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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】解体システム
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/35 20220101AFI20230307BHJP
   B62D 67/00 20060101ALI20230307BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230307BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20230307BHJP
   B09B 101/05 20220101ALN20230307BHJP
【FI】
B09B3/35
B62D67/00
H04N23/60 300
H04N23/695
B09B101:05
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019062576
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020157270
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高村 玲央奈
(72)【発明者】
【氏名】田中 精一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 共史
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-345825(JP,A)
【文献】特表2016-536580(JP,A)
【文献】特開2009-035905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B
B62D 67/00
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被解体物を解体する解体システムであって、
前記被解体物に対して移動可能でありかつ前記被解体物の作業部位を撮像する撮像手段と、
前記作業部位ごとに、基準点及び当該基準点を原点とするローカル座標系を設定するローカル座標設定手段と、
前記撮像手段を前記ローカル座標系に基づいて移動させる撮影手段と、を有する
ことを特徴とする解体システム。
【請求項2】
請求項1に記載の解体システムであって、
前記ローカル座標設定手段は、前記撮像手段によって撮像された作業部位ごとの映像に基づいて前記基準点を設定し、
前記撮影手段は、前記作業部位の映像を前記基準点と関連付けて画像データとして記憶する画像データベースを有する
ことを特徴とする解体システム。
【請求項3】
前記請求項2に記載の解体システムであって、
前記ローカル座標設定手段は、前記基準点を原点とする極座標系を設定し、
前記撮影手段は前記極座標系に基づいて前記撮像手段を移動させる
ことを特徴とする解体システム。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれか1つに記載の解体システムであって、
前記撮像手段の移動に対する操作入力を受け付ける撮像操作受付手段を含み、
前記撮像操作受付手段が前記撮像手段の移動に対する操作入力を受付けた場合、前記撮影手段は、当該操作入力を前記ローカル座標系に基づいて変換した結果に基づいて前記撮像手段を移動する
ことを特徴とする解体システム。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれか1つに記載の解体システムであって、
前記被解体物に対して移動可能でありかつ前記被解体物に対する作業を行うための解体手段を更に有する
ことを特徴とする解体システム。
【請求項6】
前記請求項5に記載の解体システムであって、
前記解体手段の動作に対する操作入力を受け付ける解体操作受付手段を備え、
前記解体操作受付手段が前記解体手段の移動の指示を受付けた場合、前記解体手段が前記ローカル座標系に基づいて制御される
ことを特徴とする解体システム。
【請求項7】
前記請求項1乃至6のいずれか1つに記載の解体システムであって、
前記被解体物に応じた特定の部品の存在態様を特定する部品特定手段を有する
ことを特徴とする解体システム。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれか1つに記載の解体システムであって、前記撮像手段は、前記基準点を中心とする球面上を移動することを特徴とする解体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータが被解体物を解体する解体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、複数の画像データより構成される多視点画像データを用いて画像データを立体表示する為に、立体表示に用いる多視点画像データを設定し、左右の視点を設定し、左右の視点から見た画像データを多視点画像データからそれぞれ作成して出力し、左右の画像データを用いて立体表示を行なう立体表示方法が提案されている。
