(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/15 20210101AFI20230306BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20230306BHJP
H01M 50/572 20210101ALI20230306BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20230306BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20230306BHJP
H01M 50/595 20210101ALI20230306BHJP
H01M 50/164 20210101ALI20230306BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/342 101
H01M50/572
H01M50/586
H01M50/159
H01M50/595
H01M50/164
(21)【出願番号】P 2021200463
(22)【出願日】2021-12-10
(62)【分割の表示】P 2018525159の分割
【原出願日】2017-06-27
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2016128239
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
(72)【発明者】
【氏名】山田 博之
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-096129(JP,A)
【文献】特開2011-018645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/147-50/164
H01M 50/342
H01M 50/572-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収納する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、を備え、
前記外装体と前記封口板が電池ケースを構成し、
前記封口板には、前記電池ケース内の圧力が所定値以上となった時に変形する変形部と、前記電池ケース内の圧力が所定値以上となった時に破断し前記電池ケース内のガスを前記電池ケースの外部に排出するガス排出弁が設けられ、
前記封口板の内面には、金属製の補強部材が接続され、
前記補強部材は、前記ガス排出弁と対向する位置に配置され、
前記補強部材は、前記ガス排出弁と対向するように配置される本体部と、前記本体部から前記封口板に向かって延びる複数の脚部と、前記脚部の前記封口板側に位置する接続部を有し、
前記接続部が前記封口板に接続され、
前記本体部と前記電極体の間に絶縁部材が配置され、
前記封口板の長手方向において、前記絶縁部材は前記本体部より大き
く、
前記変形部の変形により、前記正極板と前記負極板を電気的に接続させる短絡機構を有する、
二次電池。
【請求項2】
前記封口板の長手方向において、前記変形部と前記ガス排出弁は離間して配置され、
前記ガス排出弁が破断する圧力は、前記変形部が変形する圧力よりも大きい値に設定された、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記変形部の外方には、前記負極板に電気的に接続された外部導電部材が配置され、
前記変形部が変形することにより、前記変形部と前記外部導電部材が電気的に接続される、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記封口板の内面に対して平行な方向で、且つ前記封口板の短手方向に沿って前記封口板及び前記補強部材を見たとき、
前記補強部材の前記脚部と前記封口板の内面がなす角の角度をαとし、
前記補強部材と前記封口板の接点と、前記本体部と前記脚部の境界を繋ぐ直線を直線Lとし、
前記封口板の内面と前記直線Lのなす角の角度をβとしたとき、
α>βである、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記補強部材は、前記封口板を構成する金属と同種の第1金属からなる部分と、前記第1金属よりもヤング率の高い第2金属からなる部分を有する、
請求項1~
4のいずれかに記載の二次電池。
【請求項6】
