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特許7238165ディスプレイの下にあるセンサの性能を向上させるための方法及び構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ディスプレイの下にあるセンサの性能を向上させるための方法及び構成
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230306BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20230306BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230306BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230306BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230306BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230306BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230306BHJP
   G09G 3/3225 20160101ALI20230306BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230306BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/302 C
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/12 B
G09F9/00 366A
G09G3/20 691D
G09G3/20 680G
G09G3/20 680H
G09G3/20 624B
G09G3/20 670E
G09G3/3225
G09G3/20 642K
G09G3/20 642L
G09G3/20 642D
G09G3/20 612A
G06F3/041 490
G06F3/044 122
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021562890
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 US2020027195
(87)【国際公開番号】W WO2020219267
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】16/825,978
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/837,628
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】リュートルト-ルイ ウォーレン エス
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウー シク
(72)【発明者】
【氏名】ジャムシディ ルードバリ アバス
(72)【発明者】
【氏名】イェ シン-フン
(72)【発明者】
【氏名】グラゾウスキ クリストファー イー
(72)【発明者】
【氏名】ギユー ジャン-ピエール エス
(72)【発明者】
【氏名】チェ ユチ
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109207920(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108269840(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0089485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H05B 33/00 - 33/28
H10K 50/00 - 99/00
G09G 3/00-5/42
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブエリア内に形成された画素を有するディスプレイと、
前記ディスプレイの下にあるセンサと、
不透明マスクとを含む、電子デバイスであって、
前記ディスプレイは前記センサに少なくとも部分的に重なる画素除去領域を含み、
前記アクティブエリアは第1の画素密度を有し、
前記画素除去領域は前記第1の画素密度よりも低い第2の画素密度を有し、
前記画素除去領域は、それぞれが薄膜トランジスタを欠いている複数の画素無し領域を含み、
前記不透明マスクは、前記複数の画素無し領域に整列された開口部を有する、電子デバイス。
【請求項2】
前記複数の画素無し領域のそれぞれが、電源線を更に欠いている、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記複数の画素無し領域内の水平及び垂直制御線が、前記ディスプレイを通って前記センサへ進む光の回折量を低減する連続的な開放エリアを提供するように再ルーティングされている、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記複数の画素無し領域のそれぞれが、前記画素除去領域内に連続的な開放エリアの行を含む、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第2の画素密度が、前記第1の画素密度の半分である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記第2の画素密度が、前記第1の画素密度の半分未満である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記ディスプレイが、前記画素除去領域から物理的に分離されている追加の画素除去領域を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記画素除去領域が、第1の色の第1のサブ画素及び第2の色の第2のサブ画素を含み、前記第1のサブ画素の密度が、前記画素除去領域内の前記第2のサブ画素の密度とは異なる、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記画素除去領域が、青色サブ画素及び赤色サブ画素を含み、前記青色サブ画素の密度が、前記画素除去領域内の前記赤色サブ画素の密度よりも低い、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記画素除去領域が、緑色サブ画素、青色サブ画素、及び赤色サブ画素を含み、前記青色サブ画素の密度が、前記画素除去領域内の前記青色サブ画素の密度に等しく、前記赤色サブ画素の密度に等しい、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記アクティブエリア内の前記画素が、第1のサブ画素を含み、前記画素除去領域が、前記アクティブエリアの前記第1のサブ画素よりも大きいダイオードを有する第2のサブ画素を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記ディスプレイの上に形成された導電性タッチセンサメッシュを更に備え、前記導電性タッチセンサが前記画素除去領域と重なる、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記ディスプレイの上に形成された導電性タッチセンサメッシュを更に備え、前記導電性タッチセンサが前記画素除去領域と重ならない、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記画素除去領域が、それぞれがダミー接点を欠いている複数の画素無し領域を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記画素除去領域が、それぞれがダミー接点を有する複数の画素無し領域を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記ディスプレイが、前記画素除去領域内で選択的にパターン化されて、前記センサへの、前記ディスプレイを通る光の透過率を増大させるブランケット層を含み、前記ブランケット層が、基板保護層、ゲート誘電体層、無機パッシベーション層、及び有機画素画定層からなる群から選択された表示層である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項17】
アクティブエリア内に形成された画素と、
前記アクティブエリア内の所与の領域内に形成された画素と、を含むディスプレイであって、
前記アクティブエリア内の前記画素が第1の画素密度で形成され、
前記所与の領域内の前記画素が、前記第1の画素密度よりも低い第2の画素密度で形成されて、前記所与の領域を通る光の透過率を増大させるように構成され、
前記所与の領域は、それぞれがダミー接点を含む複数の画素無し領域を含む、ディスプレイ。
【請求項18】
少なくとも1つのブランケット層を有するディスプレイスタックと、
前記ディスプレイスタックによって少なくとも部分的に覆われた光センサと、を含む、装置であって、
