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特許7238183燃料被覆管および燃料被覆管における開口部の閉塞方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】燃料被覆管および燃料被覆管における開口部の閉塞方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/10 20060101AFI20230306BHJP
   G21C 3/07 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G21C3/10
G21C3/07
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022031673
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2018114746の分割
【原出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2022081558
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2017183669
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須山 章子
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 勝
(72)【発明者】
【氏名】内橋 正幸
(72)【発明者】
【氏名】垣内 一雄
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-170279(JP,A)
【文献】特開平10-182256(JP,A)
【文献】特開2008-105927(JP,A)
【文献】特開2010-077019(JP,A)
【文献】特開2012-233734(JP,A)
【文献】特開2016-200465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0153688(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/10
G21C 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素のマトリックスに炭化ケイ素の長繊維を複合化した長繊維強化炭化ケイ素材料で形成され、内外を隔てる壁部分の肉厚が特定寸法であり、核燃料を収容する燃料被覆管本体と、
少なくとも炭化ケイ素を含む材料で形成され、内外を隔てる壁部分の肉厚が前記特定寸法の1.2倍以上、2.5倍以下であり、前記燃料被覆管本体の開口部を閉塞する端栓と、
を備える、
燃料被覆管。
【請求項2】
前記開口部を前記端栓により閉塞した状態で前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の肉厚が、前記特定寸法の1.2倍以上、2.5倍以下である、
請求項1に記載の燃料被覆管。
【請求項3】
前記燃料被覆管本体と前記端栓のそれぞれにネジが形成され、前記端栓が前記燃料被覆管本体に螺合される、
請求項1または請求項2に記載の燃料被覆管。
【請求項4】
前記開口部を前記端栓により閉塞した状態で前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の隙間が中間材で封止される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料被覆管。
【請求項5】
前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の対向面にメタライズが施され、このメタライズが施された範囲に、前記開口部を前記端栓により閉塞した状態で前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の隙間を封止する金属ろう材の中間材が進入される、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料被覆管。
【請求項6】
前記燃料被覆管本体の形状が、筒形状を成し、前記燃料被覆管本体の片方の端部または両方の端部に設けられた前記開口部が前記端栓で閉塞される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料被覆管。
【請求項7】
前記端栓の形状が、前記燃料被覆管本体の端部の外周を覆う外栓形状と、前記開口部よりも内側に設けられる内栓形状と、前記開口部に嵌り込むとともに前記開口部の端部を覆う中栓形状と、のうちの少なくともいずれか1つである、
請求項6に記載の燃料被覆管。
【請求項8】
前記開口部を前記端栓により閉塞した状態で前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の隙間を封止する中間材は、
シリケート系、またはフォスフェート系の金属アルコキシドを用いた無機接着剤と、
ポリカルボシラン、ポリカルボシラザン、またはポリオルガノボロシラザンのセラミック前駆体ポリマーと、
フェノール樹脂を用いたカーボン接着剤と、
銀ろう、金ろう、白金ろう、パラジウムろう、りん銅ろう、またはニッケルろうの金属ろう材と、
ガラス、シリコン、または金属酸化物の無機ろう材と、
のうちの少なくともいずれか1つを含む、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の燃料被覆管。
【請求項9】
前記開口部を前記端栓により閉塞した状態で前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の隙間を封止する中間材は、
シリケート系、またはフォスフェート系の金属アルコキシドを用いた無機接着剤と、
ポリカルボシラン、ポリカルボシラザン、またはポリオルガノボロシラザンのセラミック前駆体ポリマーと、
30~60wt%の炭化ケイ素の添加材と、
を含む、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の燃料被覆管。
【請求項10】
前記端栓が、炭化ケイ素のマトリックスに炭化ケイ素の長繊維を複合化した長繊維強化炭化ケイ素材料で形成される、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の燃料被覆管。
【請求項11】
内外を隔てる壁部分の肉厚が特定寸法であり、核燃料を収容する燃料被覆管本体を、炭化ケイ素のマトリックスに炭化ケイ素の長繊維を複合化した長繊維強化炭化ケイ素材料で形成するステップと、
内外を隔てる壁部分の肉厚が前記特定寸法の1.2倍以上、2.5倍以下である端栓を、少なくとも炭化ケイ素を含む材料で形成するステップと、
前記端栓で前記燃料被覆管本体の開口部を閉塞するステップと、
を含む、
燃料被覆管における開口部の閉塞方法。
【請求項12】
前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の隙間の近傍に中間材を配置するステップと、
前記中間材を溶かして毛細管現象によって前記隙間に前記中間材を進入させるステップと、
を含む請求項11に記載の燃料被覆管における開口部の閉塞方法。
