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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20230307BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020516306
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2019016780
(87)【国際公開番号】W WO2019208423
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2018083819
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 舞
【審査官】佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-137189(JP,A)
【文献】特開2016-147532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0371158(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
B60K 35/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ケースと、前記上ケースと組み合わさる下ケースとを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
左右両側に突出するように上下両端の間に設けられる一対の回転軸部を有し、前記回転軸部の軸線周りに回転可能に前記下ケースに収納される反射部材と、
前記反射部材の一方側に対向するように前記下ケースに収納され、前記反射部材を回転させるように駆動する駆動部材とを備え、
前記反射部材の前記駆動部材に対向する一方側には、前記回転軸部よりも上端側寄りの位置において、前記駆動部材側に突出する被係合部が設けられ、
前記駆動部材は、前記被係合部と係合する係合部を有し、
前記駆動部材は、ステッピングモータであり、略前後方向に沿って延在するリードスクリューと、前記係合部として前記リードスクリューに沿ってスライドするスライダとを有する
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
上ケースと、前記上ケースと組み合わさる下ケースとを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
左右両側に突出するように上下両端の間に設けられる一対の回転軸部を有し、前記回転軸部の軸線周りに回転可能に前記下ケースに収納される反射部材と、
前記反射部材の一方側に対向するように前記下ケースに収納され、前記反射部材を回転させるように駆動する駆動部材とを備え、
前記反射部材の前記駆動部材に対向する一方側には、前記回転軸部よりも上端側寄りの位置において、前記駆動部材側に突出する被係合部が設けられ、
前記駆動部材は、前記被係合部と係合する係合部を有し、
前記下ケースには、左右方向に沿って互いに隣接して配列される第1収納部及び第2収納部が形成され、
前記第1収納部は、前記反射部材を収納するものであり、
前記第2収納部は、その底部が前記第1収納部の底部よりも上方に位置付けるように形成され前記駆動部材を収納するものであり、
前記第1収納部及び前記第2収納部の間には、前記第1収納部の底部と前記第2収納部の底部とを連結するとともに略上下方向に沿って延在する段差部が設けられ、
前記段差部には、一方の前記回転軸部を軸支させる一方の軸受部が形成される
ッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記駆動部材は、前記係合部が一方の前記軸受部よりも上方に位置付けるように設けられる
ことを特徴とする請求項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記下ケースには、他方の前記回転軸部を軸支させる他方の軸受部が形成されるステイ部材が取り外し可能に設けられる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置及びその組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凹面鏡を回転させる位置調整手段がハウジングに組付けられた後に、凹面鏡をハウジングに組み付けるヘッドアップディスプレイ装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-73461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