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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】入力装置、電子機器、及び入力設定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20230306BHJP
   G06F 3/038 20130101ALI20230306BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230306BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20230306BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230306BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20230306BHJP
【FI】
G06F3/0354 453
G06F3/038 310Y
G06F3/038 350Z
G06F3/041 480
G06F3/041 600
G06F3/02 E
G06F3/01 560
G06F3/0488
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021214894
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】工藤 奈々
(72)【発明者】
【氏名】森 英俊
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-181591(JP,A)
【文献】特表2019-515370(JP,A)
【文献】特表2017-535002(JP,A)
【文献】特開2016-167240(JP,A)
【文献】特開2010-211393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0212421(US,A1)
【文献】特開2014-112449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/033
G06F 3/041
G06F 3/02
G06F 3/01
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面に加えられる荷重と前記操作面において前記荷重が加えられた位置とを検出する荷重センサを有するタッチパッドと、
前記操作面において第1エリアが設定され第2エリアが設定されない第1タッチパッド機能モードと、前記操作面において前記第1エリアと前記第2エリアとが設定される第2タッチパッド機能モードとで切り替えが可能なモード切替部と、
前記第1エリアにおいて所定の指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として第1閾値を設定し、前記第2エリアにおいて前記所定の指示と同じ指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として前記第1閾値と異なる第2閾値を設定する閾値設定部と
を備える入力装置。
【請求項2】
前記閾値設定部は、前記第1閾値よりも小さい前記第2閾値を設定する
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
カーソルを移動させる操作が行われるカーソル移動デバイスが前記タッチパッドに対して所定の位置関係を有して配置され、
前記モード切替部は、前記第1タッチパッド機能モードが設定されていたときに前記カーソル移動デバイスが操作されたことに応じて前記第2タッチパッド機能モードに切り替え、前記第2タッチパッド機能モードが設定されていたときに前記カーソル移動デバイスが操作されない状態が所定時間以上継続したことに応じて、前記第1タッチパッド機能モードに切り替える
請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記タッチパッドは、触覚フィードバックとしての振動が付与されるように構成され、
前記第1エリアにおいて所定のボタン押下操作が行われたと判定されたことに応じて前記タッチパッドに付与する触覚フィードバックの強度として、所定の第1強度を設定し、前記第2エリアにおいて所定のボタン押下操作が行われたと判定されたことに応じて前記タッチパッドに付与する触覚フィードバックの強度として、前記第1強度と異なる第2強度を設定する振動強度設定部を備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記振動強度設定部は、前記第1強度よりも小さい前記第2強度を設定する
請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
入力装置を備える電子機器であって、
前記入力装置は、
操作面に加えられる荷重と前記操作面において前記荷重が加えられた位置とを検出する荷重センサを有するタッチパッドと、
前記操作面において第1エリアが設定され第2エリアが設定されない第1タッチパッド機能モードと、前記操作面において前記第1エリアと前記第2エリアとが設定される第2タッチパッド機能モードとで切り替えが可能なモード切替部と、
前記第1エリアにおいて所定の指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として第1閾値を設定し、前記第2エリアにおいて前記所定の指示と同じ指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として前記第1閾値と異なる第2閾値を設定する閾値設定部とを備える
電子機器。
【請求項7】
操作面に加えられる荷重と前記操作面において前記荷重が加えられた位置とを検出する荷重センサを有するタッチパッドを備える入力装置における入力設定方法であって、
前記操作面において第1エリアが設定され第2エリアが設定されない第1タッチパッド機能モードと、前記操作面において前記第1エリアと前記第2エリアとが設定される第2タッチパッド機能モードとで切り替えが可能なステップと、
前記第1エリアにおいて所定の指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として第1閾値を設定し、前記第2エリアにおいて前記所定の指示と同じ指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として前記第1閾値と異なる第2閾値を設定するステップと
