(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】水溶性界面活性剤組成物、紙コート剤及びインキ
(51)【国際特許分類】
C09K 23/42 20220101AFI20230307BHJP
D21H 21/24 20060101ALI20230307BHJP
C09D 11/03 20140101ALI20230307BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230307BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20230307BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C09K23/42
D21H21/24
C09D11/03
C09D7/63
C09D7/65
C09D201/00
(21)【出願番号】P 2020006063
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000226666
【氏名又は名称】日信化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水崎 透
(72)【発明者】
【氏名】小林 史夏
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-080839(JP,A)
【文献】特開2002-348500(JP,A)
【文献】特開2006-117664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0079431(US,A1)
【文献】特開2003-113397(JP,A)
【文献】特開2017-071773(JP,A)
【文献】国際公開第2016/146816(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 23/00
C09D 11/00
C09D 7/00
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記平均組成式(I)
【化1】
(式(I)において、R
1は炭素原子1~12のアルキル基又は炭素原子1~12の塩素原子で置換されたアルキル基を表す。)
で表されるチオエーテル化合物:30~70質量%、及び
(B)下記平均組成式(II)
R
2O(C
2H
4O)
a(C
3H
6O)
b(C
2H
4O)
c(C
3H
6O)
dH (II)
(式(II)において、R
2は炭素数5~20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基であり、a,b,c,dは0又は0~25の正数である。但しa及びbのいずれかは0ではなく、かつ0≦a+c≦50、0≦b+d≦30である。)
で表されるHLB値が8~17のポリオキシアルキレンアルキルエーテル:70~30質量%
を含有することを特徴とする水溶性界面活性剤組成物。
【請求項2】
上記平均組成式(II)のR
2が、炭素数5~15の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である請求項1記載の水溶性界面活性剤組成物。
【請求項3】
0.1質量%水溶液の1Hz及び10Hz時の動的表面張力がそれぞれ46mN/m以下である請求項1又は2記載の水溶性界面活性剤組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の水溶性界面活性剤組成物を配合することを特徴とする紙コート剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項記載の水溶性界面活性剤組成物を配合することを特徴とするインキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性界面活性剤組成物に関するものであり、特には、紙コート剤やインキなどに配合した場合、透明性に優れ、また静的及び動的表面張力が低いため優れた濡れ性、浸透性、消泡性を発揮し、高速印刷及び高速塗工にも対応でき、更に近年の環境問題にも適合した水溶性界面活性剤組成物、及び該組成物を配合した紙コート剤及びインキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンなどのOA機器用プリンターは、低価格化、印字品質、信頼性の向上により、オフィスや家庭で急速な普及をみせている。それに伴ってインキの需要も一般家庭用からインダストリーユースまで拡大しつつあるが、その一方でプリントの品位、彩度、外観、画像、保存安定性を更に良くするために、従来の染料インキから顔料インキなどの、より高度な特性を持つインキが要求されるようになってきており、インキの種類も増加しつつある。
【0003】
また、印刷業界や製紙業界においても、近年の環境問題などからインキの水性化が進みつつある。しかし、水系インキを使用する場合、乾燥スピードが遅いため、溶剤系より生産スピードが遅くなることから、常に生産性向上に伴う高速化への対応が余儀なくされており、高速印刷や高速塗工に対応したインキや紙コート剤の性能向上が要求されている。
【0004】
このような背景から、インキや水性塗料業界においては、基材に対する湿潤化、浸透性及び分散性付与のため優れた表面張力低下能を付与する界面活性剤を必要としている。界面活性剤を選択する場合、系が静的状態にある時には静的表面張力が優れていることが好ましく、また前述の生産性向上による印刷スピードアップの必要性からの高速度使用時には動的表面張力の指標が重要になっている。
【0005】
従来からノニルフェノールのエチレンオキサイド付加物やポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、インキ、塗料用湿潤剤、分散助剤などとして有用であることが知られている。しかしながら、ノニルフェノールのエチレンオキサイド付加物は、環境ホルモン含有物質の可能性があり、使用が危惧されている。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、安全性は高いものの、起泡性が高く、それに起因し、顔料分散性を損ない、高速印字に対応できなかった。
【0006】