【請求項13】
前記燃料被覆管本体と前記端栓が重なる部分の隙間を封止する金属ろう材の中間材の進入範囲に予めメタライズを施すステップを含む、
請求項11または請求項12に記載の燃料被覆管における開口部の閉塞方法。
【請求項14】
化学気相蒸着法と化学気相浸透法との少なくともいずれかの方法を用いて前記燃料被覆管本体または前記端栓を形成する、
請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の燃料被覆管における開口部の閉塞方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、長繊維強化炭化ケイ素材料で形成された容器における開口部の閉塞技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス材料である炭化ケイ素で形成された部材は、高温環境において強度の低下が少なく、金属部材よりも硬度が高く、さらに、耐摩耗性、耐熱性、耐酸化性、耐腐食性、および軽量性などの特性が優れている。そのため、重電設備部品、航空機部品、自動車部品、電子機器、精密機械部品、または半導体装置などの部材として広い分野で用いられている。この炭化ケイ素部材の靱性を高めるために、炭化ケイ素のマトリックス(母材)に炭化ケイ素の長繊維(連続繊維)を複合化した長繊維強化炭化ケイ素材料が開発されている。
【0003】
長繊維強化炭化ケイ素材料は、低温域から高温域まで優れた耐食性を有し、耐環境性に優れているので、固体、液体または気体を保存するための容器の材料として用いることが期待されている。例えば、核燃料を収容する燃料被覆管と、この燃料被覆管の端部の開口を閉塞する端栓とを、長繊維強化炭化ケイ素材料により形成しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/084146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長繊維強化炭化ケイ素材料を用いている場合に、端栓のような中実の部材が、肉厚が薄い燃料被覆管に接合されていると、製造時または使用時の温度変化によって膨張したり収縮したりするときに、端栓部が割れ易くなるという課題がある。
【0006】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、温度変化に対する耐性を向上させることができる長繊維強化炭化ケイ素材料で形成された容器における開口部の閉塞技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る燃料被覆管は、炭化ケイ素のマトリックスに炭化ケイ素の長繊維を複合化した長繊維強化炭化ケイ素材料で形成され、内外を隔てる壁部分の肉厚が特定寸法であり、核燃料を収容する燃料被覆管本体と、少なくとも炭化ケイ素を含む材料で形成され、内外を隔てる壁部分の肉厚が前記特定寸法の1.2倍以上、2.5倍以下であり、前記燃料被覆管本体の開口部を閉塞する端栓と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態により、温度変化に対する耐性を向上させることができる長繊維強化炭化ケイ素材料で形成された容器における開口部の閉塞技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】容器本体と蓋を示す斜視図。
図2】実施例1の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図3】実施例2の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図4】実施例3の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図5】実施例4の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図6】比較例1の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図7】実施例5の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図8】実施例6の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図9】実施例7の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図10】比較例2の蓋で容器本体の開口部を閉塞した状態を示す断面図。
図11】蓋で容器本体の開口部を閉塞する工程を示し、(A)は閉塞前を示し、(B)は閉塞後を示す断面図。
図12】容器における開口部の閉塞方法を示すフローチャート。
図13】各実施例の試験結果を示す表。
図14】変形例1の容器本体と蓋を示す斜視図。
図15】変形例2の容器本体と蓋を示す斜視図。
図16】熱衝撃試験の試験結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態を添付図面に基づいて説明する。まず、本実施形態の容器および容器における開口部の閉塞方法について図1から図13を用いて説明する。なお、図2から図11は、理解を助けるために端面図として描いている。図1の符号1は、本実施形態の容器である。この容器1は、容器本体2と蓋3とを備える。
【0011】
図1に示すように、容器本体2は、円筒形状を成す。本実施形態の容器1は、例えば、各種原子炉の核燃料を収容する燃料被覆管、溶融塩蓄熱材を封入するカプセル、またはコンテナなどに用いることができる。さらに、容器1は、各種廃棄物を封入するカプセルまたはコンテナなどに用いることができる。なお、核燃料以外の物質を容器1に収容しても良い。収容の対象となる物質は、固体、液体または気体のいずれの物質であっても良い。また、容器1は、原子力関連技術の他に、発電関連技術、軍事技術、航空宇宙技術、エレクトロニクス技術などの広い分野で用いることができる。
【0012】
容器本体2の端部には、円形状の開口部4が設けられる。本実施形態では、容器本体2の形状を、一方の端部に開口部4が設けられ、他方の端部が閉塞された有底円筒形状として例示している。そして、一方の端部の開口部4を蓋3で閉塞する。なお、容器本体2は、その両方の端部に開口部4が設けられるものであっても良い。この場合には、それぞれの開口部4を蓋3で閉塞する。なお、容器本体2、蓋3およびネジ11,12のエッジ部(端部)は、応力集中の緩和のためC面取りまたはR加工が成されている。
【0013】
容器本体2および蓋3は、炭化ケイ素のマトリックス(母材)に炭化ケイ素の長繊維を複合化した長繊維強化炭化ケイ素材料で形成される。このようにすれば、容器本体2および蓋3の靱性を高めることができる。特に、炭化ケイ素のみ(炭化ケイ素モノリシック材料)で部材を形成した場合には、き裂が発生したときに、脆性破壊が生じるおそれがある。そこで、長繊維強化炭化ケイ素材料で部材を形成することで、靱性が向上されるので、脆性破壊を抑制することができる。
【0014】
長繊維強化炭化ケイ素を用いて容器本体2または蓋3を製造する際には、例えば、まず、直径が約10μmである炭化ケイ素の長繊維を500~3000本ほど束ねることによって繊維束(ヤーン)を形成する。そして、この繊維束の表面に界面材料を形成する。
【0015】
