(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20230307BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 M
(21)【出願番号】P 2018248653
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018067978
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中江 伸也
(72)【発明者】
【氏名】蒔田 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】竹下 英伸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 知嗣
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 鋭彦
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 健人
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0034353(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0183848(US,A1)
【文献】特開2017-085802(JP,A)
【文献】特開2006-140252(JP,A)
【文献】特開2004-304076(JP,A)
【文献】特開2007-201225(JP,A)
【文献】特開2008-027370(JP,A)
【文献】特開2006-178968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0299139(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品と下面が接触するとともに内部に冷媒が流通する第1冷媒流路を有するコールドプレートと、
冷却用のフィンと、前記第1冷媒流路と連通する第2冷媒流路を形成する複数のパイプと、を有するラジエータと、
前記冷媒を循環させるポンプと、
複数の前記パイプの一端と連結する第1タンクと、
複数の前記パイプの他端と前記ポンプとを連結する第2タンクと、を備え、
前記ラジエータは、前記コールドプレート上に配置され、
前記ポンプは、前記第2タンクと隣接して配置さ
れ、
前記第2タンクは、前記第2冷媒流路の延びる方向に前記パイプと連通する貫通孔を備え、
前記ポンプは、前記第2冷媒流路の延びる方向に前記第2タンクと連通する吸込口を備え、
前記パイプ、前記第2タンク、および、前記ポンプは、前記第2冷媒流路の延びる方向に少なくとも一部が重なって配置される冷却装置。
【請求項2】
前記コールドプレートは、上面視において側面が屈曲して形成される切欠部を有し、
前記ポンプの少なくとも一部は、前記切欠部に配置されて前記コールドプレートの側面と対向する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記ポンプは、前記コールドプレート上に配置される、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記ポンプは、
前記第2冷媒流路の冷媒流通方向に延びる中心軸を中心に回転する羽根車と、
前記羽根車を収納する筐体と、
前記筺体の側面から外方に突出して前記第1冷媒流路と連通する吐出口と、を有し、
前記吐出口は、前記筺体から外方に向かって延びる外向部と、前記外向部の先端から下方に向かって延びる下向部と、を有する、請求項1~請求項3のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記吐出口を有する吐出部が、前記筐体と別部材である、請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記吐出口は、前記外向部の先端から前記下向部の上端よりも外方に延びる延設部を有する、請求項4又は請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記吐出口は、前記下向部の上端から前記外向部の先端よりも上方に延びる延設部を有する、請求項4又は請求項5に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記第1タンク及び前記第2タンクは、前記コールドプレート上に配置される、請求項1~請求項7のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項9】