を含む入力設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、電子機器、及び入力設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパッドにおいて所定数のボタン領域を設定し、ボタン領域に対応して、荷重センサにより検出された荷重が所定の閾値以上である場合にボタンが押下されたと判定するようにされたタッチパッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-119099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように荷重センサにより荷重を検出することにより操作の判定が行われるようにされたタッチパッドについて、操作性の向上が図られることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、タッチパッドについての操作性の向上が図られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、操作面に加えられる荷重と前記操作面において前記荷重が加えられた位置とを検出する荷重センサを有するタッチパッドと、前記操作面において第1エリアが設定され第2エリアが設定されない第1タッチパッド機能モードと、前記操作面において前記第1エリアと前記第2エリアとが設定される第2タッチパッド機能モードとで切り替えが可能なモード切替部と、前記第1エリアにおいて所定の指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として第1閾値を設定し、前記第2エリアにおいて前記所定の指示と同じ指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として前記第1閾値と異なる第2閾値を設定する閾値設定部とを備える入力装置である。
【0007】
また、発明の一態様は、入力装置を備える電子機器であって、前記入力装置は、操作面に加えられる荷重と前記操作面において前記荷重が加えられた位置とを検出する荷重センサを有するタッチパッドと、前記操作面において第1エリアが設定され第2エリアが設定されない第1タッチパッド機能モードと、前記操作面において前記第1エリアと前記第2エリアとが設定される第2タッチパッド機能モードとで切り替えが可能なモード切替部と、前記第1エリアにおいて所定の指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として第1閾値を設定し、前記第2エリアにおいて前記所定の指示と同じ指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として前記第1閾値と異なる第2閾値を設定する閾値設定部とを備える電子機器である。
【0008】
また、本発明の一態様は、操作面に加えられる荷重と前記操作面において前記荷重が加えられた位置とを検出する荷重センサを有するタッチパッドを備える入力装置における入力設定方法であって、前記操作面において第1エリアが設定され第2エリアが設定されない第1タッチパッド機能モードと、前記操作面において前記第1エリアと前記第2エリアとが設定される第2タッチパッド機能モードとで切り替えが可能なステップと、前記第1エリアにおいて所定の指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として第1閾値を設定し、前記第2エリアにおいて前記所定の指示と同じ指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として前記第1閾値と異なる第2閾値を設定するステップとを含む入力設定方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチパッドについての操作性の向上が図られるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る電子機器の外観例を示す図である。
図2】本実施形態に係る電子機器のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る電子機器の機能構成例を示す図である。
図4】本実施形態に係るタッチパッドにおけるノーマルモードでの操作エリア設定例を示す図である。
図5】本実施形態に係るタッチパッドにおけるボタン配置モードでの操作エリア設定例を示す図である。
図6】本実施形態に係る操作エリアごとのボタン押下判定閾値と振動強度の設定例を示す図である。
図7】本実施形態に係る電子機器が、タッチパッドにおけるノーマルモードとボタン配置モードとでのタッチパッド機能モードの切り替えに対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る電子機器が、ボタン配置モードのもとでボタン押下に対応の操作が行われることに応じて実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る電子機器の外観例を示す斜視図である。図示する電子機器10は、クラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。電子機器10は、第1筐体101、第2筐体102、及びヒンジ機構103を備えている。第1筐体101及び第2筐体102は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。第1筐体101の側面の一つと第2筐体102の側面の一つとがヒンジ機構103を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構103がなす回転軸の周りに第1筐体101と第2筐体102とが相対的に回動可能である。第1筐体101と第2筐体102との回転軸の周りの開き角が略0°の状態が、第1筐体101と第2筐体102とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。
閉状態において第1筐体101と第2筐体102との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と称する。
【0012】
第1筐体101の内面には、表示部14が設けられている。また、第2筐体102の内面にはキーボード321、カーソル移動ポインタ322及びタッチパッド323が設けられている。
キーボード321は所定のキーが配列されてユーザによりキーを押下する操作が行われる。
【0013】
カーソル移動ポインタ322は、例えばユーザの指先によりカーソルを移動させるポインティング操作が行われる。カーソル移動ポインタ322は、タッチパッド323のパッドパネル323aの左右方向における中央に対応し、パッドパネル323aの後側の端部から所定の距離を隔てた位置に配置されている。
【0014】
タッチパッド323は、操作面であるパッドパネル323aを指先でなぞったり押下したりするなどの操作が行われる。本実施形態のタッチパッド323は、後述のようにタッチパッド機能モードの設定の切り替えが可能とされる。また、タッチパッド323にはインジケータ323dが設けられる。インジケータ323dは、タッチパッド323に設定されたタッチパッド機能モードに応じて所定の態様で点灯する。
【0015】
また、電子機器10については、同図の状態のもとで、第2筐体102のヒンジ機構103が設けられる奧側が「後」であり、第2筐体102のヒンジ機構103が設けられているのとは反対の手前側が「前」であるものとして説明する。また、電子機器10の表示部14と対向するようにユーザが位置している状態において、ユーザの左手が対応する側が電子機器10の「左」であり、右手が対応する側が電子機器10の「右」であるものとして説明する。
【0016】
図2を参照して、電子機器10のハードウェア構成例について説明する。同図は、電子機器10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
