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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】コイル状部材の搬送用支持台
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B65D19/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022158855
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2022-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522387434
【氏名又は名称】大同興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】亀井 善世
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-352272(JP,A)
【文献】実開昭61-161308(JP,U)
【文献】特開2009-001319(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147373(WO,A1)
【文献】特開2002-004573(JP,A)
【文献】米国特許第06290164(US,B1)
【文献】米国特許第04199069(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル状部材を載置して搬送するコイル状部材の搬送用支持台であって、
交差方向に延在する複数の鋼材が連結されている基台部と、
前記基台部に設けられたコイル載置部と、
前記基台部に設けられて上方に開口する有底状の底部下部が閉塞されている筒状部と、
前記筒状部の上方開口から着脱自在に挿入され、当該筒状部に挿入した状態で上方に延在する支柱と、を備え、
前記筒状部は、前記支柱を着脱する上方開口の開口端縁が前記基台部に近接する側から離間する側に向けて下方に傾斜するよう形成され
前記支柱の長手方向に離間する少なくとも2箇所に、当該支柱の側面から突出するよう突状部が設けられると共に、前記筒状部から取り外した前記支柱を、前記突状部が設けられた側面を前記基台部側に向けて当該基台部に載置した状態で、当該突状部が当接可能な移動規制部が当該基台部に設けられており、
前記突状部が移動規制部に当接することで、前記基台部に載置した前記支柱の長手方向の移動を規制可能に構成されている
ことを特徴とするコイル状部材の搬送用支持台。
【請求項2】
コイル状部材を載置して搬送するコイル状部材の搬送用支持台であって、
交差方向に延在する複数の鋼材が連結されている基台部と、
前記基台部に設けられたコイル載置部と、
前記基台部に設けられて上方に開口する有底状の底部下部が閉塞されている筒状部と、
前記筒状部の上方開口から着脱自在に挿入され、当該筒状部に挿入した状態で上方に延在する支柱と、を備え、
前記筒状部は、前記支柱を着脱する上方開口の開口端縁が前記基台部に近接する側から離間する側に向けて下方に傾斜するよう形成され、
前記基台部の下面に、前記コイル載置部を挿入可能な開口が形成され、複数の搬送用支持台を上下に積み重ねた際に、下方に位置する搬送用支持台のコイル載置部が当該支持台の下面の開口に臨むよう構成されている
ことを特徴とするコイル状部材の搬送用支持台。
【請求項3】
前記基台部の下面側に、前記コイル載置部の長手方向の両端部側に位置するよう位置規制部が設けられており、搬送用支持台を積み重ねて前記基台部の下面の開口に下方に位置する搬送用支持台のコイル載置部を臨ませた際に、当該下方に位置する搬送用支持台のコイル載置部の長手方向への移動を、前記位置規制部で規制し得るよう構成されている請求項記載のコイル状部材の搬送用支持台。
【請求項4】
複数の搬送用支持台を上下に積み重ねる際に、積み重ねられる搬送用支持台をコイル載置部の延在方向に案内するガイド板と、前記延在方向と平面視において直交する直交方向に案内する傾斜板とが前記基台部に設けられ、当該ガイド板および傾斜板によって、上下に積み重なる搬送用支持台の前記延在方向および前記直交方向の位置を整列させるよう構成されている請求項1~3の何れか一項に記載のコイル状部材の搬送用支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材や鋼板等をコイル状に巻いたコイル状部材の輸送を円滑に行うことができる搬送用支持台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鉄所等で製造された線材や鋼板等の材料は、錆や擦り傷の発生防止等のために表面に潤滑油を塗布した後にコイル状に巻き取られて、この巻き取ったコイル状部材をパレットやスキッドなどと呼ばれる搬送用の支持台に載置した状態で船などを利用して輸送したり、倉庫内や屋外等に保管される。このようなコイル状部材の搬送用支持台としては、木材を略矩形状に組み合わせて釘で固定した木製の支持台が広く採用されている。
