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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 21/00 20060101AFI20230307BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B65H21/00
B29D30/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018121148
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020001861
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】宗友 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大西 慶
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-315901(JP,A)
【文献】特開2000-159399(JP,A)
【文献】特開2015-045577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺材料を製造するための方法であって、
第1方向に移動可能なコンベア上の予め定められた位置に材料片を供給する工程と、前記材料片が供給された前記コンベアを、前記材料片の前記第1方向に沿った長さ未満の送り量で前記第1方向に移動させる工程とを繰り返すことにより、前記コンベア上で前記材料片が部分的に重なるようにジョイントして前記長尺材料を形成する材料作成工程、
前記コンベアの前記送り量、前記長尺材料の厚さ及び前記長尺材料の前記第1方向と直交する第2方向の端縁の位置のうち、少なくとも一つを測定する測定工程
前記測定工程で測定された測定値に基づいて、前記長尺材料の品質を判定する判定工程及び、
前記コンベアの前記送り量、前記長尺材料の厚さに基づいて、ジョイント不良が生じた原因を特定する原因特定工程を含む、
前記長尺材料の製造方法。
【請求項2】
前記判定工程は、前記送り量と前記厚さに基づいて、前記第1方向に隣り合う前記材料片の重なり量又は隙間を計算する工程を含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記判定工程は、前記端縁の位置に基づいて、前記長尺材料の幅又は前記第1方向に隣り合う前記材料片の前記端縁のずれ量を計算する工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
長尺材料を製造するための装置であって、
第1方向に移動可能なコンベアと、前記コンベア上の予め定められた位置に材料片を供給する供給部と、前記材料片が供給された前記コンベアを、前記材料片の前記第1方向に沿った長さ未満の送り量で前記第1方向に移動させることにより、前記コンベア上で前記材料片が部分的に重なるようにジョイントして前記長尺材料を形成する材料作成部、
前記コンベアの前記送り量、前記長尺材料の厚さ及び前記長尺材料の前記第1方向と直交する第2方向の端縁の位置のうち、少なくとも一つを測定する測定部、
前記測定部によって測定された測定値に基づいて、前記長尺材料の品質を判定する判定部、及び
前記コンベアの前記送り量、前記長尺材料の厚さに基づいて、ジョイント不良が生じた原因を特定する原因特定部を含む、
前記長尺材料の製造装置。
【請求項5】
前記測定部は、前記送り量を測定するエンコーダーを含む、請求項4記載の製造装置。
【請求項6】
前記測定部は、予め定められた基準位置から前記長尺材料までの距離を測定する距離センサーを含む、請求項4又は5に記載の製造装置。
【請求項7】
前記距離センサーは、前記長尺材料の表面側及び裏面側に配されている、請求項6記載の製造装置。
【請求項8】
前記距離センサーは、前記第1方向に沿った前記長尺材料の中心線の両側に配されている、請求項6又は7に記載の製造装置。
【請求項9】
前記測定部は、前記距離センサーから出力された信号に基づいて、前記厚さを計算する計算部を含む、請求項6乃至8のいずれかに記載の製造装置。
【請求項10】
前記距離センサーは、前記長尺材料の幅方向に沿う測定領域を有する、請求項6記載の製造装置。
【請求項11】
