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特許7239148画像処理装置、パズル遊技システム、画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】画像処理装置、パズル遊技システム、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/655 20140101AFI20230307BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20230307BHJP
【FI】
A63F13/655
A63F13/80 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018217845
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2020081187
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 達也
(72)【発明者】
【氏名】岩田 秀
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-068470(JP,A)
【文献】特開2005-108207(JP,A)
【文献】特開2001-005977(JP,A)
【文献】特開2014-006604(JP,A)
【文献】特開平08-098956(JP,A)
【文献】特開2010-179091(JP,A)
【文献】介護施設における認知機能訓練用Webアプリケーションの開発,電子情報通信学会2018年総合大会講演論文集 基礎・境界/NOLTA,2018年03月06日,P191
【文献】顔画像パズルを用いた認知機能訓練アプリケーションの開発,電子情報通信学会2018年基礎・境界ソサイエティ/NOLTAソサイエティ大会講演論文集,2018年08月28日,P166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔を有する対象物が写った対象画像において、前記顔の推定中心点と前記顔の輪郭部の位置とを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記推定中心点と前記輪郭部の所定位置における基準輪郭点とに基づき、前記基準輪郭点を領域内に含むとともに前記推定中心点を中心とした矩形であって、前記推定中心点と前記基準輪郭点とを通る直線と一対の辺が交差する矩形を算出し、算出した前記矩形に基づく矩形領域を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記矩形領域で前記対象画像を切り出した画像である顔画像を取得する取得手段と、を備え
前記検出手段は、前記対象画像の色情報を用いず、前記対象画像の輝度情報に基づいて前記推定中心点と前記輪郭部の位置とを検出する、
画像処理装置
【請求項2】
前記決定手段が算出する前記矩形は、前記一対の辺が前記対象画像における水平方向に平行となる、又は、前記一対の辺が前記直線と直交する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記推定中心点を中心として前記基準輪郭点を90°ずつ回転した3点を算出し、前記基準輪郭点と前記3点との各々が辺の中点となる正方形を算出し、算出した前記正方形に基づき、前記矩形を算出する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記正方形が内接する前記矩形を算出する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記推定中心点から前記顔の左側の輪郭部までの距離と、前記推定中心点から前記顔の右側の輪郭部までの距離との比を算出し、
前記矩形における前記顔の左右方向を前記比で内分する位置に前記推定中心点が位置するように前記矩形を調整することで前記矩形領域を決定する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記対象物は人物であり、
前記推定中心点は、前記顔の眉間の位置を示し、
前記基準輪郭点は、前記顔の顎先の位置を示す、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記顔画像を、矩形の小領域で複数分割した上でパズル化したパズル画像を生成する生成手段を備える、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像を表示する表示手段の表示制御を行う表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示した前記パズル画像が遊技者に認識されていないと特定した場合には前記パズル画像に代えて前記顔画像を前記表示手段に表示する、
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置とネットワークを介して通信し、前記画像処理装置によって提供されるウェブアプリケーションを実行するウェブブラウザを有する端末装置と、を備え、
前記ウェブアプリケーションは、前記端末装置から前記対象画像の選択を受け付けたことに応じて、選択された前記対象画像の前記パズル画像を前記画像処理装置に生成させ、生成された前記パズル画像を前記端末装置に表示する、
パズル遊技システム。
【請求項10】
顔を有する対象物が写った対象画像において、前記顔の推定中心点と前記顔の輪郭部の位置とを検出する検出ステップと、