前記少なくとも1つのブランケット層は、選択的にパターン化されて、前記ディスプレイスタックを通る前記光センサへの光透過率を増大させるように構成され、
前記少なくとも1つのブランケット層は、基板保護層及びゲート誘電体層からなる群から選択される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して電子デバイスに関し、特に、ディスプレイを有する電子デバイスに関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月20日付出願の米国特許出願第16/825,978号、及び2019年4月23日付出願の米国仮特許出願第62/837,628号に対する優先権を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、多くの場合、ディスプレイを含む。例えば、電子デバイスは、有機発光ダイオード画素に基づいた有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを有してもよい。このタイプのディスプレイでは、各画素は、発光ダイオードと、光を生成するために、発光ダイオードへの信号の印加を制御するための薄膜トランジスタとを含む。発光ダイオードは、アノードとカソードとの間に配置されたOLED層を含んでもよい。
【0003】
フルフェイスディスプレイを用いたボーダレス電子デバイスへの動向がある。しかしながら、これらのデバイスは、他のデバイス能力を提供するために、カメラ、周辺光センサ、及び近接センサなどのセンサを依然として含む必要があり得る。今ではディスプレイが電子デバイスの前面全体を覆うため、センサはディスプレイスタックの下に配置しなければならない。しかしながら、実際には、ディスプレイスタックを通る光の透過量は非常に少なく(すなわち、透過率は可視スペクトルにおいて20%未満であり得る)、ディスプレイの下での感知性能を大幅に制限する。
【0004】
本明細書に記載される実施形態は、こうした背景から生まれたものである。
【発明の概要】
【0005】
電子デバイスは、ディスプレイと、ディスプレイの下に形成された光センサとを含み得る。ディスプレイ上の画素除去領域は、センサと少なくとも部分的に重なり得る。画素除去領域は、それぞれが薄膜トランジスタを欠いている複数の非画素領域を含み得る。複数の非画素領域は、センサへの、ディスプレイを通る光の透過率を増大させるように構成されている。1つの好適な構成では、画素除去領域内の全ての表示サブ画素のうちの半分を除去して、センサへの、ディスプレイを通る光の透過率を増大させることができる。概して、画素除去領域内の全ての表示サブ画素のうちの10~90%を除去することにより、センサへの、ディスプレイを通る光の透過率を増大させることができる。
【0006】
一実施形態によれば、画素除去領域内の全ての表示サブ画素のサブセットは、同じ色の最も近い隣接するサブ画素を反復的に取り除くことによって除去されてもよい。ディスプレイは、同じ又は異なるサイズ/形状である2つ以上の画素除去領域を含んでもよい。画素除去領域は、ディスプレイの縁部全体に及んでもよい。画素除去領域は、ディスプレイの角部に及んでもよい。画素除去領域は、ディスプレイ内のノッチエリアに及んでもよい。画素除去領域はまた、表示エリア全体に及んでもよい。画素除去領域は、任意選択的に、ディスプレイの任意の部分に及んでもよい。
【0007】
複数の非画素領域はまた、垂直電源ルーティングトレースを欠いていてもよい。所望であれば、複数の非画素領域内の少なくとも一部の水平及び垂直制御線は、ディスプレイを通ってセンサに進む光の回折量を低減する連続的な開放エリアを提供するように再ルーティングされる。複数の非画素領域のそれぞれはまた、ダミー接点を欠いていてもよく、或いは、画素除去領域内の発光電流の均一性を提供するのに役立つダミー接点を含んでもよい。
【0008】
電子デバイスは、ディスプレイの上に形成された導電性タッチセンサメッシュを更に含んでもよい。1つの好適な構成では、導電性タッチセンサメッシュは、画素除去領域から除去されない。別の好適な構成では、導電性タッチセンサメッシュは、画素除去領域から完全に除去される。更に別の好適な構成では、導電性タッチセンサメッシュは、画素除去領域から部分的にのみ除去される。ディスプレイは、画素除去領域内で選択的にパターン化することで、センサへの、ディスプレイを通る光の透過率を増大させるブランケット層を更に含んでもよい。ブランケット層は、基板保護層、ゲート誘電体層、無機パッシベーション層、及び有機画素画定層からなるグループから選択される表示層であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る、ディスプレイ及び1つ以上のセンサを有する例示的な電子デバイスの概略図である。
図2A】一実施形態に係る、発光要素を備えた例示的なディスプレイの概略図である。
図2B】一実施形態に係る、例示的な表示画素の回路図である。
図3】一実施形態に係る、少なくとも部分的にセンサを覆う例示的なディスプレイスタックの側断面図である。
図4A】いくつかの実施形態に係る、光透過率を向上させるための様々な画素除去スキームを示す上面図である。
図4B】いくつかの実施形態に係る、光透過率を向上させるための様々な画素除去スキームを示す上面図である。
図4C】いくつかの実施形態に係る、光透過率を向上させるための様々な画素除去スキームを示す上面図である。
図4D】いくつかの実施形態に係る、光透過率を向上させるための様々な画素除去スキームを示す上面図である。
図5A】一実施形態に係る、赤色サブ画素を体系的に除去し得る方法を示す上面レイアウト図である。
図5B】一実施形態に係る、図5Aの配置から、追加の赤色サブ画素を更に体系的に除去し得る方法を示す上面レイアウト図である。
図6A】一実施形態に係る、図5Aに示すプロセスに従う例示的な画素除去スキームを示す図である。
図6B】一実施形態に係る、図5Aに示すプロセスに従う例示的な画素除去スキームを示す図である。
図6C】一実施形態に係る、不均一サブ画素省略を示す図である。
図6D】一実施形態に係る、別の例示的な画素除去スキームを示す図である。
図6E】一実施形態に係る、垂直画素除去スキームを示す図である。
図6F】一実施形態に係る、2回の画素除去反復後の画素配置の図である。
図6G】一実施形態に係る、緑色サブ画素がより多く除去された画素配置の図である。
図6H】一実施形態に係る、画素除去後の非ペンタイル画素配置の図である。
図7A】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイが、図4図6のスキームを使用して画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、電子デバイスディスプレイの正面図である。
図7B】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイが、図4図6のスキームを使用して画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、電子デバイスディスプレイの正面図である。
図7C】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイが、図4図6のスキームを使用して画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、電子デバイスディスプレイの正面図である。
図7D】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイが、図4図6のスキームを使用して画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、電子デバイスディスプレイの正面図である。
図7E】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイが、図4図6のスキームを使用して画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、電子デバイスディスプレイの正面図である。
図7F】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイが、図4図6のスキームを使用して画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、電子デバイスディスプレイの正面図である。
図7G】一実施形態に係る、ディスプレイが、曲線状の縁部において画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、電子デバイスディスプレイの側断面図である。
図8A】一実施形態に係る、サブ画素トランジスタを選択的に除去して透過率を増大させ得る方法を示す、上面レイアウト図である。
図8B】一実施形態に係る、除去されたトランジスタの上の電力線も省略して、透過率を更に増大させ得る方法を示す、上面レイアウト図である。
図8C】一実施形態に係る、光回折を低減するために、水平及び垂直ルーティング線を再ルーティングして、より大きな連続開口部を提供し得る方法を示す、上面レイアウト図である。