置では、位置調整手段の動力伝達部材に凹面鏡を保持する保持部材の垂下部が挿入されるように凹面鏡をハウジングに組み付ける際に、垂下部及び動力伝達部材が凹面鏡に遮られ視認しにくくなっているため、装置全体の組み付け性が悪いという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、組み付け性を向上させるヘッドアップディスプレイ装置及びその組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記のような課題を解決するため、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、上ケースと、前記上ケースと組み合わさる下ケースとを備えるものであって、左右両側に突出するように上下両端の間に設けられる一対の回転軸部を有し、前記回転軸部の軸線周りに回転可能に前記下ケースに収納される反射部材と、前記反射部材の一方側に対向するように前記下ケースに収納され、前記反射部材を回転させるように駆動する駆動部材とを備え、前記反射部材の前記駆動部材に対向する一方側には、前記回転軸部よりも上端側寄りの位置において、前記駆動部材側に突出する被係合部が設けられ、前記駆動部材は、前記被係合部と係合する係合部を有し、前記駆動部材は、ステッピングモータであり、略前後方向に沿って延在するリードスクリューと、前記係合部として前記リードスクリューに沿ってスライドするスライダとを有することを特徴とする。
【0007】
(2)上記のような課題を解決するため、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、上ケースと、前記上ケースと組み合わさる下ケースとを備えるものであって、左右両側に突出するように上下両端の間に設けられる一対の回転軸部を有し、前記回転軸部の軸線周りに回転可能に前記下ケースに収納される反射部材と、前記反射部材の一方側に対向するように前記下ケースに収納され、前記反射部材を回転させるように駆動する駆動部材とを備え、前記反射部材の前記駆動部材に対向する一方側には、前記回転軸部よりも上端側寄りの位置において、前記駆動部材側に突出する被係合部が設けられ、前記駆動部材は、前記被係合部と係合する係合部を有し、前記下ケースには、左右方向に沿って互いに隣接して配列される第1収納部及び第2収納部が形成され、前記第1収納部は、前記反射部材を収納するものであり、前記第2収納部は、その底部が前記第1収納部の底部よりも上方に位置付けるように形成され前記駆動部材を収納するものであり、前記第1収納部及び前記第2収納部の間には、前記第1収納部の底部と前記第2収納部の底部とを連結するとともに略上下方向に沿って延在する段差部が設けられ、前記段差部には、一方の前記回転軸部を軸支させる一方の軸受部が形成されることを特徴とする
【0008】
(3)上記構成(2)において、前記駆動部材は、前記係合部が一方の前記軸受部よりも上方に位置付けるように設けられることが好ましい
【0009】
(4)上記構成(2)又は(3)において、前記下ケースには、他方の前記回転軸部を軸支させる他方の軸受部が形成されるステイ部材が取り外し可能に設けられることが好ましい
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、組み付け性を向上させるヘッドアップディスプレイ装置及びその組み付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が車両に搭載される状態を示す概略図である。
図2】本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の斜視図である。
図3】上ケースを取り外したときのヘッドアップディスプレイ装置の斜視図である。
図4】本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の分解図である。
図5】下ケースの説明図である。
図6】凹面鏡の説明図である。
図7】ステイ部材の説明図である。
図8】凹面鏡の回転軸部をステイ部材の軸受部に挿入した状態を示す説明図である。
図9】ステッピングモータの説明図、(a)ステッピングモータの正面斜視図であり、(b)ステッピングモータの側面斜視図である。
図10】凹面鏡及びステイ部材を下ケースに組み付けた状態を示す説明図である。
図11】凹面鏡、ステイ部材及びステッピングモータを下ケースに組み付けた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。また、実施形態の説明の全体を通して同じ要素に同じ符号を付する。なお、図中において、X軸に沿って延在する方向を前後方向とし、Y軸に沿って延在する方向を左右方向とし、Z軸に沿って延在する方向を上下方向とする。