検出した前記推定中心点と前記輪郭部の所定位置における基準輪郭点とに基づき、前記基準輪郭点を領域内に含むとともに前記推定中心点を中心とした矩形であって、前記推定中心点と前記基準輪郭点とを通る直線と一対の辺が交差する矩形を算出し、算出した前記矩形に基づく矩形領域を決定するステップと、
決定した前記矩形領域で前記対象画像を切り出した画像である顔画像を取得するステップと、を備え
前記検出ステップでは、前記対象画像の色情報を用いず、前記対象画像の輝度情報に基づいて前記推定中心点と前記輪郭部の位置とを検出する、
画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
顔を有する対象物が写った対象画像において、前記顔の推定中心点と前記顔の輪郭部の位置とを検出する検出手段、
前記検出手段によって検出された前記推定中心点と前記輪郭部の所定位置における基準輪郭点とに基づき、前記基準輪郭点を領域内に含むとともに前記推定中心点を中心とした矩形であって、前記推定中心点と前記基準輪郭点とを通る直線と一対の辺が交差する矩形を算出し、算出した前記矩形に基づく矩形領域を決定する決定手段、
前記決定手段によって決定された前記矩形領域で前記対象画像を切り出した画像である顔画像を取得する取得手段、として機能させ
前記検出手段は、前記対象画像の色情報を用いず、前記対象画像の輝度情報に基づいて前記推定中心点と前記輪郭部の位置とを検出する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、パズル遊技システム、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像画像から特定の領域を切り出す手法が知られている。例えば、特許文献1は、パズル画像を生成するために、撮像画像から予め設定された所定領域を切り出し、切り出した画像をパズル化する手法を開示している。また、非特許文献1は、人物の顔が写った撮像画像の色情報に基づき顔領域を検出し、撮像画像から顔領域を切り出した顔領域画像を得る手法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-251006号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】武岡さおり、尾崎正弘、川田博美、足達義則、「学習者認識のための顔画像検出と顔の向き認識の基礎的実験」、名古屋女子大学紀要、第49号(人文・社会編)、p.129-136、2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、画像処理によって対象物の顔が写った対象画像から当該顔の領域を主に切り出した画像(以下、顔画像と言う。)を得たい場合、特許文献1に開示された手法では、切り出し領域が予め設定された領域であるため、切り出し対象となる対象画像の態様(例えば、対象画像内における顔の位置)によっては、顔画像を取得することが困難である。また、非特許文献1に開示された手法では、顔領域を検出するために予め色情報のパラメータを設定しておく煩雑さが生じるとともに、対象画像における顔の色や背景の色によっては良好な精度で顔画像を取得することができない場合がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易に、良好な精度で対象画像から顔画像を取得することができる画像処理装置、パズル遊技システム、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、
顔を有する対象物が写った対象画像において、前記顔の推定中心点と前記顔の輪郭部の位置とを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記推定中心点と前記輪郭部の所定位置における基準輪郭点とに基づき、前記基準輪郭点を領域内に含むとともに前記推定中心点を中心とした矩形であって、前記推定中心点と前記基準輪郭点とを通る直線と一対の辺が交差する矩形を算出し、算出した前記矩形に基づく矩形領域を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記矩形領域で前記対象画像を切り出した画像である顔画像を取得する取得手段と、を備え
前記検出手段は、前記対象画像の色情報を用いず、前記対象画像の輝度情報に基づいて前記推定中心点と前記輪郭部の位置とを検出する。
【0008】
前記決定手段が算出する前記矩形は、前記一対の辺が前記対象画像における水平方向に平行となる、又は、前記一対の辺が前記直線と直交する、ようにしてもよい。
【0009】
前記決定手段は、前記推定中心点を中心として前記基準輪郭点を90°ずつ回転した3点を算出し、前記基準輪郭点と前記3点との各々が辺の中点となる正方形を算出し、算出した前記正方形に基づき、前記矩形を算出する、ようにしてもよい。
【0010】
前記決定手段は、前記正方形が内接する前記矩形を算出する、ようにしてもよい。
【0011】
前記決定手段は、前記推定中心点から前記顔の左側の輪郭部までの距離と、前記推定中心点から前記顔の右側の輪郭部までの距離との比を算出し、
前記矩形における前記顔の左右方向を前記比で内分する位置に前記推定中心点が位置するように前記矩形を調整することで前記矩形領域を決定する、ようにしてもよい。
【0013】
前記対象物は人物であり、
前記推定中心点は、前記顔の眉間の位置を示し、
前記基準輪郭点は、前記顔の顎先の位置を示す、ようにしてもよい。
【0014】
前記画像処理装置は、前記顔画像を、矩形の小領域で複数分割した上でパズル化したパズル画像を生成する生成手段を備える、ようにしてもよい。
【0015】
