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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】難燃紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 21/34 20060101AFI20230307BHJP
   D21H 21/14 20060101ALI20230307BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
D21H21/34
D21H21/14 A
H05K9/00 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019517437
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2019006977
(87)【国際公開番号】W WO2019167860
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2018037125
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】唐崎 秀朗
(72)【発明者】
【氏名】高野 朋子
(72)【発明者】
【氏名】西岡 和也
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-002003(JP,A)
【文献】国際公開第2014/088019(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/002863(WO,A1)
【文献】特開2004-036042(JP,A)
【文献】特開昭57-171799(JP,A)
【文献】特開2000-008299(JP,A)
【文献】特開平11-108409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00- 1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00- 9/00
D21H11/00-27/42
D21J 1/00- 7/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ、水酸化アルミニウム、リン酸グアニジン、ガラス繊維およびスルファミン酸グアニジンを含有する難燃紙であって、
前記パルプの含有量が10~35質量%であり、前記水酸化アルミニウムの含有量が40~70質量%であり、
前記リン酸グアニジンおよび前記スルファミン酸グアニジンの合計の含有量が0.1~10質量%であり、
前記ガラス繊維の含有量が13~30質量%であり、
前記各含有量は前記難燃紙全体に対するものであり、
前記スルファミン酸グアニジンの前記リン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)が5/95以上30/70以下である難燃紙。
【請求項2】
前記パルプの含有量が20~35質量%であり、
前記リン酸グアニジンおよび前記スルファミン酸グアニジンの合計の含有量が0.3~9質量%である請求項1に記載の難燃紙。
【請求項3】
さらに、導電性物質を含有する請求項1または2に記載の難燃紙。
【請求項4】
請求項3に記載の難燃紙を用いた電波吸収シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、難燃紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、難燃性を有する紙の開発が多くの分野で要望されている。例えば、電気・電子材料や産業用資材などにおいて、紙は幅広く利用されており、これらの分野の一部においては難燃性を有する紙の開発への要求が高まっている。
紙に難燃性を付与する手法としては、難燃剤の塗付あるいは含浸、難燃性の有機物質や無機質紛体の内添、無機繊維の混抄、あるいはそれらの組み合わせ等が知られている。より具体的には、例えば、難燃性繊維や水酸化アルミニウムを含む難燃紙が提案されている(特許文献1参照)。
更に、電波暗室で使用される電波吸収体部材用難燃紙等は、10年以上にわたって使用されるが、その間の難燃性低下が抑制されたものであることが望まれている。
【0003】
上記のような要求を解決すべく、パルプならびに水酸化アルミニウムおよびポリホウ酸塩から成る難燃剤を含む電波吸収体部材用難燃紙が提案されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/088019号
【文献】国際公開第2017/002863号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1および2で提案された難燃紙および電波吸収体部材用難燃紙は、難燃紙が脆く、含浸や塗布等での薬剤付与工程における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時において難燃紙の破断等が発生するため、生産性が著しく低下してしまうという加工上の問題があった。また、難燃紙が生産設備に用いられている金属に対して腐食性を示す場合、難燃紙が直接接触する生産設備の金属部分を腐食する傾向があるため、生産設備を劣化させてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、特に、電波吸収体の部材に好適な高い難燃性を有するのに加えて、含浸や塗布等での薬剤付与工程における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時において難燃紙の破断が発生しにくく、生産設備の金属に対する腐食性の低い難燃紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目標を達成するため、本発明の難燃紙は、(1)パルプ、水酸化アルミニウム、リン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジンを含有する難燃紙であって、前記パルプの含有量が10~35質量%であり、前記水酸化アルミニウムの含有量が40~70質量%であり、前記リン酸グアニジンおよび前記スルファミン酸グアニジンの合計の含有量が0.1~10質量%であり、前記各含有量は前記難燃紙全体に対するものである。
