(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】救急シーンの映像伝送
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
A61N1/39
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021122027
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2018109052の分割
【原出願日】2013-05-29
【審査請求日】2021-08-24
(32)【優先日】2012-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルガザウィ、ジアド
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0054760(US,A1)
【文献】特開2010-246712(JP,A)
【文献】特開2000-176025(JP,A)
【文献】特開2002-354141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急時の介護者による患者の治療および前記患者の画像の取得を支援する監視システムであって、
前記緊急時の前記患者の静止画像又は映像を取得する映像カメラと、
前記患者と関連するデータを収集するデータ収集ユニットと、
救急対応センターと通信チャンネルを形成する通信ユニットと、
取得した前記患者の映像及び前記患者と関連するデータのうち少なくとも1つを前記救急対応センターに伝送させるプロセッサ
と、
前記データ収集ユニットのためのリアルタイム患者監視データを収集する1又は複数のセンサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記患者と関連するデータとして前記リアルタイム患者監視データを前記救急対応センターに伝送し、
前記通信チャンネルの利用可能なバンド幅とバンド幅の閾値とを比較し、
前記利用可能なバンド幅が前記バンド幅の閾値以上となる場合、
前記患者の映像及び前記患者に関連する前記リアルタイム患者監視データの両方を伝送させ、
前記利用可能なバンド幅が前記バンド幅の閾値未満となる場合、
前記患者の映像は伝送せずに、前記患者に関連する前記リアルタイム患者監視データを伝送させる、
監視システム。
【請求項2】
緊急時の介護者による患者の治療および前記患者の画像の取得を支援する監視システムであって、
前記緊急時の前記患者の静止画像又は映像を取得する映像カメラと、
前記患者と関連するデータを収集するデータ収集ユニットと、
救急対応センターと通信チャンネルを形成する通信ユニットと、
取得した前記患者の映像及び前記患者と関連するデータのうち少なくとも1つを前記救急対応センターに伝送させるプロセッサと、
前記データ収集ユニットのための圧迫パラメータデータを収集する1又は複数のセンサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記患者と関連するデータとして前記圧迫パラメータデータを前記救急対応センターに伝送し、
前記通信チャンネルの利用可能なバンド幅とバンド幅の閾値とを比較し、
前記利用可能なバンド幅が前記バンド幅の閾値以上となる場合、前記患者の映像及び前記患者に関連する前記圧迫パラメータデータの両方を伝送させ、
前記利用可能なバンド幅が前記バンド幅の閾値未満となる場合、前記患者の映像は伝送せずに、前記患者に関連する前記圧迫パラメータデータを伝送させる、
監視システム。
【請求項3】
緊急時の介護者による患者の治療および前記患者の画像の取得を支援する監視システムであって、
前記緊急時の前記患者の静止画像又は映像を取得する映像カメラと、
前記患者と関連するデータを収集するデータ収集ユニットと、
救急対応センターと通信チャンネルを形成する通信ユニットと、
取得した前記患者の映像及び前記患者と関連するデータのうち少なくとも1つを前記救急対応センターに伝送させるプロセッサと、
前記データ収集ユニットのためのリアルタイム患者監視データを収集する1又は複数のセンサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記患者と関連するデータとして前記リアルタイム患者監視データを前記救急対応センターに伝送し、
前記リアルタイム患者監視データの識別子を前記救急対応センターに伝送させ、
前記リアルタイム患者監視データの少なくとも1つの選択を前記救急対応センターから受け取り、
前記通信チャンネルの利用可能なバンド幅とバンド幅の閾値とを比較し、
前記利用可能なバンド幅が前記バンド幅の閾値以上となる場合、前記患者の映像及び前記患者に関連する前記選択されたデータのタイプの両方を伝送させ、
前記利用可能なバンド幅が前記バンド幅の閾値未満となる場合、前記患者に関連する前記選択されたデータのタイプのみを伝送させる、
監視システム。
【請求項4】
救命ケアの提供に利用される1又は複数の医療装置を更に備える、
請求項1
から3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記1又は複数の医療装置は、
除細動器、換気バッグ、機械式胸部圧迫装置、又は、前記患者の身体パラメータを監視するデータ収集装置のうちの1又は複数を含む、
請求項
4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記映像カメラは、前記1又は複数の医療装置に取り付けられる、
請求項
5に記載の監視システム。
【請求項7】
前記1又は複数の医療装置は、除細動器を含む、
請求項
6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記リアルタイム患者監視データは、
ECG、酸素飽和度、血圧、心拍出量、心拍数、心音、心音図検査、心臓画像、超音波又はインピーダンスカルジオグラフィーの1又は複数を含む、
請求項1
又は3に記載の監視システム。
【請求項9】
前記データ収集ユニットのためのリアルタイム患者監視データを収集する1又は複数のセンサを備え、
前記リアルタイム患者監視データは、
ECG、酸素飽和度、血圧、心拍出量、心拍数、心音、心音図検査、心臓画像、超音波又はインピーダンスカルジオグラフィーの1又は複数を含む、
請求項2に記載の監視システム。
【請求項10】
前記データ収集ユニットのための圧迫パラメータデータを収集する1又は複数のセンサを備え
る、
請求項1
又は3に記載の監視システム。
【請求項11】
前記圧迫パラメータデータは、
胸部動、圧迫比、圧迫深度、圧迫速度、デューティ周期、往行程(downstroke)の速度、複工程(upstroke)の速度、圧迫際の胸内部の圧力、圧迫際の胸膜腔内圧、胸骨位置、胸骨加速度、胸壁、胸骨張りまたは変形、胸部に加えられた応力、圧迫の圧力の1又は複数を含む、
請求項
2又は10に記載の監視システム。
【請求項12】
前記圧迫パラメータデータは、圧迫比、又は、圧迫深度の1又は複数を含む、
請求項
11に記載の監視システム。
【請求項13】
救急シーンの音声を収集するマイク、及び、
