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特許7238120新規なホウ素化合物及びこれを含む有機発光素子
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  • 特許-新規なホウ素化合物及びこれを含む有機発光素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】新規なホウ素化合物及びこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20230306BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230306BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20230306BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20230306BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230306BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C07F5/02 A CSP
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/22 D
H05B33/02
C09K11/06 660
C09K11/06 690
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021525691
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2019015878
(87)【国際公開番号】W WO2020106032
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0143772
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507074834
【氏名又は名称】エスエフシー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,セ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ボン-ヒャン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,テジョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヨン-テ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン-テ
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/152544(WO,A1)
【文献】特開2012-234873(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107501311(CN,A)
【文献】国際公開第2018/095397(WO,A1)
【文献】特開2020-002120(JP,A)
【文献】国際公開第2019/240080(WO,A1)
【文献】特表2021-525000(JP,A)
【文献】特表2022-507076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
H10K 50/00
H10K 50/16
H10K 50/15
H05B 33/02
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[化学式A]または下記[化学式B]で表されるホウ素化合物。
(前記[化学式A]及び前記[化学式B]中、
前記QからQは、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環、または置換もしくは無置換の炭素数2~50の芳香族複素環であり、
前記連結基Yは、N-R、CR、O、S、Seの中から選択されるいずれか一つであり、
前記Xは、Bであり、
前記置換基RからRは、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記R及びRは、それぞれ前記Q環またはQ環と結合して脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができ、
前記RからRは、それぞれ前記Q環またはQ環と結合して脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができ、
前記R及びRは、それぞれ互いに連結されて脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができる。
ここで、前記[化学式A]及び前記[化学式B]中の前記「置換もしくは無置換の」における「置換」は、重水素、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のハロゲン化アルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルキニル基、炭素数1~24のヘテロアルキル基、炭素数6~24のアリール基、炭素数7~24のアリールアルキル基、炭素数7~24のアルキルアリール基、炭素数2~50のヘテロアリール基、炭素数2~24のヘテロアリールアルキル基、炭素数1~24のアルコキシ基、炭素数1~24のアルキルアミノ基、炭素数6~24のアリールアミノ基、炭素数1~24のヘテロアリールアミノ基、炭素数1~24のアルキルシリル基、炭素数6~24のアリールシリル基、及び炭素数6~24のアリールオキシ基よりなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されることを意味し、
ただし、下記の化合物を除外する。)
【請求項2】
前記[化学式A]及び前記[化学式B]における連結基YがN-R3(前記Rは、請求項1で定義されたのと同様である。)である請求項1に記載のホウ素化合物。
【請求項3】
前記置換基Rは、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基である請求項2に記載のホウ素化合物。
【請求項4】
前記[化学式A]及び前記[化学式B]における連結基Yは、下記[構造式A]で表される連結基である請求項1に記載のホウ素化合物。
(前記[構造式A]中の「-*」は、前記連結基YがQ及びQ環における芳香族炭素とそれぞれ結合するための結合サイトを意味し、