前記パイプは、直線状に延び、
前記第1タンク及び前記第2タンクが、前記パイプの延びる方向に対向して配置される、請求項1~請求項8のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項10】
前記第1タンク及び前記第2タンクは、
複数の前記フィンの配列方向に対して平行に配置される、請求項1~請求項9のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項11】
前記パイプは、前記第1タンク及び第2タンクに直接連結される、請求項1~請求項10のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項12】
前記パイプは、並列に複数接続される、請求項1~請求項11のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項13】
前記ポンプの下端は、前記コールドプレートの下面よりも上方に配置される、請求項1~請求項12のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項14】
前記パイプは、断面が扁平に形成され、
前記パイプの断面における長径の一端と前記コールドプレート上面との距離が、前記長径の他端と前記コールドプレート上面との距離と異なる、請求項1~請求項13のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項15】
前記パイプの長径が、前記コールドプレートの上面に対して5度以上15度以下傾斜している、請求項14に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却装置は特許文献1に開示されている。電子部品冷却装置はヒートシンク、ラジエータ及び電動ポンプを備える。ヒートシンクは、冷却されるべき電子部品が装着される電子部品装着面と、冷媒として液体が流れる冷媒流路とを備えている。ラジエータは、冷媒が流れる液体流路を有し、液体流路が空冷されて冷媒が冷却される。電動ポンプは、冷媒に移動エネルギーを与え、ヒートシンクとラジエータとの間で冷媒を循環させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示された冷却装置は、ヒートシンク、ラジエータ及び電動ポンプがパイプを介して接続されており、冷却装置全体が大型化する問題があった。
【0005】
本発明は、小型化できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な冷却装置は、コールドプレートと、ラジエータと、ポンプと、第1タンクと、第2タンクと、を備える。コールドプレートは、発熱部品と下面が接触するとともに内部に冷媒が流通する第1冷媒流路を有する。ラジエータは、冷却用のフィンと、前記第1冷媒流路と連通する第2冷媒流路を形成する複数のパイプと、を有する。ポンプは、前記冷媒を循環させる。第1タンクは、複数の前記パイプの一端と連結する。第2タンクは、複数の前記パイプの他端と前記ポンプとを連結する。前記ラジエータは、前記コールドプレート上に配置され、前記ポンプは、前記第2タンクと隣接して配置される。前記第2タンクは、前記第2冷媒流路の延びる方向に前記パイプと連通する貫通孔を備え、前記ポンプは、前記第2冷媒流路の延びる方向に前記第2タンクと連通する吸込口を備える。前記パイプ、前記第2タンク、および、前記ポンプは、前記第2冷媒流路の延びる方向に少なくとも一部が重なって配置される。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、小型化した冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷却装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る冷却装置の上面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態に係る冷却装置のコールドプレートの上壁部を示す底面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態に係る冷却装置のコールドプレートの底壁部を示す上面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態に係る冷却装置のパイプを拡大して示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態に係る冷却装置の上面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