(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】オレフィン重合用触媒およびこれを用いて調製されたオレフィン系重合体
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20230306BHJP
C08F 210/16 20060101ALI20230306BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20230306BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F210/16
C08F10/00
C08J5/18 CES
(21)【出願番号】P 2021535117
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2019017335
(87)【国際公開番号】W WO2020130452
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0163922
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ユジョン
(72)【発明者】
【氏名】ギム アルム
(72)【発明者】
【氏名】ソ ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ムンヒ
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-160859(JP,A)
【文献】特表2007-518871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0331501(US,A1)
【文献】国際公開第2012/033670(WO,A1)
【文献】特開平11-106432(JP,A)
【文献】特表2018-513223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0021183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/6592
C08F 210/16
C08F 10/00
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Aで表される第1遷移金属化合物および下記化学式Bで表される第2遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒:
【化1】
前記化学式AおよびBにおいて、nおよびoはそれぞれ0~3の整数であり、mおよびlはそれぞれ1または2の整数であり、
Mはジルコニウム(Zr)であり、
Xはそれぞれ独立してハロゲンであり、
Qは炭素(C)であり、
R
1およびR
2はそれぞれ独立してC
1-20アルキルであるか、または隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C
4-20環を形成し、
R
3~R
5はそれぞれC
1-20アルキルであり、
R
6およびR
7はそれぞれC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、またはC
6-20アリールであるが、R
6とR
7との少なくとも1つはC
1-20アルキルである。
【請求項2】
前記化学式Aで表される化合物が、下記化学式A-1~A-4で表される化合物のいずれか1つであり、前記化学式Bで表される化合物が、下記化学式B-1~B-3で表される化合物のいずれか1つである、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒:
【化2】
【請求項3】
前記第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物が20:1~1:20の重量比で含まれる、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項4】
下記化学式1で表される化合物、下記化学式2で表される化合物、および下記化学式3で表される化合物からなる群より選択される1つ以上の助触媒化合物をさらに含む、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒:
【化3】
[化学式3]
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または[L]
+[Z(A)
4]
-
前記化学式1において、nは2以上の整数であり、R
aはハロゲン原子、C
1~20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC
1~20炭化水素基であり、
前記化学式2において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、C
1~20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC
1~20炭化水素基、またはC
1~20アルコキシ基であり、
前記化学式3において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]
+および[L]
+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して、置換または非置換のC
6~20アリール基か、置換または非置換のC
1~20アルキル基である。
【請求項5】
前記化学式1で表される化合物が、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、およびブチルアルミノキサンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項6】
前記化学式2で表される化合物が、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項7】
前記化学式3で表される化合物が、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、およびトリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレートからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項8】
前記第1遷移金属化合物、前記第2遷移金属化合物、またはその両方とも担持する担体をさらに含む、請求項
