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  • 特許-液浸槽の液面高さ調整装置 図1
  • 特許-液浸槽の液面高さ調整装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】液浸槽の液面高さ調整装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20230307BHJP
   G01F 23/56 20060101ALI20230307BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H05K7/20 M
G01F23/56
H01L23/46 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018196657
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020065002
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 孝志
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0042138(US,A1)
【文献】特開昭49-103162(JP,A)
【文献】特開平04-003451(JP,A)
【文献】特開2018-010980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
G01F 23/56
H01L 23/34-23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の設置領域が複数設けられた液浸槽内に貯留される冷媒内に設置される状態で体積を膨張及び収縮できる体積可変部材と、
前記体積可変部材内の空気量を調整する弁部と、
前記体積可変部材内に空気を導入する空気導入部と、
前記液浸槽内に貯留される冷媒の液面高さを観測する液面高さ観測部と、
前記液面高さ観測部の観測結果に基づいて前記弁部及び前記空気導入部の制御を行い、前記液面高さを調整する制御部と、
を備え、
前記体積可変部材は、前記電子機器の設置領域毎に、当該電子機器の設置領域の下部に配置され、
前記制御部は、前記液浸槽から取り出された前記電子機器が設置されていた前記電子機器の設置領域に配置された前記体積可変部材に前記空気導入部によって空気を導入し、当該体積可変部材の体積を膨張させる、
液浸槽の液面高さ調整装置。
【請求項2】
前記弁部は、前記体積可変部材内に空気を導入するときに開弁される導入弁と、前記体積可変部材内から空気が排出されるときに開弁される排出弁を含む請求項1に記載の液浸槽の液面高さ調整装置。
【請求項3】
前記体積可変部材は、伸縮可能な蛇腹状である請求項1又は2に記載の液浸槽の液面高さ調整装置。
【請求項4】
前記液浸槽が備える蓋の開閉状態を検知する開閉センサをさらに備え、前記制御部は、前記開閉センサが前記蓋の開状態を検知した状態であるときに、前記液面高さを調整する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液浸槽の液面高さ調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸槽の液面高さ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、データセンタに設置されたサーバ等の電子機器を液体の冷媒に浸漬する液浸冷却方式の開発が進められており、液浸冷却方式に用いられる液浸槽の提案もされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-10980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液浸冷却方式によって冷却される電子機器は、その台数の増減設や、保守作業等の必要に応じて液浸槽に浸漬されたり、液浸槽から取り出されたりすることがある。電子機器が液浸槽に対して出し入れされると、これに伴って、液浸槽内の冷媒の液面高さが変化する。液浸槽内の冷媒の液面高さが低くなると、浸漬されている他の電子機器が冷媒から露出し、露出した電子機器の冷却が適切に行われなくなる。これに対し、液浸槽内の冷媒の液面高さが高くなると、冷媒が液浸槽から溢れる等の不都合が生じることが考えられる。特許文献1は、これらの不都合を解決するものとはなっていない。
【0005】
