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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】抱腕金用鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20230307BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20230307BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A01M29/32
H02G7/00
H02G1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019128778
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021013316
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕之
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-44898(JP,U)
【文献】登録実用新案第3164266(JP,U)
【文献】特開2017-41977(JP,A)
【文献】特開2017-209018(JP,A)
【文献】実開平6-29334(JP,U)
【文献】特開2010-88415(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0042931(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/00 - 29/34
H02G 1/00 - 1/10
H02G 7/00 - 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端部側をアームタイで補強した一方の抱腕金と他方の抱腕金に跨って設置できる抱腕金用鳥害防止具であって、
底部を帯板状の基板に回動自在に連結した第1滑動板、頂上部が前記第1滑動板の頂上部と開閉自在に連結した第2滑動板、及び、一端部が前記第1滑動板の底部と回動自在に連結し、他端部側が前記第2滑動板の底部とスライド自在に連結した一対のアーム部材を有する山形の防止具本体と、
一方の前記抱腕金をその側面側から導入自在に対向配置した一組の把持片、及び、これらの把持片の基端部同士を連結した連結片を有するC形の支持金具と、を備え、
前記基板は、その底面から穿設した長方形の案内溝を有し、
前記支持金具は、
一方の前記把持片から立設し、前記案内溝に嵌合して前記防止具本体を支持すると共に、前記防止具本体を前記抱腕金の長手方向に沿ってスライド自在に案内する矩形の案内レールと、
他方の前記把持片から突出し、間接活線工事用の絶縁操作棒で把持できる第1把持部と、を有している、抱腕金用鳥害防止具。
【請求項2】
前記第2滑動板は、間接活線工事用の絶縁操作棒で把持できる第2把持部を底部側に有し、
前記第2把持部を操作して、前記第2滑動板の底部が前記アーム部材の一端部側に向かって移動した状態では、前記第1滑動板と前記第2滑動板を互いに閉じて、前記防止具本体を一方の前記抱腕金から起立でき、
前記第2把持部を操作して、前記第2滑動板の底部が前記アーム部材の他端部側に向かって移動した状態では、前記第1滑動板と前記第2滑動板を互いに開いて、前記防止具本体を一方の前記抱腕金と他方の前記抱腕金に跨って設置できる、請求項1記載の抱腕金用鳥害防止具。
【請求項3】
前記第1滑動板と前記第2滑動板を互いに開いた状態では、前記第1滑動板は、営巣材が滑動する第1斜面を形成すると共に、前記第2滑動板は、営巣材が滑動する第2斜面を形成している、請求項2記載の抱腕金用鳥害防止具。
【請求項4】
前記案内溝は、
長手方向に沿った一方の内壁に形成したV溝と、
長手方向に沿った他方の内壁に形成した円弧溝と、を有し、
前記案内レールは、
一方の側面に形成し、前記V溝に嵌合する山型突条と、
他方の側面に形成し、前記円弧溝に嵌合する半円弧状突条と、を有している、請求項1から3のいずれかに記載の抱腕金用鳥害防止具。
【請求項5】
前記支持金具は、
両端部を一方の前記把持片に回動自在に連結した回動軸と、
頭部を前記回動軸にT字状に接合したボルト部材と、
前記ボルト部材のねじ部と螺合できる一つ以上のナット部材と、を更に備え、
他方の前記把持片は、先端縁から切り欠き、前記ボルト部材を外周方向から導入できる切り欠き部を有し、