前記[構造式A]中の前記R41からR45は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、無置換の炭素数1~24のアルキル基、無置換の炭素数6~24のアリール基、無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、無置換の炭素数1~24のアルコキシ基、無置換の炭素数6~24のアリールオキシ基、無置換の炭素数1~24のアルキルアミン基、無置換の炭素数6~24のアリールアミン基、無置換の炭素数1~24のアルキルシリル基、無置換の炭素数6~24のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれか一つである。)
【請求項5】
前記[化学式A]及び前記[化学式B]における連結基Yが酸素(O)原子である請求項1に記載のホウ素化合物。
【請求項6】
前記QからQは、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環である請求項1に記載のホウ素化合物。
【請求項7】
前記[化学式A]内のQの芳香族炭化水素環は、下記[構造式10]から下記[構造式21]の中から選択されるいずれか一つであり、
前記化学式B内のQ及びQの芳香族炭化水素環は、同一でも異なってもよく、互いに独立して、下記[構造式10]から下記[構造式21]の中から選択されるいずれか一つである請求項6に記載のホウ素化合物。
(前記[構造式10]から前記[構造式21]中の「-*」は、QまたはQにおける芳香族環内の炭素がX、窒素(N)原子または連結基Yに結合するための結合サイトを意味し、
前記[構造式10]から前記[構造式21]中の前記Rは、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、無置換の炭素数1~24のアルキル基、無置換の炭素数6~24のアリール基、無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、無置換の炭素数1~24のアルコキシ基、無置換の炭素数6~24のアリールオキシ基、無置換の炭素数1~24のアルキルアミン基、無置換の炭素数6~24のアリールアミン基、無置換の炭素数1~24のアルキルシリル基、無置換の炭素数6~24のアリールシリル基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記mは1~8の整数であり、mが2以上である場合またはRが2以上である場合には、それぞれのRは互いに同一でも異なってもよい。)
【請求項8】
前記[化学式A]内のQ及びQの芳香族炭化水素環は、同一でも異なってもよく、互いに独立して、下記[構造式B]で表される環である請求項6に記載のホウ素化合物。
(前記[構造式B]中の「-*」は、Qにおける芳香族環内の炭素が、Rと結合した炭素原子、窒素(N)原子及びXにそれぞれ結合するための結合サイトを意味するか、或いは前記Qにおける芳香族環内の炭素が窒素(N)原子、X及び連結基Yにそれぞれ結合するための結合サイトを意味し、
前記[構造式B]中の前記R55からR57は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、無置換の炭素数1~24のアルキル基、無置換の炭素数6~24のアリール基、無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、無置換の炭素数1~24のアルコキシ基、無置換の炭素数6~24のアリールオキシ基、無置換の炭素数1~24のアルキルアミン基、無置換の炭素数6~24のアリールアミン基、無置換の炭素数1~24のアルキルシリル基、無置換の炭素数6~24のアリールシリル基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記R55からR57は、それぞれ隣り合う置換基と互いに連結されて脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができる。)
【請求項9】
前記[化学式B]内のQの芳香族炭化水素環は、下記[構造式C]で表される環である請求項6に記載のホウ素化合物。
(前記[構造式C]中の「-*」は、Qにおける芳香族環内の炭素が、Rと結合した炭素原子、窒素(N)原子、X及び連結基Yにそれぞれ結合するための結合サイトを意味し、
前記[構造式C]中の前記R58及びR59は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、無置換の炭素数1~24のアルキル基、無置換の炭素数6~24のアリール基、無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、無置換の炭素数1~24のアルコキシ基、無置換の炭素数6~24のアリールオキシ基、無置換の炭素数1~24のアルキルアミン基、無置換の炭素数6~24のアリールアミン基、無置換の炭素数1~24のアルキルシリル基、無置換の炭素数6~24のアリールシリル基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれかであり、
前記R58及びR59は、それぞれ隣り合う置換基と互いに連結され、脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができる。)
【請求項10】
前記ホウ素化合物は、下記<化合物1>から下記<化合物37>、下記<化合物39>から下記<化合物100>、下記<化合物102>から下記<化合物124>、下記<化合物126>、下記<化合物128>から下記<化合物132>、下記<化合物144>から下記<化合物146>の中から選択されるいずれか一つである請求項1に記載のホウ素化合物。
【請求項11】
第1電極、
前記第1電極に対向する第2電極及び
前記第1電極と前記第2電極との間に介在する有機層を含み、
前記有機層が請求項1から10のいずれか一項のホウ素化合物を1種以上含む、有機発光素子。
【請求項12】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する機能層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層の中の少なくとも一つを含む請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記第1電極と前記第2電極との間に介在した有機層が発光層を含み、
前記発光層は、ホストとドーパントからなり、前記[化学式A]または前記[化学式B]で表されるホウ素化合物をドーパントとして使用する請求項12に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記発光層は、下記[化学式C]で表されるアントラセン誘導体をホストとして使用する請求項13に記載の有機発光素子。
[化学式C]
(前記[化学式C]中、
前記置換基R11からR18は、同一でも異なってもよく、それぞれ請求項1の前記RからRで定義されたのと同様であり、
前記置換基Ar及びAr10は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールシリル基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記連結基L13は、単結合であるか、或いは置換もしくは無置換の炭素数6~20のアリーレン基、または置換もしくは無置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記Kは1~3の整数であるが、前記Kが2以上である場合に、それぞれのL13は互いに同一でも異なってもよい。)
