(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】真空インタラプタ
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
H01H33/662 H
(21)【出願番号】P 2022087321
(22)【出願日】2022-05-30
【審査請求日】2022-12-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】福田 英昭
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 登
(72)【発明者】
【氏名】成田 大輝
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-41662(JP,U)
【文献】実開昭55-14299(JP,U)
【文献】実開昭54-56173(JP,U)
【文献】実開昭56-117444(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/60 - 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の筒状本体を有し、当該筒状本体の軸心方向の一端側である固定側が固定側フランジにより封止され当該軸心方向の他端側である可動側が可動側フランジにより封止されている真空容器と、
固定側フランジの真空容器内側の中央部から前記軸心方向に延出している固定側通電軸と、
固定側通電軸の延出方向側の端部に支持されている固定電極と、
可動側フランジの中央部を前記軸心方向に貫通して当該軸心方向に延在し、当該軸心方向に伸縮自在なベローズを介して当該可動側フランジの真空容器内側に支持されて、当該軸心方向に移動自在な可動側通電軸と、
可動側通電軸の真空容器内側の端部に支持されて固定電極と対向し、当該可動側通電軸の移動に応じて固定電極と接離する可動電極と、
を備え、
前記筒状本体は、
固定電極および可動電極の外周側を囲繞している筒状のアークシールドと、
アークシールドの前記軸心方向の固定側において当該アークシールドと同軸状に連設されている筒状の固定側絶縁部と、
アークシールドの前記軸心方向の可動側において当該アークシールドと同軸状に連設されている筒状の可動側絶縁部と、
を有し、
固定側フランジの真空容器内側における外周縁側には、当該外周縁側から固定側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の可動側に延出した筒状の固定側電界緩和シールドが、設けられており、
可動側フランジの真空容器内側における外周縁側には、当該外周縁側から可動側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の固定側に延出した筒状の可動側電界緩和シールドが、設けられており、
アークシールドは、
固定側絶縁部と可動側絶縁部との間に介在している筒状のアークシールド本体部と、
アークシールド本体部における前記軸心方向の固定側から、固定側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の固定側に延伸している筒状のアークシールド固定側延伸部と、
アークシールド本体部における前記軸心方向の可動側から、可動側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の可動側に延伸している筒状のアークシールド可動側延伸部と、
を有し、
可動側絶縁部は、
複数個の筒状の絶縁体が前記軸心方向に連設されている可動側絶縁体群と、
可動側絶縁体群よりも小径で当該可動側絶縁体群と同軸状に位置し、当該可動側絶縁体群の隣接する絶縁体間に支持されている可動側サブシールドと、
を有し、
可動側サブシールドは、
可動側絶縁体群の内周側に沿って周方向に延在した環状であって、可動側サブシールドを当該可動側絶縁体群の隣接された絶縁体間に支持する可動側サブシールド基端部と、
可動側サブシールド基端部と同軸の筒状であって、当該可動側サブシールド基端部から前記軸心方向に延伸している可動側サブシールド延伸部と、
を有し、
可動側サブシールド延伸部は、
可動側サブシールド基端部から前記軸心方向の固定側に延伸している筒状の可動側サブシールド固定側部と、
可動側サブシールド基端部から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の可動側サブシールド可動側部と、
を有し、
可動側サブシールド可動側部は、前記軸心方向の可動側の先端部において、
当該可動側の先端部から前記筒状本体の径方向の内側に折曲された形状であって、当該可動側の先端部の内周側に沿って周方向に延在している環状の可動側縮径部と、
前記可動側縮径部の内周側から前記軸心方向の固定側に延伸している筒状の可動側反転延伸部と、
を有していることを特徴とする真空インタラプタ。
【請求項2】
絶縁性の筒状本体を有し、当該筒状本体の軸心方向の一端側である固定側が固定側フランジにより封止され当該軸心方向の他端側である可動側が可動側フランジにより封止されている真空容器と、
固定側フランジの真空容器内側の中央部から前記軸心方向に延出している固定側通電軸と、
固定側通電軸の延出方向側の端部に支持されている固定電極と、
可動側フランジの中央部を前記軸心方向に貫通して当該軸心方向に延在し、当該軸心方向に伸縮自在なベローズを介して当該可動側フランジの真空容器内側に支持されて、当該軸心方向に移動自在な可動側通電軸と、
可動側通電軸の真空容器内側の端部に支持されて固定電極と対向し、当該可動側通電軸の移動に応じて固定電極と接離する可動電極と、
を備え、
前記筒状本体は、
固定電極および可動電極の外周側を囲繞している筒状のアークシールドと、
アークシールドの前記軸心方向の固定側において当該アークシールドと同軸状に連設されている筒状の固定側絶縁部と、
アークシールドの前記軸心方向の可動側において当該アークシールドと同軸状に連設されている筒状の可動側絶縁部と、
を有し、
固定側フランジの真空容器内側における外周縁側には、当該外周縁側から固定側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の可動側に延出した筒状の固定側電界緩和シールドが、設けられており、
可動側フランジの真空容器内側における外周縁側には、当該外周縁側から可動側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の固定側に延出した筒状の可動側電界緩和シールドが、設けられており、
アークシールドは、
固定側絶縁部と可動側絶縁部との間に介在している筒状のアークシールド本体部と、
アークシールド本体部における前記軸心方向の固定側から、固定側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の固定側に延伸している筒状のアークシールド固定側延伸部と、
アークシールド本体部における前記軸心方向の可動側から、可動側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の可動側に延伸している筒状のアークシールド可動側延伸部と、
を有し、
固定側絶縁部は、
複数個の筒状の絶縁体が前記軸心方向に連設されている固定側絶縁体群と、
固定側絶縁体群よりも小径で当該固定側絶縁体群と同軸状に位置し、当該固定側絶縁体群の隣接する絶縁体間に支持されている固定側サブシールドと、
を有し、
固定側サブシールドは、
固定側絶縁体群の内周側に沿って周方向に延在した環状であって、固定側サブシールドを当該固定側絶縁体群の隣接された絶縁体間に支持する固定側サブシールド基端部と、
固定側サブシールド基端部と同軸の筒状であって、当該固定側サブシールド基端部から前記軸心方向に延伸している固定側サブシールド延伸部と、
を有し、
固定側サブシールド延伸部は、
固定側サブシールド基端部から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の固定側サブシールド可動側部と、
固定側サブシールド基端部から前記軸心方向の固定側に延伸している筒状の固定側サブシールド固定側部と、
を有し、
固定側サブシールド固定側部は、前記軸心方向の固定側の先端部において、
当該固定側の先端部から前記筒状本体の径方向の内側に折曲された形状であって、当該固定側の先端部の内周側に沿って周方向に延在している環状の固定側縮径部と、
前記固定側縮径部の内周側から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の固定側反転延伸部と、
を有していることを特徴とする真空インタラプタ。
【請求項3】
固定側絶縁部は、