電子機器10は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31と、入力部32と、電源回路33と、バッテリ34とを備える。
【0018】
CPU11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、電子機器10全体を制御している。例えば、CPU11は、OS(Operating System)やBIOSのプログラムに基づく処理を実行する。
【0019】
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0020】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含む。ビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0021】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0022】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、後述するBIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31とが含まれる。
【0023】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0024】
記憶媒体23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶媒体23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
【0025】
オーディオシステム24は、不図示のマイク及びスピーカが接続され、音データの記録、再生、出力を行う。なお、マイク及びスピーカは、一例として、電子機器10に内蔵されている。
【0026】
WLAN(Wireless Local Area Network)カード25は、ワイヤレス(無線)LANにより、ネットワークに接続して、データ通信を行う。WLANカード25は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。
USBコネクタ26は、USBを利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。
【0027】
入力部32は、電子機器10に備えられる入力デバイスを一括して示す。入力部32は、図1に示したキーボード321、カーソル移動ポインタ322、タッチパッド323を含む。入力部32に含まれる入力デバイスは、ユーザの操作により入力された入力情報をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
なお、図1のインジケータ323dは、操作による入力が可能なものではないが、タッチパッド323に付随するものであることから、入力部32に含まれるものとして扱う。
【0028】
電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを含んで構成されている。例えば、電源回路33は、ACアダプタ(不図示)などの外部電源又はバッテリ34から供給される直流電圧を、電子機器10を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路33は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、電子機器10の各部に電力を供給する。
【0029】
バッテリ34は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。バッテリ34は、電子機器10に外部電源から電力供給されている場合に、電源回路33を介して充電され、電子機器10に外部電源から電力供給されていない場合に、電源回路33を介して、蓄積した電力を電子機器10の動作電力として出力する。
【0030】
エンベデッドコントローラ31は、電子機器10のシステムの状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視して制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ31のデジタル入出力端子には、例えば、入力部32、電源回路33などが接続されており、エンベデッドコントローラ31は、これらの動作を制御可能とされている。
また、同図のエンベデッドコントローラ31は、チップセット21経由でCPU11のクロック周波数の変更等の制御を行うことが可能とされている。
【0031】
図3は、カーソル移動ポインタ322とタッチパッド323とに対応する入力部32の構成例を示している。
同図の入力部32は、カーソル移動ポインタ322、タッチパッド323、ポインタ・ボタンコントローラ324、及びタッチパッドコントローラ325を備える。
【0032】
カーソル移動ポインタ322は、例えばひずみセンサを備え、ユーザの操作に応じて得られるX軸方向及びY軸方向の2軸によるひずみ量を検出して得られる操作検出信号S1をポインタ・ボタンコントローラ324に出力する。
【0033】
ポインタ・ボタンコントローラ324は、カーソル移動ポインタ322から入力された操作検出信号S1をカーソルの移動方向、移動量、移動速度等を指示する操作データに変換し、エンベデッドコントローラ31に出力する。
また、ポインタ・ボタンコントローラ324には、タッチパッドコントローラ325からの操作検出信号S2が入力される。操作検出信号S2は、後述のようにしてボタン配置モードのタッチパッド323にて配置されたボタンエリアに対して所定のボタン押下判定閾値以上の荷重を加える操作が行われたことに応じて、所定のボタンが押下状態にあることを示す信号である。ポインタ・ボタンコントローラ324は、入力された操作検出信号S2を、ボタンエリアに対応付けられた所定のマウスのボタンの押下等の操作を示す操作データに変換し、エンベデッドコントローラ31に出力する。
ポインタ・ボタンコントローラ324とエンベデッドコントローラ31との間でデータを授受するインターフェース規格は特に限定されないが、例えばPS/2であってよい。
【0034】
また、ポインタ・ボタンコントローラ324は、入力される操作検出信号S1に基づいて、カーソル移動ポインタ322が操作されていない状態か否かを示すポインタ操作状態信号S3をタッチパッドコントローラ325に出力する。
【0035】
タッチパッド323は、パッドパネル323a、荷重センサ323b、アクチュエータ323c、及びインジケータ323dを備える。
パッドパネル323aは、図1に示したように第2筐体102の内面にて表出して設けられ、ユーザが指先を接触させるようにして操作を行う操作面となる部位である。
荷重センサ323bは、操作面であるパッドパネル323aに加わる荷重の値(荷重値)と当該荷重が加えられた座標(位置)を検出するセンサである。荷重センサ323bは、検出した荷重と荷重が加えられた位置とを示す荷重検出信号をタッチパッドコントローラ325に出力する。
アクチュエータ323cは、パッドパネル323aに対してユーザが行った操作に応じた触覚フィードバックを付与するための振動を発生させる。アクチュエータ323cは、タッチパッドコントローラ325の制御により振動を発生するように駆動される。
【0036】