【0008】
また、(2)(1)の難燃紙において、前記パルプの含有量が20~35質量%であり、前記リン酸グアニジンおよび前記スルファミン酸グアニジンの合計の含有量が0.3~9質量%である。
【0009】
また、(3)(1)または(2)の難燃紙において、前記難燃紙に含有されるスルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)が5/95以上30/70以下である。
【0010】
また、(4)さらに、導電性物質を含有する(1)~(3)のいずれかの難燃紙である。
【0011】
また、(5)(4)の難燃紙を用いた電波吸収シートである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い難燃性を有するのに加えて、含浸や塗布等での薬剤付与工程における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時において難燃紙の破断が発生しにくく、生産設備の金属に対する腐食性の低い難燃紙を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の例を説明する。
【0014】
本発明の難燃紙は、パルプ、水酸化アルミニウム、リン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジンを含有する難燃紙であって、前記パルプの含有量が10~35質量%であり、前記水酸化アルミニウムの含有量が40~70質量%であり、前記リン酸グアニジンおよび前記スルファミン酸グアニジンの合計の含有量が0.1~10質量%であり、前記各含有量は前記難燃紙全体に対するものである。
【0015】
本発明の難燃紙に用いられるパルプとしては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ、リンターパルプおよび麻パルプなどの植物繊維からなるパルプ、レーヨンなどの再生繊維からなるパルプ、およびビニロンやポリエステルなどからなる合成繊維パルプなどが挙げられ、これら1種類または2種類以上のパルプを適宜選択して用いることができる。
【0016】
本発明の難燃紙は、難燃紙全体に対し10~35質量%のパルプを含有している。パルプの含有量が10質量%を下回る場合は、抄紙工程においてパルプの絡合力が弱くなり、シート状態の形成が困難になる。また、抄紙工程においてシート状態の形成がより容易になるとともに、さらに、含浸や塗布等での難燃性を付与する薬剤付与工程(以下、薬剤付与工程と称することがある)における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時において難燃紙の破断等が抑制されるとの理由から、パルプの含有量は17質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
【0017】
一方、パルプの含有量が35質量%を上回る場合には、難燃紙として十分な難燃性が得られない傾向がある。
【0018】
このように、パルプの含有量を10~35質量%の範囲とすることにより、難燃紙の難燃性が優れたシートを得ることができる。
【0019】
次に、本発明の難燃紙は、水酸化アルミニウムを40~70質量%含有している。水酸化アルミニウムは、難燃紙に均一に担持されていることが好ましい。また、水酸化アルミニウムは粉末であることが好ましい。
【0020】
ここで、水酸化アルミニウムは高温になると脱水分解し、その際の吸熱作用により難燃効果が得られる。この難燃性は長期間の保存によっても経時的に低下せず、難燃効果を維持する。
【0021】
また、難燃紙の抄紙時にカチオン高分子化合物あるいはアニオン高分子化合物からなる歩留まり向上剤や紙力増強剤等の抄紙用薬剤を適宜添加することにより、水酸化アルミニウムはパルプに吸着され、難燃紙の難燃性の向上により寄与する。
【0022】
また、水酸化アルミニウムは白色粉末であるため、本発明の難燃紙を、例えば、電波暗室用の電波吸収体に使用した際、室内の照明効果を高めることができる。更に、水酸化アルミニウムは変色せず、難燃紙を白色に維持することができる。
【0023】
水酸化アルミニウムの含有量が40質量%を下回る場合には、難燃紙が十分な難燃性を得られない可能性がある。また、電波吸収体部材用難燃紙として使用される場合、難燃紙中のパルプ分が多くなるため、経時変化による変色が著しく目立つようになる。
【0024】
一方、水酸化アルミニウムの含有量が70質量%を上回る場合には、難燃紙は高い難燃性を得られるが、抄紙工程においてパルプの絡合力が弱くなり、シート状態の形成が困難になる。
【0025】
このように、水酸化アルミニウムの含有量を40~70質量%の範囲にすることにより、難燃紙の優れた難燃性および白色保持性を有したシートを得ることができる。水酸化アルミニウムは和光純薬工業株式会社およびシグマアルドリッチジャパン株式会社等から購入できる。
【0026】
また、本発明の難燃紙は、リン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジンを合計で0.1~10質量%含有する。
【0027】
