(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】多層構造の発煙粒子、その製造方法、使用方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
A24B 15/16 20200101AFI20230306BHJP
【FI】
A24B15/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021161179
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】202110703055.9
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】何沛
(72)【発明者】
【氏名】劉春波
(72)【発明者】
【氏名】蔡炳彪
(72)【発明者】
【氏名】蒋卓芳
(72)【発明者】
【氏名】司暁喜
(72)【発明者】
【氏名】唐石云
(72)【発明者】
【氏名】向能軍
(72)【発明者】
【氏名】韓瑩
(72)【発明者】
【氏名】張鳳梅
(72)【発明者】
【氏名】朱瑞芝
(72)【発明者】
【氏名】劉志華
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109363230(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111213903(CN,A)
【文献】特表2018-537954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16-15/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造の発煙粒子であって、前記発煙粒子(1)が、内側から外側に向けて、コア層(11)と、発煙層(12)と、被覆層(13)とを少なくとも含み、
前記コア層(11)は、直径が2nm未満のミクロ孔と、直径が2~50nmのメソ孔と、直径が50nm超のマクロ孔とを含み、
前記発煙層(12)は、固体基材と、香料と、発煙剤とを含
み、
前記ミクロ孔、前記メソ孔及び前記マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=1/1~1/2、メソ孔/マクロ孔=2/1~4/1であることを特徴とする、多層構造の発煙粒子。
【請求項2】
前記コア層(11)の比表面積が180~450m
2/gであることを特徴とする、請求項1に記載の多層構造の発煙粒子。
【請求項3】
前記被覆層(13)の融点が300℃以下であり、前記コア層(11)が天然材料及び合成材料のうちの1種又は2種から選ばれる、ことを特徴とする、請求項1に記載の多層構造の発煙粒子。
【請求項4】
前記発煙層(12)は、少なくとも1層のサブ発煙層を含み、隣り合う2層のサブ発煙層における固体基材が同一であるか又は異なり、隣り合う2層のサブ発煙層における香料が同一であるか又は異なり、隣り合う2層のサブ発煙層における発煙剤が同一であるか又は異なる、ことを特徴とする、請求項1に記載の多層構造の発煙粒子。
【請求項5】
前記固体基材が、粉末状の植物の根、茎及び葉のうちの少なくとも1種から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の多層構造の発煙粒子。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の発煙粒子の製造方法であって、
コア材料を高温脱気、減圧脱気又は高温減圧脱気して、直径が2nm未満のミクロ孔と、直径が2~50nmのメソ孔と、直径が50nm超のマクロ孔とを含むコア層(11)を
得、前記ミクロ孔、前記メソ孔及び前記マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=1/1~1/2、メソ孔/マクロ孔=2/1~4/1である、コア層(11)の製造ステップ(1)と、
配合された固体基材、香料及び発煙剤を、ステップ(1)で得られたコア層(11)に担持させ、乾燥させて粗粒子を得る、発煙層(12)の担持ステップ(2)と、
被覆材料を溶媒に溶解し、流動スプレー法又は転がり付着法によりステップ(2)で得られた粗粒子を被覆して、発煙粒子(1)を得る、被覆層(13)の被覆ステップ(3)と、を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)では、前記高温脱気の温度が300℃以上であり、減圧脱気の圧力が600mbar以下であり、高温減圧脱気の処理条件は、温度が250℃以上であり、圧力が800mbar以下であり、