複数個の筒状の絶縁体が前記軸心方向に連設されている固定側絶縁体群と、
固定側絶縁体群よりも小径で当該固定側絶縁体群と同軸状に位置し、当該固定側絶縁体群の隣接する絶縁体間に支持されている固定側サブシールドと、
を有し、
固定側サブシールドは、
固定側絶縁体群の内周側に沿って周方向に延在した環状であって、固定側サブシールドを当該固定側絶縁体群の隣接された絶縁体間に支持する固定側サブシールド基端部と、
固定側サブシールド基端部と同軸の筒状であって、当該固定側サブシールド基端部から前記軸心方向に延伸している固定側サブシールド延伸部と、
を有し、
固定側サブシールド延伸部は、
固定側サブシールド基端部から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の固定側サブシールド可動側部と、
固定側サブシールド基端部から前記軸心方向の固定側に延伸している筒状の固定側サブシールド固定側部と、
を有し、
固定側サブシールド固定側部は、前記軸心方向の固定側の先端部において、
当該固定側の先端部から前記筒状本体の径方向の内側に折曲された形状であって、当該固定側の先端部の内周側に沿って周方向に延在している環状の固定側縮径部と、
前記固定側縮径部の内周側から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の固定側反転延伸部と、
を有していることを特徴とする請求項1記載の真空インタラプタ。
【請求項4】
可動側反転延伸部は、前記軸心方向の固定側の先端部が、アークシールド可動側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド可動側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴とする請求項1または3記載の真空インタラプタ。
【請求項5】
固定側反転延伸部は、前記軸心方向の可動側の先端部が、アークシールド固定側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド可動側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴とする請求項2または3記載の真空インタラプタ。
【請求項6】
可動側サブシールド固定側部は、自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であって、当該自身の延伸方向の先端部が、アークシールド可動側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド可動側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴とする請求項1または3記載の真空インタラプタ。
【請求項7】
固定側サブシールド可動側部は、自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であって、当該自身の延伸方向の先端部が、アークシールド固定側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド固定側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴とする請求項2または3記載の真空インタラプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば種々の電力設備等に適用可能な真空インタラプタに係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば種々の電力設備等に適用されている真空遮断器においては、電流遮断部品として真空インタラプタを内蔵したものが知られている。この真空インタラプタは、近年、更なる高電圧電力系統への適応拡大が期待されており、例えば所望の諸特性(絶縁性能等)が得られるように、それぞれ種々の改善が検討されている(例えば特許文献1)。
【0003】
図12の符号9は、一般的に知られている真空インタラプタを示すものであり、絶縁性の筒状本体90の軸心方向(以下、単に軸心方向と適宜称する)の一端側である固定側を固定側フランジ91aにより封止し、当該軸心方向の他端側である可動側を可動側フランジ91bにより封止した真空容器91が用いられている。筒状本体90は、それぞれ筒状のアークシールド9c,固定側絶縁部9a,可動側絶縁部9bを有したものであって、当該固定側絶縁部9aおよび可動側絶縁部9bの間にアークシールド9cを挟んで同軸状に連設して構成となっている。
【0004】
固定側フランジ91aの真空容器91内側には、当該真空容器91内側から軸心方向に延出するように固定側通電軸92aが設けられ、その固定側通電軸92aの端部には固定電極93aが支持される。可動側フランジ91bには、可動側フランジ91bを軸心方向に貫通して当該軸心方向に延在するように可動側通電軸92bが設けられる。
【0005】
この可動側通電軸92bは、軸心方向に伸縮自在なベローズ92cを介して可動側フランジ91bの真空容器91内側に支持され、当該軸心方向に移動自在となっている。可動側通電軸92bの端部には可動電極93bが支持され、当該可動側通電軸92bの移動に応じて固定電極93aと接離(接点93が接離)する。
【0006】
以上示したような真空インタラプタにおいては、絶縁耐力や電界緩和効果等の諸特性の向上を図るために、各種シールドが適用されている。例えば、いわゆる三重点と称される箇所(比誘電率の異なる三種類の材料の境界箇所)の電界緩和を考慮したシールドが適用されている。
【0007】
図12の場合、アークシールド9cは、固定側絶縁部9aと可動側絶縁部9bとの間に介在しているアークシールド本体部94と、アークシールド本体部94における固定側から固定側絶縁部9aの内周側に沿って軸心方向固定側に延伸している固定側延伸部94aと、アークシールド本体部94における可動側から可動側絶縁部9bの内周側に沿って軸心方向可動側に延伸している可動側延伸部94bと、により構成されている。また、固定側フランジ91a,可動側フランジ91bに、それぞれ電界緩和シールド95a,95bが設けられている。
【0008】
また、真空インタラプタの高電圧化を図るために、例えば筒状本体に対する電圧を分担し易くすることも検討されている。この電位分担のバランスを保持するには、例えば真空容器の径方向(以下、単に径方向と適宜称する)で隣接するシールド同士(以下、単に隣接シールド同士と適宜称する)間の距離や、互いに隣接するシールドと絶縁部との両者(以下、単にシールド絶縁部同士と適宜称する)間の距離を、それぞれ適宜設定(例えばシールドの形状や配置構成等を適宜設定)して、静電容量を調整する手法が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
真空インタラプタの内部容積が限られている条件で静電容量を大きくするには、(i)隣接シールド同士間の距離やシールド絶縁部同士間の距離を短くする、(ii)シールド径を大きくする、(iii)隣接シールド同士やシールド絶縁部同士において軸心方向の重畳距離(以下、それぞれを単に重畳距離と適宜称する)を長くする、等の手法を採ることが挙げられる。
【0011】
しかしながら、
図12のような構成において単に前記(i)~(iii)のような手法を採ると、シールド径が同等で互いに対向する方向に延在しているシールド(以下、単に対向シールドと適宜称する)同士、例えば固定側延伸部94aおよび電界緩和シールド95aの両者や、可動側延伸部20bと電界緩和シールド95bの両者においては、それぞれの先端部同士(以下、単に対向先端部同士と適宜称する)が近接してしまう場合がある。このように近接した対向先端部同士付近では、電界が高くなり易く、沿面放電を起こす可能性が高くなってしまうおそれがある。
【0012】
例えば、対向シールド同士の各シールド径の差分を大きくする等により、対向先端部同士間の距離を長くすることができる。しかしながら、それぞれ絶縁部(例えば固定側絶縁部9aや可動側絶縁部9b)に近接するように重畳している対向シール同士(例えば固定側延伸部94aおよび電界緩和シールド95a)において、各シールド径の差分を大きくするには、当該対向シールド同士の一方のシールド径を縮径化することになり、当該一方に係るシールド絶縁部間の距離が長くなってしまう。これにより、所望の静電容量を得ることが困難となってしまうおそれがある。
【0013】