4に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項9】
前記担体が、前記第1遷移金属化合物と、前記第2遷移金属化合物と、前記助触媒化合物とのいずれも担持する、請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項10】
前記担体に担持される前記第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物の総量が、担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり、前記担体に担持される前記助触媒化合物の量が、担体1gを基準に2mmol~15mmolである、請求項9に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項11】
前記担体が、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項12】
前記第1遷移金属化合物と前記第2遷移金属化合物とがともに担持されている混成担持触媒である、請求項8~10のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項13】
単一種の担体に前記第1遷移金属化合物と前記第2遷移金属化合物とがともに担持されている混成担持触媒である、請求項8~10のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項14】
前記第1遷移金属化合物と前記第2遷移金属化合物と前記助触媒化合物とが、ともにシリカに担持されている混成担持触媒である、請求項8~10のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体を重合する段階を含むオレフィン系重合体の製造方法であって、
前記オレフィン系重合体の
(1)多分散指数(Mw/Mn)による分子量分布が2.0~10.0、
(2)密度が0.910g/cm
3~0.940g/cm
3、
(3)2.16kg荷重で190℃にて測定する際、メルトインデックス(melt index)が0.2g/10分~10.0g/10分、
(4)メルトインデックス比(MI
21.6/MI
2.16)が20~30、および
(5)下記数式1で計算される広域直交組成分布指数(BOCDインデックス)が0~3.0である、オレフィン系重合体の製造方法:
[数式1]
BOCDインデックス=(高分子量成分中の短鎖分枝含有量-低分子量成分中の短鎖分枝含有量)/(低分子量成分中の短鎖分枝含有量)。
【請求項16】
重量平均分子量(Mw)が、50000g/mol~200000g/molである、請求項15に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項17】
オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体との共重合体である、請求項15に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項18】
前記オレフィン系単量体がエチレンであり、
前記オレフィン系共単量体がプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、および1-ヘキサデセンからなる群より選択される1つ以上である、請求項17に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項19】
前記オレフィン系重合体は、前記オレフィン系単量体がエチレンであり、前記オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである、線形低密度ポリエチレンである、請求項18に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項20】
請求項15~19のいずれか1項による前記オレフィン系重合体を成形する段階を含むフィルムの製造方法。
【請求項21】
ヘイズが30%以下であり、透明度が70%以上である、請求項20に記載のフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合用触媒およびこれを用いて調製されたオレフィン系重合体に関するものである。具体的に、本発明は、異種の遷移金属化合物を含む混成担持触媒およびこれを用いて調製され、加工性に優れ、機械的、光学的特性が良好なフィルムを製造し得るオレフィン系重合体、特に線形低密度ポリエチレンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オレフィンを重合するために用いられる触媒の1つであるメタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物に、シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)、インデニル(indenyl)、シクロヘプタジエニル(cycloheptadienyl)などのリガンドが配位結合された化合物として、サンドイッチ構造を基本的な形態として有する。
【0003】
オレフィンを重合するために用いられる別の触媒であるチーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒が、活性点である金属成分が不活性の固体表面に分散され、活性点の性質が均一でないのに対し、メタロセン触媒は、一定の構造を有する1つの化合物であるため、すべての活性点が同一の重合特性を有する単一活性点触媒(single-site catalyst)として知られている。このようなメタロセン触媒で重合された高分子は、分子量の分布が狭く、共単量体の分布が均一な特徴を示す。
【0004】
一方、線形低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene;LLDPE)は、重合触媒を使用して低圧にてエチレンとα-オレフィンとを共重合して調製され、分子量分布が狭く、一定の長さの短鎖分枝(short chain branch;SCB)を有し、一般的に長鎖分枝(long chain branch;LCB)を有しない。線形低密度ポリエチレンで製造されたフィルムは、一般的なポリエチレンの特性とともに、破断強度と伸び率が高く、引裂強度、衝撃強度などに優れ、従来の低密度ポリエチレン(low-density polyethylene)や高密度ポリエチレン(high-density polyethylene)の適用が難しいストレッチフィルム、オーバーラップフィルムなどに広く用いられている。