前記救急対応センターからの音声を再生するスピーカーを備える、
請求項1から1
2のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記利用可能なバンド幅に基づいて、前記音声の前記救急対応センターへの伝送を行わせる、
請求項1
3に記載の監視システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記利用可能なバンド幅が前記バンド幅の閾値未満となるときに、前記患者の前記映像の伝送を一時的に中止する、
請求項1から1
4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記患者の映像を、前記映像が前記映像カメラで取得されたフレームレートよりも低いフレームレートで伝送する、
請求項1から1
5のいずれか1項に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は救急シーンの映像通信のためのシステム及び技術に関する。救急シーンは、例えば、除細動装置が患者を治療するために使用される救急シーンである。
【背景技術】
【0002】
毎年心突然死と事故による傷害などの突然の健康問題で何千人が死亡し、また、永久的な障害を引き起こす恐れがある。これらの問題を有する患者を蘇生させる、迅速かつ有能なケアは、このような状況において肯定的な結果を得るために必要不可欠なものである。例えば、有効な治療を提供することにおいて1分ごとの遅延によって、心突然死を生き残させるチャンスが10パーセント落ちると言われている。
【0003】
心拍停止に苦しむ患者のための蘇生治療は、通常に患者の気道をクリアし、確保することと、患者の呼吸を回復させることと、胸部圧迫法を応用し患者の心臓、脳および他の生体器官に血流を提供することとを含む。患者はショックを適用可能な心臓リズム(心室細動または無脈性心室頻拍)を持つ場合、蘇生治療は除細動治療を含む。このような動作とともに、患者の心電図(ECG)信号は電気的に捕捉され、監視される。これによって、救助者は患者の心臓は正常な動作または正常に近い動作に戻るか否かを確定することができる。また、救助者はいつ心臓にショックを適用可能なリズムが表れたかを決定することもできる。心室細動(VF)に苦しむ、約半分の患者はVF変換が行われた数分間内にVFの再発を受ける。そして、再変換は必要となる。蘇生治療中に、重なるVFの再発によって患者の生存率が落ちる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は救急シーンの映像通信のためのシステム及び技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、救急シーンと救急対応センターとの間における映像、音声通信を伝送したり、受信したりするシステム及び技術を記載する。特に、1つ以上の映像カメラは除細動器に含まれる。除細動器は自動体外式除細動器(AED)などである。患者(例えば、心拍停止の被害者)はAEDを使用して介護者から治療を受けた場合、カメラは患者、介護者や救急シーンの静止画像、映像画像を取得する。
【0006】
いくつかの実施形態において、応答者(例えば、通信司令員)は1つ以上のカメラ、マイクを選択し、それらから映像/音声伝送を受信する。例えば、各カメラによって取得された静止画像は、救急対応センターに伝送され、ここで、応答者は、受信したいストリーミング映像送信のビューを表す1つ以上の画像を選択する。選択された画像に対応する、カメラまたはマイクからの映像、音声はリアルタイムで救急対応センターに伝送される。これによって、応答者が救急シーンで状況を把握し、介護者に案内及び指示を提供することができる。
【0007】
いくつかの他の実施形態において、救急シーンと救急対応センターとの間における通信チャンネルのバンド幅が制限されれば、映像、音声の伝送は制限されたり、停止されたりして、他の情報の伝送を優先させる。
【0008】
本明細書に記載されたシステムおよび技術は多数の利点を有する。例えば救急シーンや治療を受ける患者のリアルタイム映像、音声を救急対応センターの応答者に提供することで、応答者が救急シーンにおける事態の緊急性を把握してそれに応じて行動することができる。この行動は例えば、適宜な緊急対応要員を派出することなどである。更に、映像、音声の伝送によって、応答者は患者の治療中や患者に使用される装置(例えば、自動体外式除細動器(AED))の操作中において、介護者を指導することができる。更に、救急装置を備えた複数のカメラ、マイクによって、救急シーンを捕捉するため、少なくとも1つのカメラ、マイクは設置される合理的な可能性がある。従って、救助者がカメラの設定または調整に時間がかからなくても、集中的に患者を治療することができる。
【0009】
1つ以上の実施形態の詳細を添付図及び以下の説明にて提示する。他の特徴部及び利点は詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】救急シーン及び救急対応センターを示す概要図。
【
図4】ユーザーインターフェースの一例を示す概要図。
【
図5】映像及びデータ伝送の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は救急シーンと救急対応センターとの間における映像、音声双方向通信に関するシステム及び技術に関する。特に、本発明において除細動器は1つ以上の映像カメラ、マイクを有する。除細動器は、自動体外式除細動器(AED)などの除細動器である。患者(例えば、心拍停止の患者)はAEDを使用して介護者から治療を受けた場合、カメラは患者、介護者や救急シーンの静止画像、映像画像を取得する。各カメラから取得された静止画像は救急対応センターに伝送され、ここで、応答者(例えば、通信司令員)は、受信したいストリーミング映像送信のビューを表す1つ以上の画像を選択する。選択された画像、音声に対応するカメラからの映像は救急対応センターと救急シーンとの間にリアルタイムで通信される。これによって、応答者が救急シーンで状況を把握し、介護者に案内や指示を提供することができる。救急シーンと救急対応センターとの間における通信チャンネルのバンド幅は制限されれば、映像や音声の伝送は制限または停止され、他の情報の伝送を優先させる。他の情報は、例えば、患者監視データや音声会話などである。
【0012】
図1を参照すると、救急シーン100では、介護者104は患者102に対して心肺機能蘇生(略CPR)を実行する。電気除細動や監視システム106は自動体外式除細動器(AED)108、専用除細動器または他のタイプの除細動装置などの除細動器を含み、外部電極パッド110を介して、必要に応じてCPRを実行し、除細動を提供するように介護者104に対して指示する。患者は、例えば、一見心停止を患っているように見える個人である。介護者は、例えば、限られた救命技術の訓練を受けたか、または救命技術の訓練を受けていない一般の応答者と、救急医療技士(EMT)、警察官、消防士などの緊急対応要員と、医者または看護師などの医療専門家である。介護者104は単独で行動してもよいし、EMTパートナーなどのような一人以上の他の介護者からの援助で行動してもよい。
