(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】虫かご
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
A01K67/033 502
(21)【出願番号】P 2019048210
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】508145506
【氏名又は名称】株式会社キャステム
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【氏名又は名称】須田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100129229
【氏名又は名称】村澤 彰
(72)【発明者】
【氏名】戸田 拓夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宣明
(72)【発明者】
【氏名】石井 賢治
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3042942(JP,U)
【文献】実公昭44-001585(JP,Y1)
【文献】実開昭53-136249(JP,U)
【文献】登録実用新案第3062229(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の球体状に形成されかつ周壁に複数の通気孔が形成された虫かごであって、
円形の第1開口部を有する第1半球体と、
前記第1開口部に相応する円形の第2開口部を有し前記第1開口部に前記第2開口部を合せて前記第1半球体と合体させることにより球体状に形成される第2半球体と、
前記第2半球体を前記第1半球体に対して相対回転可能に連結し前記第1及び第2開口部を合せて内部を閉止した閉止状態又は前記第1及び第2開口部をそれぞれ露出させて内部を開放した開放状態のいずれかに変更可能な半球体用ヒンジ部と、
前記第1及び第2半球体に設けられ前記第1及び第2半球体を前記閉止状態に保持可能な半球体用係止機構と
を備え
、
前記半球体用ヒンジ部が、前記第1開口部周縁又は前記第2開口部周縁に前記第1半球体又は前記第2半球体と一体的に設けられた半球体用ヒンジフックと、前記第2開口部周縁又は前記第1開口部周縁に前記第2半球体又は前記第1半球体と一体的に設けられ前記半球体用ヒンジフックに係合可能な半球体用ヒンジピンとを有し、
前記半球体用ヒンジフックは、略逆J字状に曲げられた板状に形成され、かつ前記第1開口部の外周縁の接線方向に延びかつ前記第1開口部に直交する平面に沿って設けられ、
前記半球体用ヒンジピンは、円柱状に形成され、かつ前記第2開口部の外周縁の接線方向に延びかつ前記第2開口部に直交する平面に沿って設けられ、
前記半球体用ヒンジピンの端部は、前記平面から突出しかつ前記接線方向に間隔をあけて設けられた支持部により、前記平面から所定の隙間をあけてそれぞれ支持され、
前記半球体用ヒンジフックが前記隙間に遊挿されて、前記半球体用ヒンジピンが前記半球体用ヒンジフックに対して回動可能に構成され、
前記半球体用ヒンジフックの湾曲する部分の内面の曲率半径の中心線が前記第1半球体の開口面を含む平面内に位置し、かつ前記半球体用ヒンジピンの中心線が前記第2半球体の開口面を含む平面内に位置し、
これにより、前記第1半球体の開口面と前記第2半球体の開口面とのなす開口角度が0度以上180度未満では、前記半球体用ヒンジピンが前記半球体用ヒンジフックから外れず、前記開口角度が180度以上になったときに、前記半球体用ヒンジピンを前記半球体用ヒンジフックから外れるように構成されたことを特徴とする虫かご。
【請求項2】
前記第1半球体は、複数の第1通気孔が形成された第1周壁と、前記第1開口部を形成するために前記第1周壁と一体的に形成された比較的幅の広い第1帯状リングとを有し、前記第2半球体は、複数の第2通気孔が形成された第2周壁と、前記第2周壁と一体的に形成された比較的幅の広い第2帯状リングと、前記第2帯状リングとは別に形成され前記第2開口部を形成するために前記第2帯状リングに係合するリング部材とを有し、前記リング部材は、前記第2帯状リングに形成された複数の角孔に、前記リング部材の爪を引っ掛けることにより、前記リング部材が前記第2帯状リングに係合するように構成された請求項1記載の虫かご。