【0003】
ところで、前述した様な木製の搬送用支持台は、骨格を形成している木材が釘で固定されていることから容易に分解することができず、搬送用支持台にコイル状部材を載置していない空荷の状態であっても搬送用支持台が嵩張り、単独で運搬や保管するのに難点がある。このため、鋼材を井桁状に組み合わせて溶接等で固定して搬送用支持台の土台を形成すると共に、当該搬送用支持台の土台に中空柱形状の4個のコーナーボックスを設けて、当該コーナーボックスの各々に4本の支柱を着脱自在に挿入するようにした金属製の搬送用支持台も知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。すなわち、中空柱形状の4個のコーナーボックスに対して4本の支柱をコーナーボックスに対して着脱可能にすることで、空荷の場合には支柱を取り外すようにすることで、単独での運搬や保管を効率良く行いうるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3129894号公報
【文献】特開2004-352272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送用支持台に載置されるコイル状部材は線材や鋼板等をコイル状に巻き取ったものであることから極めて重量が嵩んでおり、コイル状部材を支える支柱も剛性を確保する必要から重量が嵩んだものとならざるを得ない。また、搬送用支持台でコイル状部材を安定して支えるため、支柱はコーナーボックスに比較的隙間なく挿入されていることが求められ、重量が嵩む支柱をコーナーボックスに対して着脱する作業が煩雑になり、作業効率が低い難点がある。また、搬送用支持台から取り外した支柱は、別途保管や輸送などする必要があり、支柱の散逸などの問題が生じかねない。
【0006】
そこで、本発明は、前述した従来技術に内在する課題に鑑み、搬送用支持台の取回し作業効率を向上することができるコイル状部材の搬送用支持台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の発明は、
コイル状部材を載置して搬送するコイル状部材の搬送用支持台であって、
交差方向に延在する複数の鋼材が連結されている基台部と、
前記基台部に設けられたコイル載置部と、
前記基台部に設けられて上方に開口する有底状の底部下部が閉塞されている筒状部と、
前記筒状部の上方開口から着脱自在に挿入され、当該筒状部に挿入した状態で上方に延在する支柱と、を備え、
前記筒状部は、前記支柱を着脱する上方開口の開口端縁が前記基台部に近接する側から離間する側に向けて下方に傾斜するよう形成されていることを要旨とする。
この発明によれば、支柱を着脱する着脱口となる筒状部の上方開口の開口面積を広くすることができるから、各筒状部に対する支柱の着脱を容易に行い得るようになる。
【0008】
第2の発明は、
前記支柱の長手方向に離間する少なくとも2箇所に、当該支柱の側面から突出するよう突状部が設けられると共に、当該支柱を前記基台部に載置した状態で、当該突状部が当接可能な移動規制部が当該基台部に設けられており、
前記突状部が移動規制部に当接することで、前記基台部に載置した前記支柱の長手方向の移動を規制可能に構成されていることを要旨とする。
この発明によれば、筒状部から取り外した支柱を基台部に載置した状態で、突状部と移動規制部との接触により支柱が長手方向に移動するのを規制することができる。このため、搬送用支持台毎に必要な支柱を基台部と一緒に纏めて保管したり、搬送することが可能となるから、搬送用支持台を効率良く管理することが可能になる。
【0009】
第3の発明は、
前記基台部の各側端面に、フォークリフトのフォークを挿入可能な開口が夫々形成されていることを要旨とする。
この発明によれば、搬送用支持台をコンテナなどに積み降ろしたり、適宜の保管場所に搬送する際の取り回し作業性を格段に高めることができる。
【0010】
第4の発明は、
前記基台部の下面に、前記コイル載置部を挿入可能な開口が形成され、複数の搬送用支持台を上下に積み重ねた際に、下方に位置する搬送用支持台のコイル載置部が当該支持台の下面の開口に臨むよう構成されていることを要旨とする。