【0013】
映像カメラ105、107などのような1つ以上の映像カメラは、除細動システム106とともに提供される。カメラ105、107は救急シーン100の様々な部分の静止画像や映像画像を撮影するように設置される。その画像は、例えば、救急シーン100の大きな部分の画像、患者102の画像、患者に対する介護者の治療の画像または他のビューなどである。例えば、カメラ(この例では、カメラ105)は介護者104が着用されたヘッドピース109や他のウェアラブルなアイテムに取り付けられる。これによって、介護者が患者に対して治療を行うビューなどを提供する。他のカメラ(この例では、カメラ107)はAED108に取り付けられる。これによって、救急シーン100の大きな部分の幅広いビューが提供される。更に、1つ以上のカメラには電極110などのような1つ以上の電極が結合されたり、組み込まれたりする。追加のカメラは他の場所に設置されてもよい。例えば、携帯カメラ(例えば、手持ち式)は他の介護者または傍観者によって保持されたり、操作されたりする。カメラ105、107などのカメラは救急シーンから発出する音声を接収するように構成される内蔵マイクを含む。
【0014】
除細動システム106は通信チャンネル112を介して、911コールセンター、警察官派出所、救急車派出所、消防部または他の救急対応センターなどの救急対応センター116に接続される。例示的な実施形態において、通信チャンネル112は長距離無線通信チャンネル(例えば、3Gまたは4G通信チャンネル)である。長距離無線通信チャンネルはセルラ電話タワーなどの無線送信タワー114によってサポートされる。他の実施形態において、通信チャンネル112はブルートゥースまたはWiFiコネクションのような短距離無線通信チャンネルであってもよく、これは有線通信チャンネルに接続される。
【0015】
1つ以上のカメラ、マイク105、107からの画像や映像及び音声は救急対応センター116と救急シーン100との間において通信チャンネル112を介して通信される。画像や映像は救急対応センター116の表示器118(例えば、コンピュータモニタ、テレビ、移動通信装置または他の表示器)に表示される。これによって、応答者120(例えば、通信司令員)がリアルタイムで救急シーン100を見ることができる。いくつかの実施形態において、応答者120はカメラやマイク105、107の一部(例えば、ただ1つのカメラ)から映像や音声を獲得するように選択してもよい。例えば、応答者120はカメラから映像を視認するように選択してもよい。カメラは患者102のビューまたは救急シーン100の大きな部分の幅広いビューなどの所望のビューを提供する。
【0016】
一実施形態において、除細動システム106は、治療の際に患者102を監視し、リアルタイム患者監視データを収集する。例えば、ECG波形、酸素飽和度レベル、血圧、心拍出量の計測、または心拍数の計測などの信号は監視される。追加的に又は代替案として、胸骨動信号、圧迫比、圧迫深さまたは圧迫の他の計測などの圧迫パラメータは監視される。いくつかまたは全部の患者監視データは通信チャンネル112を介して救急対応センター116に伝送される。いくつかの実施形態において、応答者120はただいくつかのタイプの患者監視データを見るように選択してもよい。
【0017】
一実施形態において、音声通信は救急シーン100と救急対応センター116との間に提供される。例えば、除細動システム106は音声装置122を含み、音声装置122はマイク及びスピーカーを含み、マイク及びスピーカーは、1つ以上のカメラ105、107と一体に形成されてもよいし、例示的な実施形態に示されるように個別の装置であってもよい。音声装置122に設置されたマイクによって検知された音声(例えば、介護者104と患者102との間の会話、または介護者104及び他の介護者または傍観者の間の会話、または介護者から応答者120への質問またはコメント)は通信チャンネル112を介して救急対応センターに伝送される。救急対応センター116からの音声(例えば、応答者120による質問または指示)は通信チャンネルを介して除細動システム106に伝送され、音声装置122に設けられたスピーカーで放送される。例えば、ストリーミング映像を見る時、応答者120は患者102を治療するように介護者104を指示する。指示は、例えば、電極を含むポーチをどのように開けるのか、患者に電極やセンサをどのように配置するのか、CPRをどのように実行するのか、更には他の救急操作などに関する。更に、応答者120はAEDシステム106の操作中に介護者に指示することができる。AEDシステム106の操作は、例えば、AEDシステムの言語の変換、大人または小児モードへのAEDシステムの変換または大人または小児モードからのAEDシステムの変換、他のシステム操作である。いくつかの場合では、応答者120は介護者のために、いくつかのAEDシステム操作を遠隔的に実行することができる。
【0018】
図2は除細動システム200の一例を示すブロック図である。除細動システム200は患者202にケアを管理するようにCPR及び除細動援助を介護者204に提供し、救急対応センター206と通信するように用いられる。一般的に、システム200は多数の医療装置を含み、医療装置は患者202に救命ケアを提供するように利用される。該装置は単一または複数のユニットの一部であってもよい。該装置は、患者202の様々なリアルタイム物理パラメータを監視し、セントラル介護者および救急サービスなどの遠隔システムを用いて構成要素の間に通信し、患者202にケアを提供したり、患者202にケアを提供したりするように介護者204などの介護者に指示を提供するように使用される。
【0019】
患者202は主処理装置(MPU)212を使用して介護者204から治療を受けるように設置される。例えば、ワンセットの除細動電極210は典型的な方法で患者の胴体に応用され、MPU212における携帯用体外式除細動器208にワイヤで接続される。除細動器208は、例えば、代表的な自動体外式除細動器(AED)、専用除細動器または他の類似タイプの除細動装置である。換気バッグは患者の肺に強制空気を提供し、患者に対して人工呼吸を行うことを援助する。除細動器208及び換気バッグは1人以上の介護者によって同介護者がよく知る手段及び協調モードで操作される。データを収集し、除細動器208と電気的に通信するために、換気バッグには様々なセンサ及び送信器が取り付けられる。例えば、換気バッグに提供された体積流量センサは、患者に達する気流の体積に関するデータおよび患者からの気流の体積に関するデータを収集する。該データは除細動器208に伝送される。除細動器208は例えば、介護者204や救急対応センター206へ伝送するデータをリレーする。また、除細動器208は患者202に提供される除細動手段に影響を与えるデータを利用する。
【0020】