タッチパッド323は、後述のようにタッチパッド機能モードとしてノーマルモード(第1タッチパッド機能モードの一例)とボタン配置モード(第2タッチパッド機能モードの一例)とで切り替えが可能とされている。インジケータ323dは、タッチパッド機能モードごとに対応して異なる態様で点灯する。このようにインジケータ323dが点灯することにより、ユーザは、現在においてタッチパッド323にタッチパッド機能モードとしてノーマルモードとボタン配置モードとのいずれが設定されている状態にあるのかを把握できる。インジケータ323dは、タッチパッドコントローラ325により所定の態様で点灯するように制御される。
【0037】
タッチパッドコントローラ325は、タッチパッド323に対応するコントローラである。タッチパッドコントローラ325は、パッドパネル323aに対してユーザが行う操作に応じて荷重センサ323bが出力する荷重検出信号に対応する操作データをエンベデッドコントローラ31に出力する。タッチパッドコントローラ325とエンベデッドコントローラ31との間でデータを授受するインターフェース規格は特に限定されないが、例えばI2Cであってよい。
また、タッチパッドコントローラ325は、前述のようにタッチパッド323におけるアクチュエータ323cの駆動制御と、インジケータ323dの点灯の制御とを実行する。
【0038】
タッチパッドコントローラ325は、モード切替部3251、閾値設定部3252、振動強度設定部3253、及び操作対応処理部3254を備える。
モード切替部3251は、タッチパッドのタッチパッド機能モードについてノーマルモードとボタン配置モードとで切り替えを行う。ノーマルモードとボタン配置モードとについては後述する。
閾値設定部3252は、タッチパッド323にて設定される操作エリアごとに、ボタン押下に相当する操作が行われたか否かの判定に用いる荷重に対する閾値(ボタン押下判定閾値)を設定する。
振動強度設定部3253は、タッチパッド323に対して行われる操作に応じてアクチュエータ323cに発生させる振動強度(触覚フィードバック強度)を設定する。振動強度設定部3253は、タッチパッド323にて設定される操作エリアごとに個別に振動強度を設定する。
操作対応処理部3254は、タッチパッド323に対して行われる操作に対応する処理を実行する。操作対応処理部3254は、例えば、タッチパッド323に対して行われた操作に応じて荷重センサ323bから出力される荷重検出信号に基づいて判定した操作内容を示す操作データをエンベデッドコントローラ31に出力してよい。また、操作対応処理部3254は、タッチパッド323に対して行われた操作がボタン押下操作に対応するものである場合に、ボタン押下に対する触覚フィードバックがタッチパッド323にて付与されるようにアクチュエータ323cの制御を実行してよい。
【0039】
図4及び図5を参照して、本実施形態のタッチパッド323に設定されるタッチパッド機能モード(ノーマルモード、ボタン配置モード)について説明する。タッチパッド機能モードにおけるノーマルモードとボタン配置モードとでは、以下に説明するようにパッドパネル323aとしての操作面における操作エリアの配置が異なる。これによりノーマルモードとボタン配置モードとで、それぞれが異なる操作に関する機能を有する。
【0040】
ノーマルモードは、カーソル移動ポインタ322を併用せずにタッチパッド323に対する操作によってカーソル移動の操作、マウスボタンの押下等に相当するポインティング操作を行うような場合に使用されるタッチパッド機能モードである。
図4は、ノーマルモードに対応してタッチパッド323のパッドパネル323aに設定される操作エリアの設定例を示している。同図に示されるように、ノーマルモードでは、パッドパネル323aにおける操作面の全体がクリックエリアAR1(第1エリアの一例)として設定される。そのうえで、クリックエリアAR1としての操作エリアは、左クリックエリアAR11と右クリックエリアAR12との2つの操作エリアに分割される。
【0041】
ノーマルモードにおいて、例えばパッドパネル323aに対して1または複数の指先を所定未満の閾値による荷重を加えた状態で押し当てながら移動させるスライド操作については、特に左クリックエリアAR11と右クリックエリアAR12との区別なく、クリックエリアAR1の全体で有効となるようにされてよい。
【0042】
左クリックエリアAR11は、例えば所定の閾値以上の荷重が加えられたことに応じてマウスの左ボタンを押下する操作が行われたとして判定されるエリアである。
例えば、ユーザが、例えば1本の指を用いて、左クリックエリアAR11に対して所定の閾値以上の荷重を加えるようにしっかり押し込む操作(プレス操作)を行った場合には、マウスの左ボタンをクリック(押下)したのと同じ操作結果が生じる。
【0043】
右クリックエリアAR12は、同図に示されるように、パッドパネル323aの右下の位置に配置された例を示している。右クリックエリアAR12に対してプレス操作が行われた場合には、マウスの右ボタンをクリックしたのと同じ操作結果が生じる。
【0044】
また、ノーマルモードにおいて、左クリックエリアAR11と右クリックエリアAR12のいずれであるのかに関わらず、パッドパネル323aにおける任意の位置を1本の指で軽く叩くタッピング操作が行われた場合には、マウスの左ボタンをクリックしたのと同じ操作結果が生じる。
また、ノーマルモードにおいて、左クリックエリアAR11と右クリックエリアAR12のいずれであるのかに関わらず、パッドパネル323aにおける任意の位置を2本の指を用いてタッピング操作を行った場合には、マウスの右ボタンをクリックしたのと同じ操作結果が生じる。
【0045】
ボタン配置モードは、ユーザがポインティング操作を行うにあたり、カーソル移動ポインタ322を併用しながらタッチパッド323を操作する場合に適した動作モードである。
図5は、ボタン配置モードに対応してタッチパッド323のパッドパネル323aに設定される操作エリアの設定例を示している。同図に示されるように、ボタン配置モードでは、パッドパネル323aにおいて、クリックエリアAR1に加えて、ボタンエリアAR2が配置される。この場合、ボタンエリアAR2は、パッドパネル323aの後ろ側の縁に沿って一定の前後方向の幅を有するようにして配置されている。この場合には、パッドパネル323aにおいて、上記のように配置されるボタンエリアAR2以外のエリアがクリックエリアAR1となる。
【0046】
ボタン配置モードにおいて、パッドパネル323aに対して行われるスライド操作については、パッドパネル323aの全体で有効となるようにされてよい。あるいは、ボタン配置モードにおけるスライド操作は、例えばパッドパネル323aにおいてボタンエリアAR2を除くクリックエリアAR1において限定的に有効となるようにされてもよい。
【0047】
ボタンエリアAR2において、左ボタンエリアAR20-1は、所定以上の閾値による荷重が加えられるプレス操作が行われることに応じて、当該左ボタンエリアAR20-1が対応する左ボタンを押下する操作が行われたと判定されるエリアである。具体的に、左ボタンエリアAR20-1は、所定以上の閾値による荷重が加えられることに応じて、マウスの左ボタンをクリックするのと同じ操作が行われたと判定され、電子機器10はマウスの左ボタンのクリックに応じた所定の指示を受け付けたことになる。
