(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】インバータユニットおよびモータユニット
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230307BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2020513471
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2019016055
(87)【国際公開番号】W WO2019198830
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2018077848
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】黒柳 均志
(72)【発明者】
【氏名】福永 慶介
(72)【発明者】
【氏名】中松 修平
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-159193(JP,A)
【文献】特開2016-082625(JP,A)
【文献】特開2018-050456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流を交流電流に変換してモータに供給するインバータユニットであって、
外部に開口する第1の収容室および第2の収容室が設けられたケースと、
前記第1の収容室に位置する第1の回路基板と、
前記第1の回路基板と外部電源装置とを繋ぐ配線部と、
前記ケースに固定され前記第1の収容室の開口を覆う第1のカバーと、
前記ケースに固定され前記第2の収容室の開口を覆う第2のカバーと、
を備え、
前記配線部は、外部電源装置に接続される接続部を有し、
前記接続部は、前記
第2の収容室に位置する、インバー
タユニット。
【請求項2】
前記第1のカバーは、
前記第1の収容室の内側面の一部を構成する第1面と、
前記第1面の反対側を向く第2面と、
を有し、
第2のカバーの一部が、前記第1のカバーの前記第2面の少なくとも一部を覆う、押さえ部を有する、請求項1に記載のインバータユニット。
【請求項3】
前記第1の収容室および前記第2の収容室は、同方向に開口し、
前記第2のカバーは、
前記第2の収容室の開口を覆う板状のカバー本体部と、
前記カバー本体部の外縁から、前記ケースの反対側に突出する突出部と、
前記突出部の先端から前記第1のカバー側に延びる前記押さえ部と
、
を有する、請求項2に記載のインバータユニット。
【請求項4】
カバー開放検出装置を備え、
前記カバー開放検出装置は、
前記第2のカバーが前記ケースから離脱すると前記外部電源装置から供給される電流を遮断し、
前記第2のカバーが前記ケースに取り付けられると前記外部電源装置からの電流の遮断を解除する、請求項1~3の何れか一項に記載のインバータユニット。
【請求項5】
前記第1の収容室に位置する第2の回路基板を備え、
前記第2の回路基板は、前記モータを制御する制御基板である、請求項1~4の何れか一項に記載のインバータユニット。
【請求項6】
前記配線部は、板状のバスバーである、請求項1~5の何れか一項に記載のインバータユニット。
【請求項7】
前記接続部において前記配線部の板厚方向は、前記第2の収容室の開口方向と一致し、
前記接続部には、板厚方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記接続部は、前記貫通孔において前記外部電源装置の接続端子とネジ止めされる、請求項6に記載のインバータユニット。
【請求項8】
前記第2の収容室の容積は、前記第1の収容室の容積より小さい、請求項1~7の何れか一項に記載のインバータユニット。
【請求項9】
前記第1の収容室および前記第2の収容室は、同方向に開口し、
前記第2の収容室の開口方向に沿う寸法は、前記第1の収容室の開口方向に沿う寸法より小さい、請求項1~8の何れか一項に記載のインバータユニット。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項インバータユニットと、
前記インバータユニットから交流電流を供給される前記モータと、
を備える、モータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータユニットおよびモータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
モータを制御するためインバータとインバータを収容するケースとを備えたインバータユニットが知られている。特許文献1には、コンパクト性、組立性、製造性および耐震性等を考慮して各部品の大きさの順に積み重ねて固定する電動駆動装置ユニット(インバータユニット)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータユニットには、外部電源装置から延びる接続端子に接続される。インバータユニットと接続端子との接続を行う接続工程は、インバータユニットのケースを開放して行うため、ケース内の回路基板が外部に露出して埃等により汚染される虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、汚染から回路基板を保護できるインバータユニットおよびモータユニットの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインバータユニットの一つの態様は、直流電流を交流電流に変換してモータに供給するインバータユニットである。インバータユニットは、外部に開口する第1の収容室および第2の収容室が設けられたケースと、前記第1の収容室に位置する第1の回路基板と、前記第1の回路基板と外部電源装置とを繋ぐ配線部と、前記ケースに固定され前記第1の収容室の開口を覆う第1のカバーと、前記ケースに固定され前記第2の収容室の開口を覆う第2のカバーと、を備える。前記配線部は、外部電源装置に接続される接続部を有する。前記接続部は、前記第1の収容室に位置する。