一般に、難燃性を付与する薬剤の含有量が多いほど難燃紙の難燃性が高くなる傾向にあるが、一方で、難燃性を付与する薬剤の含有量が多いと、含浸や塗布等での難燃性を付与する薬剤付与工程(以下、薬剤付与工程と称することがある)における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時において難燃紙の破断等が発生する傾向が見られる。これは、難燃性を付与する薬剤の含有量が多いと難燃紙のじん性が低下するためであると考える。リン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンとを併用すると、パルプを一定の量以上含む難燃紙の難燃性を向上させるための所要量がポリホウ酸塩等の所要量に比べて少なくできるため、高い難燃性を難燃紙に付与できるとともに、含浸や塗布等での薬剤付与工程における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時に適した難燃紙のじん性を維持することが可能である。また、スルファミン酸グアニジンは吸湿性を示し、水分含有による柔軟性を難燃紙に付与することができるため、難燃紙の取り扱い性を改善することができる。
【0028】
リン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンとの難燃紙全体に対する合計の含有量が0.1%以下である場合、難燃紙の難燃性が不十分となる傾向がみられる。また、上記の理由により、リン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンとの難燃紙全体に対する合計の含有量は0.3質量%以上であることが好ましい。
【0029】
一方、リン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンの難燃紙全体に対する合計の含有量が10%以上である場合、含浸や塗布等での薬剤付与工程における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時に難燃紙の破断等が発生し、取り扱い性や工程通過性が悪化する場合がある。また、発泡プラスチック等、別の成形体と貼り合わせた部材において、十分な難燃性を得ることができない可能性がある。また、上記の理由により、リン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンとの難燃紙全体に対する合計の含有量は9質量%以下であることが好ましい。
【0030】
また、本発明の難燃剤は、スルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)が5/95以上30/70以下であることが好ましい。
【0031】
スルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)が5/95以上であることで、含浸や塗布等での薬剤付与工程における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時における難燃紙の破断等の発生を抑制することができる。
【0032】
一方、スルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)が30/70以下であることで、生産設備の金属に対する腐食を抑制することが可能である。
【0033】
本発明の難燃紙は、ガラス繊維、ロックウール、バサルト繊維等の無機繊維を含有させてよい。これらは、無機繊維であるために難燃紙の難燃性を向上させることができるとともに、剛性が高い繊維であるために難燃紙で高度な剛性を発現でき、難燃紙の取り扱い性を向上させることができる。前記無機繊維の含有量としては、本発明の難燃紙の紙全体を100質量%とした場合、1~30質量%の範囲であることが好ましい。さらに15質量%以下であることがより好ましい。この範囲とすることで、高度な剛性を有する難燃紙を安定して製造することができる。
【0034】
本発明の難燃紙は、導電性物質を含有することができる。本発明における導電性物質とは、難燃紙が電波吸収体部材用難燃紙として使用される場合、電波エネルギーを微小な電流に変換し、更に熱エネルギーに変換することにより電波の減衰作用、すなわち電波の吸収をおこなう材料である。導電性物質としては、例えば、導電性粒子や導電性繊維を挙げることができる。ここで、導電性粒子としては、金属粒子、カーボンブラック粒子、カーボンナノチューブ粒子、カーボンマイクロコイル粒子、およびグラファイト粒子等を挙げることができる。導電性繊維としては、炭素繊維および金属繊維等を挙げることができ、金属繊維としてはステンレス繊維、銅繊維、銀繊維、金繊維、ニッケル繊維、アルミニウム繊維、および鉄繊維等を挙げることができる。また、非導電性粒子および繊維に金属をめっき、蒸着および溶射する等して導電性を付与したものについても、導電性物質として挙げることができる。
【0035】
これらの導電性物質の中でも、導電性繊維を用いることが好ましく、導電性繊維の中でも、導電性短繊維を用いることがより好ましい。導電性短繊維はアスペクト比が大きいので、繊維同士が接触しやすく、粉体と比べて、少量でも効果的に電波吸収性能を得ることができる。また、導電性短繊維の中でも、炭素繊維は繊維が剛直であり、基材内に配向させやすいこと、および長期間の使用において、ほとんど性能の変化がないことから、特に好ましく使用されている。導電性短繊維について、繊維同士の接触のしやすさと、後述する抄紙製造工程におけるスラリーの分散性から、導電性短繊維の長さは0.1mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。一方で、15.0mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましい。
【0036】