この発明によれば、重量のある搬送用支持台を、安定した積み重ね状態で保管したり搬送することが可能になる。
【0011】
第5の発明は、
前記基台部の下面側に、前記コイル載置部の長手方向の両端部側に位置するよう位置規制部が設けられており、搬送用支持台を積み重ねて前記基台部の下面の開口に下方に位置する搬送用支持台のコイル載置部を臨ませた際に、当該下方に位置する搬送用支持台のコイル載置部の長手方向への移動を、前記位置規制部で規制し得るよう構成されていることを要旨とする。
この発明によれば、重量のある搬送用支持台を安定した積み重ね状態で保管したり搬送することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送用支持台の搬送などの取回し作業効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るコイル状部材の搬送用支持台を示す正面図である。
図2】本発明に係るコイル状部材の搬送用支持台を示す平面図である。
図3】本発明に係るコイル状部材の搬送用支持台を示す側面図である。
図4図2のA-A線断面図であって、上方に積み重なる搬送用支持台を二点鎖線で示してある。
図5図2のB-B線断面図である。
図6図1において筒状部を縦断して示す要部拡大図である。
図7図3において筒状部の形成位置で拡大した要部拡大図であって、上方に積み重なる搬送用支持台の筒状部を二点鎖線で示してある。
図8】本発明に係るコイル状部材の搬送用支持台を、2台積み重ねた状態を示す正面図である。
図9】本発明に係るコイル状部材の搬送用支持台を、2台積み重ねた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係るコイル状部材Cの搬送用支持台10の好適な実施形態に関し、添付図面を参照しながら以下説明する。
【0015】
本実施形態に係るコイル状部材Cの搬送用支持台10は、図1図3に示すように、線材や鋼板等をコイル状に巻き取ったコイル状部材Cを載置してコンテナに収納可能に支持するスキッドやパレットなどとも称される金属製の支持台であり、平面視において交差方向(X方向およびY方向)に延在する複数の鋼材が連結されている基台部12と、当該基台部12の上部に所定間隔離間するよう設けられたコイル載置部32と、基台部12に設けられて上方に開口すると共に底部が閉塞されている有底状の筒状部44と、当該筒状部44の上方開口から着脱自在に挿入されて筒状部44に挿入した状態で上方に延在する支柱50と、を備えている。そして、コイル状部材Cの開口が横を向く姿勢でコイル載置部32上にコイル状部材Cを載置し得るよう構成されている。なお、本実施形態では、図1図3に図示するように、コイル載置部32の延在方向をX方向とし、平面視における当該X方向に対する直交方向をY方向として説明する。
【0016】
前記基台部12は、図1図3に示すように、ステンレス鋼や鋼などのコイル状部材Cを載置可能な剛性を備えた適宜の金属材により構成されており、X方向に延在するように配置された鋼材により形成されて当該基台部12の下部を構成する下部構造体14と、Y方向に延在するように配置された鋼材により形成されて基台部12の上部を構成する上部構造体24とを有している。すなわち、実施形態の基台部12は、鋼材を格子状に連結して構成されている。
【0017】
前記下部構造体14について具体的に説明すると、図1図4に示すように、X方向の一方端側および他方端側のそれぞれにおいて、X方向に延在する一対の第1の構造部材16がY方向に離間するように設けられている。ここで、各第1の構造部材16は、断面C字状のチャンネル鋼16aをフランジ16bの端部が向き合うように平行に配置して構成されている。すなわち、前記基台部12のX方向に位置する端面側に、フォークリフトのフォークを挿入可能な間隔でY方向に離間するよう2つの第1の側方開口部18が設けられており、X方向の両側からフォークリフトのフォークを第1の側方開口部18に挿入して前記搬送用支持台10を搬送し得るようになっている。
【0018】
また、図4図5に示すように、前記基台部12の下面側には、下方に開口する下方開口部20がX方向に延在するように設けられており、下側に位置する搬送用支持台10のコイル載置部32を下方開口部20に挿入するようにして複数の搬送用支持台10を積み重ね得るよう構成されている。また、前記第1の構造部材16には、前記第1の側方開口部18が開口する開口端側に板状の位置規制部22が設けられている。この位置規制部22は、搬送用支持台10を積み重ねた状態で、前記下方開口部20に挿入されたコイル載置部32に対してX方向に隣接して位置するようになっており、当該コイル載置部32と位置規制部22との当接により積み重ねた搬送用支持台10が相互にX方向にずれるのを規制するようにしてある。
