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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】床施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20230307BHJP
   E04F 15/12 20060101ALI20230307BHJP
   E04F 15/14 20060101ALI20230307BHJP
   E04B 5/02 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
E04B1/94 K
E04F15/12 B
E04F15/14
E04B5/02 E
E04B1/94 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019070620
(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2020169463
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中西 祐季奈
(72)【発明者】
【氏名】花井 厚周
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-10603(JP,U)
【文献】特開2019-15053(JP,A)
【文献】特開2019-31787(JP,A)
【文献】特開昭62-197561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62- 1/99
E04F 15/00-15/22
E04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質床版と、少なくとも端部を残して前記木質床版の上面を被覆する第一耐火被覆材と、を有する床部材を、前記端部同士を隣り合わせて複数設置する床部材設置工程と、
隣り合う前記第一耐火被覆材の間に第二耐火被覆材を流し、隣り合う前記端部同士の上面を前記第二耐火被覆材によって耐火被覆する耐火被覆工程と、
を有する床施工方法。
【請求項2】
前記耐火被覆工程では、隣り合う前記端部同士の上面を接合部材で接合した後に、該上面を前記第二耐火被覆材で耐火被覆する、
請求項1に記載の床施工方法。
【請求項3】
前記木質床版には、前記木質床版の面内方向に前記第一耐火被覆材と係合するずれ止め部が設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の床施工方法。
【請求項4】
第一耐火被覆材及び前記第二耐火被覆材は、セルフレベリング材とされる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の床施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレキャストコンクリート板や仕上げ等によって、上面が耐火被覆された木質床版が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-078307号公報
【文献】特開2017-025524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現場において、複数の木質床版の上面にセルフレベリング材やコンクリート等を流し、これらのセルフレベリング材やコンクリート等によって木質床版の上面を耐火被覆することが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記の場合、型枠の仮設や撤去が必要となるため、施工に手間がかかる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、現場において、複数の木質床版の上面を耐火被覆する際の施工性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の床施工方法は、木質床版と、少なくとも端部を残して前記木質床版の上面を被覆する第一耐火被覆材と、を有する床部材を、前記端部同士を隣り合わせて複数設置する床部材設置工程と、隣り合う前記第一耐火被覆材の間に第二耐火被覆材を流し、隣り合う前記端部同士の上面を前記第二耐火被覆材によって耐火被覆する耐火被覆工程と、を有する。
【0008】
請求項1に係る床施工方法によれば、床部材設置工程と、耐火被覆工程とを備える。床部材設置工程では、木質床版と、少なくとも端部を残して木質床版の上面を被覆する第一耐火被覆材と、を有する床部材を、端部同士を隣り合わせて複数設置する。
