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  • 特許-搬送補助具及び梱包体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】搬送補助具及び梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/672 20060101AFI20230307BHJP
   B65D 75/56 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B65D85/672
B65D75/56
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018188949
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2020055616
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503280662
【氏名又は名称】プリンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】安藤 毅
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0057734(US,A1)
【文献】特開2006-131273(JP,A)
【文献】特開2011-255923(JP,A)
【文献】特開平09-104476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0144860(US,A1)
【文献】特開平09-267863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/66-85/677
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの巻回体であるロールを搬送するための搬送補助具であって、
前記ロールを持ち上げる際に、前記ロールの外周面を下方から支える支持部と、前記支持部を介して配置される2以上の取手部とを有する折り曲げ可能なシート体と、
を備え、
前記シート体が、2つで1組となる前記取手部を2組以上有し、
前記支持部が、各組の前記取手部間において連続しており、
各1組の前記支持部は2つの前記シート体を中央で連結部によって連結されることで、略H字型に形成されている搬送補助具。
【請求項2】
前記取手部が、取手となる貫通孔を有し、
2以上の前記取手部の前記貫通孔のそれぞれを囲むように前記シート体上に連続して配設される2以上の第1補強部材
を更に備える請求項1に記載の搬送補助具。
【請求項3】
前記シート体が、段ボールシートである請求項1又は請求項2に記載の搬送補助具。
【請求項4】
前記支持部が、前記シート体の折り曲げを容易にするための切込部を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の搬送補助具。
【請求項5】
前記切込部を被覆するように前記シート体上に配設される第2補強部材
を更に備える請求項4に記載の搬送補助具。
【請求項6】
前記第2補強部材の露出面が、滑り止め機能を有する請求項5に記載の搬送補助具。
【請求項7】
前記シート体上に配設される滑り止め部材
を更に備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の搬送補助具。
【請求項8】
前記滑り止め部材は、前記シート体の長手方向の中央に位置するように前記シート体上に配設されている請求項7に記載の搬送補助具。
【請求項9】
梱包箱と、前記梱包箱に収納される前記ロールと、前記梱包箱及び前記ロール間に介在させた請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の搬送補助具とを備える梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送補助具及び梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
シート巻回体を収納する梱包体が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載された梱包体は、シートが巻回された支持管の両端部を枕部材で支持した状態でシート巻回体を容器に収納することで、シートが汚れるのを防止しつつシート巻回体を容器へ容易に挿入できるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-75722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明では、容器からシート巻回体を取り出すときに、シート巻回体を持ち上げたり、容器を転倒させたりする必要がある。しかしながら、容器からシート巻回体を持ち上げて取り出す場合には、容器とシート巻回体との間に手を入れることは容易ではなく、手で触れたシートが汚れるおそれもある。また、容器を転倒させてシート巻回体を取り出す場合には、シートの巻回が緩むおそれやシートが汚れるおそれがある。特にシート体の重量が大きい場合には、シート巻回体の取り扱いがより困難となる。
【0005】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、シートの巻回体であるロールを容易に取り扱うことができる搬送補助具及びこの搬送補助具を備える梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る搬送補助具は、シートの巻回体であるロールを搬送するための搬送補助具であって、前記ロールを持ち上げる際に、前記ロールの外周面を下方から支える支持部と、前記支持部を介して配置される2以上の取手部とを有する折り曲げ可能なシート体を備える。
【0007】
前記取手部が、取手となる貫通孔を有し、当該搬送補助具は、2以上の前記取手部の前記貫通孔のそれぞれを囲むように前記シート体上に連続して配設される2以上の第1補強部材を更に備えるとよい。
【0008】
前記シート体が、段ボールシートであるとよい。