前記画像処理装置は、画像を表示する表示手段の表示制御を行う表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示した前記パズル画像が遊技者に認識されていないと特定した場合には前記パズル画像に代えて前記顔画像を前記表示手段に表示する、ようにしてもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るパズル遊技システムは、
前記画像処理装置と、
前記画像処理装置とネットワークを介して通信し、前記画像処理装置によって提供されるウェブアプリケーションを実行するウェブブラウザを有する端末装置と、を備え、
前記ウェブアプリケーションは、前記端末装置から前記対象画像の選択を受け付けたことに応じて、選択された前記対象画像の前記パズル画像を前記画像処理装置に生成させ、生成された前記パズル画像を前記端末装置に表示する。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る画像処理方法は、
顔を有する対象物が写った対象画像において、前記顔の推定中心点と前記顔の輪郭部の位置とを検出する検出ステップと、
検出した前記推定中心点と前記輪郭部の所定位置における基準輪郭点とに基づき、前記基準輪郭点を領域内に含むとともに前記推定中心点を中心とした矩形であって、前記推定中心点と前記基準輪郭点とを通る直線と一対の辺が交差する矩形を算出し、算出した前記矩形に基づく矩形領域を決定するステップと、
決定した前記矩形領域で前記対象画像を切り出した画像である顔画像を取得するステップと、を備え
前記検出ステップでは、前記対象画像の色情報を用いず、前記対象画像の輝度情報に基づいて前記推定中心点と前記輪郭部の位置とを検出する。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
顔を有する対象物が写った対象画像において、前記顔の推定中心点と前記顔の輪郭部の位置とを検出する検出手段、
前記検出手段によって検出された前記推定中心点と前記輪郭部の所定位置における基準輪郭点とに基づき、前記基準輪郭点を領域内に含むとともに前記推定中心点を中心とした矩形であって、前記推定中心点と前記基準輪郭点とを通る直線と一対の辺が交差する矩形を算出し、算出した前記矩形に基づく矩形領域を決定する決定手段、
前記決定手段によって決定された前記矩形領域で前記対象画像を切り出した画像である顔画像を取得する取得手段、として機能させ
前記検出手段は、前記対象画像の色情報を用いず、前記対象画像の輝度情報に基づいて前記推定中心点と前記輪郭部の位置とを検出する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡易に、良好な精度で対象画像から顔画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るパズル遊技実行処理を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態に係る顔画像取得処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るパズル画像生成処理を示すフローチャートである。
図5】(a)~(c)は、顔画像取得処理を説明するための模式図である。
図6】(a)及び(b)は、顔画像取得処理を説明するための模式図である。
図7】(a)~(c)は、パズル画像生成処理を説明するための模式図である。
図8】GUI画像の一例を示す図である。
図9】(a)及び(b)は、従来例と実施例との顔画像の切り出し成功率を示す図である。
図10】変形例に係るパズル遊技システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示す画像処理装置100は、パズル化された画像を遊技者に提示し、遊技者がパズル化前の元画像を認識できるかを試す遊技(以下、パズル遊技と言う。)を行うためのものである。パズル遊技は、例えば、ケアホームやグループホーム(以下、支援施設と言う。)において、遊技者としての入居者(要介護者)の認識機能訓練のために行われる。
【0023】
画像処理装置100は、例えばパーソナルコンピュータから構成され、制御部10と、記憶部20と、操作部40と、表示部50とを備える。
【0024】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、記憶部20に格納されている動作プログラムを実行して、画像処理装置100の各部の動作を制御する。また、制御部10は、図5(a)に示すように、被写体として人物2が写った矩形の静止画である対象画像3に対し、後述の画像処理を実行する。なお、制御部10は、対象画像3を、図示しないI/F(インターフェース)を介して撮像装置200から取得することが可能となっている。また、制御部10は、後述のように、機能部として、特徴量検出部11と、領域決定部12と、顔画像取得部13と、パズル画像生成部14と、表示制御部15とを備える。
【0025】
記憶部20は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部20のROMには、各種の動作プログラム(後述のパズル遊技実行処理を実行するためのプログラムPGを含む)のデータなどが予め記憶されている。記憶部20のRAMは、各種演算結果を示すデータや、外部装置から取得した対象画像3の画像データなどを一時的に記憶する。なお、画像処理対象となる対象画像3の画像データは、予めROMに記憶されていてもよい。
【0026】
操作部40は、ユーザの操作に応答して操作内容を示す信号を制御部10に供給する。操作部40は、例えば、キーボード、タッチパネル等のポインティングデバイスから構成されている。なお、操作者は限定されるものではないが、例えば、支援施設の職員等であればよい。
【0027】