【0015】
(ヘッドアップディスプレイ装置)
まず、図1から図4を参照しながら本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1の全体構成を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1が車両100に搭載される状態を示す概略図である。図2は、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1の斜視図である。図3は、上ケース2を取り外したときのヘッドアップディスプレイ装置1の斜視図である。図4は、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1の分解図である。
【0016】
図1から図4に示すように、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1は、後述する表示素子からの表示光を車両100のフロントガラス200や専用の照射部材に照射し、この照射によって得られた表示像11(虚像)をユーザ12(ドライバー)に視認させるものであり、上ケース2及び上ケース2と組み合わさる下ケース3を備える。
【0017】
上ケース2は、表示光を透過させない樹脂材料からなるとともに中央に大きな開口21aが形成される上ケース本体21と、上ケース本体21と一体に成形され下ケース3の後述する複数の係止部37のそれぞれと係合する複数の係止爪22と、表示光を透過させる樹脂材料からなるとともに開口21aを覆うように上ケース本体21に両面テープや接着剤、あるいはビスなどによって取り付けられる透光性カバー23とを有している。なお、透光性カバー23は、上ケース2及び下ケース3が組み合わさった状態において、車両100のフロントガラス200に対向するように、ヘッドアップディスプレイ装置1の上面に取り付けられている。
【0018】
下ケース3は、樹脂材料からなり、照明手段4(表示器)、表示手段5(表示器)、メインプリント基板6、ブラインドカバー7、凹面鏡8(反射部材)、ステイ部材9、及びステッピングモータ10(駆動部材)、を収納するためのものであり、上ケース2の係止爪22と係止する複数の係止部37を有している。なお、下ケース3の詳細については後述する。
【0019】
照明手段4は、表示手段5よりも後方に位置付けるように下ケース3にビスなどによって取り付けられたものであり、配線基板に実装され光を発する複数の発光ダイオード(LED)と、複数の発光ダイオードから発せられる光を照明光として表示手段5に伝達する光学レンズと、表示手段5の後述する複数の係止爪51と係合する複数の係止部41とを備えている。
【0020】
表示手段5は、前後方向に沿って凹面鏡8及び照明手段4の間に位置付けるように下ケース3に取り付けられ、照明手段4からの照明光を透過して表示光を形成して凹面鏡8に伝達するためのものであり、例えばTFT型などの透過型液晶表示素子(表示素子)からなり、素子駆動回路によって表示すべき情報(例えば車両100の速度やエンジン回転数など)を、数字などで発光表示する。
【0021】
また、表示手段5は、複数の係止部41と係合する複数の係止爪51と、メインプリント基板6と電気的に接続されるフレキシブル基板52とを備えており、係止爪51と係止部41との係止によって、照明手段4と一体に形成されている。これにより、ビス止めを行うことなく、表示手段5を照明手段4と一体に下ケース3に取り付けることができる。
【0022】
なお、本実施形態では、表示器は、照明手段4及び表示手段5によって構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、自発光型ディスプレイによって構成されてもよい。
【0023】
メインプリント基板6は、照明手段4、表示手段5及びステッピングモータ10と電気的に接続されており、これらを制御するためのものである。ブラインドカバー7は、メインプリント基板6及び表示手段5のフレキシブル基板52を被せるようにビスなどによって下ケース3に取り付けられている。これにより、上ケース2の開口21aから侵入する光がメインプリント基板6に照射すること及び表示手段5のフレキシブル基板52の露出を防止することができ、ヘッドアップディスプレイ装置1における実装部品への光の反射による表示像11の劣化を抑制することができる。
【0024】
凹面鏡8は、表示手段5からの表示光を拡大しつつ、透光性カバー23(車両100のフロントガラス200)側へ反射させるためのものである。そして、凹面鏡8によって拡大反射された表示像11は、ユーザ12が視認できるように、透光性カバー23を透過して車両100のフロントガラス200に表示されている。なお、凹面鏡8の詳細については後述する。