【請求項3】
前記半球体用係止機構が、前記第1開口部周縁又は前記第2開口部周縁に前記第1半球体又は前記第2半球体と一体的に設けられ半球体用係止部と、前記第2開口部周縁又は前記第1開口部周縁に前記第2半球体又は前記第1半球体と一体的に設けられ前記半球体用係止部が係止可能な半球体用被係止部とを有する請求項1記載の虫かご。
【請求項4】
前記第1半球体又は前記第2半球体のいずれ一方の湾曲面中央に前記第1開口部又は前記第2開口部より小さい第3開口部が形成され、前記第3開口部にこの第3開口部を開閉可能な蓋体が取付けられた請求項1記載の虫かご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採集した鈴虫やコオロギ等の昆虫を一時的に入れるため又は昆虫とともに餌を入れて飼育するための虫かごに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂成形品などからなる草木体が、虫かご内に着脱自在に設けられた虫かごが開示されている(例えば、特許文献1(実用新案登録請求の範囲、第1頁第16行~第2頁第7行、第2頁第10行~同頁第14行、第1図、第2図)参照。)。この虫かごは、中空直方体を対に分割してなる虫かご片体を開口一側縁にて開閉自在に枢着して構成される。また、一対の虫かご片体のそれぞれの開口縁に形成される掛止部により、一対の虫かご片体が閉じられた状態に維持される。更に、上記草木体は、合成樹脂成型品などにより草や木のように形成され、虫かご片体内壁の適所に突出形成される有底筒状部内に着脱自在に挿嵌固定される。
【0003】
このように構成された虫かごでは、簡単な構造でありながら、草木体により虫かご内があたかも自然の一部であるかのような雰囲気が生じ、草木体に虫かご内の昆虫が止まるか又は身を隠すことができ、草木体が草木の代わりになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示された虫かごでは、この虫かごが直方体状に形成されていることから、虫かごが倒れると、その衝撃を平面で直に受けてしまうため、虫かごが破損し易く、また虫かご内の虫にも被害が及ぶ不具合があった。また、上記従来の特許文献1に示された虫かごのように直方体状に形成され、かつこの虫かごに虫を出し入れするためのアクリル製の窓が付設されている場合がある。この場合、虫は四隅の角やアクリル製の窓に脚を引っ掛けることができず、虫の居場所が限られることから、虫同士の喧嘩が発生し易いという問題点があった。
【0006】
また、従来の特許文献1に示された虫かごでは、この虫かごが直方体状に形成されており、平面が多いため、虫が仰向けになると、虫かごが仰向け状態の虫の脚から遠くに位置し、虫が脚を虫かごに引っ掛けることができず、起き上がり難いという問題点もあった。また、従来の特許文献1に示された虫かごでは、この虫かごが直方体状に形成されており、虫かごから虫を取り出すために虫かごをあけたときに、虫が虫かご内で飛ぶと、虫かごから逃げ出し易いという問題点もあった。更に、従来の特許文献1に示された虫かごでは、この虫かごが直方体状に形成されており、所定の容積を確保するために表面積が大きくなってしまう問題点もあった。
【0007】
本発明の第1の目的は、虫かごが倒れるということがなく、また虫かごが床等に落下しても、落下による外圧を分散させてその衝撃を吸収できる、虫かごを提供することにある。本発明の第2の目的は、虫かご内での虫の居場所が限定されず、虫同士の喧嘩の発生を抑制できる、虫かごを提供することにある。本発明の第3の目的は、虫が仰向けになっても、起き上がり易い、虫かごを提供することにある。本発明の第4の目的は、第1及び第2半球体の内部を開放しても、虫かごから逃げ出し難い、虫かごを提供することにある。本発明の第5の目的は、同じ容積を確保するためにコンパクト化することができる、虫かごを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、
