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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】鏡台
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/00 20060101AFI20230307BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20230307BHJP
【FI】
A47B67/00 501A
A47B67/00 501Z
G03B17/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019086190
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020179050
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】杉原 厚吉
(72)【発明者】
【氏名】合屋 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】林 優奈
(72)【発明者】
【氏名】平山 寛隆
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-145323(JP,A)
【文献】特開2014-023127(JP,A)
【文献】特開2009-064423(JP,A)
【文献】特表2020-516984(JP,A)
【文献】特開2003-021859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/00
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆向きの反射面と透過面とを有し、前記反射面に入射した光の少なくとも一部を反射させ、前記透過面に入射した光の少なくとも一部を透過させるハーフミラーと、
前記反射面による人物の反射像に重畳させるための重畳画像を表示するモニタと、
前記重畳画像が前記ハーフミラーを透過して前記人物に向かうように、前記モニタからの光を前記透過面に向けて反射させる中継ミラーと、
前記中継ミラーと前記モニタとが並ぶ方向における前記モニタの位置を可変にするモニタ位置調節部と、を備える鏡台。
【請求項2】
前記ハーフミラーを透過した前記重畳画像の結像位置を前記反射像の結像位置に近付けるように前記モニタ位置調節部を制御する焦点制御部を更に備える、請求項1記載の鏡台。
【請求項3】
前記人物から前記反射面までの距離を検出する距離センサを更に備え、
前記焦点制御部は、前記モニタから前記中継ミラー及び前記透過面を経て前記反射面に至るまでの光路長を、前記距離センサにより検出された距離に近付けるように前記モニタ位置調節部を制御する、請求項2記載の鏡台。
【請求項4】
前記反射面における前記重畳画像の透過位置と前記反射面における前記反射像の反射位置とを近付けるように、前記モニタ内における前記重畳画像の表示位置を調節する重畳位置制御部を更に備える、請求項2又は3記載の鏡台。
【請求項5】
前記中継ミラーの向きを変更するミラー駆動部と、
前記反射面における前記重畳画像の透過位置を前記反射面における前記反射像の反射位置に近付けるように、前記ミラー駆動部による前記中継ミラーの向きを調節する重畳位置制御部とを更に備える、請求項2又は3記載の鏡台。
【請求項6】
前記重畳位置制御部は、前記反射面における前記重畳画像の透過位置と前記反射面における前記反射像の反射位置とを近付けるように、前記ミラー駆動部による前記中継ミラーの向きと、前記モニタ内における前記重畳画像の表示位置とを調節する、請求項5記載の鏡台。
【請求項7】
前記重畳位置制御部は、
前記反射面における前記重畳画像の透過位置と前記反射面における前記反射像の反射位置とを左右方向において近付けるように前記モニタ内における前記重畳画像の表示位置を調節し、
前記反射面における前記重畳画像の透過位置と前記反射面における前記反射像の反射位置とを上下方向において近付けるように前記ミラー駆動部による前記中継ミラーの向きを調節する、請求項6記載の鏡台。
【請求項8】
前記ハーフミラーは、前記反射面に入射した光の反射率が、前記透過面に入射した光の透過率よりも高くなるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項記載の鏡台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鏡台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、参照画像を表示するディスプレイと、ディスプレイに表示される画像を透過し、人物の顔の鏡像を反射するハーフミラーとを備える情報表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-23127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の情報表示装置においては、人物の顔の像がハーフミラーに反射して人物の目に達するまでの光路長と、ディスプレイの参照画像が人物の目に達するまでの光路長とが大きく異なる。このため、鏡像(反射像)と参照画像(重畳画像)との両方に同時にピントを合わせることが困難であった。
【0005】
そこで本開示は、反射像と重畳画像との視認性向上に有効な鏡台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る鏡台は、互いに逆向きの反射面と透過面とを有し、反射面に入射した光の少なくとも一部を反射させ、透過面に入射した光の少なくとも一部を透過させるハーフミラーと、反射面による人物の反射像に重畳させるための重畳画像を表示するモニタと、重畳画像がハーフミラーを透過して人物に向かうように、モニタからの光を透過面に向けて反射させる中継ミラーと、中継ミラーとモニタとが並ぶ方向におけるモニタの位置を可変にするモニタ位置調節部と、を備える。
