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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】自動車用途向け電動駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20230307BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20230307BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
B60L53/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020519316
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 DE2018100797
(87)【国際公開番号】W WO2019068282
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】102017123210.9
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディエドヴィック, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ソンネンシャイン, ティム
(72)【発明者】
【氏名】シュラブス, ヴィンフリード
(72)【発明者】
【氏名】トップファー, クローズ
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156827(JP,A)
【文献】特開2014-120421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0280086(US,A1)
【文献】特開2013-206830(JP,A)
【文献】特開2002-067805(JP,A)
【文献】特開2011-238530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用途向け電動駆動装置、特に、電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置のロック装置の構成要素としての電動駆動装置であって、電気モータ(8)を備え、さらに、例えば前記ロック装置のロック要素(6)の作動要素に作用するための駆動要素として下流側に配置される多段変速機も備え、前記駆動要素を収容する駆動装置ハウジング(13)を備える、電動駆動装置において、前記駆動装置ハウジング(13)が、個々の駆動要素または前記駆動要素のすべてのための直接軸受点(17、18、19)を有する内側および/または縁側突出部(21)を備え、前記突出部(21)が、前記駆動装置ハウジング(13)上にハウジングリブとして構成され、前記ハウジングリブが、前記関連する駆動要素の軸線方向と比べると横方向および/または縦方向(L)の広がりを有し、前記軸受点(17、18、19)が、前記関連する駆動要素を軸線方向及び半径方向に固定するように構成されることを特徴とする、電動駆動装置。
【請求項2】
前記突出部(21)が、固定駆動要素(8)のための軸受点(17)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項3】
前記突出部(21)が、可動駆動要素(8~11)のための軸受点(18、19)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動駆動装置。
【請求項4】
前記突出部(21)が、好ましくは前記駆動装置ハウジング(13)上に一体的に形成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
【請求項5】
前記突出部(21)および前記駆動装置ハウジング(13)が、一体のプラスチック成形物として設計されることを特徴とする、請求項4に記載の電動駆動装置。
【請求項6】
前記軸受点(17、18、19)がそれぞれ前記駆動要素(8~11)の設置方向に開放されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
【請求項7】
前記駆動装置ハウジング(13)が、前記突出部(21)を含む下側シェル(13a)と前記下側シェル(13a)用のクロージャとして前記下側シェル(13a)を閉鎖する上側シェル(13b)とを有する2つの部分で設計されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
【請求項8】