コンピュータタブレット214はシステム200の他の装置と通信するように提供され、介護者204によって操作される。タブレット214は介護者204が情報を受信するための一般的な電子コマンドポストの役割を果たす。該情報は例えば、患者202に関する情報、他の介護者との通信に関する情報およびシステム200の構成要素の操作を制御する入力の提供に関する情報などである。タブレット214には短距離無線通信機能や長距離無線通信機能が提供される。その機能は例えば、ブルートゥース、ワイファイ及び携帯電話3Gまたは4G機能などである。タブレット214は患者202に関するリアルタイム情報を検知するセンサとデータ通信する。リアルタイム情報は例えば、患者の血圧、脈拍、または他のリアルタイム患者監視データなどである(以下でより詳細に論じられる)。介護者204は情報をタブレット214に入力する。該情報は例えば、患者202の状況を示す情報、または介護者204によって認識、または記録された他の情報である。患者202に使用される1つ以上の医療装置を制御するために、介護者はタブレット214に情報を入力する。例えば、介護者は、患者202に提供される治療のタイプ、強度、スピード、または整合を調節する。
【0021】
除細動ユニット212は通信モジュール237を含み、通信モジュール237は送信機及び受信機を含み、送信機及び受信機は、除細動ユニット212と救急対応センター206との間における通信リンクを提供する。通信モジュール237は短距離や長距離無線通信機能を含み、該機能は、例えば、ブルートゥース、ワイファイや携帯電話3Gまたは4G機能である。操作中に、通信モジュール237は携帯電話タワー241に信号を発送する。携帯電話タワー241は順に信号を救急対応センター206にリレーする。これによって、除細動ユニット212と救急対応センター206との間における通信が確立される。
図2では、除細動ユニット212に含まれるように、追加的に又は代替案として、通信モジュール237はタブレット214に含まれる。通信モジュール237により、介護者204が救急対応センター206の応答者に連絡することが可能になる。該連絡は、例えば、患者202の現状に関する情報を共有し、指示又は援助を要求することを含む。同様に、応答者は例えば、介護者204に指示または支援を提供したり、介護者に質問したりする。場合によっては、救急対応センター206による画像または分析のため、通信モジュールは様々なセンサによって検知された、いくつかまたは全部のリアルタイム患者監視データを救急対応センター206に伝送する。
【0022】
映像モジュール210は1つ以上のカメラ204の操作を制御する。カメラ204は患者202の静止画像や映像画像を取得するように設置される。例えば、1つのカメラは除細動器208に対して取り付けられる。これによって、除細動器は操作中にある場合、カメラは患者の画像を撮影することができる。患者が治療を受ける時、近距離における患者202の画像を提供するため、別のカメラは介護者204が着用されるヘッドピースに対して取り付けられる。1つ以上のカメラによって取得された映像は通信モジュールによって、救急対応センターに送達される。いくつかの実施形態において、各カメラ204によって取得された静止画像は救急対応センターに送信される。これによって、応答者(例えば、通信司令員、緊急対応要員、または他の専門家)は所望の画像を提供するカメラを選択する。応答者はカメラを選択すれば、選択されたカメラによって取得された映像が通信モジュールを介して救急サービスセンターに伝送される。
【0023】
場合によっては、患者データ及び映像の両方は救急対応センターに送信される。通信モジュールと救急対応センターとの間における通信リンクに基づき、患者データ及び映像、音声の両方の送信を支持するバンド幅は十分ではない可能性がある。この場合では、映像送信は一時的に中止され、患者データを救急対応センターに伝送することを優先させる。他には、該映像はカメラによって取得された映像におけるフレームレート(例えば、取得された映像から送信された映像までのフレームレートの比率は少なくとも2:1、3:1または4:1である)より低いフレームレートで伝送される。
【0024】
患者202に応用されるセンサなどの1つ以上のセンサはMPU212に入力信号を提供する。MPU212は患者202のリアルタイムの現状または物理パラメータに特徴づける。該信号は、MPU212によって患者202に対して適切な治療を確定するように使用される。該治療は例えば、患者に提供される胸部圧迫218のタイミング、応力などを確定することである。例えば、除細動器208に接続されたリード線から獲得されたECG信号222は患者202の電流波形及びリアルタイムECG波形を表示する。酸素飽和度(SpO2)信号223または、循環または灌流の直接計測または非直接計測である他の生理学的に派生された信号は、対応するセンサから獲得される。他の入力信号は、生理学的な信号を含む。生理学的な信号は例えば、心拍出量の計測、心拍数の計測、血圧、ECG、酸素飽和度(SpO2)、心音(例えば、心音図検査)、心臓画像(例えば、超音波)やインピーダンスカルジオグラフィーなどである。
【0025】
MPU212に設けられた信号処理ユニット228はマイクロ処理装置230による更なる分析のために、ECG入力信号などの入力をフィルタリングする。例えば、信号処理ユニット228は入力信号からノイズをフィルタリングする。ECGデータの場合、信号処理ユニット228は、人為要素を除去するため、患者202の胸部圧迫運動によって生成された人為要素をフィルタリングする。このようなECG信号の準備は、SEE-THRUCPR(登録商標)と呼ばれ、米国特許第7,220,235号明細書に開示され、その全体は本明細書に開示されたものとする。
【0026】
マイクロ処理装置230は患者202のリアルタイムパラメータと関係する入力情報を受信する。患者202のリアルタイムパラメータはECG波形データを含む。マイクロ処理装置230はこのデータに対して分析を実行し、除細動は必要であるか否かを確定し、または表示器224、音声処理ユニット236bによって制御されたスピーカー236aによって提供された迅速なフィードバックを修正する。
【0027】
患者転帰データ、胸骨動信号及びECG信号の同時記録、または動物モデルに対する前臨床試験の同時記録を含む診療データセットの何れかの遡及的データ分析に基づいて、統計模型は開発される。統計模型は細動誘発のリスクを予報することができる。統計模型は患者に提供され、かつ患者のECGデータと時間的に整合される適切な圧迫プロファイルを確定するように順に使用される。統計模型は、線形または非線形回帰方程式の何れかの形で現れる。該方程式は例えば、多変量ロジスティック回帰のような技術を使用する。
【0028】
患者202に対して採用された胸部圧迫作動、他の作動は手動的に実行され、MPU212を含む様々な装置によって促進される。圧迫プロファイルにおける変更は手動処理によって促進される。例えば、協調された胸部圧迫時間及び速度はマイクロ処理装置230によって算出され、かつスピーカー236aによって音声で知らせられる。例えば、受攻期の際に圧迫または減圧を回避するために、患者の胸部を押下する時、ビープ音のメトロノームは介護者204に示すようにCPRの際に放送される。更に、表示器224は協調された視覚的フィードバックを提供する。視覚的フィードバックは、例えば、ECG波形の表示器、圧迫深度のグラフ、または他の類似データである。これらは、患者202にケアを提供するように介護者を支援する。
【0029】