【0005】
メタロセン触媒により調製される線形低密度ポリエチレンは、加工性とフィルムのヘイズに優れると、フィルムの強度が低下する傾向がある。逆に、フィルムの強度が優れると、加工性とヘイズが低下する傾向がある。
【0006】
したがって、加工性に優れるだけでなく、機械的、光学的特性に優れるフィルムを提供し得るオレフィン系重合体調製用メタロセン触媒の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、異種の遷移金属化合物を含む混成担持触媒およびこれを用いて調製され、加工性に優れ、機械的、光学的特性が良好なフィルムを提供し得るオレフィン系重合体、特に線形低密度ポリエチレンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するための本発明の一具体例により、下記化学式Aで表される第1遷移金属化合物および下記化学式Bで表される第2遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒が提供される。
【0009】
【0010】
前記化学式AおよびBにおいて、nとoはそれぞれ0~5の整数であり、mおよびlはそれぞれ0~4の整数である。
【0011】
Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。
【0012】
Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド、またはC1-20アルキリデンである。
【0013】
Qは、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、または錫(Sn)である。
【0014】
R1~R5は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルであるが、R1~R5はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。
【0015】
R6およびR7はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルであるが、R6とR7との少なくとも1つは置換または非置換のC1-20アルキルである。
【0016】
具体的に、前記化学式AおよびBにおいて、nおよびoはそれぞれ0~3の整数であり、mおよびlはそれぞれ1または2であり、Xはそれぞれ独立してハロゲンであり、Mはジルコニウムであり、Qは炭素であり、R1およびR2はそれぞれ独立してC1-20アルキルであるか、隣接する基が結合して置換または非置換の不飽和C4-20環を形成し、R3~R5はそれぞれC1-20アルキルであり、R6およびR7はそれぞれC1-20アルキル、C2-20アルケニルまたはC6-20アリールであるが、R6とR7との少なくとも一つはC1-20アルキルである。
【0017】
好ましくは、前記化学式Aで表される化合物は、下記化学式A-1~A-4で表される化合物のいずれか1つであり、前記化学式Bで表される化合物は、下記化学式B-1~B-3で表される化合物のいずれか1つであり得る。
【0018】
【0019】
好ましくは、オレフィン重合用触媒が、前記第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物を20:1~1:20の重量比で含む。
【0020】
本発明の具体例によるオレフィン重合用触媒は、下記化学式1で表される化合物、化学式2で表される化合物および化学式3で表される化合物からなる群より選択される1つ以上の助触媒化合物をさらに含み得る。
【0021】
【0022】
前記化学式1において、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、C1~20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC1~20炭化水素基である。
【0023】
前記化学式2において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、C1~20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1~20炭化水素基またはC1~20アルコキシ基である。
【0024】
前記化学式3において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換のC6~20アリール基か、置換または非置換のC1~20アルキル基である。
【0025】
具体的に、前記化学式1で表される化合物は、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、およびブチルアルミノキサンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0026】
また、前記化学式2で表される化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0027】
また、前記化学式3で表される化合物は、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、およびトリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレートからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0028】
好ましくは、オレフィン重合用触媒が、前記第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物、またはその両方とも担持する担体をさらに含む。具体的に、担体が第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物、および助触媒化合物のいずれも担持し得る。
【0029】
ここで、担体に担持される第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物の総量は、担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり、担体に担持される助触媒化合物の量は、担体1gを基準に2mmol~15mmolである。
【0030】
具体的に、前記担体は、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも一つを含み得る。より具体的に、前記担体はシリカである。
【0031】