前記切り欠き部に前記ボルト部材を導入した状態から、前記ナット部材を他方の前記把持片に締結することで、前記支持金具を一方の前記抱腕金に固定できる、請求項1から4のいずれかに記載の抱腕金用鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抱腕金用鳥害防止具に関する。特に、絶縁操作棒を用いて、無停電状態で電気工事を実施できる間接活線工事に適した抱腕金用鳥害防止具であって、カラス又は鳩などの鳥類が電柱に固定した抱腕金に営巣することで発生する鳥害を防止する抱腕金用鳥害防止具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電柱は、四角パイプ状の腕金を略水平状態で装架している。腕金は、ピン碍子を介して、架空送電線を支持している。カラス又は鳩などの鳥類が電柱に固定した腕金に営巣すると、鳥類の糞が電気装柱物に付着するなどの鳥害が発生する心配がある。このため、複数の傘の骨組み状の鳥害防止具、いわゆる、アンブレラボーン形の鳥害防止具を腕金に立設することで、鳥類の飛来を防止する鳥害対策が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、先端の尖った針体を林立した、いわゆる、針山形の鳥害防止具を腕金の上面に設置することで、鳥類の飛来を防止する鳥害対策も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-117269号公報
【文献】特開平11-289644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11は、従来技術によるアンブレラボーン形の鳥害防止具の構成を示す側面図である。図12は、従来技術によるアンブレラボーン形の鳥害防止具を拡大した状態で示す正面図である。なお、本願の図11図12は、特許文献1の図1図2に相当している。
【0006】
図11又は図12を参照すると、従来技術によるアンブレラボーン形の鳥害防止具8は、真直に延びる円筒状の主軸部材81と二つの円環状の分岐部材82を備えている。又、鳥害防止具8は、長さの異なる複数の枝棒83と二つの管状のスリーブ84を備えている。
【0007】
図11又は図12を参照すると、分岐部材82は、主軸部材81を内部に挿入できる。枝棒83の基端部は、分岐部材82の外周に固定されている。そして、複数の枝棒83は、分岐部材82の遠心方向に放射状に配置されると共に、それらの先端部が分岐部材82から下り傾斜した状態で配置されている。
【0008】
図11又は図12を参照すると、スリーブ84は、主軸部材81を内部に挿入している。主軸部材81の基端部と下段の分岐部材82の間に、一方のスリーブ84を介在させることで、主軸部材81の基端部から下段の分岐部材82までの高さを規定できる。又、上段の分岐部材82と下段の分岐部材82の間に、他方のスリーブ84を介在させることで、上段の分岐部材82と下段の分岐部材82の間隔を規定できる。更に、主軸部材81の先端部に石突81aを締結することで、鳥害防止具8の構成部材を一体化できる。
【0009】
図11又は図12を参照すると、鳥害防止具8は、支持金具85を更に備えている。支持金具85は、L字状に屈曲した支持部材85aとL字状に屈曲したボルト部材85bを有している。又、支持金具85は、ナット部材85cと三角体状の押え部材85dを有している。
【0010】
図12を参照すると、支持部材85aは、主軸部材81の基端部を挿通できる挿通孔を一片の先端部側に開口している。主軸部材81の基端部を前記挿通孔に挿通し、ナット部材91nを主軸部材81の基端部に締結することで、支持部材85aの先端部に鳥害防止具8を固定できる。又、支持部材85aの一片の基端部側は、腕金Aの上面に載置されると共に、支持部材85aの他片は、腕金Aの側面に対向配置されている。
【0011】
図12を参照すると、ボルト部材85bは、その一端部が支持部材85aの一片に係止されている。又、ボルト部材85bは、雄ねじ部を他端部側に螺設している。支持部材85aの他片とボルト部材85bの一端部側が腕金Aの両側面に対向配置された状態では、ボルト部材85bの他端部側は、押え部材85dを貫通すると共に、支持部材85aの他片から突出している。そして、ボルト部材85bの雄ねじ部にナット部材85cを締結することで、支持金具85を介して、鳥害防止具8を腕金Aに支持できる。なお、押え部材85dは、その上面が腕金Aの下面に当接している。
【0012】
図12を参照すると、腕金Aは、電柱Pに片持ち支持されている。又、腕金Aは、略水平状態に配置されている。腕金Aには、三つのピン碍子Piを略等間隔で配置している。図11を参照すると、一対の腕金A・Aは、電柱Pを挟んで略平行に配置されている。電柱Pを挟んで配置された一対の腕金A・Aは、いわゆる、抱腕金と呼ばれている。抱腕金は、単独の腕金を2本で電柱Pに挟んだ態様をいう。
【0013】