【0019】
また、前記上部構造体24は、図1図5に示すように、Y方向に延在する一対の第2の構造部材26が記基台部12のX方向の中間点を挟んで対称に位置するようX方向に離間して設けられていると共に、当該基台部12のX方向の一方端側および他方端側のそれぞれに、Y方向に延在する第3の構造部材30を備えている。ここで、各第2の構造部材26は、断面C字状のチャンネル鋼26aをフランジ26bの端部が向き合うように平行に配置して構成され、第3の構造部材30は断面矩形状の角鋼材で構成されており、当該上部構造体24を構成する各第2の構造部材26および第3の構造材のそれぞれが、前記下部構造部材14を構成する各第1の構造部材16と溶接などにより固定されている。すなわち、前記基台部12のY方向に位置する端面側に、フォークリフトのフォークを挿入可能な間隔でX方向に離間するよう2つの第2の側方開口部28が設けられており、Y方向の両側からフォークリフトのフォークを第2の側方開口部28に挿入して前記搬送用支持台10を搬送し得るようになっている。すなわち、この実施形態の搬送用支持台10は、前記基台部12のX方向およびY方向に位置する側端面のそれぞれに第1の側方開口部18および第2の側方開口部28が設けられて、これにより基台部12のX方向の両側およびY方向の両側の4方向からフォークリフトのフォークを挿入して搬送し得るようになっている。このため、搬送用支持台10をコンテナなどへの積み降ろし作業や、適宜の保管場所に搬送する際の取り回し作業性を格段に高めることができる。
【0020】
前記コイル載置部32は、図4に示すように、前記基台部12の上部のY方向の両端側に設けられており、X方向に延在するベース部材34と、当該ベース部材34の上部にX方向に延在するよう設けられてコイル状部材Cを支持する支持部材36とを備えている。ここで、この実施形態では、前記ベース部材34は、断面矩形状の角鋼材で構成され、前記支持部材36は、当該支持部材36の上端から基台部12のY方向の中間点側に向けて下方傾斜する第1の傾斜板38と、当該支持部材36の上端から基台部12のY方向の外方に向けて下方傾斜する第2の傾斜板40とを備えたL字状のアングル鋼で構成してあり、ベース部材34と支持部材36とが溶接などにより固定されている。すなわち、コイル状部材Cの開口が横を向く姿勢でコイル載置部32にコイル状部材Cを載置した際に、当該コイル状部材Cの外周を前記支持部材36の傾斜した第1の傾斜板38で支えることで、コイル状部材Cを安定して載置し得るようになっている。また、前記支持部材36の第1の傾斜板38には、合成樹脂により形成された保護板42が着脱可能に取り付けられており、載置したコイル状部材Cが合成樹脂製の保護板42に接するようにすることで、コイル状部材Cの傷つきを防ぐようになっている。また、保護板42を着脱可能にすることで、コイル状部材Cの接触により保護板42が摩耗等した場合には、当該保護板42を容易に交換することができ、コイル状部材Cを保護可能な状態を良好に維持することができる。
【0021】
前記筒状部44は、図1図3図6図7に示すように、上方に開口する角筒状に形成されて、前記基台部12のY方向に位置する側端面に前記コイル載置部32の延在方向(X方向)に離間して複数設けられている。具体的に、この実施形態では、前記基台部12の側端面におけるX方向の中間点に位置する第1の筒状部44aと、当該側端面のX方向の各端部に位置する計2つの第2の筒状部44bと、当該第1の筒状部44aおよび各第2の筒状部44bの中間点に位置する計2つの第3の筒状部44cと、各第2の筒状部44bおよび各第3の筒状部44cの間において第2の筒状部44b側に偏って位置する計2つの第4の筒状部44dとを備えており、当該基台部12の各側端面にそれぞれ7つの筒状部44が設けられている。なお、筒状部44に関し、基台部12に対して設けられる位置に応じて便宜的に第1~第4の筒状部44a~44dとして必要に応じて区別して説明する場合があるが、第1~第4の筒状部44a~44dのそれぞれは同一形状・大きさで形成されており、各筒状部44に同じ断面形状の支柱50を着脱し得るようになっている。
【0022】
前記各筒状部44は、図6に示すように、前記支柱50を着脱する着脱口46となる上方開口の開口端縁が前記基台部12に近接する側から離間する側に向けて下方に傾斜するよう形成されている。このように、各筒状部44の着脱口46を傾斜状に形成することにより、支柱50を着脱する着脱口46の開口面積を広くし、各筒状部44に対する支柱50の着脱を容易に行い得るようにしてある。このため、搬送用支持台10の組み立てや分解の作業性を向上することができる。