【請求項15】
前記[化学式C]内のArは、下記[化学式C-1]で表される置換基である請求項14に記載の有機発光素子。
(前記置換基R21からR25は、それぞれ同一でも異なってもよく、請求項1のRからRで定義されたのと同様であり、隣り合う置換基と結合して飽和もしくは不飽和環を形成することができる。)
【請求項16】
前記連結基L13は、単結合であるか、或いは置換もしくは無置換の炭素数6~20のアリーレン基である請求項14に記載の有機発光素子。
前記Kは1~2の整数であるが、前記Kが2以上である場合に、それぞれのL13は互いに同一でも異なってもよい。
【請求項17】
前記アントラセン誘導体は、下記化学式C1から下記化学式C48の中から選択されるいずれか一つである請求項14に記載の有機発光素子。
【請求項18】
前記有機発光素子は、フラットパネルディスプレイ装置、フレキシブルディスプレイ装置、単色又は白色の平板照明用装置、及び単色又は白色のフレキシブル照明用装置の中から選択されるいずれか一つに使用される請求項11に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子に使用できる新規なホウ素化合物に係り、より詳細には、有機発光素子内のドーパント材料として使用でき、これにより高い発光効率及び低電圧駆動などの素子特性を実現することができる新規なホウ素化合物、及び前記ホウ素化合物を含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(OLED)は、自己発光現象を利用したディスプレイであって、視野角が大きく、液晶ディスプレイに比べて軽薄化、短小化でき、速い応答速度などの利点を持っており、フル-カラー(full-color)ディスプレイまたは照明への応用が期待されている。
一般に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機発光素子は、通常、陽極、陰極、及びこれらの間の有機物層を含む構造を持つ。ここで、有機物層は、有機発光素子の効率と安定性を高めるために、それぞれ異なる物質からなる多層の構造を持つ場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなってもよい。このような有機発光素子の構造で二つの電極の間に電圧をかけると、陽極では正孔、陰極では電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子とが結合するときに励起子(exciton)が生成され、この励起子が再び基底状態に落ちるときに発光する。このような有機発光素子は、自発光、高輝度、高効率、低い駆動電圧、広い視野角、高いコントラスト、高速応答性などの特性を有することが知られている。
有機発光素子において有機物層として使用される材料は、機能によって、発光材料と電荷輸送材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類され、必要に応じて電子遮断層または正孔遮断層などが付加され得る。
前記発光材料は、分子量によって高分子型と低分子型に分類され、発光メカニズムによって、電子の一重項励起状態に由来する蛍光材料と電子の三重項励起状態に由来する燐光材料に分類される。
一方、発光材料として一つの物質のみを使用する場合、分子間の相互作用によって最大発光波長が長波長に移動し、色純度が低下し、発光減衰効果により素子の効率が減少するなどの問題が発生するので、色純度の増加とエネルギー転移による発光効率を増加させるために、発光材料としてホスト-ドーパントシステムを使用することができる。
その原理は、発光層を形成するホストよりもエネルギー帯域間隙が小さいドーパントを発光層に少量混合すると、発光層から発生した励起子がドーパントに輸送されて効率の高い光を出すことである。このとき、ホストの波長がドーパントの波長帯に移動するので、用いるドーパントの種類に応じて所望の波長の光を得ることができる。
最近、このような発光層中のドーパント化合物としてホウ素化合物について研究されており、これに関連する従来技術として、韓国公開特許第10-2016-0119683号公報(2016年10月14日)には、ホウ素原子と酸素原子などで複数の芳香族環を連結した多環芳香族化合物、及びこれを含む有機発光素子が開示されており、国際公開第2017/188111号パンプレット(2017年11月2日)には、複数の縮合芳香族環がホウ素原子と窒素によって連結された構造の化合物を発光層内のドーパントとして使用し、且つホストとしてアントラセン誘導体を使用した有機発光素子が開示されている。
しかし、これらの従来技術を含めて、有機発光素子の発光層に使用するための様々な形態の化合物が製造されたにも拘らず、未だ有機発光素子用として応用可能であるうえ、低電圧駆動が可能で、かつ安定性及び高効率特性を有する新規な化合物、及びこれを含む有機発光素子の開発が継続的に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の目的は、有機発光素子内の発光層のドーパント物質として使用可能である新規な構造のホウ素化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記ホウ素化合物を有機発光素子内のドーパント物質に適用することにより、高い発光効率及び低電圧駆動などの素子特性に優れた有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記[化学式A]または下記[化学式B]で表されるホウ素化合物を提供する。
前記[化学式A]及び前記[化学式B]中、
前記Q1からQ3は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環、または置換もしくは無置換の炭素数2~50の芳香族複素環であり、
前記連結基Yは、N-R3、CR45、O、S、Seの中から選択されるいずれか一つであり、
前記Xは、B、P、P=Oの中から選択されるいずれか一つであり、
前記置換基R1からR5は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記R1及びR2は、それぞれ互いに連結されて脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成するか、或いは前記Q1環またはQ3環と結合して脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができ、
前記R3からR5は、それぞれ前記Q2環またはQ3環と結合して脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができ、