図11又は図12を参照すると、特許文献1による鳥害防止具8は、隣接し合う一組のピン碍子Pi・Piの中央部に配置されると共に、対向する一対の腕金A・Aの中央部に配置されているので、複数の枝棒83の先端がピン碍子Piに接触することなく、複数の枝棒83が四つのピン碍子Piよりも内側の領域を覆うように放射状に配置され、鳥類の大きさに拘らず営巣を確実に防止することができる、としている。
【0014】
又、図11又は図12を参照すると、特許文献1による鳥害防止具8は、複数の枝棒83が鉛直方向に間隔をあけて複数設けることができるので、複数の枝棒83の配置密度を小さくして、飛来する鳥類による営巣をより確実に防止することができる、としている。
【0015】
図13は、従来技術による針山形の鳥害防止具の構成を示す斜視図であり、針山形の鳥害防止具を腕金に取り付けた状態図である。図14は、従来技術による針山形の鳥害防止具の構成を示す斜視分解組立図である。
【0016】
又、図15は、従来技術による針山形の鳥害防止具の右側面図であり、針山形の鳥害防止具を腕金に取り付ける手順を示す状態変化図である。図16は、従来技術による針山形の鳥害防止具を取り付けようとする腕金の装柱図である。
【0017】
なお、本願の図13図14は、特許文献2の図5図2に相当している。又、本願の図15は、特許文献2の図4に相当している。
【0018】
図13又は図14を参照すると、従来技術による針山形の鳥害防止具9は、防止具本体91とC形の支持金具92で構成している。防止具本体91は、鳥類が腕金Aに飛来して営巣することを防止できる。防止具本体91は、絶縁性を有する合成樹脂で成形されている。支持金具92は、防止具本体91を腕金Aに取り付けでき、防止具本体91を支持できる。
【0019】
図13又は図14を参照すると、防止具本体91は、帯板状の格子板91gと先端の尖った複数の針体91pを備えている。格子板91gは、長手方向に延びる複数の竪桟部材911と、竪桟部材911と略直交する複数の横桟部材912で構成している。針体91pは、竪桟部材911と横桟部材912の交点、又は、横桟部材912の端縁部から立設している。
【0020】
図13又は図14を参照すると、支持金具92は、一組の把持片92a・92bと連結片92cを有している。一組の把持片92a・92bは、所定の間隔を設けて略平行に配置されている。一組の把持片92a・92bは、それらの先端部にボルト挿通孔92hを開口している。連結片92cは、一組の把持片92a・92bの基端部同士を連結している。
【0021】
図13又は図14を参照すると、一組の把持片92a・92bの間には、腕金Aをその側面方向から導入できる。腕金Aを一組の把持片92a・92bの間に導入後に、ボルト挿通孔92hにボルト部材93を挿通し、ボルト部材93の先端部側にナット部材Nを締結することで、支持金具92を腕金Aに固定できる。
【0022】
図18又は図19を参照すると、支持金具92は、矩形の挟持板94を更に備えている。挟持板94は、一方の把持片92aの上面に溶接で接合している。挟持板94は、その一側部から一対の鉤状の嵌合片94a・94aを立設している。又、挟持板94は、その他側部から一対の鉤状の係止片94b・94bを立設している。そして、嵌合片94aと係止片94bは、対向配置されている。
【0023】
図13又は図14を参照して、嵌合片94aと係止片94bとの間隔は、防止具本体91に形成した一組の竪桟部材911・911が嵌合する寸法を有している。一方の竪桟部材911を一対の嵌合片94a・94aに嵌合させた後に、他方の竪桟部材911を一対の係止片94b・94bに押し込むことにより、防止具本体91を挟持板94に取り付けることができる。
【0024】
次に、このように構成した鳥害防止具9の腕金Aへの取り付け手順を説明する。最初に、図13を参照して、腕金Aに突設したピン碍子Piから腕金Aの端部に至る長さに合うように、長尺に形成した格子板91gを切断して、防止具本体91を寸法採りする。そして、このように寸法採りした防止具本体91の長手方向の中央位置で、格子板91gの下面に支持金具92の挟持板94を取り付ける。
【0025】
上記の取り付け手順は、図15(A)に示すように、防止具本体91の下方に支持金具92を配置する。次に、支持金具92の挟持板94に向って、格子板91gを押し付けることで、一対の嵌合片94a・94aの間に、一組の竪桟部材911・911を嵌入できる(図13参照)。そして、図15(B)に示すように、支持金具92は、防止具本体91を支持できる。
【0026】
次に、図15(C)を参照して、支持金具92の連結片92cを絶縁操作棒5の先端部に設けた工具部52で挟持する。次に、絶縁操作棒5を操作して、図15(D)に示すように、一組の把持片92a・92bの間に腕金Aを導入して、支持金具92を掛止する。
【0027】
