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特許7238218マスクパターン製造装置及びマスクパターン製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】マスクパターン製造装置及びマスクパターン製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/70 20120101AFI20230307BHJP
   G03F 1/36 20120101ALI20230307BHJP
【FI】
G03F1/70
G03F1/36
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019055613
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020154267
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 道
(72)【発明者】
【氏名】福田 将一
(72)【発明者】
【氏名】戸口 裕也
(72)【発明者】
【氏名】園部 和樹
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-139896(JP,A)
【文献】特開2006-171113(JP,A)
【文献】特開2008-145600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0208111(US,A1)
【文献】特開2002-148779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/36
1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造を行う1つの実物大セルの面積を縮小した面積のシミュレーションサイズ領域に、前記実物大セルにおける光近接効果補正を行う前のOPC前マスク位置情報を対応付けしたシミュレーションサイズ領域情報を用いて光近接効果補正を行うOPC手段と、
前記シミュレーションサイズ領域を、前記実物大セルにおける光近接効果の影響度に応じて影響度対応領域に区分し、影響度対応領域毎に、前記OPC手段により得られる光近接効果補正後のOPC後マスク位置情報と前記OPC前マスク位置情報を割り当てて構成した影響度対応領域マスク情報群を作成する影響度対応領域マスク情報群作成手段と、
前記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域のエリア毎における光近接効果の影響度に応じて前記影響度対応領域マスク情報群から所要の影響度対応領域マスク情報を選択し、この影響度対応領域マスク情報を対応するエリアに配置して前記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップを生成するマップ生成手段と、
生成された影響度対応領域マスク情報マップの影響度対応領域マスク情報に基づき、実物大セルにおける少なくとも寸法とスペースのズレを検証するデザインルールチェックを行うデザインルールチェック手段と
を具備することを特徴とするマスクパターン製造装置。
【請求項2】
前記影響度対応領域マスク情報群作成手段は、前記シミュレーションサイズ領域を、矩形の四隅における所定面積の四隅の4パターンと、それ以外の領域の1パターンにより構成することを特徴とする請求項1に記載のマスクパターン製造装置。
【請求項3】
前記影響度対応領域マスク情報群作成手段は、前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域を、影響度に対応する複数のエリアに分けて影響度に対応する影響度対応領域マスク情報群を作成することを特徴とする請求項2に記載のマスクパターン製造装置。
【請求項4】
前記影響度対応領域マスク情報群作成手段は、前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域を、影響度に対応する複数のエリアに分けて影響度に対応する影響度対応領域マスク情報群を作成することを特徴とする請求項3に記載のマスクパターン製造装置。
【請求項5】
前記影響度対応領域マスク情報群作成手段は、前記シミュレーションサイズ領域を、
前記所定面積の四隅と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記四隅、前記領域以外の中央エリアに分け、
前記中央エリアを同じ面積の小エリアに分けて、この小エリアを同一パターンの影響度対応領域マスク情報群とすることを特徴とする請求項2に記載のマスクパターン製造装置。
【請求項6】
前記影響度対応領域マスク情報群作成手段は、前記シミュレーションサイズ領域を、
前記所定面積の四隅と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記四隅、前記領域以外の中央エリアに分け、
前記中央エリアを同じ面積の小エリアに分けて、この小エリアを複数段階の異なるパターンの影響度対応領域マスク情報群とすることを特徴とする請求項2に記載のマスクパターン製造装置。