本発明は、かかる技術的課題に鑑みてなされたものであって、沿面放電を抑制し易くし、かつ所望の静電容量が得られ易くすることに貢献可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る真空インタラプタは、前記の課題の解決に貢献できるものであり、当該真空インタラプタの一態様は、絶縁性の筒状本体を有し、当該筒状本体の軸心方向の一端側である固定側が固定側フランジにより封止され当該軸心方向の他端側である可動側が可動側フランジにより封止されている真空容器と、固定側フランジの真空容器内側の中央部から前記軸心方向に延出している固定側通電軸と、固定側通電軸の延出方向側の端部に支持されている固定電極と、可動側フランジの中央部を前記軸心方向に貫通して当該軸心方向に延在し、当該軸心方向に伸縮自在なベローズを介して当該可動側フランジの真空容器内側に支持されて、当該軸心方向に移動自在な可動側通電軸と、可動側通電軸の真空容器内側の端部に支持されて固定電極と対向し、当該可動側通電軸の移動に応じて固定電極と接離する可動電極と、を備えているものである。
【0015】
前記筒状本体は、固定電極および可動電極の外周側を囲繞している筒状のアークシールドと、アークシールドの前記軸心方向の固定側において当該アークシールドと同軸状に連設されている筒状の固定側絶縁部と、アークシールドの前記軸心方向の可動側において当該アークシールドと同軸状に連設されている筒状の可動側絶縁部と、を有しているものである。
【0016】
固定側フランジの真空容器内側における外周縁側には、当該外周縁側から固定側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の可動側に延出した筒状の固定側電界緩和シールドが、設けられており、可動側フランジの真空容器内側における外周縁側には、当該外周縁側から可動側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の固定側に延出した筒状の可動側電界緩和シールドが、設けられているものである。
【0017】
アークシールドは、固定側絶縁部と可動側絶縁部との間に介在している筒状のアークシールド本体部と、アークシールド本体部における前記軸心方向の固定側から、固定側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の固定側に延伸している筒状のアークシールド固定側延伸部と、アークシールド本体部における前記軸心方向の可動側から、可動側絶縁部の内周側に沿って前記軸心方向の可動側に延伸している筒状のアークシールド可動側延伸部と、を有しているものである。
【0018】
可動側絶縁部は、複数個の筒状の絶縁体が前記軸心方向に連設されている可動側絶縁体群と、可動側絶縁体群よりも小径で当該可動側絶縁体群と同軸状に位置し、当該可動側絶縁体群の隣接する絶縁体間に支持されている可動側サブシールドと、を有し、可動側サブシールドは、可動側絶縁体群の内周側に沿って周方向に延在した環状であって、可動側サブシールドを当該可動側絶縁体群の隣接された絶縁体間に支持する可動側サブシールド基端部と、可動側サブシールド基端部と同軸の筒状であって、当該可動側サブシールド基端部から前記軸心方向に延伸している可動側サブシールド延伸部と、を有しているものである。
【0019】
可動側サブシールド延伸部は、可動側サブシールド基端部から前記軸心方向の固定側に延伸している筒状の可動側サブシールド固定側部と、可動側サブシールド基端部から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の可動側サブシールド可動側部と、を有しているものである。
【0020】
そして、可動側サブシールド可動側部は、前記軸心方向の可動側の先端部において、当該可動側の先端部から前記筒状本体の径方向の内側に折曲された形状であって、当該可動側の先端部の内周側に沿って周方向に延在している環状の可動側縮径部と、前記可動側縮径部の内周側から前記軸心方向の固定側に延伸している筒状の可動側反転延伸部と、を有していることを特徴とする。
【0021】
固定側絶縁部は、以下のように構成しても良い。すなわち、複数個の筒状の絶縁体が前記軸心方向に連設されている固定側絶縁体群と、固定側絶縁体群よりも小径で当該固定側絶縁体群と同軸状に位置し、当該固定側絶縁体群の隣接する絶縁体間に支持されている固定側サブシールドと、を有し、固定側サブシールドは、固定側絶縁体群の内周側に沿って周方向に延在した環状であって、固定側サブシールドを当該固定側絶縁体群の隣接された絶縁体間に支持する固定側サブシールド基端部と、固定側サブシールド基端部と同軸の筒状であって、当該固定側サブシールド基端部から前記軸心方向に延伸している固定側サブシールド延伸部と、を有しているものである。
【0022】
固定側サブシールド延伸部は、固定側サブシールド基端部から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の固定側サブシールド可動側部と、固定側サブシールド基端部から前記軸心方向の固定側に延伸している筒状の固定側サブシールド固定側部と、を有しているものである。
【0023】
そして、固定側サブシールド固定側部は、前記軸心方向の固定側の先端部において、当該固定側の先端部から前記筒状本体の径方向の内側に折曲された形状であって、当該固定側の先端部の内周側に沿って周方向に延在している環状の固定側縮径部と、前記固定側縮径部の内周側から前記軸心方向の可動側に延伸している筒状の固定側反転延伸部と、を有していることを特徴とする。
【0024】
可動側反転延伸部は、前記軸心方向の固定側の先端部が、アークシールド可動側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド可動側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴としても良い。
【0025】
固定側反転延伸部は、前記軸心方向の可動側の先端部が、アークシールド固定側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド可動側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴としても良い。
【0026】
可動側サブシールド固定側部は、自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であって、当該自身の延伸方向の先端部が、アークシールド可動側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド可動側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴としても良い。
【0027】
固定側サブシールド可動側部は、自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であって、当該自身の延伸方向の先端部が、アークシールド固定側延伸部の内周側に挿入されて、当該アークシールド固定側延伸部と互いに非接触状態で前記軸心方向において重畳していることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0028】
以上示したように本発明によれば、沿面放電を抑制し易くし、かつ所望の静電容量が得られ易くすることに貢献可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施例1による真空インタラプタ1Aの概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図2】真空インタラプタ1Aの変形例の概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図3】真空インタラプタ1Aを真空遮断器の接地タンクに収容した場合の静電容量特性を説明するための等価回路図。
【
図4】実施例2による真空インタラプタ1Bの概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図5】真空インタラプタ1Bを真空遮断器の接地タンクに収容した場合の静電容量特性を説明するための等価回路図。
【
図6】実施例3による真空インタラプタ1Cの概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図7】実施例4による真空インタラプタ1Dの概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図8】真空インタラプタ1Cを真空遮断器の接地タンクに収容した場合の静電容量特性を説明するための等価回路図。
【
図9】実施例5による真空インタラプタ1Eの概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図10】実施例6による真空インタラプタ1Fの概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図11】実施例7による真空インタラプタ1Gの概略構成を説明する概略図(真空容器1の軸心方向(図示左右方向)の縦断面図)。