態に係る冷却装置の上面斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係る冷却装置の底面斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第3実施形態に係る冷却装置の吐出口示す縦断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施形態に係る冷却装置の吐出口の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、コールドプレート10に対して、ラジエータ20が配置されている方向を「上側」、ラジエータ20が配置されている方向の反対側を「下側」、とそれぞれ称する。また、本願では、コールドプレート10に対してラジエータ20が配置されている方向を「上下方向」と称し、「上下方向」と直交する方向を「水平方向」と称して、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、これは、あくまで説明の便宜のために上下方向および水平方向を定義したものであって、本発明に係る冷却装置1の製造時および使用時の向きを限定するものではない。
【0010】
また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0011】
<第1実施形態>
(1.冷却装置の構成)
本発明の例示的な一実施形態の冷却装置について説明する。
図1、
図2は本発明の実施形態に係る冷却装置1の斜視図及び上面図である。また、
図3は
図2中のA-A線断面斜視図であり、
図4は
図2中のB-B線断面図である。
【0012】
冷却装置1は、コールドプレート10、ラジエータ20、第1タンク41、第2タンク42及びポンプ30を有する。ラジエータ20、第1タンク41及び第2タンク42はコールドプレート10上に配置される。ラジエータ20、第1タンク41及び第2タンク42の下面は、コールドプレート10の上面と接する。また、ポンプ30は第2タンク42と隣接して配置される。これにより、コールドプレート10、ラジエータ20、ポンプ30、第1タンク41及び第2タンク42を一体化して冷却装置1全体を小型化することができる。
【0013】
例えば、コールドプレート10、ラジエータ20及びポンプ30が直接接続され、それぞれを連結するパイプ等の部材を削減することによって、冷却装置1はさらに小型化される。このため、冷却装置1を実機へ容易に取り付けることができる。なお、コールドプレート10、ラジエータ20及びポンプ30は、コールドプレート10上の領域において、短縮されたパイプなどを用いて連結されてもよい。
【0014】
コールドプレート10は、銅又はアルミニウム等の熱伝導性の高い金属から成り、底壁部12、上壁部13及び側壁部14を有する。本実施形態において、コールドプレート10は、上面視において矩形である。すなわち、底壁部12及び上壁部13は、上面視において水平方向に拡がる板状である。なお、本実施形態の底壁部12及び上壁部13は、上面視において四角形であるがこの限りではなく、例えば、上面視において複数の角を有する多角形、または円形であってもよい。底壁部12の下面には発熱部品Hが接触する。
【0015】
側壁部14は、底壁部12及び上壁部13の周縁を連結する。すなわち、コールドプレート10が、板状の底壁部12と、底壁部12の上面を覆う上壁部13と、底壁部12及び上壁部13の周縁を連結する側壁部14と、を有する。側壁部14は、底壁部12の周縁から上方に延びる第1側壁部14aと、上壁部13の周縁から下方に延びる第2側壁部14bと、を有する。第1側壁部14aの上面と第2側壁部14bの下面とは接合される。
【0016】
図3に示すように、コールドプレート10は、内部に冷媒が流通する第1冷媒流路11を有する。第1冷媒流路11は、底壁部12、上壁部13及び側壁部14で囲まれる内部空間に形成される。また、第1冷媒流路11の内部には平行に複数並んで配置されるブレード12aが設けられる。また、上壁部13には上下方向に貫通する流入口13a及び流出口13bが設けられる。流入口13aを介して第1冷媒流路11に流入した冷媒は流出口13bを介して第1冷媒流路11から流出する。
【0017】
第1冷媒流路11は、底壁部12、上壁部13及び側壁部14で囲まれる内部空間に形成される。本実施形態において冷媒は液体であり、例えばエチレングリコール水溶液またはプロピレングリコール水溶液のような不凍液や純水等が使用される。
【0018】