前記突出部(21)が、前記駆動装置ハウジング(13)の補強および/または安定化に役立つことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用途向け電動駆動装置(electromotive drive)、特に、電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置のロック装置(locking device)の構成要素としての電動駆動装置であって、電気モータを備え、さらに、例えばロック装置のロック要素の作動要素に作用するための駆動要素(drive elements)として、下流側に配置される多段変速機も備え、駆動要素を収容する駆動装置ハウジング(drive housing)を備える、自動車用途向け電動駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用途向けの多数の電動駆動装置が当該技術分野で知られており、例えば、ウィンドウコントローラ、シート調整装置、ドアミラーなどに関連して使用される。さらに、この種の電動駆動装置は、自動車のドアラッチに関連して、例えば閉鎖駆動装置またはロック駆動装置として知られている。すべての電動駆動装置の共通の特徴は、直線作動運動が頻繁に再現され、この時点で使用される電気モータには低い直流電圧が供給されることである。
【0003】
この種の電動駆動装置はまた、電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置の構成要素としてかつこの電気接続装置のロック装置と共にますます使用されている。この種の電動駆動装置の例が、独国特許出願公開第102007002025号明細書に記載されている。ここで、電動駆動装置は、ロック装置またはロック手段の構成要素として、取外しを防止するために充電プラグソケットに対して充電プラグをロックする働きをする。このために、既知の駆動装置は可動ボルトに作用する。
【0004】
充電プラグを可動ロック要素によって充電プラグソケット内に解放可能に固定することは、電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置に関連して特に重要である。これは、充電プラグが一般に、充電インフラストラクチャの構成要素として充電柱(charging column)への電気接続部を構成しているからである。その結果、例えば充電インフラストラクチャの構成要素としての充電柱上で、電気自動車またはハイブリッド自動車内の電池に電力を(再)充電することが可能である。
【0005】
通常この時点では高電圧が使用されるので、ユーザの健康へのリスクを防ぐために、可動ロック要素を用いて充電プラグを充電プラグソケット内に解放可能に固定する必要がある。
【0006】
充電プラグソケットに対して充電プラグを解放可能にロックすることは、このようにして一般に、特定のユーザに電力料金を請求できるようにするためにユーザと充電柱との間の明白な関連付けが行われ得るので、さらに重要である。この種の手順は、例えば、国際公開第2010/149426号パンフレットに記載されている。このようにして、特にいわゆる「電力窃盗(power stealing)」を回避することができる。
【0007】
中国実用新案出願第202695855号明細書による包括的な従来技術では、一般に、プラスチックから作られたマルチパート駆動装置ハウジングが提供され、マルチパート駆動装置ハウジングは、内部に配置される個々の駆動要素を収容するとともに、この駆動要素を環境の影響から保護する。したがって、既知の駆動装置ハウジングはいくつかの突出部も有し、突出部は、例えば、駆動装置ハウジングに装着される軸受または玉軸受用の収容ピンとして機能する。電気モータの下流側に接続される多段変速機のギヤは、例えば、軸受または玉軸受を用いて取り付けられる。
【発明の概要】
【0008】
そのような実施形態は、一方では、特に多段変速機のための追加的に設けられた軸受のために、かなりの重量を有する。他方では、生産および設置が複雑である、というのは、関連する軸受は、個々の駆動要素が駆動装置ハウジング内に配置され得る前に、最初に駆動装置ハウジング内に取り付けられなければならないからである。本発明は、ここで改善法を創出しようとするものである。
【0009】
本発明は、自動車用途向けのかかる電動駆動装置を、全体の重量を減少させるとともに、生産および設置のコストを従来技術と比べて節減するようにさらに開発するという技術的問題に基づいている。
【0010】
この技術的問題を本発明の範囲内で解決するために、自動車用途向け電動駆動装置は、駆動装置ハウジングが内部および/または縁側突出部を備え、内部および/または縁側突出部が、個々の駆動要素またはすべての駆動要素の作用のための直接軸受点(direct bearing points)として機能する、またはそのような軸受点を形成することを特徴としている。言い換えれば、突出部は略、個々の駆動要素またはすべての駆動要素のための直接軸受点を有する。
【0011】
したがって、本発明の範囲内で、第一に、駆動装置ハウジングは内側および/または縁側突出部を有する。この種の突出部は、原理上、出発点を形成する中国実用新案出願第202695855号明細書による従来技術からも知られている。しかしながら、これとは対照的に、本発明による関連する突出部は、直接軸受点を画定するか、またはそのような直接軸受点を有するように機能する。