本発明の難燃紙において、導電性物質の含有量は導電性物質を除いた難燃紙の原料100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下であることが好ましい。更に、その含有量は0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましい。一方で、その含有量は4質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。
【0037】
本発明の難燃紙の坪量は50~200g/mの範囲であることが好ましい。坪量がこの範囲内であることにより、難燃紙のじん性が向上し、難燃紙の含浸や塗布等での薬剤付与工程における乾燥時およびスリットや印刷加工等の二次加工時において難燃紙の破断等を抑制できる。坪量は80g/m以上が好ましい。一方で、150g/m以下が好ましい。
【0038】
次に、本発明の難燃紙の製造方法について説明する。
【0039】
本発明の難燃紙の製造方法としては、その一例として、下記の紙材料の抄紙による方法を用いることができる。本発明の難燃紙の構成材料である、繊維(パルプ)および水酸化アルミニウム等と水とを混合したスラリーとし、抄紙機で抄きあげる湿式抄紙法等である。
【0040】
抄紙機としては、円網、短網、長網、パーチフォーマー、ロトフォーマーおよびハイドロフォーマー等、いずれの抄紙機も用いることができる。また、乾燥機としては、ヤンキー型、多筒型およびスルー型等、いずれの乾燥機も用いることができる。
【0041】
更に、リン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンとを難燃紙に含有させる方法は、特に限定されない。例えば、含浸塗布やコーティング塗付等が例示できる。含浸塗付やコーティング塗布には、サイズプレスコーター、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーターおよびエアーナイフコーター等の塗工装置を用いることができ、それらの装置はオンマシンもしくはオフマシンで用いることができる。
【0042】
また、難燃紙に導電性繊維を添加する方法としては、上記スラリー中に導電性繊維を混合して、難燃紙の中に抄き込む方法や、バインダー樹脂材料に導電性繊維を混合し、サイズプレスコーター、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーターおよびエアーナイフコーター等の装置を用いて、難燃紙に塗布する等の方法が挙げられる。
【実施例
【0043】
次に実施例により、本発明の難燃紙についてさらに詳細に説明する。実施例に示す性能値は、次の方法で測定したものである。
【0044】
[測定方法]
(1)リン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジンの確認
200mm×200mmの難燃紙の試験片を、1L容量の容器に充填された100℃の熱水500mLに10分間浸漬する。その後、熱水から取り出した試験片を常温の水50mLで5分間洗浄する。残った熱水50mLおよび試験片を取り出した後の常温の水50mLを300mL容量の容器に取り、80℃で12時間乾燥させた後、析出した固体を超高分解能電解放出形走査電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ製SU-8010型)を用いて、固体から無作為に選定した合計5つの領域を撮影し、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)にて、特定の元素の存在を確認した。さらに、前記固体を赤外分光光度計(FT-IR、島津製作所製IR PRESTIGE-21)を用いて測定した結果と併せて、難燃紙にリン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジンが存在しているか否かや、リン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジンの各含有量について確認する。
【0045】
(2)リン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジン以外の成分の確認
(1)で洗浄した前記難燃紙の試験片を150℃で10分間乾燥する。乾燥後の試験片を超高分解能電解放出形走査電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ製SU-8010型)を用いて、試験片の4隅から試験片の中央に向かってタテ、ヨコ方向に5cmずつずらした点の周辺領域の4つの領域点と、試験片の中央部の1点の周辺領域の1つの領域の合計5つの領域を撮影し、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)にて、特定の元素の存在を確認し、前記試験片を赤外分光光度計(FT-IR、島津製作所製IR PRESTIGE-21)を用いて測定した結果および(1)の結果と併せて、難燃紙にリン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジン以外の成分が存在しているか否かや、リン酸グアニジンおよびスルファミン酸グアニジン以外の成分の含有量について確認する。
【0046】
(3)難燃紙の坪量
難燃紙5枚を1辺300mmの正方形にカットして質量を測定し、1m当たりの質量に換算して、平均値を取ることで坪量を算出する。
【0047】
(4)難燃紙の難燃性
UL94安全規格(「装置及び器具部品のプラスチック材料燃焼性試験」)における20mm垂直燃焼試験(UL94 V-0)に基づいて、評価する。ここで、ULとは、米国Underwriters Laboratories Inc.が制定し、許可している電子機器に関する安全性規格であり、UL94は難燃性の規格でもある。