【0007】
本発明のモータユニットの一つの態様は、上述のインバータユニットと、前記インバータユニットから交流電流を供給される前記モータと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、汚染から回路基板を保護できるインバータユニットおよびモータユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態のインバータユニットの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿う一実施形態のインバータユニットの断面模式図である。
【
図3】
図3は、第1のカバーおよび第2のカバーを省略した一実施形態のインバータユニットの平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のケースの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインバータユニットについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0011】
以下の説明では、インバータユニット1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってインバータユニット1が搭載される車両の前後方向を示す。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示す。
【0012】
以下、図面を基に本発明の例示的な一実施形態に係るインバータユニット1およびインバータユニット1を備えるモータユニット3について説明する。
【0013】
図1は、インバータユニット1の平面図である。 インバータユニット1は、モータユニット3に備えられる。モータユニット3は、インバータユニット1とモータ2とモータハウジング3aとを有する。また、モータユニット3は、モータ2の回転を減速する減速装置(図示略)を備えていてもよい。
【0014】
本実施形態のモータユニット3は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0015】
モータハウジング3aの内部は、モータ2を収容する収容空間が設けられる。モータハウジング3aの収容空間には、モータ2が収容される。また、モータハウジング3aの外周面には、インバータユニット1が固定される。
【0016】
モータ2は、インバータユニット1から交流電流を供給される。モータ2は、インバータユニット1により、制御される。モータ2は、水平方向に延びるモータ軸Jを中心として回転するロータ2aと、ロータ2aの径方向外側に位置するステータ2bと、を備える。ステータ2bのコイル線は、インバータユニット1に接続される。
【0017】
図2は、
図1のII-II線に沿うインバータユニット1の断面模式図である。
図3は、第1のカバー40および第2のカバー50を省略したインバータユニット1の平面図である。
【0018】
インバータユニット1は、直流電流を交流電流に変換してモータ2に供給する。
図2に示すように、インバータユニット1は、ケース10と、制御基板(第2の回路基板)21と、パワー基板(第1の回路基板)22と、コンデンサ23と、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、以下IGBTと呼ぶ)24と、第1のバスバー31と、第2のバスバー32と、バスバーホルダ33と、カバー開放検出装置60と、第1のカバー40と、第2のカバー50と、を備える。
【0019】
ケース10の内部には、収容空間13が設けられる。収容空間13には、制御基板21、パワー基板22、コンデンサ23、IGBT24、第1のバスバー31、第2のバスバー32、バスバーホルダ33およびカバー開放検出装置60が収容される。
【0020】
収容空間13は、第1の収容室11と第2の収容室12とに区画される。すなわち、ケース10には、第1の収容室11および第2の収容室12が設けられる。第1の収容室11および第2の収容室12は、外部に開口する。第1の収容室11および第2の収容室12の開口は、上側を向く。すなわち、第1の収容室11および第2の収容室12は、同方向に開口する。また、第1の収容室11および第2の収容室12の開口方向は、上下方向と一致する。第1の収容室11および第2の収容室12は、互いに隣接する。
【0021】