図8D】一実施形態に係る、サブ画素構造が単一の行に沿って再配置される方法を示す、上面レイアウト図である。
図8E】一実施形態に係る、サブ画素構造のサイズを拡大し得る方法を示す、上面レイアウト図である。
図8F】一実施形態に係る、不透明マスクを使用してアパーチャ開口部を画定し得る方法を示す、上面レイアウト図である。
図9A】一実施形態に係る、画素除去領域の上に形成された例示的なタッチ導電性メッシュ回路を示す、上面レイアウト図である。
図9B】一実施形態に係る、タッチ導電性メッシュ回路が画素除去領域の上で部分的に除去され得る方法を示す、上面レイアウト図である。
図10A】一実施形態に係る、サブ画素トランジスタが除去されている領域がどのようにダミー接点を欠いているかを示す、上面レイアウト図である。
図10B】一実施形態に係る、サブ画素トランジスタが除去されている領域がどのようにダミー接点を含むかを示す、上面レイアウト図である。
図10C】一実施形態に係る、ダミー接点の存在が発光電流プロファイルを改善するのに役立ち得る方法を示す、発光電流対ゲート-ソース間電圧のプロットである。
図11】一実施形態に係る、ディスプレイスタック内のブランケット層の少なくとも一部を選択的にパターン化することで光透過率を改善し得る方法を示す、例示的なディスプレイスタックの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ディスプレイを備え得るタイプの例示的な電子デバイスを、図1に示す。電子デバイス10は、ラップトップコンピュータ、組み込み型コンピュータを含むコンピュータモニタ、タブレットコンピュータ、セルラー電話機、メディアプレーヤ、又は他のハンドヘルド型若しくはポータブル型の電子デバイスなどのコンピューティングデバイス、腕時計型デバイス、ペンダント型デバイス、ヘッドホン型若しくはイヤホン型デバイス、眼鏡若しくはユーザの頭部上に装着される他の機器内に組み込まれたデバイス、又は他のウェアラブル若しくは小型のデバイスなどのより小さいデバイス、ディスプレイ、組み込み型コンピュータを含むコンピュータディスプレイ、組み込み型コンピュータを含まないコンピュータディスプレイ、ゲーミングデバイス、ナビゲーションデバイス、ディスプレイを有する電子機器がキオスク若しくは自動車内に装着されているシステムなどの組み込み型システム、あるいは他の電子機器であることができる。電子デバイス10は、一対の眼鏡(例えば、支持フレーム)の形状を有してもよく、ヘルメット形状を有する筐体を形成してもよく、又はユーザの頭部上若しくは眼の近くに1つ以上のディスプレイの構成要素を装着及び固定するのに役立つ他の構成を有してもよい。
【0011】
図1に示すように、電子デバイス10は、デバイス10の動作をサポートするための制御回路16を含むことができる。制御回路16は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はソリッドステートドライブを形成するように構成されている他の電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的ランダムアクセスメモリ)などの記憶装置を含む場合がある。制御回路16内の処理回路は、デバイス10の動作を制御するために使用される場合がある。処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ベースバンドプロセッサ、電力管理ユニット、オーディオチップ、特定用途向け集積回路などに基づいてもよい。
【0012】
入出力デバイス12などのデバイス10内の入出力回路を使用して、データをデバイス10へ供給することを可能にしてもよく、データをデバイス10から外部デバイスへ提供することを可能にしてもよい。入出力デバイス12は、ボタン、ジョイスティック、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロフォン、スピーカ、音源、振動器、カメラ、センサ、発光ダイオード、及び他の状態インジケータ、データポートなどを含むことができる。ユーザは、入出力デバイス12の入力リソースを介してコマンドを供給することによって、デバイス10の動作を制御することができ、入出力デバイス12の出力リソースを使用して、デバイス10から状態情報及び他の出力を受信することができる。
【0013】
入出力デバイス12は、ディスプレイ14などの1つ以上のディスプレイを含んでもよい。ディスプレイ14は、ユーザからのタッチ入力を取り入れるためのタッチセンサを含むタッチスクリーンディスプレイであることができ、又はディスプレイ14は、タッチセンシティブでなくてもよい。ディスプレイ14用のタッチセンサは、容量性タッチセンサ電極のアレイ、音響タッチセンサ構造体、抵抗性タッチコンポーネント、力ベースのタッチセンサ構造体、光ベースのタッチセンサ、又は他の好適なタッチセンサの配置に基づくものであることができる。ディスプレイ14用のタッチセンサは、ディスプレイ14の表示画素を有する共通ディスプレイ基板上に形成された電極から形成されてもよく、又はディスプレイ14の画素に重なる別個のタッチセンサパネルから形成されてもよい。所望であれば、ディスプレイ14は、タッチセンシティブでなくてもよい(すなわち、タッチセンサが省略されてもよい)。電子デバイス10内のディスプレイ14は、ユーザが典型的な視点から目線を逸らす必要なくビューイングできるヘッドアップディスプレイであってもよく、又はユーザの頭部上に装着されるデバイスに組み込まれたヘッドマウントディスプレイであってもよい。所望であれば、ディスプレイ14は、ホログラムを表示するために使用されるホログラフィックディスプレイであってもよい。
【0014】
制御回路16が使用されて、オペレーティングシステムコード及びアプリケーションなどのソフトウェアをデバイス10上で実行することができる。デバイス10の動作中、制御回路16上で実行中のソフトウェアは、ディスプレイ14上に画像を表示することができる。
【0015】
入出力デバイス12はまた、力センサ(例えば、歪みゲージ、容量性力センサ、抵抗力センサなど)、マイクロフォンなどのオーディオセンサ、容量性センサなどのタッチセンサ及び/又は近接センサ(例えば、ディスプレイに関連付けられた二次元容量性タッチセンサ、及び/又はボタン、トラックパッド、若しくはディスプレイに関連付けられていない他の入力デバイスを形成するタッチセンサ)、並びに他のセンサなどの、1つ以上のセンサ13を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサ13は、光を放射して検出する光センサなどの光センサ(例えば、半反射型光近接構造などの光近接センサ)、超音波センサ、並びに/又は他のタッチ及び/若しくは近接センサ、単色及び色周辺光センサ、画像センサ、指紋センサ、温度センサ、三次元非接触ジェスチャ(「エアジェスチャ」)を測定するための近接センサ及び他のセンサ、圧力センサ、位置、向き、及び/又は動きを検出するためのセンサ(例えば、加速度計、コンパスセンサなどの磁気センサ、ジャイロスコープ、及び/又はこれらのセンサの一部若しくは全てを含む慣性測定ユニット)、健康センサ、高周波センサ、深度センサ(例えば、ステレオ撮像装置に基づく構造化光センサ及び/又は深度センサ)、飛行時間測定値を収集する、自己混合センサ並びに光検出及び測距(ライダー)センサなどの光センサ、湿度センサ、水分センサ、視線追跡センサ、及び/又は他のセンサを含むことができる。いくつかの構成では、デバイス10は、ユーザ入力を収集するためにセンサ13及び/又は他の入出力デバイスを使用することができる(例えば、ボタン押圧入力を収集するためにボタンを使用することができ、ユーザタッチスクリーン入力を収集するためにディスプレイに重なるタッチセンサを使用することができ、タッチ入力を収集するためにタッチパッドを使用することができ、オーディオ入力を収集するためにマイクロフォンを使用することができ、指が入力面に接触するときの監視に加速度計を使用することができ、ひいては、指押圧入力を収集するために使用することができる)。
【0016】
ディスプレイ14は、有機発光ダイオードディスプレイであってもよく、又は他のタイプのディスプレイ技術に基づくディスプレイであってもよい。ディスプレイ14が有機発光ダイオードディスプレイであるデバイス構成は、時に、一例として本明細書において説明されている。しかし、これは単なる例示である。所望であれば、任意の好適なタイプのディスプレイが使用され得る。概して、ディスプレイ14は、矩形形状を有してもよく(すなわち、ディスプレイ14は矩形の設置面積、及び矩形の設置面積の周りに延びる矩形の周辺縁部を有してもよく)、又は他の好適な形状を有してもよい。ディスプレイ14は平らであってもよく、又は曲線状の輪郭を有してもよい。
【0017】