前記測定部は、前記距離センサーから出力された信号に基づいて、前記端縁の位置を計算する計算部を含む、請求項10記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺材料を製造するための製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生タイヤを製造する工法として、環状の円周面を有する中子の外側に短冊状のベルトプライを貼り付ける技術が開発されている。かかる技術の一例として、ベルトプライの貼付状態を検査する装置が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、中子を用いない従来工法においては、短冊状の材料片がコンベア上でジョイントされることにより、タイヤの製造に用いられる長尺材料が形成される。しかしながら、製造された長尺材料の品質は、作業者の目視等による検査に委ねられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-45577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、長尺材料を製造しながら、その品質を検査する製造方法等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、長尺材料を製造するための方法であって、第1方向に移動可能なコンベア上の予め定められた位置に材料片を供給する工程と、前記材料片が供給されたコンベアを、前記材料片の前記第1方向に沿った長さよりも小さい送り量で前記第1方向に移動させる工程とを繰り返すことにより、前記コンベア上で前記材料片が部分的に重なるようにジョイントして長尺材料を形成する材料作成工程、前記コンベアの前記送り量、前記長尺材料の厚さ及び前記長尺材料の第1方向と直交する第2方向の端縁の位置のうち少なくとも一つを測定する測定工程、及び、前記測定工程で測定された測定値に基づいて、前記長尺材料の品質を判定する判定工程を含む。
【0007】
本発明に係る前記製造方法において、前記判定工程は、前記送り量と前記厚さに基づいて、前記第1方向に隣り合う前記材料片の重なり量又は隙間を計算する工程を含む、ことが望ましい。
【0008】
本発明に係る前記製造方法において、前記判定工程は、前記端縁の位置に基づいて、前記長尺材料の幅又は前記第1方向に隣り合う前記材料片の前記端縁のずれ量を計算する工程を含む、ことが望ましい。
【0009】
本発明の第2発明は、長尺材料を製造するための装置であって、第1方向に移動可能なコンベアと、前記コンベア上の予め定められた位置に材料片を供給する供給部と、前記材料片が供給されたコンベアを、前記材料片の前記第1方向に沿った長さよりも小さい送り量で前記第1方向に移動させることにより、前記コンベア上で前記材料片が部分的に重なるようにジョイントして長尺材料を形成する材料作成部、前記コンベアの前記送り量、前記長尺材料の厚さ及び前記長尺材料の第1方向と直交する第2方向の端縁の位置のうち少なくとも一つを測定する測定部、及び、前記測定部によって測定された測定値に基づいて、前記長尺材料の品質を判定する判定部を含む。
【0010】
本発明に係る前記製造装置において、前記測定部は、前記送り量を測定するエンコーダーを含む、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記製造装置において、前記測定部は、予め定められた基準位置から前記長尺材料までの距離を測定する距離センサーを含む、ことが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記製造装置において、前記距離センサーは、前記長尺材料の表面側及び裏面側に配されている、ことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記製造装置において、前記距離センサーは、前記第1方向に沿った前記長尺材料の中心線の両側に配されている、ことが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記製造装置において、前記測定部は、前記距離センサーから出力された信号に基づいて、前記厚さを計算する計算部を含む、ことが望ましい。
【0015】
本発明に係る前記製造装置において、前記距離センサーは、前記長尺材料の幅方向に沿う測定領域を有する、ことが望ましい。
【0016】
本発明に係る前記製造装置において、前記測定部は、前記距離センサーから出力された信号に基づいて、前記端縁の位置を計算する計算部を含む、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本第1発明は、コンベア上で材料片をジョイントして長尺材料を形成する材料作成工程と、長尺材料を測定する測定工程と、長尺材料の品質を判定する判定工程を含む。測定工程では、コンベアの送り量、長尺材料の厚さ及び長尺材料の第2方向の端縁の位置のうち少なくとも一つが測定される。そして、判定工程では、測定工程で測定された測定値に基づいて、長尺材料の品質が判定される。これにより、作業者に負担を強いることなく、長尺材料を製造しながら、その品質を自動的に検査することが可能となる。
【0018】