【0003】
特許文献2は、仮想空間に配置されるオブジェクトの見方をユーザが簡単な操作で変えることができるように、記憶部、検知部、変化部、画像生成部および表示部を備える画像処理装置が提案されている。記憶部には仮想空間に配置されるオブジェクトの位置と姿勢と仮想視点の位置と仮想視点の位置から仮想空間を見る仮想視線の向きとが記憶され、検知部は、現実空間におけるユーザの第1の部位の位置と姿勢とユーザの第2の部位の位置と姿勢を検知する。変化部は、検知された第1の部位の位置と姿勢に基づいてオブジェクトの位置と姿勢を変化させ、検知された第2の部位の第1の部位に対する相対的な位置と姿勢に基づいて仮想視点の位置と仮想視線の向きを変化させる。画像生成部は、仮想視点の位置から仮想視線の向きにオブジェクトを見た様子を表す画像を生成する。表示部は、生成された画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-039514号公報
【文献】特開2011-191899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のシステムにおいては、地球座標系における極座標位置にカメラを用いて物体を撮影して得られた画像データを用いて立体表示を行なっているが、物体の一部の部位ごとに極座標系を設定していない故に、オペレータには対象部位が分からず、オペレータの思い通りの操作が難しくなる場合があるという問題が一例として挙げられる。
【0006】
特許文献2に開示のシステムにおいては、グローバル座標系としてデカルト座標系の他に極座標系を用いて空間を定義してCPUがオブジェクトの位置を随時更新している。しかし、文献2のオブジェクトの位置を示す座標系は仮想空間における座標系である故に、すなわち現実のオブジェクトの対象部位の座標系を用いていない故に、オペレータには現実のオブジェクトの対象部位が分からない場合があるという問題が一例として挙げられる。
【0007】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、非熟練のオペレータでも簡単な操作で、解体作業にとって良好な作業位置の画像を得ることができる解体システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解体システムは、被解体物を解体する解体システムであって、
前記被解体物に対して移動可能でありかつ前記被解体物の作業部位を撮像する撮像手段と、
前記作業部位ごとに、基準点及び当該基準点を原点とするローカル座標系を設定するローカル座標設定手段と、
前記撮像手段を前記ローカル座標系に基づいて移動させる撮影手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の解体システムによれば、前記作業部位ごとに前記作業部位を見るための基準点を原点とするローカル座標系を設定するローカル座標設定手段と、前記撮像手段を前記ローカル座標系に基づいて移動させる撮影手段と、を有する故に、例えば、被解体物が自動車である場合におけるエンジンルーム、インストルメントパネル、シャシーなど見回したい対象部位が複数存在する場合でも、それぞれに対し、当該対象部位の見回し及び取扱に適したローカル座標系を持たせることができる。それにより、オペレータが前記作業部位に対して適切に撮像手段を移動させることが容易であり、オペレータが良好な作業視点を得ることを容易とすることが可能である。また、対象部位毎に当該ローカル座標系間が設定されていることにより、ある特定の作業部位の解体作業が終わり、別の部位の解体作業にとりかかるとき、当該別の部位の見回し及び取扱に適した座標系に撮像手段の移動座標系を切り替えることで、新たな対象部位に対して適切に撮像手段を移動させることができ、非熟練者のオペレータでも簡単な操作で、解体作業にとって良好な作業位置の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による実施例の解体システム(解体手段を除く)を説明する概略斜視図である。
図2】実施例の解体システムにおける廃棄自動車を説明する概略斜視図である。
図3】本発実施例の解体システム(解体手段を除く)を示すブロック図である。
図4】実施例に係る解体システムの画像データベースに記憶される画像データの構成例を説明する説明図である。
図5】実施例に係る解体システムの画像データベースに記憶される画像データの画像例について示す説明図である。
図6】実施例の解体システムのローカル座標設定部における直交座標のグローバル座標系を説明する線図である。
図7】実施例の解体システムのローカル座標設定部におけるローカル座標系の三次元極座標系を説明する線図である。
図8】実施例の解体システムにおけるターンテーブル上の廃棄自動車の周り全周囲に亘ってこれを撮影できる複数のビデオカメラを含む撮影装置の構成を示す概略斜視図である。
図9】本発明による実施例の解体システムを説明する概略線図である。
図10】本発明による実施例の解体システムを示すブロック図である。