【請求項7】
半導体製造を行う1つの実物大セルの面積を縮小した面積のシミュレーションサイズ領域に、前記実物大セルにおける光近接効果補正を行う前のOPC前マスク位置情報を対応付けしたシミュレーションサイズ領域情報を用いて光近接効果補正を行うOPCステップと、
前記シミュレーションサイズ領域を、前記実物大セルにおける光近接効果の影響度に応じて影響度対応領域に区分し、影響度対応領域毎に、前記OPCステップにより得られる光近接効果補正後のOPC後マスク位置情報と前記OPC前マスク位置情報を割り当てて構成した影響度対応領域マスク情報群を作成する影響度対応領域マスク情報群作成ステップと、
前記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域のエリア毎における光近接効果の影響度に応じて前記影響度対応領域マスク情報群から所要の影響度対応領域マスク情報を選択し、この影響度対応領域マスク情報を対応するエリアに配置して前記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップを生成するマップ生成ステップと、
生成された影響度対応領域マスク情報マップの影響度対応領域マスク情報に基づき、実物大セルにおける少なくとも寸法とスペースのズレを検証するデザインルールチェックを行うデザインルールチェックステップと
を具備することを特徴とするマスクパターン製造方法。
【請求項8】
前記影響度対応領域マスク情報群作成ステップでは、前記シミュレーションサイズ領域を、矩形の四隅における所定面積の四隅の4パターンと、それ以外の領域の1パターンにより構成することを特徴とする請求項7に記載のマスクパターン製造方法。
【請求項9】
前記影響度対応領域マスク情報群作成ステップでは、前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域を、影響度に対応する複数のエリアに分けて影響度に対応する影響度対応領域マスク情報群を作成することを特徴とする請求項8に記載のマスクパターン製造方法。
【請求項10】
前記影響度対応領域マスク情報群作成ステップでは、前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域を、影響度に対応する複数のエリアに分けて影響度に対応する影響度対応領域マスク情報群を作成することを特徴とする請求項9に記載のマスクパターン製造方法。
【請求項11】
前記影響度対応領域マスク情報群作成ステップでは、前記シミュレーションサイズ領域を、
前記所定面積の四隅と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記四隅、前記領域以外の中央エリアに分け、
前記中央エリアを同じ面積の小エリアに分けて、この小エリアを同一パターンの影響度対応領域マスク情報群とすることを特徴とする請求項8に記載のマスクパターン製造方法。
【請求項12】
前記影響度対応領域マスク情報群作成ステップでは、前記シミュレーションサイズ領域を、
前記所定面積の四隅と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域と、
前記四隅、前記領域以外の中央エリアに分け、
前記中央エリアを同じ面積の小エリアに分けて、この小エリアを複数段階の異なるパターンの影響度対応領域マスク情報群とすることを特徴とする請求項8に記載のマスクパターン製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスクパターン製造装置及びマスクパターン製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造、特にLSIの製造においては、微細化技術の進展に伴い、光近接効果(OPE)が顕著化・複雑化し、大規模な補正が必須となってきている。OPEによって変形したマスクパターンを元のマスクパターンに近付けるマスクパターンを復旧するためには、OPC(Optical Proximity Correction)と称される補正処理が開発されている。
【0003】
上記補正処理をより正確に行うためには、補正の最小単位であるグリッドサイズを小さくする必要がある。OPCは回路素子のレイアウトデータに基づき行われるものであるが、その対象に係るデータが膨大な容量となるとOPCに多大な時間を要するという問題がある。これに加えて、OPC後のデータ量も膨大となるため、ディスク容量が大きくなり装置の大型化及び高コスト化がもたらされるという問題がある。
【0004】
なお、大規模やパターンとなるにつれて外側が内側に比較してOPEの変動量が大きくなる一方、中央部は一定の変動量を有していることが知られている。
【0005】
上記に鑑みて、特許文献1にはOPC処理時間の短縮と、半導体デバイス製造のターンアラウンドタイムの短縮を実現し、コスト削減を狙ったマスクパターン設計方法が開示されている。この特許文献1の手法では、セルライブラリパターンに予めOPC処理を行い、OPC処理されたセルライブラリパターンを用いて半導体チップを作成する。このときのマスクパターン設計方法としては、マスクパターンを露光してパターンを形成する際に生じる形状変化を補正する近接効果補正の処理をセルライブラリ毎に施すセルライブラリのパターン設計工程、複数の上記セルライブラリを配置してマスクパターンを設計する工程、上記セルライブラリに施した近接効果補正の補正量を、周囲に配置したセルライブラリパターンの影響を考慮して変化させる工程を含むものである。
