(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 15/06 20060101AFI20230307BHJP
B60C 15/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B60C15/06 C
B60C15/00 B
(21)【出願番号】P 2018236606
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】富高 祐
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-146607(JP,A)
【文献】特表2001-525760(JP,A)
【文献】特開2009-057022(JP,A)
【文献】特開平07-186609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00- 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビード部に埋設されたビードコアと、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に設けられたビードフィラーと、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至り前記ビードコアの周りをタイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されて係止されたカーカスプライと、ビード部の外表面を形成するリムストリップゴムと、を備え、
前記リムストリップゴムは、前記カーカスプライの折返し部のタイヤ軸方向外側に配置される外側ゴム部と、前記カーカスプライの本体部のタイヤ軸方向内側に配置される内側ゴム部と、を備え、
前記内側ゴム部が、前記カーカスプライの本体部に沿ってビード部からタイヤ半径方向外側に延在し、前記内側ゴム部の上端が、前記ビードフィラーの上端よりもタイヤ半径方向外側に配置され、かつ、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ半径方向外側に配置された、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記内側ゴム部の上端が、トレッド部に埋設されたベルト層のタイヤ軸方向端よりもタイヤ軸方向外側に配置された、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記内側ゴム部の上端が、トレッドゴムのタイヤ軸方向端よりもタイヤ半径方向外側に配置された、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの剛性を高めて操縦安定性を向上するために、ビード部に配される高硬度のリムストリップゴムを、サイドウォール部まで延在させることが知られている。例えば、特許文献1には、ビード部のタイヤ軸方向外側に配置されるリムストリップゴムをトレッド部のベルト端付近まで延設させて内側ゴム層を形成し、これによりサイドウォールゴムを内外2層で構成することが記載されている。
【0003】
ところで、空気入りタイヤは、回転時にサイドウォール部が繰り返しの撓み変形を受けることから、特に低内圧で使用されたときに、サイドウォール部におけるタイヤ内面にクラックや摩滅故障(タイヤ内面同士が擦れることによる摩滅)などの損傷が生じることがある。上記のようにリムストリップゴムをカーカスプライの外面側においてサイドウォール部まで延在させた空気入りタイヤでは、サイドウォール部の剛性を高めることはできるものの、タイヤ内面側での損傷を防止するという点では必ずしも十分とはいえず、耐久性の改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、タイヤの剛性を高め耐久性を向上することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤは、ビード部に埋設されたビードコアと、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に設けられたビードフィラーと、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至り前記ビードコアの周りをタイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されて係止されたカーカスプライと、ビード部の外表面を形成するリムストリップゴムと、を備える。前記リムストリップゴムは、前記カーカスプライの折返し部のタイヤ軸方向外側に配置される外側ゴム部と、前記カーカスプライの本体部のタイヤ軸方向内側に配置される内側ゴム部と、を備える。前記内側ゴム部は、前記カーカスプライの本体部に沿ってビード部からタイヤ半径方向外側に延在し、前記内側ゴム部の上端が、前記ビードフィラーの上端よりもタイヤ半径方向外側に配置され、かつ、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ半径方向外側に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記実施形態に係る空気入りタイヤであると、リムストリップゴムをタイヤ半径方向外側に延在させたことによりタイヤの剛性を高めることができる。