ディスプレイ14の一部の上面図を図2Aに示す。図2Aに示すように、ディスプレイ14は、基板上に形成された画素22のアレイを有し得る。画素22は、データ線Dなどの信号経路を介してデータ信号を受信することができ、水平制御線G(ゲート線、走査線、放射制御線などと呼ばれることもある)などの制御信号経路を介して1つ以上の制御信号を受信することができる。ディスプレイ14内には、任意の好適な数の行及び列の画素22が存在し得る(例えば、数十以上、数百以上、若しくは数千以上)。各画素22は、薄膜トランジスタ28及び薄膜コンデンサなどの薄膜トランジスタ回路から形成された画素制御回路の制御下で光24を放射する、発光ダイオード26を含み得る。薄膜トランジスタ28は、ポリシリコン薄膜トランジスタ、インジウム亜鉛ガリウム酸化物(IGZO)トランジスタなどの半導体酸化物薄膜トランジスタ、又は他の半導体から形成された薄膜トランジスタであってもよい。画素22は、カラー画像を表示する能力をディスプレイ14に提供するために異なる色(例えば、赤色、緑色、及び青色)の発光ダイオードを含んでもよく、又は単色画素であってもよい。
【0018】
ディスプレイドライバ回路を使用して、画素22の動作を制御することができる。ディスプレイドライバ回路は、集積回路、薄膜トランジスタ回路、又は他の好適な回路から形成することができる。図2Aのディスプレイドライバ回路30は、経路32を介して、図1の制御回路16などのシステム制御回路と通信するための通信回路を含んでもよい。経路32は、フレキシブルプリント回路又は他のケーブル上のトレースから形成されてもよい。動作中、制御回路(例えば、図1の制御回路16)は、ディスプレイ14に表示される画像に関する情報をディスプレイドライバ回路30に供給することができる。
【0019】
表示画素22上に画像を表示するために、ディスプレイドライバ回路30は、経路38を介して、クロック信号及び他の制御信号をゲートドライバ回路34などの補助ディスプレイドライバ回路に発行しながら、画像データをデータ線Dに供給することができる。所望であれば、ディスプレイドライバ回路30はまた、ディスプレイ14の反対側の縁部上のゲートドライバ回路34にクロック信号及び他の制御信号を供給してもよい。
【0020】
ゲートドライバ回路34(行制御回路と呼ばれることもある)は、集積回路の一部として実装されてもよく、及び/又は薄膜トランジスタ回路を使用して実装されてもよい。ディスプレイ14内の水平制御線Gは、走査線信号などのゲート線信号、発光有効化制御信号、及び各行の表示画素22を制御するための他の水平制御信号を搬送することができる。画素22の行毎に任意の好適な数の水平制御信号(例えば、1つ以上の行制御信号、2つ以上の行制御信号、3つ以上の行制御信号、4つ以上の行制御信号、など)が存在してもよい。
【0021】
表示画素22が形成されているディスプレイ14上の領域は、本明細書では時にアクティブエリアと呼ばれ得る。電子デバイス10は、周辺縁部を備えた外部筐体を有する。アクティブを囲み、かつデバイス10の周辺縁部内の領域は、境界領域である。画像は、アクティブ領域内のデバイスのユーザに対してのみ表示され得る。概して、デバイス10の境界領域を最小化することが望ましい。例えば、デバイス10は、デバイスの前面全体にわたって延在するフルフェイスディスプレイ14と併せて提供することができる。所望であれば、ディスプレイ14はまた、横方向縁部の少なくとも一部又はデバイス10の背面の少なくとも一部がディスプレイ目的のために使用されるように、前面の縁部上を包み込んでもよい。
【0022】
図2Bは、ディスプレイ14内の例示的な有機発光ダイオード表示画素22の回路図である。図2Bに示すように、表示画素22は、蓄積コンデンサCst、並びに半導体酸化物トランジスタToxide、駆動トランジスタTdrive、データローディングトランジスタTdata、第1の発光トランジスタTem1、第2の発光トランジスタTem2、及びアノードリセットトランジスタTarなどの及び関連する画素トランジスタを含んでもよい。トランジスタToxideは、半導体酸化物(例えば、インジウムガリウム亜鉛酸化物又はIGZOなどの半導体酸化物から形成されるn型チャネルを有するトランジスタ)を使用して形成されるが、他のトランジスタは、シリコン(例えば、「LTPS」又は低温ポリシリコンと呼ばれることもある、低温プロセスを使用して堆積されたポリシリコンチャネル)から形成された薄膜トランジスタであってもよい。半導体酸化物トランジスタは、シリコントランジスタよりも漏れが低いため、半導体酸化物トランジスタとしてトランジスタToxideを実装することは、(例えば、電流がゲート端子又は駆動トランジスタTdriveから漏れ出すのを防ぐことによって)フリッカを低減するのに役立つ。
【0023】
別の好適な構成では、トランジスタToxide及びTdriveは、半導体酸化物トランジスタとして実装されてもよく、残りのトランジスタTdata、Tem1、Tem2、及びTarは、LTPSトランジスタであってもよい。トランジスタTdriveは駆動トランジスタとして機能し、画素22の発光電流にとって重要な閾値電圧を有する。トランジスタTdriveの閾値電圧はヒステリシスを経験し得るため、駆動トランジスタをトップゲート半導体酸化物トランジスタとして形成することは、ヒステリシスを低減するのに役立ち得る(例えば、トップゲートIGZOトランジスタは、シリコントランジスタよりも低いVthヒステリシスを経験する)。所望であれば、残りのトランジスタTdata、Tem1、Tem2、及びTarのいずれもが、半導体酸化物トランジスタとして実装され得る。概して、トランジスタTdrive、Tdata、Tem1、Tem2、及びTarのうちの任意の1つは、n型(すなわち、nチャネル)又はp型(すなわち、pチャネル)シリコン薄膜トランジスタのいずれかであってもよい。所望であれば、画素22は、6個よりも多くの若しくは少ないトランジスタを含んでもよく、及び/又は1個よりも多くの若しくは少ない内部コンデンサを含んでもよい。
【0024】
表示画素22は、有機発光ダイオード(OLED)204を含んでもよい。正電源端子200に正電源電圧VDDELを供給し、接地電源端子202に接地電源電圧VSSELを供給することができる。正電源電圧VDDELは、3V、4V、5V、6V、7V、2~8V、又は任意の好適な正電源電圧レベルであってもよい。接地電源電圧VSSELは、0V、-1V、-2V、-3V、-4V、-5V、-6V、-7V、又は任意の好適な接地若しくは負電源電圧レベルであってもよい。駆動トランジスタTdriveの状態により、端子200からダイオード204を通って端子202に流れる電流量を制御し、それによって表示画素22からの発光量を制御する。有機発光ダイオード204は、関連寄生容量COLED(図示せず)を有し得る。
【0025】
端子209は、ダイオード204が使用されていないときにダイオード204をオフにするのを支援するために、アノードリセット電圧Varを供給するために使用され得る。したがって、端子209は、アノードリセット又は初期化線と呼ばれることがある。図2Aの行ドライバ回路34などのディスプレイドライバ回路からの制御信号は、行制御端子212、214-1、214-2、及び214-3などの制御端子に供給される。行制御端子212は、発光制御端子(発光線又は発光制御線と呼ばれることもある)として機能することができ、行制御端子214-1、214-2、及び214-3は、第1、第2、及び第3の走査制御端子(走査線又は走査制御線と呼ばれることもある)として機能することができる。発光制御信号EMは、端子212に供給されてもよい。走査制御信号SC1、SC2、及びSC3はそれぞれ、走査端子214-1、214-2、及び214-3に印加されてもよい。データ信号端子210などのデータ入力端子は、表示画素22用の画像データを受信するために、図2Aのそれぞれのデータ線Dに結合されている。データ端子210はまた、データ線と呼ばれ得る。
【0026】
図2Bの実施例では、トランジスタTem1、Tdrive、Tem2、及びOLED304は、電源端子200と202との間で直列に結合されてもよい。具体的には、第1の発光制御トランジスタTem1は、正電源端子200に結合されたソース端子と、発光線212を介して発光制御信号EM2を受信するゲート端子と、ドレイン端子(ノード1とラベル付けされる)と、を有し得る。トランジスタの「ソース」端子及び「ドレイン」端子は、時には互換的に使用することができ、したがって、「ソース-ドレイン」端子と称されることもある。駆動トランジスタTdriveは、ノード1に結合されたソース端子と、ゲート端子(ノード2とラベル付けされる)と、ドレイン端子(ノード3とラベル付けされる)と、を有し得る。第2の発光制御トランジスタTem2は、ノード3に結合されたソース端子と、発光線212を介して発光制御信号EMも受信するゲート端子と、発光ダイオード204を介して接地電源端子202に結合されたドレイン端子(ノード4とラベル付けされている)と、を有し得る。このように構成することにより、発光位相中に発光制御信号EMをアサートしてトランジスタTem1及びTem2をオンにし、発光ダイオード204を通って電流を流すことが可能になり得る。
【0027】
蓄積コンデンサCstは、正電源線200に結合された第1の端子と、ノード2に結合された第2の端子と、を有し得る。画素22にロードされる画像データは、コンデンサCstを使用して発光位相全体にわたって電荷を保持することによって、画素22に少なくとも部分的に記憶され得る。トランジスタToxideは、ノード2に結合されたソース端子と、走査線214-1を介して走査制御信号SC1を受信するように構成されたゲート端子と、ノード3に結合されたドレイン端子と、を有し得る。信号SC1は、トランジスタToxideをオンにしてトランジスタTdriveのドレイン端子及びゲート端子を短絡させるようにアサートすることができる。ゲート端子及びドレイン端子が短絡されるトランジスタ構成は、「ダイオード接続」と称される場合がある。