その後、界面材料を形成した繊維束を用いて、筒形状の予備成形体(繊維プリフォーム)を形成する。この予備成形体は、フィラメントワインディング法またはブレーディング法で形成する。なお、予備成形体は、繊維束を二次元方向または三次元方向に配列することで形成される。その他にも、繊維束を織ることによって形成しても良い。
【0016】
次に、予備成形体の内部にマトリックスを形成することによって、長繊維強化炭化ケイ素の容器本体2と蓋3とを完成させる。本実施形態では、化学気相蒸着法と化学気相浸透法との少なくともいずれかの方法を用いて容器本体2または蓋3を形成する。このようにすれば、容器本体2または蓋3の製造性を向上させることができる。
【0017】
本実施形態では、例えば、化学的気相浸透(CVI;Chemical Vapor Infiltration)法を用いてマトリックスを形成する。このマトリックスの形成は、鋳込み成形法によって予備成形体の内部に粉末を充填した後に反応焼結を行うことで実行される。そして、必要に応じて、化学気相浸透法で形成したマトリックスの周囲を覆うように、化学気相蒸着法で緻密質な炭化ケイ素を被覆する。特に、容器本体2および蓋3の表面は、長繊維が露出しないように、緻密質な炭化ケイ素のマトリックスで覆われる。
【0018】
この他にも、プリカーサ含浸焼成法(PIP法)でマトリックスの形成を行うことができる。このプリカーサ含浸焼成法では、例えば、セラミックス繊維で形成された予備成形体中にセラミックスプリカーサ(ポリカルボシランなど)を含浸させた後に焼成することを、複数回(例えば、6~7回)繰り返すことでマトリックスを形成する。
【0019】
なお、プリカーサ含浸焼成法では、焼成による収縮などに起因して、マトリックスに微細なクラックが生ずる。このため、完成した容器1において、密着性および気密性を充分に確保するためには、プリカーサ含浸焼成法でなく、化学気相蒸着法または化学気相浸透法でマトリックスの形成を行う方が好ましい。また、シリコン溶浸法でマトリックスの形成を行っても良い。
【0020】
容器本体2の形状が、筒形状を成し、長繊維強化炭化ケイ素を用いて形成されることで、低温域から高温域まで優れた耐食性を有し、耐環境性に優れる容器1とすることができる。
【0021】
なお、筒形状の長さ方向をX方向とし、周方向をY方向とした場合に、予備成形体の繊維が延びる方向(強化・配置方向)は、XY面内であることが好ましい。仮に、X方向およびY方向のいずれにも直交する厚み方向(Z方向)に繊維が延びる場合には、容器1の内面側に繊維の端部が露出してしまう可能性がある。この場合は、繊維が容器1の内容物に直接触れるようになるので、耐酸化性および耐腐食性の観点から好ましくない。そこで、本実施形態では、繊維が延びる方向をXY面内にすることで、繊維が容器1の内容物に直接触れてしまうことを防止できる。
【0022】
なお、蓋3は、炭化ケイ素モノリシック材料で形成しても良い。容器本体2は、容器1全体の形状を維持し、その強度を保持する必要があるため、長繊維強化炭化ケイ素材料で形成されることが好ましい。一方、蓋3などの補助的な部材は、容器1全体の強度を保持する必要がないので、炭化ケイ素モノリシック材料で形成されても良い。
【0023】
次に、蓋3の実施例について図2から図5図7から図9を用いて説明する。なお、図6および図10を用いて比較例を示す。各例において、蓋3の形状および閉塞方法が異なっている。各図は、容器本体2の軸方向に直交する断面(端面)について図示している。
【0024】
図2から図10に示すように、容器本体2は、円筒形状の管状体である。各例において、容器本体2は、同一構成である。なお、容器本体2において、内外を隔てる壁部分5の肉厚Bは、容器本体2の周方向および長手方向のいずれの部分でも均一になっている。この容器本体2の肉厚Bを本実施形態の特定寸法とする。この容器本体2の壁部分5の肉厚Bの特定寸法は、容器1の用途および使用環境(例えば温度環境)などに応じて適宜設定される。つまり、この特定寸法は、容器1全体を設計する上で基準となる寸法である。
【0025】
本実施形態の容器本体2の壁部分5の肉厚Bは、0.5mm以上、5.0mm以下であることが好ましい。さらに、蓋3において、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、0.5mm以上、5.0mm以下であることが好ましい。
【0026】
また、容器本体2の開口部4を蓋3により閉塞した状態で、容器本体2と蓋3が重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。この中間材9を用いることで物理的または化学的に封をすることができる。
【0027】
本実施形態の中間材9は、シリケート系、またはフォスフェート系の金属アルコキシドを用いた無機接着剤と、ポリカルボシラン、ポリカルボシラザン、またはポリオルガノボロシラザンのセラミック前駆体ポリマーと、フェノール樹脂を用いたカーボン接着剤と、銀ろう、金ろう、白金ろう、パラジウムろう、りん銅ろう、またはニッケルろうの金属ろう材と、ガラス、シリコン、または金属酸化物の無機ろう材とのうちの少なくともいずれか1つを含むものである。なお、これらの材料の単体で中間材9を形成しても良いし、複数の材料を組み合せて中間材9を形成しても良い。この中間材9を容器本体2と蓋3が重なる部分7の隙間8に充填することで、容器本体2と蓋3との接合部分の密封性(封止性)と接合強度を向上させることができる。また、中間材9は、容器1の用途に応じて適宜選択される。
【0028】
また、中間材9として、シリケート系、フォスフェート系の金属アルコキシドを含む無機接着剤を用いる場合には、封をする筒状の容器本体2および蓋3の間の両側、つまり蓋3で密閉される容器本体2と、この蓋3との双方の接合面に、ペースト状またはスラリー状の掲題接着剤を塗布し、乾燥後焼成する。この無機接着剤は、加水分解反応と同時に縮重合反応が始まることにより、基材と接着・接合される。このとき、焼成は、容器本体2および蓋3の全体を加熱しても良いし、封をする部分のみを局部的に加熱しても良い。局部的な加熱の場合には、容器本体2と蓋3の両方ともに均一な温度で加熱されるように調整する。
【0029】
中間材9として、ポリカルボシラン、ポリカルボシラザン、ポリオルガノボロシラザンのセラミック前駆体ポリマーを用いる場合には、封をする筒状の容器本体2および蓋3の間の両側に、有機溶媒に溶解した前駆体ポリマーに炭化ケイ素質粒子を分散したスラリーを塗布し、乾燥後焼成させる。このセラミック前駆体ポリマーは、耐加水分解性に優れ、縮重合反応によりセラミックス化され、基材と接着・接合される。このとき、焼成は、不活性雰囲気中で容器本体2および蓋3の全体を加熱しても良いし、不活性雰囲気中で封をする部分のみを局部的に加熱しても良い。局部的な加熱の場合には、容器本体2と蓋3の両方ともに均一な温度で加熱されるように調整する。
【0030】
中間材9として、フェノール樹脂を用いたカーボン接着剤の場合には、封をする筒状の容器本体2および蓋3の間の両側に、フェノール樹脂と黒鉛粉、コークス、ピッチなどを主成分とした、カーボン接着剤を塗布し、硬化・焼成により接着させる。このとき、焼成は、不活性雰囲気中で容器本体2および蓋3の全体を加熱しても良いし、不活性雰囲気中で封をする部分のみを局部的に加熱しても良い。局部的な加熱の場合には、容器本体2と蓋3の両方ともに均一な温度で加熱されるように調整する。
【0031】
