IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サクサ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-緊急通報装置 図1
  • 特許-緊急通報装置 図2
  • 特許-緊急通報装置 図3
  • 特許-緊急通報装置 図4
  • 特許-緊急通報装置 図5
  • 特許-緊急通報装置 図6
  • 特許-緊急通報装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】緊急通報装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20230307BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20230307BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H04M1/00 S
H04M11/04
G08B25/08 B
G08B25/08 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019090920
(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2020188344
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】平 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 佳之
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-112692(JP,A)
【文献】特開2006-121547(JP,A)
【文献】特開2006-191474(JP,A)
【文献】特開2011-166574(JP,A)
【文献】特開2005-026803(JP,A)
【文献】特開2000-106606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0121593(US,A1)
【文献】特開2015-138988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00-31/00
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令台への緊急通報後、予め設定された一般の通報先へ発信する第1の発信手段と、
当該発信が話中となったとき、第三者発信制限機能の制限時間の想定値と前記第1の発信手段の再発信周期の設定値との大小関係に基づき、前記話中が一般の通報先の通話中による話中が第三者発着信制限機能による話中かを判断する判断手段と、
を有する緊急通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載された緊急通報装置において、
前記判断手段は、前記制限時間の想定値が前記再発信周期の設定値より小さい場合、初回の発信のみ第三者発着信制限機能による話中と判断する緊急通報装置。
【請求項3】
請求項1に記載された緊急通報装置において、
前記判断手段は、前記制限時間の想定値が前記再発信周期の設定値以上の場合、前記制限時間内の発信のみ、第三者発着信制限機能による話中と判断する緊急通報装置。
【請求項4】
請求項1に記載された緊急通報装置において、
第1の発信手段による再発信回数をカウントするカウント手段を有し、
当該カウント手段は、前記判断手段により、第三者発着信制限機能による話中と判断されたとき、再発信回数をカウントアップしない緊急通報装置。
【請求項5】
請求項1に記載された緊急通報装置において、
一般の通報先が複数設定されている場合、前記判断手段により、一般の通報先の通話中による話中と判断されたとき、前記第1の発信手段が一般の通報先を切り替えずに発信するか切り替えて発信するかの設定が可能な緊急通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警察署、海上保安庁、消防署などの緊急通報機関へ緊急通報を行う緊急通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
警察署、海上保安庁、消防署などの緊急通報機関の受付システム(以下、指令台)の電話番号である特番(110番、118番、119番)へ緊急通報を行う緊急通報システムにおいては、交通事故、火災等の緊急通報要因が発生したとき、電話回線を捕捉して緊急通報を行う。
【0003】
例えば火災通報装置の場合、火災通報要因が発生したとき、消防指令台の電話番号である119番へ発信し、消防指令台の応答後、内蔵する音声メッセージを送信し、電話回線を切断する。その後、火災通報装置は消防指令台からの逆信(呼び返し)を一定時間待機し、逆信があったときは、火災通報装置に接続されている火災通報専用電話機で応答して通話し、通話終了後に電話回線を切断する(特許文献1)。
【0004】