図11】実施例の解体システムにおけるターンテーブル操作部と解体操作部とモニターを備えた制御卓を示す概略斜視図である。
図12】実施例の解体システムおける廃棄自動車の作業部位と解体機の先端アタッチメントとを映すモニターの画像を示す概略線図である。
図13】実施例の解体システムおけるビデオカメラの作業部位見回し処理の制御を含むフロー図である。
図14】実施例の解体システムおける先端アタッチメントとビデオカメラの作業部位における作業処理の制御を含むフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例の解体システムを、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施例の解体手段(図示せず)を除く解体システムの概略図を示し、ターンテーブル11上に載置されている被解体物である廃棄自動車SCVと、ターンテーブル11の周りに配置され廃棄自動車SCVを撮影するビデオカメラ13を含む撮影装置PHと、ターンテーブル11および撮影装置PHを制御するコンピュータ14と、を示す。なお、以下の説明における前後、左右および上下の方向の記載はそれぞれ、図面における双方向矢印に示すように、廃棄自動車SCVの先頭から見て、左右方向、前面背面方向、上下方向とする。
【0013】
撮影装置PHは、撮像手段であるビデオカメラ13と、これをアーム先端に固定したマニピュレータMPLとを含む。マニピュレータMPLは、例えば多関節および多軸制御のマニピュレータであって、ビデオカメラ13と共にコンピュータ14により制御されている。
【0014】
コンピュータ14は、この撮影装置PHのビデオカメラ13を介して、ターンテーブル11に載せられた廃棄自動車SCVの各作業部位を撮影する。コンピュータ14は、オペレータが、ターンテーブル11を、廃棄自動車SCVを水平面の経度方向(矢印A)に回転させ、または停止させて、更に、マニピュレータMPLを駆動して、先端に取り付けたビデオカメラ13を廃棄自動車SCVに対して移動、例えばその緯度方向(矢印B)に移動させるとともに、ビデオカメラ13の光軸が廃棄自動車SCVの解体作業をしたい作業部位に向くように制御できるように、構成されている。
【0015】
図2に示すように、本実施例の解体システムにおける廃棄自動車SCVの作業部位としては、例えば、右フロントインサイドパネルFSP、フロントクロスメンバーFCM、フレームサイドメンバーFSM、ラジエタコアサポートRCS、ダッシュパネルDP、ルームフロアパネルRFP、ピラーPLL、ルーフパネルLP、トランクフロアパネルTFP等であるが、作業部位は、これらに限定されず、解体すべき車種により様々なものがある。
【0016】
これら廃棄自動車SCVの作業部位は複数種類存在し、さらに、対象作業部位の位置が廃棄自動車SCVの車種によって異なるため、車種に応じたローカル座標の座標軸の設定が必要である。
【0017】
図3は、解体手段(図示せず)を除く本実施例の解体システムを説明するブロックである。解体システムでは、コンピュータ14に接続されたディスプレイであるモニターMOTを出力デバイスとして用い、同接続されたキーボードやマウス等の入力デバイスからなるターンテーブル操作部TBCや撮影装置操作部CACを操作入力デバイスとして用いている。
【0018】
[コンピュータ14]
コンピュータ14は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等のメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置および各種の受信部、送信部のI/O(Input/Output)デバイス等により構成されている。また、コンピュータ14は、記憶装置に格納された所定のプログラムを読み込んでRAMに展開してCPUが実行することにより、カメラ制御部CACL(後述する)並びにターンテーブル制御部TBCL(後述する)として機能する。なお、カメラ制御部CACLと撮影装置PHとが撮影手段に含まれる。
【0019】
コンピュータ14のカメラ制御部CACLは、ビデオカメラ13を移動させて廃棄自動車SCVの作業部位ごとに、これを見るための基準点を原点とするローカル座標系(後述する)を設定するローカル座標設定手段であるローカル座標設定部(後述する)を含む。コンピュータ14は、撮影装置PHのビデオカメラ13を当該ローカル座標系に基づいて移動、例えばローカル座標が極座標の場合その基準点を中心とする球面(仮想)上を移動させることができる。
【0020】
[モニターMOT]
モニターMOTは、その受信部MOTRでコンピュータ14から受信した撮像信号等に基づいて、廃棄自動車の作業部位および解体機の先端アタッチメント等の映像を映すと共に誘導画像を表示する映像表示部DSPを備える。
【0021】
[ターンテーブル操作部TBC]
ターンテーブル操作部TBC(コンピュータ14に接続されたキーボードやマウス等)は、オペレータの手指にて操作できるに割振られた機能としてターンテーブル操作部TBMと入力信号変換部TBSおよび送信部TBTとを備えている。入力信号変換部TBSは、ターンテーブル操作部TBMからの入力信号を、それぞれ送信信号に変換し、ターンテーブル操作部TBCの送信部TBT介してコンピュータ14の受信部CTBRへ送信する。