中間材9として、銀ろう、金ろう、白金ろう、パラジウムろう、りん銅ろう、ニッケルろうの金属ろう材の場合には、封をする筒状の容器本体2および蓋3の間の両側に、直接メタライズ法、または間接メタライズ法により、表面を金属ろう材に対する濡れ性を改質した後、粉末、ペースト状、箔、ワイヤなどの適切な形状の金属ろう材を配置し、加熱する。このとき、ろう付けは、不活性雰囲気中で容器本体2および蓋3の全体を加熱しても良いし、不活性雰囲気中で封をする部分のみを局部的に加熱しても良い。局部的な加熱の場合には、容器本体2と蓋3の両方ともに均一な温度で加熱されるように調整する。
【0032】
中間材9として、ガラス、シリコン、金属酸化物の無機ろう材の場合には、封をする筒状の容器本体2および蓋3の間の両側に、粉末状、ベースト状、またはスラリー状の無機ろう材を配置し、加熱・溶融させる。このとき、ろう付けは、大気中または不活性雰囲気中で容器本体2および蓋3の全体を加熱しても良いし、大気中または不活性雰囲気中で封をする部分のみを局部的に加熱しても良い。局部的な加熱の場合には、容器本体2と蓋3の両方ともに均一な温度で加熱されるように調整する。
【0033】
中間材9として、シリケート系、フォスフェート系の金属アルコキシドを用いた無機接着剤、および、ポリカルボシラン、ポリカルボシラザン、ポリオルガノボロシラザンのセラミック前駆体ポリマーを用いる場合には、炭化ケイ素の粉末を30~60wt%含有していることが好ましく、さらには30~40wt%含有していることがより好ましい。つまり、中間材9は、無機接着剤と前駆体ポリマーとを含むもの(主成分)を100wt%とした場合に、さらに添加材として30~60wt%(より好ましくは30~40wt%)の炭化ケイ素を加えたものであっても良い。また、前駆体ポリマー(100wt%)に対して、30~60wt%(より好ましくは30~40wt%)の炭化ケイ素を加えたものであっても良い。このように、炭化ケイ素の粉末を含有することにより、焼成による収縮などに起因して生じる、微細なクラックの発生を抑制することができる。また、この中間材9により、炭化ケイ素を含む材料で形成された容器本体2と蓋3との接合強度を向上させることができ、かつ容器本体2と蓋の密着性および気密性を充分に確保することが可能となる。
【0034】
中間材9は、耐熱性、耐酸化性、耐環境性が要求される。容器1を用いて保管または保存の対象となる様々な固体、液体、または気体の物理的、化学的性質により、中間材9が適宜選択される。即ち、中間材9を用いて蓋3を物理的または化学的に容器本体2に接着・接合し、封をするプロセスにおいて、保管または保存の対象となる物質が、変化変質しないこと、中間材9と反応しないこと、容器1および蓋3と反応しないことが必須であり、これらの状況を鑑みて中間材9が適宜選択される。
【0035】
各種の中間材9を物理的または化学的に接着・接合し、封をするプロセスにおいて、封をする部分を局部的に加熱し、物理的または化学的に接着・接合する方が、容器1の内部に収容されている物質に熱の影響を与えずに済むので、好ましい。局部的に加熱する方法としては、レーザによる加熱、ヒータによる加熱、赤外線ランプによる加熱、高周波誘導加熱、電磁誘導加熱などを用いる。そして、容器本体2と蓋3の両方ともに均一な温度になるように加熱されることが好ましい。また、均一な温度になるように加熱されることを実現するために、容器本体2および蓋3のサイズと形状を適宜選択する。
【0036】
本実施形態では、容器本体2および蓋3の作製を行う際に、最初に複合材料を構成する予備成形体(プリフォーム)の形成を行う。この工程では、まず、直径が12μmである炭化ケイ素の長繊維(ハイニカロン(登録商標)タイプS、日本カーボン製)の表面に、カーボンをCVD法で被覆する。そして、その長繊維を500本ほど束ねた繊維束(ヤーン)を用いて、フィラメントワインディング法によって、所定形状の予備成形体(厚みが1.0mm)を作製する。
【0037】
次に、複合材料の予備成形体にマトリックスの形成を行う。この工程では、予備成形体を化学気相反応炉内のカーボンモールド内部にセットした後に、温度が1300~1400℃であって、圧力が4~100kPaである条件の下で、原料ガス(四塩化ケイ素ガス、プロパンガス、水素ガス)を反応炉の内部に導入する。これによって、炭化ケイ素を主成分とするマトリックスを予備成形体に形成し、厚みが1mmである第1の複合材料を準備する。ここで、複合材料の予備成形体を構成する繊維の間に化学気相浸透法でマトリックスを形成するとともに、予備成形体の周囲をマトリックスが覆うように、化学気相蒸着法で炭化ケイ素マトリックスを形成する。
【0038】
図2に示すように、実施例1の蓋3Aは、平板形状を成す。この蓋3Aは、その直径が容器本体2の直径と同一寸法を成す円盤である。この蓋3Aにより容器本体2の端部の開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4の周縁に中間材9が塗布された状態で蓋3Aが取り付けられる。つまり、容器本体2と蓋3Aとの間に、中間材9が設けられる。この中間材9により、容器本体2と蓋3Aとが接合される。
【0039】
蓋3Aにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)と同一寸法となっている。この壁部分6の肉厚Lは、全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Aの肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。なお、この実施例1では、蓋3Aが平板形状を成しているので、容器本体2と蓋3Aが重なる部分がない。
【0040】
なお、実施例1の蓋3Aに、容器本体2の端部に嵌め合わせるための溝を形成しても良い。溝を形成する場合の作製工程の一例では、まず、ボロン-カーボン系の焼結助剤を用いた常圧焼結炭化ケイ素セラミックスの丸型平板を用意し、嵌め合わせの溝を形成する。そして、封をする側を覆うように、化学気相蒸着法で炭化ケイ素の薄膜を形成する。
【0041】
図3に示すように、実施例2の蓋3Bは、容器本体2の端部の外周を覆う外栓形状(キャップ形状)を成す。この蓋3Bは、容器本体2の外径よりも若干大きい内径を有する有底円筒形状を成す。この蓋3Bにより容器本体2の端部が覆われることで開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Bにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Bが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。この中間材9により、容器本体2と蓋3Bとが接合される。
【0042】
蓋3Bにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)と同一寸法となっている。この壁部分6の肉厚Lは、蓋3B全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Bの肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0043】