右ボタンエリアAR20-2は、所定以上の閾値による荷重が加えられるプレス操作が行われることに応じて、当該右ボタンエリアAR20-2が対応する右ボタンを押下する操作が行われたと判定されるエリアである。具体的に、右ボタンエリアAR20-2は、所定以上の閾値による荷重が加えられることに応じて、マウスの右ボタンをクリックするのと同じ操作が行われたと判定され、電子機器10はマウスの右ボタンのクリックに応じた所定の指示を受け付けたことになる。
中央ボタンエリアAR20-3は、所定以上の荷重が加えられるプレス操作が行われることに応じて、当該中央ボタンエリアAR20-3が対応する中央ボタンを押下するのと同じ操作が行われたと判定されるエリアである。具体的に、例えば中央ボタンを押下しながらカーソル移動ポインタ322を操作した場合には、カーソル移動ポインタ322により指示する上下左右のいずれかの方向に沿ってスクロールが行われる。
【0048】
ボタン配置モードにおいて、左クリックエリアAR11と右クリックエリアAR12の機能は、ノーマルモードと同じであってよい。
【0049】
例えば、電子機器10について、上記のボタン配置モードにおいて設けられるボタンエリアAR2と同様の機能を有する物理的なボタンを配置して構成してもよい。具体的には、電子機器10の第2筐体102の内面において、図5のボタンエリアAR2に相当する箇所に、左ボタンエリアAR20-1、右ボタンエリアAR20-2、中央ボタンエリアAR20-3のそれぞれに相当する3つの物理的なボタンを配置し、これらの物理的なボタンが配置された箇所よりも前側に、パッドパネル323aを配置するようにされる。このような電子機器10の構成の場合、タッチパッド323は、ノーマルモードが固定的に設定されるようにしてよい。
しかしながら、電子機器10に上記のような物理的なボタンを設けた場合には、電子機器10の筐体の薄型化が困難になるといった問題がある。
これに対して、本実施形態のように物理的なボタンと同様の機能を有するエリアをタッチパッド323に設定するようにすれば、例えば第2筐体102の薄型化も容易となる。
【0050】
本実施形態の電子機器10において、ノーマルモードとボタン配置モードとの切り替えは、例えばユーザが設定画面上でノーマルモードとボタン配置モードとのいずれかを選択して設定する操作を行うことに応じて行われてよい。この場合には、ユーザがノーマルモードを設定する操作を行った場合には、以降においてノーマルモードが固定的に設定され、ユーザがボタン配置モードを設定する操作を行った場合には、以降においてボタン配置モードが固定的に設定されてよい。
【0051】
ノーマルモードは、ユーザがカーソル移動ポインタ322を併用せずに、クリックエリアAR1に対するスライド操作や左クリックエリアAR11、右クリックエリアAR12を押下する操作を行ってポインティング操作を行う場合に適している。
一方、ボタン配置モードは、前述のようにユーザがポインティング操作を行うにあたり、カーソル移動ポインタ322とタッチパッド323とを併用する場合に好適とされている。つまり、ユーザは、ボタン配置モードでは、カーソル移動ポインタ322を操作することによりカーソルを移動させる操作を行いつつ、パッドパネル323aの後方の縁側に配置されたボタンエリアAR2における左ボタンエリアAR20-1、右ボタンエリアAR20-2、中央ボタンエリアAR20-3のいずれかに対して、適宜、プレス操作を行うようにされる。
このような観点からすると、ノーマルモードとボタン配置モードとでは、ポインティング操作を行うにあたり、ユーザがカーソル移動ポインタ322を併用するか否かに応じて適宜切り替えられるようにすることが好ましいということがいえる。
そこで、本実施形態の電子機器10は、カーソル移動ポインタ322が操作されていない状態のときにはノーマルモードを設定し、カーソル移動ポインタ322が操作されている状態のときにはボタン配置モードを設定するようにして、ノーマルモードとボタン配置モードとの切り替えを行うことが可能なように構成される。
このようにタッチパッド323のタッチパッド機能モードとしてノーマルモードとボタン配置モードとで切り替えが行われることで、ユーザがポインティング操作を行うにあたり、カーソル移動ポインタ322を併用するか否かに応じて適切なタッチパッド機能モードが設定され、操作性が向上する。
【0052】
ユーザがクリックエリアAR1(左クリックエリアAR11、右クリックエリアAR12)に対してマウスボタンの押下に対応する操作を行う場合には、人差し指を使用する。人差し指を用いた場合の押下ではユーザが力を入れやすい。つまり、この場合のユーザは、比較的大きめの荷重を加えるようにしてパッドパネル323aを押下するようにされる。
これに対して、ボタン配置モードにおいてパッドパネル323aにて設定されるボタンエリアAR2は、物理的なボタンの機能をパッドパネル323a上で再現したものとして捉えることができる。また、ユーザがこのような物理的なボタンをカーソル移動ポインタ322と併用して使用する場合、物理的なボタンに対しては親指を使用して押下する。つまり、親指を用いた押下は、人差し指を用いた押下と比較するとユーザが力を入れにくい。従って、この場合のユーザは、比較的小さな荷重を加えるようにして物理的なボタンを押下することになる。
このようなことを考慮すると、ボタン配置モードでのボタンエリアAR2に対する操作感覚については、物理的なボタンに近づけることが好ましいといえる。そこで、本実施形態の電子機器10は、ボタンエリアAR2においてボタンが押下されたか否かの判定に用いる荷重に対する閾値(ボタン押下判定閾値)について、クリックエリアAR1において用いるボタン押下判定閾値よりも小さな所定値を設定するようにされる。
また、物理ボタンは比較的小さな荷重を加えるようにして操作されることを考慮し、押下の際の抵抗感も小さめに作られている。このような物理ボタンの操作感が損なわれないよう、本実施形態の電子機器10は、ボタンエリアAR2に対するボタン押下としての操作に応じた触覚フィードバックのためにアクチュエータ323cに発生させる振動強度について、クリックエリアAR1におけるボタン押下としての操作に応じた振動強度よりも小さい所定値を設定するようにされる。
このように、ボタンエリアAR2に対応してボタン押下判定閾値と振動強度とを設定することにより、ボタンエリアAR2を押下する操作について、物理的ボタンに近い操作感覚を得ることが可能となり、操作性が向上する。
【0053】
特に、本実施形態のボタン配置モードでは、パッドパネル323aにおいてクリックエリアAR1とボタンエリアAR2とが配置される。そのうえで、クリックエリアAR1における左クリックエリアAR11と、ボタンエリアAR2における左ボタンエリアAR20-1とは、いずれもボタン押下判定閾値以上の荷重が加えられた状態がマウスの左ボタンの押下に相当する操作であると判定される。つまり、左クリックエリアAR11と左ボタンエリアAR20-1は、ボタン押下判定閾値以上の荷重で指が押し当てられる操作がマウスの左ボタンが押下された操作として判定される点で同じ機能を有する。同様に、右クリックエリアAR12と右ボタンエリアAR20-2は、ボタン押下判定閾値以上の荷重で指が押し当てられる操作がマウスの右ボタンが押下された操作として判定される点で同じ機能を有する。
そのうえで、ボタン配置モードにおいては、左クリックエリアAR11と左ボタンエリアAR20-1とは、同じパッドパネル323aに配置されていながら、それぞれ異なるボタン押下判定閾値と振動強度とが設定される。同様に、右クリックエリアAR12と右ボタンエリアAR20-2とについても、同じパッドパネル323aに配置されていながら、それぞれ異なるボタン押下判定閾値と振動強度とが設定されることとなる。