脱気時間が30分以上であり、
ステップ(3)では、前記被覆材料の被覆量がコア層(11)及び発煙層(12)の合計質量の0.5~2%である、ことを特徴とする、請求項
6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記発煙粒子(1)を加熱式タバコ、タバコカートリッジ、又は喫煙具に入れて使用することを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の発煙粒子の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱式タバコの技術分野に属し、具体的には多層構造の発煙粒子、その製造方法、使用方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の向上に伴い、人々が自身の健康をますます重視するようになり、近年、喫煙による健康問題に大きな関心が寄せられている。国内外の各大手企業は、多様な消費ニーズを満たすために、従来の紙巻きタバコに代わる新型タバコ製品の開発を盛んに行っている。これらの増加しつつある新型タバコ製品のうち、電子タバコ及び加熱式タバコはその主流である。
【0003】
電子タバコは、電子製品のタバコ業界における拡大使用として、香喫味の可変性が高く、リキッドの成分を調整することで煙の香喫味を任意に調整することができるという利点を有するが、煙が主に電子霧化器により生成されるため、その口当たり、特に温度は、加熱により煙を発生させる従来の紙巻きタバコとは依然としてある程度の差があるので、紙巻きタバコ喫煙者に受け入れられにくい。
【0004】
加熱式タバコは、タバコの発煙芯材部を加熱して煙を発生させ、煙の口当たりの受け入れ程度が高い。ここ数年、中国の各大手企業の努力で、粒子を発煙基材とする新型加熱式タバコが現れているが、粒子が吸湿して塊になりやすく、発煙に影響を与え、粒子自体が煙に対してある程度の吸着作用を有するので、発煙量が少なくなるなどの欠陥がある。
【0005】
上記の問題点を解消するために、本発明を提出する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1態様は、内側から外側に向けて、コア層11と、発煙層12と、被覆層13とを少なくとも含む発煙粒子1において、
コア層11は、直径が2nm未満のミクロ孔と、直径が2~50nmのメソ孔と、直径が50nm超のマクロ孔とを含み、
発煙層12は、固体基材と、香料と、発煙剤とを含む多層構造の発煙粒子を提供する。
【0007】
好ましくは、コア層11の比表面積が180~450m2/gである。これは、コア層11の比表面積が小さすぎても大きすぎても発煙量を著しく低下させるからである。この範囲では、初期霧化時に細孔内で煙の凝結核をよりよく提供し、初期霧化に必要なエネルギーを低減させることができるためと考えられ、その役割は、加熱溶液にゼオライトを添加して突沸を防止する場合と同様である。
【0008】
好ましくは、ミクロ孔、メソ孔及びマクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=1/1~1/2、メソ孔/マクロ孔=2/1~4/1である。これは、ミクロ孔及びマクロ孔の比表面積分布が大きすぎると、発煙量を低下させるからである。ミクロ孔が多すぎると、加熱時の熱エネルギーが分散して発煙が遅くなり、マクロ孔が多すぎると、煙を発生させた後の再吸着量(気相の煙が生成された後に、細孔に吸着される)が増加して発煙量が低減される。発煙過程は、ミクロ孔で凝結核を発生させることから始まり、メソ孔を介してマクロ孔領域にスムーズに到達させる。マクロ孔領域の役割は主に、(1)コア層11に所定の粗さを持たせて、発煙層12がコア層11を良好に被覆することを確保すること、(2)凝結核がこの領域で発煙層12中の発煙剤及び香料と接触して急速に成長し、暴力的に突破するように発煙層12を通過して煙を生成することである。
本明細書では、コア層11の粒子径は規定されておらず、最終の発煙粒子1の粒子径も規定されていない。発煙に主な影響を与えるのは、コア層の比表面積及び細孔分布である。好ましくは、コア層11の粒子径が20~40メッシュである。勿論、他の粒子径範囲であってもよく、少し大きい又は少し小さい場合は発煙層を担持する際に修正され、最終的な粒子サイズの差が小さく、発煙効果にやや影響を与えるが、特にばらつきが大きいものではない。