次に、図15(E)を参照して、絶縁操作棒5を用いて、把持片92a・92bに開口したボルト挿通孔92hにボルト部材93を上側から挿通する。図示しない絶縁操作棒の先端部に取り付けたボックスレンチにナット部材Nを装着し、図示しない絶縁操作棒を操作することで、図15(F)に示すように、把持片92bの下側からボルト部材93にナット部材Nを締結できる。これにより、図13に示すように、針山形の鳥害防止具9を腕金Aの上面に固定できる。
【0028】
図11又は図12に示したアンブレラボーン形の鳥害防止具8と、図13から図15に示した針山形の鳥害防止具9を対比すると、アンブレラボーン形の鳥害防止具8は、針山形の鳥害防止具9と比べて、構成が複雑なので、一般に単価が高い。したがって、複数の針山形の鳥害防止具9を腕金に配列することが、設置費用の面では好ましい。
【0029】
又、アンブレラボーン形の鳥害防止具8と、針山形の鳥害防止具9を対比すると、アンブレラボーン形の鳥害防止具8は、針山形の鳥害防止具9と比べて、複数の枝棒83で構成した外形が大きく、間接活線工事用の絶縁操作棒を用いて、腕金を迂回した縁線などを配設した腕金に取り付けるには、困難なことが多いという問題がある。
【0030】
一方、図16を参照すると、電柱Pは、腕金Aの中央部を支持している。腕金Aの一端部側には、二個のピン碍子Pi・Piを配置している。一方のピン碍子Piは、腕金Aの一端部側の端部に配置されている。他方のピン碍子Piは、腕金Aの一端部側の電柱P寄りに配置されている。腕金Aの他端部側には、一個のピン碍子Piを端部に配置している。
【0031】
又、図16を参照すると、電柱Pは、傾斜したアームタイAtを配置している。アームタイAtは、その一端部が電柱Pに緊締したアームタイバンドBtに連結している。又、アームタイAtは、その他端部が腕金Aの他端部側の中央部に連結している。腕金AをアームタイAtで電柱Pに支持することで、腕金Aの傾斜を抑制できる。
【0032】
ところで、前述したように、特許文献2による針山形の鳥害防止具9は、防止具本体91の長手方向の中央位置に支持金具92を取り付けた後に(図13参照)、支持金具92を腕金Aに固定している。したがって、図16を参照して、腕金Aの他端部側では、支持金具92がアームタイAtに干渉して、鳥害防止具9の取り付けが困難になるという問題がある。
【0033】
図16を参照して、支持金具92がアームタイAtに干渉しないように、鳥害防止具9を地上に降ろして、防止具本体91に対する支持金具92の取り付け位置を修正して、再度、鳥害防止具9を腕金Aに取り付けることになるので、作業効率を低下させるという問題がある。
【0034】
間接活線工事用の絶縁操作棒を用いて、アームタイで補強された抱腕金に容易に取り付けできると共に、一対の抱腕金に亘り営巣を防止できる新たな形状の抱腕金用鳥害防止具が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0035】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、間接活線工事用の絶縁操作棒を用いて、アームタイで補強された抱腕金に容易に取り付けできると共に、一対の抱腕金に亘り営巣を防止できる新たな形状の抱腕金用鳥害防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明者は、アームタイで補強された一方の抱腕金に支持金具を固定し、支持金具に対して、相反する向きに傾斜面を有する山形の防止具本体が一方の抱腕金の長手方向に沿って、スライド自在に支持金具と連結させると共に、折り畳んだ状態の防止具本体が頂上部を回動中心に一対の抱腕金に跨って開くことで、上記の課題を解決できると考え、これに基づいて、以下のような新たな抱腕金用鳥害防止具を発明するに至った。
【0037】
(1)本発明による抱腕金用鳥害防止具は、少なくとも一端部側をアームタイで補強した一方の抱腕金と他方の抱腕金に跨って設置できる抱腕金用鳥害防止具であって、底部を帯板状の基板に回動自在に連結した第1滑動板、頂上部が前記第1滑動板の頂上部と開閉自在に連結した第2滑動板、及び、一端部が前記第1滑動板の底部と回動自在に連結し、他端部側が前記第2滑動板の底部とスライド自在に連結した一対のアーム部材を有する山形の防止具本体と、一方の前記抱腕金をその側面側から導入自在に対向配置した一組の把持片、及び、これらの把持片の基端部同士を連結した連結片を有するC形の支持金具と、を備え、前記基板は、その底面から穿設した長方形の案内溝を有し、前記支持金具は、一方の前記把持片から立設し、前記案内溝に嵌合して前記防止具本体を支持すると共に、前記防止具本体を前記抱腕金の長手方向に沿ってスライド自在に案内する矩形の案内レールと、他方の前記把持片から突出し、間接活線工事用の絶縁操作棒で把持できる第1把持部と、を有している。
【0038】