【0009】
前記支持部が、前記シート体の折り曲げを容易にするための切込部を有するとよい。
【0010】
当該搬送補助具は、前記切込部を被覆するように前記シート体上に配設される第2補強部材を更に備えるとよい。
【0011】
前記第2補強部材の露出面が、滑り止め機能を有するとよい。
【0012】
当該搬送補助具は、前記シート体上に配設される滑り止め部材を更に備えるとよい。
【0013】
前記シート体が、2つで1組となる前記取手部を2組以上有し、前記支持部が、各組の前記取手部間において連続しているとよい。
【0014】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る梱包体は、梱包箱と、前記梱包箱に収納される前記ロールと、前記梱包箱及び前記ロール間に介在させた前記搬送補助具とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る搬送補助具及びこの搬送補助具を備える梱包体は、シートの巻回体であるロールを容易に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係る搬送補助具を示す模式的正面図である。
図2図1の搬送補助具を使用する様子を示す模式図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る搬送補助具を示す模式的正面図である。
図4】本発明の第三実施形態に係る梱包体の上面を開放した様子を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る搬送補助具及びこの搬送補助具を備える梱包体について図を参照しつつ詳説する。
【0018】
[第一実施形態]
図1に示す搬送補助具1は、シートの巻回体であるロールXを搬送するための搬送補助具である。搬送補助具1は、シート体2と、シート体2上に配設される第1補強部材3、第2補強部材4及び滑り止め部材5とを備えている。シート体2は、支持部21と、支持部21を介して配置される2つの取手部22とを有している。搬送補助具1は、例えば人の手でロールXを持ち上げて搬送する際に、ロールXの持ち上げを補助するものである。なお、ロールXを構成するシートは、例えば印刷するためのシートや印刷済みのシートであるとよく、巻回可能な柔軟性を有するシートであれば、特に限定されない。
【0019】
<シート体>
シート体2は、折り曲げ可能なシート体であり、中央に位置する支持部21と、支持部21を介して両端に位置する2つの取手部22とを有している。また、シート体2は、2つの取手部22を結ぶ方向を長手方向とし、取手部22の幅方向を短手方向とする略矩形状に形成されており、特に限定されないが、例えば長手方向の長さが100cm程度、短手方向の長さが30cm程度となっている。シート体2は、コストの観点から、段ボールシートであるとよいが、段ボールシートに限定されず、例えば布、ゴム、シリコーン等の摩擦抵抗の大きい露出面を有するシートであってもよい。
【0020】
シート体2の平均厚みは、シート体2の材質によって最適な厚みが異なるため、特に限定されないが、例えば0.05mm以上10mm以下であるとよく、0.1mm以上5mm以下であると好ましい。シート体2は、平均厚みが上記範囲内であると、適切な強度を保持しつつ軽量化を図ることができる。
【0021】
支持部21は、シート体2の中央部分を構成し、ロールXを持ち上げる際に、ロールXの外周面を下方から支える。図1において破線で示されるように、支持部21は、シート体2の折り曲げを容易にするための4つの切込部211を有している。切込部211は、シート体2の一方の面にのみ設けられ、例えばカッターを用いてシート体2の一方の面をわずかに切り込むことによって形成される。また、4つの切込部211のそれぞれは、シート体2の短手方向と略平行にかつ間隔Lで等間隔に設けられている。
【0022】
取手部22は、シート体2の長手方向の両端部分に支持部21を介して2つで1組となるように配置されている。取手部22のそれぞれは、取手となる貫通孔221を有している。貫通孔221は、略矩形状に形成されており、使用者の指を挿入可能な大きさとなっている。
【0023】
<第1補強部材>
第1補強部材3は、取手部22を補強するためのものであり、2つの第1補強部材3が、2つの取手部22の貫通孔221のそれぞれを囲むようにシート体2上に連続して配設されている。第1補強部材3としては、柔軟性を有する粘着テープが用いられるが、第1補強部材3及び第1補強部材3の固定手段は、特に限定されず、例えばプラスチック製の薄板等を接着剤により貫通孔221の周囲に接着するものであってもよい。
【0024】
また、第1補強部材3は、貫通孔221の周囲を1周するように連続して配設されていればよく、図1に示すように、取手部22の貫通孔221を除く全面に配設されてもよいし、貫通孔221の周囲にのみ配設されてもよい。また、第1補強部材3は、シート体2の両面に配設されてもよいし、シート体2の一方の面にのみ配設されてもよい。
【0025】
<第2補強部材>
第2補強部材4は、支持部21を補強するためのものであり、4つの第2補強部材4が、4つの切込部211のそれぞれを被覆するようにシート体2上に配設されている。第2補強部材4は、切込部211を被覆するように支持部21に配設されることで、切込部211でのシート体2の破損を防止する。第2補強部材4としては、柔軟性を有する粘着テープが用いられるが、第1補強部材3と同様に、例えばプラスチック製の薄板等が用いられてもよい。なお、第2補強部材4は、図1に示すように、切込部211の全てを被覆するように切込部211に沿ってシート体2上に配設されているが、切込部211を被覆する部分を有していればよく、例えば切込部211の一部を被覆していなくてもよく、シート体2上の切込部211から離れた位置まで連続して配設されていてもよい。また、第2補強部材4は、特に限定されないが、切込部211を確実に被覆するように、例えば3cm程度の幅を有しているとよい。
【0026】
第2補強部材4の露出面は、支持部21とロールXとの間の摩擦抵抗を向上させるために、滑り止め機能を有するように構成されている。滑り止め機能については、特に限定されないが、第2補強部材4が、例えば滑り止めテープ等の摩擦抵抗の大きい露出面を有する粘着テープであるとよい。なお、第2補強部材4の露出面は、滑り止め機能を有していなくてもよい。
