向に延在する。支持ロッドは、支持リングに対して固定され、支持リングから近位方向に延在する。放射線不透過性材料は、支持ロッド上に非対称パターンで分布する。これらの実施形態では、内芯部は、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在し支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の第3のチャネルを有し、支持アームは、第3のチャネルに支持ロッドを挿入することにより内芯部に対して取り付けられる。これらの実施形態では、第1のチャネルのそれぞれおよび第2のチャネルのそれぞれが、内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置し、第1のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備え、第2のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備える。
【0017】
第2の装置のいくつかの実施形態は、遠位端部を有する、内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備える。外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である。外方スリーブが延伸位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、外方スリーブ内に配設される。外方スリーブが後退位置にある場合に、アンカ打込み機および支持アームの少なくとも一部分は、外方スリーブの遠位端部を越えて遠位方向に延在する。
【0018】
第2の装置のいくつかの実施形態は、遠位部分を有する、内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、第1のスリーブの遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブとをさらに備える。第2のスリーブが初期位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、第2のスリーブ内に配設され、第2のスリーブが取り外され第1のスリーブが後退位置にある場合には、アンカ打込み機は、弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる。
【0019】
本発明の別の態様は、弁輪の近傍に弁輪リングを送達するための第3の装置に関する。この第3の装置は、細長内芯部、少なくとも4つの支持アーム、および少なくとも4つのアンカ打込み機を備える。細長内芯部は、(a)遠位端部と、(b)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する主要チャネルと、(c)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも4つのルーメンとを有する。これらのルーメンのそれぞれが、それぞれのプルワイヤを収容するように寸法設定される。支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。アンカ打込み機のそれぞれが、遠位端部を有し、支持アームのそれぞれ1つにより支持される。支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0020】
第3の装置のいくつかの実施形態は、少なくとも4つのアンカ、弁輪リング、および少なくとも4つのプルワイヤをさらに備える。これらの実施形態では、アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され、アンカは、弁輪リングに対して連結される。プルワイヤのそれぞれが、ルーメンのそれぞれ1つの中に配設され、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される。
【0021】
第3の装置のいくつかの実施形態は、複数の支持リングおよび複数の支持ロッドをさらに備える。これらの実施形態では、支持アームは、支持リングに対して固定され、支持リングから遠位方向に延在する。支持ロッドは、支持リングに対して固定され、支持リングから近位方向に延在する。内芯部は、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在し支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の支持チャネルを有し、支持アームは、支持チャネルに支持ロッドを挿入することにより内芯部に対して取り付けられる。任意には、これらの実施形態は、支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む。
【0022】
第3の装置のいくつかの実施形態では、主要チャネルは、内芯部の径方向中心を中心として位置し、ルーメンのそれぞれが、内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置する。第3の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも4つの支持アームは、少なくとも8つの支持アームを備え、少なくとも4つのルーメンは、少なくとも8つのルーメンを備え、少なくとも4つのアンカ打込み機は、少なくとも8つのアンカ打込み機を備える。
【0023】
第3の装置のいくつかの実施形態は、遠位端部を有する、内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備える。外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である。外方スリーブが延伸位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、外方スリーブ内に配設される。外方スリーブが後退位置にある場合に、アンカ打込み機および支持アームの少なくとも一部分は、外方スリーブの遠位端部を越えて遠位方向に延在する。
【0024】
第3の装置のいくつかの実施形態は、遠位部分を有する、内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、第1のスリーブの遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブとをさらに備える。第2のスリーブが初期位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、第2のスリーブ内に配設され、第2のスリーブが取り外され第1のスリーブが後退位置にある場合には、アンカ打込み機は、弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる。
【0025】
本発明の別の態様は、弁輪上にまたは弁輪に隣接する組織の上にシンチングコードを設置するための第4の装置に関する。この第4の装置は、ハウジング、細長内芯部、シンチングコード、少なくとも4つのアンカ、第1のコード延在セクション、および第2のコード延在セクションを備える。細長内芯部は、ハウジングに対して取り付けられる。内芯部は、(a)遠位端部と、(b)近位端部と、(c)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する第1のルーメンと、(d)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する第2のルーメンとを有する。シンチングコードは、遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有し、シンチングコードの第1の近位部分は、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、第1のルーメンを貫通して延在し、内芯部の近位端部を越えて近位方向に延在し、シンチングコードの第2の近位部分は、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、第2のルーメンを貫通して延在し、内芯部の近位端部を越えて近位方向に延在する。アンカは、弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織中にシンチングコードの遠位ループ部分をアンカ固定するように構成される。第1のコード延在セクションは、遠位端部および近位セクションを有し、第1の延在セクションの遠位端部は、シンチングコードの第1の近位部分に対して連結される。第2のコード延在セクションは、遠位端部および近位セクションを有し、第2の延在セクションの遠位端部は、シンチングコードの第2の近位部分に対して連結される。第1のルーメンは、シンチングコードの第1の近位部分および第1のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定され、第2のルーメンは、シンチングコードの第2の近位部分および第2のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定される。シンチングコード、第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション、ならびに第1のルーメンおよび第2のルーメンは、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織の中にアンカ固定された後に、近位方向へハウジングを漸進移動させることにより、(a)内芯部が、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分に対する近位方向へと漸進的に移動され、(b)第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクションが、第1のルーメンおよび第2のルーメンのそれぞれの中に漸進的に引き込まれるように構成される。
【0026】
第4の装置のいくつかの実施形態では、シンチングコード、第1のコード延在セクション、および第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションである。
【0027】
第4の装置のいくつかの実施形態は、ハウジングに対して回転可能に取り付けられた少なくとも1つのスプールをさらに備える。これらの実施形態では、第1のコード延在セクションの近位セクションは、少なくとも1つのスプール上に巻きつけられ、第2のコード延在セクションの近位セクションは、少なくとも1つのスプール上に巻きつけられる。シンチングコード、第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション、第1のルーメンおよび第2のルーメン、ならびに少なくとも1つのスプールは、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織中にアンカ固定された後に、近位方向へとハウジングを漸進移動させることにより、第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクションが少なくとも1つのスプールから漸進的に巻き出されるように構成される。
【0028】
第4の装置のいくつかの実施形態は、(a)少なくとも1つのスプールが回転するのを防止すること、または(b)少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にすることのいずれかを選択的に行うロックをさらに備える。これらの実施形態では、少なくとも1つのスプールは、少なくとも1つのスプールの回転の視認性を強化するスポークまたはマーキングを有し、少なくとも1つのスプールは、スポークまたはマーキングの少なくとも一部分がハウジングの外部から視認可能になるように、ハウジングに対して配置される。シンチングコード、第1のコード延在セクション、および第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションである。
【0029】
本発明の別の態様は、弁輪上にまたは弁輪に隣接する組織の上にシンチングコードを設置するための第5の装置に関する。この第5の装置は、ハウジング、少なくとも1つのスプール、細長内芯部、シンチングコード、少なくとも4つのアンカ、少なくとも4つのアンカ打込み機、少なくとも4つの支持アーム、第1のコード延在セクション、および第2のコード延在セクションを備える。少なくとも1つのスプールは、ハウジングに対して回転可能に取り付けられる。細長内芯部は、ハウジングに対して取り付けられる。内芯部は、(a)遠位端部と、(b)近位端部と、(c)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する第1のルーメンと、および(d)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する第2のルーメンとを有する。シンチングコードは、遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有し、シンチングコードの第1の近位部分は、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、第1のルーメンを貫通して延在し、内芯部の近位端部を越えて近位方向に延在し、シンチングコードの第2の近位部分は、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、第2のルーメンを貫通して延在し、内芯部の近位端部を越えて近位方向に延在する。アンカは、弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織中にシンチングコードの遠位ループ部分をアンカ固定するように構成される。アンカ打込み機のそれぞれが、弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織中に少なくとも4つのアンカの中のそれぞれ1つを打ち込むように構成され、遠位端部を有する。支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、アンカ打込み機を支持する。支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように形状設定される。第1のコード延在セクションは、遠位端部および近位セクションを有する。第1の延在セクションの遠位端部は、シンチングコードの第1の近位部分に対して連結され、第1の延在セクションの近位セクションは、少なくとも1つのスプール上に巻きつけられる。第2のコード延在セクションは、遠位端部および近位セクションを有し、第2の延在セクションの遠位端部は、シンチングコードの第2の近位部分に対して連結される。第2の延在セクションの近位セクションは、少なくとも1つのスプール上に巻きつけられる。第1のルーメンは、シンチングコードの第1の近位部分および第1のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定され、第2のルーメンは、シンチングコードの第2の近位部分および第2のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定される。シンチングコード、第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション、第1のルーメンおよび第2のルーメン、ならびに少なくとも1つのスプールは、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織の中にアンカ固定された後に、近位方向へハウジングを漸進移動させることにより、(a)内芯部が、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分に対する近位方向へと漸進的に移動され、(b)第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクションが、少なくとも1つのスプールから漸進的に巻き出され、第1のルーメンおよび第2のルーメンのそれぞれの中に漸進的に引き込まれるように構成される。
【0030】
第5の装置のいくつかの実施形態では、シンチングコード、第1のコード延在セクション、および第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションである。これらの実施形態のいくつかでは、単一のコードは、超高分子量ポリエチレンコードである。第5の装置の他の実施形態では、第1のコード延在セクションの遠位端部は、シンチングコードの第1の近位部分に対して固定され、第2のコード延在セクションの遠位端部は、シンチングコードの第2の近位部分に対して固定される。
【0031】
第5の装置のいくつかの実施形態は、(a)少なくとも1つのスプールが回転するのを防止すること、または(b)少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にすることのいずれかを選択的に行うロックをさらに備える。これらの実施形態のいくつかでは、ロックは、取り外し可能ピンを備え、取り外し可能ピンは、ピンが設置される場合に少なくとも1つのスプールが回転するのを防止し、ピンが取り外された場合に少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にする。
【0032】
第5の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスプールは、少なくとも1つのスプールの少なくとも一部分がハウジングの外部から視認可能になるようにハウジングに対して配置される。第5の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスプールは、少なくとも1つのスプールの回転の視認性を強化するスポークまたはマーキングを有し、少なくとも1つのスプールは、スポークまたはマーキングの少なくとも一部分がハウジングの外部から視認可能になるように、ハウジングに対して配置される。
【0033】
第5の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスプールは、第1のコード延在セクションの近位セクションが巻きつけられる第1のスプールと、第2のコード延在セクションの近位セクションが巻きつけられる第2のスプールとを備える。第5の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスプールは、(a)第1のコード延在セクションの近位セクションが巻きつけられる第1の領域と、(b)第2のコード延在セクションの近位セクションが巻きつけられる第2の領域とを有する単一のスプールを備え、第1の領域および第2の領域は、重畳していない。第5の装置のいくつかの実施形態では、第1のルーメンおよび第2のルーメンは、平滑ポリマー壁部を有する。
【0034】
第5の装置のいくつかの実施形態は、少なくとも4つのプルワイヤおよびばね付きアクチュエータをさらに備える。プルワイヤのそれぞれが、近位端部および遠位端部を有し、プルワイヤのそれぞれの遠位端部は、近位方向へと各プルワイヤを引くことにより各アンカ打込み機が各アンカを打ち込むように、アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される。ばね付きアクチュエータは、トリガの作動前にプルワイヤのそれぞれの近位端部を定状態に保持し、トリガの作動時にプルワイヤのそれぞれの近位端部を近位方向に引くように構成される。
【0035】
第5の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも4つのアンカは少なくとも8つのアンカを備え、少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備え、少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備える。第5の装置のいくつかの実施形態では、弁輪は僧房弁輪である。第5の装置の他の実施形態では、弁輪は三尖弁輪である。
【0036】
第5の装置のいくつかの実施形態は、(a)少なくとも1つのスプールが回転するのを防止すること、または(b)少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にすることのいずれかを選択的に行うロックをさらに備える。これらの実施形態では、少なくとも1つのスプールは、少なくとも1つのスプールの回転の視認性を強化するスポークまたはマーキングを有し、スポークまたはマーキングの少なくとも一部分がハウジングの外部から視認可能になるように、ハウジングに対して配置される。シンチングコード、第1のコード延在セクション、および第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションである。さらに、少なくとも4つのアンカは少なくとも8つのアンカを備え、少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備え、少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備える。
【0037】
第5の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスプールは、(a)第1のコード延在セクションの近位セクションが巻きつけられる第1の領域と、(b)第2のコード延在セクションの近位セクションが巻きつけられる第2の領域とを有する単一のスプールを備え、第1の領域および第2の領域は、重畳していない。
【0038】
第5の装置のいくつかの実施形態は、遠位端部を有する、内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備える。外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である。外方スリーブが延伸位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、外方スリーブ内に配設される。さらに、外方スリーブが後退位置にある場合に、アンカ打込み機および支持アームの少なくとも一部分は、外方スリーブの遠位端部を越えて遠位方向に延在する。これらの実施形態のいくつかは、ハウジングに対して取り付けられたラック-ピニオンをさらに備え、ラックは、ピニオンの作動により外方スリーブが延伸位置と後退位置との間で移動するように、外方スリーブに対して連結される。
【0039】
第5の装置のいくつかの実施形態は、遠位部分を有する、内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、第1のスリーブの遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブとをさらに備える。第2のスリーブが初期位置にある場合に、支持アームおよびアンカ打込み機は、第2のスリーブ内に配設され、第2のスリーブが取り外され第1のスリーブが後退位置にある場合には、アンカ打込み機は、弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる。
【0040】
本発明の別の態様が、シンチングコードを使用して弁輪のシンチングに組織内部成長が干渉するのを防止するための第1の方法に関する。シンチングコードは、組織内部成長を促進するスリーブ内に配設された遠位ループ部分と、第1の近位部分と、第2の近位部分とを有する。この第1の方法は、(a)スリーブ内に配設されたシンチングコードの遠位ループ部分が弁輪の近傍に位置し、(b)シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分がシンチングコードの遠位ループ部分から近位方向に延在するように、シンチングコードを操作するステップを含む。また、第1の方法は、弁輪および弁輪に隣接する組織の少なくとも一方に対してシンチングコードの遠位ループ部分をアンカ固定するステップと、組織内部成長を阻止する材料でシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を覆うステップとを含む。また、第1の方法は、アンカ固定するステップおよび覆うステップの後に、組織内部成長がシンチングコードの遠位ループ部分と弁輪および弁輪に隣接する組織の少なくとも一方との間の結合を強化するのを待つステップを含む。また、第1の方法は、待つステップの後に、弁輪の直径を縮小させるためにシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を引くことにより弁輪をシンチングするステップを含む。また、第1の方法は、シンチングするステップの後に、シンチングコードが縮小直径状態に弁輪を保持するように、シンチングコードを固定するステップを含む。好ましくは、覆うステップは、第1のルーメンおよび第2のルーメンを有する細長コードプロテクタを、シンチングコードの第1の近位部分が第1のルーメンを通過し、シンチングコードの第2の近位部分が第2のルーメンを通過するように、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分の上で摺動させるステップを含む。
【0041】
第1の方法のいくつかの実施形態は、第1の通線コードを使用して第1のルーメンにシンチングコードの第1の近位部分を通すステップと、第2の通線コードを使用して第2のルーメンにシンチングコードの第2の近位部分を通すステップとをさらに含む。これらの実施形態では、通すこれらの2つのステップの前に、第1の通線コードは第1のルーメン内に配設され、第2の通線コードは第2のルーメン内に配設される。これらの実施形態では、摺動させるステップにおいて、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、細長コードプロテクタが上で摺動されるガイドワイヤとして動作し、細長コードプロテクタは、細長コードプロテクタの遠位端部がシンチングコードの遠位ループ部分に隣接する位置へと摺動される。
【0042】
第1の方法のいくつかの実施形態は、待つステップの後におよびシンチングするステップの前に、細長コードプロテクタを取り外すステップをさらに含む。第1の方法のいくつかの実施形態は、細長コードプロテクタを貫通して延在する第3のルーメンを通して近位-遠位間方向に補剛部材を摺動させるステップをさらに含み、摺動させるステップは、アンカ固定するステップの後におよび覆うステップの前に実施される。