【
図12】一般的な真空インタラプタの一例を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態による真空インタラプタは、単に複数個のシールドを備えた構成(以下、単に従来構成と適宜称する)とは、全く異なるものである。
【0031】
すなわち、本実施形態の真空インタラプタは、シールドにおいて、絶縁部に重畳するように延伸している延伸部(アークシールド固定側延伸部,アークシールド可動側延伸部,固定側サブシールド延伸部,可動側サブシールド延伸部)のうち少なくとも一つを、単に軸心方向に延伸した形状にするのではなく、大径部および小径部を有する構造としたことを特徴とするものである。
【0032】
大径部および小径部を有する構造の一例としては、絶縁部(例えば後述の固定側絶縁部3aや可動側絶縁部3b)に重畳するように延伸しているアークシールド固定側延伸部およびアークシールド可動側延伸部(例えば後述のアークシールド固定側延伸部2aおよびアークシールド可動側延伸部2b)のうち少なくとも一方において、自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状とし、軸心方向においてアークシールド本体部よりも当該自身の延伸方向に偏倚した位置(当該自身の延伸方向の先端部(小径部)と基端部(大径部)との間)にアークシールド縮径部を設けた構造が挙げられる。
【0033】
このような真空インタラプタによれば、対向シールド同士となるアークシールドおよび電界緩和シールドにおいて、アークシールド縮径部が設けられている延伸部(アークシールド固定側延伸部または/およびアークシールド可動側延伸部)の基端部側を、絶縁部に近接して重畳させることができる。また、当該アークシールド縮径部が設けられている延伸部の先端部側は、当該延伸部の基端部側よりも縮径化することができるため、例えば対向シールド同士の相手側である電界緩和シールドが近接している場合であっても、対向先端部同士の距離を十分確保することが可能となる。これにより、沿面放電を抑制し易くなり、かつ所望の静電容量が得られ易くなる。
【0034】
本実施形態は、前記のように、真空インタラプタの絶縁部に重畳する延伸部(アークシールド固定側延伸部,アークシールド可動側延伸部,固定側サブシールド延伸部,可動側サブシールド延伸部)のうち少なくとも一つにおいて、大径部および小径部を有するようにした構成であれば良く、種々の分野(真空遮断器分野等)の技術常識を適宜適用し、必要に応じて先行技術文献等を適宜参照して設計変形することが可能である。なお、以下の実施例1~7では、例えば互いに同様の内容について同一符号を引用する等により、詳細な説明を適宜省略しているものとする。
【0035】
≪実施例1≫
図1は、実施例1による真空インタラプタ1Aの概略構成を説明するためのものである。この真空インタラプタ1Aにおいては、絶縁性の筒状本体10の軸心方向固定側を固定側フランジ11aにより封止し、当該軸心方向可動側を可動側フランジ11bにより封止した真空容器1が用いられている。
【0036】
この真空容器1の筒状本体10は、後述の固定電極13aおよび後述の可動電極13bの外周側を囲繞している筒状のアークシールド2と、そのアークシールド2の軸心方向固定側に連設された筒状の絶縁体30aを有している固定側絶縁部3aと、当該アークシールド2の軸心方向可動側に連設された筒状の絶縁体30bを有している可動側絶縁部3bと、を主として備えている。
【0037】
固定側フランジ11aの真空容器1内側の中央部には、柱状の固定側通電軸12aが、当該真空容器1内側から軸心方向可動側に延出するように設けられている。固定側通電軸12aの軸心方向可動側(延出方向側)の端部には、例えば平板状の固定電極13aが支持されている。
【0038】
また、固定側フランジ11aの真空容器1内側における外周縁側には、当該外周縁側から固定側絶縁部3aの内周側に沿って軸心方向可動側に延出した筒状の固定側電界緩和シールド4aが、設けられている。
図1の場合、更に、固定側フランジ11aの真空容器1内側における固定側通電軸12aと固定側電界緩和シールド4aとの間に、当該真空容器1内側から軸心方向可動側に延出した筒状の固定側調整シールド5aが、設けられている。
【0039】
可動側フランジ11bにおいては、柱状の可動側通電軸12bが、当該可動側フランジ11bを軸心方向に貫通して当該軸心方向に延在するように、設けられている。この可動側通電軸12bは、軸心方向に伸縮自在で当該可動側通電軸12bと同軸状に配置された筒状のベローズ14を介して、可動側フランジ11bの真空容器1内側に支持されている。これにより、可動側通電軸12bは、当該軸心方向に移動自在となっている。
図1の可動側通電軸12bの場合、ベローズ14の外周側を被覆して囲繞するように、筒状のベローズシールド14aが設けられている。可動側通電軸12bの真空容器1内側の端部には、例えば平板状の可動電極13bが支持されており、当該可動側通電軸12bの軸心方向の移動に応じて、固定電極13aと接離(接点13が接離)するようになっている。
【0040】
また、可動側フランジ11bの真空容器1内側における外周縁側には、当該外周縁側から可動側絶縁部3bの内周側に沿って軸心方向固定側に延出した筒状の可動側電界緩和シールド4bが、設けられている。
図1の場合、更に、可動側フランジ11bの真空容器1内側における可動側通電軸12bと可動側電界緩和シールド4bとの間には、当該真空容器1内側から軸心方向固定側に延出した筒状の可動側調整シールド5bが、設けられている。
【0041】
アークシールド2は、固定側絶縁部3aと可動側絶縁部3bとの間に介在している筒状のアークシールド本体部20と、当該アークシールド本体部20における軸心方向固定側から固定側絶縁部3aの内周側に沿って当該軸心方向固定側に延伸している筒状のアークシールド固定側延伸部2aと、当該アークシールド本体部20における軸心方向可動側から可動側絶縁部3bの内周側に沿って当該軸心方向可動側に延伸している筒状のアークシールド可動側延伸部2bと、を備えている。
【0042】
アークシールド固定側延伸部2aは、自身の延伸方向(軸心方向固定側)に向かって階段状に縮径された形状であり、当該自身の延伸方向の先端部21a(アークシールド固定側延伸部2aの小径部に相当)と基端部22a(アークシールド固定側延伸部2aの大径部に相当)との間に、アークシールド縮径部23aが設けられている。
図1に示すアークシールド固定側延伸部2aの場合、軸心方向においてアークシールド本体部20よりも当該自身の延伸方向に偏倚した位置(固定側絶縁部3aと重畳している位置)に、アークシールド縮径部23aが設けられている。
【0043】
アークシールド可動側延伸部2bは、自身の延伸方向(軸心方向可動側)に向かって階段状に縮径された形状であり、当該自身の延伸方向の先端部21b(アークシールド可動側延伸部2bの小径部に相当)と基端部22b(アークシールド可動側延伸部2bの大径部に相当)との間に、アークシールド縮径部23bが設けられている。
図1に示すアークシールド可動側延伸部2bの場合、軸心方向においてアークシールド本体部20よりも当該自身の延伸方向に偏倚した位置(可動側絶縁部3bと重畳している位置)に、アークシールド縮径部23bが設けられている。
【0044】
以上示した真空インタラプタ1Aの各構成要素の材料,形状等や、当該各構成要素の加工方法や組み付け方法等は、当該真空インタラプタAの使用目的等に応じて、種々の態様を適宜適用することが可能である。
【0045】
例えば、真空インタラプタ1Aの各構成要素のうち固定側絶縁部3a,可動側絶縁部3bには絶縁性材料(例えばアルミナセラミックス)を適用し、その他には金属材料(例えばステンレス(SUS304),無酸素銅,チタン)を適用することが挙げられるが、当該各構成要素の組み付け時に膨張(熱膨張)や残留応力が発生し得ることを想定して、適宜選定することが好ましい。
【0046】
また、アークシールド2や電界緩和シールド4a,4b等の各種シールドにおいては、絞り加工やプレス加工等を適宜適用して形成することが可能である。
【0047】
例えば、アークシールド固定側延伸部2aは、
図1に示すように自身の延伸方向の先端部21aが固定側電界緩和シールド4aの内周側(
図1の場合、固定側電界緩和シールド4aの内周側と固定側調整シールド5aの外周側との間)に挿入され、当該固定側電界緩和シールド4a(
図1の場合、固定側電界緩和シールド4aおよび固定側調整シールド5a)と互いに非接触状態で軸心方向において重畳するような形状にすることが挙げられる。
【0048】