例えば、操作者は、操作部40を用いて、図8に示すGUI(Graphical User Interface)画像6の項目を選択することにより、後述のパズル遊技実行処理における各種操作が可能となっている。GUI画像6を用いた操作としては、パズル化する対象画像3を選択するファイル選択操作や、パズル遊技を行う際のパズル画像5(図7(c)参照)のマス数を選択するマス数選択操作、パズル遊技の遊技者がパズル化された像の対象物を認識できなかった場合にマス数を減らして、パズル難易度を低くするための、「やさしく」選択操作や、パズル遊技の正解として顔画像4(図7(a)参照)を表示するための、「正解表示」操作などが予め設定されている。なお、GUI画像6を用いた送信操作については後の変形例で述べる。その他、操作者は、操作部40を操作することで、後述のパズル遊技実行処理の開始操作や終了操作を行うことが可能となっている。
【0028】
表示部50は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)等から構成され、制御部10の制御の下で所定の画像を表示する。例えば、表示部50は、対象画像3、顔画像4、パズル画像5、GUI画像6などを表示する。なお、表示部50は、遊技者である支援施設の入居者が複数人でパズル遊技を楽しめるように、プロジェクタにより画像が投影されるスクリーンを含んでいてもよい。
【0029】
撮像装置200は、デジタルカメラから構成され、例えば、複数のレンズと、CCD(Charged Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、シャッターと、撮像装置200の動作を制御する撮像制御部とを含む。この実施形態では、撮像装置200は、被写体として人物2を撮像し、当該撮像画像としての対象画像3の画像データを前記I/Fを介して制御部10に送信することが可能となっている。なお、画像処理装置100は、撮像装置200を備えていてもよい。
【0030】
パズル遊技システムの構成は以上である。続いて、制御部10が実行するパズル遊技実行処理を、制御部10の各機能部の説明と併せて説明する。図2は、パズル遊技実行処理のフローチャートである。
【0031】
(パズル遊技実行処理)
パズル遊技実行処理の開始指示を受け付けると、制御部10は、表示部50に図8に示すGUI画像6を表示し、パズル化する対象画像3と、パズル化の際のマス数n(nは2以上の自然数)とを操作者に選択させる(ステップS101)。なお、この実施形態では、マス数nは、最大値がn=5に設定されているが、2以上の自然数であれば任意に変更することができる。また、選択対象の複数の対象画像3は、記憶部20から読み込まれる。
【0032】
前述のファイル選択操作によりパズル化する対象の対象画像3が選択され、且つ、マス数選択操作によりマス数が選択されると、制御部10は、顔画像取得処理を実行する(ステップS200)。顔画像取得処理では、図3に示すように、まず、ステップS101で選択された対象画像3から顔2aの特徴点を検出する(ステップS201)。制御部10は、特徴量検出部11としての機能で特徴点を検出する。
【0033】
特徴量検出部11は、顔2aの推定中心点と、顔2aの輪郭部の位置とを検出する。例えば、特徴量検出部11は、対象画像3をグレースケールで読み込み、読み込んだ対象画像3におけるHOG(Histogram of Oriented Gradients)特徴量を算出する。具体的には、特徴量検出部11は、対象画像3を構成する各部毎に輝度の変化方向(勾配方向)及び輝度の差(勾配強度)をベクトルとして算出し、ベクトルのヒストグラムに基づいて、顔2aの特徴を検出する。特徴量検出部11は、HOG特徴量に基づいて両目又は両眉の領域を検出し、検出した両目又は両眉の重心座標を点P0(推定中心点)として決定する。また、特徴量検出部11は、HOG特徴量に基づいて顔2aの輪郭部の位置を検出し、検出した輪郭部の下端、つまり、顎先の座標を点P1(基準輪郭点)として決定する。以上のように、特徴量検出部11は、対象画像3のHOG特徴量と、人物の顔2aの対称性とを用いて、顔2aの眉間位置を示す点P0と、顔2aの顎先位置を示す点P1とを決定する。なお、特徴量検出部11は、公知の手法であるSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)特徴量を用いた形状回帰モデルを用い、グレースケール化した対象画像3におけるピクセル間の差分に基づき、点P0(推定中心点)と、顔2aの顎先位置を示す点P1(基準輪郭点)とを決定してもよい。また、特徴量の検出精度は、例えば、OpenCV(Open Source Computer Vision Library)で利用可能なSVM(Support Vector Machine)を用いて適宜又は予め高めることができる。
【0034】
ステップS202~S207の処理は、制御部10の領域決定部12としての機能で実行される。ステップS202で、領域決定部12は、特徴量検出部11が決定した点P0と点P1との間のユークリッド距離rを算出する。
【0035】
続いて、領域決定部12は、図5(b)に示すように、点P0から距離rの位置にあり、且つ、点P0を中心に点P1を90°ずつ回転させた3点(P2、P3、P4)の座標を算出する(ステップS203)。図示例では、点P0を中心とした回転角の増加方向を反時計周りとすると、点P2は点P1から90°、点P3は点P1から180°、点P4は点P1から270°回転させたものとなっている。
【0036】
続いて、領域決定部12は、点P1、P2、P3、P4の各々が辺の中点となる正方形である第1正方形S1を算出する(ステップS204)。
【0037】