図1~
図5に示すように、中空の球体状に形成されかつ周壁11a,12aに複数の通気孔11b,12bが形成された虫かご10であって、円形の第1開口部11cを有する第1半球体11と、この第1開口部11cに相応する円形の第2開口部12cを有し第1開口部11cに第2開口部12cを合せて第1半球体11と合体させることにより球体状に形成される第2半球体12と、この第2半球体12を第1半球体11に対して相対回転可能に連結し第1及び第2開口部11c,12cを合せて内部を閉止した閉止状態又は第1及び第2開口部11c,12cをそれぞれ露出させて内部を開放した開放状態のいずれかに変更可能な半球体用ヒンジ部13と、第1及び第2半球体11,12に設けられ第1及び第2半球体11,12を上記閉止状態に保持可能な半球体用係止機構14とを備え
た虫かごである。
本発明の第1の観点は、更に図1~図5に示すように、半球体用ヒンジ部13が、第1開口部11c周縁又は第2開口部周縁に第1半球体11又は第2半球体と一体的に設けられた半球体用ヒンジフック13aと、第2開口部12c周縁又は第1開口部周縁に第2半球体12又は第1半球体と一体的に設けられ半球体用ヒンジフック13aに係合可能な半球体用ヒンジピン13bとを有する虫かごである。
本発明の第1の観点は、更に図3~図5、図8に示すように、半球体用ヒンジフック13a,13aは、略逆J字状に曲げられた板状に形成され、かつ第1開口部11cの外周縁の接線方向に延びかつ第1開口部11cに直交する平面に沿って設けられ、半球体用ヒンジピン13b,13bは、円柱状に形成され、かつ第2開口部12cの外周縁の接線方向に延びかつ第2開口部12cに直交する平面に沿って設けられ、半球体用ヒンジピン13b,13bの端部は、前記平面から突出しかつ前記接線方向に間隔をあけて設けられた支持部13cにより、前記平面から所定の隙間をあけてそれぞれ支持され、半球体用ヒンジフック13a,13aが前記隙間に遊挿されて、半球体用ヒンジピン13b,13bが半球体用ヒンジフック13a,13aに対して回動可能に構成され、半球体用ヒンジフック13a,13aの湾曲する部分の内面の曲率半径の中心線が第1半球体11の開口面を含む平面内に位置し、かつ半球体用ヒンジピン13b,13bの中心線が第2半球体12の開口面を含む平面内に位置し、これにより第1半球体11の開口面と第2半球体12の開口面とのなす開口角度が0度以上180度未満では、半球体用ヒンジピン13b,13bが半球体用ヒンジフック13a,13aから外れず、前記開口角度が180度以上になったときに、半球体用ヒンジピン13b,13bを半球体用ヒンジフック13a,13aから外れるようにように構成された虫かごである。
【0009】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、
図9~図11に示すように、第1半球体31は、複数の第1通気孔31bが形成された第1周壁31aと、第1開口部31cを形成するために第1周壁31aと一体的に形成された比較的幅の広い第1帯状リング31dとを有し、第2半球体32は、複数の第2通気孔32bが形成された第2周壁32aと、第2周壁32aと一体的に形成された比較的幅の広い第2帯状リング32dと、第2帯状リング32dとは別に形成され第2開口部32cを形成するために第2帯状リング32dに係合するリング部材32eとを有し、リング部材32eは、第2帯状リング32dに形成された複数の角孔32hに、リング部材32eの爪32iを引っ掛けることにより、リング部材32eが第2帯状リング32dに係合するように構成された虫かごである。
【0010】
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に
図1~