【0043】
第1の方法のいくつかの実施形態では、シンチングするステップは、シンチングコードの遠位ループ部分に到達するまで、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分の上で遠位方向にスラストチューブを前進させるステップと、その後に、近位方向にシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を引きながら、遠位方向にスラストチューブを押圧するステップとを含む。
【0044】
第1の方法のいくつかの実施形態では、固定するステップは、結び目、クランプ、および圧着ファスナの中の少なくとも1つを使用してシンチングコードの2つの部分を共に固定するステップを含む。第1の方法のいくつかの実施形態では、アンカ固定するステップで、シンチングコードの遠位ループ部分は、複数のアンカを使用して弁輪および弁輪に隣接する組織の少なくとも一方に対してスリーブをアンカ固定することによりアンカ固定される。
【0045】
第1の方法のいくつかの実施形態では、アンカ固定するステップで、シンチングコードの遠位ループ部分は、弁輪および弁輪に隣接する組織の少なくとも一方に対して複数のアンカをアンカ固定することによりアンカ固定され、アンカは、それぞれ紐穴を有し、シンチングコードは、アンカ中の紐穴に通される。
【0046】
第1の方法のいくつかの実施形態では、覆うステップは、少なくとも1つのルーメンを有する細長コードプロテクタを、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分が少なくとも1つのルーメンを通過するように、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分の上で摺動させるステップを含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1の方法は、待つステップの後におよびシンチングするステップの前に、細長コードプロテクタを取り外すステップをさらに含む。
【0047】
本発明の別の態様は、被験者の体内に植え込まれるシンチングコードの動作に組織内部成長が干渉するのを防止するための第6の装置に関する。シンチングコードは、遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有する。この第6の装置は、近位端部および遠位端部を有する可撓性細長本体を備える。細長本体は、近位端部と遠位端部との間に延在する第1のルーメン、および近位端部と遠位端部との間に延在する第2のルーメンを有する。第1のルーメンは、シンチングコードの第1の近位部分を摺動自在に収容するように寸法設定され、第2のルーメンは、シンチングコードの第2の近位部分を摺動自在に収容するように寸法設定される。細長本体、第1のルーメン、および第2のルーメンは、シンチングコードの第1の近位部分が第1のルーメン内に配設され、シンチングコードの第2の近位部分が第2のルーメン内に配設された状態で、細長本体がシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を覆うような、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分の上における細長本体の摺動自在な設置を容易化するように構成される。細長本体は、細長本体内への組織内部成長を防止し、また細長本体は、細長本体がシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を覆う場合に、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分内への組織内部成長をさらに防止する。
【0048】
第6の装置のいくつかの実施形態は、第1のルーメンを貫通して延在し、細長本体の遠位端部を越えて遠位方向に延在する第1の通線コードと、第2のルーメンを貫通して延在し、細長本体の遠位端部を越えて遠位方向に延在する第2の通線コードとをさらに備える。これらの実施形態のいくつかは、滅菌エンベロープをさらに備え、細長本体、第1のルーメンを貫通して延在する第1の通線コード、および第2のルーメンを貫通して延在する第2の通線コードはいずれも、滅菌エンベロープ内部にパッケージングされる。
【0049】
第6の装置のいくつかの実施形態では、第1の通線コードは、第1のルーメン内にシンチングコードの第1の近位部分を引き込むように構成され、第2の通線コードは、第2のルーメン内にシンチングコードの第2の近位部分を引き込むように構成され、それにより、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、細長本体の遠位端部がシンチングコードの遠位ループ部分に隣接して位置する位置へと細長本体が上で摺動され得るガイドワイヤとして動作することが可能である。これらの実施形態のいくつかでは、第1の通線コードは、細長本体の近位端部を越えて近位方向に延在し、第2の通線コードは、細長本体の近位端部を越えて近位方向に延在する。
【0050】
第6の装置のいくつかの実施形態では、細長本体は、ポリウレタンおよびシリコーンの少なくとも一方から形成される。第6の装置のいくつかの実施形態では、細長本体は、35~65cmの間の長さと1~4mmの間の直径とを有する。第6の装置のいくつかの実施形態では、細長本体は、45~55cmの間の長さを有する。第6の装置のいくつかの実施形態では、細長本体は、1.5~2.5mmの間の直径を有する。第6の装置のいくつかの実施形態では、細長本体は、45~55cmの間の長さと1.5~2.5mmの間の直径とを有する。第6の装置のいくつかの実施形態では、第1のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有し、第2のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有する。第6の装置のいくつかの実施形態では、細長本体は、近位端部にて開口し、遠位端部にて閉鎖し、細長本体の少なくとも3/4にわたり貫通して延在する第3のルーメンを有し、第3のルーメンは、補剛ワイヤを摺動自在に収容するように寸法設定される。第6の装置のいくつかの実施形態では、細長本体は、近位端部にて開口し、遠位端部にて閉鎖し、細長本体の少なくとも3/4にわたり貫通して延在する第3のルーメンを有し、第3のルーメンは、0.2~1mmの間の直径を有する。第6の装置のいくつかの実施形態は、細長本体の遠位端部の付近に配設された放射線不透過性マーカをさらに備える。
【0051】
第6の装置のいくつかの実施形態は、第1のルーメンを貫通して延在し細長本体の遠位端部を越えて遠位方向に延在する第1の通線コードと、第2のルーメンを貫通して延在し細長本体の遠位端部を越えて遠位方向に延在する第2の通線コードとをさらに備える。これらの実施形態では、第1の通線コードは、第1のルーメンにシンチングコードの第1の近位部分を引き込むように構成され、第2の通線コードは、第2のルーメンにシンチングコードの第2の近位部分を引き込むように構成され、それにより、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、細長本体の遠位端部がシンチングコードの遠位ループ部分に隣接する位置へと細長本体が上で摺動され得るガイドワイヤとして動作することが可能である。これらの実施形態では、細長本体は、ポリウレタンおよびシリコーンの少なくとも一方から形成され、細長本体は、45~55cmの間の長さと1.5~2.5mmの間の直径とを有し、第1のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有し、第2のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有する。これらの実施形態のいくつかは、細長本体の遠位端部の付近に配設された放射線不透過性マーカをさらに備える。これらの実施形態のいくつかでは、細長本体は、近位端部にて開口し、遠位端部にて閉鎖し、細長本体の少なくとも9/10にわたり貫通して延在する第3のルーメンを有し、第3のルーメンは、0.2~1mmの間の直径を有する。
【0052】
本発明の別の態様が、弁輪の近傍に弁輪リングまたはシンチングコードを送達するための第7の装置に関する。この第7の装置は、細長内芯部、少なくとも4つの支持アーム、少なくとも4つのアンカ打込み機、膨張性バルーン、および少なくとも1つの保持コードを備える。細長内芯部は、遠位端部を有する。支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。アンカ打込み機のそれぞれが、遠位端部を有し、支持アームのそれぞれ1つにより支持される。膨張性バルーンは、支持アーム同士の間に配設され、バルーンが膨張されると支持アーム同士を相互に押し離すように構成される。少なくとも1つの保持コードは、支持アームに対して連結され、バルーンを包囲し支持アーム同士の間からバルーンが滑脱するのを防止するように支持アームに対して配置される。
【0053】
第7の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの保持コードは、バルーンを包囲し支持アーム同士の間からバルーンが滑脱するのを防止する単一の保持コードを備える。これらの実施形態のいくつかでは、単一の保持コードは、少なくとも1つの結び目を使用して支持アームに対して連結される。これらの実施形態のいくつかでは、単一の保持コードは、シルク、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリエステルの中の少なくとも1つを備える。
【0054】
第7の装置のいくつかの実施形態では、支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、少なくとも1つの保持コードは、スリーブのそれぞれの中の穴に少なくとも1つの保持コードを通すことにより支持アームに対して連結される。第7の装置のいくつかの実施形態では、支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、少なくとも1つの保持コードは、スリーブのそれぞれの中の穴に少なくとも1つの保持コードを通し、スリーブのそれぞれにて結び目を作ることにより、支持アームに対して連結される。第7の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの保持コードは、バルーンを一括して包囲し支持アーム同士の間からバルーンが滑脱するのを防止する少なくとも2つのコードセグメントを備える。
【0055】
第7の装置のいくつかの実施形態は、シンチングコードおよび少なくとも4つのアンカをさらに備え、アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され、シンチングコードに対して連結される。これらの実施形態では、支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0056】
第7の装置のいくつかの実施形態は、弁輪リングおよび少なくとも4つのアンカをさらに備え、アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され、弁輪リングに対して連結される。これらの実施形態では、支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0057】
第7の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも4つの支持アームは、少なくとも8つの支持アームを備え、少なくとも4つのアンカ打込み機は、少なくとも8つのアンカ打込み機を備える。
【0058】
第7の装置のいくつかの実施形態は、遠位端部を有する、内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備える。外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である。外方スリーブが延伸位置にある場合に、支持アーム、アンカ打込み機、バルーン、および少なくとも1つの保持コードは、外方スリーブ内に配設される。外方スリーブが後退位置にある場合に、アンカ打込み機、少なくとも1つの保持コード、および支持アームの少なくとも一部分は、外方スリーブの遠位端部を越えて遠位方向に延在する。
【0059】
第7の装置のいくつかの実施形態は、遠位部分を有する、内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、第1のスリーブの遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブとをさらに備える。第2のスリーブが初期位置にある場合に、支持アーム、アンカ打込み機、バルーン、および少なくとも1つの保持コードは、第2のスリーブ内に配設される。第2のスリーブが取り外され第1のスリーブが後退位置にある場合には、アンカ打込み機は、弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる。
【0060】
本発明の別の態様が、弁輪の近傍に弁輪リングまたはシンチングコードを送達するための第8の装置に関する。この第8の装置は、細長内芯部、少なくとも4つの支持アーム、少なくとも4つのアンカ打込み機、シャフト、膨張性バルーン、および少なくとも1つの保持コードを備える。細長内芯部は、遠位端部と、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在するチャネルとを有する。支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。アンカ打込み機のそれぞれが、遠位端部を有し、支持アームのそれぞれ1つにより支持される。シャフトは、チャネル内に摺動可能に配設され、膨張ルーメンを有する。膨張性バルーンは、シャフトに対して取り付けられ、膨張ルーメンを介したバルーンの膨張を可能にするために膨張ルーメンに対して連結される。バルーンは、シャフトの位置を摺動自在に調節することにより支持アーム同士の間で第1の位置へと移動可能であり、バルーンが第1の位置にて膨張されると支持アーム同士を相互に押し離すように構成される。少なくとも1つの保持コードは、支持アームに対して連結され、バルーンが第1の位置にある場合に、バルーンを包囲し支持アーム同士の間からバルーンが滑脱するのを防止するように支持アームに対して配置される。
【0061】
第8の装置のいくつかの実施形態では、バルーンは、シャフトの位置を摺動自在に調節することによりチャネル内および支持アームの近位である第2の位置へと移動可能である。第8の装置のいくつかの実施形態では、バルーンは、シャフトの位置を摺動自在に調節することによりアンカ打込み機を越えて遠位方向に位置する第2の位置へと移動可能である。
【0062】
第8の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの保持コードは、バルーンを包囲し支持アーム同士の間からバルーンが滑脱するのを防止する単一の保持コードを備える。これらの実施形態のいくつかでは、単一の保持コードは、少なくとも1つの結び目を使用して支持アームに対して連結される。これらの実施形態のいくつかでは、単一の保持コードは、シルク、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリエステルの中の少なくとも1つを備える。
【0063】
第8の装置のいくつかの実施形態では、支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、少なくとも1つの保持コードは、スリーブのそれぞれの中の穴に少なくとも1つの保持コードを通すことにより支持アームに対して連結される。第8の装置のいくつかの実施形態では、支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、少なくとも1つの保持コードは、スリーブのそれぞれの中の穴に少なくとも1つの保持コードを通し、スリーブのそれぞれにて結び目を作ることにより、支持アームに対して連結される。第8の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの保持コードは、バルーンを一括して包囲し支持アーム同士の間からバルーンが滑脱するのを防止する少なくとも2つのコードセグメントを備える。
【0064】
第8の装置のいくつかの実施形態は、シンチングコードおよび少なくとも4つのアンカをさらに備え、アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され、シンチングコードに対して連結される。これらの実施形態では、支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0065】
第8の装置のいくつかの実施形態は、弁輪リングおよび少なくとも4つのアンカをさらに備え、アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され、弁輪リングに対して連結される。これらの実施形態では、支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0066】
第8の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備え、少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備える。
【0067】
第8の装置のいくつかの実施形態は、遠位端部を有する、内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備える。外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である。外方スリーブが延伸位置にある場合に、支持アーム、アンカ打込み機、バルーン、および少なくとも1つの保持コードは、外方スリーブ内に配設される。外方スリーブが後退位置にある場合に、アンカ打込み機、少なくとも1つの保持コード、および支持アームの少なくとも一部分は、外方スリーブの遠位端部を越えて遠位方向に延在する。
【0068】
第8の装置のいくつかの実施形態は、遠位部分を有する、内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、第1のスリーブの遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブとをさらに備える。第2のスリーブが初期位置にある場合に、支持アーム、アンカ打込み機、バルーン、および少なくとも1つの保持コードは、第2のスリーブ内に配設される。第2のスリーブが取り外され第1のスリーブが後退位置にある場合には、アンカ打込み機は、弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる。
【0069】
本発明の別の態様が、弁輪の近傍に弁輪リングまたはシンチングコードを送達するための第9の装置に関する。この第9の装置は、細長内芯部、少なくとも4つの支持アーム、少なくとも4つのアンカ打込み機、第1のシャフト、膨張性の第1のバルーン、第2のシャフト、および膨張性の第2のバルーンを備える。細長内芯部は、遠位端部と、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在するチャネルとを有する。支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。アンカ打込み機のそれぞれが、遠位端部を有し、支持アームのそれぞれ1つにより支持される。第1のシャフトは、チャネル内に配設され、第1の膨張ルーメンを有する。膨張性の第1のバルーンは、第1のシャフトに対して取り付けられ、第1の膨張ルーメンを介した第1のバルーンの膨張を可能にするために第1の膨張ルーメンに対して連結され、第1のバルーンが第1の位置にて膨張されると支持アーム同士を相互に押し離すように構成される。第2のシャフトは、チャネル内に摺動可能に配設され、第2の膨張ルーメンを有する。膨張性の第2のバルーンは、第2のシャフトに対して取り付けられ、第2の膨張ルーメンを介した第2のバルーンの膨張を可能にするために第2の膨張ルーメンに対して連結され、第1のバルーンを越えて遠位方向に配設される。
【0070】
第9の装置のいくつかの実施形態では、第1のシャフトは、チャネル内に摺動可能に配設され、第1のバルーンは、第1のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより第1の位置へと移動可能である。これらの実施形態のいくつかでは、第1のバルーンは、第1のシャフトの位置を摺動自在に調節することによりチャネル内におよび支持アームの近位に位置する第2の位置へと移動可能である。
【0071】
第9の装置のいくつかの実施形態は、遠位端部を有する、内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備える。外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において内芯部に対して摺動可能である。外方スリーブが延伸位置にある場合に、支持アーム、アンカ打込み機、および第1のバルーンは、外方スリーブ内に配設される。外方スリーブが後退位置にある場合に、アンカ打込み機および支持アームの少なくとも一部分は、外方スリーブの遠位端部を越えて遠位方向に延在する。これらの実施形態のいくつかは、ノーズコーンをさらに備え、ノーズコーンは、ノーズコーンが近位位置にあり外方スリーブが延伸位置にある場合に、外方スリーブの遠位端部に配設されるように、近位位置と遠位位置との間で移動可能である。
【0072】
ノーズコーンを備える第9の装置のいくつかの実施形態では、第2のシャフトは、ノーズコーンを越えて遠位方向に延在し、第2のバルーンは、ノーズコーンを越えて遠位方向に位置する。第9の装置のいくつかの実施形態では、ノーズコーンは、第2のシャフトに対して取り付けられ、第2のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより近位位置と遠位位置との間で移動可能である。
【0073】
ノーズコーンを備える第9の装置のいくつかの実施形態では、第1のシャフトは、チャネル内に摺動可能に配設され、第1のバルーンは、第1のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより第1の位置へと移動可能である。第2のシャフトは、ノーズコーンを越えて遠位方向に延在し、第2のバルーンは、ノーズコーンを越えて遠位方向に位置する。ノーズコーンは、第2のシャフトに対して取り付けられ、第2のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより近位位置と遠位位置との間で移動可能である。
【0074】
ノーズコーンを備える第9の装置のいくつかの実施形態は、チャネル内に摺動可能に配設された第3のシャフトをさらに備える。これらの実施形態では、ノーズコーンは、第3のシャフトに対して取り付けられ、第3のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより近位位置と遠位位置との間で移動可能である。第9の装置のいくつかの実施形態では、ノーズコーンは、第2のバルーンを越えて遠位方向に位置する。
【0075】
第9の装置のいくつかの実施形態は、シンチングコードおよび少なくとも4つのアンカをさらに備える。これらの実施形態では、アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され、シンチングコードに対して連結される。支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0076】
第9の装置のいくつかの実施形態は、弁輪リングおよび少なくとも4つのアンカをさらに備え、アンカのそれぞれが、アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され、弁輪リングに対して連結される。これらの実施形態では、支持アームは、アンカ打込み機の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機の遠位端部を保持するように構成される。
【0077】
第9の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備え、少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備える。第9の装置のいくつかの実施形態では、弁輪は僧房弁輪である。第9の装置の他の実施形態では、弁輪は三尖弁輪である。
【0078】
本発明の別の態様が、心臓弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織の中に弁輪リングまたはシンチングコードを植え込むための第2の方法に関する。弁輪は心臓の心房と心室との間に配設され、心臓は心尖を有する。この第2の方法は、心房内にアセンブリを送達するステップであって、アセンブリが(a)弁輪リングまたはシンチングコードと、(b)弁輪リングまたはシンチングコードに対して連結された複数のアンカと、(c)弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織の中にアンカを打ち込むように構成された複数のアンカ打込み機とを備える、ステップを含む。このアセンブリは、支持部材により支持される。また、第2の方法は、弁輪リングまたはシンチングコードが弁輪の心房側において弁輪または弁輪に隣接する組織に隣接して位置するようにアセンブリを位置決めするステップを含む。また、第2の方法は、心室内に膨張性バルーンを前進させるステップであって、バルーンが支持部材により支持される、ステップと、バルーンが心室内に位置する間にバルーンを膨張させるステップとを含む。また、第2の方法は、バルーンが膨張される間に心周期の選択された部分が行われる時に、バルーンに対する力によりバルーンが心臓の心尖に向かって付勢され、これにより心臓の心尖に向かって支持部材が付勢され、これにより弁輪または弁輪に隣接する組織に向かって弁輪リングまたはシンチングコードが付勢されるように、心室内においてバルーンの位置を調節するステップを含む。また、第2の方法は、膨張されたバルーンが調節位置にある間に、心周期の選択された部分が行われる時に時間を判定するステップと、膨張されたバルーンが調節位置にある間に、アンカ打込み機が心周期の選択された部分の最中に弁輪の中または弁輪に隣接する組織の中にアンカを打ち込むようにアンカ打込み機を始動させるステップとを含む。