【0009】
好ましくは、加熱時に先に融解するように、被覆層13の融点が300℃以下であり、融点が高すぎると、煙の放出を阻害する。被覆層13の材料がアルギン酸ナトリウム、ポリ乳酸(PLA)、高分子糖類などの無毒無臭の高分子膜の1種以上である。被覆層13の主な役割は、粒子の貯蔵時の吸水を防止するとともに、粒子間のブロッキングを防止することである。
【0010】
好ましくは、コア層11が天然材料及び合成材料から選ばれる1種又は2種である。コア層11は特定の細孔構造を有する活性炭、ゼオライト又は変性天然鉱石等であってもよい。
【0011】
好ましくは、発煙層12は、少なくとも1層のサブ発煙層を含み、隣り合う2層のサブ発煙層における固体基材が同一又は異なり、隣り合う2層のサブ発煙層における香料が同一又は異なり、隣り合う2層のサブ発煙層における発煙剤が同一又は異なる。発煙剤がグリセロール及びプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種であることが好ましい。
【0012】
好ましくは、固体基材が、粉末状の植物の根、茎及び葉から選ばれる少なくとも1種であり、例えば、葛根、タバコ葉、ミント葉、中骨、沈香木などである。
【0013】
好ましくは、発煙層12の含水率が8~22%である。含水率が低すぎると、製造難度が高く、実現しにくく、粒子の発煙効果を顕著に改善できず、含水率が高すぎると、発煙量を著しく低減し、煙が熱くて口をやけどしてしまう。
【0014】
本発明の第2態様は、
コア材料を高温脱気、減圧脱気又は高温減圧脱気して、コア層11を得るコア層11の製造ステップ(1)と、
配合された固体基材、香料及び発煙剤を、ステップ(1)で得られたコア層11に担持させ、乾燥させて粗粒子を得る発煙層12の担持ステップ(2)と、
発煙層12が2層以上のサブ発煙層を含む場合には、設定層数になるまで上記のステップ(2)を繰り返す必要があり、
被覆材料を溶媒に溶解し、ステップ(2)で得られた粗粒子を流動スプレー又は転がり付着により被覆して、発煙粒子1を得る被覆層13の被覆ステップ(3)と、を含む第1態様に記載の発煙粒子の製造方法を提供する。
【0015】
コア材料を脱気する目的は、それ自体に含まれる揮発性物質を除去し、加熱時の好まれない匂いの発生を防止することにある。
ステップ(2)における担持方式は、配合後の混合物の状態によるが、粘度が大きい場合、流動スプレー又は転がり付着を採用し、粘度が小さい場合、浸漬してもよい。
ステップ(3)では、発煙層12中の成分の再溶解放出を防止するために、通常浸漬被覆を採用しない。
【0016】
好ましくは、ステップ(1)では、高温脱気の温度が300℃以上であり、減圧脱気の圧力が600mbar以下であり、高温減圧脱気の処理条件は、温度が250℃以上であり、圧力が800mbar以下であり、
脱気時間が30分以上であり、
ステップ(3)では、被覆材料の使用量がコア層11及び発煙層12の合計質量の0.5~2%であることが好ましく、使用量が多すぎると、発煙を阻害する。
【0017】
本発明の第3態様は、この発煙粒子1を加熱式タバコ、タバコカートリッジ又は喫煙具に入れて使用する第1態様に記載の発煙粒子の使用方法を提供する。
【0018】
好ましくは、加熱式タバコの構造は、通常の粒子状発煙材のタバコの構造と同じであり、
図2に示すように、封止膜21、発煙芯材部22、中空支持部23、降温部及びフィルター部24をこの順に含み、発煙芯材部22に該発煙粒子1が充填される。
【0019】
好ましくは、喫煙具の発煙室及びフィルターの構造は、
図3に示すように、発煙室内に該発煙粒子1が収容され、発煙室の上端に喫煙具のフィルター部34が連結されている。喫煙具が周方向加熱式(
図3a)の場合、発煙室の側壁に周方向加熱部材31が設けられる。喫煙具がマイクロ波加熱式(
図3c)の場合、発煙室の側壁にマイクロ波発生部材33が設けられる。喫煙具が中央加熱式(
図3b)の場合、発煙室内に中央加熱部材32が設けられる。喫煙具により該発煙粒子1を加熱した後、発生した煙が喫煙具のフィルター部34によって吸引される。
【0020】
勿論、該発煙粒子1をタバコカートリッジに入れて使用することもできる。
【0021】
この発煙粒子1の発煙過程は、吸引される際に、外部からの熱で粒子の被覆層13が融解するか又は相変化して破裂し、熱エネルギーがコア層11に入った後、ミクロ孔内の気体が放出されて凝結核を生成し、メソ孔を介して表面のマクロ孔に到達し、凝結核がマクロ孔で発煙層12中の発煙剤及び香料と接触して急速に成長し、暴力的に突破するように発煙層12を通過して煙を生成し、最終的にフィルター部を介して喫煙者の口腔内に入る。