・合格:5本全ての水準について、100mm間(25mmラインから125mmラインまで)の燃焼時間を測定し、燃焼速度を算出し、40mm/分を超える燃焼速度で燃えるサンプルがあってはならない。または、燃焼あるいは火種が125mmラインに達する前に消火するサンプルでなくてはならない。
・不合格:5本の内少なくとも1本が上記合格基準を満たさない。
【0048】
(5)難燃紙と発泡スチロールとを貼り合わせた部材の難燃性
難燃紙と厚みが10mmの発泡スチロールとを両面テープ(再生紙両面テープ NWBB-15、ニチバン株式会社製)で貼り合わせて、難燃紙と発泡スチロールが接合している部材を制作する。
【0049】
上記部材をUL94安全規格(「装置及び器具部品のプラスチック材料燃焼性試験」)における発泡材料水平燃焼性試験(UL94 HBF)に準拠して燃焼速度を評価する。
・合格:タテ150mm、ヨコ50mmのサンプル5つについて、タテ100mm間(25mmラインから125mmラインまで)の燃焼時間を測定し、燃焼速度を算出し、40mm/分を超える燃焼速度で燃えるサンプルがあってはならない。または、燃焼が125mmラインに達する前に消火するサンプルでなくてはならない。
・不合格:5本の内少なくとも1本が上記合格基準を満たさない。
【0050】
(6)折れ割れ性
以下の手法により、難燃紙の破断の有無を確認した。100mm角にカットした難燃紙を80℃、120秒乾燥処理した後に、室温で10秒冷却し、山折・谷折を繰り返して、折れ目に裂け目が出来た回数を記録する(上限は20回)。ここで、裂け目ができるまでに折り曲げ回数が多いほど、破断が生じづらい難燃紙であるといえる。
【0051】
(7)金属に対する腐食性
難燃紙を鉄製のクリップで固定し、高湿度処理(温度60℃、湿度90%、処理時間1週間)後、クリップの腐食の有無を確認する。
<評価基準>
・A:腐食は確認されない。
・B:クリップの一部に腐食が確認される。
・C:クリップ全体に腐食が確認される。
【0052】
(8)複素誘電率
方形導波管((株)関東電子応用開発製)を用い、Sパラメータ法により3.0GHzにおける複素誘電率を求めた。Sパラメータ法とは、伝送線路の途中に挿入した試料の反射(S11)と透過(S21)をネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー(株)製)で測定し、複素誘電率を求める方法である。ここで、複素誘電率の実部をε、虚部をεとした。
【0053】
複素誘電率の実部εは、通常の比誘電率に相当する項であり、あまり小さいと吸収材料内部へ取り込んだ電波の波長の圧縮が小さいために、電波を効率よく減衰させることができない。また、あまり大きいと電波を吸収材料表面で反射する傾向にある。
【0054】
複素誘電率の虚部εは、電気的損失に起因する項であり、この項により電波エネルギーが熱エネルギーに変換されて、電波が減衰する。あまり小さいと吸収材料内部における電波の減衰が小さく、あまり大きいと吸収材料表面で反射する傾向にある。
<評価基準>
・A:複素誘電率が実部ε、虚部εともに10以上であり、電波吸収性能を示す。
・B:複素誘電率が実部ε、虚部εともに10未満であり、電波吸収性能を示さない。
【0055】
[実施例1]
パルプとして繊維長5mmの針葉樹パルプを15質量%、水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社)を65質量%およびガラス繊維を15質量%混合して連続抄紙方法で湿式抄紙することで、難燃紙を作成した。
【0056】
この難燃紙に、サイズプレスコーターにより、リン酸グアニジン(製品名ノンネン(登録商標)985、丸菱油化工業株式会社製)とスルファミン酸グアニジン(製品名SG-2(商品名)、大日本インキ化学工業製)とを含有する難燃剤を難燃紙全体に対して5質量%となるように含有させることで、坪量108g/mの難燃紙を得た。スルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)は10/90とした。
【0057】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0058】
[実施例2]
実施例1のパルプを20質量%および水酸化アルミニウムを60質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0059】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0060】
[実施例3]
実施例1のパルプを30質量%および水酸化アルミニウムを50質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0061】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0062】
[実施例4]
実施例2の水酸化アルミニウムを64.5質量%および難燃剤を0.5質量%としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例4の坪量104g/mの難燃紙を得た。
【0063】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金 属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0064】
[実施例5]
実施例2のパルプを19質量%、水酸化アルミニウムを62質量%およびガラス繊維を14質量%としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例5の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0065】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0066】