【0007】
この鏡台では、中継ミラーとモニタとが並ぶ方向におけるモニタの位置が可変であるため、ハーフミラーを透過した重畳画像の結像位置を人物の反射像の結像位置に近付けることができる。従って、反射像と重畳画像との視認性向上に有効である。
【0008】
鏡台は、ハーフミラーを透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部を制御する焦点制御部を更に備えていてもよい。この場合、重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタの位置が制御される。従って、反射像と重畳画像との視認性を更に向上させることができる。
【0009】
鏡台は、人物から反射面までの距離を検出する距離センサを更に備え、焦点制御部は、モニタから中継ミラー及び透過面を経て反射面に至るまでの光路長を、距離センサにより検出された距離に近付けるようにモニタ位置調節部を制御してもよい。この場合、重畳画像の結像位置を人物の反射像の結像位置に近付けることを、距離に基づく制御によって実現することができる。
【0010】
鏡台は、反射面における重畳画像の透過位置と反射面における反射像の反射位置とを近付けるように、モニタ内における重畳画像の表示位置を調節する重畳位置制御部を更に備えていてもよい。この場合、重畳画像の透過位置と反射像の反射位置とが近付くようにモニタによる重畳画像の表示位置が制御される。従って、反射像と重畳画像との視認性を更に向上させることができる。
【0011】
鏡台は、中継ミラーの向きを変更するミラー駆動部と、反射面における重畳画像の透過位置を反射面における反射像の反射位置に近付けるように、ミラー駆動部による中継ミラーの向きを調節する重畳位置制御部とを更に備えていてもよい。この場合、画像サイズの制約を受けることなく重畳画像の透過位置を調節することができる。
【0012】
重畳位置制御部は、反射面における重畳画像の透過位置と反射面における反射像の反射位置とを近付けるように、ミラー駆動部による中継ミラーの向きと、モニタ内における重畳画像の表示位置とを調節してもよい。
【0013】
例えば、重畳位置制御部は、反射面における重畳画像の透過位置と反射面における反射像の反射位置とを左右方向において近付けるようにモニタ内における重畳画像の表示位置を調節し、反射面における重畳画像の透過位置と反射面における反射像の反射位置とを上下方向において近付けるようにミラー駆動部による中継ミラーの向きを調節してもよい。
【0014】
モニタによる重畳画像の表示位置を調節する方式(以下、「第1方式」という。)によれば、画像データ上の調節によって重畳画像の透過位置を調節することができるためハードウェア構成を簡素化することができる。一方、画像データ上における重畳画像の表示位置の調節代は画像サイズによって制限される。
【0015】
また、上述したように、中継ミラーの向きを調節する方式(以下、「第2方式」という。)によれば、画像サイズの制約を受けることなく重畳画像の透過位置を調節することができる。一方、中継ミラーの向きを調節するために、中継ミラーを駆動する機構が求められる。
【0016】
ここで、反射面に映される人物が例えば利用者の顔である場合、人物の左右方向の位置は、利用者自身によって反射面の中央に合わせられることが期待される。一方、人物の高さは利用者の身長等によって大きくばらつくことが想定される。従って、第1方式を左右方向の位置調節に適用し、第2方式を上下方向の位置調節に適用することで、両方式の利点を有効活用することができる。
【0017】
ハーフミラーは、反射面に入射した光の反射率が、透過面に入射した光の透過率よりも高くなるように構成されていてもよい。この場合、反射像と重畳画像との視認性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、反射像と重畳画像との視認性向上に有効な鏡台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る鏡台の構成を例示する側面より視た模式図である。
図2】操作パネルの構成を例示する模式図である。
図3】コントローラの機能的な構成を例示するブロック図である。
図4】コントローラのハードウェア構成を例示するブロック図である。
図5】ガイドを例示する模式図である。
図6】カーソルを例示する模式図である。
図7】鏡台の制御手順を例示するフローチャートである。
図8】モニタ及び中継ミラーの原点復帰手順を例示するフローチャートである。
図9】反射面における重畳画像の透過位置の高さを調節する手順を例示するフローチャートである。
図10】ハーフミラーを透過した重畳画像の結像位置の調節手順を例示するフローチャートである。
図11】反射面における重畳画像の透過位置の調節手順を例示するフローチャートである。
図12】ハーフミラーを透過した重畳画像の結像位置の微調節手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
〔鏡台〕
図1に示す鏡台1は、鏡による人物の反射像にモニタ画像を重畳させる機能を有している。例えば鏡台1は、化粧等のセルフケアを行う人物の顔の反射像に、セルフケアのガイド用のモニタ画像を重畳させる機能を有している。図1に示すように、鏡台1は、筐体2と、ハーフミラー3と、モニタ4と、中継ミラー5と、モニタ位置調節部10とを有する。以下、各要素の説明における「上下」は、使用のために鏡台1が設置された状態での上下を意味する。
【0022】
筐体2は、鏡台1の構成要素を一体にまとめるケースである。筐体2は、その前面(利用者に対向する面)に開口2aを有する。
【0023】
ハーフミラー3は、互いに逆向きの反射面3aと透過面3bとを有する。ハーフミラー3は、例えば水平面に対して起立した(例えば鉛直に起立した)状態で開口2aを塞ぐように筐体2に固定されている。反射面3aは筐体2の外に面し、透過面3bは筐体2の内に面する。ハーフミラー3は、反射面3aに入射した光の少なくとも一部を反射させ、透過面3bに入射した光の少なくとも一部を透過させる。例えばハーフミラー3は、ガラス等のベースプレートと、ベースプレートの片面に被覆された反射膜とにより構成される。