ラジエータ20は冷却用の複数のフィン21及び複数のパイプ23を有する。フィン21は平板状に形成され、上壁部13の上面から起立してコールドプレート10の水平方向に延びる。本実施形態において、コールドプレート10は、長手方向Xと短手方向Yとを有し、複数のフィン21は、短手方向Yに延びる。また、フィン21は、コールドプレート10の長手方向Xに等間隔で平行に複数配列される。
【0019】
フィン21の下端は上壁部13の上面と接する。これにより、上壁部13からフィン21への熱伝導性が向上する。なお、フィン21と上壁部13とは別部材であっても同一部材であってもよい。本実施形態において、フィン21は上壁部13とは別部材である。フィン21の下端は、例えば、上壁部13の上面に溶接によって接合される。
【0020】
フィン21が上壁部13と同一部材である場合、例えば、フィン21は上壁部13の上面を切削加工して形成される。なお、フィン21と上壁部13とが別部材の場合、上述のコールドプレート10と同様に、フィン21は銅又はアルミニウム等の熱伝導性の高い金属であることが好ましい。フィン21が、コールドプレート10と同様な熱伝導性の高い金属で形成されることで、コールドプレート10からの熱を効率よくフィン21へ伝達することができる。
【0021】
パイプ23は、内部が中空であって冷媒が通る第2冷媒流路22を形成する。第2冷媒流路22は、第1冷媒流路11と連通する。より具体的には、第2冷媒流路22は、ポンプ30、第1タンク41および第2タンク42を介して第1冷媒流路11と連通する。
【0022】
パイプ23は、コールドプレート10の長手方向Xに直線状に延びる。パイプ23は、複数のフィン21に設けられた貫通孔24に挿通されて溶接により複数のフィン21と固定される。このとき、パイプ23の延びる方向とフィン21の延びる方向が直交する。つまり、本実施形態において、複数のフィン21は短手方向Yに延び、パイプ23は長手方向Xに延びる。なお、フィン21とパイプ23とが延びる方向はこの限りではなく、例えば、パイプ23が、フィン21の延びる方向に対して傾斜して配置されてもよい。
【0023】
パイプ23の一端は第1タンク41と連結され、パイプ23の他端は第2タンク42と連結される。第1タンク41及び第2タンク42はパイプ23の延びる方向に対向して配置される。これにより、冷媒はパイプ23を介して第1タンク41から第2タンク42へ直線状に円滑に流通する。
【0024】
第1タンク41及び第2タンク42は、フィン21の配列方向に対して平行に配置されており、第1タンク41と第2タンク42との間に複数のフィン21を所定の間隔でより多く配置することができる。これにより、フィン21全体の表面積を大きくしてラジエータ20の冷却性能を向上することができる。また、パイプ23と第1タンク41及び第2タンク42とを容易に接続することができる。
【0025】
パイプ23は、第1タンク41及び第2タンク42の側面を貫通して第1タンク41及び第2タンク42に直接連結される(
図3参照)。これにより、冷却装置1の部品点数を削減するとともにパイプ23を長手方向Xに長く形成して冷媒をより効率良く冷却することができる。
【0026】
パイプ23は、水平方向に3列並んで配置されるとともに上下方向に3列並んで配置される。これにより、合計9本のパイプ23が第1タンク41及び第2タンク42を介して並列に接続される(
図4参照)。これにより、冷却装置1が大型化することを抑制しつつ、各パイプ23から複数のフィン21へ熱が伝達されて冷媒を効率良く冷却することができる。なお、パイプ23の数は9本には限定されず、8本以下または10本以上でもよい。また、複数のパイプ23は等間隔に配置される必要はなく、それぞれのパイプ23の上下方向に位置が異なるように配置されてもよい。
【0027】
第1タンク41及び第2タンク42は直方体状であり、第1タンク41の下面には貫通孔41aが形成される。貫通孔41aは、上壁部13の流出口13bと上下方向に一致して連通する(
図2参照)。また、第2タンク42は、パイプ23が連結される面と対向する面に貫通孔42aが形成される(
図2参照)。貫通孔42aは後述するポンプ30の吸込口31aと連通する(
図3参照)。
【0028】
例えば、本実施形態におけるポンプ30は遠心型ポンプであり、直方体状の筐体31の内部に冷媒の流路31gを有する。流路31gには羽根車(不図示)が配置される。筐体31は隣接する一方の側面に吸込口31aが形成され、他方の側面に吐出口31bが設けられる。吐出口31bは筐体31の側面から外方に突出し、筐体31から離れるに従って下方に延びる。吐出口31bは上壁部13の流入口13aと連通する(
図2参照)。
【0029】
ポンプ30の羽根車は水平方向(第2冷媒流路の冷媒流通方向)に延びる中心軸を中心に回転可能に支持され、モータ(不図示)の回転軸と連結される。モータの駆動により羽根車が回転し、吸込口31aから流入した冷媒が吐出口31bから吐出される。