好ましくは、オレフィン重合用触媒が、第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物がともに担持されている混成担持触媒である。より好ましくは、単一種の担体に第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物がともに担持されている混成担持触媒である。
【0032】
具体的に、オレフィン重合用触媒が、第1遷移金属化合物と第2遷移金属化合物と助触媒化合物とが、ともにシリカに担持されている混成担持触媒である。
【0033】
本発明の他の具体例により、(1)多分散指数(Mw/Mn)による分子量分布が2.0~10.0、(2)密度が0.910g/cm3~0.940g/cm3、(3)2.16kg荷重で190℃にて測定する際、メルトインデックス(melt index)が0.2g/10分~10.0g/10分、および(4)メルトインデックス比(MI21.6/MI2.16)が20~30であるオレフィン系重合体が提供される。
【0034】
好ましくは、オレフィン系重合体の重量平均分子量(Mw)が、50000g/mol~200000g/molである。
【0035】
オレフィン系重合体の下記数式1で計算される広域直交組成分布指数(Broad Orthogonal Comonomer Distribution index、BOCDインデックス)が0~3.0である。
【0036】
[数式1]
BOCDインデックス=(高分子量成分中の短鎖分枝含有量-低分子量成分中の短鎖分枝含有量)/(低分子量成分中の短鎖分枝含有量)
【0037】
オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体との共重合体である。具体的に、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体がプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、および1-ヘキサデセンからなる群より選択される1つ以上である。
【0038】
好ましくは、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである、線形低密度ポリエチレンである。
【0039】
本発明の他の具体例により、オレフィン系重合体を成形して製造されるフィルムが提供される。
【0040】
前記フィルムは、ヘイズが30%以下であり、透明度が70%以上である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の具体例によるオレフィン重合用混成メタロセン触媒は、加工性に優れ、機械的、光学的特性が良好なフィルムを提供し得るオレフィン系重合体、特に、線形低密度ポリエチレンを調製することができる。したがって、これにより製造されるフィルムは、ストレッチフィルム、オーバーラップフィルムなどとして効果的に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図2】
図2は、本発明の実施例2におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の実施例3におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図4】
図4は、本発明の実施例4におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図5】
図5は、本発明の実施例5におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図6】
図6は、本発明の実施例6におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図7】
図7は、本発明の実施例7におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の実施例8におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の実施例9におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図10】
図10は、本発明の実施例10におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図11】
図11は、本発明の実施例11におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図12】
図12は、本発明の実施例12におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【
図13】
図13は、本発明の実施例13におけるオレフィン系重合体のBOCDインデックス測定のためのGPC-FTIRグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
[オレフィン重合用触媒]
本発明の一具体例によるオレフィン重合用触媒は、下記化学式Aで表される第1遷移金属化合物および下記化学式Bで表される第2遷移金属化合物を含む。
【0044】
【0045】
前記化学式AおよびBにおいて、nおよびoはそれぞれ0~5の整数であり、mおよびlはそれぞれ0~4の整数である。具体的に、nおよびoはそれぞれ0~3の整数であり、mおよびlはそれぞれ1または2であり得る。
【0046】
Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。具体的に、Mはジルコニウム(Zr)であり得る。
【0047】
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド、またはC1-20アルキリデンである。具体的に、Xはそれぞれハロゲンであり得る。より具体的に、Xはそれぞれ塩素(Cl)であり得る。
【0048】
Qは、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、または錫(Sn)である。具体的に、Qは炭素(C)であり得る。
【0049】
R1~R5はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルである。ただし、R1~R5はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。
【0050】
具体的に、R1およびR2はそれぞれ独立して、C1-20アルキルであるか、隣接する基が結合して置換または非置換の不飽和C4-20環を形成し得る。
【0051】