本第2発明は、コンベア上で材料片をジョイントして長尺材料を形成する材料作成部と、長尺材料を測定する測定部と、長尺材料の品質を判定する判定部を含む。測定部では、コンベアの送り量、長尺材料の厚さ及び長尺材料の第2方向の端縁の位置のうち少なくとも一つが測定される。そして、判定部では、測定部によって測定された測定値に基づいて、長尺材料の品質が判定される。これにより、作業者に負担を強いることなく、長尺材料を製造しながら、その品質を自動的に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1発明の製造装置の一実施形態を示す平面図である。
図2】本発明の第1発明の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図3図1の距離センサーの配置を示す製造装置の測定部の側面図である。
図4図1の距離センサーの配置を示す製造装置の測定部の正面図である。
図5】第3方向にずれて供給された材料片を含む長尺材料を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の製造装置1の概略構成を示す平面図である。図1に示されるように、本実施形態の製造装置1は、長尺材料100を製造するための装置である。製造装置1は、長尺材料100を形成する材料作成部2と、長尺材料100等を測定する測定部3と、長尺材料100の品質を判定する判定部4とを含んでいる。
【0021】
長尺材料100は、短冊状の複数の材料片101をジョイントすることにより形成される。本実施形態の長尺材料100は、複数のコードの配列体がトッピングゴムによって被覆されている。このような長尺材料100は、タイヤのカーカスプライやベルトプライに好適に用いられる。本発明の長尺材料100は、上述したコード入りのプライ材料に限られず、ゴムのみによって構成される形態であってもよい。
【0022】
材料作成部2は、第1方向D1に移動可能なコンベア21と、コンベア21に材料片101を供給する供給部22と、材料片101をジョイントするジョイント部23とを備えている。
【0023】
コンベア21は、ローラー24等によって駆動され、長尺材料100(材料片101)を第1方向に搬送する。コンベア21の送り量は、ローラー24又はローラー24を駆動するモーター(図示せず)の回転数等によって制御される。
【0024】
供給部22は、コンベア21上の予め定められた位置Pに、材料片101を供給する。供給部22は、第1方向D1に対して予め定められた角度θの第3方向D3に向って、材料片101を供給する。角度θは長尺材料100の用途等に応じて定められる。
【0025】
ジョイント部23は、コンベア21によって搬送された材料片101の第1方向D1の後端部と、供給部22によって次に供給された材料片101の第1方向D1の前端部とを加圧して、ジョイントする。供給部22による材料片101の供給、ジョイント部23による材料片101のジョイント及びコンベア21による長尺材料100の搬送を順次繰り返すことにより、第1方向D1にのびる長尺材料100が形成される。
【0026】
測定部3は、コンベア21の送り量X、長尺材料100の厚さT(後述する図4参照)及び長尺材料100の第1方向D1と直交する第2方向D2の端縁100a,100bの位置のうちの少なくとも一つを測定する。本実施形態では、測定部3は、コンベア21の送り量Xを測定するためのエンコーダー31と、長尺材料100の厚さT及び端縁100a,100bの位置を測定するための距離センサー32を含んでいる。また、測定部3は、コンベア21の送り量X、長尺材料100の厚さT及び長尺材料100の端縁100a,100bの位置を計算する計算部33を含んでいる。
【0027】
エンコーダー31は、例えば、コンベア21の側方等に設けられ、コンベア21の送り量Xに対応するパルス状の電気信号を計算部33に出力する。エンコーダー31には、例えば、コンベア21の第1方向の移動量を測定するリニアエンコーダーの他、ローラー24又はローラー24を駆動するモーターの回転角を測定するロータリーエンコーダー等が適用される。
【0028】
距離センサー32は、コンベア21の上方又は下流等で、長尺材料100に対向して設けられている。
【0029】
本実施形態の距離センサー32には、例えば、2次元レーザー変位センサーが用いられている。2次元レーザー変位センサーは、被検体にレーザー光L(後述する図3、4参照)を照射してその反射光を検出することにより、所定の測定領域にわたって予め定められた基準位置から被検体までの距離を測定する非接触式の変位センサーである。基準位置は、例えば、レーザー光Lの出射口とすることができるが、距離センサー32の内部又は外部の任意の位置であってもよい。
【0030】
計算部33は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を含む演算処理部5によって実現される。プログラムは、ハードディスク装置等に格納されていてもよい。演算処理部5は、後述する判定部4としても機能する。すなわち、計算部33及び判定部4は、同一のCPU及びメモリ等によって構成されていてもよい。