【0022】
[ターンテーブル制御部TBCL]
コンピュータ14のターンテーブル制御部TBCLは、ターンテーブル操作部TBCからの信号に基づいてターンテーブル11の回転を制御する制御信号を生成して、該ターンテーブル制御信号を、送信部TBCLTを介してターンテーブル11へ送信する。
【0023】
[ターンテーブル11]
ターンテーブル11は、その受信部TBRを介してコンピュータ14の送信部TBCLTから受信した信号に基づいて、自身の基台(図示せず)上のターンテーブル11(図1)の回転等の制御を行う駆動部TBDを備える。
【0024】
[撮影装置操作部CAC]
撮影装置操作部CAC(コンピュータ14に接続されたキーボードやマウス等)は、オペレータの手指にて操作できるに割振られた機能としてカメラ操作部CAM(パン・チルト・ズーム・ロール操作部CAM1、カメラ移動操作部CAM2)と入力信号変換部CASおよび送信部CATとを備えている。入力信号変換部CASは、パン・チルト・ズーム・ロール操作部CAM1およびカメラ移動操作部CAM2からの入力信号を、それぞれ送信信号に変換し、撮影装置操作部CACの送信部CAT介してコンピュータ14の受信部CCARへ送信する。
【0025】
[カメラ制御部CACL]
コンピュータ14のカメラ制御部CACLは、ローカル座標設定部LCS、撮影制御部FLMおよび画像データベースPDBを含み、撮影装置操作部CACからの信号に基づいて撮影装置PHの動作や移動等を制御するカメラ制御信号を生成して、該カメラ制御信号を、送信部CACLTを介して撮影装置PHへ送信し、これを制御する。
【0026】
[撮影装置PH]
撮影装置PHは、撮像を行うビデオカメラ13である撮像部PHIと、ビデオカメラ13とマニピュレータMPLを駆動する駆動部PHDと、カメラ制御部CACLからのカメラ制御信号を受信する受信部PHRと、撮像部PHIからの入力信号を変換する入力信号変換部PHSと、入力信号変換部PHSからの撮像信号をコンピュータ14の受信部CPHRへ送信する送信部PHTとを有する。駆動部PHDは、該カメラ制御信号に基づいてビデオカメラ13全体の移動と、カメラ本体のパン、チルトおよびズームを行う。
【0027】
[画像データベースPDB]
コンピュータ14のカメラ制御部CACLの画像データベースPDBは、前記作業部位の映像を前記基準点と関連付けて画像データとして格納している。画像データベースPDBは、廃棄自動車SCVの解体対象の作業部位が複数種類存在し、また、対象作業部位の位置が車種によって異なるため、車種に応じたローカル座標の座標軸の設定が必要である為に、車種情報に関連付けて作業部位の映像を予め用意しておく。車種情報は、廃棄自動車を確定するため情報であり、車体番号、車両(車輌)名(自動車メーカーの名前)、年式、車種(自動車の名称)、形状、および排気量等が挙げられる。
【0028】
図4は本実施例に係る解体システムの画像データベースPDBに記憶される画像データの構成例について示した説明図である。
【0029】
本実施例において、画像データベースPDBは、車種情報に関連付けた複数の車種ファイルA,B,C…を含み、車種ファイルごとに、複数の作業部位の画像データを含む。各車種ファイルには、作業部位識別情報として、作業部位基準点(Xa,Ya,Za)、(Xb,Yb,Zb)…、作業部位名および残留物の項目が画像データに関連付けられている。すなわち、車種ごとの複数の作業部位の画像データ(基準点群)が予め画像データベースPDBに用意される。そして、各作業部位基準点は、その作業部位名と、その作業部位にある残留物と、JPEG形式のそれぞれの画像データ1.JPEG(r,θ1,Φ1)、2.JPEG(r,θ1,Φ2)、3.JPEG(r,θ1,Φ3);…(複数の方向極座標データを含む)の格納されている。かかる画像データファイルのデータ形式はJPEG形式があるが、これは例示であってJPEG形式には限定されない。
【0030】
「作業部位名」の項目は、予め調査した車種情報を元に分類された名称を表している。「残留物」の項目は、当該作業部位に含まれる除去すべき特定の部品を表している。残留物は、各作業部位に配置された部品、例えば、ハーネス(配線)、モーター、スイッチ、コネクター(カプラー)等である。なお、1つの作業部位に複数の残留物が含まれる場合は、予めこの残留物の存在位置を求めておき画像データベースPDBに格納して、各作業中、作業部位毎に残ると予想される残留物の陰影画像をモニターに表示することも可能である。よって、画像データベースPDBは、廃棄自動車の車種に応じた特定の部品の存在態様、例えばハーネス等の残留物の位置、長さ、大きさ又は向き等を特定する部品特定手段として機能する。
【0031】
「画像データ」の項目には、方向毎ナンバリングされた画像データにファイル名が付されて保持される。各画像データの項目において、複数の画像データには、例えば、極座標のローカル座標による撮影装置PHの異なるカメラ位置から基準点に向け撮影された方向に応じて管理番号と極座標が付与される。