[実施例6]
実施例2のパルプを18質量%、水酸化アルミニウムを59質量%、ガラス繊維を13質量%および難燃剤を10質量%としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例6の坪量114g/mの難燃紙を得た。
【0067】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0068】
[実施例7]
実施例2のスルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)を15/85としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例7の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0069】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0070】
[実施例8]
実施例2のスルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)を20/80としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例8の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0071】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表1に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0072】
[実施例9]
実施例2のスルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)を25/75としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例9の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0073】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表2に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0074】
[実施例10]
実施例2のスルファミン酸グアニジンのリン酸グアニジンに対する質量比(スルファミン酸グアニジン/リン酸グアニジン)を50/50としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例10の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0075】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表2に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であった。一方、クリップの一部に腐食が見られた。また、電波吸収性能は示さなかった。
[実施例11]
実施例2の水酸化アルミニウムを59.5質量%および炭素繊維を0.5質量%としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例11の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0076】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表2に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能を示した。
[実施例12]
実施例2の水酸化アルミニウムを59質量%および炭素繊維を1.0質量%としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例12の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0077】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表2に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能を示した。
[実施例13]
実施例12のパルプを19質量%および炭素繊維を2.0質量%としたこと以外は実施例12と同様にして、実施例13の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0078】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表2に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能を示した。
[実施例14]
実施例13の水酸化アルミニウムを58質量%およびガラス繊維を14質量%、炭素繊維を4.0質量%としたこと以外は実施例13と同様にして、実施例14の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0079】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表2に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能を示した。
[実施例15]