そこで、特開2002-348500号公報、特開2003-113397号公報、特開2003-253599号公報及び特開2003-080839号公報(特許文献1~4)には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及びそのエトキシル化体のようなアセチレングリコール系界面活性剤を配合した水溶性界面活性剤組成物が提案されている。これらの水溶性界面活性剤組成物は、優れた表面張力低下能、接触角低下能、消泡性を有するが、近年の高速印刷技術の向上に伴って、更に優れた性能として顔料分散性能、消泡性能を持つ界面活性剤組成物が望まれている。
【0007】
また、特開2006-117664号公報(特許文献5)には、2-ヒドロキシ-3-アルコキシプロピルスルフィド、スルホン及びスルホキシドを配合した界面活性剤組成物が提案されている。この界面活性剤組成物は表面張力低下能、濡れ性、消泡性に優れるが、水溶解性が悪いために、透明性を有したコート剤とはならず、塗工時、ハジキを生じる等、十分な性能を満たすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-348500号公報
【文献】特開2003-113397号公報
【文献】特開2003-253599号公報
【文献】特開2003-080839号公報
【文献】特開2006-117664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、透明性に優れると共に、優れた消泡性及び分散性を発揮し、更に低い動的表面張力を有するため、優れた濡れ性、浸透性を付与し、水への溶解性や環境問題にも配慮した高速印刷及び高速塗工にも対応可能な、水溶性界面活性剤組成物、及び該組成物を配合した紙コート剤、インキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、(A)特定するチオエーテル化合物と、(B)特定HLBの範囲にあるポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを特定割合で含有してなる水溶性界面活性剤組成物が、特に紙コート剤やインキなどに配合した場合、優れた消泡性、分散性を発揮し、更に低い動的表面張力を有するため、優れた濡れ性、浸透性を付与し、水への溶解性が良好であり、高速印刷及び高速塗工にも対応でき、更に近年の環境問題にも適合することを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、下記に示す水溶性界面活性剤組成物、紙コート剤及びインキを提供する。
1.(A)下記平均組成式(I)
【化1】
(式(I)において、R
1は炭素原子1~12のアルキル基又は炭素原子1~12の塩素原子で置換されたアルキル基を表す。)
で表されるチオエーテル化合物:30~70質量%、及び
(B)下記平均組成式(II)
R
2O(C
2H
4O)
a(C
3H
6O)
b(C
2H
4O)
c(C
3H
6O)
dH (II)
(式(II)において、R
2は炭素数5~20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基であり、a,b,c,dは0又は0~25の正数である。但しa及びbのいずれかは0ではなく、かつ0≦a+c≦50、0≦b+d≦30である。)
で表されるHLB値が8~17のポリオキシアルキレンアルキルエーテル:70~30質量%
を含有することを特徴とする水溶性界面活性剤組成物。
2.上記平均組成式(II)のR
2が、炭素数5~15の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である上記1記載の水溶性界面活性剤組成物。
3.0.1質量%水溶液の1Hz及び10Hz時の動的表面張力がそれぞれ46mN/m以下である上記1又は2記載の水溶性界面活性剤組成物。
4.上記1~3のいずれかに記載の水溶性界面活性剤組成物を配合することを特徴とする紙コート剤。
5.上記1~3のいずれかに記載の水溶性界面活性剤組成物を配合することを特徴とするインキ。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水溶性界面活性剤組成物は、動的表面張力が低いため、紙コート剤に添加した際は、受容層に使用される微粒子の分散性を上げ、インキに添加した際は、基材への濡れ性、浸透性及び消泡性を発揮し、印字性、発色性を発揮し、高速印刷及び高速塗工にも対応でき、しかも環境問題にも適合した優れた界面活性剤組成物である。この特性により、本発明の水溶性界面活性剤組成物は実用的に極めて有利である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の水溶性界面活性剤組成物は、(A)特定するチオエーテル化合物と、(B)特定HLBの範囲にあるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する。
【0014】
ここで、(A)成分のチオエーテル化合物は、下記平均組成式(I)で表されるものである。
【0015】
【0016】
上記式(I)において、R1は炭素原子1~12のアルキル基又は炭素原子1~12の塩素原子で置換されたアルキル基を表す。R1の具体例としては、メチル基、エチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、プロピル基、クロロプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基が挙げられ、オクチル基が好ましい。
【0017】
上記式(I)で表されるチオエーテル化合物としては、特開2006-117664号 [0070]例3~[0073]例6に記載されているものなどが挙げられ、単独または混合物で用いてもよい。例えば、2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-ブトキシプロピルスルフィド、2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-ドデシルオキシプロピルスルフィド、2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-テトラデシルオキシプロピルスルフィド、2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-ヘキサデシルオキシプロピルスルフィド、2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルスルフィド、2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-オクチルオキシプロピルスルフィド、及び2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-デシルオキシプロピルスルフィド等が挙げられる。