図4に示すように、半球体用係止機構14が、第1開口部11c周縁又は第2開口部周縁に第1半球体11又は第2半球体と一体的に設けられた半球体用係止部14aと、第2開口部12c周縁又は第1開口部周縁に第2半球体12又は第1半球体と一体的に設けられ半球体用係止部14aが係止可能な半球体用被係止部14bとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に
図9及び
図10に示すように、第1半球体31又は第2半球体32のいずれ一方の湾曲面中央に第1開口部31c又は第2開口部32cより小さい第3開口部32gが形成され、第3開口部32gにこの第3開口部32gを開閉可能な蓋体36が取付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の観点の虫かごでは、この虫かごを中空の球体状に形成したので、虫かごが倒れるということがなく、また虫かごが床等に落下しても、落下による外圧を分散させてその衝撃を吸収できる。また、虫かごが中空の球体状であるので、虫かご内の略全周面のどこにでも虫がその脚を引っ掛けることができ、虫の居場所が限定されず、虫同士の喧嘩の発生を抑制できる。また、虫かごが中空の球体状であるので、虫が仰向けになっても、仰向け状態の虫の脚の近くに虫かごが位置し、虫が脚を虫かごに比較的容易に引っ掛けることができ、起き上がり易い。また、第2半球体を第1半球体に対して相対回転可能に連結したので、第1半球体の開口面と第2半球体の開口面とのなす角度が虫かごから虫を出し入れできる程度の開口角度(例えば45度)で第1及び第2半球体の内部を開放したときに、虫かごの周壁が虫に覆いかぶさる構造になっている。この結果、上記開口角度で第1及び第2半球体の内部を開放したときに、虫が虫かごから飛び出そうとしても、この虫が虫かごの周壁内面に接触し易いので、虫かごから逃げ出し難い。更に、虫かごが最小の表面積で最大の物を詰め込むことが可能な中空の球体状であるので、所定の容積を確保するために最小の表面積で済む。この結果、本発明の中空の球体状の虫かごは、従来の中空の直方体状の虫かごと比較して、同じ容積を確保するためにコンパクト化することができる。
【0013】
また、本発明の第1の観点の虫かごでは、半球体用ヒンジピンを半球体用ヒンジフックに係合するという簡単な作業で、第2半球体を第1半球体に対して相対回転可能に連結でき、半球体用ヒンジピンを半球体用ヒンジフックから外すという簡単な作業で、第2半球体を第1半球体から分離できる。この結果、虫かごの組立及び分解が極めて容易である。
【0014】
本発明の第3の観点の虫かごでは、半球体用係止部を半球体用被係止部に係止するという簡単な操作で、第1及び第2半球体の内部を閉止した閉止状態に保持でき、半球体用係止部を半球体用被係止部から外すという簡単な操作で、第1及び第2半球体の内部を開放した開放状態にすることができる。この結果、虫かごへの虫の格納及び解放が容易になる。
【0015】
本発明の第4の観点の虫かごでは、第1半球体又は第2半球体のいずれ一方の湾曲面中央に第1開口部又は第2開口部より小さい第3開口部を形成し、第3開口部にこの第3開口部を開閉可能な蓋体を取付けたので、この蓋体を開放することにより、虫かごに虫を出し入れすることができる。この結果、虫かごへの虫の出し入れが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明第1実施形態の虫かごの第1半球体と第2半球体とを半球体用ヒンジ部により連結する前の状態を示す分解斜視図である。
【
図2】その第1半球体と第2半球体とを半球体用ヒンジ部により連結した状態であって第1及び第2半球体の内部を開放した開放状態を示す斜視図である。
【
図3】その第1半球体と第2半球体とを半球体用ヒンジ部により連結した状態であって第1及び第2半球体の内部を開放した開放状態を示す縦断面図である。
【
図4】その第1半球体と第2半球体とを半球体用ヒンジ部により連結しかつ半球体用係止機構により第1及び第2半球体の内部を閉止した閉止状態を示す縦断面図である。
【
図5】その第1半球体と第2半球体とを半球体用ヒンジ部により連結する手順を示す要部拡大断面図である。
【