前記R4及びR5は、それぞれ互いに連結されて脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る新規なホウ素化合物を有機発光素子内のドーパント物質として用いる場合に、従来技術による有機発光素子に比べて低電圧駆動が可能でありながらも、より改善された効率を示す有機発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態による有機発光素子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の各図面において、構造物のサイズまたは寸法は、本発明の明確性を期するために実際よりも拡大または縮小して示したものであり、特徴的構成が現れるように公知の構成は省略して図示したので、図面に限定されない。
また、図示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明は、必ずしも図示に限定されず、また、図面において複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるとするとき、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなく、それらの間に別の部分がある場合も含む。
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書全体において、「~の上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも、重力方向を基準として上側に位置することを意味するものではない。
【0008】
本発明は、下記[化学式A]または下記[化学式B]で表されるホウ素化合物を提供する。
前記[化学式A]及び前記[化学式B]中、
前記Q1からQ3は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環、または置換もしくは無置換の炭素数2~50の芳香族複素環であり、
前記連結基Yは、N-R3、CR45、O、S、Seの中から選択されるいずれか一つであり、
前記Xは、B、P、P=Oの中から選択されるいずれか一つであり、
前記置換基R1からR5は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記R1及びR2は、それぞれ互いに連結されて脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成するか、或いは前記Q1環またはQ3環と結合して脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができ、
前記R3からR5は、それぞれ前記Q2環またはQ3環と結合して脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができ、
前記R4及びR5は、それぞれ互いに連結されて脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができる。
ここで、前記[化学式A]及び前記[化学式B]中の前記「置換もしくは無置換の」における「置換」は、重水素、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のハロゲン化アルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルキニル基、炭素数1~24のヘテロアルキル基、炭素数6~24のアリール基、炭素数7~24のアリールアルキル基、炭素数7~24のアルキルアリール基、炭素数2~50のヘテロアリール基、炭素数2~24のヘテロアリールアルキル基、炭素数1~24のアルコキシ基、炭素数1~24のアルキルアミノ基、炭素数6~24のアリールアミノ基、炭素数1~24のヘテロアリールアミノ基、炭素数1~24のアルキルシリル基、炭素数6~24のアリールシリル基、及び炭素数6~24のアリールオキシ基よりなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されることを意味する。
【0009】
本発明における前記「置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基」、「置換もしくは無置換の炭素数5~50のアリール基」などにおける前記アルキル基またはアリール基の範囲を考慮すると、前記炭素数1~30のアルキル基及び炭素数5~50のアリール基の炭素数の範囲は、それぞれ、前記置換基が置換された部分を考慮せずに、無置換のものと見做したときのアルキル部分またはアリール部分を構成する全炭素数を意味する。例えば、パラ位にブチル基が置換されたフェニル基は、炭素数4のブチル基で置換された炭素数6のアリール基に該当するものと見做すべきである。
【0010】
本発明の化合物で使用される置換基であるアリール基は、一つの水素除去によって芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、前記アリール基が置換基を持つ場合、隣り合う置換基と互いに融合(fused)して環をさらに形成することができる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、o-ビフェニル基、m-ビフェニル基、p-ビフェニル基、o-テルフェニル基、m-テルフェニル基、p-テルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、インデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロナフチル基、ペリレニル基、クリセニル基、ナフサセニル基、フルオランテニル基などの芳香族基を挙げることができ、前記アリール基中の一つ以上の水素原子は、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、アミノ基(-NH2、-NH(R)、-N(R’)(R’’)、R’及びR’’は、互いに独立して炭素数1~10のアルキル基であり、この場合、「アルキルアミノ基」という。)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のハロゲン化アルキル基、炭素数1~24のアルケニル基、炭素数1~24のアルキニル基、炭素数1~24のヘテロアルキル基、炭素数6~24のアリール基、炭素数6~24のアリールアルキル基、炭素数2~24のヘテロアリール基、または炭素数2~24のヘテロアリールアルキル基で置換できる。
本発明の化合物で使用される置換基であるヘテロアリール基は、N、O、P、Si、S、Ge、Se、Teの中から選ばれた1つ、2つまたは3つのヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である炭素数2~24の環芳香族系を意味し、これらの環は、融合(fused)して環を形成することができる。そして、前記ヘテロアリール基中の一つ以上の水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本発明において、前記芳香族複素環は、芳香族炭化水素環において芳香族炭素のうちの一つ以上がヘテロ原子で置換されたものを意味し、前記芳香族複素環は、好ましくは芳香族炭化水素内の芳香族炭素1つ~3つが、N、O、P、Si、S、Ge、Se、Teの中から選択された一つ以上のヘテロ原子で置換できる。