【0006】
また、特許文献2には、OPC処理に要する時間の低減を図るマスク製造方法が開示されている。このマスク作成方法は、半導体集積回路のレイアウトを複数の単位領域に分割するステップ、各単位領域を包含する処理領域を規定するステップ、各単位領域に対し光学的に影響を及ぼす光学的影響領域を処理領域から抽出するステップ、処理領域の中の図形に対してOPC処理を実行し、OPCレイアウトを作成するステップ、OPCレイアウトに基づきマスクを製造するステップを有するOPCレイアウトを作成するステップにおいては、処理領域中の図形が光学的影響領域に重なり、且つ、設計基準に違反する異常部分を含む場合、当該図形から異常部分を除去した後にOPC処理を実行するというものである。
【0007】
更に、特許文献3には、第1マスクレイヤと第2のマスクレイヤを有する半導体素子製造用マスクが開示されている。上記第1のマスクレイヤは、第1ハーフトーンパターンが形成されて第1パターン領域を画定する第1露光領域を含むものである。また、上記第2のマスクレイヤは、バイナリパターン領域および第2ハーフトーンパターンが形成されて第2パターン領域を画定する第2露光領域を含むものである。バイナリパターンとハーフトーンパターンで構成された第2マスクレイヤを使用することで、第1マスクレイヤを使用して第1露光した後に、ハーフトーン膜と遮光膜の誤整列及びレジストレーションによって誘発される1次露光の異常露光を2次露光で補正できるというものである。
【0008】
また、非特許文献1には、モデルベースOPCで計算されたOPC前後のパターンを補正ライブラリに登録し、再び同じパターンを補正するときには、補正ライブラリの中のパターンを再利用するライブラリベースOPCが開示されている。また、このライブラリベースOPCを通常行われているルールベースOPCと組み合わせることで、少ないシミュレーション回数で補正を行うことができるOPCツールについての開示がなされている。更に、設計から製造に移行した段階で発生する問題を、設計段階で事前に予測し、解決する手法であるDFM(Design for Manufacturability)と称される技術も開示されており、OPCとDFMによってパターン形状予測の精度向上と計算時間短縮という二律背反の改題を克服することが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-276079号公報
【文献】特開2008-145600号公報
【文献】特開2006-106757号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】小谷敏也、他2名、「半導体デバイスの微細化を支えるOPC技術とDFM技術」、東芝レビュー、Vol.67、No.4(2012)、p.11-15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、パターン形状予測の精度向上と計算時間短縮という二律背反の改題を克服し、更に推し進めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態は、半導体製造を行う1つの実物大セルの面積を縮小した面積のシミュレーションサイズ領域に、前記実物大セルにおける光近接効果補正を行う前のOPC前マスク位置情報を対応付けしたシミュレーションサイズ領域情報を用いて光近接効果補正を行うOPC手段と、前記シミュレーションサイズ領域を、前記実物大セルにおける光近接効果の影響度に応じて影響度対応領域に区分し、影響度対応領域毎に、前記OPC手段により得られる光近接効果補正後のOPC後マスク位置情報と前記OPC前マスク位置情報を割り当てて構成した影響度対応領域マスク情報群を作成する影響度対応領域マスク情報群作成手段と、前記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域のエリア毎における光近接効果の影響度に応じて前記影響度対応領域マスク情報群から所要の影響度対応領域マスク情報を選択し、この影響度対応領域マスク情報を対応するエリアに配置して前記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップを生成するマップ生成手段と、生成された影響度対応領域マスク情報マップの影響度対応領域マスク情報に基づき、実物大セルにおける少なくとも寸法とスペースのズレを検証するデザインルールチェックを行うデザインルールチェック手段とを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置の構成図。
図2】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において用いるシミュレーションサイズ領域情報の説明図。
図3】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において用いるシミュレーションサイズ領域区分の第1タイプを説明する図。