実施例14のパルプを18質量%および水酸化アルミニウムを57質量%、炭素繊維を6.0質量%としたこと以外は実施例14と同様にして、実施例15の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0080】
得られた難燃紙について評価を実施した。その結果を表2に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格した。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格した。加えて、折れ割れ性も良好であり、難燃紙の金属に対する腐食性も見られなかった。また、電波吸収性能を示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
[比較例1]
実施例1のパルプを5質量%および水酸化アルミニウムを75質量%としたこと以外は実施例1と同様にしたが、安定した製造ができず、比較例1の難燃紙は得られなかった。評価結果等を表3に示す。
【0084】
[比較例2]
実施例1のパルプを40質量%、水酸化アルミニウムを35質量%およびガラス繊維を20質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0085】
得られた難燃紙について、評価を実施した。その結果を表3に示す。難燃紙の燃焼速度は速く、UL94 V-0に不合格であった。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も速く、UL94 HBFに不合格であった。折れ割れ性は13回であり、上記難燃紙は折れ割れ性に優れるものであった。難燃紙の金属に対する腐食性は見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0086】
[比較例3]
実施例4の水酸化アルミニウムを65質量%および難燃剤を0質量%としたこと以外は実施例4と同様にして、比較例3の坪量100g/mの難燃紙を得た。
【0087】
得られた難燃紙について、評価を実施した。その結果を表3に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格であった。一方、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度は速く、UL94 HBFに不合格であった。折れ割れ性は20回以上であり、上記難燃紙は折れ割れ性に優れるものであった。難燃紙の金属に対する腐食性は見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0088】
[比較例4]
実施例6の水酸化アルミニウムを58質量%および難燃剤11質量%とした以外は実施例6と同様にして、比較例4の坪量115g/mの難燃紙を得た。
【0089】
得られた難燃紙について、評価を実施した。その結果を表3に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格であった。一方、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度は速く、UL94 HBFに不合格であった。折れ割れ性は2回であり、上記難燃紙は折れ割れ性に劣るものであった。また、難燃紙の金属に対する腐食性は見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0090】
[比較例5]
実施例2のリン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンを含有する難燃剤をリン酸グアニジンのみにしたこと以外は実施例2と同様にして、比較例5の坪量108g/mの難燃紙を得た。
【0091】
得られた難燃紙について、評価を実施した。その結果を表3に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格であった。一方、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度は速く、UL94 HBFに不合格であった。また、折れ割れ性は4回であり、上記難燃紙は折れ割れ性に劣るものであった。難燃紙の金属に対する腐食性は見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0092】
[比較例6]
実施例6のリン酸グアニジンとスルファミン酸グアニジンを含有する難燃剤をポリホウ酸塩(製品名SOUFA(商品名)、株式会社SOUFA製)とした以外は実施例6と同様にして、比較例6の坪量114g/mの難燃紙を得た。
【0093】
得られた難燃紙について、評価を実施した。その結果を表3に示す。難燃紙の燃焼速度は遅く、UL94 V-0に合格であった。また、発泡スチロールと貼り合わせた部材の燃焼速度も遅く、UL94 HBFに合格であった。一方、折れ割れ性は1回であり、上記難燃紙は折れ割れ性に劣るものであった。難燃紙の金属に対する腐食性は見られなかった。また、電波吸収性能は示さなかった。
【0094】
【表3】
【0095】
実施例1~10において、難燃紙の難燃性、難燃紙と発泡スチロールとを貼り合わせた部材の難燃性、折れ割れ性、金属に対する腐食性に優れた難燃紙を得ることができた。また、実施例11~15において、上記特性に加え、電波吸収性能に優れた難燃紙を得ることができた。
【0096】
一方、比較例1は、安定した製造ができなかった。また、比較例2は折れ割れ性に優れるものの、難燃紙および貼り合わせ品の難燃性に劣るものであった。比較例3は、折れ割れ性および難燃紙の難燃性に優れるものの、貼り合わせ品の難燃性に劣るものであった。比較例4および5は、難燃紙の難燃性に優れるものの、貼り合わせ品の難燃性および折れ割れ性に劣るものであった。比較例6は、難燃紙および貼り合わせ品の難燃性に優れるものの、折れ割れ性に劣るものであった。