本発明で使用される置換基であるアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキル基中の一つ以上の水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本発明の化合物で使用される置換基であるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso-アミルオキシ、ヘキシルオキシなどを挙げることができ、前記アルコキシ基中の一つ以上の水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本発明の化合物で使用される置換基であるシリル基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、トリメトキシシリル、ジメトキシフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルビニルシリル、メチルシクロブチルシリル、ジメチルフリルシリルなどを挙げることができ、前記シリル基中の一つ以上の水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0011】
本発明において、前記[化学式A]または前記[化学式B]で表されるホウ素化合物は、置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環、または置換もしくは無置換の炭素数2~50の芳香族複素環であるQ1及びQ3環が中心原子Xにそれぞれ連結される構造的特徴を有し、Q1及びQ3環は窒素(N)原子によって互いに連結され、Q2及びQ3環は連結基Yによって互いに連結されるが、
前記窒素原子は、R1及びR2を含むビニル基が結合しており、前記ビニル基の末端がQ1またはQ3内の炭素原子と結合して追加の5員環構造(2,3-ジヒドロピロール基)による縮合環を形成する構造的特徴を有する。
一実施形態として、前記[化学式A]及び前記[化学式B]におけるQ2環及びQ3環を互いに連結させる連結基YはN-R3であり、この場合に、前記R3は、上記で定義されたのと同様である。
また、前記[化学式A]及び前記[化学式B]における連結基YがN-R3である場合に、好ましくは、前記置換基R3は、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基とすることができる。
【0012】
前記[化学式A]及び前記[化学式B]における前記連結基Yは、下記[構造式A]で表される連結基とすることができる。
[構造式A]
前記[構造式A]中の「-*」は、前記連結基YがQ2及びQ3環における芳香族炭素とそれぞれ結合するための結合サイトを意味し、
ここで、前記[構造式A]中の前記R41からR45は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれか一つである。
また、本発明の前記[化学式A]及び前記[化学式B]における連結基Yは、酸素(O)原子とすることができる。また、本発明の前記[化学式A]及び前記[化学式B]における中心原子(X)は、ホウ素(B)原子とすることができる。
【0013】
本発明に係る前記[化学式A]または前記[化学式B]で表される化合物における中心原子Xにそれぞれ結合するQ1からQ3環は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環とすることができる。
この場合に、前記[化学式A]内のQ2の芳香族炭素水素環は、下記[構造式10]から下記[構造式21]の中から選択されるいずれか一つであり、前記[化学式B]内のQ1及びQ2の芳香族炭化水素環は同一でも異なってもよく、互いに独立して、下記[構造式10]から下記[構造式21]の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
前記[構造式10]から[構造式21]中の「-*」は、Q1またはQ2における芳香族環内の炭素がX、窒素(N)原子または連結基Yに結合するための結合サイトを意味し、
前記[構造式10]から前記[構造式21]中の前記Rは、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールシリル基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記mは1~8の整数であり、mが2以上である場合またはRが2以上である場合には、それぞれのRは互いに同一でも異なってもよい。
【0014】
前記Q1からQ3環がそれぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環である場合に、前記[化学式A]内のQ1及びQ3の芳香族炭化水素環は、同一でも異なってもよく、互いに独立して、下記[構造式B]で表される環とすることができる。
[構造式B]
前記[構造式B]中の「-*」は、Q1における芳香族環内の炭素が、R1と結合した炭素原子、窒素(N)原子及びXにそれぞれ結合するための結合サイトを意味するか、或いは前記Q3における芳香族環内の炭素が窒素(N)原子、X及び連結基Yにそれぞれ結合するための結合サイトを意味し、
前記[構造式B]中の前記R55からR57は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールシリル基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記R55からR57は、それぞれ隣り合う置換基と互いに連結されて脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができる。
【0015】
前記Q1からQ3環が同一でも異なってもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6~50の芳香族炭化水素環である場合に、前記[化学式B]内のQ3の芳香族炭化水素環は、下記[構造式C]で表される環とすることができる。
[構造式C]
前記[構造式C]中の「-*」は、Q3における芳香族環内の炭素が、R2と結合した炭素原子、窒素(N)原子、X及び連結基Yにそれぞれ結合するための結合サイトを意味し、
前記[構造式C]中の前記R58及びR59は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のアリールシリル基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれかであり、
前記R58及びR59は、それぞれ隣り合う置換基と互いに連結され、脂環族または芳香族の単環または多環をさらに形成することができる。
【0016】
前記[化学式A]または前記[化学式B]で表されるホウ素化合物は、下記<化合物1>から下記<化合物147>の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
【0017】