具体的に、R3はC1-20アルキルであり得る。より具体的に、R3はC1-6アルキルであり得る。好ましくは、R3はn‐ブチルである。
【0052】
具体的に、R4およびR5はそれぞれC1-20アルキルであり得る。より具体的に、R4およびR5はそれぞれC1-6アルキルであり得る。好ましくは、R4およびR5はそれぞれt‐ブチルである。
【0053】
R6およびR7はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルである。ただし、R6とR7との少なくとも1つは置換または非置換のC1-20アルキルである。
【0054】
具体的に、R6およびR7はそれぞれC1-20アルキル、C2-20アルケニルまたはC6-20アリールであるが、R6とR7との少なくとも一つはC1-20アルキルである。より具体的に、R6とR7との少なくとも一つはメチルである。
【0055】
本発明の好ましい具体例において、前記化学式Aで表される化合物は、下記化学式A-1~A-4で表される化合物のいずれか1つであり得る。また、前記化学式Bで表される化合物は、下記化学式B-1~B-3で表される化合物のいずれか1つであり得る。
【0056】
【0057】
本発明の具体例によるオレフィン重合用触媒は、前記第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物を20:1~1:20の重量比で含み得る。好ましくは、オレフィン重合用触媒が、第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物を10:1~1:10の重量比で含み得る。より好ましくは、オレフィン重合用触媒が、第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物を6:4~4:6の重量比で含み得る。第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物の含有量比が前記範囲内であると、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の面から有利であり得る。さらに、前記範囲を満足するオレフィン重合用触媒の存在下で調製されたオレフィン系重合体は優れた加工性を示し、これにより製造されるフィルムは、良好な強度およびヘイズを示し得る。
【0058】
一般に、少量の短鎖分枝(short chain branch;SCB)を含むオレフィン系重合体は、光学性において劣勢を示すものと知られており、多量の長鎖分枝(long chain branch;LCB)を含むオレフィン系重合体は、過度に高い弾性を有して、機械的物性において劣勢を示すものと知られている。
【0059】
前記第1遷移金属化合物を単独で用いて得られたオレフィン系重合体の場合、少量の短鎖分枝を含み、光学性において比較的劣勢を示し、前記第2遷移金属化合物を単独で用いて得られたオレフィン系重合体の場合は、多量の短鎖分枝と長鎖分枝とを含み、光学性においては優れた特性を示すが、機械的物性において比較的劣勢を示す。すなわち、第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物をそれぞれ単独で用いたり、第1遷移金属化合物または第2遷移金属化合物のいずれかの割合が高すぎたりすると、光学性および機械的物性のいずれも満足させるのは難しくなり得る。
【0060】
一方、前記第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物を20:1~1:20の重量比、具体的に、6:4~4:6の重量比で含むオレフィン重合用触媒の場合、優れた加工性と良好なヘイズおよび透明度を示すオレフィン系重合体を得られ得る。
【0061】
好ましい実施例として、本発明の具体例によるオレフィン重合用触媒は、助触媒化合物をさらに含み得る。
【0062】
ここで、助触媒化合物は、下記化学式1で表される化合物、化学式2で表される化合物、および化学式3で表される化合物のうち1つ以上を含み得る。
【0063】
【0064】
前記化学式1において、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、C1‐20の炭化水素、またはハロゲンで置換されたC1‐20炭化水素であり得る。具体的に、Raはメチル、エチル、n-ブチル、またはイソブチルであり得る。
【0065】
【0066】
前記化学式2において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、C1‐20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1‐20炭化水素基、またはC1‐20アルコキシ基である。具体的に、Dがアルミニウム(Al)のとき、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立してメチルまたはイソブチルであり、Dがボロン(B)のとき、Rb、RcおよびRdはそれぞれペンタフルオロフェニルであり得る。
【0067】
[化学式3]
[L-H]+[Z(A)4]-または[L]+[Z(A)4]-
【0068】
前記化学式3において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して、置換または非置換のC6‐20アリール基か、置換または非置換のC1‐20アルキル基である。具体的に、[L-H]+はジメチルアニリニウム陽イオンであり、[Z(A)4]-は[B(C6F5)4]-であり、[L]+は[(C6H5)3C]+であり得る。
【0069】
前記化学式1で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0070】
また、前記化学式2で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロン等が挙げられ、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0071】
また、前記化学式3で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート等が挙げられる。
【0072】
好ましい実施例として、本発明の一具体例によるオレフィン重合用触媒は、前記第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物、またはその両方とも担持する担体をさらに含み得る。好ましくは、オレフィン重合用触媒が、前記第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物、および助触媒化合物のいずれも担持する担体をさらに含み得る。