図6】その第1半球体と第2半球体とを半球体用ヒンジ部により連結した状態であって第1及び第2半球体の内部を開放した開放状態を示す側面図である。
【
図7】その第1半球体と第2半球体とを半球体用ヒンジ部により連結しかつ半球体用係止機構により第1及び第2半球体の内部を閉止した閉止状態を示す側面図である。
【
図9】本発明第2実施形態の虫かごを示す
図4に対応する縦断面図である。
【
図10】その虫かごの蓋体を開いて第3開口部を開放した状態を示す
図9に対応する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
<第1の実施の形態>
図1~
図4に示すように、虫かご10は、中空の球体状に形成され、かつ周壁11a,12aに複数の通気孔11b,12bが形成される。この虫かご10は、円形の第1開口部11cを有する第1半球体11と、この第1開口部11cに相応する円形の第2開口部12cを有する第2半球体12と、この第2半球体12を第1半球体11に対して相対回転可能に連結する半球体用ヒンジ部13と、第1及び第2半球体11,12に設けられた半球体用係止機構14とを備える。第1及び第2半球体11,12は、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)等のプラスチックにより形成される。これらは射出成形により形成されることが好ましい。
【0019】
第1半球体11は、上記第1開口部11cを形成する比較的幅の広い第1帯状リング11dと、この第1帯状リング11dから半球状に湾曲して設けられた第1周壁11aと、この第1周壁11aの略全面に長方形状、台形状及び三角形状にそれぞれ整列して形成された複数の第1通気孔11bとを有する(
図1及び
図2)。また、第2半球体12は、上記第2開口部12c形成する比較的幅の狭い第2帯状リング12dと、この第2帯状リング12dから半球状に湾曲して設けられた第2周壁12aと、この第2周壁12aに長方形状、台形状又は三角形状にそれぞれ整列して形成された複数の通気孔12bとを有する。第2開口部12cを第1開口部11cに合せて、第2半球体12を第1半球体11と合体させることにより、球体状の虫かご10が形成される(
図4)。
【0020】
一方、半球体用ヒンジ部13は、第1及び第2開口部11c,12cを合せて内部を閉止した閉止状態又は第1及び第2開口部11c,12cをそれぞれ露出させて内部を開放した開放状態のいずれかに変更可能に構成される(
図1~
図5)。また、半球体用ヒンジ部13は、この実施の形態では、第1開口部11c周縁に第1半球体11と一体的に設けられた一対の半球体用ヒンジフック13a,13aと、第2開口部12c周縁に第2半球体12と一体的に設けられた半球体用ヒンジフック13a,13aに係合可能な一対の半球体用ヒンジピン13b,13bとを有する。一対の半球体用ヒンジフック13a,13aは、略逆J字状に曲げられた板状にそれぞれ形成される(
図3~
図7)。また、一対の半球体用ヒンジフック13a,13aは、第1開口部11cの外周縁の接線方向に延びかつ第1開口部11cに直交する平面に沿いかつ上記接線方向に間隔をあけてそれぞれ設けられる。一対の半球体用ヒンジピン13b,13bは、それぞれ円柱状に形成される(
図1及び
図3~
図5)。また、一対の半球体用ヒンジピン13b,13bは、第2開口部12cの外周縁の接線方向に延びかつ第2開口部12cに直交する平面に沿い、かつ上記接線方向に間隔をあけかつ上記接線方向に延びてそれぞれ設けられる。更に、一対の半球体用ヒンジピン13b,13bの端部は、上記平面から突出しかつ上記接線方向に間隔をあけて設けられた3つの支持部13cにより、上記平面から所定の隙間をあけてそれぞれ支持される(
図1、
図2及び
図8)。これらの隙間に一対の半球体用ヒンジフック13a,13aがそれぞれ遊挿されて、一対の半球体用ヒンジピン13b,13bが一対の半球体用ヒンジフック13a,13aに対して回動できるようになっている(
図3~