【0024】
なお、ハーフミラー3の用途に合わせて「反射面」、「透過面」との用語を用いているが、これらの両面の性質が必ずしも異なるわけではない。例えばハーフミラー3は、反射面3aに入射した光の少なくとも一部を透過させ得るし、透過面3bに入射した光の少なくとも一部を反射させ得る。
【0025】
また、「ハーフミラー」との名称を付しているが、ハーフミラー3の反射率は必ずしも50%ではない。例えばハーフミラー3は、反射面3aに入射した光の反射率が、透過面3bに入射した光の透過率よりも高くなるように構成されていてもよい。ここでの反射率は、入射光の強度に対する反射光の強度の比率である。透過率は、入射光の強度に対する透過光の強度の比率である。反射面3aに入射した光の反射率は例えば50~90%であり、60~80%であってもよく、65~75%であってもよい。透過面3bに入射した光の透過率は例えば10~50%であり、20~40%であってもよく、25~35%であってもよい。これらの反射率及び透過率は、例えばハーフミラー3における上記反射膜の厚さ等により調節可能である。
【0026】
モニタ4は、反射面3aによる利用者(人物)の反射像に重畳させるための画像(以下、「重畳画像」という。)を表示する。モニタ4の具体例としては、液晶モニタ又は有機ELモニタ等が挙げられる。例えばモニタ4は、筐体2内において、その表示面4aがハーフミラー3の透過面3bに垂直になるように配置されている。一例としてモニタ4は、表示面4aが鉛直上方に向くように配置されている。モニタ4は、表示面4aの高さが少なくともハーフミラー3の中心高さよりも低くなるように位置している。
【0027】
中継ミラー5は、重畳画像がハーフミラー3を透過して利用者に向かうように、モニタ4からの光を透過面3bに向けて反射させる。例えば中継ミラー5は、筐体2内において、その反射面5aがモニタ4の表示面4a及びハーフミラー3の透過面3bの両方に対向するように配置されている。一例として、中継ミラー5は、モニタ4の上方において、反射面5aが下方及び前方(筐体2の前面が位置する方向)に向くように配置されている。より具体的に、中継ミラー5は、反射面5aと透過面3bとのなす角度と、反射面5aと表示面4aとのなす角度とがいずれも約45°となるように配置されている。
【0028】
モニタ位置調節部10は、中継ミラー5とモニタ4とが並ぶ方向におけるモニタ4の位置を可変にする。例えばモニタ位置調節部10は、電動式の昇降駆動部であり、モータ11と伝達機構12とを有する。モータ11は、電力の供給に応じてロータを回転させる回転型モータである。伝達機構12は、モータ11の回転を昇降に変換してモニタ4に伝達する。回転を昇降に変換する機構の具体例としては、ラック・アンド・ピニオン機構又はボールねじを用いた機構等が挙げられる。
【0029】
鏡台1は、ミラー駆動部20を更に備えてもよい。ミラー駆動部20は、中継ミラー5の向きを変更する。例えばミラー駆動部20は、ハーフミラー3の透過面3b及びモニタ4の表示面4aの両方に平行な軸線23まわりに中継ミラー5を回転させる回転駆動部であり、モータ21と伝達機構22とを有する。モータ21は、電力の供給に応じてロータを回転させる回転型モータである。伝達機構22は、モータ21の回転を中継ミラー5に伝達する。
【0030】
鏡台1は、距離センサ31及びカメラ32を更に備えてもよい。距離センサ31は、利用者から反射面3aまでの距離を検出する。距離センサ31の具体例としては、赤外線式又は超音波式の距離センサが挙げられる。距離センサ31は、例えば筐体2内においてハーフミラー3の上方に配置される。一例として、距離センサ31は、その配置位置から利用者の顔までの距離を検出する。距離センサ31による検出結果に基づけば、反射面3aから利用者の顔までの距離を算出可能である。従って、距離センサ31の配置位置から利用者の顔までの距離を検出することは、反射面3aから利用者の顔までの距離を検出することに相当する。距離センサ31により検出される距離は、ハーフミラー3を透過した上記重畳画像の結像位置を上記反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御するのに利用可能である。
【0031】
カメラ32は、利用者の顔を撮像する。カメラ32の具体例としては、CCD(Charged-Coupled Device)及びCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等のイメージセンサと結像用の光学系とを有するカメラが挙げられる。カメラ32は、例えば筐体2内においてハーフミラー3の上方に配置される。カメラ32により撮像される画像は、反射面3aにおける上記反射像の反射位置を認識するのに利用可能である。上記反射位置の認識結果は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と上記反射位置とを近付けるのに利用可能である。
【0032】
鏡台1は、原点センサ41,42,43を更に備えてもよい。原点センサ41は、モニタ4が所定の原点位置にあるか否かを検出する。当該原点位置は、利用者の顔が反射面3aに最接近した状態においても、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置が反射像の結像位置よりも反射面3aに近くなるように設定されている。このため、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるための制御がなされると、モニタ4は、原点位置に比較して中継ミラー5から遠い位置(例えば原点位置よりも下方)に移動することとなる。なお、ここでの結像位置は、利用者の眼球内における結像位置で、利用者が視覚的に感じ得る焦点が合う位置を意味する。
【0033】
原点センサ42,43は、中継ミラー5が所定の原点位置にあるか否かを検出する。原点センサ41,42,43の具体例としては、例えばフォトインタラプタ等のフォトセンサが挙げられる。原点センサ41,42,43による検出結果は、モニタ4及び中継ミラー5を原点位置に復帰させるのに利用可能である。