【0032】
図5は本実施例に係る解体システムの画像データベースPDBに記憶される画像データの画像例について示す説明図である。図5(a)はエンジンルーム内の右フロントインサイドパネルを左前から見た図を、図5(b)はエンジンルーム内のダッシュパネルを前正面から見た図を、図5(c)はエンジンルーム内の左フロントインサイドパネルを右前から見た図を、示す。これら画像データの画像例においてエンジン、インテークマニホールド、エアーフィルター、バッテリ等が写っているが、これら部品が除去された画像データでもよい。
【0033】
画像データベースPDBに記憶される画像データは、図1に示すシステムを用いて、作業したい作業部位(例えば図5では、エンジンルーム周辺)の多視点画像(見回し画像)を生成可能である。この多視点画像生成には、図1に示すビデオカメラ13の位置はローカル座標例えば極座標を用いて制御される。例えば、極座標のローカル座標の基準点RPは、それぞれ、図5(a)においては右フロントインサイドパネルのサスペンションタワーの中程に設定し、図5(b)においてはダッシュパネルの中央に設定し、図5(c)においては左フロントインサイドパネルのサスペンションタワーの中程に設定することができる。
【0034】
[ローカル座標設定部LCS]
カメラ制御部CACLのローカル座標設定部LCSは、作業部位(例えば図2に示す廃棄自動車SCVの作業部位)の映像ごとに、各作業部位を見るための基準点を原点とするローカル座標系(極座標、直交座標等)とその原点を予め設定する。
【0035】
例えば、ローカル座標設定部LCSにおいて、図6に示すように、直交座標のグローバル座標が原点(0,0,0)の場合、直交座標のローカル座標系では、廃棄自動車SCVの右フロントインサイドパネルFIP(図2)は(X1,Y1,Z1)、ルーフパネルRFP(図2)は(X2,Y2,Z2)等がそれぞれのローカル座標の基準点RP1,RP2として予め設定される。グローバル座標系は対象とされる廃棄自動車SCVを含む空間に定義される全体的な直交座標系(三次元空間の位置を表す座標)であって、グローバル座標系においてその部位がどこにあるかが、X・Y・Z軸上の数値で表現される。ローカル座標とグローバル座標の直交座標変換は、アフィン変換、主に「回転」と「平行移動」の変換で行われる。
【0036】
また、ローカル座標系が三次元極座標系の場合、図7に示すように、原点O(基準点RP)から点Pまでの線分の距離rと、二つの角度θ,Φで点Pの位置を表現する。角度θ(0≦θ≦π)は、z軸の正の向きとOP線分のなす角(緯度)である。角度Φ(0≦イコールΦ<2π)は、x軸の正の向きとOQ線分(QはPからxy平面に下ろした垂線の足)のなす角(経度)である。極座標(r,θ,Φ)を1つ決めると原点O(基準点RP)に対する点Pの位置が1つ定まる。
【0037】
点Pが三次元直交座標で(x,y,z)、三次元極座標で(r,θ,Φ)と表現されるとき、
x=r・sinθ・cosΦ
y=r・sinθ・sinΦ
z=r・cosθ
の変換関係式が成立する。
【0038】
[撮影制御部FLM]
撮影制御部FLMは、撮影装置操作部CACからの信号に応じてローカル座標系に基づいて撮影装置PHを移動させる。すなわち、撮影制御部FLMは、ローカル座標系に基づくカメラ制御信号を生成して、該カメラ制御信号を、送信部CACLTを介して撮影装置PHへ送信して、撮影装置PHを制御する。撮影装置操作部CACからの信号がグローバル座標系に基づく場合、ローカル座標設定部LCSでの変換により、解体をしようとする作業部位に基準点を設定して、基準点を中心とするローカル座標系(極座標系、直交座標系等)で撮影装置PHのビデオカメラ13(図2)を動かすこととなる。
【0039】
撮影制御部FLMは、作業部位(エンジンルーム等)とそれに対する基準点群を予め設定しておいた車種画像データを含む画像データベースPDBを参照して、廃棄自動車SCVの車両と車種画像データを照らし合わせ、合致する画像データを読み出し、ビデオカメラ13(図2)で撮像した実画像の位置および方向と、車種画像データの位置および方向をそれぞれ一致させる。その後、撮影制御部FLMはローカル座標設定部LCSを利用して、一致した車種画像データの作業部位に基準点を原点に設定して、原点を中心とするローカル座標系(例えば極座標系)で撮影装置PHのビデオカメラ13(図2)を動かす。オペレータによる撮影装置操作部CACがビデオカメラ13の移動に対する操作入力を受付けた場合、マニピュレータMPLは、当該操作入力をローカル座標系に基づいて変換した結果に基づいてビデオカメラ13を移動する。
【0040】
これにより、非熟練者のオペレータでも、簡単な操作で、解体作業にとって良好な作業位置の画像をみることができる。
【0041】
なお、本実施例では単一のビデオカメラをターンテーブル11周りに一カ所に設置しているが、他の変形例として図8に示すように、複数のビデオカメラ(13、13a~13g)を、廃棄自動車SCVを中心とした複数円周上にそれぞれ配置して、複数枚の多視点静止画像を得ることもできる。この場合、複数のビデオカメラ13、13a~13gは、円周状または半球状の支持枠(図示せず)の所定の空間位置、撮影対象となる廃棄自動車SCV(ターンテーブル11)を中心とした円周上に所定の間隔をおいて固定される。複数のビデオカメラ13、13a~13gは、コンピュータ14に接続されて、制御されるように構成してもよい。この場合、複数のビデオカメラの数は制限されない。