【0012】
これに関連して、「直接軸受点」という用語は、直接軸受点内に取り付けられる関連する駆動要素が関連する軸受点内に直接収容され、追加の介在軸受が設けられず存在もせず、決して必要ではないことを意味する。これに関連して、本発明は、直接軸受点を用いて取り付けられた駆動要素および関連する軸受点を有する突出部が、通常は同じまたは類似の材料、典型的にはプラスチックから作られるという認識から始まる。
【0013】
その結果、低い摩擦係数(プラスチック-プラスチック)を有する滑り軸受が、プラスチック製の関連する突出部内のプラスチック製の直接軸受点と例えば直接軸受点内に可動に取り付けられる、同じくプラスチック製の駆動要素との間に全体的に自動的に作られる。これの結果として、従来技術におけるような追加の介在軸受の使用は不要である。その結果、本発明による電動駆動装置は、追加の固体軸受が不要であるため、特に軽量の構造にすることができる。さらに、追加の軸受および軸受の設置が省略されるため、生産および設置のコストが大幅に削減される。ここに重要な利点が見られる。
【0014】
好適な一実施形態によれば、突出部は、固定駆動要素のための軸受点を備えることができる。そのような固定駆動要素は、例として略、電動駆動装置の電気モータである。さらに、突出部は、可動駆動要素のための軸受点も備えることができる。可動駆動要素は通常、多段変速機の個々の段をその都度画定するシャフトである。
【0015】
突出部は、好適には駆動装置ハウジング上に形成され、さらに、好ましくは駆動装置ハウジング上に一体的に形成される。その結果として、突出部および駆動装置ハウジングは、一体のプラスチック成形物として特に好適に設計される。したがって、突出部と共に駆動装置ハウジングの生産が、その結果として駆動要素内または駆動要素上の軸受点の生産も、特に簡単に、迅速かつコスト効率よく行われる。したがって、追加の生産および設置ステップは必要ない。
【0016】
実際、突出部は略、駆動装置ハウジングのハウジングリブとして設計される。結果として、突出部またはハウジングリブは多機能を担う。第一に、突出部またはハウジングリブは、個々の駆動要素またはすべての駆動要素のための直接軸受点を形成する働きをする。さらに、突出部またはハウジングリブはさらに駆動装置ハウジングの補強を確実にし、この補強は、上述の電動駆動装置が、電気自動車またはハイブリッド自動車内の電気接続装置用のロック装置の好ましい構成要素として、しばしば高い機械的力を受ける限りにおいて重要である。
【0017】
これは、ロック装置の作動要素またはロック要素が駆動装置ハウジング内に取り付けられることが多いという事実に起因する可能性がある。ロック要素が充電プラグの凹部に入り込んでロック状態になり、牽引力が充電プラグまたは充電プラグに接続されたケーブルに作用するとすぐに、これらの力はまた、同時にロック要素によって駆動装置ハウジングに伝達される。その結果、駆動装置ハウジングの補強が特に重要になる。本発明は、ハウジングリブとして形成された突出部を考慮する。
【0018】
多機能性を特に好適に実現および実装するために、関連するハウジングリブは略、関連する駆動要素の軸線方向と比べると横方向および/または縦方向に広がりを有する。換言すれば、駆動要素の軸線方向は縦方向を予め決定する。さらに、好適には、多段変速機の個々のシャフトは互いに平行に配置されるので、突出部またはハウジングリブは、一貫して横方向の広がりを有する。その結果、同時に駆動装置ハウジングの所要の補強がハウジングリブによって起こる、というのは、この例では、ハウジングリブは同じ方向に配置され、互いに間隔を置いて配置されるからである。
【0019】
軸受点は通常、関連する駆動要素の取付けにのみ役立つ。しかしながら、軸受点はまた、軸受点の助けを借りて、関連する駆動要素が軸線方向および/または半径方向に固定されるように追加の機能を担う。
【0020】
最終的に、軸受点は、通常、駆動要素の設置方向にその都度開放される。このようにして、駆動要素は、軸受点を用いて取り付けることができ、関連する設置方向に関連する軸受点内に難なく挿入され得る、または軸受点上に装着され得る、したがってその結果として、駆動要素は、駆動要素の所期の位置を占め、直ちに運転可能な状態である。他の取付け手段または追加の軸受は明らかに不要である。
【0021】
軸受点は、駆動装置ハウジングの補強および/または安定化に役立つ。その結果、特に安定した駆動装置ハウジングを提供することができ、このことは、特に、ロック装置が耐えねばならない強い力の観点から特に有効である。
【0022】
最後に、本発明の提供は、本発明によれば、駆動装置ハウジングが略、突出部を含む下側シェルと下側シェル用のクロージャとして下側シェルを閉鎖する上側シェルとを有する2つの部分で形成され、簡単な設置を対象とする。突出部を有する下側シェルは関連する駆動要素の挿入直後に運転可能な状態であるので、その後、下側シェルを閉鎖する上側シェルを設置した後で、本発明による電動駆動装置は、電気自動車またはハイブリッド自動車の本体内または本体上に取り付けることができる。これはすべて、従来技術に比べて簡単にかつ大幅なコスト上の利点で達成される。