【0054】
図6は、タッチパッド323におけるクリックエリアAR1とボタンエリアAR2のそれぞれの操作エリアに対応するボタン押下判定閾値と振動強度との設定例を示している。
同図に示されるように、クリックエリアAR1(左クリックエリアAR11、右クリックエリアAR12)には、ボタン押下判定閾値として「th1」(第1閾値の一例)が設定され、振動強度として「st1」が設定される。
また、ボタンエリアAR2(左ボタンエリアAR20-1、右ボタンエリアAR20-2、中央ボタンエリアAR20-3)には、ボタン押下判定閾値として「th2」(第2閾値の一例)が設定され、振動強度として「st2」が設定される。
ボタン押下判定閾値th1、th2は、th1>th2の関係を有する。振動強度st1、st2は、st1>st2の関係を有する。
【0055】
なお、例えばボタン押下判定閾値th1として、ボタンが押下されていない状態からボタンが押下されたと判定する際に用いられるボタン押下判定閾値th1_1と、ボタンが押下されていた状態からボタンの押下が解除されたと判定する際に用いられるボタン押下判定閾値th1_2との2つが設けられてよい。ボタン押下判定閾値th2についても同様に、ボタン押下判定閾値th2_1、ボタン押下判定閾値th2_2が設けられてよい。
【0056】
図7のフローチャートを参照して、本実施形態の電子機器10がタッチパッド323のタッチパッド機能モードの切り替えに応じて実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:電子機器10のタッチパッドコントローラ325において、モード切替部3251は、タッチパッド323に設定するタッチパッド機能モードについて、初期設定としてノーマルモードを設定する。
具体的に、当該ステップS100において、モード切替部3251は、図4に例示したようにパッドパネル323aが対応する操作面の全体にてクリックエリアAR1(左クリックエリアAR11、右クリックエリアAR12)を配置しボタンエリアAR2を配置しないように操作エリアの設定を行う。また、モード切替部3251は、ノーマルモードに対応する態様で点灯が行われるようにインジケータ323dを制御してよい。
【0057】
ステップS102:閾値設定部3252は、ステップS100にて設定されたノーマルモードのもとでパッドパネル323aの操作面の全体に設定されたクリックエリアAR1(左クリックエリアAR11、右クリックエリアAR12)に対応させてボタン押下判定閾値として「th1」を設定する。
ステップS104:また、振動強度設定部3253は、ステップS100にて設定されたノーマルモードのもとでパッドパネル323aの操作面の全体に設定されたクリックエリアAR1に対応させて振動強度として「st1」を設定する。
ステップS100~S104の処理により、ノーマルモードに対応するパッドパネル323aにおける操作エリアの設定と、ボタン押下判定閾値及び振動強度についてのパラメータ設定が行われる。
【0058】
ステップS106:ノーマルモードが設定されている状態のもとで、モード切替部3251は、カーソル移動ポインタ322が操作される状態となるのを待機する。モード切替部3251は、当該ステップS106にて、ポインタ・ボタンコントローラ324から入力されるポインタ操作状態信号S3に基づいて、カーソル移動ポインタ322が操作されている状態にあるか否かを判定してよい。
【0059】
ステップS108:ステップS106にてカーソル移動ポインタ322が操作される状態となったことが判定されると、モード切替部3251は、タッチパッド323に設定するタッチパッド機能モードについてボタン配置モードを設定する。
具体的に、当該ステップS108において、モード切替部3251は、図5に例示したようにパッドパネル323aにて、クリックエリアAR1(左クリックエリアAR11、右クリックエリアAR12)とボタンエリアAR2(左ボタンエリアAR20-1、右ボタンエリアAR20-2、中央ボタンエリアAR20-3)とが配置されるように操作エリアの設定を行う。また、モード切替部3251は、ボタン配置モードに対応する態様で点灯が行われるようにインジケータ323dを制御してよい。
【0060】
ステップS110:閾値設定部3252は、ステップS108にて設定されたボタン配置モードのもとでパッドパネル323aにて設定されたクリックエリアAR1に対応させてボタン押下判定閾値として「th1」を設定する。
ステップS112:また、振動強度設定部3253は、ステップS108にて設定されたボタン配置モードのもとでパッドパネル323aにて設定されたクリックエリアAR1に対応させて振動強度として「st1」を設定する。
【0061】
ステップS114:また、閾値設定部3252は、ステップS108にて設定されたボタン配置モードのもとでパッドパネル323aにて設定されたボタンエリアAR2(左ボタンエリアAR20-1、右ボタンエリアAR20-2、中央ボタンエリアAR20-3)に対応させてボタン押下判定閾値として「th2」を設定する。
ステップS116:また、振動強度設定部3253は、ステップS108にて設定されたボタン配置モードのもとでパッドパネル323aにて設定されたボタンエリアAR2に対応させて振動強度として「st2」を設定する。
【0062】
ステップS108~S116の処理により、ボタン配置モードに対応するパッドパネル323aにおける操作エリアの設定と、ボタン押下判定閾値及び振動強度についてのパラメータ設定が行われる。
【0063】
ステップS118:ボタン配置モードが設定されている状態のもとで、モード切替部3251は、カーソル移動ポインタ322が操作されない状態であるか否かを判定する。カーソル移動ポインタ322が操作されている状態であると判定された場合には、当該ステップS106の処理が繰り返される。
そして、例えばこれまでカーソル移動ポインタ322が操作されていた状態から操作されない状態に変化すると、ポインタ操作状態信号S3も変化し、モード切替部3251は、カーソル移動ポインタ322が操作されない状態であると判定する。
【0064】
ステップS120:モード切替部3251は、ステップS118にてカーソル移動ポインタ322が操作されない状態であると判定されたことに応じて、カーソル移動ポインタ322が操作されない状態であると判定される状態が一定時間継続したか否かを判定する。ここでの一定時間は、例えば1.5秒程度であってよい。
一定時間が経過していないと判定された場合には、ステップS118に処理が戻される。また、ステップS118にてカーソル移動ポインタ322が操作されない状態となったことが判定されたが、ステップS120にて一定時間継続したと判定されないうちに再度、カーソル移動ポインタ322が操作された場合には、ステップS118の処理が繰り返されることになる。
ステップS120にてカーソル移動ポインタ322が操作されない状態であると判定される状態が一定時間継続したと判定されると、ステップS100に処理が戻される。
【0065】
このような処理手順が実行されることで、タッチパッド323のタッチパッド機能モードの初期設定として、ノーマルモードが設定される。ノーマルモードでは、図4に例示した操作エリアが設定されるとともに、クリックエリアAR1に対応してボタン押下判定閾値th1と振動強度st1とが設定される。ノーマルモードでは、ユーザは、カーソル移動ポインタ322は操作せずに、例えば人差し指でタッチパッド323のパッドパネル323aに対してスライド操作やタップ操作等のポインティング操作を行うようにされる。