【0025】
ステイ部材9は、凹面鏡8を回転可能に下ケース3に取り付けるためのものである。ステッピングモータ10は、凹面鏡8を回転させることで凹面鏡8の角度位置を調整するように駆動するためのものである。なお、ステイ部材9及びステッピングモータ10の詳細については後述する。
【0026】
(下ケース)
つぎに、図5を参照しながら下ケース3を詳細に説明する。
図5は、下ケース3の説明図である。
【0027】
図5に示すように、下ケース3は、照明手段4及び表示手段5を収納する表示器収納部31と、メインプリント基板6及びブラインドカバー7を収納する基板収納部32と、凹面鏡8を収納する反射部材収納部33(第1収納部)と、ステイ部材9を収納するステイ部材収納部34と、ステッピングモータ10を収納する駆動部材収納部35(第2収納部)とを有している。
【0028】
反射部材収納部33、基板収納部32、及び表示器収納部31は、前方から後方に向けて、順に前後方向に沿って延在する同一直線上に形成されている。これにより、基板収納部32に収納されるメインプリント基板6及びブラインドカバー7は、前後方向に沿って反射部材収納部33に収納される凹面鏡8と表示器収納部31に収納される照明手段4との間に配置されている。
【0029】
ステイ部材収納部34は、ステイ部材9の後述する取付部92が載置される水平面からなるステイ部材載置部341と、ステイ部材載置部341から下方に凹み、ステイ部材9の後述する第2軸受部91(他方の軸受部)が入り込むように収納される凹部342と、凹部342の底部に形成されステイ部材9の後述する位置決めピン93と係合する位置決め孔343とを有している。また、ステイ部材載置部341の凹部342を挟んだ位置に2つの取付孔341a及び2つの位置決めピン341bが形成されている(図5及び図7参照)。
【0030】
駆動部材収納部35は、ステッピングモータ10が載置される駆動部材載置部351(底部)と、駆動部材載置部351の前後両端から突出するように設けられる2つの突起部352と、駆動部材載置部351に設けられるとともに収納されるステッピングモータ10の傾きによる転倒を防止する転倒防止部353とを有している。また、各突起部352には、取付孔352a及び位置決めピン352bが形成されている。
【0031】
ステイ部材収納部34、反射部材収納部33、及び駆動部材収納部35は、左方から右方に向けて、順に左右方向に沿って延在する同一直線上に形成されている。ステイ部材収納部34のステイ部材載置部341は、反射部材収納部33の底部331よりも上方に位置付けるように形成されるとともに、駆動部材収納部35の駆動部材載置部351は、反射部材収納部33の底部331よりも上方に位置付けるように形成されている。
【0032】
反射部材収納部33及び駆動部材収納部35の間には、反射部材収納部33の底部331と駆動部材収納部35の駆動部材載置部351とを連結するとともに略上下方向(鉛直方向)に沿って延在する段差部36が設けられている。段差部36には、凹面鏡8の後述する第1回転軸部831(一方の回転軸部)を軸支させる第1軸受部361(一方の軸受部)が形成されており、この第1軸受部361が段差部36に形成される挿入孔からなっている(図5及び図6参照)。
【0033】
(凹面鏡)
つぎに、図6を参照しながら凹面鏡8を詳細に説明する。
図6は、凹面鏡8の説明図である。
【0034】
図6に示すように、凹面鏡8は、凹面を有するとともに樹脂材料からなる凹面鏡本体81と、凹面鏡本体81に蒸着形成された反射層82と、左右両側に突出するように凹面鏡本体81の上下両端の間に設けられる一対の回転軸部83と、右側に回転軸部83よりも上端側寄りの位置において突出するように設けられるモータレバー部84(被係合部)と、左側に回転軸部83よりも上端側寄りの位置において突出するように設けられる取付レバー部85とを有している。なお、本実施形態では、一対の回転軸部83、モータレバー部84及び取付レバー部85は、凹面鏡本体81と一体に成形されることが好ましい。
【0035】
反射層82は、表示手段5からの表示光を拡大して透光性カバー23側へ反射するとともに、車両100のフロントガラス200の形状に起因する表示像11の湾曲収差や非点収差を補正するものである。
【0036】
一対の回転軸部83は、右側に突出する第1回転軸部831と、左側に突出する第2回転軸部832(他方の回転軸部)とによって構成されている。
【0037】
第1回転軸部831は、軸線方向(左右方向)に沿って延在するように設けられる円柱状又は円筒状のもののみからなっている。一方、第2回転軸部832は、軸線方向に沿って延在するように設けられる円柱状の回転軸部本体832aと、回転軸部本体832aの先端において回転軸部本体832aの外周面から軸線方向に直交する径方向に沿って突出するように設けられる一対の突出部832b(抜け防止手段)とを有している。