より好適な本発明の一実施形態として、本発明は、第1電極;前記第1電極に対向する第2電極;及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在する有機層;を含み、前記[化学式A]または前記[化学式B]で表されるホウ素化合物を1種以上含む、有機発光素子を提供する。
本発明における「(有機層が)有機化合物を1種以上含む」とは、「(有機層が)本発明の範疇に属する1種の有機化合物、または前記有機化合物の範疇に属する互いに異なる2種以上の化合物を含むことができる」と解釈できる。
本発明の有機発光素子は、発光層に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する機能層、発光層、電子輸送層及び電子注入層のうちの少なくとも一つを含むことができる。
より好適な本発明の一実施形態として、本発明は、前記第1電極と前記第2電極との間に介在した有機層が発光層を含み、前記発光層は、ホストとドーパントからなり、本発明における前記[化学式A]または前記[化学式B]で表されるホウ素化合物のうちの少なくとも一つを発光層内のドーパントとして含むことができる。
【0018】
一実施形態として、本発明に係る有機発光素子において、前記ホストとしては、下記[化学式C]で表されるアントラセン誘導体を使用することができる。
[化学式C]
前記[化学式C]中、
前記置換基R11からR18は、同一でも異なってもよく、それぞれ上記のホウ素化合物内で定義された前記R1からR5と同様であり、
前記置換基Ar9及びAr10は、それぞれ互いに同一でも異なってもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは無置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5~30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数6~30のアリールシリル基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記連結基L13は、単結合であるか、或いは置換もしくは無置換の炭素数6~20のアリーレン基、または置換もしくは無置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記kは1~3の整数であるが、前記kが2以上である場合に、それぞれのL13は互いに同一でも異なってもよい。
【0019】
より具体的なホスト化合物として、前記[化学式C]内のAr9は、下記[化学式C-1]で表される置換基とすることができる。
[化学式C-1]
ここで、前記置換基R21からR25は、それぞれ同一でも異なってもよく、上記のR1からR5で定義されたのと同様であり、隣り合う置換基と結合して飽和もしくは不飽和環を形成することができる。
この場合に、前記連結基L13は、単結合であるか、或いは置換もしくは無置換の炭素数6~20のアリーレン基であり、前記kは1~2の整数であるが、前記kが2以上である場合に、それぞれのL13は互いに同一でも異なってもよい。
【0020】
一実施形態として、前記アントラセン誘導体は、下記<化学式C1>から下記<化学式C48>の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
【0021】
より好適な本発明の一実施形態として、本発明は、第1電極としての陽極;第1電極に対向する第2電極としての陰極;及び前記陽極と陰極との間に介在する発光層;を含み、本発明における前記[化学式A]または前記[化学式B]で表されるホウ素化合物のうちの少なくとも一つを発光層内のドーパントとして含み、且つ前記[化学式C]で表される化合物のうちの少なくとも一つを発光層内のホストとして含む有機発光素子であることができ、このような構造的特徴によって、本発明による有機発光素子は、低電圧駆動及び高効率特性を持つことができる。
このとき、前記発光層内のドーパントの含有量は、通常、ホスト約100重量部を基準にして約0.01~約20重量部の範囲で選択でき、これに限定されるものではない。
また、前記発光層は、前記ドーパントとホストの他にも、様々なホストと様々なドーパント物質をさらに含むことができる。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による有機発光素子を説明する。
図1は本発明の一実施形態による有機発光素子の構造を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態による有機発光素子は、陽極20、正孔輸送層40、ホスト及びドーパントを含む発光層50、電子輸送層60、及び陰極80を順次含む有機発光素子であって、前記陽極を第1電極、陰極を第2電極にして、前記陽極と発光層との間に正孔輸送層を含み、発光層と陰極との間に電子輸送層を含む有機発光素子に該当する。
本発明の実施形態による有機発光素子は、前記陽極20と正孔輸送層40との間に正孔注入層30を含み、前記電子輸送層60と陰極80との間に電子注入層70を含むことができる。
【0023】
以下、図1を参照して、本発明の有機発光素子及びその製造方法について説明する。
まず、基板10の上部に陽極(アノード)電極用物質をコーティングして陽極20を形成する。ここで、基板10としては、通常の有機EL素子で使用される基板を使用するが、透明性、表面平滑性、扱いやすさ及び防水性に優れた有機基板または透明プラスチック基板であることが好ましい。そして、陽極電極用物質としては、透明で伝導性に優れた酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用する。
前記陽極20電極の上部に正孔注入層物質を真空熱蒸着またはスピンコーティングして正孔注入層30を形成する。その次に、前記正孔注入層30の上部に正孔輸送層物質を真空熱蒸着またはスピンコーティングして正孔輸送層40を形成する。
前記正孔注入層の材料は、当該分野における通常使用されるものである限りは、特に制限されずに使用することができ、例えば、2-TNATA[4,4’,4’’-tris(2-naphthylphenyl-phenylamino)-triphenylamine]、NPD[N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenylbenzidine)]、TPD[N,N’-diphenyl-N,N’-bis(3-methylphenyl)-1,1’-biphenyl-4,4’-diamine]、DNTPD[N,N’-diphenyl-N,N’-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4’-diamine]などを使用することができる。しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記正孔輸送層の材料は、当業分野における通常使用されるものである限りは、特に制限されず、例えば、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(TPD)、またはN,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(a-NPD)などを使用することができる。しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0024】