【0009】
耐火被覆工程では、隣り合う第一耐火被覆材の間に第二耐火被覆材を流し、隣り合う端部同士の上面を第二耐火被覆材によって耐火被覆する。この際、第一耐火被覆材が、第二耐火被覆材の型枠として機能する。そのため、型枠の仮設や撤去作業が低減される。したがって、施工性が向上する。
【0010】
請求項2に記載の床施工方法は、請求項1に記載の床施工方法において、前記耐火被覆工程では、隣り合う前記端部同士の上面を接合部材で接合した後に、該上面を前記第二耐火被覆材で耐火被覆する。
【0011】
請求項2に係る床施工方法によれば、耐火被覆工程では、隣り合う木質床版の端部同士の上面を接合部材で接合した後に、これらの上面に第二耐火被覆材を流して耐火被覆する。これにより、隣り合う木質床版の端部の上面、及び接合部材が第二耐火被覆材によって耐火被覆される。したがって、床部材の耐火性能が向上する。
【0012】
請求項3に記載の床施工方法は、請求項1又は請求項2に記載の床施工方法において、前記木質床版には、前記木質床版の面内方向に前記第一耐火被覆材と係合するずれ止め部が設けられる。
【0013】
請求項3に係る床施工方法によれば、木質床版には、ずれ止め部が設けられる。ずれ止め部は、木質床版の面内方向に、第一耐火被覆材と係合する。これにより、木質床版に対する第一耐火被覆材のずれが抑制される。
【0014】
請求項4に記載の床施工方法は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の床施工方法において、第一耐火被覆材及び前記第二耐火被覆材は、セルフレベリング材とされる。
【0015】
請求項4に係る床施工方法によれば、第一耐火被覆材及び第二耐火被覆材は、セルフレベリング材とされる。
【0016】
ここで、セルフレベリング材は、流動性が高い。そのため、木質床版の上面に第一耐火被覆材及び第二耐火被覆材としてのセルフレベリング材を流すことにより、平滑面を容易に形成することができる。したがって、第一耐火被覆材及び第二耐火被覆材の施工性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る床施工方法によれば、現場において、複数の木質床版の上面を耐火被覆する際の施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る床施工方法によって施工された床を示す平面図である。
図2図1の2-2線断面図である。
図3】隣り合う木質床版の端部同士を接合板を介して接合する前の状態を示す図2に対応する断面図である。
図4図3に示される床部材を斜め上側から見た斜視図である。
図5】一実施形態に係る床施工方法の変形例が適用された床部材を示す縦断面図である。
図6】一実施形態に係る床施工方法の変形例が適用された床部材を示す縦断面図である。
図7】一実施形態に係る床施工方法の変形例が適用された床部材を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る床施工方法について説明する。
【0020】
図1には、本実施形態に係る床施工方法によって施工された床10が示されている。床10は、一対の梁12に架設されている。一対の梁12は、所定方向に互いに対向して配置されている。なお、一対の梁12は、木造や、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造とされる。
【0021】
床10は、複数の床部材20と、隣り合う床部材20の端部同士を接合する接合板40と、隣り合う床部材20の端部同士、及び接合板40を耐火被覆する第二セメント系耐火被覆材60とを備えている。
【0022】
なお、第一セメント系耐火被覆材50は、第一耐火被覆材の一例であり、第二セメント系耐火被覆材60は、第二耐火被覆材の一例である。
【0023】
床部材20は、木質床版22と、第一セメント系耐火被覆材50とを有している。木質床版22は、例えば、CLT(Cross Laminated Timber)や、LVL(Laminated Veneer Lumber)、集成材、合板、無垢材等の木質面材によって形成されている。
【0024】
また、木質床版22は、平面視にて、矩形状に形成されている。この木質床版22は、一対の梁12に架設されている。より具体的には、木質床版22は、その長手方向を一対の梁12の対向方向として配置されており、長手方向の両端部が一対の梁12の上に載置された状態で接合されている。
【0025】