【0038】
モータレバー部84は、ステッピングモータ10の後述するスライダ105と係合するものである。そして、凹面鏡8が、モータレバー部84とスライダ105とが係合した状態において、ステッピングモータ10の駆動に伴い、回転されるようになっている(図11参照)。
【0039】
取付レバー部85は、凹面鏡8が回転する際に、ステイ部材9の後述する回転防止レバー部94と当接することによって、凹面鏡8の回転を規制するためのものである。また、取付レバー部85は、凹面鏡8を反射部材収納部33に組み付けた後にモータレバー部84をスムーズにスライダ105に係合させるように凹面鏡8の角度位置を調整するために把持される機能も持っている。これにより、組み付け時に反射層82に触れることなく、凹面鏡8の角度位置を調整することができる(図10及び図11参照)。
【0040】
(ステイ部材)
つぎに、図7及び図8を参照しながらステイ部材9を詳細に説明する。
図7は、ステイ部材9の説明図である。図8は、凹面鏡8の第2回転軸部832をステイ部材9の第2軸受部91に挿入した状態を示す説明図である。
【0041】
図7に示すように、ステイ部材9は、ステイ部材収納部34に対し取り外し可能に設けられるとともに樹脂材料からなるものであり、第2回転軸部832を軸支させる第2軸受部91と、第2軸受部91の上端に第2軸受部91と一体に成形される取付部92と、第2軸受部91の下端に第2軸受部91と一体に成形される位置決めピン93と、取付部92の上面から立設される回転防止レバー部94とを有している。
【0042】
第2軸受部91は、回転軸部本体832aが挿入され左右方向に沿って貫通する貫通孔911と、この貫通孔911の外周に第2回転軸部832の突出部832bが貫通可能に形成される一対の溝部912(抜け防止手段)とを有している。なお、第2回転軸部832の突出部832bは、貫通孔911の溝部912以外の領域を貫通できないように設けられている。
【0043】
図8に示すように、凹面鏡8とステイ部材9との結合状態では、溝部912を貫通した第2回転軸部832の突出部832bが貫通孔911の外周に引っ掛かることによって、凹面鏡8及びステイ部材9の結合を抜けにくいものとするとともに、ステイ部材9に対する凹面鏡8の軸線方向への移動を規制することができる。
【0044】
また、取付部92には、上下方向に沿って取付部92を貫通する2つの取付貫通孔921及び2つの位置決め長孔922が形成されている。各取付貫通孔921がステイ部材載置部341の各取付孔341aに対応するとともに、各位置決め長孔922がステイ部材載置部341の各位置決めピン341bに対応している。そして、ビスを取付貫通孔921を貫通して取付孔341aに締め付けることによって、ステイ部材9をステイ部材収納部34に取り付けることができる。
【0045】
位置決めピン93は、ステイ部材9がステイ部材収納部34に収納された状態において、位置決め孔343に差し込むことができるものである。そして、位置決めピン93が位置決め孔343と係合することによって、凹面鏡8の第2回転軸部832の位置ずれを有効に抑えることができる。
【0046】
(ステッピングモータ)
つぎに、図9を参照しながらステッピングモータ10を詳細に説明する。
図9は、ステッピングモータ10の説明図(a)ステッピングモータ10の正面斜視図であり、(b)ステッピングモータ10の側面斜視図である。
【0047】
図9に示すように、ステッピングモータ10は、外周面にねじ山が形成されるリードスクリュー101と、リードスクリュー101の一端と接続されリードスクリュー101を回転させるモータ本体102と、リードスクリュー101と平行に設けられるガイドシャフト103と、リードスクリュー101、モータ本体102及びガイドシャフト103を保持するブラケット104と、リードスクリュー101と歯合し、リードスクリュー101の回転に伴いガイドシャフト103にガイドされながらリードスクリュー101の延在方向に沿ってスライドするスライダ105(係合部)とを有している。
【0048】
ガイドシャフト103は、例えば、円柱状の金属部材からなり、その外周側に付勢用のコイルばねが設けられている。
【0049】
ブラケット104は、モータ本体102及びガイドシャフト103を固定保持するとともにリードスクリュー101を回転可能に保持するブラケット本体104aと、ブラケット本体104aから折り曲げられそれぞれ2つの突起部352上に載置される2つの取付片104bとを有している。
【0050】