前記第1金属がアルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2金属が銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニッケル、又はニッケル合金である、
請求項
5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記封口板は貫通孔を有し、前記変形部は前記貫通孔を塞ぐようにして前記封口板の外面側に溶接接続され、
前記ガス排出弁は、前記封口板に一体的に形成されている、
請求項1~
6のいずれかに記載の二次電池。
【請求項8】
前記外装体は、底部、一対の第1側壁、一対の第2側壁を有し、
前記第2側壁の面積は、前記第1側壁の面積より小さく、
前記開口は、前記底部と対向する位置に設けられ、
前記開口の面積は、前記第2側壁の面積よりも小さい、
請求項1~
7のいずれかに記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池等の二次電池を用いたハイブリッド電気自動車や電気自動車が普及している。ハイブリッド電気自動車や電気自動車においては、複数の二次電池が、直列ないし並列に連結された組電池として使用されている。
【0003】
このような二次電池には高い信頼性が求められるため、二次電池には安全機構が設けられる。例えば、電池ケースに、電池ケース内部の圧力が所定値以上となった際に破断し、電池ケース内のガスを電池ケース外に排出するガス排出弁が設けられる。
【0004】
また、二次電池が過充電状態となった場合の信頼性を高める方法として、電池ケース内の圧力が所定値以上となった際に作動し正極と負極を電極体外部において電気的に短絡させる短絡機構を設ける技術が提案されている(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、より信頼性の高い二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の二次電池は、正極板と負極板を含む電極体と、開口を有し、電極体を収納する外装体と、開口を封口する封口板と、を備え、外装体と封口板が電池ケースを構成し、封口板には、電池ケース内の圧力が所定値以上となった時に変形する変形部と、電池ケース内の圧力が所定値以上となった時に破断し電池ケース内のガスを電池ケースの外部に排出するガス排出弁が設けられ、封口板の内面には、金属製の補強部材が接続され、補強部材は、ガス排出弁と対向する位置に配置され、補強部材は、ガス排出弁と対向するように配置される本体部と、本体部から封口板に向かって延びる複数の脚部と、脚部の封口板側に位置する接続部を有し、 接続部が封口板に接続され、本体部と電極体の間に絶縁部材が配置され、封口板の長手方向において、絶縁部材は本体部より大きい。
【0008】
二次電池の信頼性を高めるため、電池ケースを構成する封口板にガス排出弁を設け、更に電池ケース内の圧力が所定値以上となったときに作動する短絡機構等を構成する反転板等の変形部を封口板に設けることが考えられる。このような場合、ガス排出弁及び変形部は、封口板の本体部の厚みよりも厚みが薄くなるように形成される。このため、封口板にガス排出弁及び変形部を設けた場合、封口板にガス排出弁のみが設けられ、変形部が設けられていない場合と比較し、封口板の強度が低下する。そして、電池ケース内の圧力が上昇した際に、封口板が撓む等して、変形部が作動する圧力や、ガス排出弁が作動する圧力が予定の値からずれる虞がある。
【0009】
上述の構成を有する二次電池では、封口板にガス排出弁及び変形部が設けられることにより封口板の強度が低下したとしても、金属製の補強部材が封口板の内面に接続されていることにより、電池ケース内の圧力上昇等により封口板が撓む等して変形することを抑制できる。したがって、変形部やガス排出弁の作動する圧力をより安定化することが可能となる。よって、より信頼性の高い二次電池となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば信頼性の高い二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態における二次電池の構成を模式的に示した図で、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【
図2】
図1(b)に示した二次電池の正極端子近傍を拡大して示した部分拡大断面図である。
【
図3】
図1(b)に示した二次電池の負極端子近傍を拡大して示した部分拡大断面図である。
【
図4】各部品を取り付けた封口板の内面側を示す図である。
【
図5】一実施形態における補強部材の斜視図である。
【