また、容器本体2の開口部4を蓋3Bにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Bが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ2倍の寸法となっている。なお、この重なる部分7の肉厚Qは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0044】
図4に示すように、実施例3の蓋3Cは、容器本体2の開口部4よりも内側に設けられる内栓形状を成す。この蓋3Cは、容器本体2の内径よりも若干小さい外径を有する有底円筒形状を成す。つまり、蓋3Cの中央部には、容器本体2の内方に向かって凹む中空部10が形成されている。この蓋3Cが容器本体2の開口部4に嵌ることで、開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Cにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Cが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。この中間材9により、容器本体2と蓋3Cとが接合される。また、蓋3Cが容器本体2の開口部4に嵌ることで、容器本体2の開口部4の封止性および機械的強度を向上させることができる。
【0045】
蓋3Cにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)と同一寸法となっている。この壁部分6の肉厚Lは、蓋3C全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Cの肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0046】
また、容器本体2の開口部4を蓋3Cにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Cが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ2倍の寸法となっている。なお、この重なる部分7の肉厚Qは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0047】
図5に示すように、実施例4の蓋3Dは、容器本体2の開口部4に嵌り込み、かつ開口部4の端部(周縁)を覆う中栓形状を成す。この蓋3Dは、容器本体2の内径よりも若干小さい外径を有する有底円筒形状を成す。つまり、蓋3Dの中央部には、容器本体2の内方に向かって凹む中空部10が形成されている。この蓋3Dが容器本体2の開口部4に嵌ることで、開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Dにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Dが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。この中間材9により、容器本体2と蓋3Dとが接合される。また、蓋3Dが容器本体2の開口部4に嵌ることで、容器本体2の開口部4の封止性および機械的強度を向上させることができる。
【0048】
蓋3Dにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)と同一寸法となっている。この壁部分6の肉厚Lは、蓋3D全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Dの肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0049】
また、容器本体2の開口部4を蓋3Dにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Dが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ2倍の寸法となっている。なお、この重なる部分7の肉厚Qは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0050】
図6に示すように、比較例1の蓋3Eは、容器本体2の開口部4に嵌り込み、かつ開口部4の端部(周縁)を覆い、かつ前述の中空部10が形成されていない中実栓形状を成す。この蓋3Eが容器本体2の開口部4に嵌ることで、開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Eにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Eが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。この中間材9により、容器本体2と蓋3Eとが接合される。また、蓋3Eが容器本体2の開口部4に嵌ることで、容器本体2の開口部4の封止性および機械的強度を向上させることができる。
【0051】
蓋3Eにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)のほぼ5倍の寸法となっている。また、容器本体2の開口部4を蓋3Eにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Eが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ9倍の寸法となっている。
【0052】
図7に示すように、実施例5の蓋3Fは、容器本体2の端部の外周を覆う外栓形状(キャップ形状)を成す。この蓋3Fは、容器本体2の外径よりも若干大きい内径を有する有底円筒形状を成す。また、容器本体2および蓋3Fにおいて、容器本体2と蓋3Fが重なる部分7の対向面には、ネジ11,12が形成される。そして、蓋3Fが容器本体2の端部に螺合されることで、開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Fにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Fが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。また、蓋3Fが容器本体2の開口部4に螺合されることで、容器本体2の開口部4の封止性および機械的強度を向上させることができる。なお、以下に説明する図8から図11も同様であるが、ネジ11,12のエッジ部(端部)は、応力集中の緩和のためC面取りまたはR加工が成されている。
【0053】
蓋3Fにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)と同一寸法となっている。この壁部分6の肉厚Lは、蓋3F全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Fの肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0054】
また、容器本体2の開口部4を蓋3Fにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Fが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ2倍の寸法となっている。なお、この重なる部分7の肉厚Qは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0055】