【0031】
計算部33は、エンコーダー31から出力された電気信号に基づいて、コンベア21の送り量Xを計算する。また、計算部33は、距離センサー32から出力された電気信号に基づいて、長尺材料100の厚さT及び端縁100a,100bの位置を計算する。計算部33によって計算されたコンベア21の送り量X、長尺材料100の厚さT及び端縁100a,100bの位置に関する情報は、判定部4に出力される。
【0032】
判定部4は、測定部3によって測定された測定値、すなわち、計算部33から出力されたコンベア21の送り量X、長尺材料100の厚さT及び端縁100a,100bの位置に関する情報に基づいて、長尺材料100の品質を判定する。例えば、判定部4は、測定部3によって測定されたコンベア21の送り量X、長尺材料100の厚さT及び端縁100a,100bの位置を、予め定められた規格値と比較することにより、長尺材料100の品質を判定する。
【0033】
コンベア21の送り量X、長尺材料100の厚さT及び端縁100a,100bの位置が予め定められた規格値を超える場合、演算処理部5は、製造装置1の運転を停止する。また、この場合、演算処理部5は、その旨の警報を発し、作業者及び管理者等に連絡するように構成されていてもよい。
【0034】
上記製造装置1によれば、作業者に負担を強いることなく、長尺材料100を製造しながら、その品質を自動的に検査することが可能となる。
【0035】
図2は、長尺材料100の製造方法の手順を示すフローチャートである。長尺材料100の製造方法は、長尺材料100を形成する材料作成工程S1、S2と、長尺材料100等を測定する測定工程S3と、長尺材料100の品質を判定する判定工程S4とを含んでいる。
【0036】
材料作成工程S1、S2は、材料作成部2によって実行される。すなわち、供給部22が材料片101を供給する工程S1と、材料片101が供給されたコンベア21を、第1方向に移動させる工程S2とを繰り返すことにより、コンベア21上で材料片101がジョイントされ、長尺材料100が形成される。
【0037】
測定工程S3は、測定部3によって実行される。すなわち、測定工程S3では、測定部3が、コンベア21の送り量X、長尺材料100の厚さT及び端縁100a,100bの位置の少なくとも一つを測定する。
【0038】
判定工程S4は、判定部4によって実行される。すなわち、判定工程S4では、判定部4が、測定工程S3で測定された測定値に基づいて、長尺材料100の品質を判定する。
【0039】
上記工程S1乃至工程S4が、繰り返し実行されることにより、長尺材料100を製造しながら、その品質が自動的に検査される。
【0040】
図3及び4は、距離センサー32の配置を示している。本実施形態の距離センサー32は、コンベア21の下流側に複数設けられている。
【0041】
距離センサー32は、長尺材料100の表面側に配される距離センサー32A、32Bと、長尺材料100の裏面側に配される距離センサー32C、32Dとを含んでいる。距離センサー32A、32Cは、第1方向D1に沿った長尺材料100の中心線Cの一方側に、距離センサー32B、32Dは、中心線Cの他方側に、それぞれ配されている。すなわち、距離センサー32は、中心線Cの両側に配されている。
【0042】
図3は、材料片101、101のジョイント箇所が距離センサー32の測定領域を通過する状態を示している。図3に示されるように、距離センサー32A、32Bは、その基準位置から長尺材料100の表面までの距離L1を測定する。一方、距離センサー32C、32Dは、その基準位置から長尺材料100の裏面までの距離L2を測定する。距離L1及びL2に基づいて、長尺材料100の厚さTが計算される。
【0043】
コンベア21によって長尺材料100が第1方向D1に搬送される際、距離センサー32A、32Bによって測定される距離L1が急減する箇所(長尺材料100の厚さTが急増する箇所)は、材料片101の前端縁101aであると判断できる。一方、コンベア21によって長尺材料100が第1方向D1に搬送される際、距離センサー32C、32Dによって測定される距離L2が急増する箇所(長尺材料100の厚さTが急減する箇所)は、材料片101の後端縁101bであると判断できる。
【0044】
従って、ある材料片101の後端縁101bと、供給部22によって次に供給された材料片101の前端縁101aとの距離L3が、材料片101、101の第1方向D1での重なり量(ジョイント長さ)となる。判定部4は、距離センサー32A、32Bによって前端縁101aを検出した後、距離センサー32C、32Dによって後端縁101bを検出するまでの時間を計算し、エンコーダー31から出力された電気信号に基づいて上記時間内でのコンベア21の送り量Xを計算することにより、材料片101、101の重なり量を計算する。判定部4は、算出した重なり量を予め定められた規格値と比較することにより、長尺材料100の品質、特にジョイント品質を判定する。なお、ジョイント品質は、材料片101、101の前端縁101a及び後端縁101bに直交する方向での重なり量L3・sinθを計算することにより、さらに正確に評価できる。