【0018】
上記式(I)で表されるチオエーテル化合物は、低表面張力、低起泡性の観点より、エピクロロヒドリンと2-メルカプトエタノールと1-オクタノールとの反応物である2-ヒドロキシエチル-2’-ヒドロキシ-3’-オクチルオキシプロピルスルフィドであることが好ましい。
【0019】
本発明の水溶性界面活性剤組成物を調製する際に用いられる(A)成分の配合割合は、組成物100質量%中30~70質量%であることが好ましく、より好ましくは40~60質量%である。
【0020】
本発明の(B)成分であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、下記平均組成式(II)で表されるものである。
R2O(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH (II)
(式中、R2は炭素数5~20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基であり、a,b,c,dは0又は0~25の正数である。但しa及びbのいずれかは0ではなく、かつ0≦a+c≦50、0≦b+d≦30である。)
【0021】
この場合、R2は、好ましくは炭素数5~15、さらに好ましくは炭素数10~14の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である。なお、R2は、炭素数の平均値であり、単独のアルキル基または混合のアルキル基のいずれかを表すものであり、具体的には、C10H21、C11H23、C12H25、C13H27、C14H29等のアルキル基が挙げられる。また、a,b,c,dは0又は0~25の正数であり、a+b+c+dは2~60の正数、特に5~50の正数であることが好ましい。更に、a,bのいずれかは0ではなく、かつ0≦a+c≦50、好ましくは3≦a+c≦45、0≦b+d≦30、好ましくは0≦b+d≦10である。
【0022】
(B)成分のポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、式(II)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルであればよいが、具体的には、
C12H25O(C2H4O)6(C3H6O)2(C2H4O)6(C3H6O)8H、
C13H27O(C2H4O)6(C3H6O)2(C2H4O)6(C3H6O)8H、
C12H25O(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
(但し、a+c=15、b+d=4)、
C13H27O(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
(但し、a+c=15、b+d=4)、
C12H25O(C2H4O)8(C3H6O)2(C2H4O)6H、
C13H27O(C2H4O)8(C3H6O)2(C2H4O)6H、
C12H25O(C2H4O)12(C3H6O)2(C2H4O)12H、
C13H27O(C2H4O)12(C3H6O)2(C2H4O)12H、
CH3(CH2)9(CH3)CHO(C2H4O)7(C3H6O)4.5H、
CH3(CH2)11(CH3)CHO(C2H4O)7(C3H6O)4.5H、
CH3(CH2)9(CH3)CHO(C2H4O)5(C3H6O)3.5H、
CH3(CH2)11(CH3)CHO(C2H4O)5(C3H6O)3.5H、
C14H29O(C2H4O)14(C3H6O)2H、
C11H23O(C2H4O)8H、
C10H21O(C2H4O)11H、
RO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
(但し、a+c=15、b+d=1、R:炭素数10の分枝アルキル)、
RO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
(但し、a+c=4、b+d=1、R:炭素数10の分枝アルキル)、
RO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
(但し、a+c=44、b+d=1、R:炭素数10の分枝アルキル)、
RO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
(但し、a+c=19、b+d=1、R:炭素数14の直鎖アルキル)、
RO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
(但し、a+c=19、b+d=1、R:炭素数14の分枝アルキル)、
RO(C2H4O)11H
(但し、R:炭素数10の直鎖アルキル)
等を挙げることができ、その1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
上記(B)成分であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルのHLB値は8~17であり、特に9~15であることが好ましい。上記(B)成分のHLB値が8未満では、疎水性が増し、水への溶解度が低下し、十分な水溶性が得られなくなる。一方、上記(B)成分のHLB値が17を超えた場合は、動的表面張力が大きく泡立ちやすいため、印刷時の滲みの原因になる。
【0024】
上記HLB値は、界面活性剤の親油基に付加された親水基が無限に長く親水性が最も大きい仮想的な化合物を20と、親水基の全く無い親油性の化合物を0と定め、それらに対する相対値として界面活性剤ごとに算出される値であり、一般的にGriffinの式にて算出することができる。
以下に、HLB値の算出に用いたGriffinの式を示す。