アークシールド可動側延伸部2bにおいては、
図1に示すように自身の延伸方向の先端部21bが可動側電界緩和シールド4bの内周側(
図1の場合、可動側電界緩和シールド4bの内周側と可動側調整シールド5bの外周側との間)に挿入され、当該可動側電界緩和シールド4b(
図1の場合、可動側電界緩和シールド4bおよび可動側調整シールド5b)と互いに非接触状態で軸心方向において重畳するような形状にすることが挙げられる。
【0049】
先端部21a,21bにおいては、当該先端部21a,21bの電界をより緩和できるように、
図1に示すように終端24a,24b側を径方向の外側に拡径して湾曲した形状にすることが挙げられる。具体的に、
図1に示す先端部21a,21bの場合、それぞれの終端24a,24b側が径方向の外側に拡径しながら、自身(先端部21a,21b)の延出方向の反対側に反り返り、当該自身に近接するような形状となっている。
【0050】
固定側電界緩和シールド4a,可動側電界緩和シールド4bそれぞれの先端部41a,41bにおいても同様に、終端42a,42b側を径方向の外側に拡径して湾曲した形状にすることが挙げられるが、当該先端部41a,41bがそれぞれ固定側絶縁部3a,可動側絶縁部3bに近接している場合には、適宜工夫することが好ましい。具体例としては、
図1に示す先端部41a,41bのように、自身の延出方向に近づくに連れて縮径した形状であって、それぞれの終端42a,42b側を径方向の外側に湾曲した形状とすることが挙げられる。もしくは、
図2に示す真空インタラプタ1Aの先端部41a,41bのように、それぞれの終端42a,42b側を径方向の内側に湾曲した形状とすることも挙げられる。
【0051】
先端部21aの外径d1aと先端部41aの内径d2aとの両者、先端部21bの外径d1bと先端部41bの内径d2bとの両者は、それぞれ下記式(1),(2)を満たすことが好ましい。
【0052】
d1a<d2a ……(1)
d1b<d2b ……(2)
式(1)(2)を満たすことにより、先端部21aと先端部41aとの両者、先端部21bと先端部41bとの両者は、それぞれ真空インタラプタ1Aにおいて互いに干渉しないように組み付けすることが容易となる。
【0053】
ここで、真空インタラプタ1Aを例えば真空遮断器の接地タンク(接地物)に収容し、当該真空インタラプタ1Aの固定側,可動側をそれぞれ高電圧側,接地側とした場合には、その等価回路は
図3に示すとおりとなる。
【0054】
なお、
図3において、Cf2はアークシールド2と接地タンクとの間の静電容量、C1は固定電極13aと可動電極13bとの間の静電容量、C2は固定側通電軸12aとアークシールド2との間の静電容量、C3は可動側通電軸12bとアークシールド2との間の静電容量とする。
【0055】
図3によると、アークシールド2の電位変動を抑制するためには,静電容量Cf2よりも静電容量C2,C3を大きくする必要があることが判る。
図1の真空インタラプタ1Aの場合、静電容量C2を大きくするには、例えばアークシールド固定側延伸部2aと固定側調整シールド5aとの両者間の距離(すなわち隣接シールド同士間の距離)を短くしたり、当該両者が近接し軸心方向に重畳している領域(以下、単に重畳領域と適宜称する)L1の軸心方向寸法を長くすることが挙げられる。また、静電容量C3を大きくするには、例えばアークシールド可動側延伸部2bと可動側調整シールド5bとの両者間の距離(すなわち隣接シールド同士間の距離)を短くしたり、当該両者の重畳領域L2の軸心方向寸法を長くすることが挙げられる。
【0056】
真空インタラプタ1Aの場合、アークシールド固定側延伸部2a,アークシールド可動側延伸部2bにそれぞれアークシールド縮径部23a,23bが設けられているため、重畳領域L1,L2は、軸心方向において真空インタラプタ1Aの固定側,可動側にそれぞれ偏倚(従来構成と比較して偏倚)したものとなっている。
【0057】
以上示した実施例1の真空インタラプタ1Aによれば、以下に示す作用効果等を奏することが判る。まず、真空インタラプタ1Aの軸心方向固定側において、アークシールド固定側延伸部2aにアークシールド縮径部23aを設けたことにより、当該アークシールド固定側延伸部2aの基端部22a側を、固定側絶縁部3aに近接して重畳できる。これにより、アークシールド固定側延伸部2aのシールド絶縁部同士間の距離を短くすることができ、当該シールド絶縁部同士の重畳距離をそれぞれ十分確保できることが判る。
【0058】
また、アークシールド固定側延伸部2aの先端部21a側は、基端部22a側よりも縮径化されているため、固定側電界緩和シールド4aの先端部41aとの対向先端部同士の距離を、十分確保できることが判る。
【0059】
また、固定側絶縁部3aの沿面における電界は、アークシールド固定側延伸部2aの基端部22aと固定側電界緩和シールド4aとの間となり、当該固定側絶縁部3aの沿面とアークシールド固定側延伸部2aの先端部21aとの間の距離を十分確保できることが判る。
【0060】
また、
図1,
図2に示したように、アークシールド固定側延伸部2aの先端部21a側において、固定側電界緩和シールド4aや固定側調整シールド5aと重畳させることにより、当該重畳させた領域において静電容量が得られることが判る。
【0061】
以上示した真空インタラプタ1Aの軸心方向固定側の作用効果は、当該真空インタラプタ1Aの軸心方向可動側においても同様に奏することが判る(詳細な説明は省略する)。
【0062】
ゆえに、実施例1の真空インタラプタ1Aによれば、従来構成と比較して、沿面放電を抑制し易くなり、かつ所望の静電容量が得られ易くなる。また、任意の静電容量の真空インタラプタを構成する場合には、従来構成と比較して、高電圧化や小型化等を図ることが容易になる。
【0063】
なお、
図1,
図2においては、アークシールド固定側延伸部2a,アークシールド可動側延伸部2bの両方に、各々のアークシールド縮径部(23a,23b)等を形成した構成を示しているが、本実施例1はこれに限定されるものではなく、例えば当該両方のうち一方のみにアークシールド縮径部等を形成(例えばアークシールド固定側延伸部2aのみにアークシールド縮径部23aを形成)した構成であっても良い。この場合、当該一方において、実施例1による作用効果を奏することとなる。
【0064】
≪実施例2≫
図4は、実施例2による真空インタラプタ1Bの概略構成を説明するためのものである。この真空インタラプタ1Bは、真空インタラプタ1Aと同様の構成であって、可動側絶縁部3bに特許文献1に示す構成(特許文献1では符号23)を応用することにより筒状本体10に対する電圧を分担し易くし、さらに当該可動側絶縁部3bに設けられるシールド(後述の可動側サブシールド7b)による沿面放電を抑制し易く、かつ所望の静電容量が得られ易くしたものである。
【0065】
具体的に、真空インタラプタ1Bの可動側絶縁部3bは、複数個(
図4中では2個)の絶縁体30bが軸心方向に連設された多段絶縁構造の可動側絶縁体群6bと、当該可動側絶縁体群6bよりも小径で同軸状に位置するように当該可動側絶縁体群6bに支持される可動側サブシールド7bと、を有した構成となっている。
【0066】
可動側サブシールド7bは、可動側絶縁体群6bの内周側に沿って周方向に延在した環状であって当該可動側サブシールド7bを隣接する絶縁体30b間に支持する可動側サブシールド基端部71bと、その可動側サブシールド基端部71bと同軸の筒状であって当該可動側サブシールド基端部71bから軸心方向に延伸している可動側サブシールド延伸部72bと、を有した構成となっている。
【0067】
可動側サブシールド延伸部72bは、可動側サブシールド基端部71bの内周側から軸心方向固定側に延伸している筒状の可動側サブシールド小径部73bと、可動側サブシールド基端部71bの中央部側(
図4では可動側絶縁部3bに近接した位置)から軸心方向固定側に延伸している筒状の可動側サブシールド大径部74bと、可動側サブシールド基端部71b(
図4では可動側絶縁部3bに近接した位置)から軸心方向可動側に延伸している筒状の可動側サブシールド可動側部75bと、を有した構成となっている。
【0068】
可動側サブシールド可動側部75bは、当該可動側サブシールド可動側部75b自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であり、当該自身の延伸方向の先端部76bと基端部77bとの間に、サブシールド縮径部78bが設けられている。
【0069】
図4に示す可動側サブシールド延伸部72bの場合、可動側サブシールド可動側部75bの先端部76b側が、可動側電界緩和シールド4bの内周側(
図4の場合、可動側電界緩和シールド4bの内周側と可動側調整シールド5bの外周側との間)に挿入され、当該可動側電界緩和シールド4b(