【0079】
第2の方法のいくつかの実施形態では、判定するステップは、支持部材が遠位方向に引かれている時を検出するステップを含む。第2の方法のいくつかの実施形態では、前進させるステップは、膨張性バルーンが取り付けられたシャフトを支持部材に対する遠位方向に摺動させるステップを含む。第2の方法のいくつかの実施形態では、位置決めするステップは、アンカ打込み機を支持する複数の支持アーム同士の間において追加のバルーンを膨張させることにより、追加のバルーンが支持アーム同士を相互に押し離すようにするステップを含む。
【0080】
第2の方法のいくつかの実施形態では、送達するステップは、(a)シンチングコード、アンカ、およびアンカ打込み機が外方スリーブ内で圧縮されながら、心房内に弁輪リングまたはシンチングコード、アンカ、ならびにアンカ打込み機を導入するステップと、(b)シンチングコード、アンカ、およびアンカ打込み機が外方スリーブの遠位端部を越えて延在するように外方スリーブを後退させるステップとを含む。第2の方法のいくつかの実施形態では、弁輪は僧房弁輪である。第2の方法のいくつかの実施形態では、弁輪は三尖弁輪である。
【0081】
本発明の別の態様が、三尖弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織の中に弁輪リングまたはシンチングコードを植え込むための第3の方法に関する。この第3の方法は、右心房内にアセンブリを送達するステップであって、アセンブリが、(a)弁輪リングまたはシンチングコードと、(b)弁輪リングまたはシンチングコードに対して連結された複数のアンカと、(c)弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織の中にアンカを打ち込むように構成された複数のアンカ打込み機とを備え、支持部材により支持される、ステップを含む。また、第3の方法は、弁輪リングまたはシンチングコードが弁輪の右心房側で弁輪にまたは弁輪に隣接する組織に隣接するように、アセンブリを位置決めするステップと、肺動脈中に収縮状態の膨張性バルーンを前進させるステップとを含む。バルーンは、支持部材により支持される。また、第3の方法は、バルーンが肺動脈内に位置する間にバルーンをある位置にアンカ固定するためにバルーンを膨張させるステップと、バルーンがその位置にアンカ固定される間に、弁輪に向かってまたは弁輪に隣接する組織に向かって弁輪リングまたはシンチングコードを押圧するようにアセンブリの位置を調節するステップとを含む。また、第3の方法は、調節するステップの後に弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織の中にアンカを打ち込むステップと、バルーンを収縮させるステップと、アセンブリを引き抜くステップとを含む。
【0082】
第3の方法のいくつかの実施形態では、肺動脈は右肺動脈である。
【0083】
第3の方法のいくつかの実施形態では、肺動脈は左肺動脈である。
【0084】
第3の方法のいくつかの実施形態では、前進させるステップは、膨張性バルーンが取り付けられたシャフトを支持部材に対する遠位方向に摺動させるステップを含む。
【0085】
第3の方法のいくつかの実施形態では、位置決めするステップは、アンカ打込み機を支持する複数の支持アーム同士の間において追加のバルーンを膨張させることにより、追加のバルーンが支持アーム同士を相互に押し離すようにするステップを含む。
【0086】
第3の方法のいくつかの実施形態では、送達するステップは、シンチングコード、アンカ、およびアンカ打込み機が外方スリーブ内で圧縮されながら、右心房内に弁輪リングまたはシンチングコード、アンカ、ならびにアンカ打込み機を導入するステップを含む。
【0087】
本発明の別の態様が、弁輪上にまたは弁輪に隣接する組織上にシンチングコードを設置するための第10の装置に関する。この装置は、ハウジング、細長内芯部、シンチングコード、少なくとも4つの支持アーム、少なくとも4つのアンカ、少なくとも4つのアンカ打込み機、少なくとも1つのワイヤ、および押し部材を備える。細長内芯部は、ハウジングに対して取り付けられる。内芯部は、(a)遠位端部と、(b)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第2のチャネルと、(c)近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第4のチャネルとを有する。シンチングコードは、遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有し、シンチングコードの第1の近位部分は、少なくとも1つの第2のチャネル内において摺動可能に配設され、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、シンチングコードの第2の近位部分は、少なくとも1つの第2のチャネル内に摺動可能に配設され、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。支持アームは、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。アンカは、弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織中にシンチングコードの遠位ループ部分をアンカ固定するように構成される。アンカ打込み機のそれぞれが、支持アームのそれぞれ1つにより支持され、弁輪の中にまたは弁輪に隣接する組織中にアンカのそれぞれ1つを打ち込むように構成される。少なくとも1つのワイヤは、(i)少なくとも1つの第4のチャネル内に摺動可能に配設され、(ii)内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する遠位端部を有し、(iii)第4のチャネルを越えて近位方向に延在する近位端部を有する。押し部材は、遠位方向に少なくとも1つのワイヤの近位端部を押すことにより遠位方向に押されるように、少なくとも1つのワイヤの遠位端部に対して固定される。シンチングコードおよび少なくとも1つの第2のチャネルは、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織中にアンカ固定された後に、近位方向へのハウジングの漸進移動により、内芯部がシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分に対する近位方向に漸進的に移動されるように構成される。押し部材は、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織中にアンカ固定された後に、遠位方向へ押し部材を押すことにより、近位方向へのハウジングの移動中におけるアンカの離脱が阻止されるように構成される。
【0088】
第10の装置のいくつかの実施形態では、シンチングコードの遠位ループ部分は、組織内部成長を促進するスリーブにより覆われる。
【0089】
第10の装置のいくつかの実施形態では、押し部材は、少なくとも1つの通路を有し、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、少なくとも1つの通路内に摺動可能に配設される。
【0090】
第10の装置のいくつかの実施形態では、押し部材は、遠位端部および近位端部と、近位-遠位間方向に押し部材を貫通する少なくとも1つの通路とを有し、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、少なくとも1つの通路内に摺動可能に配設される。
【0091】
第10の装置のいくつかの実施形態では、押し部材は、少なくとも1つのワイヤに対して平行な軸方向軸を有するように整列された中空シリンダを備え、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、中空シリンダ内に摺動可能に配設される。
【0092】
第10の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のチャネルは、複数のルーメンを備え、シンチングコードの第1の近位部分およびシンチングコードの第2の近位部分のそれぞれが、複数のルーメンのそれぞれ1つの中に摺動可能に配設される。これらの実施形態のいくつかでは、少なくとも1つのワイヤは複数のワイヤを備え、少なくとも1つの第4のチャネルは複数のチャネルを備え、複数のワイヤのそれぞれが複数のチャネルの中のそれぞれ1つの中に摺動可能に配設される。
【0093】
第10の装置のいくつかの実施形態では、押し部材は、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織中にアンカ固定された後に、遠位方向へ押し部材を押すことにより、弁輪または弁輪に隣接する組織に対してシンチングコードが押し当てられるように構成される。
【0094】
第10の装置のいくつかの実施形態は、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に配設された少なくとも1つの耐つぶれ性チャネルをさらに備え、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、少なくとも1つの耐つぶれ性チャネル内に摺動可能に配設される。これらの実施形態のいくつかでは、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織中にアンカ固定される前に、少なくとも1つの耐つぶれ性チャネルが押し部材まで延在する。これらの実施形態のいくつかでは、少なくとも1つの耐つぶれ性チャネルは、内芯部に対して固定される少なくとも1つの支持アームにより支持される。
【0095】
第10の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のチャネルは、複数のルーメンを備え、シンチングコードの第1の近位部分およびシンチングコードの第2の近位部分のそれぞれが、複数のルーメンのそれぞれ1つの中に摺動可能に配設される。少なくとも1つのワイヤは、複数のワイヤを備え、少なくとも1つの第4のチャネルは、複数のチャネルを備え、複数のワイヤのそれぞれが、複数のチャネルの中のそれぞれ1つの中に摺動可能に配設される。押し部材は、シンチングコードの遠位ループ部分が少なくとも4つのアンカにより弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織中にアンカ固定された後に、遠位方向へ押し部材を押すことにより、弁輪または弁輪に隣接する組織に対してシンチングコードが押し当てられるように構成される。これらの実施形態のいくつかでは、押し部材は、遠位端部および近位端部と、近位-遠位間方向に押し部材を貫通する少なくとも1つの通路とを有する。シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、少なくとも1つの通路内に摺動可能に配設される。
【0096】
本発明の別の態様が、弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織に対して遠位ループ部分を有するシンチングコードを装着する第4の方法に関する。この第4の方法は、経皮送達ツールを使用して弁輪の近傍までシンチングコードの遠位ループ部分を送達するステップと、弁輪中にまたは弁輪に隣接する組織中に少なくとも4つのアンカを打ち込むステップとを含む。少なくとも4つのアンカは、弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織に対してシンチングコードの遠位ループ部分を固定するように構成される。また第4の方法は、少なくとも4つのアンカが打ち込まれた後に、近位方向に経皮送達ツールを引くステップと、経皮送達ツールを引く間に少なくとも4つのアンカのいずれの離脱も防止するのに十分な圧力で、弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織に対してシンチングコードの一部分を押し部材が保持するように、押し部材を遠位方向に押圧するステップとを含む。
【0097】
第4の方法のいくつかの実施形態では、少なくとも4つのアンカが、少なくとも8つのアンカを備える。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1A】外方スリーブが延伸位置にある場合に心臓弁輪上にシンチングコードまたは弁輪リングを設置するための装置の一実施形態の左側面図である。
図1B】外方スリーブが延伸位置にある場合に心臓弁輪上にシンチングコードまたは弁輪リングを設置するための装置の一実施形態の右側面図である。
図2A】外方スリーブが後退位置にある場合に見られるような図1の実施形態の左側面図である。
図2B】外方スリーブが後退位置にある場合に見られるような図1の実施形態の右側面図である。
図3】外方スリーブが延伸位置にある場合の図1の実施形態の遠位端部の詳細図である。
図4A図3の実施形態における内芯部の詳細図である。
図4B】支持アームが図3の実施形態における内芯部に対してどのように固定されるかを示す図である。
図5A】延伸位置と後退位置との間において外方スリーブを移動させる図1の実施形態の部分を示す図である。
図5B】延伸位置と後退位置との間において外方スリーブを移動させる図1の実施形態の部分を示す図である。
図5C】延伸位置と後退位置との間において外方スリーブを移動させる図1の実施形態の部分を示す図である。
図6A図1の実施形態における外方スリーブ内から出現した遠位アセンブリの詳細図である。
図6B】いくつかの構成要素を覆う追加のスリーブを共に示した図6Aの図である。
図7A】装置の遠位端部が左心房に挿入され外方スリーブが部分的に後退された後の図3の装置を示す図である。
図7B】外方スリーブが完全に後退された後の図3の装置を示す図である。
図7C】バルーンが膨張された後の図3の装置を示す図である。
図7D】アンカが弁輪に打ち込まれた直後の図3の装置を示す図である。
図8A】バルーンが収縮されいくつかの構成要素が外方スリーブ内に部分的に引き戻された後の図3の装置を示す図である。
図8B】上記構成要素が外方スリーブ内にさらに引き戻された後の図3の装置を示す図である。
図9A図5Aの近位部分の詳細図である。
図9B図9Aの中央部分の詳細破断図である。
図10A】組織内部成長を防止するためのコードプロテクタを示す図である。
図10B】通線コードセットと組み合わされた図10Aのコードプロテクタを示す図である。
図11】組織内部成長により弁輪のシンチングが妨げられるのを防止するための方法の流れ図である。
図12A】シンチングコードの近位部分上を遠位方向に摺動されつつある最中のコードプロテクタを示す図である。
図12B】シンチングコードの遠位ループ部分に到達した後の図12Aのコードプロテクタを示す図である。
図13A】コードプロテクタが引き抜かれた後の図12Aのシンチングコードを示す図である。
図13B】スラストチューブがシンチングコードの近位部分上を摺動しシンチングコードの遠位ループ部分に到達した後の図12Aのシンチングコードを示す図である。
図14】追加のバルーンを有する図3の実施形態の一変形例を示す図である。
図15図14の実施形態を使用するための方法の流れ図である。
図16】シンチングコードが弁輪リングにより置換された、図6Aの実施形態の一変形例を示す図である。
図17】離脱リスクを軽減させるシンチングコードを設置するための装置の別の実施形態を示す図である。
図18】アンカが植え込まれ装置の引き抜きが開始された後の図17の実施形態を示す図である。
図19図14の実施形態と同様であるが2パーツ型スリーブを使用しノーズコーンを省いた別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
様々な実施形態が、添付の図面を参照して以下で詳細に説明される。これらの図面において、同様の参照数字は同様の要素を示す。
【0100】
本願は、心臓弁輪中にシンチングコードまたは弁輪リングを送達および設置するための方法および装置について記載する。これらのシンチングコード実施形態では、シンチングコードが本明細書において説明されるような装置および/または方法を利用して心臓弁輪中に設置されると、および組織内部成長の発生を待った後に、シンチングコードが弁輪の直径を収縮させるようにシンチングされ得る。これらの実施形態は、様々な弁関連症状(僧房弁逆流を含むがそれに限定されない)の矯正または改善にとって有用である。これらの弁輪リング実施形態では、弁輪リングが、(a)弁輪の形状を安定化させ弁輪の拡張を防止するために、または(b)置換弁の取付けを可能にするための土台としての役割を果たすために、のいずれかを目的として心臓弁輪中に設置される。これらの実施形態は、弁逆流の軽減および心臓弁置換のコンテクストにおいて有用である。
【0101】
図1A図1B図2A、および図2Bは、僧房弁輪または三尖弁輪などの心臓弁輪上にシンチングコードまたは弁輪リングを送達および設置するための装置25の図である。これらの4つの図面全てにおいて、ハウジング40は、装置25の近位側に配設され、外方スリーブ60は、装置の遠位側に配設される。より具体的には、図1Aおよび図1Bは、装置の外方スリーブ60が延伸位置にある場合に見られるような装置25のそれぞれ左側面図および右側面図であり、図2Aおよび図2Bは、外方スリーブ60が後退位置にある場合に見られるような同装置25のそれぞれ左側面図および右側面図である。外方スリーブ60が後退されると(図2Aおよび図2Bに示すように)、遠位アセンブリ70(シンチングコードまたは弁輪リングの遠位ループ部分を備える)は、外方スリーブ60の遠位端部を越えて延在する。外方スリーブ60が延伸されると(図1Aおよび図1Bに示すように)、遠位アセンブリは、圧縮され外方スリーブ60内に配設され、したがってこれらの図面においては見えなくなる。内芯部50に対する外方スリーブ60の延伸および後退は、以下で説明されるスリーブリトラクタ44により制御される。
【0102】
図3は、外方スリーブ60が延伸位置にある場合の図1の装置25の遠位端部の詳細図である。この図では、遠位アセンブリ70(図2Aに図示)を構成する様々な構成要素が、いずれも圧縮され、外方スリーブ60内に収容される。外方スリーブ60の好ましい長さは、50cmである。いくつかの実施形態では、外方スリーブ60の外径は、22フレンチである。代替的な実施形態では(例えば以下で論じる図17/図18の実施形態)、単体型外方スリーブ60が、複数のスリーブで置換され得る点に留意されたい。
【0103】
外方スリーブ60は、外方スリーブが延伸位置と後退位置との間で細長内芯部50に対して摺動可能になるように、内芯部の周囲に配設される。いくつかの実施形態では、内芯部50は、可撓性および非圧縮性のポリマーから作製される。いくつかの実施形態では、内芯部50の外径は5.7mmである。代替的な実施形態では、内芯部の外径は、5.0~6.5mmの間である。内芯部50の外方表面と外方スリーブ60の内径との間の間隙は、外方スリーブ60と内芯部50との間の摺動可能な関係を助長するように寸法設定される。主要チャネル55が、内芯部50の中心を貫通して延在する。いくつかの実施形態では、主要チャネル55の直径は、3.7mmである。代替的な実施形態では、この直径は3.0~4.5mmの間で変更され得る。
【0104】
少なくとも4つの支持アーム72が、内芯部50に対して取り付けられる。支持アーム72は、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。支持アーム72を形成するために適切な材料としては、ステンレス鋼、ニチノール、および他の生体適合性金属が含まれる。支持アームは、外方スリーブ60内において圧縮されるが、外方スリーブ60の拘束部を越えて遠位方向に延在した場合にはその元の形状へとばね式に戻るのに十分な可撓性を有する。
【0105】
少なくとも4つのアンカ打込み機74が、少なくとも4つの支持アーム72の中のそれぞれ1つによって支持される。各アンカ打込み機が遠位端部を有する。アンカ打込み機およびその中に収容されたアンカにとって適切な設計は、米国特許出願第14/895,711号および米国特許出願第15/163,453号に見ることができる。これらの米国特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。アンカが、各アンカ打込み機74内に配設される。各アンカ打込み機74は、プルワイヤトリガであり/を有し、各プルワイヤ76が、各プルワイヤを引っ張ることにより各アンカが打ち込まれるように、アンカ打込み機74の中の1つに対して動作的に連結される。
【0106】
図3は、4つの支持アーム72および4つのアンカ打込み機74を図示するが、少なくとも8つの支持アーム72および少なくとも8つのアンカ打込み機74(例えば8~16個の間の支持アームおよび8~16個の間のアンカ打込み機など)を使用することがさらに好ましい点に留意されたい。図3では、4つのみの支持アームおよびアンカ打込み機が、それらの構成要素をより見やすくするために示される。
【0107】
シンチングコードが、遠位ループ部分、第1の近位部分84、および第2の近位部分84を有する。好ましくは、シンチングコードの遠位ループ部分82(図6Aに示す)は、組織内部成長を促進する材料のスリーブ86により囲まれる。好ましくは、このスリーブ86は、軟性および可撓性である。適切な材料としては、繊維編成体(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維から作製された)が含まれる。アンカ打込み機74内に配設されるアンカは、シンチングコードの遠位ループ部分82に対して連結される。いくつかの実施形態では、この連結は、シンチングコードの遠位ループ部分82に対してアンカを直接連結することにより実現される。代替的な実施形態では、この連結は、シンチングコードの遠位ループ部分82を囲むスリーブ86に対してこれらのアンカを連結することによって実現される。
【0108】
シャフト106が、主要チャネル55内に配設され、このシャフト106は、膨張ルーメンを有する。膨張性バルーン105が、シャフト106に対して取り付けられ、膨張ルーメンを介したバルーン105の膨張を可能にするために膨張ルーメンに対して連結される。バルーン105は、外方スリーブ60が後退され、バルーン105が支持アーム72同士の間に位置する第1の位置に配設された時に膨張されると(図7Bおよび図7Cにおいて最もよく示されるように)、バルーン105が支持アーム72同士を相互に押し離し、それにより、アンカ打込み機74の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機74の遠位端部を保持する位置へと支持アーム72を移動させるのを補助するように構成される。
【0109】
バルーン105がない場合でも、支持アーム72は、弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機74の遠位端部を保持するように形状設定される点に留意されたい。しかし、支持アーム72同士が、外方スリーブ60内において圧縮された場合に相互に交絡された状態になる場合があるため、バルーン105は、支持アームを交絡解除するのに有用となる。さらに、バルーン105は、支持アーム72およびシンチングコードの遠位ループ部分82により形成される構造体を補剛し、それによりいくつかの好ましい実施形態では心房の形状に非常に緊密に嵌めこまれる比較的剛性の構造体になる。
【0110】
好ましくは、シャフト106は、主要チャネル55内に摺動可能に配設され、バルーン105は、シャフト106の位置を摺動自在に調節することにより第1の位置へと移動可能である。任意には、バルーン105は、シャフト106の位置を摺動自在に調節することにより、主要チャネル55内であり支持アーム72の近位である第2の位置へと移動可能であり得る。
【0111】
また、この実施形態は、近位位置と遠位位置との間で可動であるノーズコーン100を備える。ノーズコーン100が近位位置に位置し、外方スリーブ60が延伸位置に位置する場合に、ノーズコーン100は、図3に示すように外方スリーブ60の遠位端部に配設される。
【0112】
いくつかの実施形態では、ノーズコーン100は、ノーズコーンシャフト101に対して取り付けられ、ノーズコーンは、ノーズコーンシャフト101の位置を摺動自在に調節することによって近位位置と遠位位置との間で移動可能である。図7A図7Dは、遠位位置に位置する場合のノーズコーン100を示す。代替的な実施形態では、ノーズコーンは完全に省かれる。
【0113】
図4Aは、図3の実施形態の内芯部50の詳細図である。内芯部50は、遠位端部と、近位-遠位間方向へと内芯部を貫通して延在する主要チャネル55とを有し、この主要チャネル55は、内芯部50の径方向中心を中心として位置する。また、内芯部50は、近位-遠位間方向へと内芯部を貫通して延在する少なくとも4つの第1のチャネル51を有し、各第1のチャネル51は、プルワイヤ76の中の各1つを収容するように寸法設定される。好ましくは、各第1のチャネル51はルーメンである。いくつかの実施形態では、これらのルーメン51の壁部は、内芯部50と同一材料から作製される。代替的な実施形態では、これらのルーメン51の壁部は、PTFEなどの平滑材料でライニングされる。
【0114】
また、内芯部50は、近位-遠位間方向において内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第2のチャネル52を有し、この少なくとも1つの第2のチャネル52は、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84を収容するように寸法設定される。好ましくは、シンチングコードの各近位部分84は、その固有の個々の第2のチャネル52を貫通して延在し、これらの第2のチャネルのそれぞれは、シンチングコードの各近位部分84を収容するように寸法設定される。しかし、好ましさにおいてやや劣る実施形態では、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84の両方が、単一の第2のチャネル52を貫通して延在し得る。好ましくは、各第2のチャネル52はルーメンである。いくつかの実施形態では、これらのルーメン52の壁部は、内芯部50と同一材料から作製される。代替的な実施形態では、これらのルーメン52の壁部は、PTFEなどの平滑材料でライニングされる。