図3を参照すると、カメラ選択の処理例において、AEDは複数の映像カメラを備える。カメラは救急シーンの様々な部分の静止画像、映像画像を獲得するように設置される。画像は、例えば、多数の救急シーンの幅広いビュー、患者の画像、患者に対する介護者の治療の画像または他のビューである。例えば、カメラは介護者が着用されるヘッドピースまたは他のウェアラブルなアイテムに取り付けられる。カメラは、例えば、患者に対する介護者の治療のビューを提供する。別のカメラはAEDに取り付けられる。これによって、例えば、救急シーンの大きな部分の幅広いビューが提供される。追加のカメラは、他の場所に設置するように提供される。例えば、携帯カメラ(例えば、手持ち式)は他の介護者または傍観者によって保持または操作されるように提供される。
【0030】
患者が援助を必要とする場合(例えば、患者が一見突然の心停止を患っているように見える場合)、介護者はAEDを初期化する(ステップ300)。AEDに設けられたカメラも初期化される(ステップ302)。いくつかの実施例において、AEDの初期化によってカメラは自動的に初期化される。他の実施例において、例えば、介護者はカメラの電源を入れ、カメラが取り付けられたヘッドピースをかぶる場合、1つ以上のカメラは手動操作により初期化される。1つ以上のカメラは患者の映像画像を取得するように所定位置に設置される。
【0031】
上述のように、患者は治療の際に、1つ以上のセンサによって監視され(ステップ304)、リアルタイム患者監視データは収集される。例えば、ECG波形、酸素飽和度レベル、血圧、心拍出量の計測、または心拍数の計測などの信号は監視される。追加的に又は代替案として、圧迫パラメータは監視される。圧迫パラメータは例えば、胸部動信号、圧迫速度、圧迫深度、デューティ周期、往復行程の速度、圧迫際の胸内部の圧力、圧迫際の胸膜腔内圧、胸骨位置、速度、加速度、胸壁、胸骨張りまたは変形、胸部に加えられた応力、機械式胸部圧迫装置によって胸部に圧迫するように用いられる圧力などである。
【0032】
映像及びデータ伝送チャンネルはAEDシステムと救急対応センターとの間に確立される(ステップ306)。例えば、伝送チャンネルは長距離無線通信チャンネルである。長距離無線通信チャンネルは携帯電話3Gまたは4Gチャンネルなどである。または、伝送チャンネルは短距離無線通信チャンネルである。短距離無線通信チャンネルは、ブルートゥースまたはWiFiコネクションなどである。これらは有線通信チャンネルに接続される。
【0033】
各カメラからの静止画像は救急対応センター(ステップ308)に伝送され、ディスプレイインタフェースにおいて応答者に表示される。ディスプレイインタフェースは、例えば、コンピュータモニタ、テレビ画面、移動通信装置または他のディスプレイインタフェースなどである。応答者は、画像のうちの1つを迅速に選択する。例えば、応答者は患者のビュー、救急シーンの大きな部分のビュー、患者に対する介護者の治療のビューまたは他のビューを提供する画像を選択する。
【0034】
応答者の選択は伝送チャンネルを介して伝送され、AEDシステムによって受信される(ステップ310)。選択された画像と関連するカメラからの映像は救急対応センターに伝送される(ステップ312)。
【0035】
選択されたカメラからの映像は患者監視データとともに伝送される。いくつかの実施形態において、患者監視データの可能なタイプのいくつかまたは全部のリストはディスプレイインタフェースにおいて応答者に提供される。これによって、応答者は伝送するための1つ以上のデータを選択する。例えば、ECG波形、酸素飽和度レベル、圧迫率及び圧迫深度は可能であり、応答者はそれらのデータから伝送のための1つ以上のタイプのデータを選択する。場合によっては、以下でより詳細に論じられるように、映像及び患者監視データの伝送は通信チャンネルの利用可能なバンド幅に基づいて制御される。
【0036】
図4を参照すると、救急対応センターにおけるディスプレイインタフェースにおいて表示されるユーザーインターフェース400の一例は、救急対応センターの応答者が所望のカメラビュー及び伝送される患者監視データのタイプに応じて画像を選択することを許容する。
【0037】
例示的な実施形態において、カメラ選択ウィンドウ400は、カメラA、Bに応じて画像404、406をそれぞれ表示する。画像404から見えるように、カメラAは患者408のビューを提供するように設置される。画像406から見えるように、カメラBは患者408を治療する介護者410のビューを提供するように設置される。応答者はカメラに応じて画像を選択し、適切な選択ボタン412a、412bを選択することによって(例えば、クリック)カメラから見たい映像を見る。
【0038】
ユーザーインターフェース400はデータ選択ウィンドウ414を含み、データ選択ウィンドウ414は応答者が、伝送される1つ以上のタイプの患者監視データを選択することを許容する。例示的な実施形態において、ECG波形、圧迫率及び圧迫深度及び酸素飽和度データは伝送可能である。応答者は1つ以上の適切な選択ボタン416a、416b、416c、416dを選択することによって(例えば、クリックによって)、受信したい1つ以上のタイプのデータを選択する。
【0039】
応答者の画像及びデータ選択は、救急シーンにおけるAEDシステムに送達される。選択された画像に対応するカメラからの映像は救急対応センターに発送される。他には、選択されたタイプのデータは救急対応センターに伝送される。いくつかの実施形態において、下記のように、映像及び患者監視データの伝送は通信チャンネルの利用可能なバンド幅に基づいて制御される。
【0040】
他の実施形態において、全カメラからの映像は、ユーザーインターフェースにおいて初期に表示される。また、応答者には映像送信を中止するように1つ以上のカメラを選択するオプションが与えられる。
【0041】
更なる他の実施形態において、ユーザーインターフェースは救急シーンにおいて提供される。救急シーンは例えば、タブレットコンピュータまたはAEDに設けられた他のスクリーンに表示される。救助者は、1つ以上のカメラ、救急対応センターに伝送される1つ以上のタイプの患者監視データを選択する。
【0042】
図5を参照すると、一処理例において、AEDは伝送チャンネルの利用可能なバンド幅に基づいて、救急対応センターに患者監視データ、映像を伝送することを制御する機能を提供する。
【0043】
患者が援助を必要とする場合(例えば、患者が一見突然の心停止を患っているように見える場合)、介護者はAEDを初期化する(ステップ500)。AEDに設けられた、1つ以上のカメラも初期化される(ステップ502)。いくつかの実施例において、カメラはAEDの初期化によって自動的に初期化される。他の実施例において、例えば、介護者はカメラの電源を入れ、カメラが取り付けられたヘッドピースをかぶる場合、1つ以上のカメラは手動的に初期化される。カメラは患者の映像画像を取得するように所定位置に設置される。いくつかの実施形態において、(例えば、上記に記載されるように)救急対応センターの応答者によって事前に選択された、1つ以上のカメラは初期化される。
【0044】