このようなアナログ電話回線を使用する緊急通報においては、発信側(緊急通報装置側)が指令台への通報後、発信側が回線を切断しても、指令台側が回線を切断するまで回線を保留し、発信側から「他への発信」及び「他からの着信」を制限することで、指令台からの逆信を確実に発信側へ通知することができる。
【0005】
また、今後従来のアナログ電話回線をIP回線に移行するにあたり、回線を保留する機能が停止され、代替機能として「第三者発着信制限機能」によって、回線保留機能を担保する(非特許文献1)。
【0006】
第三者発着信制限機能とは、発信側(緊急通報装置側)からの回線切断後に、発信側と指令台側以外の第三者との通話(発着信)を一定時間制限することにより、逆信時の話中を回避する機能である(指令台側が先に回線切断した場合は、この機能は動作しない)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-106606号公報
【0008】
【文献】資料32-2「IP網移行後の緊急通報について(追加のご説明)」第15頁、2017年6月2日 東日本電信電話株式会社 西日本電信電話株式会社(http://www.soumu.go.jp/main_content/000488738.pdf 平成31年4月17日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、第三者発着信制限機能には、その動作中(第三者発着信制限中)に発信動作を行うと、話中(BT:ビジートーン)となり、発信側ではこの話中が第三者発着信制限機能によるものなのか、発信先が通話中であることによるものなのか判断できないことに起因する問題がある。
【0010】
この問題について、図6及び図7を参照して説明する。ここで、図6は、第三者発着信制限機能の制限時間が長い(一般の通報先への再発信周期より制限時間が長い)ため、一般の通報先への通報を行えなくなる場合である。また、図7は、予め設定された複数の一般の通報先への通報順序が変わってしまう場合である。以下、順番に説明する。
【0011】
図6に示されているように、緊急通報装置100は、通報要因が発生すると、特番へダイヤル(発信)する(手順S301)。より詳しくは電話網2のメタルIP電話回線へ特番の選択信号を送信する。特番への発信を検出した電話網2は指令台3へ着信させる(手順S302)。以後、指令台3と緊急通報装置100との間で、周知の手順(指令台3の応答、緊急通報装置100から指令台3への音声メッセージの送信、緊急通報装置100側からの回線の切断、指令台3からの逆信、緊急通報装置100の応答)の後、緊急通報装置100に収容されている電話機(図示せず)と指令台3との間で逆信通話が行われる(手順S303)。その後、逆信通話が終了すると、緊急通報装置100側から回線を切断する(手順S304,S305)。
【0012】
緊急通報装置100には、一般の通報先として第1の通報先4-1と第2の通報先4-2が予め登録されている。通報の順番は第1の通報先4-1、第2の通報先4-2の順である。
【0013】
緊急通報装置100が第1の通報先へ1回目にダイヤルしたとき(手順S306)、第三者発着信制限中であるため、話中となる(手順S307)。緊急通報装置100は、所定の再発信周期で第1の通報先へ再発信回数の設定値であるn回ダイヤルしたが(手順S308,S310)、第三者発着信制限中であるため、全て話中となる(手順S309,S311)。このため、再発信回数満了となり、緊急通報装置100は第1の通報先4-1への通報を停止する。
【0014】
次に図7について説明する。図示の処理シーケンスにおいて、手順S401から手順S405まで図6における手順S301から手順S305までと同じである。また、第1の通報先4-1への1回目のダイヤルのタイミングが第三者発着信制限中であり、それが話中となっていること(手順S406,S407)も図6における手順S306,手順S307と同じである。
【0015】
相違点は、第1の通報先4-1へ1回目にダイヤルが話中となった後、通報先を第2の通報先4-2に切り替えたところ、第三者発着信制限期間が終了していたため、第2の通報先4-2に通報できることである(手順S408から手順S411)。この結果、第1の通報先4-1、第2の通報先4-2の順に通報すべきところ、逆になっている。つまり、第1の通報先4-1への通報、第2の通報先4-2への通報が共にNG(話中、応答無し等)の際に交互に通報を繰り返す設定の場合、実際の通報は第2の通報先4-2から開始となる可能性がある。