【0115】
好ましくは、第1のチャネル51のそれぞれおよび少なくとも1つの第2のチャネル52のそれぞれが、主要チャネル55を径方向に越えて位置する位置に配置される。任意には、第1のチャネル51のそれぞれおよび少なくとも1つの第2のチャネル52のそれぞれが、内芯部50の径方向中心から同一の径方向距離に位置する。
【0116】
また、内芯部50は、近位-遠位間方向において内芯部を貫通して延在する複数の第3のチャネル53を有し、これらの複数の第3のチャネル53は、図4Bに関連して以下で説明される支持ロッド95を収容するように寸法設定される。いくつかの好ましい実施形態では、各第1のチャネル51、各第2のチャネル52、および各第3のチャネル53の直径は、0.45mmである。
【0117】
図4Bは、内芯部50に対して支持アーム72を取り付けるための1つの好ましいアプローチを示す。このアプローチでは、支持アーム72は複数の支持リング90に対して固定され、支持リングから遠位方向に延在する。また、複数の支持ロッド95が支持リングに対して固定され、支持リングから近位方向に延在する。これらの支持ロッド95は、金属ワイヤから形成され得る。(支持リング90、支持ロッド95、および支持アーム72を備える)このサブアセンブリを使用することで、支持アーム72は、内芯部50の第3のチャネル53に支持ロッド95を挿入することによって内芯部50に対して取り付けられて、図3に示す構成をもたらすことができる。
【0118】
各支持リング90は複数の穴92を有し、これらの穴92は、支持ロッド95が内芯部50の第3のチャネル53に挿入された場合に、支持リング中の穴92が内芯部50中の第1のチャネル51および第2のチャネル52と整列されるように位置決めされる。また、支持リング90は、支持アーム72を支持するように寸法設定および構成された少なくとも4つの切欠部93と、支持ロッド95を支持するように寸法設定および構成された複数の切欠部94とを備える。
【0119】
任意には、放射線不透過性材料(例えば80%白金および20%イリジウム、または関連技術の当業者には自明であろう他の代替物)が、蛍光透視法を利用したシンチングコードまたは弁輪リングの設置のための手技中に装置の位置の確認を補助するためにこのサブアセンブリに対して追加されてもよい。好ましくは、放射線不透過性材料は、非対称パターンで分布する。例えば、一対の放射線不透過性スリーブ98が、支持アーム95の中の1つの上に配設されてもよく、単一の放射線不透過性スリーブ98が、支持アーム95の中の別の1つの上に配設されてもよい。放射線不透過性材料の非対称分布を利用することにより、蛍光透視法下において装置の個々の部分がそれぞれ異なるように見えるため、シンチングコードまたは弁輪リングを設置するための手技中に装置の配向を確認することがより容易になる。当然ながら、放射線不透過性材料は、様々な異なる非対称パターンで分布してもよく、依然として位置決めおよび配向の目的にとって有用なままであり得ることが、関連技術の当業者には理解されよう。
【0120】
図3に戻ると、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84は、少なくとも1つの第2のチャネル52中に配設され、少なくとも1つの第2のチャネル52内で容易に摺動し得る。さらに、少なくとも4つのプルワイヤ76のそれぞれが、第1のチャネル51のそれぞれ1つの中に配設され、第1のチャネル51内で容易に摺動し得る。
【0121】
外方スリーブ60が延伸位置にある場合に(図3におけるように)、支持アーム72およびアンカ打込み機74は、外方スリーブ60内に配設される。しかし、外方スリーブ60が後退位置にある場合には、アンカ打込み機74および支持アーム72の少なくとも一部分は、外方スリーブ60の遠位端部を越えて遠位方向に延在する(図6Aおよび図6Bにおいて最もよく示されるように)。
【0122】
図5A図5Cは、延伸位置(図1および図3に描かれるような)と後退位置(図2および図6に描かれるような)との間において外方スリーブ60を移動させる装置25の部分を示す。同様の数字を伴う構成要素は、図1図4に関連して上記で論じた同一の構成要素に対応する。
【0123】
装置25は、ヒトの手で握れるようにサイズ設定されたハウジング40を備え、装置25を操作するために使用される複数の制御部44a、47を有する。ハウジングは、熱可塑性材料、金属材料、または任意の他の適切な材料から形成され得る。細長内芯部50は、ハウジング40に対して固定的空間関係で取り付けられ、ハウジング40に対する内芯部50の取付けは、直接的にまたは中間構成要素を介してのいずれかにより実現され得る。外方スリーブ60(図3および図5Aに図示)は、内芯部50の周囲に配設され、外方スリーブ60は、延伸位置と後退位置との間において内芯部50に対して摺動可能である。
【0124】
図示する実施形態では、スリーブリトラクタ44は、内芯部50に対して外方スリーブ60を移動させることに関与する。これは、ラック44rおよびピニオン44pを備えるラック-ピニオンを使用して達成される。操縦制御アセンブリ42(好ましくはカテーテルシャフトの正中線偏移および前方偏移と、さらにハウジング40に対する回転とを容易化させる)が、ラック44rの遠位端部に対して固定され、外方スリーブ60は、操縦制御アセンブリ42の遠位端部に対して固定される。結果として、外方スリーブ60は、ラック44rの移動を追跡する。アクチュエータ44aが時計回り方向に回転することにより、ピニオン44pは時計回り方向に回転され、これによりラック44rはハウジング40に対して近位方向に移動される。好ましくは、ロッキングピン44kが挿入された場合に、ロッキングピン44kによりラック44rの移動が防止され、これにより装置を挿入する最中において外方スリーブ60の意図しない後退が防止される。
【0125】
内芯部50がハウジングに対して固定的空間関係にあることにより、近位方向へのラック44rの移動によって、外方スリーブ60は、内芯部50に対して近位方向に摺動される。これにより、外方スリーブ60は、延伸位置(図1および図3に図示)から図2および図6Aに示す後退位置へと移動される。
【0126】
図6Aは、外方スリーブ60が後退する結果として外方スリーブ60内から出現しており、それにより外方スリーブ60の遠位端部を越えて遠位方向に延在する、遠位アセンブリ70の詳細図である。この実施形態における遠位アセンブリ70は、10個のアンカ打込み機74を備え、各アンカ打込み機74は、固有の個々の支持アーム72により支持される。いくつかの実施形態では、支持アーム72は、図3図4に関連して上述したような内芯部50に対して取り付けられる。支持アームは、外方スリーブ60が後退位置にある場合に、アンカ打込み機74の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で(図7Cをさらに参照)、支持アーム72が弁輪の形状に対応する位置にてアンカ打込み機74の遠位端部を保持するように形状設定される。
【0127】
図6Aにおけるシンチングコードの遠位ループ部分82の形状が、円形であり、この形状が、シンチングコードが円形の弁輪上に設置される場合に適したものとなる点に留意されたい。代替的な実施形態では、シンチングコードが、異なる形状を有する弁輪(例えばD字形状である僧房弁輪)上に設置される場合に、支持アーム72は、アンカ打込み機74の遠位端部がその異なる形状を有する弁輪の外辺部に沿って分散されるように、形状設定される。
【0128】
好ましくは、支持アーム72の形状およびサイズは、個々の患者の解剖学的構造に合致するように設計され、それにより、外方スリーブ60が後退されると、シンチングコードの遠位ループ部分82は、支持アーム72により開かれ弁輪の周囲に広がり、それによりアンカがほとんど調節を伴わずに打ち込み可能な状態となる正確な位置に置かれる。これは、例えば各支持アーム72が内芯部50から既定角度に延在するように支持アームの3D形状を設計することなどにより実現され得る。
【0129】
支持アーム72の所望の形状およびシンチングコードの遠位ループ部分82の外周は、患者のCTスキャンを3D CADファイルへと変換することにより決定され得る。次いで、支持アーム72は、標的の弁輪に合致する構成にシンチングコードの遠位ループ部分82を保持することにより形成され得る。これを達成するための1つの好ましいアプローチは、CADファイル中の弁輪に合致する位置にてアンカ打込み機74の遠位端部を保持するジグにアンカ打込み機74を挿入することである。次いで、支持リング90、支持ロッド95、および支持アーム72を備えるアセンブリが、アンカ打込み機74に対して装着される(例えば溶接または適切な接着剤を使用して)。また、ジグは、支持ロッド95と支持アーム72との間に適切な角度をもたらす位置に支持ロッド95を保持する。次いで、アセンブリ(アンカ打込み機74が装着された)は、ジグにより課せられつつある形状をとるように加熱される。任意には、支持アームは、例えばニチノールなどの形状記憶材料から作製され得る。
【0130】
シンチングコードが、遠位ループ部分82、第1の近位部分84、および第2の近位部分84を有する。好ましくは、シンチングコードの遠位ループ部分82は、繊維編成体などの、組織内部成長を促進する材料のスリーブ86により囲まれる。上記で説明したように、アンカ打込み機74内に配設されるアンカは、シンチングコードの遠位ループ部分82に対して連結され、アンカ打込み機74は、各プルワイヤ76を引っ張ることにより各アンカが打ち込まれるように構成される。
【0131】
図6Bは、明瞭化のために図6Aでは省かれたスリーブ79、89のセットを図6Bではさらに図示する点を除けば、図6Aと同様である(および同様の参照数字は同様の特徴に対応する)。各アンカ打込み機74は、支持アーム72の中の1つにより支持され、プルワイヤ76の中の1つにより作動される。図6Bに描かれる構成へと支持アーム72をより平滑に開くことを容易にするためには、各個別のアンカ打込み機74にて終端する支持アーム72およびプルワイヤ76をスリーブ79内に囲むことが好ましい。図6Bの実施形態では、各アンカ打込み機74ごとに1つのスリーブ79が存在し、そのアンカ打込み機74用の支持アーム72およびプルワイヤ76は、対応するスリーブ79の中心を貫通して延在する。いくつかの実施形態では、これらのスリーブ79は、スリーブ79内においてプルワイヤ76の摺動性に干渉しないように十分な大きさの内径(収縮後)を有する透明シュリンクチュービングから作製される。代替的な実施形態では、スリーブ79は、同様の内径を有する他のポリマー材料から作製され得る。
【0132】
好ましくは、追加のスリーブ89が用意され、シンチングコードの近位部分84が、この追加のスリーブ89を貫通して延在する。スリーブ89は、上記で論じたスリーブ79と同様であり、スリーブ89内におけるシンチングコードの近位部分84の摺動性に干渉しないように十分な大きさの内径を有するように寸法設定される。
【0133】
いくつかの実施形態では、保持コード78が、支持アーム72に対して連結され、バルーン105が支持アーム72同士の間に配設され膨張された場合に(図7Dに示すように)、保持コード78が、バルーン105を包囲し、支持アーム72同士の間からのバルーン105の滑脱を防止するように、支持アーム72に対して配置される。
【0134】
保持コード78は、少なくとも1つの結び目を利用して支持アーム72に対して連結され得る。いくつかの実施形態では、保持コード78はシルク縫合糸を備える。代替的な実施形態では、保持コード78は、ポリマー(例えばナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル等)コードを備える。
【0135】
いくつかの好ましい実施形態では、支持アーム72は、上述のようにスリーブ79内に包囲され、保持コード78は、各スリーブ79中の穴に保持コード78を通し、各スリーブ79にて結び目を作ることにより支持アーム72に対して連結される。これは、例えば各支持アーム72と隣接する支持アーム72との間で逐次連結される連続外科用シルク縫合糸またはポリマーコードなどを使用して達成され得る。保持コード78は、アセンブラにより最終的に保持コード78としての役割を果たすことになる外科用縫合糸の一体ニードルで各スリーブ79に穿孔することによって、支持アーム72に対して装着され得る。この穿孔を形成した後に、保持コード78は、この穿孔を通して送られ、結び目(止め結びなどの)を利用してスリーブ79に対して固定される。次いで、アセンブラは、次の支持アーム72およびスリーブ79へと続き、同一のプロセスを繰り返し、最終的には最初の支持アーム72およびスリーブ79へと戻る。このプロセスが、支持アーム72に対して保持コード78を連結するために利用される場合には、いずれの結び目によってもいずれのプルワイヤも囲まれないことを(プルワイヤを引っ張ることが可能である状態に干渉しないように)確保することが好ましい。
【0136】
代替的な実施形態では(図示せず)、各支持アーム72に対して装着される単一の保持コード78が、保持コードの2つ以上のより短いセグメントで置換されてもよく、これにより、一体的に共にまとめられた保持コードのこれらのより短いセグメントが、バルーンを包囲し、支持アーム同士の間からのバルーンの滑脱を防止する。
【0137】
図7A図7Dは、時間的に順次の段階において被験者の僧房弁輪上にシンチングコードを設置するための、上述の図1図6の実施形態の使用を示す。この例では、装置25の遠位端部は、外方スリーブ60が延伸位置にある状態において(図1に示すように)、被験者の頸静脈および上大静脈を通り被験者の心臓30の右心房内へと送られる。次いで、遠位先端部が、任意の従来のアプローチを利用して隔壁中の穿孔を通り被験者の左心房32内に送られる。
【0138】
図7Aは、装置の遠位端部が左心房32に到達し、外方スリーブ60が部分的に後退された後の装置を示す。アンカ打込み機74およびシンチングコードの遠位ループ部分82(スリーブ86の内部に配設されている)が、外方スリーブ60の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。シャフト101上に取り付けられたノーズコーン100は、被験者の心臓の左心室33内に下げられる。一連の中のこの時点においては、支持アーム72の一部分のみが、外方スリーブ60の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、シンチングコードの遠位ループ部分(スリーブ86内の)は、部分的に圧縮された状態に留まる点に留意されたい。
【0139】
図7Bは、外方スリーブ60が完全に後退された後の同装置を示す。ここでは、アンカ打込み機74、シンチングコードの遠位ループ部分(スリーブ86の内部に配設される)、支持アーム72、プルワイヤ76の端部、バルーン105、およびバルーン保持具78がいずれも、外方スリーブ60の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。この時点で、支持アーム72のばね作用が、シンチングコードの遠位ループ部分(スリーブ86内の)を著しく広げている。
【0140】
図7Cは、バルーン105が膨張された後の同装置を示す。バルーン保持具78は、支持アーム72同士の間からのバルーン105の滑脱を防止する。アンカ打込み機74、シンチングコードの遠位ループ部分(スリーブ86内の)、支持アーム72、プルワイヤ76の端部、バルーン105、およびバルーン保持具78はいずれも、外方スリーブ60の遠位端部を越えて遠位方向に留まる。この時点で、バルーン105は、支持アーム同士を相互から押し離しており、それにより、アンカ打込み機74の遠位端部が弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、支持アーム72が弁輪の形状に対応する位置にアンカ打込み機74の遠位端部を保持する位置へと支持アーム72を移動させるのを補助する。好ましくは、支持アーム72は、AVノードに対する潜在的損傷を防ぐためにアンカ打込み機74がいずれもAVノードの上またはAVノードに隣接して位置決めされることがないように事前成形されている(図6Aに関連して上述するように)。
【0141】
アンカ打込み機74の遠位端部は、弁輪に対して押し当てられ、適切な位置決めが確認された後に(例えば蛍光透視法を利用して)、アンカ打込み機74はプルワイヤ76の近位端部を引くことにより始動される。これにより、各アンカ打込み機74が弁輪中にそのアンカを打ち込む。好ましくは、全てのアンカ打込み機74が同時に始動される。これは、アンカが打ち込まれる前に、支持アーム72の構造形状が弁輪の周囲においてシンチングコードの遠位ループ部分82の位置および形状を決定するため、好ましい。(対照的に、遠位ループ部分82が支持アーム72から連結解除されると、インプラントの形状を制御することは非常に困難になる場合がある。結果として、アンカが同時にではなく逐次的に打ち込まれる代替的な実施形態では、各アンカ打込み機74の位置が打ち込み前に調節される必要が生じる場合があり、これは非常に困難なものとなるおそれがある)。
【0142】
図7Dは、アンカ75が弁輪中に打ち込まれた直後の同装置を示す。一連の中のこの時点において、アンカ75は、展開されており、弁輪に対してシンチングコードの遠位ループ部分82(スリーブ86内の)を保持する。シンチングコードの近位部分84は、シンチングコードの遠位ループ部分に対して連結された状態に留まるが、送達システム(例えば支持アーム72、アンカ打込み機74、等)は、シンチングコードの遠位ループ部分82に対してもはや連結されていない。
【0143】
次に、バルーン105が収縮され、バルーン105、支持アーム72、およびアンカ打込み機74が、図8Aに示すように外方スリーブ60内に引き戻される。次いで、これらの構成要素は、図8Bに示すように外方スリーブ60内にさらに引き戻される。アンカ75は、弁輪35に対してシンチングコードの遠位ループ部分82(スリーブ86内の)を保持し続け、シンチングコードの近位部分84は、シンチングコードの遠位ループ部分に対して連結された状態に留まる。
【0144】
図9Aは、図5Aに示す装置25の近位部分の詳細図である。この詳細図は、ハウジング40の一部分、少なくとも1つのスプール150、および取り外し可能ロッキングピン155を示す。少なくとも1つのスプール150は、ハウジングに対して回転可能に取り付けられる。ロッキングピン155は、(a)ピン155が設置される場合には少なくとも1つのスプール150が回転するのを防止することと、(b)ピン155が取り外された場合には少なくとも1つのスプール150が回転するのを可能にすることとのいずれかを選択的に行う。少なくとも1つのスプールは、少なくとも1つのスプールの少なくとも一部分がハウジングの外部から視認可能になるようにハウジングに対して配置される。
【0145】
いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1つのスプールは、少なくとも1つのスプール150の回転の視認性を強化するスポーク152を有し、少なくとも1つのスプール150は、スポーク152の少なくとも一部分がハウジング40の外部から視認可能になるようにハウジング40に対して配置される。代替的な実施形態では、少なくとも1つのスプールは、少なくとも1つのスプール150の回転の視認性を強化するマーキング(図示せず)を有し、少なくとも1つのスプール150は、マーキングの少なくとも一部分がハウジング40の外部から視認可能になるようにハウジング40に対して配置される。
【0146】
図9Bは、少なくとも1つのスプール150が、(a)第1のコード延在セクション184の近位セクションが巻きつけられる第1の領域150aと、(b)第2のコード延在セクションの近位セクションが巻きつけられる第2の領域150bとを有する単一のスプールを備える。第1の領域150aおよび第2の領域150bは、重畳していない。代替的な実施形態では、2つの独立したスプール(図示せず)が、2つの領域150aおよび150bを備える単一のスプールの代わりに使用され得る。
【0147】
第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション184はそれぞれ、遠位端部および近位セクションを有し、これらの延在セクションの遠位端部は、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84に対して連結される。第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション184の近位セクションは、少なくとも1つのスプール150上に巻きつけられる。
【0148】
好ましくは、シンチングコード全体(シンチングコードの遠位ループ部分82および両近位部分84を含む)、第1のコード延在セクション184、ならびに第2のコード延在セクション184は、単一の高引張強度コードの中の連続したセクションである。いくつかの好ましい実施形態では、この単一のコードはDyneemaコードである。いくつかの好ましい実施形態では、この単一のコードは、超高分子量ポリエチレンコードである。代替的な実施形態では、コード延在セクション184は、シンチングコードと連続的ではない。代わりに、これらの実施形態では、第1のコード延在セクション184の遠位端部は、シンチングコードの第1の近位部分84に対して固定され、第2のコード延在セクション184の遠位端部は、シンチングコードの第2の近位部分84に対して固定される(例えば適切な接着剤を使用して)。
【0149】
シンチングコードは、遠位ループ部分82(図8Bに図示)と、第1の近位部分および第2の近位部分84(図8Bに図示)とを有する。シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84は、内芯部50の遠位端部を越えて遠位方向に延在し、内芯部50中のルーメン52を貫通し延在する(図4Aに図示)。また、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84は、内芯部の近位端部を越えて近位方向に延在する(図5Cに図示)。ルーメン52は、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84とさらに第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション184とを摺動可能に収容するように寸法設定される。
【0150】
シンチングコード82、84、第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション184、ルーメン52、ならびに少なくとも1つのスプール150は、シンチングコードの遠位ループ部分82が少なくとも4つのアンカ75により弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織中にアンカ固定され(図8Bに図示)、ロッキングピン155(図9Aに図示)が取り外された後に、近位方向へのハウジング40の漸進移動により、(a)内芯部50がシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84に対して近位方向へと漸進移動し、(b)第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション184が少なくとも1つのスプールから漸進的に巻き出されルーメン52内に漸進的に引き込まれるように構成される。
【0151】
好ましくは、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84ならびに第1のコード延在セクションおよび第2のコード延在セクション184は、ハウジング40が近位方向に移動される場合に、弁輪に対してシンチングコードの遠位ループ部分82を保持するアンカが離脱しないように、非常に低い摩擦を伴いながらルーメン52を通過する。平滑ポリマー壁部(例えばポリエチレン、ポリウレタン、Pebax等)を有するルーメン52が、この目的に対して適する。
【0152】
近位方向へのハウジング40の移動が継続し、コード延在セクション184は、装置25の全体(図1に図示)が取り外されるまで少なくとも1つのスプール150から巻き出され続ける。この時点にて、シンチングコードの遠位ループ部分82は、弁輪に対して装着された状態に留まり(図8Bに示すように)、シンチングコードの近位部分84は、弁輪から戻るように患者の血管を通り出口点まで延在する(例えば上大静脈および頸静脈を経由して)。
【0153】
これらの好ましい実施形態は、シンチングコードの遠位ループ部分82と弁輪との間の結合を強化するために組織内部成長に依存する。図8Bの実施形態では、シンチングコードの遠位ループ部分82は、アンカ75を使用して弁輪に対してスリーブ86(遠位ループ部分82が中を通り延在する)をアンカ固定することにより弁輪に対して装着される。好ましくは、スリーブ86は、組織内部成長を促進する材料(例えば繊維編成体)から作製される。植込みの直後に、遠位ループ部分82と弁輪との間の結合は、典型的にはシンチングに耐えるに十分な強度ではない。しかし、スリーブ86が組織内部成長に適応する材料から作製されるため、弁輪におけるスリーブ86中への組織内部成長が植込み後に発生し始めることになる。この組織内部成長は、最終的には(例えば2~12週の間にわたり)、スリーブ86と弁輪との間の結合がシンチングに耐えるに十分な強度のものになるまでこの結合を強化する。
【0154】
シンチングコード82、84は、シンチングが最終的に実施される時に自由に移動することが可能であることが好ましい。この移動の自由を容易にするための1つの好ましいアプローチは、シンチングが最終的に実施される時にシンチングコードの遠位ループ部分82がスリーブ86内において自由に移動し得ることを確保する、組織内部成長を阻止する材料(例えばePTFE、ポリウレタン等)でスリーブ86をライニングすることである。
【0155】
組織内部成長がスリーブ86と弁輪との間の結合を強化している(これが望ましいことである)最中に、組織内部成長は、近位部分84とそれらの近位部分が中を通り移動する血管との間においても発生し得る。この後者のタイプの内部成長は、シンチングが最終的に実施される時に、近位部分84が自由に移動し得ることに干渉し得るため望ましくない。シンチングコードの近位部分84とそれらの近位部分が中を通り移動する血管との間における組織内部成長を防止するための1つの好ましいアプローチは、(a)シンチングコードの近位部分上でコードプロテクタを摺動させることと、(b)シンチングコードの遠位ループ部分82が植え込まれる時間とシンチングが最終的に実施される時間との間にそのコードプロテクタを定位置に残置することとである。