上述のように、患者は治療の際に、1つ以上のセンサによって監視され(ステップ504)、また、リアルタイム患者監視データは収集される。例えば、ECG波形、酸素飽和度レベル、血圧、心拍出量の計測、または心拍数の計測などの信号は監視される。追加的に又は代替案として、圧迫パラメータは監視される。圧迫パラメータは例えば、胸部動信号または他の圧迫の計測信号である。
【0045】
映像及びデータ伝送チャンネルはAEDシステムと救急対応センターとの間に確立される(ステップ506)。例えば、伝送チャンネルは長距離無線通信チャンネルである。長距離無線通信チャンネルは携帯電話3Gまたは4Gチャンネルなどである。または、伝送チャンネルは短距離無線通信チャンネルである。短距離無線通信チャンネルは、ブルートゥースまたはワイファイコネクションなどである。これらは有線通信チャンネルに接続される。
【0046】
伝送チャンネルにおける利用可能なバンド幅は監視され(ステップ508)、利用可能なバンド幅は所定の閾値未満にあるか否かを確定する(ステップ510)。閾値は例えば、伝送チャンネル、所望のデータ伝送スピードを介して発送された所望量のデータに基づいて、確定される。いくつかの実施例において、閾値は例えば、750kbps、1Mbps、1.5Mbpsまたは他の閾値である。
【0047】
利用可能なバンド幅が閾値超にある場合、患者監視データ及び映像の両方は伝送チャンネルを介して救急対応センターに伝送される(ステップ512)。しかし、利用可能なバンド幅が閾値未満にある場合、映像は伝送されないが、患者監視データは救急対応センターに優先的に伝送される(ステップ514)。他には、患者監視データ及び映像の両方は伝送されるが、該映像は、最初に取得された映像におけるフレームレートより低いフレームレートで伝送される(ステップ514)。例えば、取得された映像から送信された映像までのフレームレートの比率は少なくとも2:1、3:1または4:1である。いくつかの実施形態において、利用可能なバンド幅がデータのみ伝送のための閾値超で、データ、音声及び映像の全部伝送のための閾値未満にある場合、音声データは優先的に伝送される。
【0048】
救急対応センターにデータ、映像を伝送する際に、利用可能なバンド幅は監視され、調節が適切に行われる。例えば、チャンネルのバンド幅は、閾値未満に突然に落ちる場合、映像送信は停止され、伝送される映像のフレームレートは減少される。他に、チャンネルのバンド幅は閾値未満から閾値超に上る場合、映像の伝送が始まる。
【0049】
上記特徴部は、デジタル電気回路、コンピュータハードウェア、ファームウエア、ソフトウエアまたはそれらの組合せにおいて実行される。該装置は、情報キャリアに実際に取り入れられたコンピュータプログラム製品において実行される。情報キャリアは、例えば、機械可読蓄積装置であって、プログラマブルプロセッサによって実行される。方法ステップは、プログラマブルプロセッサによって実行される。プログラマブルプロセッサは指示のプログラムを実行し、入力データを操作し、出力データを生成することによって、上記実行の機能を運行する。好ましくは、上記特徴部は、1つ以上のコンピュータプログラムによって実行される。コンピュータプログラムは、プログラマブルシステムにおいて実行可能である。プログラマブルシステムは、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含み、プログラマブルプロセッサは、データ保存システム、少なくとも1つ入力装置及び少なくとも1つ出力装置からデータ及び指示を受信し、またはそれらの装置へデータ及び指示を伝送するように接続される。コンピュータプログラムは、ワンセットの指示である。該指示は、コンピュータに直接にまたは間接に使用され、特定の活動を実行し、または特定の結果をもたらす。コンピュータプログラムは、何れかの形のプログラミング言語で書かれる。プログラミング言語は、コンパイラ言語またはインタプリタ言語を含み、これらは何れかの形式で展開され、スタンドアロンプログラ、モジュール、構成要素、サブルーチンまたは計算機環境に適切に使用される他のユニットを含む。
【0050】
指示のプログラムを実行する適切なプロセッサは、例として、何れかのタイプのコンピュータの一般目的および特殊な目的のマイクロ処理装置、単独のプロセッサまたは複数のプロセッサのうちの1つである。一般的に、プロセッサは、読取り専用メモリ、またはランダムアクセスメモリー、またはそれらの両方から指示及びデータを受信する。コンピュータの必須元素は、指示を実行するプロセッサ及び指示及びデータを蓄積する1つ以上のメモリを含む。一般的には、コンピュータは、データファイルを蓄積する1つ以上の大容量記憶装置を含み、または、それらと通信するように作動可能に結合される。このような装置は磁気ディスクを含み、磁気ディスクは例えば、内蔵ハードディスク、リムーバブルディスク、光磁気ディスク及び光ディスクなどである。コンピュータプログラムの指示及びデータを実際に取り入れる適切な記憶装置は、全ての形式の不揮発性メモリを含み、不揮発性メモリは、例として、半導体メモリ装置、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM及びDVD-ROMディスクを含み、半導体メモリ装置は例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリー装置を含み、磁気ディスクは、例えば、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクを含む。プロセッサ及びメモリはASICs(特定用途向け集積回路)によって補足され、またそれらに取り込まれる。
【0051】
ユーザとの相互作用を提供するため、特徴部はコンピュータにおいて実行される。コンピュータは、表示装置、キーボード、位置指示装置を備え、表示装置は、例えば、ユーザに情報を表示するCRT(陰極線管)またはLCD(液晶表示)モニターである。位置指示装置は、例えば、マウスまたはトラックボールである。ユーザがマウスまたはトラックボールを用いてコンピュータに入力する。
【0052】
特徴部はコンピュータシステムにおいて、実行される。コンピュータシステムはデータサーバなどのバックエンド構成要素、アプリケーションサーバまたはインターネットサーバなどのミドルウェア構成要素およびグラフィカルユーザインタフェースとインターネットブラウザとそれらの組合せなどとを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンド構成要素を含む。システムの構成要素は、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の何れかの形式または媒体によって接続される。通信ネットワークの例は、LAN、WAN、コンピュータ及びインターネットを形成するネットワークである。
【0053】
コンピュータシステムはクライアント及びサーバを含む。クライアント及びサーバは、上述のように、互いから一般的に遠隔であって、ネットワークを通して代表的に相互作用する。クライアント及びサーバの関係はそれぞれのコンピュータにおいて運行するコンピュータプログラムによって生じる。また、互いはクライアントサーバ関係を有する。
【0054】