【0034】
鏡台1は、操作パネル50と、コントローラ100とを更に備えてもよい。操作パネル50は、モニタ位置調節部10及びミラー駆動部20に対する操作入力用のパネルである。例えば操作パネル50は、オン・オフスイッチ51と、上昇スイッチ52と、下降スイッチ53と、決定スイッチ54とを有する(図2参照)。オン・オフスイッチ51は、重畳画像の表示のオン・オフを切り替えるためのスイッチである。上昇スイッチ52は、モニタ4の上昇又は重畳画像の上昇(透過面3bにおける重畳画像の透過位置の上昇)を指示するためのスイッチである。下降スイッチ53は、モニタ4の下降又は重畳画像の下降(透過面3bにおける重畳画像の透過位置の下降)を指示するためのスイッチである。決定スイッチ54は、操作入力内容の登録を指示するスイッチである。操作パネル50は、オン・オフスイッチ51、上昇スイッチ52、下降スイッチ53及び決定スイッチ54を筐体2の外に露出した状態で筐体2内に収容されている。
【0035】
コントローラ100は、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御するように構成されている。コントローラ100は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、モニタ4内における重畳画像の表示位置を調節することを更に実行するように構成されていてもよい。コントローラ100は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、ミラー駆動部20による中継ミラー5の向きを調節することを更に実行するように構成されていてもよい。例えばコントローラ100は、距離センサ31、カメラ32、原点センサ41,42,43、及び操作パネル50からの入力に基づいてモニタ位置調節部10及びミラー駆動部20を制御する。
【0036】
図3は、コントローラ100と機能的に等価な構成を例示するブロック図である。図3に示すように、コントローラ100は、機能上の構成(以下、「機能ブロック」という。)として、原点復帰処理部111と、焦点制御部112と、重畳位置制御部113と、ピント微調節部114と、ピント調節値記憶部115と、高さ調節部116と、ミラー角度記憶部117とを有する。
【0037】
原点復帰処理部111は、原点センサ41,42,43による検出結果に基づいて、モニタ4及び中継ミラー5を原点位置に復帰させるようにモニタ位置調節部10及びミラー駆動部20を制御する。例えば原点復帰処理部111は、原点センサ41がモニタ4を検出するまでモニタ位置調節部10によりモニタ4を中継ミラー5に近付ける(例えばモニタ位置調節部10によりモニタ4を上昇させる)。また、原点復帰処理部111は、原点センサ42,43の両方が中継ミラー5を検出するまでミラー駆動部20により中継ミラー5を回転させる。
【0038】
焦点制御部112は、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御する。例えば焦点制御部112は、モニタ4から中継ミラー5及び透過面3bを経て反射面3aに至るまでの光路長(図1中の距離D2と距離D3との和)を、距離センサ31により検出された距離(図1中の距離D1)に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御する。
【0039】
重畳位置制御部113は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、モニタ4内における重畳画像の表示位置を調節する。重畳画像の具体例としては、顔91のセルフケア(例えば化粧)用のガイド92の画像が挙げられる(図5参照)。例えば重畳位置制御部113は、モニタ4における重畳画像の表示位置を変更するように、モニタ4に出力する画像データを変更する。また、重畳位置制御部113は、反射面3aにおける反射像の反射位置を、カメラ32が撮像した画像に基づいて認識する。
【0040】
重畳位置制御部113は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、ミラー駆動部20による中継ミラー5の向きと、モニタ4内における重畳画像の表示位置とを調節してもよい。例えば重畳位置制御部113は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを左右方向(上下方向に直交する方向)において近付けるようにモニタ4内における重畳画像の表示位置を調節し、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを上下方向において近付けるようにミラー駆動部20による中継ミラー5の向きを調節する。
【0041】
なお、重畳位置制御部113は、左右方向における上記透過位置の調節と、上下方向における上記透過位置の調節との両方を、モニタ4内における重畳画像の表示位置の調節により行うように構成されていてもよい。また、重畳位置制御部113は、左右方向における上記透過位置の調節と、上下方向における上記透過位置の調節との両方を、ミラー駆動部20による中継ミラー5の向きの調節により行うように構成されていてもよい。この場合、上述した軸線23まわりに中継ミラー5を回転させる駆動系と、モニタ4の表示面4aに垂直な軸線まわりに中継ミラー5を回転させる駆動系との2つの自由度を持つ駆動系をミラー駆動部20が有する必要がある。
【0042】
重畳位置制御部113は、カメラ32が撮像した画像に基づいて反射面3aにおける反射像の大きさを認識し、反射面3aにおける重畳画像の大きさを反射面3aにおける反射像の大きさに合わせるように、モニタ4内における重畳画像の大きさを更に調節してもよい。
【0043】