(項目1)
自動車用途向け電動駆動装置、特に、電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置のロック装置の構成要素としての電動駆動装置であって、電気モータ(8)を備え、さらに、例えば前記ロック装置のロック要素(6)の作動要素に作用するための駆動要素として下流側に配置される多段変速機も備え、前記駆動要素を収容する駆動装置ハウジング(13)を備える、電動駆動装置において、前記駆動装置ハウジング(13)が、個々の駆動要素または前記駆動要素のすべてのための直接軸受点(17、18、19)を有する内側および/または縁側突出部(21)を備えることを特徴とする、電動駆動装置。
(項目2)
前記突出部(21)が、固定駆動要素(8)のための軸受点(17)を備えることを特徴とする、項目1に記載の電動駆動装置。
(項目3)
前記突出部(21)が、可動駆動要素(8~11)のための軸受点(18、19)を備えることを特徴とする、項目1または2に記載の電動駆動装置。
(項目4)
前記突出部(21)が、好ましくは前記駆動装置ハウジング(13)上に一体的に形成されることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
(項目5)
前記突出部(21)および前記駆動装置ハウジング(13)が、一体のプラスチック成形物として設計されることを特徴とする、項目4に記載の電動駆動装置。
(項目6)
前記突出部(21)が、前記駆動装置ハウジング(13)上にハウジングリブとして構成されることを特徴とする、項目1~5のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
(項目7)
前記ハウジングリブが、前記関連する駆動要素の軸線方向と比べると横方向および/または縦方向(L)の広がりを有することを特徴とする、項目1~6のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
(項目8)
前記軸受点(17、18、19)が、前記関連する駆動要素を軸線方向および/または半径方向に固定するように構成されることを特徴とする、項目1~7のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
(項目9)
前記軸受点(17、18、19)がそれぞれ前記駆動要素(8~11)の設置方向に開放されることを特徴とする、項目1~8のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
(項目10)
前記駆動装置ハウジング(13)が、前記突出部(21)を含む下側シェル(13a)と前記下側シェル(13a)用のクロージャとして前記下側シェル(13a)を閉鎖する上側シェル(13b)とを有する2つの部分で設計されることを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
(項目11)
前記軸受点(17、18、19)が、前記駆動装置ハウジング(13)の補強および/または安定化に役立つことを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載の電動駆動装置。
【0023】
本発明は、単に1つの好ましい例示的な実施形態を示す図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による電動駆動装置を概観で示す斜視図である。
図2A】充電プラグと充電プラグソケットとの間のロックプロセスを示す図である。
図2B】充電プラグと充電プラグソケットとの間のロックプロセスを示す図である。
図2C】充電プラグと充電プラグソケットとの間のロックプロセスを示す図である。
図3図1による駆動装置の内部図である。
図4】下側シェルに関連する駆動装置ハウジングの上側シェルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
自動車用途向け電動駆動装置が図3による概観で示されている。例示的な実施形態の文脈の中で制限なく、電動駆動装置は、電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置のロック装置の構成要素を構成する。これに関連して、当該の電気自動車またはハイブリッド自動車の本体1の一部だけが図2A図2Cの表現に示されている。本体1は凹部2を備える。
【0026】
充電プラグソケット3は凹部2内に配置される。充電プラグソケット3は、充電プラグ4に電気的に解放可能にロックすることによって結合することができ、充電プラグ4は、この目的で、本体1の凹部2内に導入され、充電プラグソケット3に電気的に接続することによって結合される。
【0027】