図4】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において用いるシミュレーションサイズ領域区分の第2タイプを説明する図。
図5】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において用いるシミュレーションサイズ領域区分の第3タイプを説明する図。
図6】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において用いるシミュレーションサイズ領域区分の第4タイプを説明する図。
図7】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置の動作を説明するためのフローチャート。
図8】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において、シミュレーションサイズ領域を、実物大セルにおける光近接効果の影響度に応じて影響度対応領域に区分する区分を説明する図。
図9】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において、区分する各エリアには、破線の枠により示したOPC前マスク位置情報PMと共に塗り潰した四角マークにより示した光近接効果補正後のOPC後マスク位置情報が対応付けられていることを説明する図。
図10】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において作成される影響度対応領域マスク情報群の説明図。
図11】本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置において生成される実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下添付図面を参照して、本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置及びマスクパターン製造方法を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明の実施形態に係るマスクパターン製造装置の構成図を示す。10はコンピュータ部であり、CPU、主メモリ、外部記憶装置を含み、半導体のマスクパターン製造に必要な全てのプログラムを有しており、このプログラムによって図示の各手段を実現する。
【0015】
コンピュータ部10には、入力装置20と出力装置30とが接続されている。入力装置20は、コンピュータ部10に対するコマンドの入力、各種データの入力を行うためのものであって、キーボード、マウスなどのポインティングデバイス、タッチパネルなどを含み、更には、記憶媒体やネットワークを接続してデータ等の入力を行うものなど、全ての入力手段を含むものとする。ただし、すべての入力手段が接続されている必要はなく、適宜な入力手段が接続され得る。
【0016】
出力装置30は、コンピュータ部10から出力される全てのデータ及び情報に関し外部出力するためのものであって、各種のディスプレイ装置、プリンタ装置、記憶媒体装置、音声出力装置等のすべての出力手段を含むものとする。ただし、すべての出力手段が接続されている必要はなく、適宜な出力手段が接続され得る。
【0017】
コンピュータ部10は、プログラムによって実現される次の各手段を有する。即ち、OPC手段11、影響度対応領域マスク情報群作成手段12、マップ生成手段13、デザインルールチェック手段14である。OPC手段11は、半導体製造を行う1つの実物大セルの面積を縮小した面積のシミュレーションサイズ領域に、上記実物大セルにおける光近接効果補正を行う前のOPC前マスク位置情報を対応付けしたシミュレーションサイズ領域情報を用いて光近接効果補正を行うものである。OPC手段11によるOPCの処理手法には限定はなく、OPEの影響度に応じて補正用のデータを発生させるものであれば良い。
【0018】
影響度対応領域マスク情報群作成手段12は、上記シミュレーションサイズ領域を、上記実物大セルにおける光近接効果の影響度に応じて影響度対応領域に区分し、影響度対応領域毎に、上記OPC手段により得られる光近接効果補正後のOPC後マスク位置情報と上記OPC前マスク位置情報を割り当てて構成した影響度対応領域マスク情報群を作成するものである。
【0019】
マップ生成手段13は、上記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域のエリア毎における光近接効果の影響度に応じて前記影響度対応領域マスク情報群から所要の影響度対応領域マスク情報を選択し、この影響度対応領域マスク情報を対応するエリアに配置して上記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップを生成するものである。
【0020】
デザインルールチェック手段14は、生成された影響度対応領域マスク情報マップの影響度対応領域マスク情報に基づき、実物大セルにおける少なくとも寸法とスペースのズレを検証するデザインルールチェックを行うものである。
【0021】