続いて、領域決定部12は、図5(c)に示すように、第1正方形S1が内接する正方形であって、一対の辺(同図における上下の辺)が対象画像3における水平方向(同図における左右方向)と平行となる第2正方形S2を算出する(ステップS205)。
【0038】
続いて、領域決定部12は、図6(a)に示すように、対象画像3における水平方向に延びて点P0を通る水平直線Hと、ステップS201で特徴量検出部11が検出した顔2aの輪郭部の位置との交点である点PL、PRの座標を求める。このように求めた点PLは、顔2aの左側の輪郭部に位置し、点PRは、顔2aの左側の輪郭部に位置することになる。そして、領域決定部12は、点P0から点PLまでの距離LWと点P0から点PRまでの距離RWとの比(LW:RW)を算出する(ステップS206)。
【0039】
続いて、領域決定部12は、第2正方形S2の左右方向の幅を比(LW:RW)で内分する位置に点P0が位置するように、第2正方形S2を調整(水平方向に移動)した第3正方形S3を求め、当該第3正方形S3が示す領域を、切り出し領域Rcとして決定する(ステップS207)。
【0040】
以上のように、領域決定部12は、点P0(推定中心点)と点P1(基準輪郭点)とに基づき、点P1を領域内に含むとともに点P0を中心とした第2正方形S2(矩形の一例)であって、一対の辺が対象画像3における水平方向と平行となる第2正方形S2を算出し、算出した第2正方形S2に基づく切り出し領域Rc(矩形領域の一例)を決定する。
【0041】
続く、ステップS208では、制御部10は、顔画像取得部13としての機能で、切り出し領域Rcで対象画像3を切り出した画像である、図6(b)に示す顔画像4を取得し(ステップS208)、記憶部20に記憶させる。
【0042】
以上の顔画像取得処理(ステップS200)に続いて、制御部10は、パズル画像生成部14としての機能で、パズル画像生成処理を実行する(ステップS300)。パズル画像生成処理では、図4に示すように、まず、マス数nを5に設定する(ステップS301)。
【0043】
続いて、パズル画像生成部14は、記憶部20に記憶された顔画像4を読み込み(ステップS302)、図7(a)に示すように、n×n個の正方形の小画像4aに分割する(ステップS303)。なお、図7(a)は、n=3の例を示している。
【0044】
続いて、パズル画像生成部14は、図7(b)に示すように、各小画像4aをランダムにi(i=0,1,2,3)×90°回転させる(ステップS304)。つまり、各小画像4aは、分割時の状態から、0°、90°、180°、270°のいずれかの回転角で回転される。また、パズル画像生成部14は、各小画像4aをランダムに回転させるのと併せて、各小画像4aの配置もランダムに変更する。
【0045】
続いて、パズル画像生成部14は、ステップS304の処理後の各小画像4aを組み合わせた画像である、図7(c)に示すパズル画像5を生成する(ステップS305)。
【0046】
続いて、パズル画像生成部14は、生成したパズル画像5の画像データを、記憶部20に記憶する(ステップS306)。
【0047】
続いて、パズル画像生成部14は、マス数nを1減算し(ステップS307)、マス数n=1であるか否かを判別する(ステップS308)。マス数n=1でない場合(ステップS308;No)、パズル画像生成部14は、処理をステップS302に戻す。一方、マス数n=1である場合(ステップS308;Yes)、パズル画像生成処理を終了する。これにより、マス数n=5、4、3、2の各場合におけるパズル画像5が生成され、記憶部20に保存される。
【0048】
図2に戻って、パズル画像生成処理(ステップS300)に続く、ステップS102~S106の処理は、制御部10の表示制御部15としての機能で実行される。ステップS102で、表示制御部15は、ステップS101で設定されたマス数nの、n×nのパズル画像5を表示部50に表示する。例えば、ステップS101でマス数nがn=3に設定されていれば、図7(c)に示すマス数のパズル画像5が表示されることになる。なお、ここでのパズル画像5の表示は、遊技者である支援施設の入居者が複数人でパズル遊技を楽しめるように、プロジェクタによりスクリーンにパズル画像5を投影することで行われてもよい。
【0049】
続いて、表示制御部15は、操作部40に対してなされる操作を待ち、操作がなされると当該操作内容を特定する(ステップS103)。
【0050】
表示制御部15は、前述の「やさしく」選択操作を特定した場合(ステップS103;やさしく)、マス数n=2であるか否かを判別する(ステップS104)。n=2でない場合(ステップS104;No)、表示制御部15は、パズル難易度を低くすべく、マス数を1つ下げた、(n-1)×(n-1)のパズル画像5を表示部50に表示する(ステップS105)。一方、n=2である場合(ステップS104;Yes)、表示制御部15は、既にパズル難易度が最低であるため、正解としてパズル化前の顔画像4を表示部50に表示する(ステップS106)。
【0051】
表示制御部15は、前述の「正解表示」操作を特定した場合(ステップS103;正解表示)、正解として顔画像4を表示部50に表示する(ステップS106)。また、表示制御部15は、前述のファイル選択操作を特定した場合(ステップS103;ファイルを選択)、処理をステップS101に戻す。制御部10は、以上のパズル遊技処理を、例えば終了操作を受け付けるまで継続して実行する。
【0052】
以上のパズル遊技処理におけるアルゴリズムは自動化されており、パズル遊技を利用したい利用者は、パズル化したい対象画像3を指定するだけで、適度な難易度のパズル画像5を作成することができる。
【0053】