【0016】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、指令台への緊急通報後、予め設定された一般の通報先への発信に対する話中が第三者発着信制限機能によるものなのか、一般の通報先の通話中によるものなのか判断可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る緊急通報装置は、指令台への緊急通報後、予め設定された一般の通報先へ発信する第1の発信手段と、当該発信が話中となったとき、第三者発信制限機能の制限時間の想定値と前記第1の発信手段の再発信周期の設定値との大小関係に基づき、前記話中が一般の通報先の通話中による話中か第三者発着信制限機能による話中かを判断する判断手段と、を有する緊急通報装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、指令台への緊急通報後、予め設定された一般の通報先への発信に対する話中が第三者発着信制限機能によるものなのか、一般の通報先の通話中によるものなのか判断可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る緊急通報装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの第1の処理シーケンスを示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの第2の処理シーケンスを示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの第3の処理シーケンスを示す図である。
図6】従来の緊急通報システムの第1の処理シーケンスを示す図である。
図7】従来の緊急通報システムの第2の処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
〈緊急通報システムの構成〉
図1は、本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの構成を示す図である。
している。
【0021】
図示のように、本発明の実施形態に係る緊急通報システムは、緊急通報装置1と、電話網2のメタルIP電話回線を介して緊急通報装置1に接続される指令台3、及び第1の通報先4-1,第2の通報先4-2,...とで構成される。緊急通報装置1が本発明の実施形態に係る緊急通報装置である。
【0022】
指令台3は、警察署又は海上保安庁又は消防署の受付システムであり、それぞれの電話番号である特番は110番、118番、119番である。
【0023】
緊急通報装置1は、110番又は118番又は119番へ発信して緊急通報を行う機能を備えている。なお、緊急通報装置1は、指令台3と通話を行うための専用の電話機を収容しているが、図示を省略した。
【0024】
第1の通報先4-1,第2の通報先4-2,...は、緊急通報装置1が指令台3に対する緊急通報後に通報を行う一般の通報先であり、その電話番号、メールアドレス、通報順などが緊急通報装置1に登録されている。
【0025】
〈緊急通報装置の構成〉
図2は、本発明の実施の形態に係る緊急通報装置の構成を示すブロック図である。
図示のように、本発明の実施の形態に係る緊急通報装置は、発着信制御部11、BT/RBT等検出部12、情報管理部13、及びこれらの各部を制御する主制御部14を備えている。
【0026】
発着信制御部11は、電話網2のメタルIP電話回線に接続されており、電話網2との接続制御、着信検出、選択信号送信等を行う。BT/RBT等検出部12は、BT(ビジートーン)、RBT(リングバックトーン)等の検出を行う。情報管理部13は、BT/RBT等検出部12で検出された信号の内容等に基づいて、通報先の切替/再発信回数の管理情報の制御などを行う。発着信制御部11とBT/RBT等検出部12とで回線制御部を構成する。
主制御部14は、コンピュータのプロセッサ及びメモリなどで構成されており、発着信制御部11、BT/RBT等検出部12、及び情報管理部13を制御することにより、後述する各種動作(図3図5)を緊急通報装置1に実行させる。
【0027】
ここで、発着信制御部11は第1の発信手段として機能し、情報管理部13はカウント手段として機能し、主制御部14は判断手段として機能する。
【0028】
次に本発明の実施形態に係る緊急通報システムの動作について、第1~第3の処理シーケンスを順番に説明する。
〈第1の処理シーケンス〉
図3は、本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの第1の処理シーケンスを示す図である。この処理シーケンスは、電話網2の第三者発着信制限機能の制限時間の想定値が緊急通報装置1の一般の通報先への再発信周期の設定値より小さい(短い)場合の例である。
【0029】
図示のように、緊急通報装置1は、通報要因が発生すると、特番へダイヤル(発信)する(手順S1)。特番への発信を検出した電話網2は、指令台3へ着信させる(手順S2)。以後、指令台3と緊急通報装置1との間で、周知の手順(指令台3の応答、緊急通報装置1から指令台3への音声メッセージの送信、緊急通報装置1側からの回線の切断、指令台3からの逆信、緊急通報装置1の応答)の後、緊急通報装置1に収容されている電話機(図示せず)と指令台3との間で逆信通話が行われる(手順S3)。その後、逆信通話が終了すると、緊急通報装置1側から回線を切断する(手順S4,S5)。ここまでは、図6に示されている手順S301からS305までと同じである。
【0030】