図4の場合、可動側電界緩和シールド4bおよび可動側調整シールド5b)と互いに非接触状態で軸心方向において重畳するような形状となっている。
【0070】
また、
図4に示すアークシールド可動側延伸部2bにおいては、先端部21b側が、可動側サブシールド小径部73bの外周側と可動側サブシールド大径部74bの内周側との両者の間に挿入されて、当該両者と互いに非接触状態で軸心方向において重畳した構成となっている。
【0071】
また、
図4に示す可動側サブシールド可動側部75bの先端部76b,可動側サブシールド大径部74bの先端部79bにおいては、当該先端部76b,79bの電界をより緩和できるように、
図4に示すように終端76c,79c側を径方向の外側に拡径して湾曲した形状となっている。なお、先端部79bにおいては、可動側絶縁部3bに近接しているため、自身の延出方向に近づくに連れて縮径した形状であって、終端79c側を径方向の外側に湾曲した形状となっている。
【0072】
ここで、真空インタラプタ1Bを例えば真空遮断器の接地タンク(接地物)に収容し、当該真空インタラプタ1Bの固定側,可動側をそれぞれ高電圧側,接地側とした場合には、その等価回路は
図5に示すとおりとなる。
【0073】
なお、
図5において、Cf3は可動側サブシールド7bと接地タンクとの間の静電容量、C6はアークシールド2と可動側サブシールド7bとの間の静電容量、C7は可動側サブシールド7bと可動側通電軸12bとの間の静電容量とする。
【0074】
図5によると、アークシールド2の電位変動を抑制するためには,静電容量Cf2,Cf3よりも静電容量C2,C3,C6,C7を大きくする必要があることが判る。
【0075】
以上示した実施例2の真空インタラプタ1Bによれば、実施例1と同様の作用効果を奏する他に、以下に示すことが言える。まず、真空インタラプタ1Bの軸心方向可動側において、多段絶縁構造の可動側絶縁部3bと可動側サブシールド7bとを構成したことにより、筒状本体10に対する電圧を分担し易くなることが判る。
【0076】
また、可動側サブシールド7bの可動側サブシールド延伸部72bの軸心方向固定側においては、可動側サブシールド小径部73bと可動側サブシールド大径部74bとの両者に分岐されているため、当該両者間に重畳領域を形成することが可能であり、当該両者間にアークシールド可動側延伸部2bの先端部21b側を挿入して重畳可能であることが判る。
【0077】
また、可動側サブシールド小径部73bと可動側サブシールド大径部74bとの両者間の径方向の距離は、適宜短くすることができるものであり、例えば組み付け時の芯ズレ等の影響(例えば対向シールド同士を組み付けした場合に起こり得る芯ズレ等の影響)を回避可能であることが判る。
【0078】
また、可動側サブシールド7bの可動側サブシールド延伸部72bの軸心方向可動側においては、可動側サブシールド可動側部75bにサブシールド縮径部78bを設けたことにより、当該可動側サブシールド可動側部75bの先端部76b側を電界緩和シールド4bの内周側に挿入して重畳させ、重畳領域を形成できることが判る。
【0079】
≪実施例3≫
図6は、実施例3による真空インタラプタ1Cの概略構成を説明するためのものである。この真空インタラプタ1Cは、真空インタラプタ1Bと同様の構成であって、固定側絶縁部3aにおいても特許文献1に示す構成(特許文献1では符号23)を応用することにより筒状本体10に対する電圧をより分担し易くし、さらに当該固定側絶縁部3aに設けられるシールド(後述の固定側サブシールド7a)による沿面放電を抑制し易く、かつ所望の静電容量が得られ易くしたものである。
【0080】
具体的に、真空インタラプタ1Cの固定側絶縁部3aは、複数個(
図6中では2個)の絶縁体30aが軸心方向に連設された多段絶縁構造の固定側絶縁体群6aと、当該固定側絶縁体群6aよりも小径で同軸状に位置するように当該固定側絶縁体群6aに支持される固定側サブシールド7aと、を有した構成となっている。
【0081】
固定側サブシールド7aは、固定側絶縁体群6aの内周側に沿って周方向に延在した環状であって当該固定側サブシールド7aを隣接する絶縁体30a間に支持する固定側サブシールド基端部71aと、その固定側サブシールド基端部71aと同軸の筒状であって当該固定側サブシールド基端部71aから軸心方向に延伸している固定側サブシールド延伸部72aと、を有した構成となっている。
【0082】
固定側サブシールド延伸部72aは、固定側サブシールド基端部71aの内周側から軸心方向可動側に延伸している筒状の固定側サブシールド小径部73aと、固定側サブシールド基端部71aの中央部側(
図6では固定側絶縁部3aに近接した位置)から軸心方向可動側に延伸している筒状の固定側サブシールド大径部74aと、固定側サブシールド基端部71a(
図6では固定側絶縁部3aに近接した位置)から軸心方向固定側に延伸している筒状の固定側サブシールド固定側部75aと、を有した構成となっている。
【0083】
固定側サブシールド固定側部75aは、当該固定側サブシールド固定側部75a自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であり、当該自身の延伸方向の先端部76aと基端部77aとの間に、サブシールド縮径部78aが設けられている。
【0084】
図6に示す固定側サブシールド延伸部72aの場合、固定側サブシールド固定側部75aの先端部76a側が、固定側電界緩和シールド4aの内周側(
図6の場合、固定側電界緩和シールド4aの内周側と固定側調整シールド5aの外周側との間)に挿入され、当該固定側電界緩和シールド4a(
図6の場合、固定側電界緩和シールド4aおよび固定側調整シールド5a)と互いに非接触状態で軸心方向において重畳するような形状となっている。
【0085】
また、
図6に示すアークシールド固定側延伸部2aにおいては、先端部21a側が、固定側サブシールド小径部73aの外周側と固定側サブシールド大径部74aの内周側との両者の間に挿入されて、当該両者と互いに非接触状態で軸心方向において重畳した構成となっている。
【0086】
また、
図6に示す固定側サブシールド固定側部75aの先端部76a,固定側サブシールド大径部74aの先端部79aにおいては、当該先端部76a,79aの電界をより緩和できるように、
図6に示すように終端76d,79d側を径方向の外側に拡径して湾曲した形状となっている。なお、先端部79aにおいては、固定側絶縁部3aに近接しているため、自身の延出方向に近づくに連れて縮径した形状であって、終端79d側を径方向の外側に湾曲した形状となっている。
【0087】
以上示した実施例3の真空インタラプタ1Cによれば、実施例1,2と同様の作用効果を奏する他に、以下に示すことが言える。すなわち、真空インタラプタ1Cの軸心方向固定側においても、真空インタラプタ1Bの軸心方向可動側と同様の作用効果を奏することとなる。
【0088】
≪実施例4≫
図7は、実施例4による真空インタラプタ1Dの概略構成を説明するためのものである。この真空インタラプタ1Dは、真空インタラプタ1Aと同様の構成であって、アークシールド固定側延伸部2a,アークシールド可動側延伸部2bそれぞれに、複数個(
図7では2個ずつ)のアークシールド縮径部(それぞれ後述のアークシールド縮径部23aa,23abと、アークシールド縮径部23ba,23bb)を設けた構成となっている。
【0089】
具体的に、
図7に示す真空インタラプタ1Dは、アークシールド固定側延伸部2aにおいて、当該アークシールド固定側延伸部2aの先端部21a側の位置にアークシールド縮径部23aaが設けられており、基端部22a側の位置(
図1に示したアークシールド縮径部23aと同じ位置)にアークシールド縮径部23abが設けられている。
【0090】
アークシールド可動側延伸部2bにおいては、当該アークシールド可動側延伸部2bの先端部21b側の位置にアークシールド縮径部23bbが設けられており、基端部22b側の位置(
図1に示したアークシールド縮径部23bと同じ位置)にアークシールド縮径部23baが設けられている。
【0091】
固定側電界緩和シールド4a,可動側電界緩和シールド4bそれぞれの先端部41a,41bにおいては、自身の延出方向に近づくに連れて縮径された形状であって、それぞれの終端42a,42b側が径方向の外側に湾曲した形状となっている。
図7に示す先端部41a,41bの場合、
図1に示した先端部41a,41bと比較して、大きい勾配で縮径され小径の形状となっている。
【0092】
固定側調整シールド5aにおいては、自身の延出方向(軸心方向可動側)に向かって階段状に拡径された形状であり、当該自身の延出方向の先端部51aと基端部52aとの間に、調整シールド縮径部53aが設けられている。