1つの側面では、本明細書開示の発明は、液浸槽内の冷媒の液面高さを適切に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、液浸槽内に貯留される冷媒内に設置される状態で体積を膨張及び収縮できる体積可変部材と、前記体積可変部材内の空気量を調整する弁部と、前記体積可変部材内に空気を導入する空気導入部と、前記液浸槽内に貯留される冷媒の液面高さを観測する液面高さ観測部と、前記液面高さ観測部の観測結果に基づいて前記弁部及び前記空気導入部の制御を行い、前記液面高さを調整する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、液浸槽内の冷媒の液面高さを適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態の液浸槽の液面高さ調整装置が組み込まれた液浸冷却システムの概略を示す構成図である。
図2図2(A)は体積可変部材が膨張する様子を示す説明図であり、図2(B)は体積可変部材が収縮する様子を示す説明図である。
図3図3は実施形態の液面高さ調整装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。
【0010】
まず、図1を参照して、実施形態の液浸槽の液面高さ調整装置(以下、単に「調整装置」という)50が組み込まれた液浸冷却システム1の概略について説明する。液浸冷却システム1は、液浸槽2と、液浸槽2の上部開口を開閉する蓋3と、液浸槽2内に貯留している冷媒4を備える。また、液浸冷却システム1は、冷媒循環装置(CDU:Cooling Distribution Unit)30と、調整装置50を備える。
【0011】
液浸槽2内には、垂直方向に延びるレール部材5が設けられている。レール部材5には、冷却対象となる電子機器6が設置される。電子機器6は、レール部材5に対し、着脱自在とされている。本実施形態では、第一領域AR1、第二領域AR2及び第三領域AR3がそれぞれ機器搭載エリアとして設けられており、各領域にレール部材5が設けられており、電子機器6を設置できるようになっている。電子機器6は、台数の増減設が可能であり、また、保守作業時には、液浸槽2から取り出すことができる。なお、機器搭載エリアの数は、一例であり、これに限定されるものではい。
【0012】
本実施形態における冷媒4は、電気絶縁性及び熱伝導性を有する。例えば、3M社製のフロリナート(3M社の商標)等のフッ素系絶縁性冷媒は、冷媒4として好適に用いることができる。なお、フロリナートは、冷媒4の一例であり、他の冷媒を用いてもよい。
【0013】
冷媒循環装置30は、第1循環パイプ32aと第2循環パイプ32bを介して液浸槽2と接続された熱交換器31を備えている。冷媒4は、第1循環パイプ32aを通じて液浸槽2から熱交換器31に送られ、熱交換器31で冷却された後、第2循環パイプ32bを通じて熱交換器31から再び液浸槽2に戻される。冷媒4は、このように、冷媒循環装置30と液浸槽2との間を循環することで、電子機器6の冷却に適した温度に維持される。
【0014】
調整装置50は、液面高さ観測部7と、体積可変部材8と、導入弁9と、空気導入部としてのエアコンプレッサ11と、排出弁12と、制御部14を含む。さらに、調整装置50は、蓋3のヒンジ部3aに組み込まれた開閉センサ3a1を含む。
【0015】
液面高さ観測部7は、液浸槽2の側壁上縁部に取り付けられ、垂直方向に延びる棒状のガイド部7aと、このガイド部7aに摺動可能に装着され、冷媒4の液面4sに浮かぶことができるフロート7bを含む。液面高さ観測部7は、液面高さに応じて移動するフロート7bの位置を検知することで冷媒4の液面高さを検出することができる。
【0016】
体積可変部材8は、液浸槽2内に貯留した冷媒4内に設置された状態で体積を膨張及び収縮することができる。冷媒4内で体積可変部材8を膨張させると冷媒4の液面4sの位置を上昇させることができる。一方、冷媒4内で体積可変部材8を収縮させると冷媒4の液面4sの位置を下降させることができる。体積可変部材8は、伸縮可能な蛇腹状である。
【0017】
体積可変部材8は、液浸槽2内に設置され、その体積を膨張、収縮させて冷媒4の液面4sの位置を調整できればよいが、本実施形態では、液浸槽2をコンパクトに設計し、冷媒4の使用量を抑える観点から、以下のように配置されている。すなわち、体積可変部材8は、第一領域AR1、第二領域AR2及び第三領域AR3毎に電子機器6の設置領域の下部に配置されている。伸縮可能な蛇腹状である体積可変部材8は、液浸槽2の上下方向に伸縮するように設置されている。これにより、体積可変部材8は、各領域の範囲内で膨張及び収縮させることができる。
【0018】
第一領域AR1、第二領域AR2及び第三領域AR3では、電子機器6を取り外した状態となるとき、電子機器6が収納されるスペースが空く。そこで、この空いたスペースにおいて体積可変部材8を膨張させるようにすれば、液浸槽2内のスペースを有効に活用することができる。この結果、液浸槽2内をコンパクトに設計し、液浸槽2の高密度化を図ることができ、冷媒4の使用量も削減することができる。電子機器6を設置するとき、体積可変部材8は収縮した状態で電子機器6の下方に収納することができるので、電子機器6の邪魔になることがない。
【0019】