本願発明者らは、対象画像3の色情報を用いた、前記の非特許文献1による顔画像切り出し手法(従来例)と、以上の実施形態における顔画像取得処理(ステップS200)による顔画像切り出し手法(実施例)とで、切り出しの成功率を比較する実験を行った。当該実験結果を図9(a)及び(b)に示す。
【0054】
実験では、以下に示す画像セットごとの切出し成功率(=成功画像枚数/実験に用いた全枚数)を算出した。
・ランダム1、2:LFW Face Database (“LFW Face Database: Main,” http://vis-www.cs.umass.edu/lfw/ 参照Feb. 18,2018.)からランダムに抽出した、人物が写った画像(以下、人物画像と言う。)200枚
・薄頭髪:LFW Face Databaseから選択した頭髪の薄い人物画像200枚
・無地背景(日本人):無地背景の日本人の人物画像200枚
・無地背景(インド人):無地背景のインド人の人物画像200枚
なお、以上の画像セットのうち、無地背景(日本人)と無地背景(インド人)とは、顔の正面が写った、無地背景の人物画像である。
【0055】
図9(a)に示す条件1は、切り出しの成功及び失敗を以下のように設定した条件である。
・成功:切り出し後の画像が顎先から頭髪(頭頂)を含む場合
・失敗:切り出し後の画像の正方形上辺で頭髪(頭頂)が途切れる、又は正方形下辺で顎先が途切れる場合
【0056】
図9(b)に示す条件2は、切り出しの成功及び失敗を以下のように条件1よりも緩和して設定した条件である。
・成功:切り出し後の画像において、眉、目、鼻、口の欠損がない場合
・失敗:切り出し後の画像において、眉、目、鼻、口の欠損がある場合
【0057】
図9(a)及び(b)を参照すると、全ての画像セットにおいて、本実施例のほうが従来例よりも、切り出しの成功率が向上していることが確認できる。
【0058】
(変形例)
以上の実施形態では、画像処理装置100が支援施設で使用される例を説明したが、これに限られない。画像処理装置100は、図10に示すように、クライアント端末8とネットワーク9を介してデータの送受信を行うことでパズル遊技実行処理を実行するパズル遊技システム1の一部として構成されてもよい。以下、パズル遊技システム1について説明する。
【0059】
パズル遊技システム1は、支援施設以外の機関(大学や企業など)に設置された画像処理装置100と、支援施設で使用されるクライアント端末8と、ネットワーク9とを備える。
【0060】
クライアント端末8は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のウェブ(Web)ブラウザ(以下、単にブラウザとも言う。)が搭載された情報処理端末から構成され、ネットワーク9を介して画像処理装置100とデータの送受信を行う。また、クライアント端末8は、前記の操作部40、表示部50、撮像装置200と同様の機能を有する。したがって、ユーザはクライアント端末8で任意の人物2を撮像し、対象画像3を得ることができる。
【0061】
画像処理装置100は、1又は複数台のコンピュータから構成され、ウェブアプリケーションを提供するウェブサーバとして機能する。画像処理装置100は、前述のパズル遊技実行処理を行う機能の他、通信制御部110と、ウェブアプリケーション制御部120と、を備える。通信制御部110は、ネットワーク9を介して接続されているクライアント端末8とデータの送受信を行う。ウェブアプリケーション制御部120は、ウェブアプリケーションを実行する際のプラットフォームとして機能し、ウェブアプリケーションの実行に伴いパズル遊技実行処理を実行する。ウェブアプリケーション制御部120は、通信制御部110を介し、クライアント端末8から受信した画像データを記憶し、ブラウザからの要求に応じてクライアント端末8に画像データを送信する。また、ウェブアプリケーション制御部120は、クライアント端末8に搭載されたブラウザにウェブアプリケーションの操作画面として、前記のGUI画像6などを表示する。
【0062】
以上のパズル遊技システム1において、支援施設の職員などのユーザは、クライアント端末8でブラウザを起動し、ウェブサーバのURL(Uniform Resource Locator)を指定して、接続を要求する。当該接続要求に応じ、画像処理装置100は、ウェブアプリケーションの操作画面(GUI画像6)をブラウザに送信する。パズル遊技システム1におけるパズル遊技実行処理では、まず、ユーザは、クライアント端末8に表示されたGUI画像6により、パズル化する対象画像3とパズル化の際のマス数nとを選択し(ステップS101)、画像処理装置100に送信する送信操作を行う。この際のパズル化対象の画像は、クライアント端末8に記憶された複数の対象画像3から選択することができる。そして、ウェブアプリケーションは、クライアント端末8から対象画像3の選択を受け付けたことに応じて、画像処理装置100に顔画像取得処理(ステップS200)及びパズル化画像生成処理(ステップS300)を実行させ、選択された対象画像3のパズル画像5を生成し、生成したパズル画像5をクライアント端末8に送信する。そして、クライアント端末8において、パズル画像5の表示(ステップS102やS105)や、正解としてのパズル化前の顔画像4の表示(ステップS106)を行う。なお、ステップS103においては、支援施設内においてクライアント端末8に対してなされた操作内容を特定する。
以上に説明したパズル遊技システム1のように、パズル遊技処理を実行するためのソフトウェアをウェブアプリケーションとして実装すれば、利用者の端末に特別なプログラムを実装することなく、任意の場所から任意の端末でパズル画像5の作成を行うことができる。
【0063】
本発明は以上の実施形態、変形例及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0064】