【0022】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
1、本発明に係る多層構造の発煙粒子は、多孔質材料をコアとすることにより、従来の発煙材のみの造粒により内部の香料及び発煙剤が放出できないため無駄になるという問題を解決し、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の合理的な組み合わせにより、発煙時の凝結核を提供し、凝結核を気化する通路をクリアにし、再吸着作用を低下させ、発煙量を向上させる。
2、本発明に係る多層構造の発煙粒子は、発煙層が1層又は複数層であり、煙の香喫味の組み合わせにより多くの選択肢を提供する。
3、本発明に係る多層構造の発煙粒子は、最外層に被覆層を設けることにより、粒子の貯蔵時の吸水を防止するとともに、粒子間のブロッキングを防止することができ、加熱時に融解するか又は相変化することで、煙がスムーズに放出される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の多層構造の発煙粒子の構造概略図である。
【
図2】本発明の多層構造の発煙粒子を含む加熱式タバコの構造概略図である。
【
図3】本発明の多層構造の発煙粒子を直接加熱する特別喫煙具における発煙室とフィルターの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例に具体的な条件を明記していない実験方法は、通常の条件及びマニュアルに記載された条件、又は製造業者が推奨する条件に従って行い、使用される汎用設備、材料、試薬等が、特に明記しない限り、商業的に入手可能である。以下の実施例及び比較例に必要な原料はいずれも市販されるものである。
【0025】
以下の実施例では、ミクロ孔の直径が2nm未満であり、メソ孔の直径が2~50nmであり、マクロ孔の直径が50nm超である。比表面積の測定方法は窒素吸着法である。
【0026】
実施例1
本実施例の発煙粒子は、コア層11と、発煙層12と、被覆層13とを含む3層構造であり、
コア層11は、粒子径が20~40メッシュの活性炭であり、測定したところ、比表面積が450m2/gであり、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=1/1、メソ孔/マクロ孔=4/1である。
発煙層12は、固体基材と、香料と、発煙剤とを含む単層である。
固体基材は粉末状に粉砕されたタバコ葉であり、香料はミント風味調合香料であり、発煙剤はグリセロールである。
被覆層13はアルギン酸ナトリウム膜である。
本実施例の多層構造の発煙粒子の製造方法は、
選択された活性炭のコア材料を300℃でオーブンで30分高温脱気した後、水で洗浄して80℃で乾燥するコア層11の洗浄ステップ(1)と、
固体基材、香料及び発煙剤を3:2:2の質量比で混合撹拌して発煙スラリーを得、発煙スラリーを転がり付着によりコア層11に担持させて、乾燥処理して水分含有量を8%まで低下させ、粗粒状物を得る発煙層12の担持ステップ(2)と、
アルギン酸ナトリウムを水に溶解し、ステップ(2)で得られた粗粒状物を流動スプレーにより被覆し、80℃で0.5h乾燥して発煙粒子を得、アルギン酸ナトリウムの被覆量がコア層と発煙層との合計質量の0.5%である被覆層13の被覆ステップ(3)と、を含む。
本実施例の発煙粒子をサンプル1とし、選別して測定したところ、粒子径が10~24メッシュである。
【0027】
実施例2
本実施例の発煙粒子は、コア層11と、発煙層12と、被覆層13とを含む3層構造であり、
コア層11は、粒子径が20~40メッシュのアルミノフォスフェートゼオライトであり、測定したところ、比表面積が250m2/gであり、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=1/2、メソ孔/マクロ孔=2/1である。
発煙層12は、固体基材と、香料と、発煙剤とを含む単層である。
固体基材は粉末状に粉砕された葛根であり、香料はアイスブルーベリー風味調合香料であり、発煙剤はプロピレングリコールである。
被覆層13はポリ乳酸(PLA)である。
本実施例の多層構造の発煙粒子の製造方法は、
選択されたアルミノフォスフェートゼオライトのコア材料を圧力600mbarで50分減圧脱気した後、水で洗浄して乾燥するコア層11の洗浄ステップ(1)と、