ブラケット本体104aは、リードスクリュー101及びガイドシャフト103の延在方向に沿って延在するように立設されるものである。また、ブラケット本体104aのリードスクリュー101及びガイドシャフト103に対向する側とは反対の側には、突出する転倒防止片106が設けられている。ステッピングモータ10が駆動部材収納部35に収納されると、転倒防止片106の下面が転倒防止部353の上面に当接することによって、ステッピングモータ10の傾きによる転倒を防止することができる。
【0051】
各取付片104bは、ブラケット本体104aの上縁に設けられている。また、各取付片104bには、突起部352の位置決めピン352bに対応する位置決め長孔104c及び突起部352の取付孔352aに対応する取付貫通孔104dが形成されている。そして、ビスを取付貫通孔104dを貫通して取付孔352aに締め付けることによって、ステッピングモータ10を駆動部材収納部35に取り付けることができる。
【0052】
スライダ105は、凹面鏡8のモータレバー部84と係合するためのものであり、モータレバー部84を当接可能に挟持するための一対の挟持片105aを備えている。一対の挟持片105aは、リードスクリュー101の延在方向に沿って所定の間隔(モータレバー部84を挟持できる程度)を空けるように設けられている。
【0053】
(凹面鏡、ステイ部材及びステッピングモータの組み付け)
つぎに、図10及び図11を参照しながら凹面鏡8、ステイ部材9及びステッピングモータ10の組み付けを詳細に説明する。
図10は、凹面鏡8及びステイ部材9を下ケース3に組み付けた状態を示す説明図である。図11は、凹面鏡8、ステイ部材9及びステッピングモータ10を下ケース3に組み付けた状態を示す説明図である。
【0054】
ステッピングモータ10を駆動部材収納部35に組み付ける前に、図10に示すように、凹面鏡8が、ステイ部材9と結合した状態で一対の回転軸部83の軸線周りに回転可能に反射部材収納部33に組み付けられ(収納され)ている。この状態では、ステイ部材9が上方からステイ部材収納部34に組み付けられている(図6参照)。
【0055】
ステッピングモータ10を駆動部材収納部35に組み付ける際に、モータレバー部84をスムーズにスライダ105に係合させるように取付レバー部85を把持しながら凹面鏡8の角度位置を調整する動作が行われる。これにより、組み付け時に反射層82に触れることなく、凹面鏡8の角度位置を調整することができる。
【0056】
それから、図11に示すように、ステッピングモータ10は、駆動部材収納部35に組み付けられた状態では、リードスクリュー101が略前後方向に沿って延在するように設けられている。この状態では、凹面鏡8のステッピングモータ10に対向する側(一方側)に設けられるモータレバー部84が、凹面鏡8側に対向するスライダ105と係合している。すなわち、モータレバー部84が一対の挟持片105aに挟持されることになっている。
【0057】
モータレバー部84とスライダ105とが係合した状態において、凹面鏡8が水平面に対し略傾斜するように組み付けられている。モータ本体102がリードスクリュー101を回転させることによって、スライダ105がリードスクリュー101の延在方向に沿ってスライドし、スライダ105のスライドに伴い、凹面鏡8が時計回り又は反時計周りに回転する。
【0058】
また、モータレバー部84とスライダ105とが係合した状態において、突出部832b及び溝部912は、ステッピングモータ10の駆動によって回転される凹面鏡8の回転範囲において、互いに干渉しないように設けられている。これにより、第2回転軸部832が第2軸受部91から抜けることを確実に抑制することができる(図8参照)。
【0059】
さらに、凹面鏡8が、ステッピングモータ10の駆動によって時計回りに回転されると、取付レバー部85が取付レバー部85よりも後方に位置付ける回転防止レバー部94と当接することによって、凹面鏡8の時計回りへの回転を規制することができる。
【0060】
(実施形態の効果)
このように構成される本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1は、上ケース2と、上ケース2と組み合わさる下ケース3とを備えるものであって、左右両側に突出するように上下両端の間に設けられる一対の回転軸部83を有し、回転軸部83の軸線周りに回転可能に下ケース3に収納される凹面鏡8と、凹面鏡8の一方側に対向するように下ケース3に収納され、凹面鏡8を回転させるように駆動するステッピングモータ10とを備え、凹面鏡8のステッピングモータ10に対向する一方側には、回転軸部83よりも上端側寄りの位置において、ステッピングモータ10側に突出するモータレバー部84が設けられ、ステッピングモータ10は、モータレバー部84と係合するスライダ105を有する。