【0045】
材料片101の第1方向D1での長さに対してコンベア21の送り量Xが過多である場合、隣り合う材料片101、101の間に隙間が生ずる。判定部4は、距離センサー32A、32Bによって前端縁101aを検出する前に、距離センサー32C、32Dによって後端縁101bを検出した場合、材料片101、101はジョイントされておらず、両者の間に隙間が生じていると判断できる。このような隙間は、判定部4が距離L1、L2の推移を監視することで、より正確に判定できる。
【0046】
すなわち、判定工程S4は、測定工程S3によって測定された送り量Xと厚さTに基づいて、第1方向D1に隣り合う材料片101、101の重なり量又は隙間を計算する工程を含んでいる。これにより、長尺材料100の品質のうち、特に材料片101、101のジョイント品質を正確に判定できる。また、供給部22から供給される材料片101の第1方向D1での長さの異常を判定できる。
【0047】
本実施形態では、送り量Xと厚さTに基づいて、第1方向D1に隣り合う材料片101の重なり量又は隙間等を計算するので、ジョイント不良が生じた原因を容易に特定することができる。例えば、送り量Xが異常である場合は、コンベア21に原因があり、送り量Xが正常である場合は、材料片101の第1方向D1での長さ又は供給する角度θに原因があると推定できる。
【0048】
また、本実施形態では、距離センサー32A、32Cは、長尺材料100の中心線Cの一方側に、距離センサー32B、32Dは、中心線Cの他方側に、それぞれ配されているので、中心線Cの両側で材料片101、101の重なり量又は隙間を計算し、比較することにより、長尺材料100の対称性等の品質を詳細に判定できる。
【0049】
図4に示されるように、各距離センサー32A,32B,32C,32Dは、第1方向D1に直交する第2方向D2、すなわち長尺材料100の幅方向に沿うそれぞれの測定領域SA,SB,SC,SDを有している。各距離センサー32A,32B,32C,32Dは、それぞれの測定領域SA,SB,SC,SDに長尺材料100の幅方向である第2方向D2の端縁100a,100bを含むように配置されている。
【0050】
計算部33は、中心線Cからの各距離センサー32A,32Bの基準位置までの距離及び距離センサー32A,32Bから出力された電気信号に基づいて、端縁100a,100bの位置(すなわち、中心線Cから端縁100a,100bまでの距離)を計算する。端縁100a,100bは、中心線Cから長尺材料100の幅方向の外側に向って、その基準位置から距離L1(図3参照)が急増する箇所(長尺材料100の厚さTが急減する箇所)を検出することにより特定される。端縁100a,100bの位置の計算には、距離センサー32C,32Dから出力された電気信号が用いられてもよい。
【0051】
そして、判定部4は、端縁100a,100bの位置に基づいて、長尺材料の幅Wを計算する。すなわち、判定工程S4は、端縁100a,100bの位置の位置に基づいて、長尺材料100の幅Wを計算する工程を含んでいる。これにより、長尺材料100の品質を詳細に判定できるようになる。
【0052】
図5は、第3方向D3にずれて供給された材料片101を含む長尺材料100を示している。本実施形態では、計算部33が端縁100a,100bの位置を計算するので、第3方向D3にずれて供給された材料片101では、端縁100c,100dの位置が端縁100a,100bから変動する。判定部4は、端縁100a,100b,100c,100dの位置に基づいて、端縁100c,100dのずれ量Zを計算する。すなわち、判定工程S4は、端縁100a,100b,100c,100dの位置に基づいて、端縁100c,100dのずれ量Zを計算する工程を含んでいる。これにより、長尺材料100の品質をより一層詳細に判定できるようになる。
【0053】
以上、本発明の製造装置1及び製造方法が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【符号の説明】
【0054】
1 :製造装置
2 :材料作成部
3 :測定部
4 :判定部
21 :コンベア
22 :供給部
23 :ジョイント部
31 :エンコーダー
32 :距離センサー
33 :計算部
100 :長尺材料
100a :端縁
100b :端縁
100c :端縁
100d :端縁
101 :材料片
101a :前端縁
101b :後端縁
C :中心線
D1 :第1方向
D2 :第2方向
D3 :第3方向
L :レーザー光
S1、S2:材料作成工程
S3 :測定工程
S4 :判定工程
SA :測定領域
SB :測定領域
SC :測定領域
SD :測定領域
Z :ずれ量
図1
図2
図3
図4
図5