【0028】
データローディングトランジスタTdataは、データ線210に結合されたソース端子と、走査線214-2を介して走査制御信号SC2を受信するように構成されたゲート端子と、ノード1に結合されたドレイン端子と、を有し得る。このように構成することにより、信号SC2をアサートしてトランジスタTdataをオンにし、データ線210からのデータ電圧をノード1にロードすることが可能になり得る。トランジスタTarは、ノード4に結合されたソース端子と、走査線214-3を介して走査制御信号SC3を受信するように構成されたゲート端子と、初期化線209に結合されたドレイン端子と、を有し得る。このように構成することにより、走査制御信号SC3をアサートしてトランジスタTarをオンにし、ノード4をアノードリセット電圧レベルVarに駆動することができる。所望であれば、線209上のアノードリセット電圧Varを、画素22の動作中に異なるレベルに動的にバイアスすることができる。
【0029】
デバイスの前面全体を覆うフルフェイスディスプレイ14を有するデバイス10は、センサ13をディスプレイ14の下に装着する必要があり得る。図3は、一実施形態に係る、センサを少なくとも部分的に覆う、ディスプレイ14の例示的なディスプレイスタックの側断面図である。図3に示すように、ディスプレイスタックは、裏材フィルム300と、裏材フィルム300上に形成された基板302などの基板とを含み得る。基板302は、ガラス、金属、プラスチック、セラミック、サファイア、又は他の好適な基板材料から形成することができる。いくつかの構成では、基板302は、(例として)ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)から形成される有機基板であってもよい。基板302の表面は、任意選択的に、1つ以上のバッファ層(例えば、酸化シリコン、窒化シリコンなどの層などの無機バッファ層)で覆われていてもよい。
【0030】
薄膜トランジスタ(TFT)層304を、基板302上に形成してもよい。TFT層304は、薄膜トランジスタ、薄膜コンデンサ、付随ルーティング回路、並びに複数の金属ルーディング層及び誘電体層内に形成された他の薄膜構造などの薄膜トランジスタ回路を含んでもよい。有機発光ダイオード(OLED)層306を、TFT層304の上に形成してもよい。OLED層306は、ダイオードカソード層、ダイオードアノード層、及びカソード層とアノード層との間に介在する発光材料を含んでもよい。
【0031】
TFT層304及びOLED層306に形成された回路は、封止層308によって保護されてもよい。一例として、封止層308は、第1の無機封止層と、第1の無機封止層上に形成された有機封止層と、有機封止層上に形成された第2の無機封止層と、を含んでもよい。このようにして形成された封入層308は、水分及び他の潜在的な汚染物質が、層308によって覆われた導電回路を損傷することを防止するのに役立ち得る。
【0032】
1つ以上の偏光子フィルム312を、接着剤310を使用して封止層308の上に形成してもよい。接着剤310を、高い光透過率を提供する光学的に透明な接着剤(OCA)材料を使用して実装してもよい。タッチスクリーンディスプレイ14のタッチセンサ機能を実装する1つ以上のタッチ層316を、接着剤314(例えば、OCA材料)を使用して偏光子フィルム312の上に形成してもよい。例えば、タッチ層316は、容量性タッチセンサ電極のアレイを集合的に形成する、水平タッチセンサ電極及び垂直タッチセンサ電極を含んでもよい。最後に、ディスプレイスタックは、追加の接着剤318(例えば、OCA材料)を使用して、タッチ層316の上に形成されたカバーガラス層320でトップオフされてもよい。カバーガラス320は、ディスプレイ14用の外側保護層として機能し得る。
【0033】
更に図3を参照すると、センサ13を、電子デバイス10内のディスプレイスタックの下に形成してもよい。図1に関連して上述したように、センサ13は、カメラ(例えば、赤外線カメラ)、近接センサ、周辺光センサ、指紋センサ、又は他の光ベースのセンサなどの光センサであってもよい。そのようなシナリオでは、センサ13の性能は、矢印350によって示すように、ディスプレイスタックを通過する光の透過率に依存する。しかしながら、典型的なディスプレイスタックは、かなり制限された透過特性を有する。例えば、ディスプレイスタックを通って進むときに、可視スペクトル内の光の80%超が失われるため、ディスプレイ14下での感知を困難にする。
【0034】
ディスプレイスタック内の複数の層のそれぞれが、センサ13への光透過率の劣化に寄与する。特に、ディスプレイスタックのTFT層304内の高密度薄膜トランジスタ及び付随ルーティング構造が、実質的に低透過率に寄与する。一実施形態によれば、表示画素の少なくとも一部は、センサ(単数又は複数)13の真上に配置されたディスプレイスタックの領域内で選択的に除去されてもよい。表示画素の少なくとも一部分が除去された、センサ(単数又は複数)13を少なくとも部分的に覆う又はそこに重なるディスプレイ14の領域は、「画素除去領域」と呼ばれることがある。各画素除去領域は、より低いサブ画素密度であるが、依然として画素を有し得る。画素無し領域内の表示画素を除去すること(例えば、1つ以上のサブ画素に関連付けられたトランジスタ及び/又はコンデンサを除去すること)により、透過率の増大に大幅に役立ち、ディスプレイ下センサ13の性能を向上させることができる。したがって、画素除去領域は、第1のサブ画素密度を有し得、一方、ディスプレイの残り(多くの場合、集合的にアクティブエリアと呼ばれる)は、第1のサブ画素密度よりも高い第2の(「ネイティブ」)サブ画素密度を呈し得る。アクティブエリアのネイティブサブ画素密度は、画素除去領域のサブ画素密度の少なくとも2倍、3倍、4倍、1~5倍、又は1~10倍であってもよい。
【0035】
図4A図4Dは、いくつかの実施形態に係る、光透過率を向上させるための様々な画素除去領域を示す上面図である。一例として、ディスプレイ14は、概して、赤色(R)サブ画素、緑色(G)サブ画素、及び青色(B)サブ画素を含む繰り返し画素グループ400を含んでもよい。図4Aに示されるように、各画素グループ400は、BGRGサブ画素をこの順序で含み、かつ最下行がRGBGサブ画素をこの順序で含む、2行の色サブ画素を含んでもよい。この特定のパターンは単に例示であり、本実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。所望であれば、他の色表示パターンは、他の色のサブ画素(例えば、シアンサブ画素、マゼンタサブ画素、黄色サブ画素、透明サブ画素など)のサブ画素を含み得る、ディスプレイ14に実装されてもよい。
【0036】
図4Aの実施例では、全ての他の画素グループ400は、チェッカー盤状パターンに従って除去されている。斑点化された領域は、除去スキームが実施されていない場合にサブ画素が存在する場所を示しているが、ここでは、除去されている表示サブ画素に対応する薄膜トランジスタ回路を少なくとも部分的に欠いている。それぞれの個別の斑点化された領域は、非画素領域、画素無し領域、又は画素欠落領域と呼ばれることがある。このタイプの画素除去スキームは、全ての利用可能な表示サブ画素の最大50%まで除去することができる。
【0037】
図4Aでは、各非画素領域は、8個の除去されたサブ画素を表す。図4Bは、それぞれの斑点化された非画素領域が別のチェッカー盤状パターンにて12個の除去されたサブ画素を表す、別の画素除去スキームを示している。このタイプの画素除去スキームもまた、全ての利用可能な表示サブ画素の最大50%まで除去することができる。図4Cは、いくつかの斑点化された画素無し領域が4個の除去されたサブ画素を表すが、他の斑点画素無し領域が繰り返すモザイク状パターン内の2つの除去されたサブ画素のみを表す、更に別の画素除去スキームを示している。このタイプの画素除去スキームもまた、全ての利用可能な表示サブ画素の最大50%まで除去することができる。図4Dは、それぞれの斑点化された画素欠落領域が、画素除去領域全体から全ての利用可能な表示サブ画素の50%超を除去しながら12個の除去されたサブ画素を表す、更に別の画素除去スキームを示している。
【0038】
概して、デバイス10のユーザが、センサ(単数又は複数)13がその上に配置され得る画素除去領域の近傍のいかなる望ましくない表示アーチファクトに視覚的に気が付けないように、画素除去領域内の画素除去量は、1インチ毎の有効画素数(PPI)が依然として十分に高いことを確実にしながら、ディスプレイスタックを通る光透過率を最大化するように注意深く選択されるべきである。図4A図4Dの例示的な画素除去領域は、単なる例示に過ぎない。所望であれば、ディスプレイスタックを通る所望の光透過率のレベルを達成するために、表示サブ画素の最大10%が画素除去領域内で除去され、表示サブ画素の最大20%が除去され、表示サブ画素の最大30%が除去され、表示サブ画素の最大40%が除去され、表示サブ画素の最大50%が除去され(すなわち、画素除去領域のサブ画素密度は、ネイティブアクティブエリアのサブ画素密度の半分であり得る)、表示サブ画素の0~50%が除去され、表示サブ画素の10~50%が除去され、表示サブ画素の20~50%が除去され、表示サブ画素の30~50%が除去され、表示サブ画素の51~90%が除去され、又は表示サブ画素の50%超が除去されている(すなわち、画素除去領域のサブ画素密度は、ネイティブアクティブエリアのサブ画素密度の半分未満であり得る)他の画素除去配置が実装されてもよい。