【0156】
図10Aは、この目的に適したコードプロテクタを示す。より具体的には、図10Aは、組織内部成長が被験者の身体内に植え込まれるシンチングコードの動作に干渉するのを防止するためのコードプロテクタを示す。コードプロテクタは、近位端部および遠位端部を有する可撓性細長本体120を有する。細長本体120は、本体120の近位端部と遠位端部との間に延在する第1のルーメンおよび第2のルーメン122を有する。ルーメン122は、シンチングコードの近位部分を摺動可能に収容するように寸法設定される。本体120およびルーメン122は、第1の近位部分および第2の近位部分が第1のルーメンおよび第2のルーメン122の中にそれぞれ配設される状態で、細長本体120がシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を覆うような、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分の上における本体120の摺動可能な設置を容易化するように構成される。本体120は、細長本体自体の中への組織内部成長を防止し、また細長本体120がシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を覆った場合にはシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分内への組織内部成長も防止する。
【0157】
いくつかの実施形態では、本体120は、ポリウレタンおよびシリコーンの少なくとも一方から形成される。いくつかの実施形態では、本体120は、Pellethane 55Dポリウレタンから形成される。いくつかの実施形態では、本体120は、35~65cmの間の長さおよび1~4mmの間の直径を有する。いくつかの実施形態では、本体120は、45~55cmの間の長さおよび1.5~2.5mmの間の直径を有する。第1のルーメンおよび第2のルーメン122に適した直径は、0.2~1mmの間の範囲である。
【0158】
任意には、本体120は、近位端部にて開口し、遠位端部にて閉鎖し、細長本体の少なくとも3/4にわたり貫通して延在する第3のルーメン123を有してもよい。この第3のルーメンは、本体120がそれ自体では意図する目的地まで誘導されるのに不十分な剛性を有する状況において有用であり得る補剛ワイヤを摺動自在に収容するように寸法設定される。いくつかの実施形態では、第3のルーメン123の直径は0.2~1mmの間である。
【0159】
任意には、放射線不透過性マーカ125(例えば80%白金および20%イリジウム、または関連技術の当業者には自明であろう他の代替物)が、追加され、好ましくは細長本体の遠位端部の付近に配設され得る。任意には、ePTFEキャッピングスリーブ(図示せず)が、コードプロテクタに対して追加されてもよい。
【0160】
図10Bは、通線コードセット128と組み合わされた図10Aのコードプロテクタを示す。第1の通線コードおよび第2の通線コード128は、第1のルーメンおよび第2のルーメンを貫通して延在し、細長本体の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。第1の通線コードおよび第2の通線コード128は、第1のルーメンおよび第2のルーメン122内にそれぞれシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を引き込むように構成され、それによりシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分は、細長本体120の遠位端部がシンチングコードの遠位ループ部分に隣接して位置する位置へと細長本体120を上で摺動させ得るガイドワイヤとして動作し得る。通線コード128に適切な材料としては、ニチノールおよびステンレス鋼が含まれる。任意には、コードプロテクタおよび通線コード128の両方が、滅菌エンベロープ内部にパッケージングされ得る。
【0161】
図11は、シンチングコードを使用した弁輪のシンチングに組織内部成長が干渉するのを防止するための方法を示す。ステップS10では、シンチングコードは、(a)シンチングコードの遠位ループ部分(スリーブ内に配設された)が弁輪の近傍に位置し、(b)シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分がシンチングコードの遠位ループ部分から被験者の血管を通り戻るように近位方向に延在する(図7Cに示すように)ように操作される。ステップS20では、シンチングコードの遠位ループ部分が、弁輪および弁輪に隣接する組織の少なくとも一方に対してアンカ固定される。このステップは、好ましくは複数のアンカを使用して弁輪および弁輪に隣接する組織の少なくとも一方に対してスリーブをアンカ固定することによって実現される(図8Bに示すように)。
【0162】
オプションであるステップS25では、補剛部材(例えば金属ワイヤ)が、細長コードプロテクタを通り延在する第3のルーメンを通り近位-遠位間方向に摺動される。次いで、ステップS30で、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分が、組織内部成長を阻止する材料から作製されるコードプロテクタで覆われる。この覆うステップは、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分の上に2つのルーメンを有する細長コードプロテクタを摺動させることにより、シンチングコードのこれらの近位部分がこれらのルーメンを通り送られるようにすることによって(図12Aおよび図12Bに図示するように)実現され得る。
【0163】
アンカ固定ステップおよび覆うステップの後に、ステップS40で、シンチングコードの遠位ループ部分と弁輪および弁輪に隣接する組織の少なくとも一方との間の結合が組織内部成長により強化されるのを待つ。いくつかの実施形態では、この待つステップは、少なくとも2週にわたる待機を含む。しかし、結合がシンチングに耐えるに十分な強度になるのを確保するために少なくとも2か月にわたり待つことがしばしば好ましい。多くの場合では、少なくとも3か月にわたり待つことが、結合がシンチングに耐えるに十分な強度になるのを確保するために推奨される。
【0164】
待つステップの後に、ステップS50で、コードプロテクタが取り外される(図13Aに示すように)。
【0165】
次いで、ステップS60で、弁輪が、弁輪の直径を縮小させるようにシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を引くことによってシンチングされる。シンチングは、スラストチューブ130がシンチングコードの遠位ループ部分82に到達するまでシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84上において遠位方向にスラストチューブ130を前進させ、その後、近位方向にシンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84を引きながら遠位方向にスラストチューブ130を押す(図13Bに示すように)ことによって実現され得る。
【0166】
シンチングステップの後に、ステップS70で、シンチングコードは、縮小直径状態に弁輪を保持するように固定される。このステップは、結び目、クランプ、および圧着ファスナの中の少なくとも1つを使用してシンチングコードの2つの部分を共に固定することによって実現され得る。
【0167】
図2および図6は、植込み前にシンチングコードの遠位ループ部分82を円形構成に保持する支持アーム72を示し、図8図12、および図13は、植込み後の円形構成にある遠位ループ部分82を示す点に留意されたい。代替的な実施形態では(例えばD字形状であるヒトの僧房弁輪中への設置用などの)、支持アーム72は、植込み前にシンチングコードの遠位ループ部分82をD字形状構成に保持するように形状設定され、これは、結果として植込み後にD字形状遠位ループ部分82をもたらす。
【0168】
図14は、図14の実施形態が第2のシャフト上に取り付けられた第2のバルーンを備える点を除いては上記で論じた図1図8の実施形態と同様である、代替的な実施形態を示す。より具体的には、図14の実施形態は、主要チャネル55内に摺動可能に配設される第2のシャフト108を追加する。この第2のシャフトは、第2の膨張ルーメンを有する。また、図14の実施形態は、第2のシャフト108に対して取り付けられ第2の膨張ルーメンに対して連結された膨張可能な第2のバルーン107を追加することにより、第2の膨張ルーメンを介した第2のバルーン107の膨張を可能にする。第2のバルーン107は、第1のバルーン105を越えて遠位方向に配設される。好ましくは、第2のシャフト108は、第1のシャフト106(すなわち第1のバルーン105用のシャフト)に対して同軸的に配置され、この第1のシャフト106は、両シャフトが近位-遠位間方向に個別に移動し得るように配設および構成される。
【0169】
いくつかの好ましい実施形態では、第2のシャフト108は最内シャフトであり、第1のシャフト106(図3に図示)は第2のシャフト108を同軸的に囲み、内芯部50(やはり図3に図示)が第1のシャフト106を同軸的に囲む。任意には、ガイドワイヤを収容するように寸法設定されたルーメン(図示せず)が、第2のシャフト108内に配設されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、このルーメンは、0.035インチ直径のガイドワイヤを収容するように寸法設定される。
【0170】
いくつかの実施形態では(図14に示す実施形態を含む)、第2のシャフト108はノーズコーン100を越えて遠位方向に延在し、第2のバルーン107はノーズコーン100を越えて遠位方向に位置する。これらの実施形態では、ノーズコーン100は、第2のシャフト108(すなわち第2のバルーン107が取り付けられるものと同一のシャフト)に対して取り付けられてもよく、または代替的には、ノーズコーン100は、固有の専用の第3のシャフト(図示せず)上に取り付けられてもよい。この後者の状況で、第3のシャフトは、好ましくは主要チャネル55内に摺動可能に配設され、ノーズコーン100は、第3のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより近位位置と遠位位置との間で移動可能である。好ましくは、第3のシャフトは、第1のシャフト106および第2のシャフト108に対して同軸的に配置され、第1のシャフト、第2のシャフト、および第3のシャフトの全ての3つのシャフトが近位-遠位間方向において個別に移動し得るように構成される。
【0171】
代替的な実施形態では(図示せず)、ノーズコーン100は、第2のバルーン107を越えて遠位方向に位置する。これらの実施形態では、ノーズコーン100は、第2のバルーン107を越えて遠位方向に延在する同第2のシャフト108の部分に対して取り付けられ得る。
【0172】
アンカ打込み機の遠位端部が弁輪に対してまたは弁輪に隣接する組織に対して押し付けられる時に、アンカ打込み機74に打ち込みをさせることが好ましく、第2のバルーン107は、シンチングコードが設置されることになる解剖学的状況に応じて、弁輪または組織に対してアンカ打込み機を押し付けるのを補助するために種々の方法で使用され得る。
【0173】
一例では、シンチングコードが三尖弁輪にて設置されることになる場合に、遠位アセンブリ70(図6Bに図示)は右心房内に位置決めされ、第2のバルーン107(図14に図示)は収縮状態で分岐部を通過して肺動脈内に(すなわち右肺動脈内または左肺動脈内に)前進される。第2のバルーン107が膨張される。第2のバルーン107がこの位置にて膨張されると、この第2のバルーン107は、弁輪面に向けた遠位アセンブリ70の操縦を支援しアンカ展開中に弁輪に対してリングを優しく押し付けるための一時的アンカとしての役割を果たす。
【0174】
別の例では、シンチングコードが僧房弁輪に設置されることになる場合に、第2のバルーン107が被験者の心室(例えば左心室33)の中間付近に位置決めされ膨張されると、心周期の選択された部分(例えば収縮期、拡張期等の中の1つ)の最中における心臓壁の移動および/または心臓を通過する血液の移動により、心尖に向かって第2のバルーン107を付勢する力が印加される。この現象は、弁輪に対してアンカ打込み機74の遠位端部を押し付けるために利用され得る。第2のバルーン107とアンカ打込み機74を備えるアセンブリとが、同一の支持部材(例えば図3に示す内芯部50)により支持される。次いで、アンカ打込み機74の始動が、心周期の選択された部分中に生じる圧迫と同期するようにタイミング調整され得る。
【0175】
図15は、心臓弁輪に対して(または弁輪に隣接する組織中に)弁輪リングまたはシンチングコードを植え込むための方法を実施するために図14のデュアルバルーン実施形態を利用するための方法の流れ図である。弁輪は、心臓の心房と心室との間に配設される。この方法は、アセンブリが心房内に送達されるステップS100を含む。アセンブリは、(a)弁輪リングまたはシンチングコードと、(b)弁輪リングまたはシンチングコードに対して連結された複数のアンカと、(c)弁輪または弁輪に隣接する組織の中にアンカを打ち込むように構成された複数のアンカ打込み機とを備える。アセンブリは、支持部材(例えば図3に示す内芯部50)により支持される。
【0176】
次に、ステップS110で、アセンブリは、弁輪リングまたはシンチングコードが、弁輪の心房側において弁輪または弁輪に隣接する組織に隣接して位置するように位置決めされる。ステップS120では、膨張性バルーンが、心室内に前進される。バルーンは、アセンブリを支持する同一の支持部材により支持される。ステップS130では、バルーンは、心室内に位置する間に膨張される。ステップS140で、心室内におけるバルーンの位置は、バルーンが膨張される間に心周期の選択された部分が行われる時に、バルーンに対する力により心尖に向かってバルーンが付勢され、これにより心尖に向かって支持部材が付勢され、これにより弁輪または弁輪に隣接する組織に向かって弁輪リングまたはシンチングコードが付勢されるように調節される。次に、ステップS150で、膨張されたバルーンが調節された位置にある間に、心周期の選択された部分が行われている時間が判定される。
【0177】
ステップS160で、アンカ打込み機が始動され(例えばロッキングピン48の取り外し後にトリガ47を作動させることにより、共に図5Cに図示)、それによりアンカ打込み機は、膨張されたバルーンが調節された位置に位置する間に、心周期の選択された部分の最中に弁輪または弁輪に隣接する組織の中にアンカを打ち込む。
【0178】
いくつかの実施形態では、ステップS150における判定が、支持部材が遠位方向に引かれている時を検出することを含む。いくつかの実施形態では、ステップS120における前進が、膨張性バルーンが取り付けられたシャフトを支持部材に対する遠位方向に摺動させることを含む。いくつかの実施形態では、ステップS110における位置決めは、追加のバルーン105が支持部材72同士を相互に押し離すように(図7Cにおいて上記で示すように)アンカ打込み機74を支持する複数の支持アーム72同士の間において第1のバルーン105を膨張させることを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、ステップS100における送達は、シンチングコード、アンカ、およびアンカ打込み機が外方スリーブ内で圧縮されながら、心房内に弁輪リングまたはシンチングコード、アンカ、およびアンカ打込み機を導入することと、シンチングコード、アンカ、およびアンカ打込み機が外方スリーブの遠位端部を越えて延在するように外方スリーブを後退させることとを含む。
【0180】
図16は、シンチングコードが弁輪リングにより置換された図6Aの実施形態の変形例を示す。この実施形態では、シンチングコードの近位部分84が内芯部50を通り戻る方向へと延在するように(図6Aに関連して上述したように)、弁輪中にシンチングコードの遠位ループ部分82を植え込む代わりとして、閉じられた弁輪リング182が、弁輪または弁輪に隣接する組織の中に植え込まれる。好ましくは、弁輪リング182は、図6Aの実施形態においてシンチングコードの遠位ループ部分82がスリーブ86内に囲まれた様式と同様の様式でスリーブ186によって囲まれる。同様に、上記で論じた任意の他の実施形態におけるシンチングコードが、弁輪リングに置換され得る。
【0181】
図1図9および図14に関連して上述した装置25が患者の身体から引き抜かれると、近位方向に移動中である構成要素(例えばアンカ打込み機74、支持アーム72、バルーン105、外方スリーブ60等)が、シンチングコードの近位部分84を把持する可能性が生じる(例えば図8Aおよび図8Bを参照)。これが生じた場合に、シンチングコードの近位部分84に対する力は、シンチングコードの遠位ループ部分82を引き、それらの力は、弁輪35からアンカ75の中の1つまたは複数を離脱させるのに十分なものとなり得る。
【0182】
図17および図18は、これらの状況においてアンカ75の離脱を防止するための1つの任意のアプローチを示す。この実施形態は、上述の図1図9の実施形態と同様であるが、離脱リスクを軽減するために追加の構成要素210~222を追加する。図17は、アンカ打込み機74からアンカ75を打ち込む直前の装置の遠位部分を示し、図18は、アンカ75が弁輪35中に埋め込まれ装置の引き抜きが開始された後の同装置を示す。
【0183】
図1図3、および図4Aにおいて最もよく示されるように、この装置は、ハウジング40と、ハウジング40に対して取り付けられた細長内芯部50とを備える。内芯部は、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第2のチャネル52と、近位-遠位間方向に内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第4のチャネル(図示せず)とを有する。これらの4つのチャネルは、図4Aに関連して上述した第2のチャネル52に類似のものである。いくつかの好ましい実施形態では、2つの第2のチャネルおよび2つの第4のチャネルが存在する。
【0184】
シンチングコードが、遠位ループ部分と第1の近位部分および第2の近位部分84とを有する。シンチングコードの近位部分は、少なくとも1つの第2のチャネル内に摺動可能に配設され、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。いくつかの好ましい実施形態では、シンチングコードの各近位部分が、固有の個別のルーメン内に配設される。
【0185】
次に図17を参照すると、少なくとも4つの支持アーム72が、内芯部に対して取り付けられ、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。少なくとも4つのアンカ75(図18に図示)が、弁輪または弁輪に隣接する組織の中にシンチングコードの遠位ループ部分をアンカ固定するように構成される(図17では、シンチングコードの遠位ループ部分は組織内部成長を促進する材料のスリーブ86により覆われる点に留意されたい)。少なくとも4つのアンカ打込み機74が、支持アーム72のそれぞれ1つにより支持され、各アンカ打込み機は、弁輪または弁輪に隣接する組織の中にアンカの中の各1つを打ち込むように構成される。
【0186】
少なくとも1つのワイヤ215が、少なくとも1つの第4のチャネル内に摺動可能に配設される。これらのワイヤのそれぞれが、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に延在する遠位端部を有し、第4のチャネルを越えて近位方向に延在する近位端部を有する。いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1つのワイヤは2つのワイヤを備え、少なくとも1つの第4のチャネルは2つのチャネルを備え、これらの2つのワイヤのそれぞれが2つのチャネルのそれぞれ一方の中に摺動可能に配設される。いくつかの好ましい実施形態では、これらのワイヤ215のそれぞれが、0.3~0.5mmの間の(例えば0.4mm)直径を有するニチノールワイヤである。
【0187】
押し部材210が、少なくとも1つのワイヤ215の近位端部を遠位方向に押すことにより押し部材210が遠位方向に押されるように、少なくとも1つのワイヤ215の遠位端部に対して固定される。いくつかの実施形態では(図17の実施形態を含む)、押し部材210は、中空シリンダであり、この中空シリンダは、中空シリンダの軸方向軸が少なくとも1つのワイヤ215に対して平行になるように整列され、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84は、中空シリンダの内部を通過しその中に摺動可能に配設される。いくつかの実施形態では、押し部材210は、1.25~2mmの間の(例えば0.23mm)外径を有するニチノールチューブからレーザ切断される中空シリンダである。いくつかの実施形態では、この中空シリンダは、比較的大きな壁厚さ(例えば1.63mm)を有し、シリンダのエッジが、シンチングコードの近位部分84がシリンダを通り摺動する時におけるそれらの近位部分の損傷リスクを軽減するように径設定される(例えば電解研磨により)。
【0188】
押込力伝達性および安定性を改善するために押し部材210にて終端する複数のワイヤ215を使用することが好ましい(単一のワイヤ215に比較して)。
【0189】
また、図17/18の実施形態は、内芯部の遠位端部を越えて遠位方向に配設された任意の耐つぶれ性チャネル220を備える。好ましくは、耐つぶれ性チャネル220の内方壁部は、低摩擦材料から作製される。シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84は、この耐つぶれ性チャネル内に摺動可能に配設される。好ましくは、内芯部の遠位端部と耐つぶれ性チャネルの近位端部との間の空間が、可能な限り小さく保たれる。いくつかの実施形態では、図17に示すように、この耐つぶれ性チャネル220は、アンカの打ち込み前に押し部材210までの全長にわたり延在するように構成される。この耐つぶれ性チャネル220を実現するための1つの適切なアプローチは、約1mmの内径を有するポリエステル編成体により強化されたPebaxチューブを使用することである。耐つぶれ性チャネル220により、支持アーム72およびアンカ打込み機74が引き抜かれる場合の、これらの構成要素72および74によるシンチングコードの近位部分84(耐つぶれ性チャネル220を通過する)の把持が防止される。
【0190】
いくつかの実施形態では、耐つぶれ性チャネル220は、内芯部に対して固定される少なくとも1つの支持アームにより支持される。これらの支持アームは、アンカ打込み機74を保持する支持アーム72と同様の構造を有してもよく、上述のようにそれらの支持アーム72と同一の様式で内芯部に対して連結され得る。耐つぶれ性チャネル220は、例えば熱収縮チュービングおよび/または接着剤などを使用してその支持アームに対して装着され得る。
【0191】
アンカ打込み機が弁輪35に隣接する所望の位置まで操縦された後に、アンカの打ち込みが、図7A図7Dに関連して上述したものと同一の様式で進められる。
【0192】
次に図18を参照すると、アンカが打ち込まれた後に、シンチングコードの遠位ループ部分(図18ではスリーブ86の内部を貫通して延在する)が、アンカ75により弁輪35に対して(または弁輪に隣接する組織の中に)アンカ固定される。次いで、内芯部は、外方スリーブ60を通り引き戻され、それにより支持アーム72および耐つぶれ性チャネル220は、近位方向に移動される。図18に示すように、内芯部が引き戻される間に、オペレータは遠位方向にワイヤ215を押し、これにより弁輪35の組織に対して押し部材210を付勢する。シンチングコードの近位部分84が、近位-遠位間方向に押し部材210を貫通して延在する通路(例えば中空シリンダの内部)に通されるため、押し部材の遠位端部は、組織に対接した状態にシンチングコードの近位部分84を保持する。これにより、他の場合であれば組織外にアンカ75を引き出す傾向となり得る力を排除(または少なくとも軽減)することによって、近位方向へのハウジングの移動中におけるアンカ75の離脱が妨げられる。
【0193】
近位方向へのハウジング40(図1に図示)の漸進移動により、内芯部50(やはり図1に図示)は、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分84に対する近位方向へと漸進的に移動される。図18に示す時点は、内芯部が数センチメートルだけ引き抜かれ、それにより支持アーム72およびアンカ打込み機74が圧縮を開始し、外方シース60内へと引き戻される時点である。シンチングコードの近位部分84が耐つぶれ性チャネル220を通り送られるため、そのチャネルにより、支持アーム72およびアンカ打込み機74が近位方向に移動される時にシンチングコードの近位部分84がそれらの構成要素72および74によって把持されることが防止される。
【0194】
次いで、装置全体の引き抜きが進められる一方で、オペレータは遠位方向にワイヤ215を押し続ける。装置25全体が取り外されると、オペレータは、ワイヤ215に対する遠位方向圧力を解除し、近位方向へと患者の体外にそれらのワイヤを引くことができる。このワイヤ215は、患者の体外に押し部材210を引き出す。これが行われることにより、シンチングコードの近位部分84は、押し部材210が完全に引き抜かれるまで押し部材210の内部の通路を通り摺動する。
【0195】
図19は、図14に関連して上述した実施形態と同様であるが、(a)図14の実施形態からノーズコーンが除去され(b)第1のスリーブ62および第2のスリーブ65を備える2パーツスリーブで図14の実施形態の外方スリーブ60を置換した別の実施形態を示す。この2パーツスリーブ構成は、本明細書において説明されるいずれの実施形態においても単一の外方スリーブ60の代わりに使用され得る点に留意されたい。
【0196】
図19の実施形態における第1のスリーブ62は、第1のスリーブ62が図14の実施形態外方におけるスリーブ60よりも短い点を除いては、図14の実施形態における外方スリーブ60と同様である。より具体的には、第1のスリーブ62の長さは、第1のスリーブ62が最も延伸した位置にある場合でも、アンカ打込み機が第1のスリーブ62によって覆われないような長さである。