図6】封口板と補強部材の接続部近傍の封口板の長手方向に沿った断面図である。
【
図7】変形例に係る補強部材の接続部近傍の拡大斜視図である。
【
図8】変形例に係る封口板と補強部材の接続部近傍の拡大図である。
【
図9】変形例に係る封口板と補強部材の接続部近傍の拡大図である。
【
図13】封口板と補強部材の接続部近傍の封口板の長手方向に沿った断面図である。
【
図14】変形例に係る角形二次電池の斜視図である。
【
図15】変形例に係る角形二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態における角形二次電池50では、発電要素である電極体3が電解液とともに、電池ケース40に収納されている。電極体3は、正極板及び負極板がセパレータ(何れも不図示)を介して巻回、または積層された構造を有する。
図1(b)に示す電極体3は、長尺状の正極板と長尺状の負極板を、セパレータを介して巻回した巻回型の電極体である。電極体3の一方の端部には巻回された正極芯体露出部4が形成され、他方の端部には巻回された負極芯体露出部5が形成されている。
【0014】
電池ケース40は、開口を有し電極体3を収納する外装体1と、外装体1の開口を封口する封口板2を有する。外装体1は、上方に開口を有する角形の有底筒状のものである。外装体1及び封口板2は金属製であることが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、鉄、鉄合金等からなることが好ましい。外装体1と電極体3の間には絶縁シート20が配置されている。
【0015】
正極板としては、金属製の正極芯体表面に正極活物質を含む正極活物質層が設けられたものを用いることができる。負極板としては、金属製の負極芯体表面に負極活物質を含む負極活物質層が設けられたものを用いることができる。正極板及び負極板は、それぞれ、
その端部に、活物質層が形成されていない正極芯体露出部4及び負極芯体露出部5を有している。そして、正極板及び負極板は、正極芯体露出部4及び負極芯体露出部5が、それぞれ反対方向に延出するように配置されている。正極芯体露出部4は、正極集電体6を介して、正極端子7に接続されている。負極芯体露出部5は、負極集電体9を介して、負極端子10に接続されている。正極端子7及び負極端子10は、それぞれ、封口板2に設けられた貫通孔を貫通して封口板2に固定されている。封口板2の外面側において、正極端子7が正極外部導電部材8に接続され、負極端子10が負極外部導電部材11が接続されている。
【0016】
封口板2には、電解液を注液する注液孔16が設けられ、この注液孔16は、電解液を注液した後、封止部材17で封止される。また、封口板2には、電池ケース40の内部の圧力が所定値以上となったときに破断し、電池ケース40の内部のガスを電池ケース40の外部に放出するガス排出弁18が設けられている。
【0017】
また、封口板2には、電池ケース40の内部の圧力が所定値以上となったときに変形し、負極外部導電部材11と直接、あるいは他の導電部材を介して接触する変形部19が設けられている。なお、ガス排出弁18が破断する圧力は、変形部19が変形する圧力よりも大きい値に設定することが好ましい。また、ガス排出弁18の厚み及び変形部19の厚みは、それぞれ封口板2の厚みより小さくする。ガス排出弁18は封口板2をプレス加工し薄肉部とすることにより形成されている。また、変形部19は、封口板2に設けられた貫通孔2xを塞ぐように、封口板2の外面側に溶接接続されている。なお、封口板2とは別部品からなるガス排出弁を、封口板2に設けられた貫通孔を塞ぐように、封口板2に溶接接続することも可能である。また、ガス排出弁には溝部を設けることが好ましい。
【0018】
角形二次電池50が非水電解質二次電池である場合、正極芯体、正極集電体6、正極端子7、及び正極外部導電部材8はアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなることが好ましい。また、負極芯体、負極集電体9、及び負極端子10は銅あるいは銅合金であることが好ましい。なお、負極端子10の一部が銅又は銅合金からなり、他の部分がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるようにし、銅又は銅合金からなる部分を電池ケース40の内部側に配置するようにしても良い。この場合、負極外部導電部材11をアルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。また、負極端子10を銅又は銅合金製とし、負極外部導電部材11において負極端子10と接続される部分を銅又は銅合金製とすることもできる。この場合、負極外部導電部材11においてバスバーが接続される部分はアルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。また、隣接する二次電池の端子間を接続するバスバーもアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0019】