また、リムストリップの内側ゴム部をカーカスプライの本体部のタイヤ内面側に沿って延在させたことにより、サイドウォール部の撓み変形を効果的に抑制することができ、タイヤ内面側での損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示す実施形態の空気入りタイヤ10は、乗用車用空気入りタイヤであって、接地面を構成するトレッド部12と、リムに固定される左右一対のビード部16と、トレッド部12とビード部16との間に介在する左右一対のサイドウォール部14とを備えてなる。なお、
図1は、タイヤ回転軸を含む子午線断面でタイヤ10を切断した右側半断面図であり、この例ではタイヤ10は左右対称である。
【0011】
図中、符号CLは、タイヤ軸方向中心に相当するタイヤ赤道面を示す。本明細書において、タイヤ軸方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、
図1において符号WDで示す。タイヤ軸方向WD内側とはタイヤ赤道面CLに近づく方向であり、タイヤ軸方向WD外側とはタイヤ赤道面CLから離れる方向である。タイヤ半径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいい、
図1において符号RDで示す。タイヤ半径方向RD内側とはタイヤ回転軸に近づく方向であり、タイヤ半径方向RD外側とはタイヤ回転軸から離れる方向である。タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
【0012】
図1及び
図2に示すように、ビード部16には、ビードワイヤで構成された環状のビードコア18が埋設されている。また、ビードコア18の外周、即ちタイヤ半径方向RD外側にはビードフィラー20が設けられている。ビードフィラー20は、先端側ほど幅狭の断面略三角形状をなす硬質ゴム製部材である。この例では、ビードフィラー20の上端(即ち、タイヤ半径方向RDの外側端)20Aは、後述するタイヤ最大幅位置44よりもタイヤ半径方向RD内側に位置している。
【0013】
タイヤ10には、一対のビード部16間にトロイダル状に架け渡された少なくとも1枚(この例では1枚)のカーカスプライ22が設けられている。カーカスプライ22は、トレッド部12からサイドウォール部14を経てビード部16に至り、ビード部16において係止されている。詳細には、カーカスプライ22は、その両端部がビードコア18の周りをタイヤ軸方向WD内側から外側に向かって折り返されて係止されている。そのため、カーカスプライ22は、一対のビードコア18間に跨るトロイド状の本体部22Aと、本体部22Aの両端からビードコア18の周りに折り返された折返し部22Bを備える。そして、本体部22Aと折返し部22Bとの間に、ビードコア18とビードフィラー20が配されている。
【0014】
カーカスプライ22の折返し端22BE(即ち、折返し部22Bの上端)は、この例では、タイヤ最大幅位置44よりもタイヤ半径方向RD外側に位置している。また、折返し端22BEは、後述するトレッドゴム28に達する前に終端しており、従ってトレッドゴム28のタイヤ軸方向端28AEよりもタイヤ半径方向RD内側に位置している。
【0015】
カーカスプライ22は、補強材としてのカーカスコードを所定の打ち込み本数で平行配列しトッピングゴムで被覆してなり、カーカスコードがタイヤ周方向に対して実質上直角(例えば80°~90°)に、即ちラジアル方向に配されている。なお、カーカスコードとしては、例えば、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維等の有機繊維コード、又はスチールコードなどが挙げられる。
【0016】
トレッド部12には、カーカスプライ22の外周(即ち、タイヤ半径方向RD外側)にベルト層24が埋設されている。ベルト層24は、カーカスプライ22のクラウン部外周に重ねて設けられており、通常は少なくとも2枚のベルトプライで構成される。この例では、ベルト層24は、最大幅ベルトとしての第1ベルト24Aと、その外周に重ねて配された第2ベルト24Bとの2枚で構成されている。第1及び第2ベルト24A,24Bは、スチールコード等のベルトコードをタイヤ周方向に対して一定角度(例えば10°~35°)で傾斜させかつタイヤ軸方向WDに所定間隔で配設してなる。2枚のベルト24A,24B間でベルトコードが互いに交差するよう配設されている。
【0017】
ベルト層24のタイヤ半径方向RD外側にはベルト補強層26が設けられている。ベルト補強層26は、タイヤ周方向に対して実質的に平行に延びるコードを有するキャッププライにより構成されている。
【0018】
ベルト層24の外周、より詳細にはベルト補強層26の外周には、トレッド部12の外表面を形成するトレッドゴム28が積層されている。トレッドゴム28は、タイヤの接地面をなすゴム部材であり、トレッドゴム28の表面には主溝29等によりトレッドパターンが形成されている。
【0019】