図8に示すように、実施例6の蓋3Gは、容器本体2の開口部4よりも内側に設けられる内栓形状を成す。この蓋3Gは、容器本体2の内径よりも若干小さい外径を有する有底円筒形状を成す。つまり、蓋3Gの中央部には、容器本体2の内方に向かって凹む中空部10が形成されている。また、容器本体2および蓋3Gにおいて、容器本体2と蓋3Gが重なる部分7の対向面には、ネジ11,12が形成される。そして、蓋3Gが容器本体2の端部に螺合されることで、開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Gにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Gが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。また、蓋3Gが容器本体2の開口部4に螺合されることで、容器本体2の開口部4の封止性および機械的強度を向上させることができる。
【0056】
蓋3Gにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)と同一寸法となっている。この壁部分6の肉厚Lは、蓋3G全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Gの肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0057】
また、容器本体2の開口部4を蓋3Gにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Gが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ2倍の寸法となっている。なお、この重なる部分7の肉厚Qは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0058】
図9に示すように、実施例7の蓋3Hは、容器本体2の開口部4に嵌り込み、かつ開口部4の端部(周縁)を覆う中栓形状を成す。この蓋3Hは、容器本体2の内径よりも若干小さい外径を有する有底円筒形状を成す。つまり、蓋3Hの中央部には、容器本体2の内方に向かって凹む中空部10が形成されている。また、容器本体2および蓋3Hにおいて、容器本体2と蓋3Hが重なる部分7の対向面には、ネジ11,12が形成される。そして、蓋3Hが容器本体2の端部に螺合されることで、開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Hにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Hが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。また、蓋3Hが容器本体2の開口部4に螺合されることで、容器本体2の開口部4の封止性および機械的強度を向上させることができる。
【0059】
蓋3Hにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)と同一寸法となっている。この壁部分6の肉厚Lは、蓋3H全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Hの肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0060】
また、容器本体2の開口部4を蓋3Hにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Hが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ2倍の寸法となっている。なお、この重なる部分7の肉厚Qは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0061】
なお、実施例4の蓋3D(図5参照)および実施例7の蓋3H(図9参照)では、容器本体2の開口部4の端部(周縁)を覆っている。このようにすることで、容器本体2の端部を保護することができる。例えば、長尺の容器本体2を作製するときには、まず、必要な寸法よりも長い容器本体2を形成する。そして、その端部を切断して長手方向の寸法を調整する。つまり、容器本体2の端部(開口部4の周縁の面)には、長繊維が外部に露出される。この端部を蓋3で覆うことで、長繊維の露出を防止することができる。
【0062】
図10に示すように、比較例2の蓋3Kは、容器本体2の開口部4に嵌り込み、かつ開口部4の端部(周縁)を覆い、かつ前述の中空部10が形成されていない中実栓形状を成す。また、容器本体2および蓋3Kにおいて、容器本体2と蓋3Kが重なる部分7の対向面には、ネジ11,12が形成される。そして、蓋3Kが容器本体2の端部に螺合されることで、開口部4が閉塞される。なお、容器本体2の開口部4を蓋3Kにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Kが重なる部分7の隙間8が中間材9で封止される。また、蓋3Kが容器本体2の開口部4に嵌ることで、容器本体2の開口部4の封止性および機械的強度を向上させることができる。
【0063】
蓋3Kにおいて、内外を隔てる壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚B(特定寸法)のほぼ5倍の寸法となっている。また、容器本体2の開口部4を蓋3Kにより閉塞した状態で、容器本体2と蓋3Kが重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)のほぼ9倍の寸法となっている。
【0064】
なお、比較例1および比較例2の蓋3E,3Kは、実施例1から実施例7の蓋3と比較して、体積および質量が大きくなっている。そのため、温度変化によってクラックが生じ易くなっている。
【0065】
本実施形態では、容器本体2の開口部4を蓋3により閉塞した状態で、容器本体2と蓋3が重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚B(特定寸法)の1倍以上、3倍以下であれば良い。このようにすれば、容器本体2と蓋3が重なる部分7が温度変化によって膨張したり収縮したりするときに、その膨張率または収縮率が容器本体2の壁部分5と近似するようになるので、容器本体2と蓋3が重なる部分7の温度変化に対する耐性を向上させることができる。
【0066】
なお、容器本体2において蓋3と重なる部分の肉厚が、他の部分の肉厚の0.5倍以上、2倍以下であれば良い。また、蓋3において容器本体2と重なる部分の肉厚が、他の部分の肉厚の0.5倍以上、2倍以下であれば良い。
【0067】
なお、前述の各例において、蓋3の壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の壁部分5の肉厚Bの1.2倍以上、2.5倍以下であっても良い。さらに、容器本体2の開口部4が蓋3で閉塞された状態で、容器本体2と蓋3が重なる部分7の肉厚Qが、容器本体2の肉厚B(特定寸法)の1.2倍以上、2.5倍以下であっても良い。
【0068】