この目的のために、充電プラグ4はプラグ接点5を有し、プラグ接点5は、図1に単に示されており、充電プラグソケット3の内部の関連するプラグソケット5’内に係合する。もちろん、この手順は逆にすることもできる。この場合、充電プラグソケット3はプラグ接点5を備え、プラグ接点5は、充電プラグ4の関連するプラグソケット5’内に解放可能に係合するが、図示されていない。
【0028】
充電プラグ4を充電プラグソケット3に解放可能にロックするために、可動ロック要素6が設けられる。例示的な実施形態では、可動ロック要素6は、プラスチック製のロックピンまたはロックロッドである。代替実施形態では、ロック要素6は金属で作ることもできる。例示的な実施形態によれば、ロック要素6は、プラスチック射出成形部品として形成されるか、またはそのような部品を形成することができる。充電プラグ4を充電プラグソケット3に対して解放可能にロックする場合、ロック要素6は、充電プラグ4の関連する凹部7内に係合する。
【0029】
さらに、充電プラグ4を充電プラグソケット3に対してロックする間、ロック要素6は、充電プラグソケット3の凹部7’内にさらに係合する。充電プラグ4が充電プラグソケット3に対してロック解除された状態が図2Aに示されている。図2Cはロック状態を示す。ロック要素のロック解除位置からロック位置への移行は、図2Bに示されている6である。
【0030】
ロック要素6は、充電プラグ4と充電プラグソケット3との間のロックを生成または解除するために、2つの凹部7、7’に対して動かすことができる。ロック要素6の縦方向の動きは、図1に二重矢印で示されているように、これに対応する。例示的な実施形態によれば、電動駆動装置は、ロック要素6の作動運動を確実にする。ロック要素6の縦方向は、駆動装置のシャフト9、10、11が配置される平面に対して垂直に延びる。駆動装置ハウジング13上のシール12は、ロック要素6がロック要素6の作動運動中に駆動装置ハウジング13に対して確実に封止されるようにする。
【0031】
電動駆動装置は、電動駆動装置自体の駆動装置ハウジング13内に収容され、全体として駆動装置ハウジング13によって囲まれる。これは、すべての駆動要素、すなわち電気モータ8および電気モータ8の下流側に接続される多段ギヤユニットに当てはまる。さらに、ロック要素6は駆動装置ハウジング13内に取り付けられるので、全体として、設置の準備ができている組立体または設置モジュールが提供される。もちろん、本発明は、駆動装置および充電プラグソケット3が共通のハウジング内に収容される解決策も網羅する。しかしながら、これは図面には示されていない。
【0032】
駆動装置は、電気モータ8、第1のシャフト9、第2のシャフト10、第3のシャフト11、およびロックレバー119を備え、ロック要素6はロックレバー119に当接する。ロックレバー119は、電気モータ8およびシャフト9~11によって動き出し、その結果、ロック要素6が動かされる。この場合、ロックレバー19は、シャフト9~11が配置される平面に対して垂直に動かされる。例示的な実施形態では、ロックレバー119およびロック要素6は、互いに一体的に形成される。
【0033】
ロック要素6は、突起127を備えた階段状の構成を有し、したがって、ロック要素6は、突起127上のより高い位置に配置される第1の接触面129とより低い位置に配置される第2の接触面128とを有する。この場合、「より高い位置に配置される」および「より低い位置に配置される」という相対的な詳細は、ロック要素6のハウジング側の端部からの距離に関係する。2つの接触面128、129を用いて、充電プラグ4が充電プラグソケット3内に十分深く挿入されているかどうかを検出することが可能である。これは、通常運転モードでは、すなわち充電プラグ4が充電プラグソケット3内に十分に深く導入されるときに、ロック要素6が充電プラグ4の凹部7を通過するだけでなく、ロックするために充電プラグソケットの凹部7’内に係合もすることを利用する。この場合、凹部7、7’は、凹部7、7’のサイズおよび互いに対する向きに関して、通常運転モードではロック要素6が充電プラグ4の凹部7を通過し、突起127が充電プラグソケット3の凹部7’内に導入されるのに対して、第2の接触面128は充電プラグ3の表面上に載った状態になり、それによってロック要素6の移動が停止されるように選択される。加えて、例えば、シャフト9~10のうちの1つの回転数を監視することにより、または電気モータ8の消費電流により、ロック要素6が停止する前に、駆動装置の電気モータ8がどれくらいの時間運転されたかが監視される。このようにして、通常モードで運転しているかどうかを確認することができる。充電プラグ3が十分遠くに導入されない場合、第1の接触面129は既に充電プラグ3上の突起127上に横たわった状態になり、ロック要素6は既に以前に停止されている。加えて、第3の状況が識別され得る、すなわち、充電プラグ3が破損している場合、したがって充電プラグ3が十分に遠くまで導入された場合でも、確実なロックが保証されない。この場合、ロック要素6は、通常運転モードよりも深く導入され得る。
【0034】