前述したように緊急通報装置1には、一般の通報先として第1の通報先4-1,第2の通報先4-2,・・・が予め登録されているが、ここでは第1の通報先4-1、第2の通報先4-2を図示した。通報の順番は第1の通報先4-1、第2の通報先4-2である。また、緊急通報装置1は、一般の通報先の各々への発信が話中となった場合、第三者発着信制限機能の制限時間の想定値(例えば20秒)より大きい(長い)所定の再発信周期で繰り返し発信する。
【0031】
緊急通報装置1が第1の通報先4-1へ1回目にダイヤルしたとき(手順S6)、第三者発着信制限中であったため、話中となった(手順S7)。緊急通報装置1は、指令台3との通話後の初回のダイヤル時の話中であるため、第三者発着信制限中、すなわち、第1の通報先4-1へ発信したときの話中(手順S7)が、第1の通報先4-1の通話中によるものではなく、電話網2の第三者発着信制限機能によるものであると判断する。
【0032】
そこで、緊急通報装置1は、所定の再発信周期で第1の通報先4-1への再発信を開始する(手順S8)。ただし、このとき図6に示されている手順とは異なり、再発信回数のカウントアップを行わない。緊急通報装置1は、この再発信、すなわち初回の発信ではない発信が話中(手順S9)となったので、この話中が電話網2の第三者発着信制限機能によるものではなく、第1の通報先4-1の通話中によるものと判断する。
【0033】
緊急通報装置1は、第1の通報先4-1の通話中と判断したので、その設定又は仕様により、以下の第1のパターン又は第2のパターンの手順を実行する。
【0034】
第1のパターンでは、通報先を切り替える。すなわち第2の通報先4-2へ1回目の発信を行う(手順S10)。ここでは、第2の通報先4-2は通話中でなかったため、電話網2は第2の通報先4-2へ着信させ(手順S11)、第2の通報先4-2のオフフックにより、応答が電話網2を経て緊急通報装置1に送信される(手順S12,S13)。つまり、第2の通報先4-2への通報が成功する。
【0035】
第2のパターンでは、通報先を切り替えずに再発信回数をカウントアップしつつ、再発信する。すなわち第1の通報先4-1へ2回目の発信を行う(手順S14)。ここでは、第1の通報先4-1は通話中でなかったため、電話網2は第1の通報先4-1へ着信させ(手順S15)、第1の通報先4-1のオフフックにより、応答が電話網2を経て緊急通報装置1に送信される(手順S16,S17)。つまり、第1の通報先4-1への通報が成功する。
【0036】
このように、第1の処理シーケンスによれば、第三者発着信制限機能の制限時間の想定値が緊急通報装置1の一般の通報先への再発信周期の設定値より小さい場合、一般の通報先への初回の発信のみ第三者発着信制限機能による話中と判断し、2回目の話中は一般の通報先の通話中による話中と判断し、その後は通報先の切替を行うか行わないかの選択が可能である。
【0037】
〈第2の処理シーケンス〉
図4は、本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの第2の処理シーケンスを示す図である。この処理シーケンスは、電話網2の第三者発着信制限機能の制限時間の想定値(例えば60秒)が緊急通報装置1の一般の通報先への再発信周期の設定値以上の場合の一例である。
【0038】
この図に示されている処理シーケンスにおいて、手順S101から手順S105までは図3における手順S1から手順S5までと同じである。また、第1の通報先4-1への1回目のダイヤルのタイミングが第三者発着信制限中であり、それが話中となっていること(手順S106,S107)も図3における手順S6,S7と同じである。
【0039】
ただし、手順S107の話中に基づく緊急通報装置1の判断の基準が異なる。すなわち第1の処理シーケンスでは指令台3との通話後の初回のダイヤル時の話中であることにより、第三者発着信制限中であると判断するのに対し、第2の処理シーケンスでは、初回のダイヤル時であり、かつ第三者発着信制限機能の制限時間の想定値(60秒)以内であることにより、第三者発着信制限中であると判断する。このように判断する理由は、初回の発信時が話中になった時の再発信や次の通報先への発信時も第三者発信制限機能の制限時間内になることもあるためである。
【0040】
緊急通報装置1は、第三者発着信制限中と判断したため、所定の再発信周期で第1の通報先4-1へ再発信する(手順S108)。このとき再発信回数のカウントアップを行わない。
【0041】
その後、第三者発着信制限機能の制限時間の想定値(例えば60秒)経過後の第1の通報先4-1への発信(手順S110)が話中(手順S111)になると、緊急通報装置1は、この話中が第1の通報先4-1の通話中によるものと判断する。
【0042】
以後の手順は第1の処理シーケンスと同じである。すなわち緊急通報装置1は、その設定により、以下の第1のパターン又は第2のパターンの手順を実行する。
【0043】
第1のパターンでは、通報先を切り替える。すなわち第2の通報先4-2へ1回目の発信を行う(手順S112)。ここでは、第2の通報先4-2は通話中でなかったため、電話網2は第2の通報先4-2へ着信させ(手順S113)、第2の通報先4-2のオフフックにより、応答が電話網2を経て緊急通報装置1に送信される(手順S114,S115)。