【0039】
図4A図4Dの実施形態に示す例示的な画素除去スキームでは、ディスプレイ14の表面全体にわたる全ての方向でのサブ画素の均一な分布を提供することができない場合がある。ディスプレイ表面にわたってサブ画素を均一に分布させるために、同じ色の最も近いサブ画素を体系的に除去する(例えば、同じ色の最も近傍が除去され得る)、インテリジェントな画素除去プロセスを実施してもよい。図5Aは、一実施形態に係る、赤色サブ画素を体系的に除去し得る方法を示す、上面レイアウト図である。青色及び緑色サブ画素は、本実施形態の不明瞭化を回避するのに役立つように、図5Aから省略されている。
【0040】
図5Aに示されるように、ディスプレイ14には、最初に赤色サブ画素22Rのアレイが設けられてもよい。画素除去プロセスは、所与のサブ画素を選択することと、(選択されたサブ画素からの距離に関して)最も接近した又は最も近い隣接するサブ画素を特定することと、次いで最終画素除去領域内のこれらの特定されたサブ画素を除去/省略することと、を含み得る。例えば、サブ画素22R-1は、第1の選択されたサブ画素を表し得る。次いで、2つの最も近いサブ画素が、除去のために(マークアップ「X」によって示されるように)マーキングされてもよい。サブ画素22R-2は、第2の選択されたサブ画素を表し得る。4個の最も近いサブ画素(2つ以前にマークされたサブ画素を含む)が、除去のためにマーキングされてもよい。この画素除去プロセスは、全ての色のサブ画素に対して、表示画素アレイ全体にわたって実行され得る。
【0041】
図5Aは、画素除去の1回の反復が実行された後の、結果として得られるサブ画素アレイを示している。所望であれば、サブ画素除去の追加の反復を実行して、画素密度がより低くなるという犠牲をはらって透過率を更に増大させることができる。図5Bは、画素除去の別の反復が実行された後の結果として得られるサブ画素アレイ(例えば、最も近い隣接するサブ画素を再び除去することによる二次の結果)を示している。所望であれば、任意の好適な数の反復が実行されてもよい。このようにしてサブ画素を体系的に除去することにより、高PPIを維持しながら均一な色バランスを提供することができる。
【0042】
図6Aは、図5Aに関連して説明されるタイプのプロセスを使用して、様々な色のサブ画素を除去し得る方法を示している。図6Aに示すように、各画素グループ600は、RGBGサブ画素をこの順序で含み、かつ最下行がBGRGサブ画素をこの順序で含む、2行の色サブ画素を含んでもよい。具体的には、赤色、緑色、及び第1の緑色サブ画素が、第1の行から除去されてもよく、一方、第2の緑色サブ画素のみが、各画素グループ600内の第2の行から除去される。この方法を使用して実施された画素除去領域の結果として得られる配置を、図6Bに示す。図6Bに示すように、斑点化された画素欠落領域の一部は、3個の連続した除去されたサブ画素を表す一方で、他の画素欠落領域は、1つの除去されたサブ画素のみを表す。このタイプの画素除去スキームもまた、画素除去領域内の全ての利用可能な表示サブ画素の50%を除去してもよい(例えば、画素除去領域の画素密度は、アクティブエリアのネイティブ画素密度の半分であってもよい)。
【0043】
図6Cは、追加の青色サブ画素が図6Aの構成から除去される、別の好適な構成を示している。図6Cに示すように、他の全ての画素グループ600は、全ての青色サブ画素が除去されることになる。換言すれば、緑色又は赤色サブ画素に対して、より多くの青色サブ画素が除去又は省略され得る(すなわち、青色サブ画素の密度は、画素除去領域内の赤色サブ画素の密度よりも低くなる)。不均一サブ画素除去/省略が青色サブ画素を標的化するこの実施例は、単なる例示に過ぎず、本実施形態を限定することを意図するものではない。所望であれば、青色/赤色サブ画素に対してより多くの緑色サブ画素を省略することができ、青色/緑色サブ画素に対してより多くの赤色サブ画素を省略することができ、又は他の不均一サブ画素除去スキームを実施することができる。更に他の好適な実施形態では、全ての異なる色のサブ画素の省略度は異なってもよく、これが各サブ画素の密度に影響を及ぼす。一例として、緑色サブ画素よりも青色サブ画素が多く除去されてもよく、赤色サブ画素よりも緑色サブ画素が多く除去されてもよい(すなわち、青色サブ画素が最も高い除去レートを有し、ひいては最も小さいサブ画素密度を有するのに対し、赤色サブ画素は最も低い除去レートを有する)。別の例として、赤色サブ画素よりも青色サブ画素が多く除去されてもよく、緑色サブ画素よりも赤色サブ画素が多く除去されてもよい(すなわち、青色サブ画素が最も高い除去レートを有するのに対し、緑色サブ画素は最も低い除去レートを有し、ひいては最も高いサブ画素密度を有する)。更に別の例として、青色サブ画素よりも緑色サブ画素が多く除去されてもよく、赤色サブ画素よりも青色サブ画素が多く除去されてもよい(すなわち、緑色サブ画素は最も高い省略レートを有するのに対し、赤色サブ画素は最も低い省略レートを有する)。他の配列もまた実装され得る。
【0044】
それぞれの個々のサブ画素がディスプレイ縁部に平行な縁部を有する矩形領域として示されている図6Bの例は、単なる例示に過ぎない。所望であれば、それぞれのサブ画素領域は、ディスプレイ縁部に対して角度を付けられた又は回転された縁部を有してもよい(例えば、図6Dを参照)。図6Dでは、ディスプレイ縁部は、X軸又はY軸に平行であってもよい。ディスプレイの前面は、デバイスのユーザがディスプレイの前面をZ方向に見るように、XY平面に平行であってもよい。図6Dの部分610は、除去前のネイティブサブ画素配列を示している。部分612は、色毎に1つおきのサブ画素を除去し得る方法を示している(除去されたサブ画素は「X」を使用してマークされている)。部分614は、サブ画素の50%が除去された結果として得られる画素構成を示している。
【0045】
図6Dの実施例では、サブ画素は、空の画素領域の水平ストライプが存在するように除去される(例えば、部分614における、サブ画素を欠く連続ストライプ領域615を参照)。これは単なる例示に過ぎない。所望であれば、サブ画素はまた、空の画素領域の垂直ストライプを作成するように除去されてもよい(例えば、サブ画素を欠く連続ストライプ領域617を有する図6Eを参照)。
【0046】
図5Bに関連して上述したように、画素除去の複数の反復を実行することができる。図6Fは、2回の画素除去反復後の画素配置の図である。図6Dの部分614の構成と比較して、図6Fの構成は、更に低いサブ画素密度を有する(例えば、最も近い隣接するサブ画素を再び除去することによって、二次結果は、一次結果と比較してサブ画素数の半分のみを有し得る)。換言すれば、2回の画素除去反復の後、元のネイティブサブ画素の75%が除去され得る。所望であれば、任意の好適な数の反復が実施されてもよい。このようにしてサブ画素を体系的に除去することにより、高PPIを維持しながら均一なカラーバランスを提供することができる。
【0047】
図6Cに関連して上述したように、不均一サブ画素省略が実施されてもよい。図6Gは、より多くの緑色サブ画素が除去された画素配置の図である(例えば、除去の第2ラウンドは、緑色サブ画素に対してのみ実行され得る)。図6Dの部分614における構成と比較して、図6Gの構成は、同じ数の青色及び赤色サブ画素を有するが、残りの緑色サブ画素の数は、半分のみを有している。ネイティブ画素グループは、赤色及び青色サブ画素ペア毎に2つの緑色サブ画素を有するため、最も近い緑色の隣接ノードを2回除去することにより、緑色、赤色、及び青色サブ画素の総数のバランスをとる(例えば、残りの赤色、緑色、及び青色サブ画素の総数は同じであり得る)ことに役立ち得る。換言すれば、青色サブ画素の密度は、画素除去領域内の青色サブ画素の密度に等しく、赤色サブ画素の密度に等しい。所望であれば、残りの緑色サブ画素は、任意選択的に、数の減少を補償するのに役立つようにサイズを拡大することができる。
【0048】
図6Dの部分610内に例示されているネイティブRGBG/BGRGサブ画素配列は、「ペンタイル」配列を有するものとして呼ばれ得る。所望であれば、本明細書に記載される例示的な画素除去スキームはまた、非ペンタイル又は直線状画素配置に適用されてもよい。図6Hは、画素除去後の非ペンタイル画素配置の図である。図6Hに示されるように、残りの青色、赤色、緑色サブ画素の数は同じであるが、青色領域のサブ画素領域は、緑色サブ画素領域よりもサイズが大きくてもよく、緑色サブ画素領域は、赤色サブ画素領域よりもサイズが大きくてもよい。これは単なる例示に過ぎない。概して、異なる色のサブ画素領域のサイズは、最適な表示性能のために調整され得る。
【0049】