図7に示す固定側調整シールド5aの場合、アークシールド固定側延伸部2aの内周側に沿って軸心方向可動側に延出し、軸心方向においてアークシールド縮径部23aaと対向する位置に、調整シールド縮径部53aが設けられている。
【0093】
可動側調整シールド5bにおいては、自身の延出方向(軸心方向固定側)に向かって階段状に拡径された形状であり、当該自身の延出方向の先端部51bと基端部52bとの間に、調整シールド縮径部53bが設けられている。
図7に示す可動側調整シールド5bの場合、アークシールド可動側延伸部2bの内周側に沿って軸心方向固定側に延出し、軸心方向においてアークシールド縮径部23bbと対向する位置に、調整シールド縮径部53bが設けられている。
【0094】
以上示した実施例4の真空インタラプタ1Dによれば、実施例1と同様の作用効果を奏する他に、以下に示すことが言える。すなわち、真空インタラプタ1Dの軸心方向固定側において、アークシールド固定側延伸部2aに複数個のアークシールド縮径部23aa,23abを設けたことにより、真空インタラプタ1A等と比較して、当該アークシールド固定側延伸部2aの先端部21a側がより縮径化される。これにより、例えば固定側電界緩和シールド4aの先端部41a側を縮径化し易くなり、当該先端部41aが固定側絶縁部3aに近接しないように抑制し易くなる。
【0095】
また、固定側調整シールド5aにおいては、自身の延出方向に向かって階段状に拡径された形状にしたことにより、アークシールド固定側延伸部2aの内周側に沿った形状にし易くなる。これにより、アークシールド固定側延伸部2aとの間の距離(すなわち隣接シールド同士間の距離)を短くし易くなる。
【0096】
以上示した真空インタラプタ1Dの軸心方向固定側の作用効果は、当該真空インタラプタ1Dの軸心方向可動側においても同様に奏することが判る(詳細な説明は省略する)。
【0097】
≪実施例5≫
ここで、
図6に示したように固定側サブシールド7aや可動側サブシールド7bを備えている真空インタラプタ1Cにおいて、例えば真空遮断器の接地タンク(接地物)に収容し、当該真空インタラプタ1Cの固定側,可動側をそれぞれ高電圧側,接地側とした場合、その等価回路は
図8に示すとおりとなる。
【0098】
なお、
図8において、Cf1は固定側サブシールド7aと接地タンクとの間の静電容量、C4は固定側サブシールド7aと固定側通電軸12aとの間の静電容量、C5はアークシールド2と固定側サブシールド7aとの間の静電容量とする。
【0099】
この
図8の等価回路の接地側(すなわち真空インタラプタ1Cの軸心方向可動側)に着目すると、アークシールド2(アークシールド可動側延伸部2b)と可動側サブシールド7bとの重畳領域が大きくなるに連れて、静電容量C6も大きくなることが読み取れる。そして、前記等価回路の接地側の合成静電容量(以下、単に接地側合成容量と適宜称する)は、例えば静電容量C6,C7が同程度の大きさとすると、下記式(3)によって表すことができる。
【0100】
【0101】
この式(3)においては、例えば前記のように単に静電容量C6を大きくし、当該静電容量C6と静電容量C7との差が大きくなってしまうと(すなわち、C6≫C7になると)、当該静電容量C7の依存度が大きくなる。この場合、接地側合成容量は、下記式(4)の状態になってしまう。
【0102】
【0103】
したがって、接地側合成容量を大きくする場合には、静電容量C6,C7の両者を共に大きくすることが重要である。また、前記等価回路の高電圧側(すなわち真空インタラプタ1Cの軸心方向固定側)の合成静電容量(以下、単に高電圧側合成容量と適宜称する)を大きくする場合においても、接地側合成容量と同様であり、単に静電容量C5を大きくするのではなく、静電容量C4,C5の両者を共に大きくすることが挙げられる。
【0104】
例えば、
図6に示した真空インタラプタ1Cの場合、可動側サブシールド可動側部75bと可動側電界緩和シールド4bとの両者の重畳領域を大きくすることにより、静電容量C7を大きくすることは可能である。しかしながら、例えば当該両者の対向先端部同士の距離を十分確保して沿面放電を抑制する場合には、真空インタラプタの大型化(径方向の寸法や軸心方向の寸法の拡大)を招くことも考えられる。
【0105】
そこで、本実施例5では、
図9に示すような真空インタラプタ1Eを構成することにより、高電圧側合成容量や接地側合成容量の増大を図っても当該真空インタラプタ1Eの大型化を抑制できるようにし、さらに沿面放電を抑制し易く、かつ所望の静電容量が得られ易くしたものである。
【0106】
図9に示す真空インタラプタ1Eは、真空インタラプタ1Cと同様の構成であって、固定側サブシールド7a,可動側サブシールド7bの替わりに、それぞれ固定側サブシールド8Ea,可動側サブシールド8Ebを適用した構成となっている。
【0107】
具体的に、固定側サブシールド8Eaは、固定側絶縁体群6aの内周側に沿って周方向に延在した環状であって当該固定側サブシールド8Eaを隣接した絶縁体30a間に支持する固定側サブシールド基端部81aと、その固定側サブシールド基端部81aと同軸の筒状であって当該固定側サブシールド基端部81aから軸心方向に延伸している固定側サブシールド延伸部82aと、を有した構成となっている。
【0108】
固定側サブシールド延伸部82aは、固定側サブシールド基端部81aの内周側から軸心方向可動側に延伸している筒状の固定側サブシールド可動側部83aと、固定側サブシールド基端部81aの内周側から軸心方向固定側に延伸している筒状の固定側サブシールド固定側部84aと、を有した構成となっている。固定側サブシールド可動側部83aの軸心方向可動側の先端部89aは、基端部88aと比較して、径方向の内側に湾曲した形状となっている。
【0109】
固定側サブシールド固定側部84aの軸心方向固定側の先端部85aにおいては、当該先端部85aから径方向の内側に折曲された形状であって当該先端部85aの内周側に沿って周方向に延在している環状の固定側縮径部86aと、その固定側縮径部86aの内周側から軸心方向可動側に折曲されて延伸している筒状の固定側反転延伸部87aと、有した構造となっている。すなわち、固定側サブシールド固定側部84aにおいては、基端部80a側が大径部をなし固定側反転延伸部86a側が小径部をなす構造となっている。
【0110】
可動側サブシールド8Ebは、可動側絶縁体群6bの内周側に沿って周方向に延在した環状であって当該可動側サブシールド8Ebを隣接した絶縁体30b間に支持する可動側サブシールド基端部81bと、その可動側サブシールド基端部81bと同軸の筒状であって当該可動側サブシールド基端部81bから軸心方向に延伸している可動側サブシールド延伸部82bと、を有した構成となっている。
【0111】
可動側サブシールド延伸部82bは、可動側サブシールド基端部81bの内周側から軸心方向固定側に延伸している筒状の可動側サブシールド固定側部83bと、可動側サブシールド基端部81bの内周側から軸心方向固定側に延伸している筒状の可動側サブシールド可動側部84bと、を有した構成となっている。可動側サブシールド固定側部83bの軸心方向固定側の先端部89bは、基端部88bと比較して、径方向の内側に湾曲した形状となっている。
【0112】
可動側サブシールド可動側部84bの軸心方向可動側の先端部85bにおいては、当該先端部85bから径方向の内側に折曲された形状であって当該先端部85bの内周側に沿って周方向に延在している環状の可動側縮径部86bと、その可動側縮径部86bの内周側から軸心方向固定側に折曲されて延伸している筒状の可動側反転延伸部87bと、を有した構成となっている。すなわち、可動側サブシールド可動側部84bにおいては、基端部80b側が大径部をなし可動側反転延伸部86b側が小径部をなす構造となっている。
【0113】
以上示したように構成された真空インタラプタ1Eは、
図9に示した形状に限定されるものではなく、適宜設計変更することが可能である。例えば、
図9に示す固定側反転延伸部87a,可動側反転延伸部87bの場合、軸心方向において、それぞれ固定側サブシールド可動側部83a,可動側サブシールド可動側部83bと重畳している構成となっているが、当該固定側反転延伸部87a,可動側反転延伸部87bの軸心方向の寸法等は適宜設定することが挙げられる。
【0114】
また、真空インタラプタ1Eにおいても、真空インタラプタ1Cと同様に、固定側調整シールド5a,可動側調整シールド5bを備えたり、アークシールド固定側延伸部2a,アークシールド可動側延伸部2bにおいて各々のアークシールド縮径部(23a,23b)を設けた構成としても良い。
【0115】