(2)前記第2滑動板は、間接活線工事用の絶縁操作棒で把持できる第2把持部を底部側に有し、前記第2把持部を操作して、前記第2滑動板の底部が前記アーム部材の一端部側に向かって移動した状態では、前記第1滑動板と前記第2滑動板を互いに閉じて、前記防止具本体を一方の前記抱腕金から起立でき、前記第2把持部を操作して、前記第2滑動板の底部が前記アーム部材の他端部側に向かって移動した状態では、前記第1滑動板と前記第2滑動板を互いに開いて、前記防止具本体を一方の前記抱腕金と他方の前記抱腕金に跨って設置できることが好ましい。
【0039】
(3)前記第1滑動板と前記第2滑動板を互いに開いた状態では、前記第1滑動板は、営巣材が滑動する第1斜面を形成すると共に、前記第2滑動板は、営巣材が滑動する第2斜面を形成していることが好ましい。
【0040】
(4)前記案内溝は、長手方向に沿った一方の内壁に形成したV溝と、長手方向に沿った他方の内壁に形成した円弧溝と、を有し、前記案内レールは、一方の側面に形成し、前記V溝に嵌合する山型突条と、他方の側面に形成し、前記円弧溝に嵌合する半円弧状突条と、を有していることが好ましい。
【0041】
(5)前記支持金具は、両端部を一方の前記把持片に回動自在に連結した回動軸と、頭部を前記回動軸にT字状に接合したボルト部材と、前記ボルト部材のねじ部と螺合できる一つ以上のナット部材と、を更に備え、他方の前記把持片は、先端縁から切り欠き、前記ボルト部材を外周方向から導入できる切り欠き部を有し、前記切り欠き部に前記ボルト部材を導入した状態から、前記ナット部材を他方の前記把持片に締結することで、前記支持金具を一方の前記抱腕金に固定できることが好ましい。
【発明の効果】
【0042】
本発明による抱腕金用鳥害防止具は、第1滑動板、第2滑動板、及び、一対のアーム部材で閉鎖リンクを構成した山形の防止具本体と、抱腕金に固定できるC形の支持金具と、を備え、防止具本体は、長方形の案内溝を有し、支持金具は、案内溝に嵌合し、腕金の長手方向に沿って防止具本体をスライド自在に案内する案内レールを有しているので、アームタイに干渉することなく、抱腕金用鳥害防止具を腕金に設置できる。
【0043】
又、本発明による抱腕金用鳥害防止具は、折り畳んだ状態の防止具本体が頂上部を回動中心に一対の抱腕金に跨って開くことで、鳥類などが飛来して、一対の抱腕金に亘り営巣することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態による抱腕金用鳥害防止具の構成を示す斜視図である。
図2】前記実施形態による抱腕金用鳥害防止具の要部を拡大した斜視図である。
図3】前記実施形態による抱腕金用鳥害防止具に備わる支持金具の構成を示す図であり、図3(A)は、支持金具の正面図、図3(B)は、支持金具の平面図、図3(C)は、支持金具の右側面図、図3(D)は、支持金具の左側面図、図3(E)は、支持金具の下面図である。
図4】前記実施形態による抱腕金用鳥害防止具の使用状態を示す正面図であり、腕金用鳥害防止具を一方の抱腕金に装着する前の状態図である。
図5】前記実施形態による抱腕金用鳥害防止具の使用状態を示す正面図であり、腕金用鳥害防止具を一方の抱腕金に装着した状態図である。
図6】前記実施形態による抱腕金用鳥害防止具の使用状態を示す正面図であり、抱腕金用鳥害防止具に備わる山形の防止具本体を他方の抱腕金に向かって傾動した状態図である。
図7】前記実施形態による抱腕金用鳥害防止具の使用状態を示す正面図であり、抱腕金用鳥害防止具に備わる山形の防止具本体を一方の抱腕金と他方の抱腕金に跨って設置した状態図である。
図8】前記実施形態による抱腕金用鳥害防止具を取り付けようとする抱腕金の装柱図である。
図9】本発明による抱腕金用鳥害防止具を操作するための絶縁操作棒の構成を示す正面図である。
図10図9の要部を拡大した正面図である。
図11】従来技術によるアンブレラボーン形の鳥害防止具の構成を示す側面図である。
図12】従来技術によるアンブレラボーン形の鳥害防止具を拡大した状態で示す正面図である。
図13】従来技術による針山形の鳥害防止具の構成を示す斜視図であり、針山形の鳥害防止具を腕金に取り付けた状態図である。
図14】従来技術による針山形の鳥害防止具の構成を示す斜視分解組立図である。
図15】従来技術による針山形の鳥害防止具の右側面図であり、針山形の鳥害防止具を腕金に取り付ける手順を示す状態変化図である。
図16】従来技術による針山形の鳥害防止具を取り付けようとする腕金の装柱図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0046】
本発明による抱腕金用鳥害防止具の構成を説明する前に、本発明による抱腕金用鳥害防止具を操作するための絶縁操作棒の構成を説明する。
【0047】
(絶縁操作棒の構成)
図9又は図10を参照すると、絶縁操作棒5は、長尺の操作棒51と工具部52で構成している。又、絶縁操作棒5は、作動棒53を備えている。工具部52は、操作棒51の先端部に取り付けている。
【0048】