【0073】
この際、担体は、表面にヒドロキシ基を含有する物質を含んでよく、好ましくは、乾燥され表面から水分が除去された、反応性の大きいヒドロキシ基とシロキサン基とを有する物質が使用され得る。例えば、担体は、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。具体的に、高温で乾燥されたシリカ、シリカ-アルミナ、およびシリカ-マグネシア等が担体として用いられ、これらは通常、Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO3)2等の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分を含有し得る。また、これらは、炭素、ゼオライト、塩化マグネシウム等をも含み得る。ただし、担体はこれらに限定されるものではなく、第1および第2遷移金属化合物と助触媒化合物とを担持し得るものであれば特に限定されない。
【0074】
担体は、平均粒度が10μm~250μmであり、好ましくは、平均粒度が10μm~150μmであり、より好ましくは20μm~100μmであり得る。
【0075】
担体の微細気孔の体積は0.1cc/g~10cc/gであり、好ましくは0.5cc/g~5cc/gであり、より好ましくは1.0cc/g~3.0cc/gであり得る。
【0076】
担体の比表面積は、1m2/g~1000m2/gであり、好ましくは100m2/g~800m2/gであり、より好ましくは200m2/g~600m2/gであり得る。
【0077】
好ましい一実施例において、担体がシリカである場合、シリカの乾燥温度は200℃~900℃であり得る。乾燥温度は、好ましくは300℃~800℃、より好ましくは400℃~700℃であり得る。乾燥温度が200℃未満であると、水分が多すぎて表面の水分と助触媒が反応することとなり、900℃を超えると、担体の構造が崩壊され得る。
【0078】
乾燥されたシリカ内のヒドロキシ基の濃度は0.1mmol/g~5mmol/gであり、好ましくは0.7mmol/g~4mmol/gであり、より好ましくは1.0mmol/g~2mmol/gであり得る。ヒドロキシ基の濃度が0.1mmol/g未満であると、助触媒の担持量が低くなり、5mmol/gを超えると、触媒成分が不活性化する問題が発生し得る。
【0079】
オレフィン重合用触媒に使用され得る遷移金属化合物および/または助触媒化合物を担持する方法として、物理的吸着方法または化学的吸着方法が使用され得る。
【0080】
例えば、物理的吸着方法は、遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥する方法、遷移金属化合物と助触媒化合物とが溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥する方法、または遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥して、遷移金属化合物が担持されている担体を調製し、これとは別に、助触媒化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥して、助触媒化合物が担持されている担体を調製した後、これらを混合する方法等であり得る。
【0081】
化学的吸着方法は、担体の表面に助触媒化合物を先に担持させた後、助触媒化合物に遷移金属化合物を担持させる方法、または担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合、シリカ表面のヒドロキシ基(-OH))と触媒化合物を共有結合させる方法等であり得る。
【0082】
担体に担持される第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物の総量は、担体1gを基準に、0.001mmol~1mmolであり得る。遷移金属化合物と担体との比が前記範囲を満足すると、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の面から有利である。
【0083】
担体に担持される助触媒化合物の量は、担体1gを基準に2mmol~15mmolであり得る。助触媒化合物と担体との比が前記範囲を満足すると、触媒の活性維持および経済性の面から有利である。
【0084】
担体は、1種または2種以上が使用され得る。例えば、1種の担体に第1遷移金属化合物と第2遷移金属化合物とがいずれも担持されても良く、2種以上の担体に第1遷移金属化合物と第2遷移金属化合物とがそれぞれ担持されても良い。また、第1遷移金属化合物と第2遷移金属化合物とのいずれか一方のみ担体に担持されても良い。
【0085】
好ましくは、オレフィン重合用触媒は、第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物がともに担持されている混成担持触媒である。より好ましくは、単一種の担体に第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物がともに担持されている混成担持触媒である。
【0086】
例えば、オレフィン重合用触媒は、第1遷移金属化合物と第2遷移金属化合物と助触媒化合物とが、ともにシリカに担持されている混成担持触媒であり得る。ただし、本発明の実施例がこれに限定されるものではない。
【0087】
[オレフィン系重合体]
本発明の他の具体例により、前述のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体が重合され調製されるオレフィン系重合体が提供される。
【0088】
なお、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体の単独重合体(homopolymer)、またはオレフィン系単量体と共単量体との共重合体(copolymer)であり得る。
【0089】
オレフィン系単量体は、C2-20α-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cycloolefin)、およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0090】
例えば、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、または1-ヘキサデセン等であり、オレフィン系重合体は、前記例示のオレフィン系単量体を1種のみ含む単独重合体か、または2種以上を含む共重合体であり得る。
【0091】