体積可変部材8は、防水性及び気密性のある素材によって形成されている。本実施形態の体積可変部材8はビニル製であるが、プラスチック製等としてもよい。体積可変部材8は、内部に空気が導入されることで膨張し、内部から空気が排出されることによって収縮する。このため、調整装置50は、導入パイプ10と、排出パイプ13を備えている。導入パイプ10には、エアコンプレッサ11が配置されている。排出パイプ13の端部は、開放端13aとなっており、空気を大気開放できるようになっている。
【0020】
導入パイプ10と各体積可変部材8とは空気の導入状態を制御できるように導入弁9を介して接続されている。また、排出パイプ13と各体積可変部材8とは空気の排出状態を制御できるように排出弁12を介して接続されている。導入弁9と排出弁12は、体積可変部材8内の空気量を調整する弁部として機能する。導入弁9と排出弁12は、いずれも電動弁である。
【0021】
ここで、図2(A)及び図2(B)を参照して、体積可変部材8の膨張及び収縮について説明する。図2(A)を参照し、導入弁9が開弁され、排出弁12が閉弁された状態でエアコンプレッサ11が稼働すると、体積可変部材8内に空気が導入され、体積可変部材8が膨張する。体積可変部材8が膨張すると、冷媒4の液面4sの位置が上昇する。液浸槽2から電子機器6が取り出されたときに、このような動作が行われることにより液面高さが維持され、他の電子機器6が液面4sから露出することが回避される。
【0022】
一方、図2(B)を参照し、導入弁9が閉弁され、排出弁12が開弁された状態とされると、体積可変部材8内から空気が排出され、体積可変部材8が収縮する。体積可変部材8が収縮すると、冷媒4の液面4sの位置が下降する。液浸槽2内に新たに電子機器6が浸漬されたときに、このような動作が行われることにより液面高さが維持され、冷媒4が液浸槽2から溢れることが回避される。
【0023】
調整装置50は、制御部14を備える。制御部14は、ハードウェア構成として、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有する演算回路と、プログラムメモリやデータメモリその他のRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等を有する記憶装置等からなるマイクロコンピュータを主に備える。制御部14は、開閉センサ3a1、液面高さ観測部7、導入弁9、エアコンプレッサ11及び排出弁12と電気的に接続されており、液面高さ観測部7の観測結果に基づいて、導入弁9、エアコンプレッサ11及び排出弁12の制御を行う。制御部14は、これにより、液面高さを調整する。なお、本実施形態の制御部14は、複数設置された体積可変部材8のいずれを作動させるのかを選択できるようになっている。以下、図3を参照して、調整装置50による液面高さの調整工程の一例について説明する。
【0024】
ここで、各ステップを説明する前に、液浸冷却システム1が稼働しているときの各体積可変部材8の状態について説明する。第一領域AR1、第二領域AR2及び第三領域AR3毎に設けられた体積可変部材8は、各領域における電子機器6の設置状態によって、その伸縮状態が異なっている。すなわち、電子機器6が設置された領域の体積可変部材8は収縮しており、電子機器6が取り出されている領域の体積可変部材8は膨張している。また、液浸冷却システム1が稼働しているときは、導入弁9及び排出弁12は閉弁状態であり、エアコンプレッサ11も停止している。
【0025】
制御部14は、ステップS1において、開閉センサ3a1の検知結果に基づいて、蓋3が開いた状態であるか否かを判断する。ステップS1で制御部14がNOと判断したときは、再度、ステップS1の判断が行われる。ステップS1の処理は、ステップS1でYESと判断するまで繰り返される。蓋3の開閉状態を判断するのは、電子機器6が液浸槽2に対して出し入れされ、液面高さ調整が必要となるのは、蓋3が開いた状態のときであることを考慮したものである。ステップS1の判断を行うことで、蓋3が閉じられ、液浸冷却システム1が運用中であるときに、例えば、地震等に起因する短時間の液面高さ変化が生じたとしても、調整装置50は作動しない。ステップS1でYESと判断したときは、ステップS2へ進む。
【0026】
ステップS2では、作動させる体積可変部材8を選択する。例えば、第一領域AR1の電子機器6を取り出したり、第一領域AR1に電子機器6を浸漬させたりする場合には、第一領域AR1に設けられた体積可変部材8が選択される。すなわち、電子機器6の出し入れの対象となっている領域に設けられた体積可変部材8が選択される。本実施例において、この選択は、オペレータによって行われるが、例えば、レール部材5に電子機器6の脱着を検知するセンサを設け、そのセンサの検知結果に基づいて作動させる体積可変部材8を選択するようにしてもよい。
【0027】