【0023】
ここで、前記支柱50は、図6に示すように、前記筒状部44の着脱口46に挿入可能な角筒状に形成されており、当該着脱口46に挿入した支柱50の下端部を筒状部44の底板に突き当てることで、基台部12に対して支柱50を立てることができるようになっている。すなわち、基台部12に支柱50を立てることで、コイル載置部32上でコイル状部材Cを載置可能な領域が区画されて、コイル載置部32に載置したコイル状部材Cの間に支柱50が位置するようになっている。これにより、コイル状部材C同士の接触を支柱50で防止してコイル状部材Cに傷が付くのを防ぐことができる。
【0024】
具体的に、前記第1の筒状部44a、第2の筒状部44bおよび第3の筒状部44cに支柱50を取り付けることで、搬送用支持台10にコイル状部材Cを載置可能な領域がX方向に4つに区画され(図3参照)、4つのコイル状部材Cを載置し得ると共に、第1の筒状部44aおよび第4の筒状部44dに支柱50を取り付けることで、搬送用支持台10にコイル状部材Cを載置可能な領域がX方向に2つに区画されて(図示省略)、2つのコイル状部材Cを載置し得るようになっている。このように、この実施形態の搬送用支持台10は、支柱50を取り付ける位置を変更可能にしたことで、異なるサイズのコイル状部材Cの運搬に適した領域に容易に変更することができる。
【0025】
また、図1図3に示すように、前記支柱50の側面には、当該支柱50の長手方向に離間する少なくとも2箇所に、当該支柱50の側面から突出するよう突状部52が設けられている。なお、この突状部52は、矩形状に形成した合成樹脂や金属材出構成されているが、円板状など任意の形状にすることができる。そして、突状部52は、基台部12に対して支柱50を立てた状態で、支柱50のY方向に向く側面において取り付けられており、コイル状部材Cが突状部52に接しないようになっている。なお、突状部52は、基台部12に対して支柱50を立てた状態で、支柱50のX方向に向く側面においてコイル状部材Cに接しない位置(コイル状部材Cから外れた位置)に取り付けるようにしてもよい。また、この実施形態では、ゴム材や合成樹脂などにより形成されたチューブ状の被覆部材(図示せず)で支柱50の外周面が覆われており、当該被覆部を挟むようにして前記突状部52を支柱50に固定してある。すなわち、支柱50を被覆部材で被覆することで、支柱50との接触によるコイル状部材Cの傷つきを防止するよう構成されており、当該コイル状部材Cの傷つきを防止用の被覆部材を固定する固定部材として前記突状部52が機能するようになっている。
【0026】
この突状部52は、図5に示すように、前記コイル載置部32の間の前記基台部12上に、当該突状部52を下方に向けた横向きの姿勢で前記支柱50を載置した状態で、当該基台部12を構成する前記第2の構造部材26に対してX方向に近接位置するよう設けられている。すなわち、基台部12の第2の構造部材26は、支柱50を基台部12に載置した状態で前記突状部52が当接可能な移動規制部として機能するようになっており、第2の構造部材26に突状部52が当接することで、載置した支柱50の長手方向(X方向)への移動を規制するようになっている。具体的にこの実施形態では、前記基台部12上に前記支柱50を載置した状態で、当該支柱50に設けた突状部52の間に第2の構造部材26が位置するようになっており、突状部52が第2の構造材に接触することで支柱50の長手方向(X方向)の両方向への移動を防止するようにしてある。
【0027】
すなわち、搬送用支持台10にコイル状部材Cを載置しない状態において、筒状部44から取り外した支柱50を前記基台部12上に載置することで、搬送用支持台10の大きさをコンパクトにでき、搬送用支持台10の保管スペースを抑制できる。更に、前記基台部12の第2の構造部材26と、前記支柱50の突状部52との接触により、前記基台部12上での支柱50のX方向への移動を防止し得ると共に、前記コイル載置部32のベース部材34により支柱50のY方向への移動を防止することができるから、支柱50を別途纏める必要もなく、搬送用支持台10に必要な部材全体を纏めて搬送したり、保管することができる。また、搬送用支持台10の基台部12に支柱50を載置して保管することで、コイル状部材Cの載置領域を4つに区画した状態と、コイル状部材Cの載置領域を2つに区画した状態とに容易に切り替えることができ、また取り外した支柱50の逸失などを効果的に防ぐことができる。すなわち、搬送用支持台10毎に必要な支柱50を基台部12と一緒に纏めて保管したり、搬送することが可能となるから、搬送用支持台10を効率良く管理することが可能になる。