【0197】
第2のスリーブ65が、装置の遠位端部に配設され、この第2のスリーブ65は、第1のスリーブ62の遠位端部を覆い、アンカ打込み機を覆うように第1のスリーブ62の遠位端部を越えて遠位方向に延在する。第2のスリーブ65の内径は、第1のスリーブ62が第2のスリーブ65内で摺動し得るように、第1のスリーブ62の外径よりも若干大きい。第2のスリーブ65は、好ましくは引き裂かれ(例えばタブ66を引くことにより)除去され得るように構成される。第2のスリーブ65としての使用に適した市販の構成要素の一例は、Cook Medical Peel-Away(登録商標)導入器セット(参照番号C-PLI-22.0-38およびG04518)の22フレンチ外方スリーブ構成要素である。
【0198】
この実施形態は、第2のスリーブ65と同じ外径(例えば22フレンチ)を有すべきであるGORE(登録商標)DrySeal Sheathなどの導入器シースと組み合わせて使用される場合に三尖弁輪にアクセスするのに特に有用である。この実施形態を利用して三尖弁輪にアクセスするために、GORE(登録商標)DrySeal Sheathの遠位端部は、頸静脈を経由して導入され、右心房に進入するまで前進される。次いで、ガイドワイヤが、DrySeal Sheathを通り、弁輪を通り右心室内へ、および肺動脈内へと送られて最終的にはいずれかの方向に肺動脈中の分岐部を通過し、右肺動脈または左肺動脈のいずれかへと進入する。
【0199】
遠位バルーン107(図14に図示)は、ガイドワイヤ上をDrySeal Sheath内へと前進される。次いで、デバイス全体(第2のスリーブ65を含むがそれに限定されない)が、第2のスリーブ65の遠位端部がDrySeal Sheathの近位側入り口に到達するまで遠位方向に前進される。第2のスリーブ65の外径がDrySeal Sheathの外径と同一であることにより、第2のスリーブ65は、DrySeal Sheath内に移動することはできなくなる。遠位バルーン107は、ガイドワイヤ上で通される。次に、第2のスリーブ65(DrySeal Sheathにより阻止される)を除くデバイス全体が、遠位方向に前進され、それにより第1のスリーブ62は、第2のスリーブ65内を遠位方向に摺動する。遠位アセンブリ70は、第2のスリーブ65を通りDrySeal Sheath内へと摺動し、その後第1のスリーブ62の遠位端部が、DrySeal Sheath内へと摺動する。この時点で、オペレータは、第2のスリーブ65のタブ66を引き、そのスリーブを取り外す。その後、デバイス全体の前進が、遠位アセンブリ70がDrySeal Sheathの遠位端部から出るまで継続される。この時点において、DrySeal Sheathは、右心房内における遠位アセンブリ70の操縦性を改善するために数センチメートルだけ引かれ得る。
【0200】
次いで、遠位アセンブリ70は、支持アーム72がばね作用または形状記憶効果によりパッと開くことが可能になるまで、第1のスリーブ62およびDrySeal Sheathに対して前進される。次いで、遠位バルーンは、分岐点をいずれかの方向に越えて肺動脈内へと移動され膨張される。遠位アセンブリ70の配向は、例えば制御部42を使用して、または弁輪にアプローチするようにハウジング40全体を移動させることなどによって調節される。蛍光透視下誘導が、この目的に対して利用されてもよく、任意には放射線不透過性スリーブ98に依存する。近位バルーン105は、支持アーム72を広げるのを補助するように膨張され、それにより遠位アセンブリは、単一ユニットとして移動する。任意には、近位バルーン105のシャフト106はこの時点でロックされ得る。遠位アセンブリの配向に対する追加の調節がなされ、アンカがばね付きアクチュエータ46用のトリガ47を作動させることにより打ち込まれる。
【0201】
圧力が、ワイヤ215を遠位方向に押すことにより押し部材210に対して印加され、バルーンが、収縮され、DrySeal Sheathが、支持アーム72が圧縮し始めるまで遠位方向に前進される。次いで、デバイス全体が、近位方向へとハウジング40を移動させることにより引き抜かれる。押し部材210に対する遠位方向圧力は、組織に対してシンチングコードの近位部分84を押し当て、これにより上述のようにアンカの離脱が防止される。ハウジング40を引き続き引き抜くことにより、(押し部材210を押し続けながら)DrySeal Sheathを通り近位方向へと支持アームおよびアンカ打込み機74を引き、最終的にシンチングコード82、84、周囲スリーブ86、アンカ75、押し部材210、および押しワイヤ215のみが留まる。最後に、押し部材210、押しワイヤ215、およびDrySeal Sheathが引き抜かれる。
【0202】
本発明がいくつかの実施形態を参照して開示されたが、添付の特許請求の範囲内に定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多数の修正、代替、および変更が可能である。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲の文言およびその均等物により定義される全範囲を含むように意図される。
【0203】
下記の発明も本願に提示される。
[項1]
弁輪の近傍にシンチングコードを送達するための装置であって、
細長内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する主要チャネル、(c)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、それぞれのプルワイヤを収容するようにそれぞれが寸法設定された少なくとも4つの第1のチャネル、および(d)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、シンチングコードの第1の近位部分および第2の近位部分を収容するように寸法設定された少なくとも1つの第2のチャネルを有する、細長内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも4つのアンカ打込み機と
を備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、装置。
[項2]
前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのアンカと、
遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有するシンチングコードであって、前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は前記少なくとも1つの第2のチャネル内に配設され、前記アンカは前記シンチングコードの前記遠位ループ部分に対して連結される、シンチングコードと、
前記第1のチャネルのそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのプルワイヤであって、前記プルワイヤのそれぞれが、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される、少なくとも4つのプルワイヤと
をさらに備える、項1に記載の装置。
[項3]
複数の支持リングであって、前記支持アームは前記支持リングに対して固定され、前記支持リングから遠位方向に延在する、複数の支持リングと、
前記支持リングに対して固定された複数の支持ロッドであって、前記支持リングから近位方向に延在する複数の支持ロッドと
をさらに備え、
前記内芯部は、近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し前記支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の第3のチャネルを有し、
前記支持アームは、前記第3のチャネルに前記支持ロッドを挿入することにより前記内芯部に対して取り付けられる、項1に記載の装置。
[項4]
前記支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む、項3に記載の装置。
[項5]
前記主要チャネルは、前記内芯部の径方向中心を中心として位置する、項1に記載の装置。
[項6]
前記第1のチャネルのそれぞれおよび前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、前記内芯部の前記径方向中心から同一の径方向距離に位置する、項1に記載の装置。
[項7]
前記第1のチャネルのそれぞれがルーメンを備え、前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれがルーメンを備える、項1に記載の装置。
[項8]
前記第1のチャネルのそれぞれおよび前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、前記内芯部の前記径方向中心から同一の径方向距離に位置し、前記第1のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備え、前記少なくとも1つの第2のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備える、項1に記載の装置。
[項9]
前記少なくとも4つの支持アームは、少なくとも8つの支持アームを備え、前記少なくとも4つの第1のチャネルは、少なくとも8つの第1のチャネルを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は、少なくとも8つのアンカ打込み機を備える、項1に記載の装置。
[項10]
前記弁輪は僧房弁輪である、項1に記載の装置。
[項11]
前記弁輪は三尖弁輪である、項1に記載の装置。
[項12]
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、項1に記載の装置。
[項13]
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の前記形状に対応する位置へと移動自在になる、項1に記載の装置。
[項14]
弁輪の近傍にシンチングコードを送達するための装置であって、
細長内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する主要チャネル、(c)前記主要チャネルを径方向に越える位置にて近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、それぞれのプルワイヤを収容するようにそれぞれが寸法設定された少なくとも8つの第1のチャネル、および(d)前記主要チャネルを径方向に越える位置にて近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、シンチングコードの各近位部分を収容するようにそれぞれが寸法設定された複数の第2のチャネルを有する、細長内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも8つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも8つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも8つのアンカ打込み機と
を備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、装置。
[項15]
前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも8つのアンカと、
遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有するシンチングコードであって、前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は前記第2のチャネルのそれぞれ1つの中に配設され、前記少なくとも8つのアンカは前記シンチングコードの前記遠位ループ部分に対して連結される、シンチングコードと、
前記第1のチャネルのそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも8つのプルワイヤであって、前記プルワイヤのそれぞれが、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される、少なくとも8つのプルワイヤと
をさらに備える、項14に記載の装置。
[項16]
複数の支持リングであって、前記支持アームは前記支持リングに対して固定され、前記支持リングから遠位方向に延在する、複数の支持リングと、
前記支持リングに対して固定された複数の支持ロッドであって、前記支持リングから近位方向に延在する複数の支持ロッドと
をさらに備え、
前記内芯部は、近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し前記支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の第3のチャネルを有し、
前記支持アームは、前記第3のチャネルに前記支持ロッドを挿入することにより前記内芯部に対して取り付けられる、項14に記載の装置。
[項17]
前記支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む、項16に記載の装置。
[項18]
前記第1のチャネルのそれぞれが、前記内芯部の径方向中心から同一の径方向距離に位置する、項14に記載の装置。
[項19]
前記第1のチャネルのそれぞれおよび前記第2のチャネルのそれぞれが、前記内芯部の前記径方向中心から同一の径方向距離に位置する、項14に記載の装置。
[項20]
前記第1のチャネルのそれぞれがルーメンを備え、前記第2のチャネルのそれぞれがルーメンを備える、項14に記載の装置。
[項21]
複数の支持リングであって、前記支持アームは前記支持リングに対して固定され、前記支持リングから遠位方向に延在する、複数の支持リングと、
前記支持リングに対して固定された複数の支持ロッドであって、前記支持リングから近位方向に延在する、複数の支持ロッドと、
前記支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料と
をさらに備え、
前記内芯部は、近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し前記支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の第3のチャネルを有し、
前記支持アームは、前記第3のチャネルに前記支持ロッドを挿入することにより前記内芯部に対して取り付けられ、
前記第1のチャネルのそれぞれおよび前記第2のチャネルのそれぞれが、前記内芯部の前記径方向中心から同一の径方向距離に位置し、前記第1のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備え、前記第2のチャネルのそれぞれが、ルーメンを備える、項14に記載の装置。
[項22]
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、項14に記載の装置。
[項23]
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の前記形状に対応する位置へと移動自在になる、項14に記載の装置。
[項24]
弁輪の近傍に弁輪リングを送達するための装置であって、
細長内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する主要チャネル、(c)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し、それぞれのプルワイヤを収容するようにそれぞれが寸法設定された少なくとも4つのルーメンを有する、細長内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも4つのアンカ打込み機と
を備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、装置。
[項25]
前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのアンカと、
前記アンカが連結される弁輪リングと、
前記ルーメンのそれぞれ1つの中にそれぞれが配設されることになる少なくとも4つのプルワイヤであって、前記プルワイヤのそれぞれが、各プルワイヤを引っ張ることによりそれぞれのアンカが打ち込まれるように、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される、少なくとも4つのプルワイヤと
をさらに備える、項24に記載の装置。
[項26]
複数の支持リングであって、前記支持アームは前記支持リングに対して固定され、前記支持リングから遠位方向に延在する、複数の支持リングと、
前記支持リングに対して固定された複数の支持ロッドであって、前記支持リングから近位方向に延在する複数の支持ロッドと
をさらに備え、
前記内芯部は、近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在し前記支持ロッドを収容するように寸法設定された複数の支持チャネルを有し、
前記支持アームは、前記支持チャネルに前記支持ロッドを挿入することにより前記内芯部に対して取り付けられる、項24に記載の装置。
[項27]
前記支持ロッド上に非対称パターンで分布する放射線不透過性材料をさらに含む、項26に記載の装置。
[項28]
前記主要チャネルは、前記内芯部の径方向中心を中心として位置し、前記ルーメンのそれぞれが、前記内芯部の前記径方向中心から同一の径方向距離に位置する、項24に記載の装置。
[項29]
前記少なくとも4つの支持アームは、少なくとも8つの支持アームを備え、前記少なくとも4つのルーメンは、少なくとも8つのルーメンを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は、少なくとも8つのアンカ打込み機を備える、項24に記載の装置。
[項30]
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、項24に記載の装置。
[項31]
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の前記形状に対応する位置へと移動自在になる、項24に記載の装置。
[項32]
弁輪上にまたは前記弁輪に隣接する組織の上にシンチングコードを設置するための装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに対して取り付けられた細長内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位端部、(c)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する第1のルーメン、および(d)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する第2のルーメンを有する、細長内芯部と、
遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有するシンチングコードであって、前記シンチングコードの前記第1の近位部分は、前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在し、前記第1のルーメンを貫通して延在し、前記内芯部の前記近位端部を越えて近位方向に延在し、前記シンチングコードの前記第2の近位部分は、前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在し、前記第2のルーメンを貫通して延在し、前記内芯部の前記近位端部を越えて近位方向に延在する、シンチングコードと、
前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する組織中に前記シンチングコードの前記遠位ループ部分をアンカ固定するように構成された少なくとも4つのアンカと、
遠位端部および近位セクションを有する第1のコード延在セクションであって、前記第1の延在セクションの前記遠位端部は、前記シンチングコードの前記第1の近位部分に対して連結される、第1のコード延在セクションと、
遠位端部および近位セクションを有する第2のコード延在セクションであって、前記第2の延在セクションの前記遠位端部は、前記シンチングコードの前記第2の近位部分に対して連結される、第2のコード延在セクションと
を備え、
前記第1のルーメンは、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第1のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定され、前記第2のルーメンは、前記シンチングコードの前記第2の近位部分および前記第2のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定され、
前記シンチングコード、前記第1のコード延在セクションおよび前記第2のコード延在セクション、ならびに前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンは、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織の中にアンカ固定された後に、近位方向へ前記ハウジングを漸進移動させることにより、(a)前記内芯部が、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分に対する近位方向へと漸進的に移動され、(b)前記第1のコード延在セクションおよび前記第2のコード延在セクションが、前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンのそれぞれの中に漸進的に引き込まれるように構成される、装置。
[項33]
前記シンチングコード、前記第1のコード延在セクション、および前記第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションである、項32に記載の装置。
[項34]
前記ハウジングに対して回転可能に取り付けられた少なくとも1つのスプールをさらに備え、
前記第1のコード延在セクションの前記近位セクションは、前記少なくとも1つのスプール上に巻きつけられ、前記第2のコード延在セクションの前記近位セクションは、前記少なくとも1つのスプール上に巻きつけられ、
前記シンチングコード、前記第1のコード延在セクションおよび前記第2のコード延在セクション、前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメン、ならびに前記少なくとも1つのスプールは、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織中にアンカ固定された後に、近位方向へと前記ハウジングを漸進移動させることにより、前記第1のコード延在セクションおよび前記第2のコード延在セクションが前記少なくとも1つのスプールから漸進的に巻き出されるように構成される、項32に記載の装置。
[項35]
(a)前記少なくとも1つのスプールが回転するのを防止すること、または(b)前記少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にすることのいずれかを選択的に行うロック
をさらに備え、
前記少なくとも1つのスプールは、前記少なくとも1つのスプールの回転の視認性を強化するスポークまたはマーキングを有し、前記少なくとも1つのスプールは、前記スポークまたは前記マーキングの少なくとも一部分が前記ハウジングの外部から視認可能になるように、前記ハウジングに対して配置され、
前記シンチングコード、前記第1のコード延在セクション、および前記第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションである、項34に記載の装置。
[項36]
弁輪上にまたは前記弁輪に隣接する組織の上にシンチングコードを設置するための装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに対して回転可能に取り付けられた少なくとも1つのスプールと、
前記ハウジングに対して取り付けられた細長内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位端部、(c)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する第1のルーメン、および(d)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する第2のルーメンを有する、細長内芯部と、
遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有するシンチングコードであって、前記シンチングコードの前記第1の近位部分は、前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在し、前記第1のルーメンを貫通して延在し、前記内芯部の前記近位端部を越えて近位方向に延在し、前記シンチングコードの前記第2の近位部分は、前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在し、前記第2のルーメンを貫通して延在し、前記内芯部の前記近位端部を越えて近位方向に延在する、シンチングコードと、
前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する組織中に前記シンチングコードの前記遠位ループ部分をアンカ固定するように構成された少なくとも4つのアンカと、
少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する前記組織中に前記少なくとも4つのアンカの中のそれぞれ1つを打ち込むようにそれぞれが構成され、遠位端部をそれぞれが有する、少なくとも4つのアンカ打込み機と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在し前記アンカ打込み機を支持する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームであって、前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように形状設定される、少なくとも4つの支持アームと、