コンピュータシステムは、電子患者ケアレコードを実行するソフトウエアを含む。電子患者ケアレコードは、例えば、ZOLLデータシステム(ブルームフィールドコロラド)のePCRソフトウエアである。該ソフトウエアは治療上に相互作用するとともに、患者情報を入力、蓄積、伝送する機能を提供する。コンピュータは、"タブレット"コンピュータシステムと呼ばれる。"タブレット"コンピュータシステムの耐久性は、病院前の使用に耐えるために高められてきた。また、コンピュータは、IPHONEまたはIPADの形式を採用するものであってもよい。データは携帯式の"タブレット"コンピュータからMPU212への間にリアルタイムで優先的に伝送される。該データはエピネフリンを患者に送達することを表示する。エピネフリンはVFの誘発のリスクを増加するため、その送達の通知はMPUによって利用され、圧迫パラメータを調整し、VFの誘発のリスクを一層に最小化する。患者に提供された他の個別の治療、または様々なセンサによって検知された患者の病状のパラメータはタブレットに提供される。パラメータは速度、タイミング、応力またはスピードなどである。これらのパラメータによって、患者に対して、圧迫及び減圧が実行される。
【0055】
多数の実施形態は記載されるが、本発明は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更は実施可能であることと理解される。従って、他の実施形態は下記の請求項の範囲内のものである。以下、本発明の実施形態の例を項目として示す。
[項目1]
除細動システムであって、
除細動器と、
除細動器によって治療を受けた患者の映像を取得するように構成される映像カメラと、
患者と関連するデータを収集するように構成されるデータ収集ユニットと、
除細動システムと救急対応センターとの間における通信チャンネルを形成するように構成される通信ユニットと、
患者の映像及び患者と関連するデータのうち少なくとも1つを救急対応センターに伝送させるように構成される処理ユニットと
を含み、
処理ユニットは更に、
通信チャンネルの利用可能なバンド幅とバンド幅の閾値とを比較することと、
利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値超となる場合、患者の映像及び患者と関連するデータを伝送させることと、
利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値未満となる場合、患者の映像の伝送を中止し、患者と関連するデータのみを伝送させる、
除細動システム。
[項目2]
項目1に記載の除細動システムにおいて、バンド幅の閾値は少なくとも約750kbpsであることを特徴とする除細動システム。
[項目3]
項目1又は2に記載の除細動システムにおいて、処理ユニットは、通信チャンネルの利用可能なバンド幅を確定するように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目4]
項目1から3のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、処理ユニットは、通信チャンネルの利用可能なバンド幅を示す入力データを受取るように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目5]
項目1から4のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、映像カメラは前記除細動器または少なくとも1つの電極と結合するように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目6]
項目1から5のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、映像カメラは前記患者を治療する人によって着用されるように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目7]
項目1から6のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、データは心電図信号、酸素飽和度レベル、血圧、心拍出量及び圧迫パラメータのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする除細動システム。
[項目8]
項目1から7のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、更に、音声ユニットを含み、音声ユニットは音声信号を受け取るように構成され、処理ユニットは更に利用可能なバンド幅に基づいて音声信号を伝送させるように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目9]
項目1から8のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、通信チャンネルは無線通信チャンネルであることを特徴とする除細動システム。
[項目10]
項目1から9のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、除細動器は自動体外式除細動器(AED)であることを特徴とする除細動システム。
[項目11]
除細動器によって治療を受けた患者の映像を取得する取得段階であって、除細動器は除細動システムの部分を形成する取得段階と、
患者と関連するデータを収集する収集段階と、
除細動システムと救急対応センターとの間における通信チャンネルを形成する形成段階と、
通信チャンネルの利用可能なバンド幅に基づいて、患者の映像及び患者と関連するデータのうち少なくとも1つを救急対応センターに伝送させる伝送段階と
を含み、
伝送段階は、
通信チャンネルの利用可能なバンド幅とバンド幅の閾値とを比較する比較段階と、
利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値超となる場合、患者の映像及び患者と関連するデータを伝送させる段階と、
利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値未満となる場合、患者の映像の伝送を中止し、患者と関連するデータのみを伝送させる段階を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目12]
項目11に記載の除細動方法において、伝送段階は、更に音声データを伝送させる段階を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目13]
項目11または12に記載の除細動方法において、更に通信チャンネルの利用可能なバンド幅を確定する段階を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目14]
項目11から13のいずれか1項に記載の除細動方法において、更に、通信チャンネルの利用可能なバンド幅を示す入力データを受取る段階を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目15]