ステップS2に引き続いて行われるステップS3で、液面高さ制御が開始され、ステップS4において、制御部14は、液面高さ観測部7から液面高さに関する情報を取得する。そして、ステップS5において、液面高さが予め設定された上限値よりも上であるか否かを判断する。ここで、上限値は、液浸槽2に設置された電子機器6が冷媒4から露出したり、溢れたりすることがないように設定された液面4sの許容範囲の上限である。ステップS5でYESと判断したときは、ステップS6へ進む。なお、例えば、電子機器6が新たに浸漬された場合には、液面高さが上昇するため、ステップS5においてYESと判断される。
【0028】
ステップS6では、排出弁12を開弁する。これにより、体積可変部材8内から空気が抜け始め、体積可変部材8が収縮する。ステップS6に引き続いて行われるステップS7では、制御部14は、再度液面高さ観測部7から液面高さに関する情報を取得し、ステップS8において、液面高さが予め設定された上限値よりも上であるか否かを判断する。ステップS8でYESと判断したときは、ステップS7からの処理を繰り返す。ステップS7及びステップS8の処理は、ステップS8でNOと判断されるまで、すなわち、液面高さが上限値以下と判断される状態となるまで継続される。
【0029】
ステップS8でNOと判断したときは、ステップS9へ進む。ステップS9では、排出弁12を閉弁する。ステップS9の処理を行った後は、ステップS15へ進む。ステップS15では、ステップS1と同様に、開閉センサ3a1の検知結果に基づいて、蓋3が開いた状態であるか否かを判断する。制御部14は、ステップS15でYESと判断したときは、ステップS4からの処理を繰り返す。これにより、電子機器6の出し入れ作業中において液面高さを所望の位置に維持することができる。ステップS15でNOと判断したとき、すなわち、蓋3が閉じられたときは、電子機器6の出し入れが終了したものと判断され、ステップS16へ進み、制御は停止される。
【0030】
一方、制御部14は、ステップS5でNOと判断したとき、ステップS10へ進む。ステップS10では、液面高さが下限値より下であるか否かを判断する。ここで、下限値は、液浸槽2に設置された電子機器6が冷媒4から露出したり、溢れたりすることがないように設定された液面4sの許容範囲の下限である。制御部14は、ステップS10でYESと判断したときは、ステップS11へ進む。なお、例えば、電子機器6が取り出された場合には、液面高さが下降するため、ステップS10においてYESと判断される。
【0031】
ステップS11では、エアコンプレッサ11を作動させるとともに、導入弁9を開弁する。これにより、体積可変部材8内に空気が導入され始め、体積可変部材8が膨張する。ステップS11に引き続いて行われるステップS12では、制御部14は、再度液面高さ観測部7から液面高さに関する情報を取得し、ステップS13において、液面高さが予め設定された下限値よりも下であるか否かを判断する。ステップS13でYESと判断したときは、ステップS12からの処理を繰り返す。ステップS12及びステップS13の処理は、ステップS13でNOと判断されるまで、すなわち、液面高さが下限値以上と判断される状態となるまで継続される。
【0032】
ステップS13でNOと判断したときは、ステップS14へ進む。ステップS14では、エアコンプレッサ11を停止し、導入弁9を閉弁する。ステップS14の処理を行った後は、ステップS15へ進む。また、ステップS10でNOと判断したときも、ステップS15以降の処理が行われる。ステップS15以降の処理は、上述の通りであるので、ここでは、省略する。
【0033】
本実施形態の液浸冷却システム1は、調整装置50を備える。これにより、液浸槽2内に浸漬されている電子機器6の台数や増減設、保守作業等による電子機器6の出し入れによる液浸槽2内の冷媒4の液面高さの変動を抑制し、液面高さを適切な範囲に維持することができる。
【0034】
冷媒4は、一般的に、水と比較して比重が高くまた高価である。この為、設置する場所の耐荷重や導入コスト面等から、冷媒4の使用量は極力削減する必要がある。このため、液浸槽2内の冷媒4の液面高さは、すべての電子機器6が浸ることができる範囲内でできるだけ低くなるように設計されることが望ましい。本実施形態の調整装置50は、電子機器6の出し入れが行われても、液面高さを所望の範囲に維持することができる。このため、電子機器6の出し入れに起因する液面高さの変動に対応すべく、作業の都度の冷媒の補充や排出等の作業が不要である。また、液面高さの変動に対応するために液浸槽2を搭載する電子機器6の寸法より大幅に深く設計したり、冷媒4を液面位置が変動しても装置に影響が出ないほど余分に充填したりする等の対応が不要となる。
【0035】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 液浸冷却システム
2 液浸槽
3 蓋
3a ヒンジ部
3a1 開閉センサ
4 冷媒
4s 液面
5 レール部材
6 電子機器
7 液面高さ観測部
7a ガイド部
7b フロート
8 体積可変部材
9 導入弁
10 導入パイプ
11 エアコンプレッサ
12 排出弁
13 排出パイプ
13a 開放端
14 制御部
50 液面高さ調整装置
図1
図2
図3