【0028】
また、前記基台部12には、図1図4図8図9に示すように、コイル状部材Cの搬送用支持台10を上下に積み重ねた際に、上方に積み重なる搬送用支持台10の基台部12が載置される受け台48が前記筒状部44の間に設けられている。この実施形態において受け台48は、角鋼材により形成されており、積み重なる搬送用支持台10の荷重を受け得る剛性を確保してある。
【0029】
更に、図3図7に示すように、前記基台部12の側端面には、コイル状部材Cの搬送用支持台10を上下に積み重ねた際に、上方に積み重なる搬送用支持台10を所定の積み重ね位置に案内するガイド板54が設けられている。このガイド板54は、前記各第3の筒状部44cにおける第2の筒状部44b側の開口端から上方に延在すると共に、第2の筒状部44b側に傾斜するよう形成されている。
【0030】
ここで、前記搬送用支持台10を積み重ねる際には、フォークリフトで持ち上げた搬送用支持台10の下面側に形成されている前記下方開口部20を、下側に重なる搬送用支持台10のコイル載置部32に概略的に位置合わせした状態で、持ち上げた搬送用支持台10を下降させるように移動する。このとき、上方に積み重なる搬送用支持台10の第3の筒状部44cの下端部を、下側の搬送用支持台10に設けられたガイド板54に沿って案内し得るようになっており、これにより上下に積み重なる搬送用支持台10のX方向の位置を容易に整列させ得るようになる。
【0031】
そして、搬送用支持台10を積み重ねる際には、前記下方開口部20を画成している前記第1の構造部材16の開口縁が下側に重なる搬送用支持台10に設けたコイル載置部32の前記第2の傾斜板40に接触し、当該第2の傾斜板40の傾斜に沿って第1の構造部材16の開口縁が案内されることにより、上下に積み重なる搬送用支持台10のY方向の位置を容易に整列することができる。このように、搬送用支持台10を上下に積み重ねる際に、上下に積み重なる搬送用支持台10のX方向およびY方向の位置を容易に整列して所定の積み重ね位置に誘導することができるから、鋼材により形成されて重量のある搬送用支持台10を、安定した積み重ね状態で保管したり搬送することが可能になる。
【0032】
更に、前述したように、前記基台部12の下面側には、前記コイル載置部32の長手方向の両端部側に位置するよう位置規制部22が設けられており、搬送用支持台10を積み重ねて基台部12の下面の下方開口部20に下方に位置する搬送用支持台10のコイル載置部32を臨ませた状態では、当該コイル載置部32と位置規制部22との当接により積み重ねた搬送用支持台10が相互にコイル載置部32の長手方向(X方向)にずれるのを規制し得る。また、基台部12の下方開口部20に下方に位置する搬送用支持台10のコイル載置部32が臨む状態では、当該基台部12の下方開口部20の開口端部と、コイル載置部32とが当接することで、積み重ねた搬送用支持台10が相互にY方向にずれるのを規制し得る。このため、鋼材により形成されて重量のある搬送用支持台10を、より安定した積み重ね状態で保管したり搬送することが可能になる。また、搬送用支持台10を積み重ねた際に、下側の搬送用支持台10のコイル載置部32が、上側の搬送用支持台10の下方開口部20に臨んで挿入されるようにすることで、積み重ねた搬送用支持台10の高さを抑制することができるから、狭い空間により多くの搬送用支持台10を収容することができ、搬送用支持台10の収容効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 搬送用支持台,12 基台部,18 第1の側方開口部
20 下方開口部,22 位置規制部,26 第2の構造部材(移動規制部)
28 第2の側方開口部,32 コイル載置部,44 筒状部
46 装着口,50 支柱,52 突状部
【要約】
【課題】搬送用支持台の取回し作業効率を向上することができるコイル状部材の搬送用支持台を提供する。
【解決手段】コイル状部材Cを載置して搬送するコイル状部材の搬送用支持台であって、交差方向に延在する複数の構造部材16,28が連結されている基台部28と、基台部28に設けられたコイル載置部32と、基台部32に設けられて上方に開口する有底状の底部下部が閉塞されている筒状部44と、筒状部44の装着口46から着脱自在に挿入され、当該筒状部44に挿入した状態で上方に延在する支柱50と、を備えている。そして、筒状部44は、支柱50を着脱する装着口46の開口端縁が基台部12に近接する側から離間する側に向けて下方に傾斜するよう形成されている。
【選択図】図1
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