【0042】
[解体機]
図9は、本実施例の解体機を含む解体システムの概略図を示し、図1に示す解体システムに、廃棄自動車SCVを解体する解体手段である先端アタッチメント12eを有する解体機を含めたものである。
【0043】
解体機12は下部の履帯装置等からなる走行基部12aと、当該走行基部12a上に設けられ当該走行基部12aと相対的に回転可能な旋回体12bを備えている。すなわち、解体機12において、走行基部12aは旋回体12bを旋回可能に支持するとともに、履帯装置等により自走可能である。
【0044】
旋回体12bには、解体機12の操作を行うオペレータための操作室12cが設けられている。また、旋回体12bの上には、油圧駆動され作動を行うブーム、アームおよびバケットからなるアタッチメント12d(作業腕)が各支持軸周りに回動自在に取り付けられている。解体機12は、ターンテーブル11上の廃棄自動車SCVがオペレータに正対視(オペレータの視線方向と廃棄自動車SCVの略中心を通る線方向が同一線上)されるようにアタッチメント12d(作業腕)が廃棄自動車SCVへ延び届くように配置される。
【0045】
また、アタッチメント12dの先端には、可動歯対を有する先端アタッチメント12eが揺動自在かつ旋回自在に取り付けられている。アタッチメント12d(作業腕)は、オペレータの操作に従う先端アタッチメント12eの可動歯対が、三次元的に任意の方向から廃棄自動車SCVの一部を挟持し、引っ張ったり、破断したり、折り曲げたりして、廃棄自動車SCVを解体することができるように構成されている。
【0046】
アタッチメント12dの下方の走行体12aの前側には押さえ腕部材12fが設けられている。押さえ腕部材12fはアーム状部の先端に押さえ部が設けられ、該アーム状部は解体機側にて支持軸周りに回動自在となっている。押さえ腕部材12fは、オペレータの操作に従い、先端の押さえ部で被解体物である廃棄自動車SCVの一部を押さえて固定して、先端アタッチメント12eによる作業を容易化させる。
【0047】
図9に示す解体システムでは、ビデオカメラ13を含む撮影装置PH(図10)がターンテーブル11上の廃棄自動車SCVと解体機12との間に配置されている。ビデオカメラ13は、カメラの焦点を自身の制御系の下のセンサーおよびモーターを利用して自動的に合わせるオートフォーカスシステムを備え、対象画像とともに焦点位置を検出してフォーカス位置信号等の撮像信号を、コンピュータ14へ送信する。
【0048】
ビデオカメラ13は、廃棄自動車SCVの作業部位と解体機12の先端アタッチメント12eとを撮影すると同時にこれらを視認するための視点である視点位置(フォーカス位置)を検出する視点検出部として機能する。なお、ビデオカメラ13の位置の制限はなく、図9に示すようにターンテーブル11上の廃棄自動車SCVと解体機12との間でもよいし、周囲の他の場所にビデオカメラ13を配置してもよい。
図10は、本実施例の解体機を含む実施例の解体システムのブロック図を示す。図9図10に示す解体システムと図1図3に示す解体システムとで共通する参照符号で示す構成要素は同一であるので、同一構成要素の説明は省き同一両システムで異なる構成要素を主に説明する。
【0049】
図9図10に示す解体システムでは、図1図3に示す解体システムに解体操作部NBC、先端アタッチメント(ATT)制御部NBCL、解体部NB(解体手段である図9の解体機12、特に先端アタッチメント12eとアタッチメント12d)が追加されている。
【0050】
[解体操作部NBC]
解体操作部NBCは、先端アタッチメント操作部NBMと入力信号変換部NBSおよび送信部NBTとを備えている。先端アタッチメント操作部NBMは、オペレータの手指にて操作できるレバー等(図示せず)を含み、先端アタッチメント12eの移動、把持および解放それぞれの操作によりそれぞれの制御信号を生成する。
【0051】
解体操作部NBCの入力信号変換部NBSは、先端アタッチメント操作部NBMからの入力信号を、それぞれ送信信号に変換し、解体操作部NBCの送信部NBTを介してコンピュータ14の受信部CTBRへ送信する。
【0052】
[先端アタッチメント制御部NBCL]
コンピュータ14の先端アタッチメント制御部NBCLは、解体操作部NBCからの信号に基づいて先端アタッチメント12eを制御する先端アタッチメント制御信号を生成して、該先端アタッチメント制御信号を、送信部NBCLTを介して解体部NBへ送信する。
【0053】