ピント微調節部114は、操作パネル50への操作入力に従って、モニタ位置調節部10によりモニタ4の位置を微調節させる。例えばピント微調節部114は、上昇スイッチ52がオン状態にされるのに従ってモニタ位置調節部10によりモニタ4を中継ミラー5に近付ける(例えばモニタ位置調節部10によりモニタ4を上昇させる)。また、ピント微調節部114は、下降スイッチ53がオン状態にされるのに従ってモニタ位置調節部10によりモニタ4を中継ミラー5から遠ざける(例えばモニタ位置調節部10によりモニタ4を下降させる)。
【0044】
ピント調節値記憶部115は、ピント微調節部114によるモニタ4の位置の調節値を記憶する。例えばピント調節値記憶部115は、ピント微調節部114が微調節を完了した時点(例えば決定スイッチ54が押された時点)のモニタ4の位置と、ピント微調節部114が微調節を開始した時点のモニタ4の位置との差を上記調節値として記憶する。
【0045】
高さ調節部116は、操作パネル50への操作入力に従って、ミラー駆動部20により中継ミラー5の向きを調節させる。例えば高さ調節部116は、上昇スイッチ52がオン状態にされるのに従って、反射面3aにおける重畳画像の透過位置を上昇させる方向に中継ミラー5を回転させるようにミラー駆動部20を制御する。また、高さ調節部116は、下降スイッチ53がオン状態にされるのに従って、反射面3aにおける重畳画像の透過位置を下降させる方向に中継ミラー5を回転させるようにミラー駆動部20を制御する。なお、高さ調節部116は、操作パネル50への操作入力に従った中継ミラー5の向きの調節に際して、重畳画像の位置を示すカーソル93(図6参照)を重畳位置制御部113によりモニタ4に表示させてもよい。
【0046】
ミラー角度記憶部117は、高さ調節部116による中継ミラー5の向きの調節値を記憶する。例えばミラー角度記憶部117は、高さ調節部116が中継ミラー5の向きの調節を完了した時点(例えば決定スイッチ54が押された時点)の中継ミラー5の向き(例えば反射面5aの角度)と、上記原点位置にある中継ミラー5の向きとの差を上記調節値として記憶する。
【0047】
図4は、コントローラ100のハードウェア構成を例示するブロック図である。図4に示すように、コントローラ100は、回路120を有する。ストレージ123は、コンピュータによって読み取り可能な不揮発型の記憶媒体(例えばフラッシュメモリ)である。ストレージ123は、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御することをコントローラ100に実行させるためのプログラムを記憶している。当該プログラムは、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、モニタ4内における重畳画像の表示位置を調節することをコントローラ100に更に実行させるように構成されていてもよい。当該プログラムは、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、ミラー駆動部20による中継ミラー5の向きを調節することをコントローラ100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0048】
メモリ122は、ストレージ123からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、コントローラ100の各機能ブロックを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に応じて、モニタ4、モニタ位置調節部10、ミラー駆動部20、距離センサ31、カメラ32、原点センサ41,42,43、オン・オフスイッチ51、上昇スイッチ52、下降スイッチ53及び決定スイッチ54との間で電気信号の入出力を行う。
【0049】
コントローラ100は、必ずしもプログラムにより各機能ブロックを構成するものに限られない。例えばコントローラ100は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0050】
以上に示した鏡台1の構成はあくまで一例である。鏡台1は、ハーフミラー3と、モニタ4と、中継ミラー5と、モニタ位置調節部10とを備える限りいかようにも変更可能である。例えばハーフミラー3の全域が透過性を有している必要はない。ハーフミラー3のうち、少なくともモニタ4の表示面4aに対応する領域A1が透過性を有していればよく、領域A1の外の領域は透過性を有していなくてもよい。
【0051】
〔鏡台の制御手順〕
続いて、鏡台1の制御手順を例示する。図7は、鏡台1の制御手順を例示するフローチャートである。図7に示すように、コントローラ100は、ステップS01,S02,S03,S04,S05,S06,S07,S08,S09を順に実行する。ステップS01において、コントローラ100は、操作パネル50のオン・オフスイッチ51がオン状態とされるのを待機する。ステップS02において、コントローラ100は、原点センサ41,42,43による検出結果に基づいて、モニタ4及び中継ミラー5を原点位置に復帰させるようにモニタ位置調節部10及びミラー駆動部20を制御する。
【0052】
ステップS03において、コントローラ100は、操作パネル50への操作入力に従ってミラー駆動部20により中継ミラー5の向きを調節させる。ステップS04において、コントローラ100は、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御する。ステップS05において、コントローラ100は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように表示位置を調節して、モニタ4内に重畳画像を表示する。ステップS06において、コントローラ100は、操作パネル50への操作入力に従って、モニタ位置調節部10によりモニタ4の位置を微調節させる。ステップS06におけるモニタ4の位置の調節値はピント調節値記憶部115に記憶される。
【0053】