項目11から14のいずれか1項に記載の除細動方法において、除細動器は自動体外式除細動器(AED)であることを特徴とする除細動方法。
[項目16]
除細動システムであって、
除細動器と、
各カメラは除細動器によって治療を受けた患者の映像を取得するように構成される複数の映像カメラと、
患者と関連するデータを収集するように構成されるデータ収集ユニットと、
除細動システムと救急対応センターとの間における通信チャンネルを形成するように構成される通信ユニットと、
処理ユニットであって、各画像が複数のカメラのうち1つによって取得された複数の画像を救急対応センターに伝送することと、複数のカメラのうち1つの選択を救急対応センターから受取り、複数の映像カメラのうち選択された1つによって取得された映像を救急対応センターに伝送させること、通信チャンネルの利用可能なバンド幅とバンド幅の閾値とを比較することと、利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値超となる場合、患者の映像及び患者と関連するデータを伝送させることと、利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値未満となる場合、患者の映像の伝送を中止し、患者と関連するデータのみを伝送させることを行うように構成される処理ユニットと
を含むことを特徴とする除細動システム。
[項目17]
項目16に記載の除細動システムにおいて、処理ユニットは更に、救急対応センターのユーザが複数の画像のうち1つを十分に選択させるようにデータを救急対応センターに伝送させるように構成され、複数のカメラのうち1つの選択は複数の画像のうち対応する1つのユーザによる選択に基づくことを特徴とする除細動システム。
[項目18]
項目16又は17に記載の除細動システムにおいて、画像は静止画像であることを特徴とする除細動システム。
[項目19]
項目16から18のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、複数の映像カメラのうち1つは除細動器に取り付けられるように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目20]
項目16から19のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、複数の映像カメラのうち1つは患者を治療する人によって着用されるように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目21]
項目16から20のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、更に、データ収集ユニットを含み、データ収集ユニットは、患者と関連する複数のタイプのデータを収集するように構成されることを特徴とする除細動システム。
[項目22]
項目21に記載の除細動システムにおいて、処理ユニットは更に、複数のタイプのデータのうち1つの選択を救急対応センターから受け取り、選択されたタイプのデータを救急対応センターに伝送させるように構成される処理ユニットを含むことを特徴とする除細動システム。
[項目23]
項目21又は22に記載の除細動システムにおいて、処理ユニットは更に複数のタイプのデータの識別子を救急対応センターに伝送させることを含むことを特徴とする除細動システム。
[項目24]
項目21から23のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、複数のタイプのデータは心電図信号、酸素飽和度レベル、血圧、心拍出量及び圧迫パラメータのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする除細動システム。
[項目25]
項目16から24のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、通信チャンネルは無線通信チャンネルであることを特徴とする除細動システム。
[項目26]
項目16から25のいずれか1項に記載の除細動システムにおいて、除細動器は自動体外式除細動器(AED)であることを特徴とする除細動システム。
[項目27]
複数の映像カメラを利用して、除細動器によって治療を受けた患者の対応する複数の映像を取得する取得段階であって、除細動器は除細動システムの部分を形成する取得段階と、
患者と関連するデータを収集する収集段階と、
除細動システムと救急対応センターとの間における通信チャンネルを形成する段階と、
各画像が複数の映像カメラのうち1つによって取得された複数の画像を救急対応センターに伝送する段階と、
複数のタイプのデータのうち1つの選択を救急対応センターから受取り、複数の映像カメラのうち選択された1つによって取得された映像を救急対応センターに伝送させる段階と、
伝送させる段階は、
通信チャンネルの利用可能なバンド幅とバンド幅の閾値とを比較する比較段階と、
利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値超となる場合、患者の映像及び患者と関連するデータを伝送させる段階と、
利用可能なバンド幅がバンド幅の閾値未満となる場合、患者の映像の伝送を中止し、患者と関連するデータのみを伝送させる段階と、
を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目28]
項目27に記載の除細動方法において、複数の画像を伝送させる伝送段階は救急対応センターのユーザが複数の画像のうち1つを十分に選択させるようにデータを救急対応センターに伝送させることを含み、
複数の映像カメラのうち1つの選択は複数の画像のうち対応する1つのユーザによる選択に基づくことを特徴とする除細動方法。
[項目29]
項目27又は28に記載の除細動方法において、画像は静止画像であることを特徴とする除細動方法。
[項目30]
項目27から29のいずれか1項に記載の除細動方法において、更に患者と関連する複数のタイプのデータを収集する段階を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目31]
項目30に記載の除細動方法において、更に、複数のタイプのデータのうち1つの選択を救急対応センターから受取り、
選択されたタイプのデータを救急対応センターに伝送させる段階を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目32]
項目30又は31に記載の除細動方法において、更に複数のタイプのデータの識別子を救急対応センターに伝送させる段階を含むことを特徴とする除細動方法。
[項目33]
項目27から32のいずれか1項に記載の除細動方法において、除細動器は自動体外式除細動器(AED)であることを特徴とする除細動方法。
[項目34]
データは、胸骨動信号、圧迫比、及び、圧迫深さの少なくとも1つを含む、
項目1から10及び項目16から26のいずれか1項に記載の除細動システム。
[項目35]
データは、胸骨動信号、圧迫比、及び、圧迫深さの少なくとも1つを含む、
項目11から15及び項目27から33のいずれか1項に記載の除細動方法。