容器本体2と蓋3が重なる部分7の肉厚Qが、前述の範囲の下限値よりも薄い場合には、容器1の機械的特性、耐熱性、耐酸化性、耐環境性が不充分になる場合がある。これに対して、前述の範囲の上限値よりも厚い場合には、製造性が悪くなり、その結果、容器1の内部の気孔率が上がり、強度や熱伝導率が低下してしまうなどの機械的・熱的特性低下を招き、機械的特性または耐環境性が不充分になる場合がある。本実施形態では、このような課題を解決することができる。
【0069】
また、蓋3で封をする場合も、蓋3の壁部分6の肉厚Lを、容器本体2の壁部分5の肉厚Bに近いものとし、かつ容器本体2と蓋3が重なる部分7の肉厚Qも、容器1全体として均質な厚みになるように調整することで、高温環境においても、容器1の比熱、熱膨張、熱伝導率等の温度による変化を回避することができる。
【0070】
本実施形態では、容器本体2と蓋3のそれぞれにネジ11,12が形成され、蓋3が容器本体2に螺合されることで、容器本体2と蓋3との接合強度を向上させることができる。
【0071】
図11は、蓋3で容器本体2の開口部4を閉塞する工程の一例を示す。なお、中間材9として、金属ろう材を例示する。図11(A)に示すように、本実施形態では、容器本体2と蓋3が重なる部分7の対向面にネジ11,12がそれぞれ形成される。
【0072】
図11(B)に示すように、中間材9として金属ろう材を用いる場合には、容器本体2と蓋3が重なる部分7の対向面において、所定範囲Eに予めメタライズが施される。このメタライズは、容器本体2と蓋3の両方に施される。なお、メタライズは、直接メタライズ法または間接メタライズ法のいずれであっても良い。このメタライズにより対向面の表面の金属ろう材に対する濡れ性が改質される。
【0073】
次に、蓋3を容器本体2の端部に螺合させるときに、容器本体2と蓋3が重なる部分7の隙間8にワイヤ状の中間材9を配置する。そして、容器本体2と蓋3を加熱する。この加熱によりワイヤ状の中間材9が溶融される。
【0074】
この溶けた中間材9は、毛細管現象によって隙間8に中間材9が進入される(図9参照)。なお、この中間材9は、メタライズが施された範囲Eに進入し、この範囲Eに留まるようになる。このように、容器本体2と蓋3が重なる部分7の隙間8に中間材9が配置される。このようにすれば、中間材9の進入範囲Eを予めメタライズにより設定することができる。そのため、中間材9が不必要な部分に広がることがない。その後に、容器本体2と蓋3を冷却することで、中間材9が固化される。
【0075】
なお、中間材9として、活性銀ろうを用いても良い。例えば、容器本体2と蓋3の隙間8の両側に、ネジ加工を施した後に、ペースト状の活性銀ろうを塗布する。次に、容器本体2と蓋3の両方を780~800℃の温度で均一に加熱する。さらに、この加熱をガスシールドしながら、セラミックヒータを用いて加熱を行うようにする。
【0076】
また、中間材9として、ニッケルろうを用いても良い。例えば、容器本体2と蓋3の隙間8の両側に、ネジ加工を施した後に、蒸着法でチタン、ニッケル、クロムのうち少なくともいずれか1つを含む膜を形成する。なお、これらの材料の単体で膜を形成しても良いし、複数の材料を組合せて形成しても良い。次に、シート状のニッケルろうを配置する。次に、容器本体2と蓋3の両方を925~1010℃の温度で均一に加熱する。さらに、この加熱をガスシールドしながら、セラミックヒータを用いて加熱を行うようにする。
【0077】
次に、容器1における開口部4の閉塞方法について図12のフローチャートを用いて説明する。なお、以下のフローチャートの各ステップの説明にて、例えば「ステップS11」と記載する箇所を「S11」と略記する。
【0078】
図12に示すように、まず、容器1の用途および使用環境などに応じて容器本体2の壁部分5の肉厚Bの特定寸法を決定する。そして、容器本体2を長繊維強化炭化ケイ素材料で形成する(S11)。次に、特定寸法に基づいて蓋3の壁部分6の肉厚Lを決定する。そして、蓋3を長繊維強化炭化ケイ素材料で形成する(S12)。次に、中間材9として金属ろう材を用いる場合において、容器本体2と蓋3が重なる部分7の中間材9の進入範囲Eに予めメタライズを施す(S13)。なお、金属ろう材を用いる場合以外は中間材9の進入範囲Eに予めメタライズを施さなくとも良い。その場合は、このメタライズ施工工程(S13)は省略されても良い。
【0079】
次に、容器本体2と蓋3が重なる部分7の隙間8の近傍に中間材9を配置する(S14)。次に、蓋3で容器本体2の開口部4を閉塞する(S15)。次に、容器本体2と蓋3を加熱して中間材9を溶し、この溶けた中間材9を毛細管現象によって、容器本体2と蓋3が重なる部分7の隙間8に進入させる(S16)。次に、容器本体2と蓋3を冷却して中間材9を固化させて(S17)、処理を終了する。
【0080】
各実施例および各比較例の各サンプルを作製し、接合強度試験と、密封性試験と、耐環境性試験とを行った。図13に示す表では、各実施例および各比較例に対応付けて、蓋3の形状、ネジ11,12の有無、中間材9の有無、容器本体2と蓋3との接合強度(機械的特性)、容器1の密封性、容器1の耐環境性の試験結果を記載している。なお、図13に示す試験結果は一例である。
【0081】
この試験では、前述の実施例1~7、比較例1~2に加えて、外栓形状の蓋3Fで容器本体2に螺合されるが中間材9を用いていない実施例8(図示略)と、内栓形状の蓋3Gで容器本体2に螺合されるが中間材9を用いていない実施例9(図示略)と、中栓形状の蓋3Hで容器本体2に螺合されるが中間材9を用いていない実施例10(図示略)と、中実栓形状の蓋3Kで容器本体2に螺合されるが中間材9を用いていない比較例3(図示略)とを含めて試験を行った。
【0082】
なお、耐環境性とは、温度変化に対する耐性を示す。この耐環境性試験として、過熱水蒸気試験を行った。過熱水蒸気試験については、オートクレーブを用いて、温度が360℃、水蒸気圧が0.2MPa、保持時間が1週間の試験条件で行った。試験方法は、JISに準拠している。
【0083】
また、容器本体2と蓋3との接合強度の試験は、室温で引張強度試験を実施することで測定を行い、この測定値を所定の閾値と比較して接合強度の良し悪しを判定している。なお、耐環境性の良し悪しの判定は、クラックの発生の有無に基づいている。
【0084】
この試験結果に示すように、実施例5~7の蓋3を用いた容器1では、接合強度、密封性、耐環境性のいずれにおいても良好な結果となった。これに対して、比較例1~3の蓋3を用いた容器1では、耐環境性において不良な結果となった。これら比較例1~3の蓋3では、温度変化に耐えられず、クラックが発生してしまう結果となった。
【0085】
また、比較例1~3に示す蓋3の例のように、蓋3において、内外を隔てる壁部分6の肉厚L(図6および図10参照)を、容器本体2の肉厚B(特定寸法)の4倍以上の寸法(3倍(2.5倍)を超える寸法)にすると、温度変化に耐えられず、クラックが発生してしまうことが分かった。また、容器本体2の開口部4を蓋3により閉塞した状態で、容器本体2と蓋3が重なる部分7の肉厚Q(図6および図10参照)を、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)の4倍以上(3倍(2.5倍)を超える寸法)の寸法にすると、温度変化に耐えられず、クラックが発生してしまうことが分かった。なお、蓋3の壁部分6の肉厚Lおよび容器本体2と蓋3が重なる部分7の肉厚Qを、容器本体2の肉厚Bの(特定寸法)の1倍(1.2倍)未満にしてしまうと、容器1が想定している用途に必要な強度が保てなくなる。本実施形態では、このような課題を解決することができる。