以上示した実施例5の真空インタラプタ1Eによれば、実施例3と同様の作用効果を奏する他に、以下に示すことが言える。すなわち、真空インタラプタ1Eの固定側サブシールド8Ea,可動側サブシールド8Ebにおいては、それぞれ対向シールド同士の相手側となり得る電界緩和シールド(4a,4b)に対し軸心方向で重畳していない構成であるため、対向先端部同士の距離を十分確保し、沿面放電を抑制し易くなる。これにより、高電圧側合成容量や接地側合成容量の増大を図っても真空インタラプタ1Eの大型化を十分抑制でき、所望の静電容量が得られ易くなる。
【0116】
なお、
図9(および後述の
図10,
図11)においては、固定側絶縁部3a,可動側絶縁部3bの両方に、各々のサブシールド(
図9では固定側サブシールド8Ea,可動側サブシールド8Eb)を設けた構成を示しているが、本実施例5はこれに限定されるものではない。例えば、真空インタラプタ1Eにおいて高電圧側合成容量と接地側合成容量との間のバランスが十分保持できる構成であれば、当該両方のうち一方のみに当該サブシールドを設けた構成(例えば、固定側サブシールド8Ea,可動側サブシールド8Ebの何れか一方を省略した構成)としても良い。この場合、当該一方において、本実施例5による作用効果を奏することとなる。
【0117】
≪実施例6≫
図10は、実施例6による真空インタラプタ1Fの概略構成を説明するためのものである。この真空インタラプタ1Fは、真空インタラプタ1Eと同様の構成であって、固定側サブシールド8Ea,可動側サブシールド8Ebの替わりに、それぞれ固定側サブシールド8Fa,可動側サブシールド8Fbを適用した構成となっている。
【0118】
具体的に、固定側サブシールド8Faは、固定側サブシールド8Eaと同様の構成であって、固定側反転延伸部86aの軸心方向の寸法を大きくした構成となっている。これにより、固定側サブシールド8Faの固定側反転延伸部86aは、軸心方向可動側の先端部8caがアークシールド固定側延伸部2aの内周側に挿入され、当該アークシールド可動側延伸部2aと互いに非接触状態で軸心方向において重畳した構成となっている。
【0119】
可動側サブシールド8Fbにおいては、可動側サブシールド8Ebと同様の構成であって、可動側反転延伸部86bの軸心方向の寸法を大きくした構成となっている。これにより、可動側サブシールド8Fbの可動側反転延伸部86bは、軸心方向固定側の先端部8cbがアークシールド固定側延伸部2bの内周側に挿入され、当該アークシールド固定側延伸部2bと互いに非接触状態で軸心方向において重畳した構成となっている。
【0120】
以上示した実施例6の真空インタラプタ1Fによれば、実施例5と同様の作用効果を奏する他に、以下に示すことが言える。すなわち、真空インタラプタ1Fの固定側サブシールド8Fa,可動側サブシールド8Fbにおいては、それぞれ対向シールド同士の相手側となり得るアークシールド固定側延伸部2a,アークシールド可動側延伸部2bに対し、それぞれ固定側反転延伸部86a,可動側反転延伸部86bを軸心方向で重畳させた構成であるため、対向先端部同士の距離を十分確保して沿面放電を抑制し易くすると共に、隣接シールド同士(例えば固定側反転延伸部86aとアークシールド固定側延伸部2aの両者等)の重畳領域を多くして高電圧側合成容量や接地側合成容量の増大を図り易くすることが可能となる。
【0121】
≪実施例7≫
図11は、実施例7による真空インタラプタ1Gの概略構成を説明するためのものである。この真空インタラプタ1Gは、真空インタラプタ1Eと同様の構成であって、固定側サブシールド8Ea,可動側サブシールド8Ebの替わりに、それぞれ固定側サブシールド8Ga,可動側サブシールド8Gbを適用した構成となっている。
【0122】
具体的に、固定側サブシールド8Gaは、固定側サブシールド8Eaと同様の構成であって、当該固定側サブシールド8Gaの固定側サブシールド可動側部83aが、自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であり、当該自身の延伸方向の先端部89aと基端部88aとの間に、サブシールド縮径部8daが設けられている。これにより、固定側サブシールド8Gaの固定側サブシールド可動側部83aは、先端部89aがアークシールド固定側延伸部2aの内周側に挿入されて、当該アークシールド固定側延伸部2aと互いに非接触状態で軸心方向において重畳した構成となっている。
【0123】
可動側サブシールド8Gbは、可動側サブシールド8Eaと同様の構成であって、当該可動側サブシールド8Gbの可動側サブシールド可動側部83bが、自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であり、当該自身の延伸方向の先端部89bと基端部88bとの間に、サブシールド縮径部8dbが設けられている。これにより、可動側サブシールド8Gbの可動側サブシールド可動側部83bは、先端部89bがアークシールド可動側延伸部2bの内周側に挿入されて、当該アークシールド可動側延伸部2bと互いに非接触状態で軸心方向において重畳した構成となっている。
【0124】
以上示した実施例7の真空インタラプタ1Gによれば、実施例5と同様の作用効果を奏する他に、以下に示すことが言える。すなわち、真空インタラプタ1Gの固定側サブシールド8Ga,可動側サブシールド8Gbにおいては、それぞれ固定側サブシールド固定側部83a,可動側サブシールド可動側部83bが自身の延伸方向に向かって階段状に縮径された形状であるため、それぞれ対向シールド同士の相手側となり得るアークシールド固定側延伸部2a,アークシールド可動側延伸部2bに対し軸心方向で重畳させた場合であっても、対向先端部同士の距離を十分確保して沿面放電を抑制し易くすると共に、隣接シールド同士(例えば固定側反転延伸部86aとアークシールド固定側延伸部2aの両者等)の重畳領域を多くして高電圧側合成容量や接地側合成容量の増大を図り易くすることが可能となる。
【0125】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0126】
例えば、真空インタラプタ1A~1Gにおいては、それぞれ図示した構成に限定されるものではなく、各構成要素を互いに適宜組み合わせても良い。
【0127】
また、固定側絶縁部3a,可動側絶縁部3bそれぞれの絶縁体30a,30bの個数は、それぞれ適宜設定できるものであり、特に限定されるものではない。
【0128】
また、真空インタラプタ1A,1Dの固定側絶縁部3a,可動側絶縁部3bのように、それぞれ絶縁体30a,30bを少なくとも1個具備していれば、各種シールドの隣接シールド間の距離を適宜設定する等により、沿面放電を十分抑制することが可能であり、かつ所望の静電容量を十分確保することが可能となる。
【0129】
また、真空インタラプタ1B,1C,1E,1F,1Gのように固定側絶縁体群6a,可動側絶縁体群6bを構成する場合、それぞれの絶縁体30a,30bの個数は適宜設定可能であるが、好ましくは、固定側絶縁体群6aの絶縁体30aの個数が可動側絶縁体群6bの絶縁体30bbの個数以下となるように設定することが挙げられる。
【0130】
また、固定側調整シールド5a,可動側調整シールド5bは、真空インタラプタ1A~1Dの目的とする静電容量に応じて適宜省略したり、他の部材(例えばリード状の金属部材)に置き換えたりしても良い。
【符号の説明】
【0131】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…真空インタラプタ
1…真空容器
10…筒状本体
2…アークシールド
20…アークシールド本体部
2a…アークシールド固定側延伸部
2b…アークシールド可動側延伸部
23a,23b,23aa,23ab,23ba,23bb…アークシールド縮径部
3a…固定側絶縁部
3b…可動側絶縁部
6a…固定側絶縁体群
6b…可動側絶縁体群
7a,8Ea,8Fa,8Ga…固定側サブシールド
73a…固定側サブシールド小径部
74a…固定側サブシールド大径部
75a…固定側サブシールド可動側部
7b,8Eb,8Fb,8Gb…可動側サブシールド
73b…可動側サブシールド小径部
74b…可動側サブシールド大径部
75b…可動側サブシールド可動側部
86a…固定側反転延伸部
86b…可動側反転延伸部
【要約】
【課題】沿面放電を抑制し易くし、かつ所望の静電容量が得られ易くすることに貢献可能な技術を提供する。
【解決手段】真空インタラプタ1Eの軸心方向可動側においてアークシールド2と同軸状に連設されている筒状の可動側絶縁部3bに、可動側サブシールド8Ebを設ける。可動側サブシールド8Ebの可動側サブシールド可動側部84bは、軸心方向可動側の先端部85bにおいて、当該先端部85bから径方向の内側に折曲された形状であって当該先端部85bの内周側に沿って周方向に延在している環状の可動側縮径部86bと、その可動側縮径部86bの内周側から軸心方向固定側に延伸している筒状の可動側反転延伸部87bと、を有したものとする。
【選択図】
図9