【0030】
ポンプ30は吸込口31aを介してパイプ23の延びる方向に冷媒を吸込む。これにより、パイプ23から第2タンク42に流入した冷媒が円滑に吸込口31aに流入する。従って、冷媒の流通を円滑にしてポンプ30の消費電力を低減することができる。
【0031】
ポンプ30は、第2タンク42に隣接して配置される。これにより、コールドプレート10、ラジエータ20、ポンプ30、第1タンク41および第2タンク42を一体化して冷却装置1全体を小型化することができる。さらに、コールドプレート10、ラジエータ20及びポンプ30が直接接続され、それぞれを連結するパイプ等の部材を削減することができる。そのため、冷却装置1を、発熱部品を有する実機へ容易に取り付けることができる。
【0032】
コールドプレート10には短辺側の側面が屈曲して切欠部10dが形成される。ポンプ30の少なくとも一部は切欠部10dに配置されてコールドプレート10の側面と対向する。これにより、冷却装置1全体をより小型化することができる。また、冷却装置1全体の大型化を抑えながら、限られた冷却装置1のスペースにおいてポンプ30を大型化及び高出力化することができる。
【0033】
ポンプ30の下端は、コールドプレート10の下面よりも上方に配置される。これにより、コールドプレート10の下面に発熱部品Hを接触させたときにポンプ30の下端が発熱部品Hの設置面に接触し、コールドプレート10と発熱部品Hとの間に隙間が介在することを防止できる。
【0034】
図5は上壁部13の底面図であり、
図6は底壁部12の上面図である。なお、
図6において上壁部13に設けられる流入口13a及び流出口13bを破線で示す。上壁部13及び底壁部12は短辺側の一方の側面が屈曲して上壁切欠部13d、底壁切欠部12dが夫々形成される。
【0035】
上壁切欠部13d及び底壁切欠部12dにより、コールドプレート10の切欠部10dが形成される。すなわち、ポンプ30の少なくとも一部は上壁切欠部13d及び底壁切欠部12dに配置され、コールドプレート10の側面と対向する。
【0036】
また、第1冷媒流路11の短辺側の側面も屈曲して形成される。流入口13a及び流出口13bは第1冷媒流路11の対角に配置される。これにより、第1冷媒流路11全体に冷媒を流通させることができる。
【0037】
図6に示すように、ブレード12aは底壁部12の上面に設けられる。本実施形態において、第1冷媒流路11の内部にはブレード12a が設けられる。ブレード12aはコールドプレート10の長手方向Xに延びて短手方向Yに等間隔で平行に複数並んで配置される。ブレード12aの上端と上壁部13の下面との間には上下方向の隙間が形成される(
図4参照)。また、底壁部12には、流入口13a及び流出口13bの直下にブレード12aの非形成領域が設けられる(
図6参照)。
【0038】
流入口13aを介して第1冷媒流路11に流入した冷媒は、底壁部12上を短手方向Yに広がり、複数のブレード12aの間を流通する。複数のブレード12aの間を流通する冷媒は、第1冷媒流路11全体に広がり、流出口13bから流出する。これにより、コールドプレート10の下面全体が冷媒により冷却される。
【0039】
底壁部12の下面には発熱部品Hが接触する(
図3参照)。このとき、発熱部品Hは、第1冷媒流路11と上下方向に対向する底壁部12の下面に配置されることが好ましい。発熱部品Hと第1冷媒流路11とが上下方向に対向して配置されることで、発熱部品Hから発せられる熱を効率よく第1冷媒流路11を流通する冷媒へ伝達することができる。
【0040】
また、発熱部品Hは、ブレード12aが配置される領域の下方に位置することがより好ましい。つまり、発熱部品Hは、ブレード12aが延びる長手方向Xのブレード12aの幅の内側、かつブレード12aが配列される短手方向Yのブレード12aの配列幅の内側に位置する。当該領域と重なる位置に発熱部品Hを配置することで、発熱部品Hをより効率よく冷却することができる。
【0041】
さらに、発熱部品Hは、流入口13aと流出口13bとを結ぶ線と重なる位置に配置されることがより好ましい。冷却装置1を循環する冷媒は、流入口13aと流出口13bとを結ぶ線の周辺においてラジエータ20によって冷却される。このため、当該線上に発熱部品Hを配置することで、発熱部品Hをより効率よく冷却することができる。
【0042】
図7はパイプ23を拡大して示す縦断面図である。パイプ23は断面が扁平に形成され、パイプ23の断面における長径L1の一端と上壁部13の上面との距離W1が、長径L1の他端と上壁部13の上面との距離W2と異なる。これにより、パイプ23の長径L1と上壁部13の上面との距離が短い側から長い側に向かって矢印D方向に冷却風を送風することにより、冷却風が直接接触するパイプ23の表面積が大きくなる。また、冷却風がパイプ23上を円滑に流通する。従って、ラジエータ20の冷却性能がより向上する。