【0086】
図16に示す表では、試験体の熱衝撃試験を行った試験結果を記載している。この試験では、容器本体2に対する蓋3の厚みが異なる複数種類の試験体を作製した。この試験では、それぞれの試験体を500℃で加熱した後、この温度を保持した状態で水中に投下した。そして、蛍光探傷試験で試験体にクラックが発生したか否かの検査を実施した。なお、この検査の結果、クラックが無いことが判明した試験体については、ヘリウムリーク試験を追加で行い、その気密性を評価した。なお、本実施形態の実施例6(図8参照)の形状の容器を試験体として用いている。
【0087】
試験体1は、蓋3の壁部分6の肉厚Lを容器本体2の肉厚Bの0.5倍としたものである。試験体2は、蓋3の壁部分6の肉厚Lを容器本体2の肉厚Bの1倍としたものである。試験体3は、蓋3の壁部分6の肉厚Lを容器本体2の肉厚Bの2倍としたものである。試験体4は、蓋3の壁部分6の肉厚Lを容器本体2の肉厚Bの3倍としたものである。試験体5は、蓋3の壁部分6の肉厚Lを容器本体2の肉厚Bの4倍としたものである。試験体6は、蓋3の壁部分6の肉厚Lを容器本体2の肉厚Bの5倍としたものである。
【0088】
熱衝撃試験を行った結果、試験体6には、クラックが生じた。そして、クラックが無い試験体1~5については、ヘリウムリーク試験を追加で行った。ここで、リーク量を検出する検出装置の検出限界値である1×10-9Pa m/sを検出限界値として、リーク量が検出限界値以下の試験体を合格とし、リークが検出された試験体を不合格と判定した。合格基準に適合したものは、試験体2~試験体4であった。この試験結果から、蓋3の壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であることが好ましいことが確認できた。
【0089】
なお、本実施形態の実施例2から実施例5および実施例7の形状の容器についても、試験体を作製し、前述と同様に熱衝撃試験とヘリウムリーク試験を行った。その結果、蓋3の壁部分6の肉厚Lは、容器本体2の肉厚Bの1倍以上、3倍以下であることが好ましいことが確認できた。
【0090】
なお、前述の実施形態では、容器本体2の形状を円筒形状として説明したが、容器本体2の形状は、その他の形状であっても良い。例えば、図14の変形例1の容器1Lに示すように、容器本体2Lが角筒形状を成しても良い。そして、この容器本体2Lの端部の開口部4Lが、平板形状を成す蓋3Lにより閉塞される。
【0091】
変形例1の蓋3Lは、平面視で四角形状を成し、容器本体2Lの端部の形状と同一形状に形成される。なお、開口部4Lの形状も四角形状を成す。また、蓋3L(壁部分)の肉厚は、容器本体2Lの肉厚(特定寸法)と同一寸法となっている。この蓋3Lの肉厚は、全体に亘って均一になっている。なお、蓋3Lの肉厚は、容器本体2Lの壁部分の肉厚の1倍以上、3倍以下であれば良い。なお、容器本体2Lの開口部4Lの周縁に中間材が塗布された状態で蓋3Lが取り付けられる。つまり、この中間材により、容器本体2Lと蓋3Lとが接合される。さらに、平面視において、容器本体2Lの4つの角部を湾曲形状に形成しても良い。このようにすれば、容器1Lの機械的強度および耐環境性が向上される。
【0092】
また、角筒形状の容器本体2Mにおいて、その開口部4Mに蓋3Mを螺合させても良い。例えば、図15の変形例2の容器1Mに示すように、容器本体2Mの四角形状を成す端部の中央部分に、円形状を成す開口部4Mを形成しても良い。この容器本体2Mの端部の開口部4Mが、中栓形状を成す蓋3Mにより閉塞される。
【0093】
変形例2の蓋3Mは、平面視で四角形状を成し、容器本体2Mの開口部4Mに嵌る円筒形状の部分13を有する。この部分13の外周面には、中間材(図示せず)が配置される。この蓋3Mが容器本体2Mの開口部4Mに螺合される。なお、蓋3Mの中央部には、容器本体2Mの内方に向かって凹む中空部10が形成されている。
【0094】
変形例2の容器本体2Mでは、開口部4Mの周縁の肉厚が一定ではない。この場合において、特定寸法は、開口部4Mの周縁において最も薄い部分の肉厚の寸法とする。そして、蓋3Mにおいて、内外を隔てる壁部分の肉厚は、特定寸法と同一寸法となっている。なお、蓋3Mの壁部分の肉厚は、全体に亘って均一になっている。この蓋3Mの壁部分の肉厚は、容器本体2Mの肉厚の1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0095】
なお、特定寸法を開口部4Mの周縁において最も薄い部分の肉厚としているが、その他の肉厚を特定寸法として規定しても良い。例えば、容器本体2Mの開口部4Mの周縁において最も厚い部分の肉厚を特定寸法としても良い。また、容器本体2Mの開口部4Mの周縁の平均の肉厚を特定寸法としても良い。
【0096】
なお、前述のいずれか1の実施例(変形例)において適用された構成を他の実施例(変形例)に適用しても良いし、各実施例(変形例)において適用された構成を組み合わせても良い。
【0097】
なお、本実施形態の蓋3とは、容器本体2の開口部4を閉塞した状態において、容器本体2の内面の面積よりも小さい内面の面積を有する部材のことである。また、容器本体2の開口部4を閉塞した状態において、蓋3の内面の面積は、容器本体2の内面の面積の半分以下であれば良い。また、1つの容器本体2に設けられた複数の開口部4を複数の蓋3で閉塞する場合において、それぞれの蓋3の内面の面積は、容器本体2の内面の面積の半分以下であれば良い。
【0098】
なお、本実施形態の蓋3の形状は、筒形状に限らず、箱状であっても良いし、球形状であっても良いし、その他の形状であっても良い。
【0099】
なお、容器本体2の壁部分5の肉厚Bは、全体に亘って均一になっているものに限らず、不均一なものであっても良い。容器本体2の壁部分5の肉厚Bが不均一である場合は、最も薄い部分の肉厚を特定寸法としても良いし、最も厚い部分の肉厚を特定寸法としても良いし、容器本体2の壁部分5の肉厚Bの平均値を特定寸法としても良い。
【0100】
なお、蓋3の壁部分6の肉厚Lは、全体に亘って均一になっているものに限らず、不均一なものであっても良い。蓋3の壁部分6の肉厚Lが不均一である場合は、最も薄い部分の肉厚が、特定寸法の1倍以上、3倍以下であれば良い。また、最も厚い部分の肉厚が、特定寸法の1倍以上、3倍以下であれば良い。また、蓋3の壁部分6の肉厚Lの平均値が、特定寸法の1倍以上、3倍以下であれば良い。
【0101】
以上説明した実施形態によれば、少なくとも炭化ケイ素を含む材料で形成され、内外を隔てる壁部分の肉厚が特定寸法の1倍以上、3倍以下であり、容器本体の開口部を閉塞する蓋を備えることにより、温度変化に対する耐性を向上させることができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
1(1L,1M)…容器、2(2L,2M)…容器本体、3(3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3K,3L,3M)…蓋、4(4L,4M)…開口部、5…容器本体の壁部分、6…蓋の壁部分、7…重なる部分、8…隙間、9…中間材、10…中空部、13…円筒形状の部分、B…容器本体の壁部分の肉厚、E…進入範囲、L…蓋の壁部分の肉厚、Q…重なる部分の肉厚。
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