複数の木質床版22は、各々の短手方向に隣り合って配置されている。換言すると、複数の木質床版22は、一対の梁12の長手方向に隣り合って配置されている。隣り合う木質床版22の端部22E同士は、接合板40を介してスプライン接合されている。
【0026】
具体的には、図2及び図3に示されるように、隣り合う木質床版22の端部(接合端部)22Eの上面22U1には、溝部30が形成されている。溝部30は、隣り合う木質床版22の端部22Eに亘って形成されている。また、溝部30は、木質床版22の上面22U1を開口する断面U字形状(断面C字形状)に形成されている。この溝部30は、底面30Lと、一対の内側面30Sとを有している。また、溝部30は、木質床版22の端部22Eの一端側から他端側に亘っている。
【0027】
溝部30は、隣り合う木質床版22の端部22Eに形成された切欠き部32を組み合わせることにより形成されている。図4に示されるように、切欠き部32は、各木質床版22の端部22Eに沿って形成されている。また、切欠き部32は、木質床版22の上面22U1及び端面22Tを開口する断面L字形状に形成されている。
【0028】
図2に示されるように、溝部30には、接合板40が嵌め込まれている。接合板40は、木質床版22と同様に、CLTや、LVL、集成材、合板、無垢材等の木質面材によって形成されている。また、接合板40は、溝部30に沿った長方形状に形成されている。この接合板40の幅は、溝部30の溝幅と略同じとされている。これにより、溝部30に接合板40が嵌め込まれている。
【0029】
接合板40の厚みは、溝部30の深さと略同じとされている。これにより、溝部30に接合板40を嵌め込んだ状態で、接合板40の上面40Uと木質床版22の上面22U1とが略面一となる。また、接合板40は、隣り合う木質床版22の端部22Eにビス42によってそれぞれ固定されている。ビス42は、接合板40の長手方向に間隔を空けて複数設けられている。この接合板40を介して、隣り合う木質床版22の端部22E同士がせん断力を伝達可能に接合されている。
【0030】
なお、接合板40は、ビス42に限らず、接着剤等によって木質床版22に接合されても良い。また、接合板40の上面40Uは、木質床版22の上面22U1と略面一に限らず、木質床版22の上面22U1の上側又は下側に配置されても良い。また、接合板40は、接合部材の一例である。
【0031】
図3に示されるように、木質床版22の上面22Uは、端部22Eを残して第一セメント系耐火被覆材50によって耐火被覆されている。換言すると、木質床版22の端部22E以外の上面22U2は、第一セメント系耐火被覆材50によって耐火被覆されている。
【0032】
第一セメント系耐火被覆材50は、セメントを含有するセルフレベリング材や、コンクリート、グラウト、モルタル等によって形成されている。この第一セメント系耐火被覆材50は、例えば、工場等において木質床版22の上面22U2に一体に設けられている。
【0033】
具体的には、先ず、木質床版22の上面22U2を取り囲む図示しない型枠を仮設する。次に、型枠内に、硬化前のセルフレベリング材等を流し込み、硬化させる。その後、型枠を撤去する。これにより、木質床版22の上面22U2を耐火被覆する第一セメント系耐火被覆材50が形成される。
【0034】
なお、木質床版22とは別に、板状に硬化させた第一セメント系耐火被覆材50を形成し、この第一セメント系耐火被覆材50を木質床版22の上面22U2に重ねた状態で接着剤等によって接合しても良い。
【0035】
図2に示されるように、隣り合う木質床版22の端部22E同士、及び接合板40は、第二セメント系耐火被覆材60によって耐火被覆されている。第二セメント系耐火被覆材60は、第一セメント系耐火被覆材50と同様に、セメントを含有するセルフレベリング材や、コンクリート、グラウト、モルタル等によって形成されている。
【0036】
第二セメント系耐火被覆材60は、隣り合う第一セメント系耐火被覆材50の端面50T間に、硬化前のセフルレベリング材等を流し込み、硬化させることにより形成されている。この際、隣り合う第一セメント系耐火被覆材50の長手方向両端側の開口は、図示しない型枠等によって適宜塞いでおく。
【0037】
なお、本実施形態では、第二セメント系耐火被覆材60と第一セメント系耐火被覆材50とが同種のセメント系耐火被覆材によって形成されている。しかしながら、第二セメント系耐火被覆材60と第一セメント系耐火被覆材50とは、異なるセメント系耐火被覆材によって形成されても良い。
【0038】
(床施工方法)
次に、本実施形態に係る床施工方法の一例について説明する。
【0039】
(床部材設置工程)
先ず、床部材設置工程について説明する。床部材設置工程では、複数の床部材20を一対の梁12(図1参照)にそれぞれ架設するとともに、一対の梁12の長手方向に隙間なく並べる。そして、複数の床部材20を、一対の梁12の長手方向に隣り合わせた状態で設置する。