図9又は図10を参照すると、工具部52は、開閉する一対の湾曲した把持腕5a・5bで構成している。そして、一方の把持腕5aは、基端部が固定された固定腕であり、他方の把持腕5bは、一方の把持腕5aの基端部に設けた回動軸5cを中心に回動する可動腕となっている。
【0049】
図9を参照すると、作動棒53は、操作棒51に沿って保持されている。作動棒53の先端部は、他方の把持腕5bに回動自在に連結している。そして、作動棒53の基端部に設けた操作レバー54を操作すると、一方の把持腕5aに対して、他方の把持腕5bを開閉できる。絶縁操作棒5は、操作棒51及び作動棒53の中間部が絶縁性を有するプラスチックパイプなどで構成され、間接活線工法に好適なように、絶縁性を確保している。
【0050】
図9を参照して、操作レバー54を握って、操作レバー54を操作棒51に近づけると、一方の把持腕5aに対して、他方の把持腕5bを閉じることができる。操作レバー54を解放すると、操作レバー54に連結したばね(図示せず)の力で、一方の把持腕5aに対して、他方の把持腕5bを開くことができる。図9又は図10は、一方の把持腕5aに対して、他方の把持腕5bが最大に開いた状態を示している。
【0051】
図9又は図10を参照して、一方の把持腕5aは、先細り状の把持爪51aを突出している。把持爪51aは、把持面50aを形成している。把持面50aは、回動軸5cの回転中心から遠心方向に沿って略平行に形成されている。同様に、他方の把持腕5bは、先細り状の把持爪51bを突出している。把持爪51bは、把持面50bを形成している。把持面50bは、把持面50aと所定の開角を設けて配置されている。図9又は図10を参照して、操作レバー54を握ると、把持面50bを把持面50aに近づけることができる。
【0052】
図9又は図10に示した絶縁操作棒5は、高所に配置された高圧配電線などを一対の把持爪51a・51bで把持できる、いわゆる「絶縁ヤットコ」になっている。
【0053】
[抱腕金用鳥害防止具の構成]
(全体構成)
次に、本発明の一実施形態による腕金用鳥害防止具の構成を説明する。図1から図8を参照すると、本発明の一実施形態による抱腕金用鳥害防止具(以下、鳥害防止具と略称する)10は、抱腕金Anに設置できる。抱腕金Anは、略水平状態で電柱Pに装架されている。又、抱腕金Anは、一端部側をアームタイAtで補強している(図8参照)。
【0054】
なお、実施形態による抱腕金Anは、従来技術で示した腕金Aと同じものであるが、説明の便宜上、構成品の名称と符号を変えて区別した。
【0055】
図1から図8を参照して、鳥害防止具10を一対の抱腕金An・Anに跨った状態で設置することで、鳥類などが飛来して一対の抱腕金An・Anに亘り営巣することを防止できる。
【0056】
図1から図8を参照すると、鳥害防止具10は、防止具本体1とC形の支持金具2を備えている。防止具本体1は、帯板状の基板1b、第1滑動板11、第2滑動板12、及び、一対のアーム部材13・13を備えている。
【0057】
図1から図7を参照すると、第1滑動板11、第2滑動板12、及び、一対のアーム部材13・13は、三角形の閉鎖リンクを構成している。この閉鎖リンクは、基板1bと回動自在に連結している。基板1b及びリンク部材は、絶縁性を有する合成樹脂で構成することが好ましい。
【0058】
図1から図8参照すると、支持金具2は、一組の把持片2a・2bと連結片2cを有している。一組の把持片2a・2bは、所定の間隔を設けて略平行に配置されている。一組の把持片2a・2bには、抱腕金Anをその側面側から導入できる。連結片2cは、一組の把持片2a・2bの基端部同士を連結している。
【0059】
図2又は図3(A)を参照すると、基板1bは、長方形の案内溝11dを有している。案内溝11dは、基板1bの底面から穿設している。一方、支持金具2は、矩形の案内レール21を有している。案内レール21は、支柱2pを介して、一方の把持片2aから立設している。
【0060】
図2又は図3(A)を参照すると、案内レール21は、案内溝11dに嵌合できる。案内レール21を案内溝11dに嵌合することで、防止具本体1を支持できる。又、案内レール21を案内溝11dに嵌合することで、抱腕金Anの長手方向に沿って、防止具本体1をスライド自在に案内できる。
【0061】
例えば、図2を参照して、案内溝11dは、V溝11vと円弧溝11sで構成することができる。V溝11vは、案内溝11dの長手方向に沿った一方の内壁に形成している。又、円弧溝11sは、案内溝11dの長手方向に沿った他方の内壁に形成している。
【0062】
一方、図2を参照すると、案内レール21は、V溝11vに嵌合する山型突条21mを一方の側面に形成している。又、案内レール21は、円弧溝11sに嵌合する半円弧状突条21sを他方の側面に形成している。案内溝11dの中央部で、V溝11vと円弧溝11sを相反する向きに開くことで、案内レール21を案内溝11dに導入できる。山型突条21mを先にV溝11vに導入し、半円弧状突条21sを後に円弧溝11sに導入することが好ましい。