そして、ユーザが、例えばカーソル移動ポインタ322とタッチパッド323とを併用してポインティング操作を行うため、カーソル移動ポインタ322の操作を開始すると、タッチパッド323のタッチパッド機能モードは、これまでのノーマルモードからボタン配置モードに遷移する。
ボタン配置モードでは、図4に例示した操作エリアが設定される。また、ボタン配置モードでは、クリックエリアAR1に対応してボタン押下判定閾値th1と振動強度st1とが設定され、ボタンエリアAR2に対応してボタン押下判定閾値th2と振動強度st2とが設定される。この状態のもとでユーザは、例えばカーソル移動ポインタ322を操作しながら、親指でボタンエリアAR2を押下する操作を行うようにしてポインティング操作を行うことができる。
そして、ユーザが、例えばカーソル移動ポインタ322を併用せずにタッチパッド323のパッドパネル323aに対して人差し指等でポインティング操作を行うため、カーソル移動ポインタ322から指を離してから一定時間が継続すると、タッチパッド323のタッチパッド機能モードは、これまでのボタン配置モードからノーマルモードに遷移する。
このようにして、同図の処理手順によっては、ユーザがカーソル移動ポインタ322を操作していないときにはノーマルモードが設定され、カーソル移動ポインタ322を操作しているときにはボタン配置モードが設定されるようにしてタッチパッド機能モードの切り替えが行われる。
【0066】
図8のフローチャートを参照して、タッチパッド323のタッチパッド機能モードとしてボタン配置モードが設定された状態において、電子機器10がパッドパネル323aに対してボタン押下に対応する操作が行われることに応じて実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、例えば一定時間ごとに繰り返される。
ステップS200:電子機器10のタッチパッドコントローラ325における操作対応処理部3254は、ボタン配置モードのもとで、荷重センサ323bが出力する荷重検出信号を取得する。
【0067】
ステップS202:操作対応処理部3254は、ステップS200により取得された荷重検出信号が、左クリックエリアAR11に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th1以上の荷重値が得られたことを示すものか否かを判定する。当該ステップS202にて荷重値と比較されるボタン押下判定閾値th1は、図7のステップS110にてクリックエリアAR1に対応して設定されたものである。
【0068】
ステップS204:ステップS202にて、荷重検出信号が、左クリックエリアAR11に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th1以上の荷重値が得られたことを示すと判定された場合、操作対応処理部3254は、マウスの左ボタンを押下する操作が行われたと判定する。操作対応処理部3254は、マウスの左ボタンの押下の操作を示す操作データをエンベデッドコントローラ31に出力する。
【0069】
ステップS206:また、操作対応処理部3254は、マウスの左ボタンを押下する操作が行われたことに対する触覚フィードバックとして、振動強度st1によりパッドパネル323aが振動するようにアクチュエータ323cの駆動制御を行う。当該ステップS202にてアクチュエータ323cの駆動制御に用いられる振動強度st1は、図7のステップS112にてクリックエリアAR1に対応して設定されたものである。
【0070】
ステップS208:ステップS206の処理の後、あるいはステップS202にて、荷重検出信号が、左クリックエリアAR11に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th1以上の荷重値が得られたことを示していないと判定された場合、操作対応処理部3254は、以下の処理を実行する。
つまり、操作対応処理部3254は、ステップS200により取得された荷重検出信号が、右クリックエリアAR12に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th1以上の荷重値が得られたことを示すものか否かを判定する。
【0071】
ステップS210:ステップS208にて、荷重検出信号が、右クリックエリアAR12に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th1以上の荷重値が得られたことを示すと判定された場合、操作対応処理部3254は、マウスの右ボタンを押下する操作が行われたと判定する。操作対応処理部3254は、マウスの右ボタンの押下の操作を示す操作データをエンベデッドコントローラ31に出力する。
【0072】
ステップS212:また、操作対応処理部3254は、マウスの右ボタンを押下する操作が行われたことに対する触覚フィードバックとして、振動強度st1によりパッドパネル323aが振動するようにアクチュエータ323cの駆動制御を行う。
【0073】
ステップS214:ステップS212の処理の後、あるいはステップS208にて、荷重検出信号が、右クリックエリアAR12に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th1以上の荷重値が得られたことを示していないと判定された場合、操作対応処理部3254は、以下の処理を実行する。
つまり、操作対応処理部3254は、ステップS200により取得された荷重検出信号が、左ボタンエリアAR20-1に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示すものか否かを判定する。当該ステップS214にて荷重値と比較されるボタン押下判定閾値th2は、図7のステップS114にてボタンエリアAR2に対応して設定されたものである。
【0074】
ステップS216:ステップS214にて、荷重検出信号が、左ボタンエリアAR20-1に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示すと判定された場合、操作対応処理部3254は、マウスの左ボタンを押下する操作が行われたと判定する。操作対応処理部3254は、マウスの左ボタンの押下の操作を示す操作検出信号S2をポインタ・ボタンコントローラ324に出力する。ポインタ・ボタンコントローラ324は、出力された操作検出信号S2に応じて、マウスの左ボタンの押下の操作を示す操作データをエンベデッドコントローラ31に出力する。
【0075】
ステップS218:また、操作対応処理部3254は、マウスの左ボタンを押下する操作が行われたことに対する触覚フィードバックとして、振動強度st2によりパッドパネル323aが振動するようにアクチュエータ323cの駆動制御を行う。
【0076】
ステップS220:ステップS218の処理の後、あるいはステップS214にて、荷重検出信号が、左ボタンエリアAR20-1に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示していないと判定された場合、操作対応処理部3254は、以下の処理を実行する。