制御基板21、パワー基板22、コンデンサ23およびIGBT24は、第1の収容室11に収容される。第1のバスバー31は、第1の収容室11と第2の収容室12とに跨って収容される。第2のバスバー32、バスバーホルダ33およびカバー開放検出装置60は、第2の収容室12に収容される。
【0022】
ケース10は、第1の底壁部10aと第2の底壁部10bと側壁部10cと隔壁部10dとを有する。収容空間13は、第1の底壁部10a、第2の底壁部10bおよび側壁部10cに囲まれた空間である。
【0023】
側壁部10cは、上下方向から見て略矩形の環状である。側壁部10cは、収容空間13を水平方向から囲む。側壁部10cの上端面10caには、第1のカバー40および第2のカバー50が固定される。
【0024】
第1の底壁部10aおよび第2の底壁部10bは、側壁部10cの下端に位置する。第1の底壁部10aおよび第2の底壁部10bは、収容空間13の下側に位置する。第1の底壁部10aは、第1の収容室11の下側に位置する。第2の底壁部10bは、第2の収容室12の下側に位置する。
【0025】
第2の底壁部10bは、第1の底壁部10aより上側に位置する。したがって、第2の収容室12の上下方向の寸法(開口方向に沿う寸法)は、第1の収容室11の上下方向の寸法より小さい。また、第2の収容室12の容積は、第1の収容室11の容積より小さい。第2の収容室12には、主に第1のバスバー31の一部および第2のバスバー32が収容される。第2の収容室12内において、第1のバスバー31および第2のバスバー32の板厚方向は、上下方向と一致する。本実施形態によれば、第2の収容室12の上下方向の寸法を、第1の収容室11と比較して小さくし、インバータユニット1全体を小型化することができる。
【0026】
隔壁部10dは、収容空間13を第1の収容室11と第2の収容室12とに区画する。隔壁部10dには、第1の収容室11と第2の収容室12とを互いに連通させる隔壁開口10daが設けられる。隔壁開口10daには、第1のバスバー31が通過する。
【0027】
図4は、ケース10の底面図である。 ケース10の外周面には、複数(本実施形態では4つ)の位置決め凹部19が設けられる。本実施形態において、位置決め凹部19は、第1の底壁部10aと第2の底壁部10bとにそれぞれ2つずつ設けられる。
【0028】
位置決め凹部19は、それぞれ下向きに開口する。位置決め凹部19は、平面視で円形である。インバータユニット1の組み立て工程において、位置決め凹部19には、組み立て装置(図示略)に設けられた位置決めピンが挿入される。これにより、ケース10と組み立て装置とは、互いに位置決めされる。
【0029】
図2に示すように、制御基板21は、第1の収容室11に位置する。制御基板21は、モータ2に接続されてモータ2を制御する。例えば、モータユニット3が、レゾルバ等のエンコーダを有する場合に、制御基板21は、エンコーダにより測定されるモータ2の回転数を基に、モータ2の回転数をフィードバック制御する。
【0030】
パワー基板22、コンデンサ23およびIGBT24は、第1の収容室11に位置する。コンデンサ23およびIGBT24は、それぞれパワー基板22に接続される。パワー基板22、コンデンサ23およびIGBT24は、インバータ25を構成する。インバータ25は、第1のバスバー31および第2のバスバー32を介して、外部電源装置9に接続される。外部電源装置9は、例えば車両に搭載された二次電池である。インバータ25は、外部電源装置9から供給された直流電流を交流電流に変換する。
【0031】
図3に示すように、第1のバスバー31および第2のバスバー32は、それぞれインバータユニット1に一対ずつ設けられる。第1のバスバー31および第2のバスバー32は、導電性の板材から構成される。第1のバスバー31と第2のバスバー32とは、固定ネジ30aにより互いに接続される。一対の第1のバスバー31と一対の第2のバスバー32とは、配線部30を構成する。すなわち、インバータユニット1は、配線部30を備える。
【0032】
配線部30は、第1の収容室11と第2の収容室12とに跨って設けられる。配線部30は、パワー基板22と外部電源装置9とを繋ぐ。すなわち、配線部30は、外部電源装置9とインバータ25とを繋ぐ。配線部30には、外部電源装置9から延び出る電源ケーブル9aに接続される。配線部30は、外部電源装置9から電源ケーブル9aを介して供給される直流電流をインバータ25に供給する。配線部30と電源ケーブル9aの繋がっている場所はモータユニット3において、モータ2側である。この構造によって、モータユニット3において、モータ2の反対側から大きな衝撃があった場合においても、配線部30と電源ケーブル9aが外れることがないようにしている。
【0033】
本実施形態によれば、配線部30は、板状のバスバーである。一般的に、バスバーは、可撓性のケーブルと比較して、振動下でも絶縁を確保しやすい。本実施形態によれば、配線部30が板状のバスバーであることで、外部電源装置9からインバータ25に、大きな電流を安定的に供給することができる。
【0034】
第1のバスバー31は、第1の収容室11と第2の収容室12と跨って位置する。第1のバスバー31の一端は、第1の収容室11に位置し、パワー基板22に接続される。第1のバスバー31の他端は、第2の収容室12に位置し、第2のバスバー32に接続される。
【0035】