【0063】
又、図2から図5を参照すると、支持金具2は、他方の把持片2bから突出した第1把持部22を有している。実体として、第1把持部22は、連結片2cの外面に溶接で接合した矩形板で構成している(図3(D)参照)。第1把持部22は、間接活線工事用の絶縁操作棒5で把持できる(図9又は図10参照)。
【0064】
図1から図8を参照すると、実施形態による鳥害防止具10は、帯板状の基板1b及び基板1bと回動自在に連結した三角形の閉鎖リンクを有する防止具本体1と、抱腕金Anに固定できるC形の支持金具2と、を備え、防止具本体1は、長方形の案内溝11dを有し、支持金具2は、案内溝11dに嵌合し、腕金Aの長手方向に沿って防止具本体1をスライド自在に案内する案内レール21を有しているので、アームタイAtに干渉することなく、鳥害防止具10を抱腕金Anに設置できる(図8参照)。
【0065】
(支持金具の構成)
次に、実施形態による支持金具2の構成を説明する。図1から図5を参照すると、支持金具2は、回動軸23s、ボルト部材23、及び、一つ以上のナット部材Nを更に備えている。回動軸23sは、その両端部を一方の把持片2aに形成した折り曲げ片と回動自在に連結している。ボルト部材23は、その頭部を回動軸23sにT字状に接合している。ナット部材Nは、ボルト部材23のねじ部と螺合できる。
【0066】
図2又は図3(E)を参照すると、他方の把持片2bは、先端縁から切り欠いた切り欠き部23dを有している。切り欠き部23dには、ボルト部材23を外周方向から導入できる。
【0067】
図3又は図5を参照して、切り欠き部23dにボルト部材23を導入した状態から、ナット部材Nを他方の把持片2bに締結することで、支持金具2を抱腕金Anに固定できる。
【0068】
(防止具本体の構成)
次に、実施形態による防止具本体1の構成を説明する。図1又は図4から図7を参照すると、第1滑動板11は、主面板111と一対の折り曲げ片112・112を有している。主面板111は、その両端部を略直角に折り曲げて一対の折り曲げ片112・112を形成している。
【0069】
図1又は図2を参照すると、一対の折り曲げ片112・112は、その底部を支持部材11bと回動自在に連結している。図2を参照すると、基板1bは、一対の支持部材11b・11bを立設している。第1滑動板11は、一対の折り曲げ片112・112の底部が一対の支持部材11b・11bで挟まれた状態で、一対の支持部材11b・11bと回動自在に連結している。
【0070】
図1又は図4から図7を参照すると、第2滑動板12は、主面板121と一対の折り曲げ片122・122を有している。主面板121は、その両端部を略直角に折り曲げて一対の折り曲げ片122・122を形成している。
【0071】
図1又は図4から図7を参照すると、第2滑動板12は、それらの折り曲げ片122・122の頂上部が第1滑動板11の折り曲げ片112・112の頂上部と開閉自在に連結している。又、第2滑動板12は、主面板121の底部側から第2把持部123を突出している。第2把持部123は、間接活線工事用の絶縁操作棒5で把持できる(図9又は図10参照)。
【0072】
更に、図1又は図4から図7を参照すると、第2滑動板12は、それらの折り曲げ片122・122の底部から相反する向きに向かう一対の円柱状のボス12b・12bを有している(図1参照)。
【0073】
図1又は図4から図7を参照すると、一対のアーム部材13・13は、それらの一端部が支持部材11bを介して(図2参照)、第1滑動板11の底部と回動自在に連結している。又、アーム部材13は、その長手方向に沿って、長穴13hを他端部側に開口している。
【0074】
図1又は図4から図7を参照すると、アーム部材13の長穴13hには、第2滑動板12のボス12bを導入している。ボス12bは、アーム部材13の長穴13hとスライド自在に連結している。
【0075】
図4から図7を参照して、絶縁操作棒5で第2把持部123を把持して、ボス12bがアーム部材13の一端部側に向かって移動した状態では、第1滑動板11と第2滑動板12を互いに閉じて、防止具本体1を一方の抱腕金Anから起立できる(図4又は図5参照)。
【0076】
図4から図7を参照して、絶縁操作棒5で第2把持部123を把持して、ボス12bがアーム部材13の他端部側に向かって移動した状態では、第1滑動板11と第2滑動板12を互いに開いて、防止具本体1を一方の抱腕金Anと他方の抱腕金Anに跨って設置できる(図7参照)。
【0077】
図1から図7を参照すると、実施形態による鳥害防止具10は、折り畳んだ状態の防止具本体1が頂上部を回動中心に一対の抱腕金An・Anに跨って開くことで、鳥類などが飛来して、一対の抱腕金An・Anに亘り営巣することを防止できる。
【0078】
[腕金用鳥害防止具の作用]