上記各手段が処理を行う必要のため、入力装置20から予め、半導体製造を行う1つの実物大セルの面積Sの情報、実物大セルの面積Sを縮小した面積sの情報が与えられる。また、入力装置20から予め、上記面積sのシミュレーションサイズ領域に、上記実物大セルにおける光近接効果補正を行う前のOPC前マスク位置情報を対応付けしたシミュレーションサイズ領域情報が与えられる。このシミュレーションサイズ領域情報は、上記実物大セルにおける光近接効果補正を行う前のOPC前マスク位置情報が入力装置20から予め与えられると、このOPC前マスク位置情報と上記面積sの情報に基づき、コンピュータ部10が作成しても良い。
【0022】
シミュレーションサイズ領域情報は、図2に示すような、上記面積sのシミュレーションサイズ領域Eである矩形の領域に、OPC前マスク位置情報PMを対応付けしたものである。この図では、OPC前マスク位置情報PMを四角マークにより示しているが、本装置が行うOPC処理の内容によっては、マークに限らず数値でも良い。シミュレーションサイズ領域情報は、上記面積sのシミュレーションサイズ領域Eである矩形の領域における座標及びレイヤ(格子)の大きさ(縦横の寸法)を特定することにより、その位置(座標)におけるOPE影響度を算出でき、適切にOPC補正を行うことができる情報であれば、特に限定はない。
【0023】
なお、上記面積sのシミュレーションサイズ領域Eである矩形の領域(つまり、マスクに対応するレイヤ)は、メモリ素子のように、ある程度規則的に(周期的に)繰り返されることが望ましく、実物大セルにおけるOPEの影響を安定的に反映する長さを有していれば良い。例えば、上記面積sのシミュレーションサイズ領域Eには、実物大セルにおけるいくつかの典型的なOPEの影響を反映しているエリアが含まれると好適である。勿論、上記面積sのシミュレーションサイズ領域Eは、全てが、実物大セルにおけるいくつかの典型的なOPEの影響を反映しているエリアであっても良い。
【0024】
具体的には、上記シミュレーションサイズ領域Eを、図3に示されるように矩形の四隅における所定面積の四隅のエリアEA、EB、EC、EDと、それ以外の領域CCにより構成することができる(第1タイプという)。上記所定面積の四隅中における、矩形(エリアEA、EB、EC、EDの矩形)の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域を、影響度に対応する複数のエリアに分けることができる。例えば、図4に示すように、第1の2辺を、エリアEAとエリアEDとを結ぶ領域S1による1辺(帯状領域)と、エリアEBとエリアECとを結ぶ領域S2による1辺(帯状領域)とすることができる。この領域S1、S2をそれぞれ、何等分(例えば、3等分、4等分、…など)とすることができる(第2タイプという)。
【0025】
更に、上記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域を、影響度に対応する複数のエリアに分けることができる。例えば、図5のように、矩形の平行する上記第1の2辺(領域S1、S2に対応する2辺)と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペアエリア(エリアEAとエリアEBのペアと、エリアECとエリアEDのペア)とする。このとき、例えば、図5に示すように、第1の2辺を、エリアEAとエリアEBとを結ぶ領域S3による1辺と、エリアECとエリアEDとを結ぶ領域S4による1辺とすることができる。この領域S3、S4をそれぞれ、何等分(例えば、3等分、4等分、…など)とすることができる(第3タイプという)。
【0026】
上記シミュレーションサイズ領域Eを、図6に示した如く、上記所定面積の四隅(エリアEA~ED)と、上記所定面積の四隅中における、矩形の平行する第1の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域S1、S2と、上記所定面積の四隅中における、矩形の平行する前記第1の2辺と異なる第2の2辺の端部に存在する2隅の2ペア間に存在する領域S3、S4と、上記四隅(エリアEA~ED)、上記領域以外の中央エリアCC2に分ける。更に、上記中央エリアCC2を同じ面積の小エリアCCsに分ける(第4タイプという)。
【0027】
上記の前記シミュレーションサイズ領域を分割する手法は一例に過ぎず、本実施形態の趣旨を逸脱しない限りどのような分割手法を用いても良い。例えば、上記の第4タイプにおいて、上記中央エリアCC2を異なる面積の複数の小エリアに分けるなどを行っても良い。
【0028】
上記のシミュレーションサイズ領域情報の設定を含め、本実施形態における装置の動作を図7に示すフローチャートを参照して、以下に説明する。既に説明したように、半導体製造を行う1つの実物大セルの面積、この1つの実物大セルの面積を縮小した面積、上記実物大セルにおける光近接効果補正を行う前のOPC前マスク位置情報、縮小した面積のシミュレーションサイズ領域に、上記OPC前マスク位置情報を対応付けしたシミュレーションサイズ領域情報等の設定(或いは、一部の作成)などが行われる(STEP11)。
【0029】