これにより、凹面鏡8を下ケース3に組み付けた後に、視認しやすい状態でスライダ105とモータレバー部84との係合を行い、ステッピングモータ10を容易に下ケース3に組み付けることができるので、ヘッドアップディスプレイ装置1の組み付け性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1では、下ケース3には、左右方向に沿って互いに隣接して配列される反射部材収納部33及び駆動部材収納部35が形成され、反射部材収納部33は、凹面鏡8を収納するものであり、駆動部材収納部35は、その駆動部材載置部351が反射部材収納部33の底部331よりも上方に位置付けるように形成されステッピングモータ10を収納するものであり、反射部材収納部33及び駆動部材収納部35の間には、反射部材収納部33の底部331と駆動部材収納部35の駆動部材載置部351とを連結するとともに略上下方向に沿って延在する段差部36が設けられ、段差部36には、第1回転軸部831を軸支させる第1軸受部361が形成される。これにより、下ケース3の段差部36に第1軸受部361を形成するだけで、軸受部が形成される部材を別途に設けることなく、第1回転軸部831を軸支させる構造を容易に実現することができる。
【0062】
さらに、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1では、ステッピングモータ10は、スライダ105が第1軸受部361よりも上方に位置付けるように設けられる。これにより、ステッピングモータ10のスライダ105を第1軸受部361よりも上方に設けることによって、組み付け時に視認しやすい位置でスライダ105とモータレバー部84との係合を行うことができ、ヘッドアップディスプレイ装置1の組み付け性を向上させることができる。
【0063】
なお、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1では、下ケース3には、第2回転軸部832を軸支させる第2軸受部91が形成されるステイ部材9が取り外し可能に設けられる。これにより、ステイ部材9を介して凹面鏡8を容易に下ケース3に対し回転可能に収納することができる。
【0064】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0065】
(変形例)
本実施形態では、抜け防止手段を構成する突出部832b及び溝部912は、それぞれ一対によって構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ一つによって構成されてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、抜け防止手段を構成する突出部832b及び溝部912は、それぞれ回転軸部本体832a及び貫通孔911に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ貫通孔911及び回転軸部本体832aに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 ヘッドアップディスプレイ装置
2 上ケース
21 上ケース本体
21a 開口
22 係止爪
23 透光性カバー
3 下ケース
31 表示器収納部
32 基板収納部
33 反射部材収納部(第1収納部)
331 底部
34 ステイ部材収納部
341 ステイ部材載置部
341a 取付孔
341b 位置決めピン
342 凹部
343 位置決め孔
35 駆動部材収納部(第2収納部)
351 駆動部材載置部(底部)
352 突起部
352a 取付孔
352b 位置決めピン
353 転倒防止部
36 段差部
361 第1軸受部(一方の軸受部)
37 係止部
4 照明手段(表示器)
41 係止部
5 表示手段(表示器)
51 係止爪
52 フレキシブル基板
6 メインプリント基板
7 ブラインドカバー
8 凹面鏡(反射部材)
81 凹面鏡本体
82 反射層
83 回転軸部
831 第1回転軸部(一方の回転軸部)
832 第2回転軸部(他方の回転軸部)
832a 回転軸部本体
832b 突出部(抜け防止手段)
84 モータレバー部(被係合部)
85 取付レバー部
9 ステイ部材
91 第2軸受部(他方の軸受部)
911 貫通孔
912 溝部(抜け防止手段)
92 取付部
921 取付貫通孔
922 位置決め長孔
93 位置決めピン
94 回転防止レバー部
10 ステッピングモータ(駆動部材)
101 リードスクリュー
102 モータ本体
103 ガイドシャフト
104 ブラケット
104a ブラケット本体
104b 取付片
104c 位置決め長孔
104d 取付貫通孔
105 スライダ(係合部)
105a 挟持片
106 転倒防止片
11 表示像(虚像)
12 ユーザ(ドライバー)
100 車両
200 フロンドガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11