【0040】
より具体的には、図3に示されるように、木質床版22の端部22E同士を隣り合わせた状態で、複数の床部材20を設置する。そして、隣り合う木質床版22の端面22T同士を接触させる。この際、隣り合う木質床版22の端部22Eに形成された切欠き部32を組み合わせ、溝部30を形成する。
【0041】
(耐火被覆工程)
次に、耐火被覆工程について説明する。耐火被覆工程では、先ず、隣り合う木質床版22の端部22E同士を、接合板40を介して接合する。具体的には、隣り合う木質床版22の端部22Eに亘って形成された溝部30に接合板40を嵌め込む。この状態で、複数のビス42によって、隣り合う木質床版22の端部22Eに接合板40をそれぞれ固定する。これにより、隣り合う木質床版22の端部22E同士が、接合板40を介して接合される。
【0042】
次に、隣り合う第一セメント系耐火被覆材50の端面50T間に、硬化前の第二セメント系耐火被覆材60を流し、硬化させる。この際、隣り合う第一セメント系耐火被覆材50の長手方向両端側の開口は、図示しない型枠等によって適宜塞いでおく。これにより、第二セメント系耐火被覆材60によって、隣り合う木質床版22の端部22Eの上面22U1、及び接合板40の上面40Uが耐火被覆される。
【0043】
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0044】
前述したように、本実施形態に係る床施工方法によれば、床部材設置工程と、耐火被覆工程とを備えている。床部材設置工程では、複数の床部材20を、各々の木質床版22の端部22E同士を隣り合わせた状態で設置する。
【0045】
次に、耐火被覆工程では、隣り合う木質床版22の端部22E同士の上面22U1を、接合板40を介して接合する。この状態で、隣り合う第一セメント系耐火被覆材50の端面50T間に、硬化前の第二セメント系耐火被覆材60を流し、硬化させる。これにより、隣り合う木質床版22の端部22E同士の上面22U1、及び接合板40の上面40Uが、第二セメント系耐火被覆材60によって耐火被覆される。
【0046】
ここで、本実施形態では、木質床版22の端部22E以外の上面22U2が、工場等において、第一セメント系耐火被覆材50によって予め耐火被覆されている。これにより、現場における第二セメント系耐火被覆材60の施工範囲が狭くなる。したがって、第二セメント系耐火被覆材60の施工性が向上する。
【0047】
また、第一セメント系耐火被覆材50は、第二セメント系耐火被覆材60の型枠として機能する。そのため、第二セメント系耐火被覆材60用の型枠の仮設や撤去作業が低減される。したがって、第二セメント系耐火被覆材60の施工性がさらに向上する。
【0048】
このように本実施形態に係る床施工方法によれば、現場において、複数の木質床版22の上面22U(上面22U1)を耐火被覆する際の施工性を向上することができる。
【0049】
また、現場において、隣り合う木質床版22の端部22E同士の上面22U1を第二セメント系耐火被覆材60によって耐火被覆することにより、隣り合う木質床版22の端部22Eの隙間(目地)を第二セメント系耐火被覆材60によって塞ぐことができる。したがって、木質床版22の耐火性能が向上する。
【0050】
さらに、木質床版22の上面22U(上面22U2)には、工場等において、端部22Eを残して第一セメント系耐火被覆材50が設けられている。そのため、現場において、隣り合う木質床版22の端部22E同士の上面22U1を、接合板40を介して接合することができる。また、接合板40の上面40Uを第二セメント系耐火被覆材60によって耐火被覆することができる。したがって、木質床版22の耐火性能がさらに向上する。
【0051】
しかも、第二セメント系耐火被覆材60にセルフレベリング材を用いることにより、第二セメント系耐火被覆材60の施工性が向上する。具体的には、セルフレベリング材は、流動性が高い。そのため、第二セメント系耐火被覆材60にセルフレベリング材を用いることにより、現場において、平滑面を容易に形成することができる。したがって、第二セメント系耐火被覆材60の施工性が向上する。
【0052】
また、第一セメント系耐火被覆材50にセルフレベリング材を用いることにより、床部材20の製造性も向上する。さらに、第一セメント系耐火被覆材50及び第二セメント系耐火被覆材60に同種のセメント系耐火被覆材を用いることにより、第一セメント系耐火被覆材50及び第二セメント系耐火被覆材60の一体性及び意匠性を高めることができる。