【0043】
パイプ23の長径L1は、コールドプレート10の上面に対して5度以上15度以下傾斜していることが好ましい。パイプ23の長径L1の傾斜角度が5度未満の場合、冷却風が直接接触するパイプ23の表面積が小さく、ラジエータ20の冷却性能が向上し難い。また、パイプ23の長径L1の傾斜角度が15度より大きい場合、パイプ23が冷却風の流通を妨げ、ラジエータ20の冷却性能が低下する。さらに、パイプ23の長径L1は、コールドプレート10の上面に対して10度傾斜している場合、ラジエータ20の冷却性能が最も向上する。
【0044】
(2.冷却装置の動作)
コールドプレート10の底壁部12の下面にCPU等の冷却されるべき発熱部品を接触させてポンプ30を駆動する。これにより、第1冷媒流路11、第1タンク41、第2冷媒流路22及び第2タンク42の順で冷媒が循環する。発熱部品の発熱はコールドプレート10の底壁部12に伝達される。底壁部12に伝達された熱は上壁部13を介してフィン21に伝達されるとともに、第1冷媒流路11及び第2冷媒流路22を流通する冷媒を介してフィン21に伝達される。これにより、フィン21を介して放熱が行われ、発熱部品の温度上昇を抑制することができる。
【0045】
ラジエータ20の側方に冷却ファン(不図示)を配置してフィン21の延びる方向(短手方向Y)に冷却風を送風することにより、フィン21からの放熱を促し、ラジエータ20の冷却性能がより向上する。
【0046】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は第2実施形態の冷却装置1の上面図である。説明の便宜上、前述の
図1~
図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第2実施形態ではポンプ30がコールドプレート10上に配置される。
【0047】
コールドプレート10は上面視において矩形であり、第1冷媒流路11は直方体状に形成される。これにより、限られた冷却装置1のスペースにおいて冷却装置1全体の大型化を抑えながら、第1冷媒流路11の容積を増やすことができる。これにより、冷媒への熱移動を促し、冷却装置1の冷却性能をより向上することができる。
【0048】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9、
図10は第3実施形態に係る冷却装置1の上面斜視図及び底面斜視図である。
図11は冷却装置1の吐出口31bを拡大して示す縦断面図である。説明の便宜上、前述の
図1~
図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第3実施形態では吐出口31bの形状が異なる。
【0049】
コールドプレート10は、上面視において短辺側の側面の両端部が夫々屈曲して切欠部10d、10eが形成される。ポンプ30の少なくとも一部は、切欠部10dに配置されてコールドプレート10の側面と対向する。また、切欠部10d、10eの間に、流入口13aが、配置される。
【0050】
冷却装置1は、吐出部32をさらに有する。吐出部32は、コールドプレート10上にネジ止めして固定される金属製の部材である。吐出部32は、吐出口31bを有する。吐出口31bは、吐出部32を切削加工して形成される。すなわち、吐出口31bを有する吐出部32は、筐体31とは別部材である。筐体31内の流路と連通して筐体31の側面から突出するパイプ(不図示)が吐出口31bに挿入される。これにより、筐体31と吐出部32とが連結され、筐体31内の流路と流入口13aとが吐出口31bを介して連通する。
【0051】
吐出口31bは、外向部31cと下向部31dとを有する。外向部31cは、筐体31の側面から外方に向かって延び、筐体31から離れるに従って下方に傾斜する。下向部31dは、外向部31cの先端から下方に向かって延びる。これにより、吐出口31bを短手方向Yに短くして、冷却装置1全体を小型化することができる。
【0052】
また、吐出部32を筐体31と別部材とすることにより、流入口13aの位置を水平方向に変えた場合でも、吐出部32を介してポンプ30とコールドプレート10とを容易に接続できる。また、吐出口31の延びる方向を設計するのみで、ポンプ30から冷媒が吐出される向きを設計変更する必要が無い。このため、冷却装置1の製造コストを削減できる。なお、本実施形態では、外向部31cは、筐体31から離れるに従って下方に延びるが、外向部31cは、水平方向に延びてもよい。
【0053】