概して、表示サブ画素は、ディスプレイ14の任意の領域(単数又は複数)から部分的に除去されてもよい。図7A図7Fは、一実施形態に係る、ディスプレイ14が、図4図6のスキームを使用して画素が選択的に除去されている1つ以上の局所化領域を有し得る方法を示す、正面図である。図7Aの実施例は、互いに物理的に分離された様々な局所画素除去領域700を示している(すなわち、様々な画素除去領域700は非連続的である)。「アクティブエリア」という用語は、画素除去領域の外側にあり、かつ画素除去領域と重ならないディスプレイ14の領域を指し得る。様々な局所エリア700は、例えば、ディスプレイ14の下に形成された3つの異なるセンサに対応してもよい。図7Bの実施例は、ディスプレイ14の上部境界に沿って形成された連続的な画素除去領域702を示しており、これはデバイス10の上部縁部近くに配置された多くの光センサが存在する場合に好適であり得る。図7Cの実施例は、ディスプレイ14の角部に形成された画素除去領域704を示している。いくつかの構成では、画素除去領域704が配置されたディスプレイ14の角部は、丸みを帯びた角部、又は実質的に90°の角部を有する角部であってもよい。図7Dの実施例は、デバイス10の上部縁部に沿った中央部分にのみ形成された画素除去領域706を示している(すなわち、画素除去領域はディスプレイ内の凹状ノッチエリアに及ぶ)。図7Eは、画素除去領域708及び710が異なる形状及びサイズを有し得る別の実施例を示している。図7Fは、画素除去領域がディスプレイ表面全体に及ぶ、更に別の好適な例を示している。これらの実施例は単なる例示であり、本実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。所望であれば、光学ベースのセンサ又は他のサブディスプレイ電気構成要素と重なるディスプレイの任意の1つ以上の部分が、画素除去領域/エリアとして指定されてもよい。
【0050】
更に別の好適な構成では、画素除去領域は、ディスプレイの曲線状の縁部部分に形成されてもよい。図7Gは、曲線状の又は屈曲した周辺縁部領域20を示す、ディスプレイ14の側断面図である。ユーザ750は、Z方向に平行である矢印752の方向を見ることによって、ディスプレイ14の前面を見ることができる。ディスプレイ14の前面は、XY平面に平行である。図7Gに示すように、画素除去領域714は、屈曲した縁部20内に形成されてもよい。概して、デバイスの1つ以上の縁部は曲線状でも屈曲していてもよく、1つ以上の画素除去領域は任意選択的に、それぞれの曲線状の縁部に形成されてもよい。
【0051】
図8Aは、図6A及び図6Bに示される画素除去スキームに従って、一部のサブ画素を画素グループ600から選択的に除去して透過率を増大させ得る方法を示す、上面レイアウト図である。「サブ画素除去」とラベル付けされた領域は、それらのサブ画素が除去されていなければ存在したであろう薄膜トランジスタ及びコンデンサを完全に欠いている画素無し領域に対応する。アクティブシリコン又は他の半導体材料、関連するソース-ドレイン接点、及び薄膜コンデンサ端子も含み得る薄膜トランジスタ構造を除去することにより、画素無し領域内のディスプレイスタックを通る光透過率を向上させるのに役立ち得る。
【0052】
図8Aに示すように、画素グループ600の上部からは赤色、緑色、及び青色サブ画素が除去されているが、画素グループ600の下部からは右端の緑色サブ画素のみが除去されている。図8Aはまた、各表示サブ画素に関連付けられた薄膜トランジスタ上にルーティングされた様々なゲート(G)線(例えば、水平又は行制御線)及びデータ(D)線(例えば、垂直又は列制御線)を示している。更に、電源電圧ELVDDを搬送する電源線もまた、垂直列方向にルーティングされていてもよい。所望であれば、電源線はまた、又は代替的に、ディスプレイの表面にわたって水平方向又は対角線方向にルーティングされてもよい。
【0053】
所望であれば、図8Aの画素構造は、任意選択的に、X軸又はY軸に平行であるディスプレイ縁部に対して回転又は角度付けされてもよい。一例として、図8Aの画素配置は、X軸に対して45°の角度で回転されてもよい。所望であれば、画素構造は、他の好適な角度で(例えば、30°、60°、90°、1~89°などで)回転されてもよい。
図8Aの実施例では、電源線(例えば幅広い方の垂直ルーティングトレースを参照)は、依然として非画素領域上にルーティングされて、全体的な光透過率の低減に寄与する。図8Bに示す別の好適な構成によれば、電源線は、領域850及び851などの画素無し領域から(例えば、サブ画素が除去されるべき各領域から)選択的に除去又は省略されてもよい。図8Bに示すように、幅広い方のELVDDルーティングトレースは存在せず、非画素領域850及び851を通ってルーティングされなくなっている。ELVDDルーティング線は、垂直方向の様々なセグメントに分割されているものとして示されているが、異なる電力セグメントは依然として、ELVDDルーティング線よりも高いルーティング層に形成された導電性電力メッシュ810を使用して接続されている。電力メッシュ810を使用して別個の電力線セグメントを相互接続することにより、残りのサブ画素の全てに電力を適切に供給することが可能になる。非画素領域から電源ルーティングトレースを選択的に除去することにより、画素除去領域全体の透過率を更に向上させるのに役立ち得る。図8Bの実施例では、非画素領域850及び851の上にルーティングされた水平ゲート線及び垂直データ線が依然として存在し、これらの領域を通って進む光の回折に寄与する可能性がある。特定の実施形態では、これらの導電トレースは、非画素領域内により大きな連続開口部を提供するように再ルーティングされてもよい(例えば、図8Cを参照)。図8Cに示されるように、ゲート線G’及びデータ線D’は、より大きな開放面積を得るために、より回路的にルーティングされてもよい。このように制御信号をルーティングすることにより、伝達の低減を犠牲にするが回折を低減する。
【0054】
図8A及び図8Bの両方では、ダイヤモンド形状領域は、各色サブ画素のOLEDに対応する。図8Bでは、青色、緑色、及び赤色サブ画素に関連付けられた薄膜トランジスタは、対応するOLEDと重なる領域856内に形成されてもよく、一方、右側の緑色サブ画素に関連付けられた薄膜トランジスタは、領域858内に形成されてもよい。TFT領域856及び858は、互いに連続していないため、非画素領域850及び851もまた、互いに連続していない。
【0055】
図8Dは、画素グループ600が連続的な画素無し領域860を有し得るように、単独の緑色サブ画素(すなわち、画素グループ600内の右上の緑色サブ画素)に関連付けられた薄膜トランジスタが領域851内にシフト又は再配置されている、別の好適な配置を示している。緑色サブ画素のOLEDは、変化しないままであり得る。換言すれば、行領域862内に全てのTFT構造が形成されるのに対して、行領域860は、透過率の向上のためにより大きな連続開口部を得るのに役立つようにTFT構造体を実質的に欠いていてもよい。
【0056】
駆動トランジスタ(例えば、図2BのトランジスタTdrive)を流れる電流量は、画素除去領域内の残りのサブ画素に対して相対的に高くてもよい。高駆動電流レベルに関連する潜在的な経時効果を緩和するのに役立つように、残りのサブ画素のサイズを拡大してもよい(例えば、OLED及び/又は関連するトランジスタの一部のサイズを増大してもよい)。図8Eの実施例では、残りの青色サブ画素B’、緑色サブ画素G’、及び赤色サブ画素R’のOLEDは、ネイティブサブ画素密度を有するディスプレイの他の部分におけるOLEDよりも(すなわち、通常のアクティブエリア内の表示画素に対して)相対的に大きくてもよい。OLEDを拡大することにより、電流密度が低減し、ダイオードの寿命を長くするのに役立ち得る。画素トランジスタを拡大する場合、駆動トランジスタなどのトランジスタは、その幅を増大し、及び/又はゲート長を低減して、高駆動電流レベルによる任意の潜在的な加速経時劣化効果を緩和するのに役立つようにしてもよい。
【0057】
図8Fは、マスク870などの不透明マスクを使用してアパーチャ開口部を画定し得る方法を示す、別の好適な構成を示している。マスク870は、既存の金属ルーティング層、画素画定層(例えば、黒色画素画定層)、及び/又は他の好適な不透明層を使用して形成することができる。図8Fに示すように、不透明マスク870は、対応する画素無し領域(すなわち、サブ画素がその下で除去されている連続領域)と整列する開口部872などの開口部を有してもよい。概して、開口部872は、開口部を通過する光の回折パターンを制御するのに役立つように構成された所定の形状(例えば、矩形窓、円形窓、卵形窓、楕円窓など)を有してもよい。
【0058】
薄膜トランジスタ構造に加えて、タッチ層316(図3)内のタッチセンサトレースなどのタッチベースの回路もまた、ディスプレイスタックを通る低透過率に実質的に寄与し得る。図9Aは、一実施形態に係る、画素除去領域の上に形成された例示的なタッチ導電性メッシュ回路900を示す、上面レイアウト図である。図9Aに示すように、タッチメッシュ900のいずれもが除去されない(すなわち、タッチメッシュ900は画素除去領域と完全に重なる)ため、タッチ機能の低下はない。他の極端な場合、タッチメッシュ900は全て、画素除去領域全体から除去されてもよく(すなわち、タッチメッシュと画素除去領域は重ならない)、これが、画素除去領域内のタッチ機能の損失を犠牲にしながら、最も高い光透過率を提供する。しかしながら、メッシュ900を完全に除去することにより、画素除去領域と周囲の通常表示領域との間のコントラストに顕著な差が生じ得る。例えば、タッチメッシュ900が完全に除去されている画素除去領域は、周囲領域よりも反射性が多く現れる場合があり、これは許容可能であるか、又は許容可能でない場合がある。