HLB値=20×Mw/M
M:非イオン性界面活性剤の分子量、Mw:親水性部分の分子量
【0025】
本発明の水溶性界面活性剤組成物を調製する際に用いられる(B)成分の配合量は、組成物100質量%中、30~70質量%であり、好ましくは40~60質量%である。上記(B)成分の含有量が30質量%未満では、(A)成分の十分な可溶化が行われず、凝集物の発生が生じるし、顔料分散性が悪くなる。一方、上記(B)成分の含有量が70質量%を超えると、配合時の泡立ちが多くなり、顔料分散性が悪く、吐出不良による印字不良又はムラなどの塗工不良が発生する。また、本発明においては、他の界面活性剤であるアニオン系やカチオン系のものを使用すると、泡立ちやすくなる場合があり、好ましくない。
【0026】
本発明の水溶性界面活性剤組成物は、更に第3成分である(C)成分としてイオン交換水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセリンなどの水溶性有機溶剤を併用してもよい。上記(C)成分の配合量は、水溶性界面活性剤組成物の特性を損なわない限り、組成物100質量%中、0~39質量%であり、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~25質量%の量で用いることができる。
【0027】
本発明の水溶性界面活性剤組成物は、例えば、上記各成分をプロペラ式攪拌機などの公知の混合調製方法によって混合することによって得られる。また、常温にて固体の成分については、必要により加温して混合するものである。
【0028】
ここで、得られた水溶性界面活性剤組成物は、1Hz及び10Hz時の動的表面張力が、それぞれ好ましくは46mN/m以下、より好ましくは45mN/m以下、更に好ましくは44mN/m以下である。得られた水溶性界面活性剤組成物の0.1質量%水溶液の1Hz及び10Hz時の動的表面張力が46mN/mを超えると、刷毛塗りやバーコーター塗工の際にハジキが認められなくても印刷機や塗工機で印刷などを行った際、ハジキや浸透力不足による滲みが発生する場合がある。
【0029】
また、水溶性高分子化合物に対して消泡性を有することが好ましく、その指標として、起泡性は、振とう直後の泡の高さが好ましくは20ml以下、より好ましくは19ml以下、5分後の泡の高さが好ましくは18ml以下、より好ましくは15ml以下である。振とう直後の泡の高さが20mlを超えるとインキの分散性不良等に起因する滲みが発生する場合がある。
【0030】
ここで、上記の水溶性高分子化合物としては特に制限なく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、天然の水溶性高分子化合物としては、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子化合物、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子化合物、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子化合物、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子化合物などが挙げられる。また、天然物を原料として化学修飾した水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子化合物、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子化合物、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子化合物などが挙げられる。また、合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子化合物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
【0031】
なお、静的表面張力は、表面張力計DY-500(協和界面科学社製)を用いて0.1質量%水溶液の値を測定したものであり、動的表面張力は、バブルプレッシャー型動的表面張力計クルスBP-100(KRUSS社製)を用いて0.1質量%水溶液の1Hz及び10Hzの値を測定したものである。
【0032】
本発明の水溶性界面活性剤組成物を用いて紙コート剤の水性濡れ剤として使用したり、インキを製造する場合、水溶性界面活性剤組成物は、紙コート剤全量又はインキ全量に対して好ましくは0.05~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%の添加量で使用することが望ましい。
【0033】
本発明の水溶性界面活性剤組成物を紙コート剤に使用する場合は、本発明の水溶性界面活性剤組成物のほか、微粒子、親水性バインダー、その他添加剤を含むことができる。
【0034】
微粒子としては、例えば、有機微粒子、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイト型水酸化アルミニウム微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイト型水酸化アルミニウム微粒子が好ましい。上記微粒子の平均一次粒子径は50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、特に15nm以下であることが好ましい。特に、微粒子の平均一次粒子径が15nm以下であると、インキ吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインキ受容層表面の光沢性をも高めることができる。また、微粒子の平均一次粒子径の下限は特に限定はないが、1nm以上であることが好ましい。
【0035】
紙コート剤を調製する際の微粒子の使用量は特に限定されないが、紙コート剤中、1~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましい。
【0036】