図2に示すように、正極端子7は、封口板2に設けられた貫通孔を貫通して封口板2に固定されている。正極端子7と封口板2との間は、貫通孔の内面に配設されたガスケット21により密封されている。正極端子7は、封口板2の内面側において、正極集電体6に接続されている。正極端子7は、封口板2の外面側において、正極外部導電部材8と接続されている。封口板2と正極集電体6の間には、第1絶縁部材12が配置されている。封口板2と正極外部導電部材8との間には第2絶縁部材13が配置されている。そして、第2絶縁部材13は貫通孔13aを有しており、この貫通孔13a内に封口板2の第1突起2aが配置されている。そして、第1突起2aを介して、封口板2と正極外部導電部材8が電気的に接続されている。なお、第2絶縁部材13を用いず、封口板2上に正極外部導電部材8を直接配置することも可能である。また、第2絶縁部材13に代えて、導電性の部材を封口板2と正極外部導電部材8との間に配置することも可能である。第1絶縁部材12又は第2絶縁部材13と、ガスケット21とを一つの部品とすることができる。また、ガスケット21及び第1絶縁部材12、第2絶縁部材13はそれぞれ樹脂製であること
が好ましい。
【0020】
正極端子7は、封口板2の内面側において正極集電体6に溶接等により接続され、封口板2の外面側において正極外部導電部材8にかしめにより接続されている。ここで、正極端子7においてかしめられた部分が正極外部導電部材8と溶接接続されていることが好ましい。なお、正極端子7を、封口板2の内面側において正極集電体6にかしめにより接続してもよい。また、正極外部導電部材8を用いず、正極端子7にフランジ部を設け、当該フランジ部を封口板2の外面側に配置することもできる。
【0021】
複数の角形二次電池50を連結し組電池を作製する場合は、正極外部導電部材8において、正極端子7と接続された部分から封口板2の中央側にずれた位置に、バスバーを接続することができる。正極外部導電部材8及びバスバーはアルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。なお、正極外部導電部材8に開口や切り欠きを設け、ヒューズ部8aとすることも可能である。この場合、正極外部導電部材8において、正極端子7が接続された部分と、バスバーが接続された部分の間にヒューズ部が形成されることが好ましい。なお、正極集電体6にヒューズ部を設けることもできる。なお、ヒューズ部は必須の構成ではない。
【0022】
図3に示すように、負極端子10は、封口板2に設けられた貫通孔を貫通して封口板2に固定されている。また、負極端子10と封口板2との間は、ガスケット22により密封されている。負極端子10は、封口板2の内面側において、負極集電体9に接続されている。負極端子10は、封口板2の外面側において、負極外部導電部材11と接続されている。封口板2と負極集電体9の間には第3絶縁部材14が配置されている。封口板2と負極外部導電部材11の間には第4絶縁部材15が配置されている。
【0023】
負極端子10は、封口板2の内面側において負極集電体9に溶接等により接続され、封口板2の外面側において負極外部導電部材11にかしめにより接続されている。ここで、負極端子10においてかしめられた部分が負極外部導電部材11と溶接接続されていることが好ましい。なお、負極端子10を、封口板2の内面側において負極集電体9にかしめにより接続してもよい。また、負極外部導電部材11を用いず、負極端子10にフランジ部を設け、当該フランジ部を封口板2の外面側に配置することもできる。なお、第3絶縁部材14又は第4絶縁部材15と、ガスケット22とを一つの部品とすることができる。また、ガスケット22及び第3絶縁部材14、第4絶縁部材15はそれぞれ樹脂製であることが好ましい。
【0024】
図3に示すように、封口板2には、貫通孔2xが設けられており、この貫通孔2xを塞ぐように変形部19が配置されている。そして、変形部19の周縁は封口板2に溶接接続されている。変形部19としては、中央部が電池内部側(電極体3側)に突出したドーム部を有することが好ましい。そして電池ケース40内の圧力が所定値以上となった時に、ドーム部が電池外部側(負極外部導電部材11側)に突出するように変形することが好ましい。