駆動装置または電動駆動装置は、電気モータ8と第1のシャフト9、第2のシャフト10および第3のシャフト11からなる変速機とで構成される。第1のシャフト9は、電気モータ8の出力シャフトを形成し、エボロイド歯車装置(evoloid gearing)として構成された歯車装置(gearing)122によって第2のシャフト10と噛み合う。同様に、第2のシャフト10は歯車装置123を有し、第2のシャフト10は、歯車装置123によって第3のシャフト11と噛み合う。第2のシャフト10の歯車装置123は、エボロイド歯車装置として構成することもできる。エボロイド歯車装置は、比較的コンパクトな空間要件で、高速度伝達比から超高伝達比まで、例えば1:30、1:80、1:140、または1:320を提供する。第3のシャフト11は、例示的な実施形態に従って非限定的に、偏心輪またはピン17を用いてかつロック要素6上への案内部14、15を考慮して動作し、駆動装置によってもたらされる作動運動をロック要素6に伝達する。
【0035】
第3のシャフト11は、第2のシャフトの歯車装置123と噛み合う第1の歯車装置124に加えて、第2の歯車装置125を有し、第2の歯車装置125は、第3のシャフト11の第1の歯車装置124とは反対側の一端に配置される。第2の歯車装置125は、スイッチ作動130を駆動する働きをし、マイクロスイッチとして構成されたセンサ16がスイッチ作動130によって作動される。第3のシャフト11の回転が起きていると、マイクロスイッチの作動によって検出される。この方法により、マイクロスイッチは、第3のシャフト11がどれだけ回転しているか、または駆動装置がどれくらいの時間動作しているかを検出する。
【0036】
駆動装置により、ロック要素6は、ガイド14、15に対する作動運動を実行する。例示的な実施形態によれば、ガイド14、15は、2つの部分で設計され、一方の駆動装置ハウジング13内の固定ハウジング通路14と他方の可動支持体15とで、それぞれガイド構成要素14、15として略構成される。
【0037】
ハウジング通路14、さらにロック要素6は、詳細には明示的に示されていない対応する縦方向ガイド手段をその都度備えることができる。ロック要素6の縦方向ガイド手段は、縦方向に延びる棒とすることができ、または縦方向に延びる溝とすることもできる。一方、ハウジング通路14の縦方向ガイド手段は対応する溝として設計され、縦方向に延びるロック要素6の棒と一致する。縦方向に延びる溝を有するロック要素6が縦方向ガイド手段として形成される場合、対応する溝に係合する突起をハウジング通路14に備えることが推奨される。もちろん、混合形式も考えられる。ロック要素6が、例示的な実施形態で実施される円筒形状の代わりに、例えば角を有するまたは全体的に多角形の構成を有する場合、原理上、かかる対応する縦方向ガイド手段を省くことも可能である。
【0038】
例示的な実施形態では、縦方向ガイド手段または可動支持部15は、駆動装置8~11の第3のシャフト11のオフセット上に設けられる。実際、例示的な実施形態による関連するシャフト11はピン16を有し、ピン16は、図の状況ではシャフト11のオフセットである。
【0039】
ガイド14、15を含むロック要素6および上述の電動駆動装置は、全体として、電気接続装置について既に前述されたロック装置を形成する。ロック要素6に作用する代わりに、電気モータ8は下流側に接続された多段変速機と共に、異なる設計の作動要素に作用する働きをすることもできるが、この作動要素は図面には示されていない。
【0040】
本発明によれば、駆動装置ハウジング13は2つの部分で構成される。実際、駆動装置ハウジング13は、下側シェル13aと下側シェル13aのクロージャとして下側シェル13aを閉鎖する上側シェル13bとで略構成される(図3および図4参照)。さらに、駆動装置ハウジング13は、内側および/または縁側突出部21を有する。関連する突出部21は、個々の駆動要素または駆動要素のすべてのための直接軸受点17、18、19を有する、あるいは突出部21自体がそのような軸受点17、18、19として機能する。
【0041】
関連する軸受点17は、例示的な実施形態では、固定駆動要素8を駆動装置ハウジング13の内部に取り付けることができるようにする軸受点である。この場合、固定駆動要素8は、既に前述した電気モータ8である。電気モータ8は、以前は円筒形突出部を有する電気モータ8のハウジングの各端部にあり、円筒形突出部は、前述の固定駆動要素または電気モータ8用の関連する軸受点17内に配置されかつそこに収容される。関連する軸受点17は、関連する突出部21内に配置され得る。突出部21は、他の突出部21と同様に、全体としてハウジングリブを含み、ハウジングリブは、例示的な実施形態では駆動要素を取り付けるためだけでなく、さらに駆動装置ハウジング13全体を補強するためにも役立つ。
【0042】
次に、固定駆動要素または電気モータ8のための前述の軸受点17に加えて、可動駆動要素を取り付けるために使用され役立つ他の軸受点18、19が設けられる。例示的な実施形態では、可動駆動要素9~11は、電気モータ8の下流側に接続される多段変速機のシャフトである。
【0043】