本発明は、前記正孔輸送層の上部に電子遮断層をさらに形成することができる。前記電子遮断層は、電子注入層から注入された電子が発光層を通って正孔輸送層に進入することを防止することにより、素子の寿命と効率を向上させるための層であって、本発明による化学式Eで表される化合物または化学式Fで表される化合物を使用するか、或いは公知の材料を使用するか、或いは必要に応じてこれを公知の材料と混合して使用することにより、発光層と正孔注入層との間における適切な部分に形成でき、好ましくは、発光層と正孔輸送層との間に形成できる。
次いで、前記正孔輸送層40または電子遮断層の上部に発光層50を真空蒸着法またはスピンコーティング法で積層することができる。
ここで、前記発光層は、ホストとドーパントからなり得る。これらを構成する材料については、上記で記載したのと同様である。
本発明の具体例によれば、前記発光層の厚さは50~2,000Åであることが好ましい。
前記発光層上に電子輸送層60を真空蒸着法またはスピンコーティング法によって蒸着する。
【0025】
本発明において、前記電子輸送層の材料としては、電子注入電極(カソード(Cathode))から注入された電子を安定的に輸送する機能を果たすものであって、公知の電子輸送物質を用いることができる。公知の電子輸送物質の例としては、キノリン誘導体、特に、トリス(8-キノリノレート)アルミニウム(Alq3)、Liq、TAZ、BAlq、ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラート)(beryllium bis(benzoquinolin-10-olate:Bebq2)、化合物201、化合物202、BCP、オキサジアゾール誘導体であるPBD、BMD、BNDなどの材料を使用することもできるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明における有機発光素子は、前記電子輸送層を形成した後に、電子輸送層の上部に、陰極からの電子の注入を容易にする機能を有する物質である電子注入層(EIL)が積層できる。これは、特に材料を制限しない。
前記電子注入層形成材料としては、CsF、NaF、LiF、Li2O、BaOなどの電子注入層形成材料として公知になっている任意の物質を用いることができる。前記電子注入層の蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲の中から選択できる。
前記電子注入層の厚さは、約1Å~約100Å、約3Å~約90Åとすることができる。前記電子注入層の厚さが前述の範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足すべき程度の電子注入特性を得ることができる。
本発明において、前記陰極は、容易な電子注入のために仕事関数の小さい物質を用いることができる。リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、またはこれらの合金アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などを使用するか、或いはITO、IZOを用いた透過型陰極を使用することができる。
本発明における有機発光素子は、380nm~800nmの波長範囲で発光する青色発光材料、緑色発光材料または赤色発光材料の発光層をさらに含むことができる。すなわち、本発明における発光層は複数の発光層であって、前記さらに形成される発光層内の青色発光材料、緑色発光材料または赤色発光材料は蛍光材料または燐光材料とすることができる。
また、本発明において、前記それぞれの層の中から選択された一つ以上の層は、単分子蒸着工程または溶液工程によって形成できる。
ここで、前記蒸着工程は、前記それぞれの層を形成するための材料として使用される物質を真空または低圧状態で加熱などによって蒸発させて薄膜を形成する方法を意味し、前記溶液工程は、前記それぞれの層を形成するための材料として使用される物質を溶媒と混合し、これをインクジェット印刷、ロール・ツー・ロールコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティングなどの方法によって薄膜を形成する方法を意味する。
本発明における前記有機発光素子は、フラットパネルディスプレイ装置、フレキシブルディスプレイ装置、単色または白色の平板照明用装置、及び単色または白色のフレキシブル照明装置の中から選択されるいずれか一つの装置に使用できる。
【0027】
以下、好適な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものである。本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されないのは、当業分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
(実施例)
合成例1
合成例1-1.[中間体1-a]の合成
窒素雰囲気下で丸底フラスコに2,3-ジメチルインドール50g(344mmol)、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼン77.8g(344mmol)、銅65.6g(1.03mol)、18-crown-6(13.1g、69mmol)、炭酸カリウム237.9g(1.72mol)、1,2-ジクロロベンゼン700mlを仕込んで48時間還流させた。反応終結後、有機層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで分離して[中間体1-a]46.9gを得た(収率47%)。
合成例1-2.[中間体1-bの合成]
窒素雰囲気下で丸底フラスコに、[中間体1-a]20g(69mmol)、ジフェニルアミン11.7g(69mmol)、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム1.3g(1.4mmol)、トリtert-ブチルホスフィン0.6g(3mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド9.9g(103mmol)、トルエン200mlを仕込み、6時間還流させた。反応終結後、有機層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで分離して[中間体1-b]20.9gを得た(収率72%)。
合成例1-3.[化合物1]の合成