【0027】
<滑り止め部材>
滑り止め部材5は、支持部21とロールXとの間の摩擦抵抗を向上させるためのものであり、支持部21の中央に位置するようにシート体2上に配設されている。滑り止め部材5の露出面は、滑り止め機能を有している。滑り止め部材5は、例えば滑り止めテープ等の摩擦抵抗の大きい露出面を有する粘着テープであるとよく、滑り止め部材5の露出面の滑り止め機能は、上述の第2補強部材4の露出面の滑り止め機能と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0028】
以上に説明した搬送補助具1は、図2に示すように、同時に2つ使用される。すなわち、使用者は、2つの搬送補助具1のそれぞれを上述のシート体2の一方の面が内側となるように折り曲げてロールXを挟み込み、各搬送補助具1の2つの取手部22を重ね合わせた状態で、左右の手で各搬送補助具1の取手部22を把持しつつロールXを持ち上げる。これにより、搬送補助具1の使用者は、シートの巻回体であるロールXを容易に取り扱うことができる。
【0029】
また、搬送補助具1は、シート体2を段ボールシートとし、この段ボールシートに切込部211及び貫通孔221を設けた構成であるが、シート体2上に第1補強部材3及び第2補強部材4を備えているので、低コストで製造できるとともに、切込部211の位置で容易に折り曲げ可能でありかつ十分な強度を有する。
【0030】
[第二実施形態]
図3に示す搬送補助具10は、第一実施形態の搬送補助具1の変形例である。以下、第一実施形態の搬送補助具1の構成と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0031】
搬送補助具10は、シート体2と、シート体2上に配設される第1補強部材3及び第2補強部材4とを備えている。シート体2は、1つの支持部21と、支持部21を介して配置される4つの取手部22とを有しており、図3に示すように、2つの略矩形状のシートを中央で連結した略H字型に形成されている。
【0032】
支持部21は、中央に連結部212を有している。また、4つの取手部22は、支持部21を介して2つで1組となっている。つまり、シート体2は、2つで1組となる取手部22を2組有しており、支持部21が、各組の取手部22間において連続している。なお、隣り合う2組の取手部22間の距離は、人間の肩幅程度か、肩幅よりも少し広い程度であると好ましく、例えば40cm以上50cm以下であるとよい。
【0033】
以上に説明した搬送補助具10は、隣り合う2組の取手部22間の距離が支持部21によって一定に保たれる。これにより、搬送補助具10の使用者は、隣り合う2組の取手部22間の距離を調整する必要がなく、シートの巻回体であるロールXを容易に取り扱うことができる。
【0034】
[第三実施形態]
図4に示す梱包体100は、梱包箱Yと、梱包箱Yに収納されるロールXと、梱包箱Y及びロールX間に介在させた2つの搬送補助具1とを備えている。また、梱包体100は、ロールXの両端と梱包箱Yとの間にロールXを支持するロール支持材Zを更に備えている。
【0035】
搬送補助具1が備えるシート体2の支持部21には、シート体2の折り曲げを容易にするための4つの切込部211が間隔Lで等間隔に設けられている。搬送補助具1は、これらの切込部211の位置において折り曲げ可能であり、梱包箱Yの上面側で2つの取手部22が重なるようにかつロールXを包むように略正方形に折り曲げられて梱包箱Y内に収納される。
【0036】
以上に説明した梱包体100は、上面を開放すると、使用者が搬送補助具1の取手部22を容易に把持することができるため、使用者が、梱包箱YからロールXを容易に取り出すことができるとともに、取り出したロールXを容易に取り扱うことができる。
【0037】
[その他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0038】
上記第一実施形態では、シート体2が2つの取手部22を有しているものについて説明したが、取手部22の数は2以上であればよい。また、上記第二実施形態では、シート体2が2つで1組となる取手部22を2組有しているものについて説明したが、取手部22の数は2組以上であればよい。
【0039】
上記実施形態では、取手部22が取手となる貫通孔221を有しているものについて説明したが、取手部22は、貫通孔221を有していなくてもよく、例えばシリコーン等の樹脂を固定することによって取手が設けられてもよい。
【0040】
上記実施形態では、支持部21が切込部211を有しているものについて説明したが、切込部211の数は任意に選択可能である。また、支持部21は切込部211を有していなくてもよい。
【0041】
上記第一実施形態では、搬送補助具1が、第1補強部材3、第2補強部材4及び滑り止め部材5を備えているものについて説明したが、搬送補助具1は、第1補強部材3、第2補強部材4及び滑り止め部材5を備えていなくてもよく、第1補強部材3、第2補強部材4及び滑り止め部材5の少なくともいずれかを備えるものであってもよく、第1補強部材3、第2補強部材4及び滑り止め部材5の少なくとも2つを備えるものであってもよい。
【0042】
上記第二実施形態では、搬送補助具10が、第1補強部材3及び第2補強部材4を備えているものについて説明したが、搬送補助具10は、第1補強部材3及び第2補強部材4を備えていなくてもよく、第1補強部材3又は第2補強部材4を備えるものであってもよい。また、搬送補助具10は、滑り止め部材5を備えていてもよい。
【0043】
上記第三実施形態では、梱包体100が2つの搬送補助具1を備えているものについて説明したが、梱包体100は1つの搬送補助具10を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,10 搬送補助具
2 シート体
21 支持部
211 切込部
212 連結部
22 取手部
221 貫通孔
3 第1補強部材
4 第2補強部材
5 滑り止め部材
100 梱包体
X ロール
Y 梱包箱
Z ロール支持材
図1
図2
図3
図4