第2のバスバー32は、第2の収容室12に位置する。第2のバスバー32の板厚方向は、全長に亘って上下方向と一致する。すなわち、第2のバスバー32の板厚方向は、第2の収容室の開口方向と一致する。第2のバスバー32は、上下方向から見て略L字状に延びる。第2のバスバー32は、バスバーホルダ33に支持される。第2のバスバー32は、バスバーホルダ33を介してケース10に固定される。
【0036】
第2のバスバー32の一端は、第2のバスバー32に接続される。また、第2のバスバー32の他端には、外部電源装置9に接続される接続部32aが設けられる。すなわち、配線部30は、第2の収容室12に位置する接続部32aを有する。
【0037】
接続部32aにおいて、第2のバスバー32の板厚方向は、第2の収容室12の開口方向と一致する。接続部32aには、第2のバスバー32の板厚方向に貫通する貫通孔32cが設けられる。一方で、外部電源装置9から延び出る電源ケーブル9aの先端には、接続端子9bが設けられる。接続端子9bには、貫通孔32cと重なる貫通孔(図示略)が設けられる。接続部32aの貫通孔32cと接続端子の貫通孔とには、固定ネジ30bが挿入されネジ止めされる。これにより、配線部30は、外部電源装置9に接続される。
【0038】
本実施形態によれば、接続部32aは、第2の収容室12の開口方向に延びる貫通孔32cにおいて外部電源装置9の接続端子9bとネジ止めされる。このため作業者は、接続部32aと外部電源装置9の接続端子9bとを、第2の収容室12の開口方向からネジ止めすることができる。したがって、第2の収容室12の開口を開放させた状態で、配線部30と外部電源装置9とを容易に接続できる。
【0039】
カバー開放検出装置60は、第2の収容室12に位置する。カバー開放検出装置60は、第2のカバー50に接触するスイッチ部61を有する。第2のカバー50がケース10から取り外されると、スイッチ部61は、第2のカバー50から離間する。カバー開放検出装置60は、第2のカバー50がケース10から離脱し、スイッチ部61が第2のカバー50から離脱すると外部電源装置9から供給される電流を遮断する。また、カバー開放検出装置60は、第2のカバー50がケース10に取り付けられ、スイッチ部61が第2のカバー50に接触すると外部電源装置9からの電流の遮断を解除する。
【0040】
本実施形態によれば、カバー開放検出装置60が設けられることで、第2の収容室12が開放された状態で、配線部30に電流が流れることを抑制できる。このため、配線部30の接続部32aと外部電源装置9の接続端子9bとを接続する接続工程において、作業者を高圧電流から保護し、接続工程を安全に行うことができる。
【0041】
本実施形態では、カバー開放検出装置60が第2の収容室12の内部に配置される場合を例示した。しかしながら、カバー開放検出装置60は、第2のカバー50の開放を検知するものであれば、第2の収容室12の外部に配置されていてもよい。
【0042】
図2に示すように、第1のカバー40は、第1の収容室11の開口を覆う。第1のカバー40は、板状である。第1のカバー40は、プレス加工により成形される。第1のカバー40の板厚方向は、第1の収容室11の開口方向(本実施形態において上下方向)と一致する。
【0043】
第1のカバー40は、上面(第2面)40aと下面(第1面)40bとを有する。下面40bは、第1の収容室11の内側面の一部を構成する。下面40bは、ケース10の上端面10caと接触する。上面40aは、下面40bの反対側を向く面である。上面40aは、第1の収容室11の開口方向を向く面である。
【0044】
図1に示すように、第1のカバー40は、周縁部において複数の固定ネジ18によりケース10に固定される。第1のカバー40の周縁部には、第1のカバー40を板厚方向に貫通する複数の貫通孔(図示略)が設けられる。固定ネジ18は、第1のカバー40の貫通孔に挿入されてケース10にネジ止めされる。これにより、第1のカバー40は、ケース10に固定される。
【0045】
第1のカバー40の周縁部には、複数の位置決め孔49が設けられる。本実施形態において、第1のカバー40には、2つの位置決め孔49が設けられる。位置決め孔49は、第1のカバー40を板厚方向に貫通する。インバータユニット1の組み立て工程において、位置決め孔49には、組み立て装置(図示略)に設けられた位置決めピンが挿入される。これにより、第1のカバー40と組み立て装置とは、互いに位置決めされる。
【0046】
図2に示すように、第2のカバー50は、板状である。第2のカバー50は、プレス加工により成形される。第2のカバー50は、カバー本体部51と突出部52と押さえ部53とを有する。
【0047】
カバー本体部51は、板厚方向が上下方向と一致する板状である。カバー本体部51の板厚方向は、第2の収容室12の開口方向(本実施形態において上下方向)と一致する。カバー本体部51は、第2の収容室12の開口を覆う。すなわち、第2のカバー50は、第2の収容室12の開口を覆う。
【0048】
カバー本体部51は、上面51aと下面51bとを有する。下面51bは、第2の収容室12の内側面の一部を構成する。下面51bは、ケース10の上端面10caと接触する。上面51aは、下面51bの反対側を向く面である。上面51aは、第2の収容室12の開口方向を向く面である。
【0049】