先端アタッチメント制御部NBCLは、解体部NBの動作に対する操作入力を受け付ける解体操作受付手段として機能するようにコンピュータ14の記憶装置に格納された所定のプログラムを読み込んでRAMに展開して実行することにより実現される。解体操作部NBCから先端アタッチメント制御部NBCLが先端アタッチメント12eの移動の指示を受付けた場合、先端アタッチメント12eをローカル座標系に基づいて移動制御できる。この場合、先端アタッチメント制御部NBCLはカメラ制御部CACLから作業部位の極座標のローカル座標の情報を受け取る。なお、先端アタッチメント制御部NBCLは先端アタッチメント認識システムとしても機能する。先端アタッチメント認識システムは、撮像された画像の中から解体機の先端アタッチメント12eを検出し、その先端アタッチメントの固有形状等を識別するシステムである。先端アタッチメント認識システムでは、例えば、先端アタッチメントの輪郭やビス配置といった先端アタッチメントのパーツの位置関係から先端アタッチメント形状を識別する。
【0054】
[解体部NB]
図10の解体部NBは、その受信部NBRを介してコンピュータ14の送信部NBCLTから受信した信号に基づいて、解体機12のアタッチメント12dと先端アタッチメント12eの移動・把持・解放を行う駆動部NBDを備える。
【0055】
[ターンテーブル操作部、解体操作部および撮影装置操作部の配置例]
ターンテーブル操作部および撮影装置操作部はコンピュータ14に接続されたキーボードやマウス等をしようできるが、その他、専用の操作部を用いることができる。
【0056】
図11は解体機システムを操作するために使用される制御卓CLTを示す。制御卓CLTには、ディスプレイ一体型のコンピュータ14と、これに接続されて卓の下方に突出している六軸入力可能なリモコンであるターンテーブル操作部TBCと、卓の上に配置されかつ先端アタッチメントを操作するための解体操作部NBCと、撮影装置操作部CACとが備えられる。撮影装置操作部CACは、ビデオカメラ13を上下に動かすための上ボタン60および下ボタン62と、同左右に動かすための左ボタン64および右ボタン68と、ビデオカメラ13のズームイン・ズームアウトのための視野角を拡大縮小するための拡大ボタン72および縮小ボタン70と、見回し処理等を終了させるための終了ボタン71とを含む。撮影装置操作部CACの拡大ボタン72および縮小ボタン70の操作により、図7に示す基準点RPに向かってビデオカメラ13が直線移動(カメラから基準点RPまでの距離rの変化)可能としたり、同上下左右ボタン60~68の操作により、図7に示す基準点RPを中心にビデオカメラ13が球面移動(カメラの基準点RPでの角度θ、Φの変化)可能となる。これによって、オペレータの簡単な操作で適切な見回しが可能となる。また、オペレータは、モニターMOTを見ながら、左手によるターンテーブル操作部TBCの操作によってターンテーブル11を動かして、廃棄自動車SCVを回転させることができる。オペレータは、撮影装置操作部CACの操作によるモニターMOTの画面を見ながら、右手による解体操作部NBCの操作によって左手でターンテーブル11を動かして、廃棄自動車SCVを解体する。
【0057】
図12は、本実施例の解体システムによる廃棄自動車の解体中における制御卓上のモニターMOTの画面を示す。モニターMOTは、廃棄自動車SCVの作業部位と解体機の先端アタッチメント12eとを映す実際の撮像画像D1と、作業部位に存在すると予想されるハーネスWHS等の残留物の陰影を表示するオペレータ用作業部位参照画像D2(画像データベースPDBに格納されている)と、を表示することができる。
【0058】
図13に示すフロー図を参照して、本実施例の解体作業におけるビデオカメラ13の作業部位見回し処理の制御を説明する。
【0059】
図13/STEP01にて、カメラ制御部CACLは、車種を特定するため車種特定画面をモニターに表示して、オペレータに車種特定を促す。
【0060】
図13/STEP02として、カメラ制御部CACLはオペレータが車種を特定したか否かを、判別する。
【0061】
ここで、カメラ制御部CACLはオペレータが車種を特定するまで(NO)待機する。カメラ制御部CACLが車種を特定したことを受け付けた場合(YES)、図13/STEP03にて、作業部位を選択するため作業部位選択画面をモニターに表示して、オペレータに作業部位選択を促す。
【0062】
図13/STEP04として、カメラ制御部CACLはオペレータが作業部位を選択したか否かを、判別する。
【0063】
ここで、カメラ制御部CACLはオペレータが作業部位を選択するまで(NO)待機する。カメラ制御部CACLが作業部位を選択したことを受け付けた場合(YES)、図13/STEP05にて、撮影制御部FLMを介して、選択された作業部位へビデオカメラ13を移動する。撮影制御部FLMは、画像データベースPDBにおいて、作業部位画像とそれに対する基準点群を予め格納しておいた車種画像データに基づいて、選択された作業部位と画像データを照らし合わせ、合致する画像データを読み出し、ビデオカメラ13が映した実物の位置および方向と、当該画像データの位置および方向とがそれぞれ一致するようにビデオカメラ13を移動させる。
【0064】
次に、図13/STEP06にて、カメラ制御部CACLは、見回しモードを選択させるため見回し選択画面をモニターに表示して、オペレータにモード選択を促す。
【0065】
図13/STEP07として、カメラ制御部CACLはオペレータが見回しモードを選択したか否かを、判別する。