吐出口31bは、外向部31cの先端から下向部31dの上端よりも外方に延びる延設部31eを有する。延設部31eを設けることにより、吐出部32を切削加工する際に外向部31cと下向部31dとを容易に連通させることができる。具体的には、吐出部32の側面をドリル等で切削加工して外向部31cを成形した後に、吐出部32の下面から上方に切削加工して下向部31dを成形する。このとき、外向部31cを成形する際に、延設部31eを設けることにより、下向部31dが水平方向に僅かにずれて形成された場合でも寸法調整をすることなく、確実に外向部31cと下向部31dとが連通する。
【0054】
なお、
図12は吐出口31bの変形例を示す縦断面図であり、下向部31dの上端から外向部31cの先端よりも上方に延びる延設部31fを吐出口31bに設けてもよい。この場合、吐出部32の下面から上方に切削加工して下向部31dを成形した後に、吐出部32の側面をドリル等で切削加工して外向部31cを成形する。このとき、下向部31dを成形する際に、延設部31fを設けることにより、外向部31cが上下方向に僅かにずれて形成された場合でも寸法調整をすることなく、確実に外向部31cと下向部31dとが連通する。なお、延設部31e、31fを両方設けてもよい。
【0055】
次に本発明の効果について、実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。表1はパイプ23の長径L1のコールドプレート10の上面に対する傾斜角と冷却装置1の冷却性能について評価を行った結果を示している。
【実施例1】
【0056】
実施例1に係るパイプ23は長径L1がコールドプレート10の上面に対して10度傾斜する。
【0057】
[比較例1]
比較例1に係るパイプ23は長径L1がコールドプレート10の上面に対して傾斜していない(表1において傾斜角度を0度とする)。
【0058】
[比較例2]
比較例2に係るパイプ23は長径L1がコールドプレート10の上面に対して実施例1とは反対側に10度傾斜する(表1において傾斜角度を-10度とする)。
【0059】
[熱抵抗率の測定]
実施例1及び比較例1、2に係る第1実施形態に係る冷却装置1を用意し、熱抵抗率R(K/W)を測定した結果を表1に示す。冷却風をパイプ23の延びる方向と直交する方向(短手方向Y)に送風した。
【0060】
実施例1はパイプ23の長径L1と上壁部13の上面との距離が短い側から長い側に向かって冷却風を送風した。また、比較例2はパイプ23の長径L1と上壁部13の上面との距離が長い側から短い側に向かって冷却風を送風した。
【0061】
また、熱抵抗率Rは熱源をコールドプレート10の下面に接触させて測定した。熱抵抗率Rは単位時間当たりの発熱量ΔQに対するコールドプレート10の下面の温度上昇量ΔTからR=ΔT/ΔQにより算出した。
【0062】
【0063】
[冷却性の評価]
表1に示すように、パイプ23の長径L1をコールドプレート10の上面に対して10度傾斜したとき、熱抵抗率Rが最も低く、冷却装置1の冷却性能が高くなることが確認された。
【0064】
(3.その他)
上記実施形態は、本発明の例示にすぎない。実施形態の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0065】
上記実施形態では遠心型のポンプ30を用いたが、ダイヤフラム型、カスケード型等のポンプを用いてもよい。また、筐体31に吐出口31bを形成し、吐出口31bと流入口13aを連通させてもよい。また、コールドプレート10は上面視において矩形に形成したが、円形や平行四辺形等の四角形でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のモータは、例えば、マイクロコンピュータ等の電子部品を冷却する冷却装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・冷却装置、10・・・コールドプレート、10d・・・切欠部、11・・・第1冷媒流路、12・・・底壁部、12a・・・ブレード、12d・・・底壁切欠部、12c・・・第2領域、13・・・上壁部、13a・・・流入口、13b・・・流出口、13d・・・上壁切欠部、14・・・側壁部、14a・・・第1側壁部、14b・・・第2側壁部、20・・・ラジエータ、21・・・フィン、22・・・第2冷媒流路、23・・・パイプ、24・・・貫通孔、30・・・ポンプ、31・・・筐体、31a・・・吸込口、31b・・・吐出口、31c・・・外向部、31d・・・下向部、31e・・・延設部、31f・・・延設部、31g・・・流路、32・・・吐出部、41・・・第1タンク、41a、42a・・・貫通孔、42・・・第2タンク、D・・・矢印、L1・・・長径、W1、W2・・・距離、X・・・長手方向、Y・・・短手方向