遠位端部および近位セクションを有する第1のコード延在セクションであって、前記第1の延在セクションの前記遠位端部は、前記シンチングコードの前記第1の近位部分に対して連結され、前記第1の延在セクションの前記近位セクションは、前記少なくとも1つのスプール上に巻きつけられる、第1のコード延在セクションと、
遠位端部および近位セクションを有する第2のコード延在セクションであって、前記第2の延在セクションの前記遠位端部は、前記シンチングコードの前記第2の近位部分に対して連結され、前記第2の延在セクションの前記近位セクションは、前記少なくとも1つのスプール上に巻きつけられる、第2のコード延在セクションと
を備え、
前記第1のルーメンは、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第1のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定され、前記第2のルーメンは、前記シンチングコードの前記第2の近位部分および前記第2のコード延在セクションを摺動可能に収容するように寸法設定され、
前記シンチングコード、前記第1のコード延在セクションおよび前記第2のコード延在セクション、前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメン、ならびに前記少なくとも1つのスプールは、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織の中にアンカ固定された後に、近位方向へ前記ハウジングを漸進移動させることにより、(a)前記内芯部が、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分に対する近位方向へと漸進的に移動され、(b)前記第1のコード延在セクションおよび前記第2のコード延在セクションが、前記少なくとも1つのスプールから漸進的に巻き出され、前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンのそれぞれの中に漸進的に引き込まれるように構成される、装置。
[項37]
前記シンチングコード、前記第1のコード延在セクション、および前記第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションである、項36に記載の装置。
[項38]
前記単一のコードは、超高分子量ポリエチレンコードである、項37に記載の装置。
[項39]
前記第1のコード延在セクションの前記遠位端部は、前記シンチングコードの前記第1の近位部分に対して固定され、前記第2のコード延在セクションの前記遠位端部は、前記シンチングコードの前記第2の近位部分に対して固定される、項36に記載の装置。
[項40]
(a)前記少なくとも1つのスプールが回転するのを防止すること、または(b)前記少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にすることのいずれかを選択的に行うロックをさらに備える、項36に記載の装置。
[項41]
前記ロックは、取り外し可能ピンを備え、前記取り外し可能ピンは、前記ピンが設置される場合に前記少なくとも1つのスプールが回転するのを防止し、前記ピンが取り外された場合に前記少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にする、項40に記載の装置。
[項42]
前記少なくとも1つのスプールは、前記少なくとも1つのスプールの少なくとも一部分が前記ハウジングの外部から視認可能になるように前記ハウジングに対して配置される、項36に記載の装置。
[項43]
前記少なくとも1つのスプールは、前記少なくとも1つのスプールの回転の視認性を強化するスポークまたはマーキングを有し、前記少なくとも1つのスプールは、前記スポークまたは前記マーキングの少なくとも一部分が前記ハウジングの外部から視認可能になるように、前記ハウジングに対して配置される、項36に記載の装置。
[項44]
前記少なくとも1つのスプールは、
前記第1のコード延在セクションの前記近位セクションが巻きつけられる第1のスプールと、
前記第2のコード延在セクションの前記近位セクションが巻きつけられる第2のスプールと
を備える、項36に記載の装置。
[項45]
前記少なくとも1つのスプールは、(a)前記第1のコード延在セクションの前記近位セクションが巻きつけられる第1の領域と、(b)前記第2のコード延在セクションの前記近位セクションが巻きつけられる第2の領域とを有する単一のスプールを備え、前記第1の領域および前記第2の領域は重畳していない、項36に記載の装置。
[項46]
前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンは、平滑ポリマー壁部を有する、項36に記載の装置。
[項47]
近位端部および遠位端部をそれぞれが有する少なくとも4つのプルワイヤであって、前記プルワイヤのそれぞれの前記遠位端部は、近位方向へと前記各プルワイヤを引くことにより前記各アンカ打込み機が各アンカを打ち込むように、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つに対して動作的に連結される、少なくとも4つのプルワイヤと、
トリガの作動前に前記プルワイヤのそれぞれの前記近位端部を定状態に保持し、前記トリガの作動時に前記プルワイヤのそれぞれの前記近位端部を近位方向に引くように構成されたばね付きアクチュエータと
をさらに備える、項36に記載の装置。
[項48]
前記少なくとも4つのアンカは少なくとも8つのアンカを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備え、前記少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備える、項36に記載の装置。
[項49]
前記弁輪は僧房弁輪である、項36に記載の装置。
[項50]
前記弁輪は三尖弁輪である、項36に記載の装置。
[項51]
(a)前記少なくとも1つのスプールが回転するのを防止すること、または(b)前記少なくとも1つのスプールが回転するのを可能にすることのいずれかを選択的に行うロック
をさらに備え、
前記少なくとも1つのスプールは、前記少なくとも1つのスプールの回転の視認性を強化するスポークまたはマーキングを有し、前記少なくとも1つのスプールは、前記スポークまたは前記マーキングの少なくとも一部分が前記ハウジングの外部から視認可能になるように、前記ハウジングに対して配置され、
前記シンチングコード、前記第1のコード延在セクション、および前記第2のコード延在セクションは、単一コードの連続したセクションであり、
前記少なくとも4つのアンカは少なくとも8つのアンカを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備え、前記少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備える、項36に記載の装置。
[項52]
前記少なくとも1つのスプールは、(a)前記第1のコード延在セクションの前記近位セクションが巻きつけられる第1の領域と、(b)前記第2のコード延在セクションの前記近位セクションが巻きつけられる第2の領域とを有する単一のスプールを備え、前記第1の領域および前記第2の領域は重畳していない、項51に記載の装置。
[項53]
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、項36に記載の装置。
[項54]
前記ハウジングに対して取り付けられたラック-ピニオンをさらに備え、前記ラックは、前記ピニオンの作動により前記外方スリーブが前記延伸位置と前記後退位置との間で移動するように、前記外方スリーブに対して連結される、項53に記載の装置。
[項55]
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アームおよび前記アンカ打込み機は前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の前記形状に対応する位置へと移動自在になる、項36に記載の装置。
[項56]
組織内部成長を促進するスリーブ内に配設された遠位ループ部分と、第1の近位部分と、第2の近位部分とを有するシンチングコードを使用して、弁輪のシンチングに組織内部成長が干渉するのを防止するための方法であって、
(a)前記スリーブ内に配設された前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記弁輪の近傍に位置し、(b) 前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分が前記シンチングコードの前記遠位ループ部分から近位方向に延在するように、前記シンチングコードを操作するステップと、
前記弁輪および前記弁輪に隣接する組織の少なくとも一方に対して前記シンチングコードの前記遠位ループ部分をアンカ固定するステップと、
組織内部成長を阻止する材料で前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分を覆うステップと、
アンカ固定する前記ステップおよび覆う前記ステップの後に、組織内部成長が前記シンチングコードの前記遠位ループ部分と前記弁輪および前記弁輪に隣接する前記組織の少なくとも一方との間の結合を強化するのを待つステップと、
待つ前記ステップの後に、前記弁輪の直径を縮小させるために前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分を引くことにより前記弁輪をシンチングするステップと、
シンチングする前記ステップの後に、前記シンチングコードが縮小直径状態に前記弁輪を保持するように、前記シンチングコードを固定するステップと
を含む、方法。
[項57]
覆う前記ステップは、第1のルーメンおよび第2のルーメンを有する細長コードプロテクタを、前記シンチングコードの前記第1の近位部分が前記第1のルーメンを通過し、前記シンチングコードの前記第2の近位部分が前記第2のルーメンを通過するように、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分の上で摺動させるステップを含む、項56に記載の方法。
[項58]
第1の通線コードを使用して前記第1のルーメンに前記シンチングコードの前記第1の近位部分を通すステップと、
第2の通線コードを使用して前記第2のルーメンに前記シンチングコードの前記第2の近位部分を通すステップと
をさらに含み、
通す前記2つのステップの前に、前記第1の通線コードは前記第1のルーメン内に配設され、前記第2の通線コードは前記第2のルーメン内に配設され、
摺動させる前記ステップにおいて、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記細長コードプロテクタが上で摺動されるガイドワイヤとして動作し、前記細長コードプロテクタは、前記細長コードプロテクタの遠位端部が前記シンチングコードの前記遠位ループ部分に隣接する位置へと摺動される、項57に記載の方法。
[項59]
待つ前記ステップの後におよびシンチングする前記ステップの前に、前記細長コードプロテクタを取り外すステップをさらに含む、項57に記載の方法。
[項60]
前記細長コードプロテクタを貫通して延在する第3のルーメンを通して近位-遠位間方向に補剛部材を摺動させるステップをさらに含み、摺動させる前記ステップは、アンカ固定する前記ステップの後におよび覆う前記ステップの前に実施される、項57に記載の方法。
[項61]
シンチングする前記ステップは、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分に到達するまで、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分の上で遠位方向にスラストチューブを前進させるステップと、その後に、近位方向に前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分を引きながら、遠位方向に前記スラストチューブを押圧するステップとを含む、項57に記載の方法。
[項62]
固定する前記ステップは、結び目、クランプ、および圧着ファスナの中の少なくとも1つを使用して前記シンチングコードの2つの部分を共に固定するステップを含む、項57に記載の方法。
[項63]
アンカ固定する前記ステップで、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分は、複数のアンカを使用して前記弁輪および前記弁輪に隣接する前記組織の少なくとも一方に対して前記スリーブをアンカ固定することによりアンカ固定される、項57に記載の方法。
[項64]
アンカ固定する前記ステップで、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分は、前記弁輪および前記弁輪に隣接する前記組織の少なくとも一方に対して複数のアンカをアンカ固定することによりアンカ固定され、前記アンカはそれぞれ紐穴を有し、前記シンチングコードは前記アンカ中の前記紐穴に通される、項57に記載の方法。
[項65]
覆う前記ステップは、少なくとも1つのルーメンを有する細長コードプロテクタを、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分が前記少なくとも1つのルーメンを通過するように、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分の上で摺動させるステップを含む、項56に記載の方法。
[項66]
待つ前記ステップの後におよびシンチングする前記ステップの前に、前記細長コードプロテクタを取り外すステップをさらに含む、項65に記載の方法。
[項67]
被験者の体内に植え込まれるシンチングコードの動作に組織内部成長が干渉するのを防止するための装置であって、前記シンチングコードは、遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有する装置において、
近位端部および遠位端部を有する可撓性細長本体であって、前記細長本体は、前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する第1のルーメン、および前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する第2のルーメンを有し、前記第1のルーメンは、前記シンチングコードの前記第1の近位部分を摺動自在に収容するように寸法設定され、前記第2のルーメンは、前記シンチングコードの前記第2の近位部分を摺動自在に収容するように寸法設定される、可撓性細長本体
を備え、
前記細長本体、前記第1のルーメン、および前記第2のルーメンは、前記シンチングコードの前記第1の近位部分が前記第1のルーメン内に配設され、前記シンチングコードの前記第2の近位部分が前記第2のルーメン内に配設された状態で、前記細長本体が前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分を覆うような、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分の上における前記細長本体の摺動自在な設置を容易化するように構成され、
前記細長本体は、前記細長本体内への組織内部成長を防止し、前記細長本体は、前記細長本体が前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分を覆う場合に、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分内への組織内部成長をさらに防止する、装置。
[項68]
前記第1のルーメンを貫通して延在し、前記細長本体の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する第1の通線コードと、
前記第2のルーメンを貫通して延在し、前記細長本体の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する第2の通線コードと
をさらに備える、項67に記載の装置。
[項69]
滅菌エンベロープをさらに備え、前記細長本体、前記第1のルーメンを貫通して延在する前記第1の通線コード、および前記第2のルーメンを貫通して延在する前記第2の通線コードはいずれも、前記滅菌エンベロープ内部にパッケージングされる、項68に記載の装置。
[項70]
前記第1の通線コードは、前記第1のルーメン内に前記シンチングコードの前記第1の近位部分を引き込むように構成され、前記第2の通線コードは、前記第2のルーメン内に前記シンチングコードの前記第2の近位部分を引き込むように構成され、それにより、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記細長本体の前記遠位端部が前記シンチングコードの前記遠位ループ部分に隣接して位置する位置へと前記細長本体が上で摺動され得るガイドワイヤとして動作することが可能である、項68に記載の装置。
[項71]
前記第1の通線コードは、前記細長本体の前記近位端部を越えて近位方向に延在し、前記第2の通線コードは、前記細長本体の前記近位端部を越えて近位方向に延在する、項70に記載の装置。
[項72]
前記細長本体は、ポリウレタンおよびシリコーンの少なくとも一方から形成される、項67に記載の装置。
[項73]
前記細長本体は、35~65cmの間の長さと1~4mmの間の直径とを有する、項67に記載の装置。
[項74]
前記細長本体は、45~55cmの間の長さを有する、項67に記載の装置。
[項75]
前記細長本体は、1.5~2.5mmの間の直径を有する、項67に記載の装置。
[項76]
前記細長本体は、45~55cmの間の長さと1.5~2.5mmの間の直径とを有する、項67に記載の装置。
[項77]
前記第1のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有し、前記第2のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有する、項67に記載の装置。
[項78]
前記細長本体は、前記近位端部にて開口し、前記遠位端部にて閉鎖し、前記細長本体の少なくとも3/4にわたり貫通して延在する第3のルーメンを有し、前記第3のルーメンは、補剛ワイヤを摺動自在に収容するように寸法設定される、項67に記載の装置。
[項79]
前記細長本体は、前記近位端部にて開口し、前記遠位端部にて閉鎖し、前記細長本体の少なくとも3/4にわたり貫通して延在する第3のルーメンを有し、前記第3のルーメンは、0.2~1mmの間の直径を有する、項67に記載の装置。
[項80]
前記細長本体の前記遠位端部の付近に配設された放射線不透過性マーカをさらに備える、項67に記載の装置。
[項81]
前記第1のルーメンを貫通して延在し前記細長本体の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する第1の通線コードと、
前記第2のルーメンを貫通して延在し前記細長本体の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する第2の通線コードと
をさらに備え、
前記第1の通線コードは、前記第1のルーメンに前記シンチングコードの前記第1の近位部分を引き込むように構成され、前記第2の通線コードは、前記第2のルーメンに前記シンチングコードの前記第2の近位部分を引き込むように構成され、それにより、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記細長本体の前記遠位端部が前記シンチングコードの前記遠位ループ部分に隣接する位置へと前記細長本体が上で摺動され得るガイドワイヤとして動作することが可能であり、
前記細長本体は、ポリウレタンおよびシリコーンの少なくとも一方から形成され、
前記細長本体は、45~55cmの間の長さと1.5~2.5mmの間の直径とを有し、
前記第1のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有し、前記第2のルーメンは0.2~1mmの間の直径を有する、項67に記載の装置。
[項82]
前記細長本体の前記遠位端部の付近に配設された放射線不透過性マーカをさらに備える、項81に記載の装置。
[項83]
前記細長本体は、前記近位端部にて開口し、前記遠位端部にて閉鎖し、前記細長本体の少なくとも9/10にわたり貫通して延在する第3のルーメンを有し、前記第3のルーメンは、0.2~1mmの間の直径を有する、項81に記載の装置。
[項84]
弁輪の近傍に弁輪リングまたはシンチングコードを送達するための装置であって、
遠位端部を有する細長内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも4つのアンカ打込み機と、
前記支持アーム同士の間に配設された膨張性バルーンであって、前記バルーンが膨張されると、前記支持アーム同士を相互に押し離すように構成された膨張性バルーンと、
前記支持アームに対して連結され、前記バルーンを包囲し前記支持アーム同士の間から前記バルーンが滑脱するのを防止するように前記支持アームに対して配置された少なくとも1つの保持コードと
を備える、装置。
[項85]
前記少なくとも1つの保持コードは、前記バルーンを包囲し前記支持アーム同士の間から前記バルーンが滑脱するのを防止する単一の保持コードを備える、項84に記載の装置。
[項86]
前記単一の保持コードは、少なくとも1つの結び目を使用して前記支持アームに対して連結される、項85に記載の装置。
[項87]
前記単一の保持コードは、シルク、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリエステルの中の少なくとも1つを備える、項86に記載の装置。
[項88]
前記支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、前記少なくとも1つの保持コードは、前記スリーブのそれぞれの中の穴に前記少なくとも1つの保持コードを通すことにより前記支持アームに対して連結される、項84に記載の装置。
[項89]
前記支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、前記少なくとも1つの保持コードは、前記スリーブのそれぞれの中の穴に前記少なくとも1つの保持コードを通し、前記スリーブのそれぞれにて結び目を作ることにより、前記支持アームに対して連結される、項84に記載の装置。
[項90]
前記少なくとも1つの保持コードは、前記バルーンを一括して包囲し前記支持アーム同士の間から前記バルーンが滑脱するのを防止する少なくとも2つのコードセグメントを備える、項84に記載の装置。
[項91]
シンチングコードと、
少なくとも4つのアンカであって、前記アンカのそれぞれが、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され前記シンチングコードに対して連結される、少なくとも4つのアンカと
をさらに備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、項84に記載の装置。
[項92]
弁輪リングと、
少なくとも4つのアンカであって、前記アンカのそれぞれが、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され前記弁輪リングに対して連結される、少なくとも4つのアンカと
をさらに備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、項84に記載の装置。
[項93]
前記少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備える、項84に記載の装置。
[項94]
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アーム、前記アンカ打込み機、前記バルーン、および前記少なくとも1つの保持コードは、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機、前記少なくとも1つの保持コード、および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、項84に記載の装置。
[項95]
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アーム、前記アンカ打込み機、前記バルーン、および前記少なくとも1つの保持コードは前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる、項84に記載の装置。
[項96]
弁輪の近傍に弁輪リングまたはシンチングコードを送達するための装置であって、
細長内芯部であって、遠位端部、および近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在するチャネルを有する細長内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも4つのアンカ打込み機と、
膨張ルーメンを有する、前記チャネル内に摺動可能に配設されたシャフトと、
前記シャフトに対して取り付けられ、前記膨張ルーメンを介した前記バルーンの膨張を可能にするために前記膨張ルーメンに対して連結された膨張性バルーンであって、前記シャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記支持アーム同士の間で第1の位置へと移動可能であり、前記バルーンが前記第1の位置にて膨張されると前記支持アーム同士を相互に押し離すように構成された膨張性バルーンと、
前記支持アームに対して連結され、前記バルーンが前記第1の位置にある場合に、前記バルーンを包囲し前記支持アーム同士の間から前記バルーンが滑脱するのを防止するように前記支持アームに対して配置された少なくとも1つの保持コードと
を備える、装置。
[項97]
前記バルーンは、前記シャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記チャネル内および前記支持アームの近位である第2の位置へと移動可能である、項96に記載の装置。
[項98]