【0025】
角形二次電池50が過充電状態等となり、電池ケース40内でガスが発生し、電池ケース40内の圧力が所定の値よりも大きくなった場合、変形部19が負極外部導電部材11に向かって突出するように変形する。そして、変形部19が負極外部導電部材11と接触する。ここで、上述の通り、封口板2は正極外部導電部材8と電気的に接続されているため、変形部19は正極板と電気的に接続されている。従って、変形部19が変形し、負極外部導電部材11と接触すると、正極板と負極板とを電極体3の外部で電気的に短絡させることになる。ここで、変形部19と負極外部導電部材11が短絡機構25を構成している。
【0026】
これにより、更なる充電電流が電極体3内に流れる込むことを抑制でき、また、電極体3内のエネルギーを消費することができる。正極集電体6ないし正極外部導電部材8にヒューズ部を設け、短絡電流によりヒューズ部を溶断させ、導電経路を遮断することがより好ましい。
【0027】
変形部19は、封口板2をプレス加工し形成することにより、封口板2に一体的に設けることも可能である。封口板2に、別部品からなる変形部19を取り付ける場合は、変形部19を封口板2の外面側に溶接接続することが好ましい。また、変形部19は封口板2と同種の金属からなることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることがより好ましい。なお、変形部19の形状は特定の形状に限定されず、電池ケース40の内圧が所定値以上となったとき変形し、負極外部導電部材11と電気的に接続されるような形状であればよい。
【0028】
図4は、各部品が取り付けられた後の封口板2の内面側(電池内部側)を示す図である。なお、
図4においては、破線によりガス排出弁18の位置を示している。
図4に示すように、封口板2の内面には、金属製の補強部材30が接続されている。補強部材30は、ガス排出弁18と対向する位置に配置されることが好ましい。なお、補強部材30は、板状の金属部材を曲げ加工することにより作製することができる。
【0029】
図5は、補強部材30の斜視図である。なお、角形二次電池50において、
図5の上方が電極体3側であり、下方が封口板2側である。補強部材30は、ガス排出弁18に対向するように配置される本体部30aと、本体部30aから封口板2に向かって延びる脚部30bと、脚部30bの先端側に設けられた接続部30cを有する。接続部30cは封口板2に溶接接続されている。脚部30bは本体部30aの端部の4箇所に設けられている。隣接する脚部30b同士の間には、それぞれ開口が形成されている。封口板2の長手方向において対向するように配置される一対の第1開口30dと、封口板2の短手方向において対向するように配置される一対の第2開口30eが設けられている。この第1開口30dと第2開口30eを通じてガスが排出される。
【0030】
角形二次電池50の信頼性をより向上させるために、封口板2にガス排出弁18を設け、更に短絡機構25を構成する変形部19を設けた場合、封口板2の強度が低下する虞がある。封口板2の強度が低下した場合、電池ケース40内の圧力の上昇に伴い、封口板2が撓むように変形する虞がある。あるいは、電極体3の膨張により外装体1が変形し、この変形に伴い封口板2が変形する虞がある。そして、封口板2の変形により、変形部19ないしガス排出弁18の作動圧が安定しないという課題が生じる虞がある。
【0031】
角形二次電池50のように、封口板2の内面側に金属製の補強部材30を取り付けることにより、封口板2にガス排出弁18を設け、更に変形部19を設けた場合であっても、封口板2の変形を抑制することが可能となる。したがって、ガス排出弁18及び変形部19の作動圧がより安定化し、より信頼性の高い二次電池となる。
【0032】
補強部材30と電極体3の間には第5絶縁部材35が配置されていることが好ましい。角形二次電池50においては、電極体3において補強部材30と対向する位置に第5絶縁部材35として絶縁テープを貼り付けている。なお、電極体3は、巻回型の電極体を複数個含み、この複数個の巻回型の電極体を一つに纏める絶縁テープを、第5絶縁部材35とすることが好ましい。
【0033】
封口板2において、補強部材30の接続部30cが接続される位置は、ガス排出弁18の周囲であることが好ましい。ガス排出弁18が複数の接続部30cに囲まれるように配置されることが好ましい。これにより、ガス排出弁18の作動圧をより確実に安定化できる。
【0034】
また、封口板2において、補強部材30の接続部30cが接続される位置は、封口板2の長手方向において変形部19とガス排出弁18の間、及びガス排出弁18と注液孔16の間であることが好ましい。これにより、より効果的に封口板2の変形を抑制できる。