実際、この時点で電気モータ8の出力シャフト9が設けられ、出力シャフト9は、関連するシャフト10を有する多段変速機の第2の段とギヤによって噛み合う。次に、シャフト10は、出力端で別のシャフト11に連結される。シャフト11は、オフセットまたはピン16、したがって偏心輪を有する。ピン16は、ロック要素6用の前述のガイド14、15の案内構成要素として支持体15内に係合する。
【0044】
個々のシャフトは、その都度互いに平行に配置される。さらに、例示的な実施形態では、個々のシャフトおよび関連するギヤは、好適にはプラスチックで作られる。同じことは駆動装置ハウジング13にも当てはまる。さらに、ハウジングリブとして構成された突出部21は、好ましくは駆動装置ハウジング13上に一体的に形成され、さらに、突出部21および駆動装置ハウジング13は全体として一体のプラスチック成形物を形成するので、可動駆動要素は、関連する軸受点18、19に直接連結され得る。これに関連して、軸受点17、18、19のすべてがそれぞれ、駆動要素8~11の設置方向に開放しており、例示的な実施形態によれば、図3による下側シェル13aの平面図において観察者の観察方向に上向きに開放している。その結果、駆動要素8~11は、上方から関連する軸受点17、18、19内に挿入することができ、これに続いて、駆動要素は直ちに使用できる状態になり、同時に満足のいくように取り付けられる。
【0045】
シャフトの設計、その結果としてプラスチックで作られる可動駆動要素の設計により、同時に、突出部またはハウジングリブ21が同様にプラスチックで作られることにより、これに関連して、関連する軸受点18、19の領域内の全体的な滑り軸受が見られ、滑り軸受は、「プラスチック-プラスチック」摩擦により特に低い摩擦で動作する。同時に永続的な動作が保証される。これは、可動駆動要素9~11用の軸受点18、19が、固定駆動要素8用の軸受点17と全く同じように、その都度U字形断面を有し、突出部またはハウジングリブ21内に上方に開放しているためである。結果として、全体として、軸受点17、18、19の「直接性」が得られる。
【0046】
関連する駆動要素8~11の軸線方向と比べると、ハウジングリブ21は略、図3に示される縦方向Lと一致する横方向の寸法を有する。例示的な実施形態では、シャフト9~11は互いに平行にかつ電気モータ8と平行に配置されるので、軸線方向は、図1に示される駆動装置ハウジング13の縦方向Lと一致する。一方、ハウジングリブ21は、大部分が縦方向Lに対して横方向に向けられ配置される。
【0047】
このようにして、突出部またはハウジングリブ21は、互いに対して同じ方向に、すなわち大部分が縦方向Lと比べると横方向に間隔を空けて配置され、したがって、その結果、駆動装置ハウジング13の前述の補強は明らかである。
【0048】
それぞれの軸受点17、18、19は、関連する駆動要素8~11を軸線方向にも半径方向にも固定するように構成され得る。これは、特に、略中央のハウジングリブ21内の軸受点18に当てはまり、軸受点18により、別個の明示されていない追加のシャフトが、駆動装置ハウジング13の内部のクランク20上に取り付けられる。クランク20は、緊急ロック解除システムの構成要素を構成する。緊急ロック解除システムまたはクランク20により、電気モータ8が故障した場合でも、多段変速機は作用を受けることができ、したがって、その結果、ロック要素6は、ロック要素6の引込位置にまで動かされ、その結果、充電プラグ4の凹部7から出て、また充電プラグソケット3の凹部7’に対して自由になる。その結果、緊急時に、充電プラグ4は、駆動装置が故障した場合でも充電プラグソケット3からロック解除することができる。第3のシャフト11は第3の歯車装置126を有し、第3の歯車装置126は、例示的な実施形態では個別の歯として構成される。緊急作動の場合、緊急ロック解除装置は、クランク20によって駆動され得るものであり、第3のシャフト11、したがって駆動装置全体をリセットするために、第3の歯車装置126に作用する。
【0049】
既に説明したように、駆動装置ハウジング13は、好適には2つの部分で設計される。これに関連して、駆動装置ハウジング13は、主として図3に示される下側シェル13aを有し、下側シェル13aは、関連する軸受点17、18、19を有する突出部21を備えるとともに、突出部21を画定する。上述のように、下側シェル13aは、設置方向に駆動要素8~11を備えることができる。続いて、図4に示す上側シェル13bが、装備された下側シェル13a上に装着され、その結果、駆動装置ハウジング13は閉鎖される。電動駆動装置8~11は、ロック要素6と組み合わされ、駆動装置ハウジング13内に全体的に収容されるので、設置の準備ができている組立体またはモジュールは、本体1内または本体1上に取り付けるために利用可能である。この場合はもちろん、必要な緊急ロック解除の場合に、操作者がクランク20に到達しクランク20に作用できることが確保されなければならない。したがって、原理上、少なくともクランク20は外部からアクセス可能でなければならない。
図1
図2A)】
図2B)】
図2C)】
図3
図4