トレッドゴム28は、ベルト層24及びベルト補強層26の全幅を覆うように設けられている。そのため、トレッドゴム28のタイヤ軸方向端28AEは、ベルト層24のタイヤ軸方向端24Eよりもタイヤ軸方向WD外側に位置し、かつベルト補強層26のタイヤ軸方向端よりもタイヤ軸方向WD外側に位置している。
【0020】
サイドウォール部14におけるカーカスプライ22のタイヤ外面側には、サイドウォール部14の外表面を形成するサイドウォールゴム30が設けられている。サイドウォールゴム30は、この例では、そのタイヤ半径方向RDの外側端部30Aが、トレッドゴム28のタイヤ軸方向WDの端部28A上に被せられている。
【0021】
ビード部16にはリムストリップゴム32が設けられている。リムストリップゴム32は、ビード部16の外表面を形成するゴム部材であり、タイヤ10が装着される不図示のリムと接触する。リムストリップゴム32は、サイドウォールゴム30よりも高硬度のゴムからなる。例えば、サイドウォールゴム30の硬度が50~60であるのに対し、リムストリップゴム32の硬度は62~77でもよい。
【0022】
ここで、ゴムの硬度は、JIS K6253-1-2012 3.2デュロメータ硬さ(durometer hardness)であり、一般ゴム(中硬さ)用のタイプAデュロメータを用いて、23℃の雰囲気下で測定される。
【0023】
なお、リムストリップゴム32は、一般に、ビードフィラー20よりも硬度が低く、トレッドゴム28よりも硬度が高い。また、トレッドゴム28はサイドウォールゴム30よりも硬度が高い。
【0024】
リムストリップゴム32は、ビード部16においてカーカスプライ22の本体部22Aと折返し部22Bとをタイヤ半径方向RD内側から覆うように設けられている。そのため、リムストリップゴム32は、カーカスプライ22の折返し部22Bのタイヤ軸方向WD外側に配置されている外側ゴム部34と、カーカスプライ22の本体部22Aのタイヤ軸方向WD内側に配置される内側ゴム部36と、外側ゴム部34と内側ゴム部36の下端部同士を繋ぐ底ゴム部38とを備えてなる。
【0025】
底ゴム部38は、ビード部16の底面を形成する部分であり、不図示のリムのビードシートと接触する。
【0026】
外側ゴム部34は、ビード部16のタイヤ外面側の表面を形成する部分であり、底ゴム部38のタイヤ軸方向WD外側端から、カーカスプライ22の折返し部22Bに沿ってタイヤ半径方向RD外側に延在している。外側ゴム部34のタイヤ半径方向RDの外側端部34Aは、サイドウォールゴム30のタイヤ半径方向RDの内側端部30Bにより覆われており、かかるサイドウォールゴム30と外側ゴム部34との接合部がリムプロテクター40として突出形成されている。
【0027】
外側ゴム部34の上端(即ち、タイヤ半径方向RDの外側端)34AEは、この例では、タイヤ最大幅位置44よりもタイヤ半径方向RD内側、かつ、ビードフィラー20の上端20Aよりもタイヤ半径方向RD外側に位置している。
【0028】
内側ゴム部36は、底ゴム部38のタイヤ軸方向WD内側端から、カーカスプライ22の本体部22Aに沿ってタイヤ半径方向RD外側に延在している。タイヤ内面(内腔面)には、空気非透過性のブチル系ゴムからなるインナーライナーゴム層42が設けられており、内側ゴム部36は、カーカスプライ22の本体部22Aとインナーライナーゴム層42との間に挟まれたゴム層である。
【0029】
内側ゴム部36は、カーカスプライ22の本体部22Aに沿ってビード部16からサイドウォール部14にかけてタイヤ半径方向RD外側に延在している。そして、内側ゴム部36の上端(即ち、タイヤ半径方向RDの外側端)36AEが、ビードフィラー20の上端20Aよりもタイヤ半径方向RD外側に配置されており、すなわち、当該上端20Aを越えてタイヤ半径方向RD外側に延在している。また、内側ゴム部36の上端36AEは、タイヤ最大幅位置44よりもタイヤ半径方向RD外側に配置されており、すなわち、タイヤ最大幅位置44を越えてタイヤ半径方向RD外側に延在している。
【0030】
ここで、タイヤ最大幅位置44は、サイドウォール部14における空気入りタイヤ10の外表面のプロファイルラインが、タイヤ赤道面CLからタイヤ軸方向WDに最も離れる位置である。このプロファイルラインは、リムプロテクター40などの突起を除いたサイドウォール部本体の外表面の輪郭であり、通常、複数の円弧を滑らかに接続することで規定されるタイヤ子午線断面形状を有する。
【0031】
内側ゴム部36の上端36AEは、ベルト層24のタイヤ軸方向端24Eよりもタイヤ軸方向WD外側に配置されている。すなわち、内側ゴム部36は、ベルト層24のタイヤ軸方向端24Eよりもタイヤ軸方向WD外側で終端しており、よって、内側ゴム部36の上端部36Aは、ベルト層24の端部とオーバーラップしていない。
【0032】
内側ゴム部36の上端36AEは、また、トレッドゴム28のタイヤ軸方向端28AEよりもタイヤ半径方向RD外側に配置されている。すなわち、内側ゴム部36は、トレッドゴム28のタイヤ軸方向端28AEよりもタイヤ半径方向RD外側で終端しており、よって、内側ゴム部36の上端部36Aは、カーカスプライ22を介して、トレッドゴム28のタイヤ軸方向WDの端部28Aとオーバーラップしている。
【0033】