図5)。なお、一対の半球体用ヒンジフック13a,13aの湾曲する部分の内面の曲率半径の中心線が第1半球体11の開口面を含む平面内に位置し、かつ一対の半球体用ヒンジピン13b,13bの中心線が第2半球体12の開口面を含む平面内に位置することが好ましい。これにより第1半球体11の開口面と第2半球体12の開口面とのなす角度(開口角度)が0度以上180度未満では、一対の半球体用ヒンジピン13b,13bが一対の半球体用ヒンジフック13a,13aから外れず、上記角度が180度以上になったときに、一対の半球体用ヒンジピン13b,13bを一対の半球体用ヒンジフック13a,13aから外れるようにすることができる。
【0021】
一方、半球体用係止機構14は、第1及び第2半球体11,12を上記閉止状態に保持可能に構成される(
図4)。また、半球体用係止機構14は、この実施の形態では、第1開口部11c周縁に第1半球体11と一体的に設けられた半球体用係止部14aと、第2開口部12c周縁に第2半球体12と一体的に設けられ半球体用係止部14aが係止可能な半球体用被係止部14bとを有する(
図1~
図4)。半球体用係止部14aは、第1開口部11c周縁のうち一対の半球体用ヒンジフック13a,13aとは反対側の周縁に設けられる。具体的には、第1開口部11c周縁のうち一対の半球体用ヒンジフック13a,13aとは反対側の外周面に、円板部材11eがその上部を第1帯状リング11dより上方に突出させた状態で第1半球体11と一体的に設けられる。そして、この円板部材11dの上部内面に爪状の半球体用係止部14aが突設される。また、半球体用被係止部14bは、第2開口部12c周縁のうち一対の半球体用ヒンジピン13b,13bとは反対側の周縁に設けられる。具体的には、第2開口部12c周縁のうち一対の半球体用ヒンジピン13b,13bとは反対側の外周面に凹部12eが形成され、この凹部12eの中央に上記半球体用係止部14aが係止可能な角孔状の半球体用被係止部14bが設けられる。なお、
図1、
図2及び
図6~
図8中の符号16は、第1半球体11の外周面に設けられた突起である。
図8に詳しく示すように、突起16,16は第1半球体11の外周面に左右対称に2つ設けられ、これらの突起16,16には通孔16a,16aがそれぞれ形成される。これらの突起16,16には、紐(図示せず)が挿通される。そして、この紐の両端を一つに結んでリング状に形成することにより、昆虫採集時にこの紐を肩に掛けて虫かご10を持ち歩くことができ、また室内の壁面に取付けられ鉤(図示せず)に紐を掛けて虫かご10を吊すことができるようになっている。
【0022】
このように構成された虫かご10の組立手順を説明する。先ず、第1半球体11の開口面及び第2半球体12の開口面を上方に向けた状態で、第1半球体11の半球体用ヒンジフック13aの下方に第2半球体12の半球体用ヒンジピン13bを位置させる(
図5(a))。次に、第2半球体12の半球体用ヒンジピン13bを
図5(a)の破線矢印の方向に移動して第1半球体11の半球体用ヒンジフック13aに係合させる(
図5(b))。更に、第2半球体12を第1半球体11に対して半球体用ヒンジ部13を中心に
図5(b)の一点鎖線矢印の方向に回転させる(
図5(c))。これにより、第2半球体12は第1半球体11に対して半球体用ヒンジ部13を中心に相対回転可能になる。また、第1半球体11の開口面及び第2半球体12の開口面を上方に向けなければ、即ち第1半球体11の開口面と第2半球体12の開口面とのなす角度を180度にしなければ、半球体用ヒンジピン13bが半球体用ヒンジフック13aから外れることはない。
【0023】
このように構成された虫かご10の使用方法を説明する。第1半球体11と第2半球体12を半球体用ヒンジ部13により係合した後(
図2及び
図3)、第1及び第2開口部11c,12cを合せて、第1半球体11の半球体用係止部14aを第2半球体12の半球体用被係止部14bに係止すると(