以上のパズル遊技実行処理では、顔画像取得処理(ステップS200)とパズル画像生成処理(ステップS300)とを併せて実行するものとして実行したが、顔画像4やパズル画像5が既に作成され、記憶部20に保存されている場合には、顔画像取得処理とパズル画像生成処理との少なくともいずれかの処理を省略してもよい。例えば、既に顔画像4が作成されている場合には、パズル遊技実行処理におけるステップS101で対象画像3の代わりに顔画像4を選択可能とするとともに、顔画像取得処理をスキップしてもよい。
【0065】
また、以上の顔画像取得処理においては、第1正方形S1に基づいて第2正方形S2を算出したが、第2正方形S2の代わりに、第1正方形S1が内接する矩形であって、一対の辺が対象画像3における水平方向と平行となる矩形を算出してもよい。当該矩形は、例えば、第2正方形S2の左右方向にマージンを加えた形状であればよい。したがって、第3正方形S3の代わりに矩形を算出してもよいし、切り出し領域Rcも正方形でなく矩形領域であってもよい。
【0066】
また、以上では、第1正方形S1に基づいて第2正方形S2を算出したが、これに限られない。例えば、第1正方形S1の代わりに、点P0を中心として点P1を通る円を算出し、算出した円が内接する正方形に所定量のマージンを加えることで第2正方形S2を算出することも可能である。
【0067】
また、以上では、第2正方形S2を、第1正方形S1が内接する正方形であって、一対の辺が対象画像3における水平方向と平行となる正方形として算出したが、これに限られない。例えば、対象画像3として、顔2aが対象画像3における水平方向に対して、かなり傾いて写った態様も想定される。当該態様の対象画像3から顔画像4を得る場合には、領域決定部12は、第1正方形S1が内接する正方形であって、一対の辺が、点P0(推定中心点)と点P1(基準輪郭点)とを通る直線と直交する第2正方形S2を算出してもよい。そして、領域決定部12は、第2正方形S2における顔2aの左右方向(なお、当該顔2aの左右方向は、顔2aが水平方向に対してかなり斜めに写っている場合には対象画像3における左右方向と一致しない)を比(LW:RW)で内分する位置に点P0が位置するように、第2正方形S2を調整して、第3正方形S3及び切り出し領域Rcを算出してもよい。
【0068】
以上では、特徴量検出部11は、対象画像3におけるHOG特徴量やSIFT特徴量を用いて点P0、P1などの顔2aの特徴を検出する例を説明したが、これに限られない。例えば、特徴量検出部11は、LBP(Local Binary Pattern)特徴量を用い、対象画像3を構成する各部の局所的な輝度の分布の組み合わせによって顔2aの特徴を検出してもよい。特徴量検出部11は、前記の非特許文献1のように色情報を用いずして、対象画像3の輝度情報に基づいて顔2aの特徴を検出する構成であればよい。なお、特徴量検出部11は、対象画像3の輝度情報のみだけでなく、Haar-Like特徴量や色情報、パターンマッチング手法を用いて顔2aの特徴を検出するようにしてもよい。
【0069】
図面における対象画像3では、人物2の顔2aの正面が理想的に写った態様を模式的に示したが、対象画像3内に顔2aの両目と顎が写っていれば、特徴量検出部11による顔2aの特徴量検出は可能である。さらには、顔2aが人物2の横顔であっても、点P0(推定中心点)と点P1(基準輪郭点)の決定手法を変更すれば、特徴量検出部11による顔2aの特徴量検出は可能である。例えば、横顔が対象画像3に写っている場合、検出した耳や鼻の領域内において点P0を決定し、顎先を点P1と決定した上で、上記と同様な処理を実行すれば、顔画像4の切り出しは可能である。つまり、対象画像3に写った顔2aは、正面方向から撮像した顔2aに限られず、良好に顔画像4を取得することができる限りにおいては、対象画像3における顔2aの向きは任意である。
【0070】
また、対象画像3に写った、顔を有する対象物は、人物に限られず、猿、犬などの動物であってもよい。さらには、当該対象物は、人物及び動物に限られず、車、電車などの乗り物や、建物などであってもよい。この場合の顔とは、比喩的に人物の顔に形が似た物体の面や、物体の種別を判別可能とする代表的な面であればよい。例えば、対象物が車である場合、左右ライト又は左右サイドミラーの重心を点P0(推定中心点)と決定し、フロントバンパーやナンバープレートの領域内を点P1(基準輪郭点)と決定した上で、上記と同様な処理を実行すれば、車の顔画像の切り出しは可能であると想定される。電車など他の物体についても、良好に顔画像を取得することができる限りにおいては、対象物の種類は任意である。
【0071】
以上では、パズル遊技が、支援施設の入居者(要介護者)の認識機能訓練用に行われるとして説明したが、パズル遊技が実行される場所や遊技者の種類は、任意である。例えば、認識機能訓練用でない遊技目的として、家庭において健常者が画像処理装置100を利用してパズル遊技を行ってもよい。
【0072】
パズル画像5を構成する小画像4aは、正方形に限られず、矩形であってもよい。また、各小画像4aは、分割時の状態から回転されずに、パズル画像5を構成してもよい。また、上記のパズル遊技に、遊技者の操作によりパズル画像5から顔画像4を完成させる遊技を追加してもよい。
【0073】
また、顔画像取得処理によって取得される顔画像4は、パズル画像5を生成する以外の目的で用いられてもよい。顔画像取得処理は、単に、対象画像3から顔画像4を得るため、例えば、自動で証明写真を作成するといった目的で実行してもよい。
【0074】