つまり、操作対応処理部3254は、ステップS200により取得された荷重検出信号が、右ボタンエリアAR20-2に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示すものか否かを判定する。
【0077】
ステップS222:ステップS220にて、荷重検出信号が、右ボタンエリアAR20-2に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示すと判定された場合、操作対応処理部3254は、マウスの右ボタンを押下する操作が行われたと判定する。操作対応処理部3254は、マウスの右ボタンの押下の操作を示す操作検出信号S2をポインタ・ボタンコントローラ324に出力する。ポインタ・ボタンコントローラ324は、出力された操作検出信号S2に応じて、マウスの右ボタンの押下の操作を示す操作データをエンベデッドコントローラ31に出力する。
【0078】
ステップS224:また、操作対応処理部3254は、マウスの右ボタンを押下する操作が行われたことに対する触覚フィードバックとして、振動強度st2によりパッドパネル323aが振動するようにアクチュエータ323cの駆動制御を行う。
【0079】
ステップS226:ステップS224の処理の後、あるいはステップS220にて、荷重検出信号が、右ボタンエリアAR20-2に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示していないと判定された場合、操作対応処理部3254は、以下の処理を実行する。
つまり、操作対応処理部3254は、ステップS200により取得された荷重検出信号が、中央ボタンエリアAR20-3に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示すものか否かを判定する。
【0080】
ステップS228:ステップS226にて、荷重検出信号が、中央ボタンエリアAR20-3に対応する座標範囲にてボタン押下判定閾値th2以上の荷重値が得られたことを示すと判定された場合、操作対応処理部3254は、中央ボタンを押下する操作が行われたと判定する。操作対応処理部3254は、中央ボタンの押下の操作を示す操作検出信号S2をポインタ・ボタンコントローラ324に出力する。ポインタ・ボタンコントローラ324は、出力された操作検出信号S2に応じて、中央ボタンの押下の操作を示す操作データをエンベデッドコントローラ31に出力する。
【0081】
ステップS230:また、操作対応処理部3254は、中央ボタンを押下する操作が行われたことに対する触覚フィードバックとして、振動強度st2によりパッドパネル323aが振動するようにアクチュエータ323cの駆動制御を行う。
ステップS230の処理の後は、ステップS226に処理が戻される。
【0082】
同図の処理において、ユーザがパッドパネル323aを操作していない状態では、ステップS200にて有意な荷重検出信号が取得されない。このような場合には、ステップS202、S208、S214、S220、S226のそれぞれにて否定の判定結果が得られてステップS200に処理が戻されることとなり、特に操作データの出力や触覚フィードバック付与等の処理は実行されない。
【0083】
このような処理が実行されることで、ボタン配置モードのもとでは、同じパッドパネル323aにおけるクリックエリアAR1とボタンエリアAR2とで、それぞれ異なるボタン押下判定閾値と振動強度により、ボタン押下の操作についての判定とボタン押下の操作に応じた触覚フィードバックの付与とを行うことができる。この場合において、ボタンエリアAR2に対応して設定されるボタン押下判定閾値th2、振動強度st2は、クリックエリアAR1に対応して設定されるボタン押下判定閾値th1、振動強度st1よりも小さい。
このようなボタン押下判定閾値と振動強度の設定により、ユーザがカーソル移動ポインタ322を操作しながらパッドパネル323aのボタンエリアAR2を押下する操作を行う際には、物理的なボタンを押下しているときに近い操作感覚が得られる。また、クリックエリアAR1に対する操作についても、例えばユーザが人差し指で比較的軽めの力で押下するようになる操作に対応させて、適切な操作感覚を得ることができる。本実施形態の場合、ボタン配置モードにおいては、同じパッドパネル323a上でありながら、ボタンエリアAR2とクリックエリアAR1とでそれぞれに適した操作感覚が両立される。
【0084】
なお、ノーマルモードが設定されている場合のボタン押下に対応する操作に応じた処理手順としては、ノーマルモードのもとで設定された左クリックエリアAR11と右クリックエリアAR12とを対象として、図8におけるステップS200~S212の処理が繰り返し実行されてよい。
【0085】
なお、上記実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどのように携帯型とされて、筐体に表示デバイスが一体的に取り付けられた態様とされている。しかしながら、本実施形態に係る電子機器は、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピュータのように、それぞれ個別装置の本体と表示デバイスとを接続したものであってよい。さらに、本実施形態に係る電子機器は、CPUを備える機器全般に適用可能である。
【0086】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上記の実施形態において説明した各構成は、矛盾しない限り任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0087】
10 電子機器、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 表示部、21 チップセット、22 BIOSメモリ、23 記憶媒体、24 オーディオシステム、25 WLANカード、25 WLANカード、26 USBコネクタ、31 エンベデッドコントローラ、32 入力部、33 電源回路、34 バッテリ、101 第1筐体、102 第2筐体、103 ヒンジ機構、321 キーボード、322 カーソル移動ポインタ、323 タッチパッド、323a パッドパネル、323b 荷重センサ、323c アクチュエータ、323d インジケータ、324 ポインタ・ボタンコントローラ、325 タッチパッドコントローラ、3251 モード切替部、3252 閾値設定部、3253 振動強度設定部、3254 操作対応処理部
【要約】
【課題】タッチパッドについての操作性の向上を図る。
【解決手段】操作面に加えられる荷重と前記操作面において前記荷重が加えられた位置とを検出する荷重センサを有するタッチパッドと、前記操作面において第1エリアが設定され第2エリアが設定されない第1タッチパッド機能モードと、前記操作面において前記第1エリアと前記第2エリアとが設定される第2タッチパッド機能モードとで切り替えが可能なモード切替部と、前記第1エリアにおいて所定の指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として第1閾値を設定し、前記第2エリアにおいて前記所定の指示と同じ指示を受け付けるボタン押下操作が行われたか否かの判定に用いられる荷重の閾値として前記第1閾値と異なる第2閾値を設定する閾値設定部とを備えて入力装置を構成する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8