なお、トレッドゴム28のタイヤ軸方向WDの端部28Aは、タイヤ軸方向WDの外側ほどタイヤ半径方向RDの内側に位置するように湾曲しているため、トレッドゴム28のタイヤ軸方向端28AEはトレッドゴム28のタイヤ半径方向RDの内側端でもある。
【0034】
内側ゴム部36の厚みは、この例では、ビード部16からタイヤ最大幅位置44付近まで実質上一定であり、タイヤ最大幅位置44付近から上端36AEに向かって漸減している。
【0035】
以上よりなる本実施形態に係る空気入りタイヤ10であると、高硬度のリムストリップゴム32をサイド部の全域に設けたことにより、タイヤ10の剛性を向上させ、操縦安定性を向上することができる。
【0036】
また、タイヤ内面側でリムストリップゴム32を高く形成したことにより、空気入りタイヤ10の回転時における繰り返しの撓み変形をより効果的に抑制することができる。すなわち、リムストリップゴム32のうち、カーカスプライ22の本体部22Aよりもタイヤ内面側に位置する内側ゴム部36を、タイヤ最大幅位置44よりもタイヤ半径方向RD外側に延在させている。カーカスプライ22の本体部22Aよりもタイヤ内面側では、サイドウォール部14の撓み時に圧縮方向に変形する。この部分に高硬度ゴムを設けることで圧縮されにくくなり撓み変形の抑制効果を高めることができる。そのため、例えば低内圧で使用されたときでも、サイドウォール部14におけるタイヤ内面での損傷を抑制することができ、耐久性を向上することができる。
【0037】
また、リムストリップゴム32の内側ゴム部36の上端36AEを、ビードフィラー20の上端20Aよりもタイヤ半径方向RD外側に配置させたので、より高硬度であるビードフィラー20の上端20Aに集中する歪みを抑制することができ、耐久性を向上することができる。
【0038】
また、カーカスプライ22よりもタイヤ内面側で内側ゴム部36をタイヤ半径方向RDの外側に延在させたことにより、サイドウォール部14のタイヤ内面側においてカーカスコードまでのゴム厚みを大きくすることができる。そのため、この点からもタイヤ内面側の摩滅による故障を抑制することができる。
【0039】
また、内側ゴム部36の上端36AEをベルト層24のタイヤ軸方向端24Eよりもタイヤ軸方向WD外側に配置させており、高硬度のリムストリップゴム32と剛性の高いベルト層24とをオーバーラップさせていない。そのため、リムストリップゴム32とベルト層24との間に撓み変形させる領域を持たせて、乗り心地性を確保することができる。
【0040】
また、内側ゴム部36の上端36AEをトレッドゴム28のタイヤ軸方向端28AEよりもタイヤ半径方向RD外側に配置させている。このように、リムストリップゴム32を、サイドウォールゴム30よりも硬度の高いトレッドゴム28の端部28Aとオーバーラップさせたことにより、これらの部材端に集中する歪みを緩和させることができ、耐久性の向上につながる。
【0041】
なお、上記実施形態では、ビードフィラー20の上端20Aがタイヤ最大幅位置44よりもタイヤ半径方向RD内側に位置する場合について説明したが、ビードフィラーの上端はタイヤ最大幅位置よりもタイヤ半径方向外側に位置してもよい。この場合、内側ゴム部の上端をビードフィラーの上端よりもタイヤ半径方向外側に配置すれば、内側ゴム部の上端は必然的にタイヤ最大幅位置よりもタイヤ半径方向外側に配置される。
【0042】
また、上記実施形態では、サイドウォールゴム30のタイヤ半径方向RDの外側端部30Aをトレッドゴム28のタイヤ軸方向WDの端部28A上に被せた構造としたが、トレッドゴムのタイヤ軸方向端部を、サイドウォールゴムのタイヤ半径方向の外側端部上に被せた構造としてもよい。その場合も、内側ゴム部の上端を、トレッドゴムのタイヤ軸方向端よりもタイヤ半径方向外側に配置させることにより、耐久性を向上することができる。
【0043】
なお、空気入りタイヤの各部の寸法やタイヤ最大幅位置等は、空気入りタイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷状態で測定される値である。正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば"Design Rim"、ETRTOであれば"MeasuringRim"である。正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE"である。但し、タイヤが乗用車用の場合は通常180kPaとするが、タイヤに、Extra Load、又は、Reinforcedと記載されたタイヤの場合は220kPaとする。
【0044】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
10…空気入りタイヤ、12…トレッド部、14…サイドウォール部、16…ビード部、18…ビードコア、20…ビードフィラー、20A…ビードフィラーの上端、22…カーカスプライ、22A…本体部、22B…折返し部、24…ベルト層、24E…ベルト層のタイヤ軸方向端、28…トレッドゴム、28AE…トレッドゴムのタイヤ軸方向端、32…リムストリップゴム、34…外側ゴム部、36…内側ゴム部、36AE…内側ゴム部の上端、44…タイヤ最大幅位置、WD…タイヤ軸方向、RD…タイヤ半径方向