以上に説明した各処理を実行する動作プログラム(プログラムPG)は、記憶部20に予め記憶されているものとしたが、着脱自在の記録媒体により配布・提供されてもよい。また、プログラムPGは、画像処理装置100と接続された他の機器からダウンロードされるものであってもよい。また、画像処理装置100は、他の機器と電気通信ネットワークなどを介して各種データの交換を行うことによりプログラムPGに従う各処理を実行してもよい。
【0075】
(1)以上に説明した画像処理装置100は、顔を有する対象物が写った対象画像3において、顔の推定中心点(点P0)と顔の輪郭部の位置とを検出する検出手段(特徴量検出部11)と、検出手段によって検出された点P0と輪郭部の所定位置における基準輪郭点(点P1)とに基づき、点P1を領域内に含むとともに点P0を中心とした矩形であって、点P0と点P1とを通る直線と一対の辺が交差する矩形(例えば第2正方形S2)を算出し、算出した矩形に基づく矩形領域Rcを決定する決定手段(領域決定部12)と、決定手段によって決定された矩形領域Rcで対象画像3を切り出した画像である顔画像4を取得する取得手段(顔画像取得部13)と、を備える。
この構成により、前述のように、簡易に、良好な精度で対象画像3から顔画像4を取得することができる。
【0076】
(2)具体的に、決定手段が算出する矩形(例えば第2正方形S2)は、一対の辺が対象画像3における水平方向に平行となる、又は、一対の辺が直線(点P0と点P1とを通る直線)と直交する。
【0077】
(3)また、決定手段は、点P0を中心として点P1を90°ずつ回転した3点(点P2、P3、P4)を算出し、点P1~P4の各々が辺の中点となる第1正方形S1を算出し、算出した第1正方形S1に基づき、矩形(例えば第2正方形S2)を算出する。
【0078】
(4)また、決定手段は、第1正方形S1が内接する矩形(例えば第2正方形S2)を算出することが好ましい。
こうすれば、図5(c)に示すように、顔領域と第2正方形S2の各辺との間にクリアランスを生じさせることができ、顔画像4を切り出した際に顔2aの一部の像が欠けてしまうことを抑制することができる。
【0079】
(5)また、決定手段は、点P0から顔の左側の輪郭部までの距離と、点P0から顔の右側の輪郭部までの距離との比(LW:RW)を算出し、矩形(例えば第2正方形S2)における顔2aの左右方向を比(LW:RW)で内分する位置に点P0が位置するように矩形を調整することで矩形領域Rcを決定することが好ましい。
こうすれば、図6(a)に示すように、矩形領域Rcにおいて顔の像が偏在してしまうことを抑制することができ、画像領域内における顔の像のバランスが良い顔画像4を取得することができる。
【0080】
(6)また、検出手段は、対象画像3における輝度情報に基づいて(つまり、前述のようにHOG特徴量、SIFT特徴量、LBP特徴量などを用いて)、点P0と顔の輪郭部の位置(当該位置は点P1を含む)とを検出することが好ましい。
【0081】
(7)また、対象物は人物2であり、点P0は、顔の眉間の位置を示し、点P1は、顔の顎先の位置を示すことが好ましい。
【0082】
(8)また、画像処理装置100は、顔画像4を、矩形(正方形を含む)の小画像4aで複数分割した上でパズル化したパズル画像5を生成する生成手段(パズル画像生成部14)を備えていてもよい。
【0083】
(9)また、画像処理装置100は、画像を表示する表示手段(表示部50)の表示制御を行う表示制御手段(表示制御部15)を備え、表示制御手段は、表示手段に表示したパズル画像5が遊技者に認識されていないと特定した場合にはパズル画像5に代えて顔画像4を表示手段に表示してもよい。
【0084】
(10)以上に説明したパズル遊技システム1は、画像処理装置100と、画像処理装置100とネットワーク9を介して通信し、画像処理装置100によって提供されるウェブアプリケーションを実行するウェブブラウザを有する端末装置(クライアント端末8)と、を備え、ウェブアプリケーションは、端末装置から対象画像3の選択を受け付けたことに応じて、選択された対象画像3のパズル画像5を画像処理装置100に生成させ、生成されたパズル画像5を端末装置に表示する。
この構成によれば、任意の場所から任意の端末でパズル遊技実行処理を行うことができる。
【0085】
(11)以上に説明した画像処理装置100を利用した画像処理方法は、顔を有する対象物が写った対象画像3において、顔の推定中心点(点P0)と顔の輪郭部の位置とを検出するステップと、検出した点P0と輪郭部の所定位置における基準輪郭点(点P1)とに基づき、点P1を領域内に含むとともに点P0を中心とした矩形であって、点P0と点P1とを通る直線と一対の辺が交差する矩形(例えば第2正方形S2)を算出し、算出した矩形に基づく矩形領域Rcを決定するステップと、決定した矩形領域Rcで対象画像3を切り出した画像である顔画像4を取得するステップと、を備える。
【0086】
(12)また、以上に説明したプログラムPGは、コンピュータを、前述の検出手段、決定手段、取得手段として機能させる。この構成によれば、任意の場所から任意の端末でパズル遊技実行処理を行うことができる。
【0087】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0088】
100…画像処理装置
10…制御部
11…特徴量検出部
12…領域決定部
13…顔画像取得部
14…パズル画像生成部
15…表示制御部
20…記憶部、PG…プログラム
40…操作部、50…表示部
200…撮像装置
1…パズル遊技システム
2…人物、2a…顔
3…対象画像
4…顔画像、4a…小画像
5…パズル画像
6…GUI画像
8…クライアント端末
9…ネットワーク
110…通信制御部
120…ウェブアプリケーション制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10