【0044】
第2のパターンでは、通報先を切り替えずに再発信回数をカウントアップしつつ、再発信する。すなわち第1の通報先4-1へ2回目の発信を行う(手順S116)。ここでは、第1の通報先4-1は通話中でなかったため、電話網2は第1の通報先4-1へ着信させ(手順S117)、第1の通報先4-1のオフフックにより、応答が電話網2を経て緊急通報装置1に送信される(手順S118,S119)。
【0045】
〈第3の処理シーケンス〉
図5は、本発明の実施の形態に係る緊急通報システムの第3の処理シーケンスを示す図である。この処理シーケンスは、電話網2の第三者発着信制限機能の制限時間の想定値(例えば60秒)が緊急通報装置1の一般の通報先への再発信周期の設定値以上の場合の別の一例である。
【0046】
この図に示されている処理シーケンスにおいて、手順S201から手順S207までは図4における手順S101から手順S107までと同じである。また、手順S207の話中に基づく緊急通報装置1の判断の基準も同じである。すなわち初回のダイヤル時であり、かつ第三者発着信制限機能の制限時間の想定値(例えば60秒)以内であることにより、第三者発着信制限中であると判断する。
【0047】
緊急通報装置1は、第三者発着信制限中と判断したため、次に所定の再発信周期で第1の通報先4-1へ再発信する(手順S208)。このとき再発信回数のカウントアップを行わない。この手順も手順S108と同じである。
【0048】
この再発信に対し、電話網2が第1の通報先4-1へ着信させ(手順209)、呼出中(手順S210,S211)となる。緊急通報装置1は、第三者発着信制限機能の制限時間の想定値(60秒)以内であるが、呼出中であるため、第三者発着信制限機能は解除されたと判断する。
【0049】
その後、呼出に対する応答が無かったことで、緊急通報装置1は一旦回線を切断し(手順S212,S213)、その後、所定の再発信周期で第1の通報先4-1へ再発信回数をカウントアップしつつ、再発信する(手順S214,216)。ここでは、2回目の発信(手順S214)及び3回目の発信(手順S216)を図示した。どちらも話中(手順S215,S217)である。
【0050】
以上説明した第1から第3の処理シーケンスの要点をまとめると下記になる。
指令台3への通報後の第1の通報先4-1への発信時に話中となった場合に、電話網2の第三者発信制限機能の制限時間の想定値と緊急通報装置1の一般の通報先への再発信周期の設定値との大小関係に応じて、下記(1)、(2)の処理を行う。
【0051】
(1)第三者発信制限機能の制限時間の想定値が一般の通報先への再発信周期の設定値より小さい(短い)場合、下記aからcを実行する。
a:初回の発信時の話中のみ第三者発着信制限機能の制限時間中と判断し、2回目以降の発信時の話中は第1の通報先4-1の通話中による話中と判断する。
b:第三者発着信制限機能の制限時間中と判断した場合、第1の通報先4-1から第2の通報先4-2への切替を行わずに再発信を行う。ただし、再発信回数のカウントアップを行わない。
c:第1の通報先4-1の通話中による話中と判断した場合、緊急通報装置1の設定又は仕様により、第1の通報先4-1から第2の通報先4-2への切替を行うか、又は切替を行わずに再発信回数をカウントアップしつつ再発信する。
【0052】
(2)第三者発信制限機能の制限時間の想定値が一般の通報先への再発信周期の設定値以上の場合、下記dからiを実行する。
d:初回の発信時が話中になった時の再発信や次の通報先への発信時も第三者発信制限機能の制限時間内になることもあるため、話中かつ一定時間(第三者発信制限機能の制限時間の想定値)内を第三者発着信制限中と判断する。
e:この判断を行った場合、第1の通報先4-1から第2の通報先4-2への切替を行わずに再発信を行う。ただし、再発信回数のカウントアップを行わない。
f:一定時間経過後の話中は、第1の通報先4-1の通話中による話中と判断する。
g:この判断を行った場合、緊急通報装置1の設定又は仕様により、第1の通報先4-1から第2の通報先4-2への切替を行うか、又は切替を行わずに再発信回数をカウントアップしつつ再発信する。
h:一定時間内に呼出中になった場合、第三者発着信制限機能が解除されたと判断する。
i:この判断を行った場合、第1の通報先4-1から第2の通報先4-2への切替を行わずに再発信回数をカウントアップしつつ再発信する。
【0053】
以上説明した第1から第3の処理シーケンスのどれを実行するのかについては、緊急通報装置1により任意に設定することが可能であり、その設定情報は情報管理部13が管理する。また、以上説明した実施形態は一般の通報先が複数設定されている場合に関するものであるが、本発明は一般の通報先が一つの場合にも適用できる。この場合、当然のことながら、通報先の切替を行わない。
【符号の説明】
【0054】
1…緊急通報装置、2…電話網、3…指令台、4-1,4-2…第1,2の通報先、11…発着信制御部、12…BT/RBT等検出部、13…情報管理部、14…主制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7