例示的な実施例において、オレフィン系重合体は、エチレンとC3-20α-オレフィンとが共重合された共重合体でよく、エチレンと1-ヘキセンとが共重合された共重合体が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0092】
この場合、エチレンの含有量は55重量%~99.9重量%が好ましく、90重量%~99.9重量%がより好ましい。α-オレフィン系共単量体の含有量は0.1重量%~45重量%が好ましく、0.1重量%~10重量%がより好ましい。
【0093】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体は、例えば、フリーラジカル(free radical)、陽イオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応により重合され得るが、これらに限定されるものではない。
【0094】
好ましい実施例として、オレフィン系重合体は、気相重合法、溶液重合法、またはスラリー重合法などにより調製され得る。オレフィン系重合体が溶液重合法またはスラリー重合法により調製される場合、使用され得る溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒;およびこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体は、(1)多分散指数(Mw/Mn)による分子量分布が2.0~10.0、(2)密度が0.910g/cm3~0.940g/cm3、(3)2.16kg荷重で190℃にて測定する際、メルトインデックス(melt index)が0.2g/10分~10.0g/10分、および(4)メルトインデックス比(MI21.6/MI2.16)が20~30を満足する。
【0096】
前記オレフィン系重合体は、前述の混成担持オレフィン重合用触媒の存在下で重合され、比較的広い分子量分布を有する。具体的に、オレフィン系重合体の多分散指数(Mw/Mn)による分子量分布は2.0~10.0である。好ましくは、オレフィン系重合体の多分散指数(Mw/Mn)による分子量分布が2.0~5.5、より好ましくは2.5~5.0であり得る。オレフィン系重合体が比較的広い分子量分布を有することにより、オレフィン系重合体が優れた加工性を示し、これにより製造されるフィルムの耐衝撃強度が良好であり得る。
【0097】
前記オレフィン系重合体は、密度が0.910g/cm3~0.940g/cm3範囲である線形低密度ポリエチレン共重合体である。好ましくは、オレフィン系重合体の密度が0.915g/cm3~0.938g/cm3、より好ましくは、0.920g/cm3~0.935g/cm3である。オレフィン系重合体の密度がこの範囲内であると、該オレフィン系重合体から製造されるフィルムの耐衝撃強度が良好であり得る。
【0098】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体を調製するにおいて、オレフィン系重合体の密度は、エチレン含有量に対するα-オレフィン、好ましくは1-ヘキセンの含有量によって調節され得る。例えば、エチレンに対するα-オレフィンの含有量が少ないほど密度は高くなり、α-オレフィンの含有量が多いほど密度は低くなる。したがって、オレフィン系重合体中のエチレン含有量に対するα-オレフィンの含有量を調節することにより、前記範囲に属する密度を有するオレフィン系重合体を調製することができる。
【0099】
本発明のオレフィン系重合体は、ASTM D1238に基づいて2.16kg荷重で190℃にて測定する際、メルトインデックスが0.2g/10分~10.0g/10分である。好ましくは、オレフィン系重合体の2.16kg荷重で190℃にて測定する際、メルトインデックスが0.3g/10分~5.0g/10分、より好ましくは0.3g/10分~2.0g/10分の範囲である。オレフィン系重合体のメルトインデックスがこの範囲内であると、オレフィン系重合体の加工性と、これにより得られるフィルムの機械的物性とを調和させ得る。
【0100】
前記オレフィン系重合体は、ASTM D1238に基づいて21.6kgの荷重で190℃にて測定されたメルトインデックスを、2.16kg荷重で190℃にて測定されたメルトインデックスで割った値(melt flow ratio;MFR)が20~30である。好ましくは、オレフィン系重合体のMFRが22~29の範囲である。オレフィン系重合体のMFRが前記範囲内であると、優れた加工性を示し、特にインフレーションフィルム(blown-film)の製造に適する。
【0101】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が50000g/mol~250000g/molであり得る。好ましくは、重量平均分子量が90000~g/mol~160000g/molであり得る。なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography;GPC)を用いて測定した標準ポリスチレン基準の換算値である。オレフィン系重合体の重量平均分子量がこの範囲内であると、これにより製造されるフィルムの機械的物性が良好であり得る。
【0102】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体は、BOCDインデックスが0~3.0であり得る。
【0103】
なお、BOCDインデックスとは、重合体の主鎖(main chain)に付いている炭素数2~6の短鎖分枝が相対的に高分子量の成分にどのくらい存在するかを示す尺度である。BOCDインデックスが0以下であるとBOCD構造の重合体ではなく、0よりも大きいとBOCD構造の重合体と見做せる。
【0104】
GPC-FTIR装置を用いて、重合体の分子量、分子量分布および短鎖分枝含有量を同時に連続的に測定し得るが、BOCDインデックスは、重量平均分子量(Mw)を基準に、分子量分布(MWD)の左右30%(総60%)の範囲で短鎖分枝の含有量(単位:個/1000C)を測定して下記数式1で計算できる。
【0105】
[数式1]
BOCDインデックス=(高分子量成分中の短鎖分枝含有量-低分子量成分中の短鎖分枝含有量)/(低分子量成分中の短鎖分枝含有量)
【0106】
BOCD構造を有する重合体は、低分子量成分よりも相対的に物性を担当する高分子量成分に短鎖分枝のようなタイ分子(tie molecular)が多く存在することにより、重合体が優れた耐衝撃強度などの物性を有し得る。
【0107】
[フィルム]
本発明のまた他の具体例により、オレフィン系重合体を成形して製造されるフィルムが提供される。
【0108】