ステップS07において、コントローラ100は、ステップS04と同様に、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御する。この際に、モニタ4の目標位置には、ピント調節値記憶部115が記憶する調節値が加算される。換言すると、ピント微調節部114によるモニタ4の位置の調節結果が、焦点制御部112によるモニタ位置調節部10の制御に反映される。ステップS08において、コントローラ100は、ステップS05と同様に、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように表示位置を調節して、モニタ4内に重畳画像を表示する。ステップS09において、コントローラ100は、操作パネル50のオン・オフスイッチ51がオフ状態とされたか否かを確認する。
【0054】
ステップS09においてオン・オフスイッチ51がオフ状態とされていないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS07に戻す。以後、オン・オフスイッチ51がオフ状態とされるまで、すなわち「NO」の場合は、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置の調節と、反射面3aにおける重畳画像の透過位置の調節とが繰り返される。
【0055】
ステップS09においてオン・オフスイッチ51がオフ状態とされた、すなわち「YES」と判定した場合、コントローラ100はステップS11を実行する。ステップS11では、コントローラ100は、モニタ4による重畳画像の表示を終了させる。以上で鏡台1の制御手順が完了する。
【0056】
図8は、ステップS02においてモニタ4及び中継ミラー5を原点位置に復帰させる手順を示すフローチャートである。まず、コントローラ100は、ステップS21,S22,S23,S24,S25を実行する。ステップS21では、原点復帰処理部111が、モニタ位置調節部10によりモニタ4の上昇を開始させる。ステップS22では、原点復帰処理部111が、原点センサ41によるモニタ4の検出を待機する。ステップS23では、原点復帰処理部111が、モニタ位置調節部10によるモニタ4の上昇を停止させる。ステップS24では、原点復帰処理部111が、ミラー駆動部20により中継ミラー5の回転を開始させる。ステップS25では、原点センサ42,43が中継ミラー5を検出したか否かを原点復帰処理部111が確認する。
【0057】
ステップS25において原点センサ42,43が中継ミラー5を検出していないと判定した場合、コントローラ100はステップS26を実行する。ステップS26では、ミラー駆動部20による中継ミラー5の回転角度が所定角度に達したか否かを原点復帰処理部111が確認する。ここでの回転角度は、現時点の中継ミラー5の角度と、ステップS24における中継ミラー5の角度との差である。所定角度は、中継ミラー5の回転方向が適切である場合に、原点センサ42,43により検出される位置まで中継ミラー5を確実に回転させ得る値に設定されている。
【0058】
ステップS26において中継ミラー5の回転角度が所定角度に達していないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS25に戻す。以後、原点センサ42,43が中継ミラー5を検出するか、中継ミラー5の回転角度が所定角度に達するまで、原点復帰処理部111はミラー駆動部20による中継ミラー5の回転を継続させる。
【0059】
ステップS26において中継ミラー5の回転角度が所定角度に達したと判定した場合、コントローラ100はステップS27を実行する。ステップS27では、原点復帰処理部111が、ミラー駆動部20による中継ミラー5の回転方向を逆転させる。その後、コントローラ100は処理をステップS25に戻す。
【0060】
ステップS25において原点センサ42,43が中継ミラー5を検出したと判定した場合、コントローラ100はステップS28を実行する。ステップS28では、原点復帰処理部111が、ミラー駆動部20による中継ミラー5の回転を停止させる。以上でモニタ4及び中継ミラー5が原点位置に復帰する。
【0061】
図9は、ステップS03における中継ミラー5の向きの調節手順を示すフローチャートである。まず、コントローラ100は、ステップS31,S32を実行する。ステップS31では、高さ調節部116が、中継ミラー5の向きを調節する際に、重畳画像の表示位置を示すカーソル93を重畳位置制御部113によりモニタ4に表示させる。ステップS32では、上昇スイッチ52がオン状態となっているか否かを高さ調節部116が確認する。
【0062】
ステップS32において上昇スイッチ52がオン状態となっていると判定した場合、コントローラ100はステップS33を実行する。ステップS33では、高さ調節部116が、予め設定された1ピッチ分の角度にて、反射面3aにおける重畳画像の透過位置を上昇させる方向に中継ミラー5を回転させるようにミラー駆動部20を制御する。
【0063】
ステップS32において上昇スイッチ52がオン状態となっていないと判定した場合、コントローラ100はステップS34を実行する。ステップS34では、下降スイッチ53がオン状態となっているか否かを高さ調節部116が確認する。
【0064】
ステップS34において下降スイッチ53がオン状態となっていると判定した場合、コントローラ100はステップS35を実行する。ステップS35では、高さ調節部116が、予め設定された1ピッチ分の角度にて、反射面3aにおける重畳画像の透過位置を下降させる方向に中継ミラー5を回転させるようにミラー駆動部20を制御する。
【0065】
次に、コントローラ100はステップS36を実行する。ステップS34において下降スイッチ53がオン状態となっていないと判定した場合、コントローラ100はステップS33,S35のいずれも実行することなくステップS36を実行する。ステップS36では、高さ調節の終了指令が入力されたか否かを高さ調節部116が確認する。例えば高さ調節部116は、決定スイッチ54がオン状態とされているか否かを確認する。
【0066】
ステップS36において決定スイッチ54がオン状態とされていないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS32に戻す。以後、決定スイッチ54がオン状態とされるまでは、上昇スイッチ52及び下降スイッチ53の操作に応じた中継ミラー5の向きの調節が継続される。