次に、実施形態による鳥害防止具10の操作手順を説明しながら、鳥害防止具10の作用及び効果を説明する。
【0079】
最初に、図4を参照して、ボルト部材23を起立した状態で、一対の把持腕5a・5bで第1把持部22を把持する。次に、絶縁操作棒5を操作して、一組の把持片2a・2bの間に、一方の抱腕金Anをその側面側から相対的に導入する。
【0080】
次に、図5を参照して、ボルト部材23を時計方向に回動して、ボルト部材23の先端部側を切り欠き部23dに導入する(図2参照)。次に、図5を参照して、ボルト部材23にナット部材Nを締結することで、一組の把持片2a・2bで一方の抱腕金Anを挟持できる。実施形態による支持金具2は、ボルト部材23が把持片2aに回動自在に連結しているので、従来の支持金具92と比べて、操作が容易であるという長所がある。
【0081】
図1又は図8を参照すると、電柱Pは、一方の抱腕金Anの中央部を支持している。一方の抱腕金Anの一端部側には、二個のピン碍子Pi・Piを配置している。一方のピン碍子Piは、一方の抱腕金Anの一端部側の端部に配置されている。他方のピン碍子Piは、一方の抱腕金Anの一端部側の電柱P寄りに配置されている。一方の抱腕金Anの他端部側には、一個のピン碍子Piを端部に配置している。
【0082】
又、図8を参照すると、電柱Pは、傾斜したアームタイAtを配置している。アームタイAtは、その一端部が電柱Pに緊締したアームタイバンドBtに連結している。又、アームタイAtは、その他端部が一方の抱腕金Anの他端部側の中央部に連結している。一方の抱腕金AnをアームタイAtで電柱Pに支持することで、腕金Aの傾斜を抑制できる。
【0083】
図1又は図8を参照すると、実施形態による鳥害防止具10は、アームタイAtに干渉しないように、支持金具2を一方の抱腕金Anに固定できる。そして、支持金具2に対して、防止具本体1をスライドすることで、ピン碍子Piに干渉することなく、防止具本体1を配置できる。更に、実施形態による鳥害防止具10は、一対の抱腕金An・Anに跨って架設した縁線(図示せず)に干渉することなく、防止具本体1を一方の抱腕金Anに配置できる(図4から図7参照)。
【0084】
次に、実施形態による防止具本体1の操作手順を説明しながら、鳥害防止具10の作用及び効果を説明する。
【0085】
図5に示した状態では、防止具本体1は、第1滑動板11と第2滑動板12を互いに閉じて、一方の抱腕金Anから起立している。図5に示した状態では、ボス12bは、アーム部材13の一端部側に向かって移動している。
【0086】
図5に示した状態から、絶縁操作棒5で第2把持部123を把持して、ボス12bをアーム部材13の他端部側に向かって移動すると、第1滑動板11と第2滑動板12を互いに開くことができる(図6参照)。
【0087】
図6に示した状態から、絶縁操作棒5で第2把持部123を把持して、ボス12bをアーム部材13の他端部側に向かって更に移動すると、第1滑動板11と第2滑動板12を互いに開くことができる(図7参照)。そして、第2把持部123の先端部を他方の抱腕金Anの上面に載置できる(図7参照)。
【0088】
図7を参照すると、第1滑動板11の主面板111と第2滑動板12の主面板121は、互いに開いている。図7に示した状態では、第1滑動板11の主面板111は、営巣材が滑動する第1斜面を形成している。又、図7に示した状態では、第2滑動板12の主面板121は、営巣材が滑動する第2斜面を形成している。
【0089】
図7に示した状態では、防止具本体1を一方の抱腕金Anと他方の抱腕金Anに跨って設置している。鳥害防止具10は、折り畳んだ状態の防止具本体1が頂上部を回動中心に一対の抱腕金An・Anに跨って開くことで、鳥類などが飛来して、一対の抱腕金An・Anに亘り営巣することを防止できる。
【0090】
本発明による抱腕金用鳥害防止具は、以下の効果が期待できる。
(1)高価な傘型の鳥害防止器をたくさん使用しなくて済む。
(2)間接活線工事用の絶縁操作棒を用いて、山形の鳥害防止具を抱腕金に容易に取り付けることができる。
(3)山形の鳥害防止具を抱腕金に取り付けた後に、防止具本体を最適な位置へスライドできる。
(4)アームタイで補強された抱腕金に容易に取り付けできる。
(5)一対の抱腕金に亘り、鳥類が営巣することを防止できる。
(6)山形の防止具本体が縁線などに接触することを抑制できる。
【符号の説明】
【0091】
1 防止具本体
1b 基板
2 支持金具
2a・2b 一組の把持片
2c 連結片
5 絶縁操作棒
10 鳥害防止具(抱腕金用鳥害防止具)
11 第1滑動板
11d 案内溝
12 第2滑動板
13・13 一対のアーム部材
21 案内レール
22 第1把持部
An 抱腕金
At アームタイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16