【0035】
以下に好ましい構成について説明する。
図6は、封口板2と、補強部材30の封口板2の接続部近傍の封口板2の長手方向に沿った断面図である。
図6に示すように封口板2に第2突起2bを設け、補強部材30の接続部30cの端部が第2突起2bと接するようにし、接続部30cの端部と第2突起2bをレーザ溶接等により溶接接続することが好ましい。この場合、封口板2に複数の第2突起2bを設け、それぞれの第2突起2bが、複数設けられた接続部30cのそれぞれに溶接接続されることが好ましい。なお、第2突起2bは、接続部30cにおいて脚部30bが位置する側とは反対側の端部側に配置されるようにすることが好ましい。このような構成であると、封口板2の変形をより効果的に抑制できる。
【0036】
封口板2に凹部を設け、当該凹部に補強部材30の接続部30cを嵌合することもできる。このとき、封口板2に凹部の縁部と、補強部材30の接続部30cを溶接接続することが好ましい。このような構成であると、封口板2の強度をより効果的に向上させることができる。
【0037】
図7は、変形例に係る補強部材30の接続部30c近傍の斜視図である。
図7に示すように、接続部30cの一部に薄肉部30xを設け、この薄肉部30xを封口板2と溶接接続することができる。これにより比較的小さなエネルギーで補強部材30を封口板2に溶接接続できるため、溶接時の負荷がガス排出弁18に加わることを抑制できる。
【0038】
図8は、変形例に係る補強部材30の接続部30cと封口板2の接続部近傍の拡大平面図である。
図8に示すように、封口板2に第3突起2cを設け、接続部30cに切り欠き部30yを設ける。そして、第3突起2cと切り欠き部30yを嵌合させる。その後、第3突起2cと切り欠き部30yの縁をレーザ溶接等で溶接接続する。このような構成であると、封口板2の変形をより効果的に抑制できる。なお、第3突起2cは、円柱状の突起に限定されず、角柱状であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0039】
図9は、変形例に係る補強部材30の接続部30cと封口板2の接続部近傍の拡大平面図である。
図9に示すように、封口板2に第3突起2cを設け、接続部30cに接続用開口30zを設ける。そして、第3突起2cと接続用開口30zを嵌合させる。その後、第3突起2cと接続用開口30zの縁をレーザ溶接等で溶接接続することができる。このような構成であると、封口板2の変形をより効果的に抑制できる。
【0040】
図10は、変形例に係る補強部材30の斜視図である。
図5に示す補強部材30では、本体部30aにおいて、封口板2の長手方向における両端部にそれぞれ脚部30bが設けられていた。これに対し、変形例に係る補強部材30では、本体部30aにおいて、封口板2の短手方向における両端部にそれぞれ脚部30bを設けられている。このような構成であると、ガス排出弁18が破断した際に、外装体1内のガスをよりスムーズに電池外部に排出することができる。なお、
図10に示す補強部材30を用いた場合、封口板2の長手方向において対向するように配置される一対の第3開口30fと、封口板2の短手方向において対向するように配置される一対の第4開口30gが設けられている。
【0041】
図11及び
図12は、変形例に係る補強部材30の展開図である。破線で示す位置が、
本体部30aと脚部30bの境界部、脚部30bと接続部30cの境界部となる。上述の実施形態における補強部材30は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いた。変形例に係る補強部材30においては、それぞれ異なる種の金属からなる部分を有する構成とする。
【0042】
図11に示すように、変形例に係る補強部材30は、第1金属としてのアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第1金属部31上に、アルミニウム又はアルミニウム合金よりもヤング率の高い第2金属からなる第2金属部32が積層されたものである。これにより、より効果的に封口板2の変形を抑制できる。第2金属部32は、第1金属部31からなる本体部30a上に配置されている。第2金属は第1金属よりも高融点であることがより好ましい。これにより、角形二次電池50の温度が上昇した場合であっても、封口板2の変形をより効果的に抑制できる。
【0043】