固体基材、香料及び発煙剤を4:2:3の質量比で混合撹拌して発煙スラリーを得、発煙スラリーを転がり付着によりコア層11に担持させて、乾燥処理して水分含有量を22%まで低下させ、粗粒子を得る発煙層12の担持ステップ(2)と、
PLAを酢酸エチルに溶解し、粗粒子を流動スプレーにより被覆し、80℃で0.5h乾燥して発煙粒子を得、PLAの使用量がコア層と発煙層との合計質量の2%である被覆層13の被覆ステップ(3)と、を含む。
本実施例の発煙粒子をサンプル2とし、選別して測定したところ、粒子径が10~24メッシュである。
【0028】
実施例3
本実施例の発煙粒子は、コア層11と、発煙層12と、被覆層13とを含む3層構造であり、
コア層11は、粒子径が20~40メッシュの変性モンモリロナイトであり、測定したところ、比表面積が180m2/gであり、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=2/3、メソ孔/マクロ孔=4/1である。
発煙層12は、固体基材と、香料と、発煙剤とを含む単層である。
固体基材は粉末状に粉砕されたミント葉と中骨との混合物であり、香料はコーヒー風味調合香料であり、発煙剤はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であり、グリセロールとプロピレングリコールとの質量比が1:1である。
被覆層13はマルトース膜である。
本実施例の多層構造の発煙粒子の製造方法は、
選択された変性モンモリロナイトのコア材料を350℃で30分高温脱気した後、水で洗浄して乾燥するコア層11の洗浄ステップ(1)と、
固体基材、香料及び発煙剤を5:3:2の質量比で混合撹拌して発煙スラリーを得、発煙スラリーを流動スプレーによりコア層11に担持させて、乾燥処理して水分含有量を12%まで低下させる発煙層12の担持ステップ(2)と、
マルトースを少量の水に溶解し、転がり付着により被覆し乾燥して、発煙粒子を得、被覆量がコア層と発煙層との合計質量の1.5%である被覆層13の被覆ステップ(3)と、を含む。
本実施例の発煙粒子をサンプル3とし、選別して測定したところ、粒子径が10~24メッシュである。
【0029】
実施例4
本実施例の発煙粒子は、コア層11と、発煙層12と、被覆層13とを含む3層構造であり、
コア層11は、粒子径が20~40メッシュの活性炭であり、比表面積が350m2/gであり、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=3/4、メソ孔/マクロ孔=3/1である。
発煙層12は、固体基材と、香料と、発煙剤とを含む単層である。
固体基材は粉末状に粉砕された葛根及び沈香木であり、香料はオレンジ風味調合香料であり、発煙剤はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物である。
被覆層13はアルギン酸ナトリウム膜である。
本実施例の多層構造の発煙粒子の製造方法は、
選択された活性炭のコア材料を300℃で600mbarで30分脱気した後、水で洗浄して乾燥するコア層11の洗浄ステップ(1)と、
配合された固体基材、香料及び発煙剤を流動スプレーによりコア層11に担持させて、乾燥処理して水分含有量を16%まで低下させる発煙層12の担持ステップ(2)と、
アルギン酸ナトリウムを水に溶解し、流動スプレーにより被覆し、80℃で0.5h乾燥して発煙粒子を得、被覆量がコア層と発煙層との合計質量の1%である被覆層13の被覆ステップ(3)と、を含む。
本実施例の発煙粒子をサンプル4とし、選別して測定したところ、粒子径が10~24メッシュである。
【0030】
実施例5
本実施例の発煙粒子は、コア層11と、発煙層121及び発煙層122の両層に分けられる発煙層12と、被覆層13とを含む4層構造である。
コア層11は、粒子径が20~40メッシュの変性ベントナイトであり、比表面積が220m2/gであり、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=2/3、メソ孔/マクロ孔=3/1である。
発煙層12は、固体基材、香料及び発煙剤の混合物を2層含み、それぞれが第1サブ発煙層121及び第2サブ発煙層122である。
サブ発煙層121の固体基材は粉末状に粉砕されたミント葉及び沈香木である。サブ発煙層122の固体基材は粉末状に粉砕されたタバコ葉である。香料はミント風味調合香料をそれぞれ使用する。発煙剤はグリセロールをそれぞれ使用する。
被覆層13はポリ乳酸(PLA)である。
本実施例の多層構造の発煙粒子の製造方法は、