【0067】
ステップS36において決定スイッチ54がオン状態とされていると判定した場合、コントローラ100はステップS37,S38を実行する。ステップS37では、高さ調節部116が、中継ミラー5の向きの調節値をミラー角度記憶部117に保存する。例えば高さ調節部116は、決定スイッチ54がオン状態であると判定した時点の中継ミラー5の向きと、上記原点位置にある中継ミラー5の向きとの差を上記調節値としてミラー角度記憶部117に保存する。ステップS38では、高さ調節部116が、モニタ4におけるカーソル93の表示を重畳位置制御部113に消去させる。以上で高さ調節手順が完了する。
【0068】
図10は、ステップS04,S07における結像位置の調節手順を例示するフローチャートである。まず、コントローラ100は、ステップS41,S42,S43,S44を実行する。ステップS41では、焦点制御部112が、距離センサ31の配置位置から利用者の顔までの距離の検出結果を距離センサ31から取得する。ステップS42では、焦点制御部112が、ステップS41において取得した検出結果に基づいて、反射面3aから利用者の顔までの距離を算出する。例えば焦点制御部112は、反射面3aの法線に対する距離センサ31の傾斜角の余弦を上記検出結果に乗算することで、反射面3aから利用者の顔までの距離を算出する。ステップS43では、焦点制御部112が、モニタ4から中継ミラー5及び透過面3bを経て反射面3aに至るまでの光路長を、ステップS42において算出された距離に近付けるようにモニタ4の目標位置(目標高さ)を算出する。ステップS44では、モニタ4の現在位置が目標位置に一致しているか否かを焦点制御部112が確認する。
【0069】
ステップS44においてモニタ4の現在位置が目標位置に一致していないと判定した場合、コントローラ100はステップS45を実行する。ステップS45では、焦点制御部112が、モニタ位置調節部10によりモニタ4を目標位置に移動させる。ステップS44においてモニタ4の現在位置が目標位置に一致していると判定した場合、結像位置の調節手順が完了する。
【0070】
図11は、ステップS05,S08における透過位置の調節手順を例示するフローチャートである。コントローラ100は、ステップS51,S52,S53,S54,S55,S56を順に実行する。ステップS51では、重畳位置制御部113が、カメラ32のイメージセンサから、利用者の顔の撮像画像を取得する。ステップS52では、重畳位置制御部113が、画像処理により、上記撮像画像から利用者の顔の輪郭を認識する。ステップS53では、重畳位置制御部113が、ステップS52において認識した輪郭に基づいて、反射面3aにおける反射像の反射位置及び大きさを算出する。
【0071】
ステップS54では、重畳位置制御部113が、ステップS53において算出した反射像の反射位置に、反射面3aにおける重畳画像の透過位置を近付けるように、モニタ4内における重畳画像の表示位置を算出する。ステップS55では、重畳位置制御部113が、ステップS53において算出した反射像の大きさに、反射面3aにおける重畳画像の大きさを近付けるように、モニタ4内における重畳画像の表示サイズを算出する。ステップS56では、重畳位置制御部113が、ステップS54において算出された表示位置と、ステップS55において算出された表示サイズにて重畳画像(例えば図5に示されるガイド92の画像)を表示するための画像データを生成し、モニタ4に出力する。
【0072】
図12は、ステップS06におけるモニタ4の高さの微調節手順を例示するフローチャートである。まず、コントローラ100は、ステップS61を実行する。ステップS61では、上昇スイッチ52がオン状態となっているか否かをピント微調節部114が確認する。
【0073】
ステップS61において上昇スイッチ52がオン状態となっていると判定した場合、コントローラ100はステップS62を実行する。ステップS62では、ピント微調節部114が、予め設定された1ピッチ分の上昇量にて、モニタ位置調節部10によりモニタ4を上昇させる。
【0074】
ステップS61において上昇スイッチ52がオン状態となっていないと判定した場合、コントローラ100はステップS63を実行する。ステップS63では、下降スイッチ53がオン状態となっているか否かをピント微調節部114が確認する。
【0075】
ステップS63において下降スイッチ53がオン状態となっていると判定した場合、コントローラ100はステップS64を実行する。ステップS64では、ピント微調節部114が、予め設定された1ピッチ分の下降量にて、モニタ位置調節部10によりモニタ4を下降させる。
【0076】
次に、コントローラ100はステップS65を実行する。ステップS63において下降スイッチ53がオン状態となっていないと判定した場合、コントローラ100はステップS62,S64のいずれも実行することなくステップS65を実行する。ステップS65では、モニタ4の高さの微調節の終了指令が入力されたか否かをピント微調節部114が確認する。例えばピント微調節部114は、決定スイッチ54がオン状態とされているか否かを確認する。
【0077】
ステップS65において決定スイッチ54がオン状態とされていないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS61に戻す。以後、決定スイッチ54がオン状態とされるまでは、上昇スイッチ52及び下降スイッチ53の操作に応じたモニタ4の高さの調節が継続される。
【0078】
ステップS65において決定スイッチ54がオン状態とされていると判定した場合、コントローラ100はステップS66を実行する。ステップS66では、ピント微調節部114が、モニタ4の高さの調節値をピント調節値記憶部115に保存する。例えばピント微調節部114は、決定スイッチ54がオン状態であると判定した時点のモニタ4の高さと、ステップS06を開始した時点のモニタ4の高さとの差を上記調節値として記憶する。以上でモニタ4の高さの微調節手順が完了する。