親水性バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、シラノール変性ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体などの共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス、無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、インキ吸収性の観点から、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシ基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましい。上記ポリビニルアルコールを使用する場合のケン化度としては、発色濃度の観点から、82モル%以上が好ましく、86~99モル%がより好ましい。また、重合度としては、十分な膜強度を得る観点から、300~4,500が好ましく、500~2,600がより好ましい。
【0037】
紙コート剤を調製する際の親水性バインダーの使用量は特に限定されないが、紙コート剤中、1~5質量%水溶液で45~95質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましい。
【0038】
その他の添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水白化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。これらの添加剤は、紙コート剤100質量%中に上記材料を除いた残部として添加することが可能である。
【0039】
上記本発明の水溶性界面活性剤組成物、微粒子、親水性バインダー、その他添加剤を配合させることにより、紙コート剤が得られ、印刷用に塗工する面に本発明のコート剤を浸漬又は塗布、噴霧などに用いられるグラビアコート等の公知の方法で塗工させることで塗工紙が得られる。この際、塗工量として3~50g/m2、より好ましくは5~20g/m2で調整して塗工させ、塗工スピードとして20~2,000m/分、より好ましくは40~2,000m/分にコントロールすることにより、塗工紙が得られる。
【0040】
また、本発明の水溶性界面活性剤組成物をインキに使用する場合は、本発明の水溶性界面活性剤組成物のほか、着色料、水や溶剤などの溶媒、樹脂、その他添加剤を任意に含むことができる。
【0041】
着色料としては、染料、有機顔料又は無機顔料を好適に用いることができる。例えば、染料としては、カラーインデックスにおいて、酸性染料、直接染料、反応染料、建染染料、硫化染料又は食品用色素に分類されているものの他に油溶染料、塩基性染料に分類される着色剤を用いることもできる。また、顔料として、黒色インキ用としては、ファーネスブラック(カラーブラック)、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、具体的には、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA-II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上、コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC-72R(以上、キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF-88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等、又は銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。更にカラーインキ用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、180、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、202、206、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できる。
【0042】
インキを調製する際の着色料の使用量は特に限定されないが、インキ中0.1~15質量%が好ましく、より好ましくは2~10質量%である。
【0043】
溶媒としては、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2,000以下のポリエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどのグリコール類、炭素数1~4のアルキルアルコール類、グリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
【0044】
インキを調製する際の溶媒の使用量は特に限定されないが、インキ中、50~99質量%が好ましく、より好ましくは60~95質量%である。
【0045】
樹脂としては、ポリマーを形成する物質の疎水基が少なくともアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選ばれた1種以上であることが好ましい。そして、親水基が少なくともカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、もしくはアミド基又はそれらの塩基であることが好ましい。それら分散ポリマーを形成する物質の具体例として2重結合を有するアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリール基を有するモノマーやオリゴマー類を用いることができる。例えば、スチレン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチルメタクリレート、(α,2,3又は4)-アルキルスチレン、(α,2,3又は4)-アルコキシスチレン、3,4-ジメチルスチレン、α-フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他アルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のジエチレングリコール又はポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、その他含フッ素、含塩素、含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等の1官能の他に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール及び1,10-デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ビスフェノールA又はFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等アクリル基やメタクリル基を有する化合物を用いることができる。