第1金属としては、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。また、第2金属としては、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金等が好ましい。第1金属部31と第2金属部32の接続方法は特に限定されない。第1金属からなる補強部材30に、第2金属部32を溶接接続することもできる。あるいは、カシメ接続等でもよい。例えば、第1金属からなる第1金属部31に突起を設け、当該突起を、第2金属部32の開口や切り欠きに挿入し、当該突起の先端を拡径するようにして接続してもよい。あるいは、第1金属と第2金属からなるクラッド材を用い、このクラッド材を曲げ加工して補強部材30を形成してもよい。
【0044】
なお、補強部材30を銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金等から構成することもできる。また、第2金属を銅、又は銅合金とする場合は、第2金属部32が、補強部材30の外面に露出しないようにすることが好ましい。例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製の補強部材30内部に銅又は銅合金製の部材が内包されたようなものを使用することが好ましい。
【0045】
図12に示すように、第2金属部32が、本体部30aのみでなく、脚部30bにも設けられていることが好ましい。更に
図12に示すように、第2金属部32が、接続部30cにも設けられていることが好ましい。但し、
図12に示すように、接続部30cの少なくとも一部は、封口板2と同種の金属として第1金属部31が露出するようにしておくことが好ましい。
【0046】
図13は、封口板2と補強部材30の接続部近傍の封口板2の長手方向に沿った断面図である。
図13において上方が電極体3側であり、下方が封口板2側である。
図13に示すように、封口板2の内面に対して平行で、且つ封口板2の短手方向に沿って封口板2及び補強部材30を見たとき、補強部材30の脚部30bと封口板2の内面がなす角の角度をα(°)とし、補強部材30と封口板2の接続部のうち本体部30a側の端部をP1とし、補強部材30の本体部30aと脚部30bの境界のうち封口板2側の端部をP2とし、P1とP2を結ぶ直線を直線Lとし、封口板2の内面と直線Lのなす角の角度をβ(°)としたとき、α>βとなる構成とすることが好ましい。これにより、より効果的に封口板2の変形を抑制できる。
【0047】
図14は変形例に係る角形二次電池150の斜視図である。
図15は角形二次電池150の断面図である。変形例に係る角形二次電池150と上述の角形二次電池50との違いを以下に説明する。なお、説明を行わない部分は、角形二次電池50と実質的に同様の構成とすることができる。
【0048】
図14及び
図15に示すように電池ケース140は、開口を有し電極体103を収納する外装体101と、外装体101の開口を封口する封口板102を有する。外装体101は、底部101a、一対の第1側壁101b、一対の第2側壁101cを有する。第2側壁101cの面積は、第1側壁101bの面積より小さい。外装体101の開口は、底部101aと対向する位置に設けられる。封口板102により封口される外装体101の開口の面積は、第2側壁101cの面積よりも小さい。
【0049】
このような構成であると、封口板102の面積を、電池ケース140の主要な6つの外面のうち最も小さい面とすることができる。このため、電池ケース140内の圧力が上昇しても、封口板が変形し難くなるため、より好ましい。
【0050】
図15に示すように、電極体103の封口板102側の端部には、正極芯体露出部104と負極芯体露出部105がそれぞれ設けられている。正極芯体露出部104は正極集電体106を介して、正極端子7及び正極外部導電部材8と電気的に接続されている。また、負極芯体露出部105は負極集電体109を介して、負極端子10及び負極外部導電部材11と電気的に接続されている。正極芯体露出部104は複数枚積層された状態で電極体103から突出しており、負極芯体露出部105は複数枚積層された状態で電極体103から突出している。
【0051】
この場合、電極体103を巻回型の電極体とし、巻回型の電極体の巻回軸が封口板102に対して垂直な方向となるように、電極体103を外装体101に収納することが好ましい。巻回型の電極体103においては、充放電の繰り返しにより、電極体103の中央部が膨張し易い。そして、電極体103の中央部が膨張すると、外装体101が電極体103により外側に押圧され、外装体101が変形する。この外装体101の変形に伴い、封口板102も変形する虞がある。
【0052】