図1に示すように、カバー本体部51は、周縁部において複数の固定ネジ18によりケース10に固定される。カバー本体部51の周縁部には、カバー本体部51を板厚方向に貫通する複数の貫通孔(図示略)が設けられる。固定ネジ18は、カバー本体部51の貫通孔に挿入されてケース10にネジ止めされる。これにより、第2のカバー50は、ケース10に固定される。
図2に示すように、第1のカバー40と第2のカバー50とは、ケース10の連続する1つの面(上端面10ca)に固定される。
【0050】
図1に示すように、カバー本体部51の周縁部には、複数の位置決め孔59が設けられる。本実施形態において、カバー本体部51には、2つの位置決め孔59が設けられる。位置決め孔59は、カバー本体部51を板厚方向に貫通する。インバータユニット1の組み立て工程において、位置決め孔59には、組み立て装置(図示略)に設けられた位置決めピンが挿入される。これにより、第2のカバー50と組み立て装置とは、互いに位置決めされる。
【0051】
図2に示すように、突出部52は、カバー本体部51の外縁から、ケース10の反対側(すなわち上側)に突出する。本実施形態において、突出部52は、上側に向かうに従い第1のカバー40側に傾斜する。
【0052】
押さえ部53は、突出部52の先端(すなわち上端)から、第1のカバー40側に延びる。押さえ部53は、第1のカバー40の上面40aの少なくとも一部を覆う。
【0053】
配線部30の接続部32aと外部電源装置9の接続端子9bとを接続する接続工程を行う際に、作業者は、第2の収容室12の開口を開放させる。本実施形態のインバータユニット1には、第1の収容室11の開口を覆う第1のカバー40と、第2の収容室12の開口を覆う第2のカバー50と、がそれぞれ設けられる。本実施形態によれば、作業者は、第1の収容室11の開口を閉塞させた状態で接続工程を行うことができる。このため、接続工程の際に、第1の収容室11内の制御基板21およびインバータ25が、埃等によって汚染されることを抑制できる。
【0054】
本実施形態によれば、第2のカバー50の一部である押さえ部53が、第1のカバー40の上面40aの一部を覆う。したがって、第1のカバー40を取り外すためには、まず第2のカバー50を取り外す必要がある。本実施形態によれば、接続工程の際に、第1のカバー40が取り外されることを抑制できる。したがって、第1の収容室11内の制御基板21およびインバータ25が埃等によって汚染されることを抑制できる。
【0055】
本実施形態によれば、カバー開放検出装置60は、第2の収容室12の開口の開放を検出して、配線部30に流れる電流を遮断する。第2の収容室12の開口を覆う第2のカバー50の一部は、第1のカバー40の一部覆う。このため、第1の収容室11の開口が開放される場合には、同時に第2の収容室12の開口が開放された状態となる。本実施形態によれば、第1の収容室11の開口を開放した場合においても、作業者を高圧電流から保護することができる。
【0056】
(振動抑制構造) 本実施形態のインバータユニット1では、
図1に示すようにケース10は凸部160を有するカバーで覆われている。
【0057】
そこで、本実施形態のインバータユニット1では
図1に示すように、外部に開口する収容室が設けられたケース10と、ケース10に固定され収容室の開口を覆うカバーと、を備え、カバーはケース10側とは反対側に向かって突出する凸部160を有する。
【0058】
さらに、凸部160はケース10側に向かって開口する空間100を有する。
【0059】
この構造によって、カバーの剛性を向上させることができるため振動を低減することができる。また、空間100を有する凸部であるため、重量を増加させることなく振動を低減することができる。
【0060】
凸部160は、上面40aとカバーの外端110よりも内側にケース10の外周に沿った複数の壁部120を有し、上面40aは一端側壁部130と直交する他端側壁部140とを結んだケース10側に向かって窪んだ溝部150を有する。
【0061】
この構造によって、さらにカバーの剛性を向上させることができるため振動を低減することができる。また、空間100を有する凸部であるため、重量を増加させることなく振動を低減することができる。
【0062】
溝部150は他端側壁部140に対して並行に延びる溝部150と、他端側壁部140に対して斜めに延びる溝部150を有する。
【0063】
この構造によって、さらにカバーの剛性を向上させることができるため振動を低減することができる。また、空間100を有する凸部であるため、重量を増加させることなく振動を低減することができる。
【0064】
溝部150の深さh1は凸部160の高さh2よりも低い。
【0065】
この構造によって、制御基板21に実装される素子の配置や高さを考慮しつつ、振動を低減するためのカバー10を実現している。
【0066】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0067】
1…インバータユニット、2…モータ、3…モータユニット、9…外部電源装置、9b…接続端子、10…ケース、11…第1の収容室、12…第2の収容室、21…制御基板(第2の回路基板)、22…パワー基板(第1の回路基板)、25…インバータ、30…配線部、32a…接続部、32c…貫通孔、40…第1のカバー、50…第2のカバー、51…カバー本体部、52…突出部、53…押さえ部、60…カバー開放検出装置、空間…100、外端…110、複数の壁部…120、一端側壁部…130、他端側壁部…140、溝部…150、凸部…160