【0059】
図9Bは、別の好適な構成に係る、タッチ導電性メッシュ回路900’が画素除去領域の上で部分的に除去され得る方法を示す、上面レイアウト図である。図9Bに示すように、タッチメッシュ900’は、実際の表示サブ画素上に存在してもよいが、サブ画素がインテリジェントに除去された画素無し領域上には存在しなくてもよい。画素除去領域内のタッチ回路のこの部分的除去により、部分的なタッチ機能を提供しながら向上した光透過率を提供することができ、画素除去領域と周囲領域との間のコントラストを低減することができる。
【0060】
図10Aは、一実施形態に係る、サブ画素トランジスタ構造体が除去されている領域1000などの画素無し領域がどのようにダミー接点を欠いているかを示す、上面レイアウト図である。領域1000内のダミー接点の完全な欠如により、ダミー接点の存在がある程度の光を依然として遮断し得るため、光透過率を最大化するのに役立つ。別の好適な構成によれば、非画素領域1000は、下にあるトランジスタ(単数又は複数)が除去されていても、実際にはいくつかのダミー接点を含み得る。ダミー接点の存在により透過率はわずかに低減するが、(ポリシリコン材料から形成され得る)ダミー接点を含むことで、製造中のより良好なポリシリコン均一性を提供するのに役立つ。
【0061】
ポリシリコン均一性は、図10Cに示すトランジスタ電流プロファイルに影響を及ぼし得る。図10Cは、発光電流(I)対ゲート-ソース間電圧(Vgs)のプロットである。曲線1002は、図10Aの領域1000に隣接するアクティブpチャネル型トランジスタの電流プロファイルを表し得る一方で、曲線1004は、図10Bの領域1000に隣接するアクティブpチャネル型トランジスタの電流プロファイルを表し得る。曲線1004はより理想的な電流挙動を提供し、一方で曲線1002は理想的なプロファイルのシフトされたバージョンを提供する。したがって、画素無し領域内にダミー接点を含むことにより、ディスプレイ全体にわたるトランジスタ電流の均一性を維持するのに役立ち得る。
【0062】
図11は、ディスプレイスタック内のブランケット層の少なくとも一部が選択的にパターン化されて光透過率を更に向上させ得る方法を示す、例示的なディスプレイスタックの側断面図である。図11は、図3の断面と同様であるが、TFT層304上で拡張している。例えば、図11は、TFT層304がどのようにして、TFTゲート誘電体層1100、TFTゲート誘電体層1100の上に形成された無機パッシベーション層1102、無機パッシベーション層1102の上に形成された1つ以上の有機平坦化層1104、及び有機平坦化層1104の上に形成された有機画素画定層1106を含み得るかを示している。更に、基板302とTFT層304との間に基板無機保護フィルム303などの保護層を形成してもよい。特定の実施形態では、少なくとも層303、1100、1102、及び/又は1106(典型的には、ディスプレイ表面全体に及ぶブランケット層である)は、画素除去領域内で選択的にパターン化又は薄化されて、光透過率を更に向上させることができる。所望であれば、他のブランケット表示層をも選択的にパターン化/薄化して、ディスプレイスタックを通る光の透過率を増大させるのに役立たせてもよい。
【0063】
一実施形態によれば、アクティブエリア内に形成された画素を有するディスプレイと、ディスプレイの下にあるセンサと、を含む電子デバイスが提供され、ディスプレイは、センサに少なくとも部分的に重なる画素除去領域を含み、アクティブエリアは第1の画素密度を有し、画素除去領域は、第1の画素密度よりも低い第2の画素密度を有する。
【0064】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、それぞれが薄膜トランジスタを欠いている複数の画素無し領域を含み、複数の画素無し領域は、センサへの、ディスプレイを通る信号透過率を増大させるように構成されている。
【0065】
別の実施形態によれば、複数の画素無し領域のそれぞれは、電源線を更に欠いている。
【0066】
別の実施形態によれば、複数の画素無し領域内の水平及び垂直制御線は、ディスプレイを通ってセンサに進む光の回折量を低減する連続的な開放エリアを提供するように再ルーティングされる。
【0067】
別の実施形態によれば、複数の画素無し領域のそれぞれは、画素除去領域内の連続的な開放エリアの行を含む。
【0068】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、複数の画素無し領域に整列された開口部を有する不透明マスクを含む。
【0069】
別の実施形態によれば、第2の画素密度は、第1の画素密度の半分である。
【0070】
別の実施形態によれば、第2の画素密度は、第1の画素密度の半分未満である。
【0071】
別の実施形態によれば、ディスプレイは、画素除去領域から物理的に分離されている追加の画素除去領域を含む。
【0072】
別の実施形態によれば、追加の画素除去領域は、画素除去領域とは異なるサイズを有する。
【0073】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、ディスプレイの縁部全体に重なる。
【0074】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、ディスプレイの角部に重なる。
【0075】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、ディスプレイの曲線状の縁部に重なる。
【0076】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、ディスプレイ内の凹状ノッチエリアに重なる。
【0077】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、ディスプレイの表面全体に重なる。
【0078】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、第1の色の第1のサブ画素及び第2の色の第2のサブ画素を含み、第1のサブ画素の密度は、画素除去領域内の第2のサブ画素の密度とは異なる。
【0079】
別の実施形態によれば、画素除去領域は青色サブ画素及び赤色サブ画素を含み、青色サブ画素の密度は、画素除去領域内の赤色サブ画素の密度よりも低い。
【0080】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、緑色サブ画素、青色サブ画素、及び赤色サブ画素を含み、青色サブ画素の密度は、画素除去領域内の青色サブ画素の密度に等しく、赤色サブ画素の密度に等しい。
【0081】
別の実施形態によれば、アクティブエリア内の画素は、第1のサブ画素を含み、画素除去領域は、アクティブエリアの第1のサブ画素よりも大きいダイオードを有する第2のサブ画素を含んで、経時変化を緩和する。
【0082】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、ディスプレイの上に形成された導電性タッチセンサメッシュを含み、導電性タッチセンサは画素除去領域と重なる。
【0083】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、ディスプレイの上に形成された導電性タッチセンサメッシュを含み、導電性タッチセンサメッシュは画素除去領域と重ならない。
【0084】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、それぞれがダミー接点を欠いている複数の画素無し領域を含む。
【0085】
別の実施形態によれば、画素除去領域は、それぞれが画素除去領域内に発光電流の均一性を提供するように構成されたダミー接点を有する、複数の画素無し領域を含む。
【0086】
別の実施形態によれば、ディスプレイは、画素除去領域内で選択的にパターン化されて、センサへの、ディスプレイを通る光の透過率を増大させるブランケット層を含み、ブランケット層は、基板保護層、ゲート誘電体層、無機パッシベーション層、及び有機画素画定層からなる群から選択された表示層である。
【0087】
一実施形態によれば、アクティブエリア内に形成された画素と、アクティブエリア内の所与の領域内に形成された画素と、を含むディスプレイが提供され、
アクティブエリア内の画素は第1の画素密度で形成され、所与の領域内の画素は第1の画素密度よりも低い第2の画素密度で形成されて、所与の領域を通る光の透過率を増大させる。
【0088】
一実施形態によれば、複数のブランケット表示層を有するディスプレイスタックと、ディスプレイスタックによって少なくとも部分的に覆われた光センサと、を含む、装置が提供され、ブランケット表示層の少なくとも一部がパターン化されて、ディスプレイスタックを通る光センサへの光透過率を増大させる。
【0089】
前述は単なる例示であり、当業者は、記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。前述の実施形態は、個別に又は任意の組み合わせで実現されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11