窒素雰囲気下でtert-ブチルベンゼン200ml入りの丸底フラスコに[中間体1-b]20g(47mmol)を仕込み、-30℃に冷却した後、1.7M tert-ブチルリチウムペンタン溶液55.6mml(95mmol)をゆっくりと滴加した。滴加終了後、60℃まで昇温して3時間攪拌した後、ペンタンを蒸留除去した。-50℃まで冷却し、三臭化ホウ素23.8g(95mmol)を滴加し、室温まで昇温した後、1時間攪拌した。再び0℃に冷却し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン12.2g(95mmol)を加えた後、120℃で3時間撹拌した。反応完了後、減圧蒸留してtert-ブチルベンゼンを除去し、水と酢酸エチルを用いて抽出した後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離して[化合物1]4.7gを得た(収率25%)。
MS(MALDI-TOF):m/z369.18[M+
【0028】
合成例2
合成例2-1.[中間体2-aの合成]
前記合成例1-1で2,3-ジメチルインドールの代わりに3-トリフェニルメチルインドールを使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンの代わりに1-ブロモ2-クロロ-3-フルオロベンゼンを使用した以外は同様の方法で合成して、[中間体2-a]を得た(収率52%)。
合成例2-2.[中間体2-bの合成]
窒素状態下でフェノール(38g、405 mmol)、[中間体2-a](197g、405 mmol)、炭酸カリウム(80.7g、583mmol)を1-メチル-2-ピロリジノン500mlに仕込み、150℃で12時間攪拌した。反応終結後、有機層を減圧濃縮した後、カラム分離して[中間体2-b]を得た(71.5g、65%)。
合成例2-3.[化合物9の合成]
前記合成例1-3で[中間体1-b]の代わりに[中間体2-b]を使用した以外は同様の方法を合成して、[化合物9]を得た(収率52%)。
MS(MALDI-TOF):m/z535.21[M+
【0029】
合成例3
合成例3-1.[中間体3-aの合成]
前記合成例1-1で2,3-ジメチルインドールの代わりに9H-カルバゾールを使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンの代わりに6-ブロモ-ベンゾインドールを使用した以外は同様の方法を合成して、[中間体3-a]を得た(収率44%)。
合成例3-2.[中間体3-bの合成]
前記合成例1-1で2,3-ジメチルインドールの代わりに[中間体3-a]を使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンの代わりに1-ブロモ2-クロロ-3-フルオロベンゼンを使用した以外は同様の方法を合成して、[中間体3-b]を得た(収率39%)。
合成例3-3.[中間体3-cの合成]
前記合成例2-2で使用したフェノールの代わりにチオフェノールを使用した以外は同様の方法で合成して、[中間体3-c]を得た(収率63%)。
合成例3-4.[化合物112の合成]
前記合成例1-3で[中間体1-b]の代わりに[中間体3-c]を使用した以外は同様の方法を合成して、[化合物112]を得た(収率61%)。
MS(MALDI-TOF):m/z524.15[M+
【0030】
合成例4
合成例4-1.[中間体4-aの合成]
前記合成例1-1で2,3-ジメチルインドールの代わりに6,7-ジクロロインドールを使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンの代わりに3-ブロモジベンゾフランを使用した以外は同様の方法を合成して、[中間体4-a]を得た(収率52%)。
合成例4-2.[中間体4-bの合成]
前記合成例1-2で[中間体1-a]の代わりに[中間体4-a]を使用し、ジフェニルアミンの代わりにN,N,N-トリフェニルベンゼン-1,3-ジアミンを使用した以外は同様の方法で合成して、[中間体4-b]を得た(収率59%)。
合成例4-3.[化合物145]の合成
前記合成例1-3で[中間体1-b]の代わりに[中間体4-b]を使用した以外は同様の方法を合成して、[化合物145]を得た(収率52%)。
MS(MALDI-TOF):m/z625.23[M+
【0031】
合成例5
合成例5-1.[中間体5-aの合成]
前記合成例1-1で2,3-ジメチルインドールの代わりに5,10-ジヒドロ-10,10-ジメチルインデノ<1,2-b>インドールを使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンの代わりに1-ブロモ2-クロロ-3-フルオロベンゼンを使用した以外は同様の方法を合成して、[中間体5-a]を得た(収率55%)。
合成例5-2.[中間体5-bの合成]
前記合成例2-2で使用したフェノールの代わりに3-ブロモフェノールを使用した以外は同様の方法で合成して、[中間体5-b]を得た(収率61%)。
合成例5-3:[中間体5-c]の合成
前記合成例1-1で使用した2,3-ジメチルインドールの代わりに4-アミノビフェニルを使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンの代わりに1-ブロモジベンゾフランを使用した以外は同様の方法で合成して、[中間体5-c]を得た(収率61%)。
合成例5-4.[中間体5-dの合成]
前記合成例1-1で使用した2,3-ジメチルインドールの代わりに[中間体5-c]を使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンの代わりに[中間体5-b]を使用した以外は同様の方法で合成して、[中間体5-d]を得た(収率61%)。
合成例5-5.[化合物142]の合成
前記合成例1-3で[中間体1-b]の代わりに[中間体5-d]を使用した以外は同様の方法で合成して、[化合物142]を得た(収率52%)。
MS(MALDI-TOF):m/z742.28[M+
【0032】
実施例1~12:有機発光素子の製造
ITOガラスの発光面積が2mm×2mmのサイズとなるようにパターニングした後、洗浄した。前記ITOガラスを真空チャンバーに装着した後、ベース圧力が1×10-7torrとなるようにした後、前記ITOの上にDNTPD(700Å)、化学式H(300Å)の順に成膜した。発光層は、下記のホスト(BH1)と本発明のホウ素化合物(3wt%)とを混合して成膜(250Å)した後、電子輸送層として[化学式E-1]と[化学式E-2]を1:1の比で300Å、電子注入層として[化学式E-1]を5Å、Al(1000Å)の順に成膜して、有機発光素子を製造した。
前記有機発光素子の発光特性は、0.4mAで測定した。
【0033】
比較例1~3
前記実施例1~12で使用された化合物の代わりに[BD1]、[BD2]または[BD3]を使用した以外は同様にして有機発光素子を製作し、前記有機発光素子の発光特性は、0.4mAで測定した。前記[BD1]から[BD3]の構造は、次のとおりである。
【0034】
実施例1~12と比較例1~3によって製造された有機発光素子に対して、電圧及び外部量子効率を測定し、その結果を下記表1に示した。電圧と外部量子効率は、電流密度10mA/cm2で測定した。
【表1】
前記表1に示すように、本発明における実施例1~12による有機発光素子は、従来の技術による比較例1~3の化合物を使用した有機発光素子よりも発光効率に優れるうえ、低電圧駆動が可能であり、長寿命特性を示しており、有機発光素子としての応用可能性が高いことが分かる。
図1