前記バルーンは、前記シャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記アンカ打込み機を越えて遠位方向に位置する第2の位置へと移動可能である、項96に記載の装置。
[項99]
前記少なくとも1つの保持コードは、前記バルーンを包囲し前記支持アーム同士の間から前記バルーンが滑脱するのを防止する単一の保持コードを備える、項96に記載の装置。
[項100]
前記単一の保持コードは、少なくとも1つの結び目を使用して前記支持アームに対して連結される、項99に記載の装置。
[項101]
前記単一の保持コードは、シルク、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリエステルの中の少なくとも1つを備える、項100に記載の装置。
[項102]
前記支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、前記少なくとも1つの保持コードは、前記スリーブのそれぞれの中の穴に前記少なくとも1つの保持コードを通すことにより前記支持アームに対して連結される、項96に記載の装置。
[項103]
前記支持アームのそれぞれが、スリーブ内に囲まれ、前記少なくとも1つの保持コードは、前記スリーブのそれぞれの中の穴に前記少なくとも1つの保持コードを通し、前記スリーブのそれぞれにて結び目を作ることにより、前記支持アームに対して連結される、項96に記載の装置。
[項104]
前記少なくとも1つの保持コードは、前記バルーンを一括して包囲し前記支持アーム同士の間から前記バルーンが滑脱するのを防止する少なくとも2つのコードセグメントを備える、項96に記載の装置。
[項105]
シンチングコードと、
少なくとも4つのアンカであって、前記アンカのそれぞれが、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され前記シンチングコードに対して連結される、少なくとも4つのアンカと
をさらに備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、項96に記載の装置。
[項106]
弁輪リングと、
少なくとも4つのアンカであって、前記アンカのそれぞれが、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され前記弁輪リングに対して連結される、少なくとも4つのアンカと
をさらに備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、項96に記載の装置。
[項107]
前記少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備える、項96に記載の装置。
[項108]
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アーム、前記アンカ打込み機、前記バルーン、および前記少なくとも1つの保持コードは、前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機、前記少なくとも1つの保持コード、および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、項96に記載の装置。
[項109]
遠位部分を有する、前記内芯部の周囲に配設された第1のスリーブであって、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能である第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの前記遠位部分の周囲に摺動可能に配設された取り外し可能な第2のスリーブと
をさらに備え、
前記第2のスリーブが初期位置にある場合に、前記支持アーム、前記アンカ打込み機、前記バルーン、および前記少なくとも1つの保持コードは前記第2のスリーブ内に配設され、前記第2のスリーブが取り外され前記第1のスリーブが前記後退位置にある場合には、前記アンカ打込み機は前記弁輪の形状に対応する位置へと移動自在になる、項96に記載の装置。
[項110]
弁輪の近傍に弁輪リングまたはシンチングコードを送達するための装置であって、
細長の内芯部であって、遠位端部、および近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在するチャネルを有する細長の内芯部と、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
それぞれが遠位端部を有する少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記支持アームのそれぞれ1つによりそれぞれが支持される少なくとも4つのアンカ打込み機と、
第1の膨張ルーメンを有する、前記チャネル内に配設された第1のシャフトと、
前記第1のシャフトに対して取り付けられた膨張性の第1のバルーンであって、前記第1のバルーンが、前記第1の膨張ルーメンを介した前記第1のバルーンの膨張を可能にするために前記第1の膨張ルーメンに対して連結されており、前記第1のバルーンが第1の位置にて膨張されると前記支持アーム同士を相互に押し離すように構成された膨張性の第1のバルーンと、
第2の膨張ルーメンを有する、前記チャネル内に摺動可能に配設された第2のシャフトと、
前記第2のシャフトに対して取り付けられた膨張性の第2のバルーンであって、前記第2のバルーンが、前記第2の膨張ルーメンを介した前記第2のバルーンの膨張を可能にするために前記第2の膨張ルーメンに対して連結されており、前記第1のバルーンを越えて遠位方向に配設される膨張性の第2のバルーンと
を備える、装置。
[項111]
前記第1のシャフトは前記チャネル内に摺動可能に配設され、前記第1のバルーンは前記第1のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記第1の位置へと移動可能である、項110に記載の装置。
[項112]
前記第1のバルーンは、前記第1のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記チャネル内におよび前記支持アームの近位に位置する第2の位置へと移動可能である、項111に記載の装置。
[項113]
遠位端部を有する、前記内芯部の周囲に配設された外方スリーブをさらに備え、
前記外方スリーブは、延伸位置と後退位置との間において前記内芯部に対して摺動可能であり、
前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記支持アーム、前記アンカ打込み機、および前記第1のバルーンは前記外方スリーブ内に配設され、
前記外方スリーブが前記後退位置にある場合に、前記アンカ打込み機および前記支持アームの少なくとも一部分は、前記外方スリーブの前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、項110に記載の装置。
[項114]
ノーズコーンをさらに備え、前記ノーズコーンは、前記ノーズコーンが近位位置にあり前記外方スリーブが前記延伸位置にある場合に、前記外方スリーブの前記遠位端部に配設されるように、前記近位位置と遠位位置との間で移動可能である、項113に記載の装置。
[項115]
前記第2のシャフトは前記ノーズコーンを越えて遠位方向に延在し、前記第2のバルーンは前記ノーズコーンを越えて遠位方向に位置する、項114に記載の装置。
[項116]
前記ノーズコーンは、前記第2のシャフトに対して取り付けられ、前記第2のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記近位位置と前記遠位位置との間で移動可能である、項114に記載の装置。
[項117]
前記第1のシャフトは前記チャネル内に摺動可能に配設され、前記第1のバルーンは前記第1のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記第1の位置へと移動可能であり、前記第2のシャフトは前記ノーズコーンを越えて遠位方向に延在し、前記第2のバルーンは前記ノーズコーンを越えて遠位方向に位置し、前記ノーズコーンは前記第2のシャフトに対して取り付けられ、前記ノーズコーンは前記第2のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記近位位置と前記遠位位置との間で移動可能である、項114に記載の装置。
[項118]
前記チャネル内に摺動可能に配設された第3のシャフトをさらに備え、前記ノーズコーンは前記第3のシャフトに対して取り付けられ、前記ノーズコーンは前記第3のシャフトの位置を摺動自在に調節することにより前記近位位置と前記遠位位置との間で移動可能である、項114に記載の装置。
[項119]
前記ノーズコーンは前記第2のバルーンを越えて遠位方向に位置する、項114に記載の装置。
[項120]
シンチングコードと、
少なくとも4つのアンカであって、前記アンカのそれぞれが、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され前記シンチングコードに対して連結される、少なくとも4つのアンカと
をさらに備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、項110に記載の装置。
[項121]
弁輪リングと、
少なくとも4つのアンカであって、前記アンカのそれぞれが、前記アンカ打込み機のそれぞれ1つの中に配設され前記弁輪リングに対して連結される、少なくとも4つのアンカと
をさらに備え、
前記支持アームは、前記アンカ打込み機の前記遠位端部が前記弁輪の形状の外辺部に沿って分散された状態で、前記弁輪の前記形状に対応する位置に前記アンカ打込み機の前記遠位端部を保持するように構成される、項110に記載の装置。
[項122]
前記少なくとも4つの支持アームは少なくとも8つの支持アームを備え、前記少なくとも4つのアンカ打込み機は少なくとも8つのアンカ打込み機を備える、項110に記載の装置。
[項123]
前記弁輪は僧房弁輪である、項110に記載の装置。
[項124]
前記弁輪は三尖弁輪である、項110に記載の装置。
[項125]
心臓弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する組織の中に弁輪リングまたはシンチングコードを植え込むための方法であって、前記弁輪は心臓の心房と心室との間に配設され、前記心臓は心尖を有する、方法において、
前記心房内にアセンブリを送達するステップであって、前記アセンブリは、(a)前記弁輪リングまたは前記シンチングコードと、(b)前記弁輪リングまたは前記シンチングコードに対して連結された複数のアンカと、(c)前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する前記組織の中に前記アンカを打ち込むように構成された複数のアンカ打込み機とを備え、支持部材により支持される、ステップと、
前記弁輪リングまたは前記シンチングコードが前記弁輪の心房側において前記弁輪または前記弁輪に隣接する前記組織に隣接して位置するように前記アセンブリを位置決めするステップと、
前記心室内に膨張性バルーンを前進させるステップであって、前記バルーンは前記支持部材により支持される、ステップと、
前記バルーンが前記心室内に位置する間に前記バルーンを膨張させるステップと、
前記バルーンが膨張される間に心周期の選択された部分が行われる時に、前記バルーンに対する力により前記バルーンが前記心臓の前記心尖に向かって付勢され、これにより前記心臓の前記心尖に向かって前記支持部材が付勢され、これにより前記弁輪または前記弁輪に隣接する前記組織に向かって前記弁輪リングまたは前記シンチングコードが付勢されるように、前記心室内において前記バルーンの位置を調節するステップと、
前記膨張されたバルーンが調節位置にある間に、前記心周期の前記選択された部分が行われる時に時間を判定するステップと、
前記膨張されたバルーンが前記調節位置にある間に、前記アンカ打込み機が前記心周期の前記選択された部分の最中に前記弁輪の中または前記弁輪に隣接する前記組織の中に前記アンカを打ち込むように前記アンカ打込み機を始動させるステップと
を含む、方法。
[項126]
判定する前記ステップは、前記支持部材が遠位方向に引かれている時を検出するステップを含む、項125に記載の方法。
[項127]
前進させる前記ステップは、前記膨張性バルーンが取り付けられたシャフトを前記支持部材に対する遠位方向に摺動させるステップを含む、項125に記載の方法。
[項128]
位置決めする前記ステップは、前記アンカ打込み機を支持する複数の支持アーム同士の間において追加のバルーンを膨張させることにより、前記追加のバルーンが前記支持アーム同士を相互に押し離すようにするステップを含む、項125に記載の方法。
[項129]
送達する前記ステップは、
前記シンチングコード、前記アンカ、および前記アンカ打込み機が外方スリーブ内で圧縮されながら、前記心房内に前記弁輪リングまたは前記シンチングコード、前記アンカ、ならびに前記アンカ打込み機を導入するステップと、
前記シンチングコード、前記アンカ、および前記アンカ打込み機が前記外方スリーブの遠位端部を越えて延在するように前記外方スリーブを後退させるステップと
を含む、項125に記載の方法。
[項130]
前記弁輪は僧房弁輪である、項125に記載の方法。
[項131]
前記弁輪は三尖弁輪である、項125に記載の方法。
[項132]
三尖弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する組織の中に弁輪リングまたはシンチングコードを植え込むための方法であって、
右心房内にアセンブリを送達するステップであって、前記アセンブリは、(a)前記弁輪リングまたは前記シンチングコードと、(b)前記弁輪リングまたは前記シンチングコードに対して連結された複数のアンカと、(c)前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する前記組織の中に前記アンカを打ち込むように構成された複数のアンカ打込み機とを備え、支持部材により支持される、ステップと、
前記弁輪リングまたは前記シンチングコードが前記弁輪の右心房側で前記弁輪にまたは前記弁輪に隣接する前記組織に隣接するように、前記アセンブリを位置決めするステップと、
肺動脈中に収縮状態の膨張性バルーンを前進させるステップであって、前記バルーンは前記支持部材により支持される、ステップと、
前記バルーンが前記肺動脈内に位置する間に前記バルーンをある位置にアンカ固定するために前記バルーンを膨張させるステップと、
前記バルーンが前記位置にアンカ固定される間に、前記弁輪に向かってまたは前記弁輪に隣接する前記組織に向かって前記弁輪リングまたは前記シンチングコードを押圧するように前記アセンブリの位置を調節するステップと、
調節する前記ステップの後に前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する前記組織の中に前記アンカを打ち込むステップと、
前記バルーンを収縮させるステップと、
前記アセンブリを引き抜くステップと
を含む、方法。
[項133]
前記肺動脈は右肺動脈である、項132に記載の方法。
[項134]
前記肺動脈は左肺動脈である、項132に記載の方法。
[項135]
前進させる前記ステップは、前記膨張性バルーンが取り付けられたシャフトを前記支持部材に対する遠位方向に摺動させるステップを含む、項132に記載の方法。
[項136]
位置決めする前記ステップは、前記アンカ打込み機を支持する複数の支持アーム同士の間において追加のバルーンを膨張させることにより、前記追加のバルーンが前記支持アーム同士を相互に押し離すようにするステップを含む、項132に記載の方法。
[項137]
送達する前記ステップは、前記シンチングコード、前記アンカ、および前記アンカ打込み機が外方スリーブ内で圧縮されながら、前記心房内に前記弁輪リングまたは前記シンチングコード、前記アンカ、ならびに前記アンカ打込み機を導入するステップを含む、項132に記載の方法。
[項138]
弁輪上にまたは前記弁輪に隣接する組織上にシンチングコードを設置するための装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに対して取り付けられた細長内芯部であって、(a)遠位端部、(b)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第2のチャネル、および(c)近位-遠位間方向に前記内芯部を貫通して延在する少なくとも1つの第4のチャネルを有する、細長内芯部と、
遠位ループ部分、第1の近位部分、および第2の近位部分を有するシンチングコードであって、前記シンチングコードの前記第1の近位部分は、前記少なくとも1つの第2のチャネル内において摺動可能に配設され、前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在し、前記シンチングコードの前記第2の近位部分は、前記少なくとも1つの第2のチャネル内に摺動可能に配設され、前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、シンチングコードと、
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する、前記内芯部に対して取り付けられた少なくとも4つの支持アームと、
前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する前記組織中に前記シンチングコードの前記遠位ループ部分をアンカ固定するように構成された少なくとも4つのアンカと、
少なくとも4つのアンカ打込み機であって、前記アンカ打込み機のそれぞれが前記支持アームのそれぞれ1つにより支持され、前記弁輪の中にまたは前記弁輪に隣接する前記組織中に前記アンカのそれぞれ1つを打ち込むように構成される、少なくとも4つのアンカ打込み機と、
(i)前記少なくとも1つの第4のチャネル内に摺動可能に配設され、(ii)前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に延在する遠位端部を有し、(iii)前記第4のチャネルを越えて近位方向に延在する近位端部を有する、少なくとも1つのワイヤと、
遠位方向に前記少なくとも1つのワイヤの前記近位端部を押すことにより遠位方向に押されるように、前記少なくとも1つのワイヤの前記遠位端部に対して固定された押し部材と
を備え、
前記シンチングコードおよび前記少なくとも1つの第2のチャネルは、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織中にアンカ固定された後に、近位方向への前記ハウジングの漸進移動により、前記内芯部が前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分に対する近位方向に漸進的に移動されるように構成され、
前記押し部材は、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織中にアンカ固定された後に、遠位方向へ前記押し部材を押すことにより、前記近位方向への前記ハウジングの移動中における前記アンカの離脱が阻止されるように構成される、装置。
[項139]
前記シンチングコードの前記遠位ループ部分は、組織内部成長を促進するスリーブにより覆われる、項138に記載の装置。
[項140]
前記押し部材は、少なくとも1つの通路を有し、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記少なくとも1つの通路内に摺動可能に配設される、項138に記載の装置。
[項141]
前記押し部材は、遠位端部および近位端部と、近位-遠位間方向に前記押し部材を貫通する少なくとも1つの通路とを有し、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記少なくとも1つの通路内に摺動可能に配設される、項138に記載の装置。
[項142]
前記押し部材は、前記少なくとも1つのワイヤに対して平行な軸方向軸を有するように整列された中空シリンダを備え、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記中空シリンダ内に摺動可能に配設される、項138に記載の装置。
[項143]
前記少なくとも1つの第2のチャネルは、複数のルーメンを備え、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記シンチングコードの前記第2の近位部分のそれぞれが、前記複数のルーメンのそれぞれ1つの中に摺動可能に配設される、項138に記載の装置。
[項144]
前記少なくとも1つのワイヤは複数のワイヤを備え、前記少なくとも1つの第4のチャネルは複数のチャネルを備え、前記複数のワイヤのそれぞれが前記複数のチャネルの中のそれぞれ1つの中に摺動可能に配設される、項143に記載の装置。
[項145]
前記押し部材は、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織中にアンカ固定された後に、遠位方向へ前記押し部材を押すことにより、前記弁輪または前記弁輪に隣接する前記組織に対して前記シンチングコードが押し当てられるように構成される、項138に記載の装置。
[項146]
前記内芯部の前記遠位端部を越えて遠位方向に配設された少なくとも1つの耐つぶれ性チャネルをさらに備え、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記少なくとも1つの耐つぶれ性チャネル内に摺動可能に配設される、項138に記載の装置。
[項147]
前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織中にアンカ固定される前に、前記少なくとも1つの耐つぶれ性チャネルが前記押し部材まで延在する、項146に記載の装置。
[項148]
前記少なくとも1つの耐つぶれ性チャネルは、前記内芯部に対して固定される少なくとも1つの支持アームにより支持される、項146に記載の装置。
[項149]
前記少なくとも1つの第2のチャネルは、複数のルーメンを備え、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記シンチングコードの前記第2の近位部分のそれぞれが、前記複数のルーメンのそれぞれ1つの中に摺動可能に配設され、
前記少なくとも1つのワイヤは複数のワイヤを備え、前記少なくとも1つの第4のチャネルは複数のチャネルを備え、前記複数のワイヤのそれぞれが前記複数のチャネルの中のそれぞれ1つの中に摺動可能に配設され、
前記押し部材は、前記シンチングコードの前記遠位ループ部分が前記少なくとも4つのアンカにより前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織中にアンカ固定された後に、遠位方向へ前記押し部材を押すことにより、前記弁輪または前記弁輪に隣接する前記組織に対して前記シンチングコードが押し当てられるように構成される、項138に記載の装置。
[項150]
前記押し部材は、遠位端部および近位端部と、近位-遠位間方向に前記押し部材を貫通する少なくとも1つの通路とを有し、前記シンチングコードの前記第1の近位部分および前記第2の近位部分は、前記少なくとも1つの通路内に摺動可能に配設される、項149に記載の装置。
[項151]
弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する組織に対して遠位ループ部分を有するシンチングコードを装着する方法であって、
経皮送達ツールを使用して前記弁輪の近傍まで前記シンチングコードの前記遠位ループ部分を送達するステップと、
前記弁輪中にまたは前記弁輪に隣接する前記組織中に少なくとも4つのアンカを打ち込むステップであって、前記少なくとも4つのアンカは、前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織に対して前記シンチングコードの前記遠位ループ部分を固定するように構成される、ステップと、
前記少なくとも4つのアンカが打ち込まれた後に、近位方向に前記経皮送達ツールを引くステップと、
前記経皮送達ツールを引く間に前記少なくとも4つのアンカのいずれの離脱も防止するのに十分な圧力で、前記弁輪に対してまたは前記弁輪に隣接する前記組織に対して前記シンチングコードの一部分を押し部材が保持するように、前記押し部材を遠位方向に押圧するステップと
を含む、方法。
[項152]
前記少なくとも4つのアンカが、少なくとも8つのアンカを備える、項151に記載の方法。
【符号の説明】
【0204】
25 装置
30 被験者の心臓
32 左心房
33 左心室
35 弁輪
40 ハウジング
42 操縦制御アセンブリ、制御部
44 スリーブリトラクタ
44a 制御部、アクチュエータ
44k ロッキングピン
44p ピニオン
44r ラック
46 ばね付きアクチュエータ
47 トリガ、制御部
48 ロッキングピン
50 内芯部
51 第1のチャネル、ルーメン
52 第2のチャネル、ルーメン
53 第3のチャネル
55 主要チャネル
60 外方スリーブ、外方シース
62 第1のスリーブ
65 第2のスリーブ
66 タブ
70 遠位アセンブリ
72 支持アーム、支持部材
74 アンカ打込み機
75 アンカ
76 プルワイヤ
78 バルーン保持具、保持コード
79 スリーブ
82 遠位ループ部分、シンチングコード
84 第1の近位部分、第2の近位部分
86 スリーブ
89 スリーブ
90 支持リング
92 穴
94 切欠部
95 支持アーム、支持ロッド
98 放射線不透過性スリーブ
100 ノーズコーン
101 ノーズコーンシャフト、シャフト
105 膨張性バルーン、バルーン、第1のバルーン、近位バルーン
106 シャフト、第1のシャフト
107 第2のバルーン、遠位バルーン
108 第2のシャフト
120 可撓性細長本体、細長本体、本体
122 第1のルーメン、第2のルーメン、ルーメン
123 第3のルーメン
125 放射線不透過性マーカ
128 通線コードセット、通線コード、第1の通線コード、第2の通線コード
130 スラストチューブ
152 スポーク
155 取り外し可能ロッキングピン、ロッキングピン、ピン
182 弁輪リング
184 第1のコード延在セクション、第2のコード延在セクション、コード延在セクション、延在セクション
186 スリーブ
210 押し部材
215 ワイヤ、押しワイヤ
220 耐つぶれ性チャネル
150a 第1の領域
150b 第2の領域
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19