【0066】
ここで、カメラ制御部CACLはオペレータが見回しモードを選択しない場合(NO)動作を終了する。カメラ制御部CACLが見回しモードを選択したことを受け付けた場合(YES)、図13/STEP08にて、カメラ制御部CACLは、ビデオカメラ13が映した実物の位置および方向と、当該画像データの位置および方向をそれぞれ一致させ、当該画像データのローカル座標系の基準点すなわち見回しモードのための原点を設定する。
【0067】
次に、図13/STEP09にて、カメラ制御部CACLは、見回しモードを開始する。
【0068】
次に、図13/STEP10にて、カメラ制御部CACLは、ビデオカメラ13を見回しモードのための原点を中心に移動させる。
【0069】
図13/STEP11として、カメラ制御部CACLはオペレータが見回しモードの終了を入力したか否かを、判別する。
【0070】
ここで、カメラ制御部CACLはオペレータが見回しモードの終了を入力するまで(NO)移動を継続する。カメラ制御部CACLが見回しモードを終了したことを受け付けた場合(YES)動作を終了する。
【0071】
次に、図14に示すフロー図を参照して、本実施例の解体作業における先端アタッチメント12eとビデオカメラ13の作業部位に対する作業処理の制御を説明する。
【0072】
図14/STEP001にて、カメラ制御部CACLは、車種を特定するため車種特定画面をモニターに表示して、オペレータに車種特定を促す。
【0073】
図14/STEP002として、カメラ制御部CACLはオペレータが車種を特定したか否かを、判別する。
【0074】
ここで、カメラ制御部CACLはオペレータが車種を特定するまで(NO)待機する。カメラ制御部CACLが車種を特定したことを受け付けた場合(YES)、図14/STEP003にて、作業部位を選択するため作業部位選択画面をモニターに表示して、オペレータに作業部位選択を促す。
【0075】
図14/STEP004として、カメラ制御部CACLはオペレータが作業部位を選択したか否かを、判別する。
【0076】
ここで、カメラ制御部CACLはオペレータが作業部位を選択するまで(NO)待機する。カメラ制御部CACLが作業部位を選択したことを受け付けた場合(YES)、図14/STEP005にて、撮影制御部FLMを介して、選択された作業部位へビデオカメラ13を移動する。撮影制御部FLMは、画像データベースPDBにおいて、作業部位画像とそれに対する基準点群を予め格納しておいた車種画像データに基づいて、選択された作業部位と画像データを照らし合わせ、合致する画像データを読み出し、ビデオカメラ13が映した実物の位置および方向と、当該画像データの位置および方向とがそれぞれ一致するようにビデオカメラ13を移動させる。
【0077】
次に、図14/STEP006にて、カメラ制御部CACLは、ビデオカメラ13が映した実物の位置および方向と、当該画像データの位置および方向をそれぞれ一致させ、当該画像データのローカル座標系の基準点すなわち作業モードのための原点を設定する。カメラ制御部CACLは先端アタッチメント制御部NBCLへ作業部位の極座標のローカル座標の情報を提供する(図10)。
【0078】
次に、図14/STEP007にて、カメラ制御部CACLは、ビデオカメラと先端アタッチメントの作業モードを開始する。オペレータは、解体操作部NBCと撮影装置操作部CACを操作して先端アタッチメント制御部NBCLとカメラ制御部CACLにより、先端アタッチメント12eとビデオカメラ13を作業のためローカル座標系の原点を中心に基づいてそれぞれ移動させる。
【0079】
図14/STEP008として、カメラ制御部CACLは撮影装置操作部CAC介して、または、先端アタッチメント制御部NBCLは解体操作部NBCを介して、オペレータが作業部位の変更を入力したか否かを、判別する。
【0080】
ここで、カメラ制御部CACLまたは先端アタッチメント制御部NBCLが車種を特定したことを受け付けた場合(YES)、図14/STEP003にて、作業部位を選択するため作業部位選択画面をモニターに表示して、オペレータに作業部位選択を促す。
【0081】
STEP008において、オペレータが作業部位の変更を入力しない場合(NO)、図14/STEP009として、カメラ制御部CACLはオペレータが作業モードの終了を入力したか否かを、判別する。
【0082】
ここで、先端アタッチメント制御部NBCLとカメラ制御部CACLはオペレータが移動モードの終了を入力するまで(NO)解体作業の継続を可能とする。先端アタッチメント制御部NBCLとカメラ制御部CACLが作業モードを終了したことを受け付けた場合(YES)作業動作を終了する。
【符号の説明】
【0083】
11…ターンテーブル、12e…先端アタッチメント、NB…解体部、13…ビデオカメラ、PH…撮影装置、MOT…モニター、TBCL…ターンテーブル制御部、NBCL…先端アタッチメント制御部、CACL…カメラ制御部、SCV…廃棄自動車、LCS…ローカル座標設定部、FLM…撮影制御部、PDB…画像データベース。
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