選択された変性ベントナイトのコア材料を圧力400mbarで40分減圧脱気した後、水で洗浄して乾燥するコア層11の洗浄ステップ(1)と、
配合された2種の固体基材、香料及び発煙剤の混合物を転がり付着により2回に分けてコア層11に担持させて、乾燥処理して水分含有量を18%まで低下させる発煙層12の担持ステップ(2)と、
PLAを酢酸エチルに溶解し、流動スプレーにより被覆し、80℃で0.5h乾燥して発煙粒子を得、PLAの被覆量がコア層と発煙層との合計質量の1%である被覆層13の被覆ステップ(3)と、を含む。
本実施例の発煙粒子をサンプル5とし、選別して測定したところ、粒子径が10~24メッシュである。
【0031】
応用例1
通常の製造方法で製造された粒子(即ち発煙層12の材料のみにより製造された粒子)を対照サンプルとしてそれぞれ上記の5つの実施例におけるサンプルに対応付け、対照サンプルを実施例における粒子径とほぼ同様にし、対照サンプルをそれぞれ0-1、0-2、0-3、0-4及び0-5とし、ただし、0-5は発煙層121及び発煙層122の発煙材料を1:1の質量比で混合して造粒したものである。
一、10種の粒子サンプルが80%の湿度環境で48h放置された後のブロッキング状況の比較
観察した結果、対照サンプル0-1、0-2、0-3、0-4及び0-5ではそれぞれある程度のブロッキングが発生したが、実施例におけるサンプル1、2、3、4、5ではブロッキングが発生していないことから、本発明の方法により製造された粒子は、高湿度環境におけるブロッキングを効果的に防止することができることが分かった。
二、吸引評価比較
雲南中煙工業有限責任公司の企業標準「QYNZY.J07.022-2015 新型タバコの官能評価方法」に準拠して、複数の官能評価者によりタバコの官能評価を行い、吸引終了後の粒子内の発煙剤の残留率を測定し、発煙粒子の官能的優劣及び発煙剤の利用率を考察した。ここで、官能品質の採点数はそれぞれ、発煙量0~10点、香気品質0~10点とし、点数が高いほど、吸引時の当該評価指標の感覚が強くなることを示す。
上記の10種の発煙粒子サンプルを通常の粒子状発煙材のタバコ(構造は
図2に示される)に入れ、中央加熱式喫煙具を用いて吸引した。結果を表1に示した。
表1からわかるように、本発明で製造された発煙粒子は、同一のタバコにおいて、発煙量が大きく、香気品質が高く、発煙剤の利用率が高いという顕著な特徴を有する。
三、発煙剤の残留比較
上記の0-1、1、0-5及び5を代表とし、10種の発煙粒子サンプルに入れ、特別喫煙具の発煙室(
図3に示される)に入れ、その発煙剤の残留率を測定し、比較結果を表2に示した。
表2からわかるように、本発明で製造された発煙粒子は、3つの異なる加熱モードにおいて、通常の製造方法で得られた粒子よりも発煙剤の残留が少ないことから、本発明で製造された発煙粒子はより高い発煙剤の利用率を有することが分かった。
【0032】
応用例2
使用されたコア層11は、粒子径が20~40メッシュの活性炭であり、測定したところ、比表面積が800m
2/gであり、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=1/5、メソ孔/マクロ孔=1/1であること以外は、実施例1の方法と同様にして発煙粒子1Aを製造した。
使用されたコア層11は、粒子径が20~40メッシュのアルミノフォスフェートゼオライトであり、測定したところ、比表面積が95m
2/gであり、ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の比表面積分布が、ミクロ孔/メソ孔=1/8、メソ孔/マクロ孔=6/1であること以外は、実施例2の方法と同様にして発煙粒子2Aを製造した。
上記の2種の発煙粒子サンプルを通常の粒子状発煙材のタバコ(構造は
図2に示される)に入れ、中央加熱式喫煙具を用いて吸引して、表1のサンプル1及びサンプル2と比較した。
表1からわかるように、本発明で製造された発煙粒子は、同一のタバコにおいて、発煙量が大きく、香気品質が高く、発煙剤の利用率が高いという顕著な特徴を有する。以上の利点は、コア層の比表面積及びミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の割合に関わる。
【符号の説明】
【0033】
1:発煙粒子
11:コア層
12:発煙層
13:被覆層
21:封止膜
22:発煙芯材部
23:中空支持部
24:降温部及びフィルター部
31:周方向加熱部材
32:中央加熱部材
33:マイクロ波発生部材
34:喫煙具のフィルター部