上述の構成によると、封口板102を、電極体103の中央部から離れた位置に配置し易くなるため、外装体101の変形に伴う封口板102の変形を効果的に抑制できる。また、電池ケース140内に配置される電極体103を、複数個の巻回型の電極体とすることがより好ましい。一つの大きな巻回型の電極体を用いるよりも、複数個の巻回型の電極体を用いる方が、より電池ケース140の変形を抑制できる。
【0053】
なお、角形二次電池150のように、封口板102の面積を、電池ケース140の主要な6つの外面のうち最も小さい面とする場合、補強部材30は、
図10に記載されたような形状とすることが好ましい。これにより、封口板102の長手方向における補強部材30の長さを小さくすることができる。これにより、補強部材30が他の部品と干渉することを防止できる。
【0054】
また、角形二次電池150のように、封口板102の面積を、電池ケース140の主要な6つの外面のうち最も小さい面とする場合、補強部材30を
図5に記載されたような形状とするとき、二つの接続部30cの間に注液孔16が位置するようにすることが好ましい。これにより封口板102の変形をより効果的に抑制できる。
<その他>
上記実施形態では、短絡機構として、変形部19が正極板に電気的に接続されている構成を示したが、これに限定されない。封口板2に変形部19が形成されていればよい。例えば、二次電池の通常使用時、封口板2や変形部19は正極板及び負極板のいずれにも電気的に接続されておらず、変形部19の作動時に、いずれかの電極板に電気的に接続される構成であってもよい。例えば、封口板2に二つの変形部を設け、一方の変形部の上方に正極外部導電部材を配置し、他方の変形部の上方に負極外部導電部材を配置するようにしてもよい。この場合、一方の変形部が変形し正極外部導電部材に電気的に接続され、他方の変形部が変形し負極外部導電部材に電気的に接続されることにより、正極板と負極板が電気的に短絡する。
【0055】
また、本発明における角形二次電池50の種類は特に限定されない。また、電極体3も、その構造は特に限定されない。長尺状の正極板と長尺状の負極板とをセパレータを介して巻回した巻回型の電極体であっても良い。また、複数枚の正極板と複数枚の負極板とをセパレータを介して積層した積層型電極体であってもよい。
【0056】
なお、本発明は、非水電解質二次電池に用いた場合、特に有効である。正極、負極、セパレータ、電解液等については公知の材料を使用できる。正極板ないし電解液に、角形二次電池50が過充電状態となった際にガスを発生される材料が添加されていることが特に好ましい。例えば、正極活物質層に炭酸リチウムを添加することができる。また、電解液にシクロヘキシルベンゼン等を添加することもできる。
【0057】
上述の実施形態においては、ガス排出弁18が封口板2に一体的に設けられている例をしました。しかしながら、封口板2とは別体からなるガス排出弁18を、封口板2に設けられた貫通孔を塞ぐようにして封口板2に溶接接続することもできる。変形部19及びガス排出弁18の両方が封口板2に溶接接続される場合、変形部19を封口板2の外面側に溶接し、ガス排出弁18を封口板2の内面側に溶接することが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
50・・・角形二次電池
40・・・電池ケース
1・・・外装体
2・・・封口板
2a・・・第1突起
2b・・・第2突起
2c・・・第3突起
2x・・・貫通孔
3・・・電極体
4・・・正極芯体露出部
5・・・負極芯体露出部
6・・・正極集電体
7・・・正極端子
8・・・正極外部導電部材
8a・・・ヒューズ部
9・・・負極集電体
10・・・負極端子
11・・・負極外部導電部材
12・・・第1絶縁部材
13・・・第2絶縁部材
14・・・第3絶縁部材
15・・・第4絶縁部材
16・・・注液孔
17・・・封止部材
18・・・ガス排出弁
19・・・変形部
20・・・絶縁シート
21・・・ガスケット
22・・・ガスケット
25・・・短絡機構
30・・・補強部材
30a・・・本体部
30b・・・脚部
30c・・・接続部
30d・・・第1開口
30e・・・第2開口
30x・・・薄肉部
30y・・・切り欠き部
30z・・・接続用開口
30f・・・第3開口
30g・・・第4開口
31・・・第1金属部
32・・・第2金属部
35・・・第5絶縁部材
101・・・外装体
101a・・・底部
101b・・・第1側壁
101c・・・第2側壁
102・・・封口板
103・・・電極体
104・・・正極芯体露出部
105・・・負極芯体露出部
106・・・正極集電体
109・・・負極集電体
140・・・電池ケース
150・・・角形二次電池