【0046】
インキを調製する際の樹脂の使用量は特に限定されないが、インキ中、0~30質量%が好ましく、より好ましくは0~20質量%である。なお、配合する場合には1質量%以上とすることが好ましい。
【0047】
その他添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調整剤などを適宜配合することもできる。これらその他の添加剤は、上記の材料のほかに、インキ組成物100質量%中の残部として配合させることができる。
【0048】
上記の本発明の水溶性界面活性剤組成物、着色料、溶剤、樹脂、その他添加剤等を分散・溶解して混合攪拌することにより、優れた特性を有するインキが得られる。
得られたインキとしては、粘度を4mPa・s以下(0を含まず)に調整することで、印字特性が優れることになる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部及び%はそれぞれ質量部、質量%を示す。
【0050】
[実施例1]
50℃に加温した下記表1に示される(A)チオエーテル化合物50部をプロペラ式撹拌機に投入後、攪拌しながら50℃に加温した状態で、下記表1に示される(B)B-1成分50部を添加し、2時間攪拌後、室温まで冷却した。冷却後、300メッシュ濾布にて濾過し、実施例1の界面活性剤組成物を得た。
【0051】
[実施例2~10、比較例1~9]
実施例1と同様に、表1で示した配合組成で実施例2~10を得た。また、実施例1と同様に、表2で示した配合組成で比較例1~9を得た。
【0052】
【0053】
【0054】
(A):1-[(2-ヒドロキシエチル)チオ]-3-(オクチルオキシ)-2-プロパノール
(B)B-1成分:RO(C2H4O)a(C3H6O)bH
R=炭素数12、14のアルキル、a=7、b=4.5、HLB値:12
B-2成分:RO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)c(C3H6O)dH
R=炭素数12、13のアルキル、a+c=15、b+d=4、HLB値:15
B-3成分:RO(C2H4O)a(C3H6O)bH
R=炭素数12、14のアルキル、a=5、b=3.5、HLB値:11
B-4成分:RO(C2H4O)aH
R=炭素数11のアルキル、a=8、HLB値:13
B-5成分:RO(C2H4O)aH
R=炭素数10のアルキル、a=11、HLB値:14
B’-1成分:RO(C2H4O)aH
R=炭素数12~33のアルキル(平均炭素数23)、a=15、HLB値:14
B’-2成分:RO(C2H4O)aH
R=炭素数12のアルキル、a=40、HLB値:18
B’-3成分:RO(C2H4O)aH
R=炭素数14のアルキル、a=2、HLB値:4
【0055】
なお、各物性の測定は下記のようにして行った。その結果を表2に示す。
<水溶解性>
上記水溶液の外観及び不溶解物の有無の確認を目視により行った。
○:水溶液が透明で、不溶解物が認められない
△:水溶液が白濁しているが、不溶解物は認められない
×:一部不溶解物が認められる
【0056】
<静的表面張力>
協和界面科学社製表面張力計DY-500を用いて、室温における界面活性剤組成物の0.1%水溶液の静的表面張力を測定した。
【0057】
<動的表面張力>
KRUSS社製バブルプレッシャー型動的表面張力計クルスBP-100を用いて、室温における界面活性剤組成物の0.1%水溶液の1Hz及び10Hzの動的表面張力を測定した。
【0058】
<塗布試験>
界面活性剤組成物の0.1%水溶液をバーコーターNo.7でPETフィルムに塗布し、塗布直後のハジキを目視により観察した。
〇:ハジキ及びピンホールが見られない
△:一部ハジキ又はピンホールが認められる
×:ハジキ又はピンホールが多く認められる
【0059】
[紙コート剤配合]
[実施例コ-1]
紙コート剤として、(株)クラレ製の商品名「クラレポバール117」(重合度1,700、ケン化度98~99モル%ポリビニルアルコール)の2.5%水溶液100部に対し、実施例1の界面活性剤組成物を1部、気相法シリカ微粒子(AEROSIL300SF75,日本アエロジル製、平均一次粒子径7nm)を10部添加し、プロペラ式攪拌機で30分攪拌した後、紙コート剤配合物(以下、これを「実施例コ-1」という)を得た。
【0060】
[実施例コ-2~コ-10、比較例コ-1~コ-9]
実施例コ-1と同様にして、表3で示した配合で実施例2~10を用いた紙コート剤配合物(以下、「実施例コ-2~コ-10」という)を得た。
また、表4で示した配合で比較例1~9を用いた紙コート剤配合物(以下、「比較例コ-1~コ-9」という)を得た。
【0061】
[比較例コ-10及びコ-11]
表4で示した配合で比較例1を用いた紙コート剤「比較例コ-10」及び比較例3を用いた紙コート剤「比較例コ-11」をそれぞれ得た。
【0062】
[比較例コー12]
表4で示した配合で比較例6を用いた紙コート剤「比較例コー12」を得た。
【0063】
各特性の測定は下記のようにして行った。その結果を表2に併記する。
[紙コート剤の評価]
1)ハジキ
日商グラビア社製印刷適正試験機(GRAVO-PROOF)にて、紙コート剤を50m/分の塗工速度で無サイズ紙に8g/m2塗工し、塗工面のハジキなどの状態を目視にて確認した。
○:ハジキ及びピンホールが認められない
△:一部ハジキ又はピンホールが認められる
×:ハジキ又はピンホールが多く認められる
【0064】
2)起泡性
紙コート剤をコート剤/水=1/2の比率で希釈し、サンプルとした。このサンプル20mlを100mlメスシリンダーに入れ、180回往復/分のシェーカーで1分間振とうし、振とう終了直後及び5分後の泡のml数を測定した。振とう終了直後起泡性は20ml以下で、15ml以下が好ましく、5分後の起泡性は15ml以下で、10ml以下が好ましい。
【0065】
【0066】