次に、シミュレーションサイズ領域情報を用いて光近接効果補正を行う(STEP12)。上記シミュレーションサイズ領域Eを、上記実物大セルにおける光近接効果の影響度に応じて影響度対応領域に区分する(STEP13)。図8に、この処理による区分の一例を示す。本実施形態では、シミュレーションサイズ領域Eを、9ブロックに分割している。9ブロック中の4隅エリアEA~EDはOPEの影響が最も大きなエリアであり、本実施形態では4隅エリアEAとEDとの間のエリアMAと、4隅エリアEBとECとの間のエリアMBとは、OPEの影響度が次に大きなエリアであり、その他のエリアがOPEの影響度が最も安定したエリアである。
【0030】
また、上記のSTEP13において区分する各エリアには、破線の四角枠により示したOPC前マスク位置情報PMと共に塗り潰した四角マークにより示した光近接効果補正後のOPC後マスク位置情報が対応付けられており、これが図9に示されている。これらは、図9においてマークや塗り潰しにより示されているが、座標や枠線により囲まれた領域の広さなどのマスク位置情報である。従って、OPC後にSTEP13において区分した各エリアには、OPC後マスク位置情報と上記OPC前マスク位置情報とが割り当てられてセットされているため、OPC後にSTEP13において区分した各エリアにOPC後マスク位置情報と上記OPC前マスク位置情報とが割り当てて構成した影響度対応領域マスク情報群を、図10に示すように作成する(STEP14)。
【0031】
上記STEP14において作成された影響度対応領域マスク情報群は、シミュレーションサイズ領域Eにまとめた状態で示されるように、4隅エリアEA、EB、EC、EDに対応して、図10(b)に影響度対応領域(図では、簡略化して「領域」)A、B、C、Dの影響度対応領域マスク情報と、影響度対応領域A、D間の中央部の影響度対応領域Eの影響度対応領域マスク情報と、影響度対応領域B、C間の中央部の影響度対応領域Fの影響度対応領域マスク情報と、影響度対応領域A、E、Dと影響度対応領域B、F、Cとに挟まれた影響度対応領域G、H、Iの影響度対応領域マスク情報とにより構成される。図10(b)の影響度対応領域G、H、Iは、図10(a)においてはエリアEG、EH、EIの位置にあった影響度対応領域マスク情報である。
【0032】
上記のように影響度対応領域マスク情報群作成されると、次に、上記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域のエリア毎における光近接効果の影響度に応じて上記影響度対応領域マスク情報群から所要の影響度対応領域マスク情報を選択し、この影響度対応領域マスク情報を対応するエリアに配置して上記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップを生成する(STEP15)。
【0033】
上記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域のエリアは、図10を用いて説明した影響度対応領域A、E、D、B、F、C、G、H、Iと同じ大きさである。しかも、影響度対応領域マスク情報群は、上記実物大セルにおける光近接効果の影響度に応じて影響度対応領域に区分し、影響度対応領域毎に、上記OPC手段11により得られる光近接効果補正後のOPC後マスク位置情報と上記OPC前マスク位置情報を割り当てて構成したものであるから、影響度対応領域A、E、D、B、F、C、G、H、Iが、上記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域のエリア中のどこのエリアに対応付いているか明らかになっている。
【0034】
従って、所要の影響度対応領域マスク情報を選択し、この影響度対応領域マスク情報を対応するエリアに配置して上記実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップを生成することができる。
【0035】
上記で生成された影響度対応領域マスク情報マップを、図11に示す。図11には、影響度対応領域A、E、D、B、F、C、G、H、Iから所要の影響度対応領域マスク情報が適切に選択され、配置されている様子が判る。
【0036】
以上のようにして実物大セルにおける全領域の影響度対応領域マスク情報マップが生成されると、影響度対応領域マスク情報マップの影響度対応領域マスク情報に基づき、実物大セルにおける少なくとも寸法とスペースのズレを検証するデザインルールチェックを行う(STEP16)。
【0037】
以上の実施形態によれば、実物大セルに対してそのままでOPC処理を施した場合に比べて、全体の処理時間を短縮することができる。また、実物大セルに対してそのままでOPC処理を施した場合に比べて、保存などするデータ量を大幅に削減することができる。更に、実物大セルの規模を変更した場合にも、OPEの影響度が最も安定したエリアの情報を繰り返して使用することで対応できるようになり、OPC処理に必要な時間を短縮できる効果がある。
【符号の説明】
【0038】
10 コンピュータ部
11 OPC手段
12 影響度対応領域マスク情報群作成手段
13 マップ生成手段
14 デザインルールチェック手段
20 入力装置
30 出力装置
図1
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