本発明の具体例によるフィルムは、本発明のオレフィン系重合体を含むことにより、ヘイズ、透明度のような光学性および耐衝撃強度のような機械的特性が良好である。本発明のオレフィン系重合体は、比較的広い分子量分布を有し、高分子量成分に短鎖分枝が相対的に多く存在するため、これにより製造されるフィルムのヘイズと透明度が良好であるものと理解される。
【0109】
具体的に、本発明の具体例によるフィルムは、ヘイズが30%以下であり、透明度が70%以上である。
【0110】
例示的な実施例において、本発明のフィルムは、ヘイズが28%以下、好ましくは27%以下、より好ましくは26.5%以下である。
【0111】
また、本発明のフィルムは透明度が70%以上、好ましくは75%以上である。
【0112】
本発明の具体例によるフィルムの製造方法は特に制限されず、本発明が属する技術分野に公知の方法を使用し得る。例えば、本発明の具体例によるオレフィン系重合体を、インフレーションフィルム(Blown-film)成形、押出成形、キャスティング成形などの通常の方法により加工してフィルムを製造し得る。中でも、インフレーションフィルム成形が最も好ましい。
【実施例】
【0113】
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0114】
(調製例1)
sPCI社から購入した前記化学式A-1、A-2およびA-3の遷移金属化合物を精製過程なく使用しており、前記化学式A-4およびB-1~B-3の遷移金属化合物は、MCN社から購入して追加の精製過程なく使用した。
【0115】
前記化学式A-1の化合物0.024gと、前記化学式B-1の化合物0.035gとを、グローブボックス内でメチルアルミノキサン(MAO)10重量%のトルエン溶液14.0gと混合し、1時間常温にて撹拌した。一方、シリカ(XP2402)3.5gを反応器に投入し、精製されたトルエン30mlを加えて混合した。その後、シリカスラリーに遷移金属化合物溶液を注入し、75℃のオイル槽で3時間撹拌した。担持が終わった触媒をトルエンにより3回洗浄し、60℃の真空下で30分間乾燥させ、自由流動性粉体状の混成担持触媒4.8gを得た。
【0116】
(調製例2~13)
前記化学式の第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物を、下記表1の種類および含有量で使用したことを除いては、調製例1と同様の方法により混成担持触媒を調製した。
【0117】
(実施例1)
2Lのオートクレーブ(autoclave)反応器を用いて調製例1で得られた混成担持触媒の存在下で、エチレン/1-ヘキセン共重合体を調製した。具体的に、反応器を100℃にて約1時間窒素でパージして水分および酸素を除去した。この反応器にヘキサン0.8Lを注入し、200rpmで撹拌して重合温度を合わせた。次いで、反応器に1Mのトリイソブチルアルミニウム(TIBAL)0.5mLを注入した後、担持触媒30.0mgとCA200(Univation、添加物)0.5重量%とを0.2Lのヘキサンとともに押し込んで反応器に注入した。反応器の温度が80℃に達すると、ヘキサンの蒸気圧を含む合計1kgf/cm2になるように窒素を注入した後、14kgf/cm2エチレンを注入して、総圧力を15kgf/cm2に合わせた。その後、反応器を1000rpmで撹拌しながらシリンジポンプ(syringe pump)により共単量体の1-ヘキセンと水素とを注入した。1時間反応を行った後、反応器を冷やし反応ガスを除去して、反応器を開けて生成された高分子を得た。生成された線形低密度ポリエチレンを、常温で乾燥した後、質量を測定した。
【0118】
次いで、40mm径のスクリュー、75mm径のダイおよび2mmダイギャップを有する押出機により、80rpmのスクリュー速度でエチレン/1-ヘキセン共重合体を押出し、2.0のブロー-アップ比でインフレーションフィルムを成形して厚さ50μmのフィルムを得た。
【0119】
(実施例2~13)
調製例2~13で得られた混成担持触媒をそれぞれ使用したことを除いては、実施例1と同様の方法により、エチレン/1-ヘキセン共重合体を調製した。次いで、実施例1と同様の方法により成形して、厚さ50μmのフィルムを得た。
【0120】
実施例1~13において、触媒の組成、反応器内の1-ヘキセンの量、および触媒活性は、下記表1に示す通りである。
【0121】
【0122】
(試験例)
前記実施例の樹脂およびフィルムの物性を、下記のような方法および基準に従って測定した。その結果を、下記表2および表3にそれぞれ示した。
【0123】
(1)メルトインデックス(melt index)
ASTM D1238に基づいて2.16kgの荷重で190℃にて測定した。
【0124】
(2)メルトインデックス比(melt flow ratio;MFR)
ASTM D 1238に基づいて2.16kgの荷重と21.6kgの荷重とで190℃にてそれぞれメルトインデックスを測定し、その比(MI21.6/MI2.16)を求めた。
【0125】
(3)密度(density)
ASTM D1505に基づいて測定した。
【0126】
(4)分子量および分子量分布
ゲル透過クロマトグラフィー-フーリエ変換赤外分光光度計(GPC-FTIR)を用いて測定した。
【0127】
(5)BOCDインデックス
ゲル透過クロマトグラフィー-フーリエ変換赤外分光光度計(GPC-FTIR)を用いて測定した。
【0128】
(6)短鎖分枝(SCB)の数
ゲル透過クロマトグラフィー-フーリエ変換赤外分光光度計(GPC-FTIR)を用いて測定した。
【0129】
(7)ヘイズ(haze)
ASTM D1003に基づいてインフレーションフィルムのヘイズを測定した。
【0130】
(8)透明度
ASTM D1003に基づいてインフレーションフィルムの透明度を測定した。
【0131】
【0132】
表2から確認されるように、本発明の実施例において調製された混成担持触媒の存在下で生産されたオレフィン系重合体は、分子量分布が比較的広く、高分子量成分に短鎖分枝が相対的に多く存在する。特に、オレフィン系重合体のMFRが十分に大きいので加工性に優れる。また、オレフィン系重合体のBOCDインデクス値が正の値を示すので機械的物性が良好であり、これにより製造されたフィルムのヘイズや透明度のような光学的特性も良好である。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の具体例による混成担持触媒は、加工性に優れるオレフィン系重合体を提供することができ、該オレフィン系重合体により製造されるフィルムは、機械的、光学的物性が良好で、ストレッチフィルム、オーバーラップフィルム、ラミー(ramie)、サイレージラップ、農業用フィルムなどとして効果的に使用され得る。