【0053】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0054】
図5に示される変形例では、木質床版22に、ずれ止め部としての複数のビス70が設けられている。複数のビス70は、第一セメント系耐火被覆材50の上から木質床版22に打ち込まれている。これらのビス70によって、第一セメント系耐火被覆材50が、木質床版22の上面22U2に固定されている。また、複数のビス70は、木質床版22の面内方向に第一セメント系耐火被覆材50と係合する。これにより、木質床版22に対する第一セメント系耐火被覆材50のずれが抑制される。
【0055】
次に、図6に示される変形例では、木質床版22の上面22U2に、ずれ止め部としての複数の凹部80が形成されている。複数の凹部80は、木質床版22の上面22U2を開口する断面U字形状(断面C字形状)に形成されている。また、複数の凹部80は、木質床版22の所定方向に延びる溝状に形成されている。このように複数の凹部80に形成された木質床版22の上面22U2に、第一セメント系耐火被覆材50が設けられている。
【0056】
第一セメント系耐火被覆材50は、例えば、木質床版22の上面22U2に硬化前のセメント系耐火被覆材を流し込み、硬化させることにより形成されている。この第一セメント系耐火被覆材50の下面には、複数の凹部80に嵌め込まれる複数の凸部82が形成されている。これらの凸部82と複数の凹部80とは、木質床版22の面内方向に係合されている。これにより、木質床版22に対する第一セメント系耐火被覆材50のずれが抑制される。
【0057】
次に、図7に示される変形例では、木質床版22の上面22U2に、コンクリート90を介して第一セメント系耐火被覆材50が設けられている。換言すると、木質床版22の上面22U2には、コンクリート90及び第一セメント系耐火被覆材50が積層されている。これにより、木質床版22の耐火性能が高められる。さらに、コンクリート90によって木質床版22の重量が大きくなる。この結果、木質床版22の振動が低減される。
【0058】
なお、図7に示される変形例では、木質床版22の上にコンクリート90を介して第一セメント系耐火被覆材50が設けられている。しかしながら、木質床版22の上には、第一セメント系耐火被覆材50を介してコンクリート90が設けられても良い。
【0059】
また、上記実施形態では、隣り合う木質床版22の端部22E同士の上面22U1が接合板40を介して接合されている。しかしながら、隣り合う木質床版22の端部22E同士の下面や側面(側端面)を、接合板40等の接合部材を介して接合しても良い。
【0060】
また、上記実施形態では、接合部材が接合板40とされている。しかしながら、接合部材は、例えば、接合金物や接着剤等とされても良い。さらに、隣り合う木質床版22の端部22E同士は、必ずしも接合する必要はない。
【0061】
また、上記実施形態では、複数の木質床版22が短手方向に隣り合って設置されている。しかしながら、複数の木質床版22は、長手方向に隣り合って設置されても良い。この場合、木質床版22の上面は、例えば、木質床版22の長手方向の端部を残して、第一セメント系耐火被覆材50によって耐火被覆される。
【0062】
また、複数の木質床版22は、短手方向及び長手方向に隣り合って設置されても良い。この場合、木質床版22の上面は、例えば、木質床版22の短手方向の端部、及び長手方向の端部を残して、第一セメント系耐火被覆材50によって耐火被覆される。
【0063】
また、上記実施形態では、木質床版22の上面22U2が、全面に亘って第一セメント系耐火被覆材50によって耐火被覆されている。しかしながら、木質床版22の上面22U2には、第一セメント系耐火被覆材50によって部分的に耐火被覆されない領域があっても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、第一耐火被覆材が、第一セメント系耐火被覆材50とされている。しかしながら、第一耐火被覆材は、例えば、石こうボードやけい酸カルシウムボード等の耐火ボードであっても良い。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
20 床部材
22 木質床版
22E 端部(隣り合う木質床版の端部)
22U 上面(木質床版の上面)
22U1 上面(隣り合う木質床版の端部同士の上面)
40 接合板(接合部材)
50 第一セメント系耐火被覆材(第一系耐火被覆材)
60 第二セメント系耐火被覆材(第二系耐火被覆材)
70 ビス(ずれ止め部)
80 凹部(ずれ止め部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7