【0079】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、鏡台1は、互いに逆向きの反射面3aと透過面3bとを有し、反射面3aに入射した光の少なくとも一部を反射させ、透過面3bに入射した光の少なくとも一部を透過させるハーフミラー3と、反射面3aによる人物の反射像に重畳させるための重畳画像を表示するモニタ4と、重畳画像がハーフミラー3を透過して人物に向かうように、モニタ4からの光を透過面3bに向けて反射させる中継ミラー5と、中継ミラー5とモニタ4とが並ぶ方向におけるモニタ4の位置を可変にするモニタ位置調節部10と、を備える。
【0080】
鏡台1では、中継ミラー5とモニタ4とが並ぶ方向におけるモニタ4の位置が可変であるため、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を人物の反射像の結像位置に近付けることができる。従って、反射像と重畳画像との視認性向上に有効である。
【0081】
鏡台1は、ハーフミラー3を透過した重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御する焦点制御部112を更に備えていてもよい。この場合、重畳画像の結像位置を反射像の結像位置に近付けるようにモニタ4の位置が自動調節される。従って、反射像と重畳画像との視認性を更に向上させることができる。
【0082】
鏡台1は、人物から反射面3aまでの距離を検出する距離センサ31を更に備え、焦点制御部112は、モニタ4から中継ミラー5及び透過面3bを経て反射面3aに至るまでの光路長を、距離センサ31により検出された距離に近付けるようにモニタ位置調節部10を制御してもよい。この場合、重畳画像の結像位置を人物の反射像の結像位置に近付けることを、距離情報に基づく簡単な制御によって実現することができる。
【0083】
鏡台1は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、モニタ4内における重畳画像の表示位置を調節する重畳位置制御部113を更に備えていてもよい。この場合、重畳画像の透過位置と反射像の反射位置とが近付くようにモニタ4による重畳画像の表示位置が自動調節される。従って、反射像と重畳画像との視認性を更に向上させることができる。また、画像データ上の調節によって重畳画像の透過位置を調節することができるためハードウェア構成を簡素化することができる。
【0084】
鏡台1は、中継ミラー5の向きを変更するミラー駆動部20と、反射面3aにおける重畳画像の透過位置を反射面3aにおける反射像の反射位置に近付けるように、ミラー駆動部20による中継ミラー5の向きを調節する重畳位置制御部113とを更に備えていてもよい。この場合、画像サイズの制約を受けることなく重畳画像の透過位置を調節することができる。
【0085】
重畳位置制御部113は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを近付けるように、ミラー駆動部20による中継ミラー5の向きと、モニタ4内における重畳画像の表示位置とを調節してもよい。
【0086】
例えば、重畳位置制御部113は、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを左右方向において近付けるようにモニタ4内における重畳画像の表示位置を調節し、反射面3aにおける重畳画像の透過位置と反射面3aにおける反射像の反射位置とを上下方向において近付けるようにミラー駆動部20による中継ミラー5の向きを調節してもよい。
【0087】
上述したように、モニタ4による重畳画像の表示位置を調節する方式(以下、「第1方式」という。)によれば、画像データ上の調節によって重畳画像の透過位置を調節することができるためハードウェア構成を簡素化することができる。一方、画像データ上における重畳画像の表示位置の調節代は画像サイズによって制限される。
【0088】
また、上述したように、中継ミラー5の向きを調節する方式(以下、「第2方式」という。)によれば、画像サイズの制約を受けることなく重畳画像の透過位置を調節することができる。一方、中継ミラー5の向きを調節するために、中継ミラー5を駆動する機構が求められる。
【0089】
ここで、反射面3aに映される人物が利用者の顔である場合、人物の左右方向の位置は、利用者自身によって反射面3aの中央に合わせられることが期待される。一方、人物の高さは利用者の身長等によって大きくばらつくことが想定される。従って、第1方式を左右方向の位置調節に適用し、第2方式を上下方向の位置調節に適用することで、両方式の利点を有効活用することができる。
【0090】
ハーフミラー3は、反射面3aに入射した光の反射率が、透過面3bに入射した光の透過率よりも高くなるように構成されていてもよい。この場合、反射像と重畳画像との視認性を更に向上させることができる。
【0091】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0092】
例えば、操作パネル50はハーフミラー3の一部領域にタッチパネル方式として設けてもよく、ハーフミラー3とは別に独立して設けてもよい。
【0093】
また、セルフケアのガイド用のモニタ画像は、インターネット通信を利用して外部より画像を取り込んでもよく、あるいは、過去のモニタ画像を記憶して、その記憶された画像を呼び出すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…鏡台、3…ハーフミラー、3a…反射面、3b…透過面、4…モニタ、5…中継ミラー、10…モニタ位置調節部、20…ミラー駆動部、31…距離センサ、112…焦点制御部、113…重畳位置制御部。
図1
図2
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図5
図6
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図10
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図12