図3)、第1及び第2半球体11,12の内部が閉止された閉止状態に保持される。この虫かご10は中空の球体状であるので、虫かご10が倒れるということがなく、また虫かご10が床等に落下しても、落下による外圧を分散させてその衝撃を吸収できる。この結果、虫かご10に意図しない衝撃が作用しても、破損し難い。また、虫かご10が中空の球体状であり、虫かご10の略全周面に複数の通気孔11b,12bが形成されているので、虫はこれらの通気孔11b,12bの縁のどこにでも脚を引っ掛けることができる。この結果、虫の居場所が限定されないので、虫同士の喧嘩の発生を抑制できる。また、虫かご10内で虫が仰向けになっても、仰向け状態の虫の脚の近くに、虫に近付く方向に湾曲する虫かご10が位置するので、虫がその脚を虫かご10の通気孔11b,12bの縁に比較的容易に引っ掛けることができる。この結果、仰向けになった虫は容易に起き上がることができる。
【0024】
また、第1及び第2半球体11,12の内部を閉止した閉止状態の虫かご10から虫を取り出すとき、又は虫が入っている閉止状態の虫かご10に更に虫を入れるとき、第2半球体12の半球体用被係止部14bの近傍を押込む。これにより第2半球体12が弾性変形して、第2半球体12の半球体用被係止部14bが第1半球体11の半球体用係止部14aから外れる。この状態で第2半球体12を第1半球体11に対して半球体用ヒンジ部13を中心に相対的に回転させると、第1及び第2半球体11,12の内部が開放される。このとき、第1半球体11の開口面と第2半球体12の開口面とのなす角度が虫かご10から虫を出し入れできる程度の開口角度(例えば45度)で第1及び第2半球体11,12の内部を開放したときに、虫かご10の第1及び第2周壁11a,12aが虫に覆いかぶさる構造になっている。この結果、上記開口角度で第1及び第2半球体11,12の内部を開放したときに、虫が虫かご10から飛び出そうとしても、この虫が虫かご10の第1周壁11a内面又は第2周壁12a内面に接触し易いので、虫は虫かご10から逃げ出し難い。更に、虫かご10が最小の表面積で最大の物を詰め込むことが可能な中空の球体状であるので、所定の容積を確保するために最小の表面積で済む。この結果、本発明の中空の球体状の虫かご10は、従来の中空の直方体状の虫かごと比較して、同じ容積を確保するためにコンパクト化することができる。
【0025】
一方、半球体用ヒンジピン13bを半球体用ヒンジフック13aに係合するだけで、第2半球体12を第1半球体11に対して相対回転可能に連結でき、半球体用ヒンジピン13bを半球体用ヒンジフック13aから外すだけで、第2半球体12を第1半球体11から分離できる。この結果、第1及び第2半球体11,12の連結及びその解除を極めて容易に行うことができるので、虫かご10への虫の格納及び解放が容易になる。また、半球体用係止部14aを半球体用被係止部14bに係止するだけで、第1及び第2半球体11,12の内部を閉止する閉止状態に保持でき、半球体用係止部14aを半球体用被係止部14bから外すだけで、第1及び第2半球体11,12の内部を開放する開放状態にすることができる。この結果、第1及び第2半球体11,12の閉止状態又は開放状態への変更を極めて容易に行うことができる。
【0026】
一方、中空の球体状に形成された虫かご10は、音を全方位に拡散した後、反射して戻ってくることにより、独自の魅力的な音場を作るので、この虫かご10内の鈴虫など鳴く虫の音がより綺麗に聞こえる。また、中空の球体状に形成された虫かご10の周りには、虫かご10の外周面に沿って空気がスムーズに流れ、自然対流が発生することにより、冷暖房効果が高まるので、虫の生息に適した環境になり、虫を長生きさせることができる。更に、球体状の虫かご10は、デザイン性に優れているため、インテリアとしても観者の目を引く。
【0027】
<第2の実施の形態>
図9~
図11は本発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、第2半球体32の湾曲面中央に第2開口部32cより小さい第3開口部32gが形成され、第3開口部32gにこの第3開口部32gを開閉可能な蓋体36が取付けられる。この実施の形態では、第1半球体31は、複数の第1通気孔31bが形成された第1周壁31aと、第1開口部31cを形成するために第1周壁31aと一体的に形成された比較的幅の広い第1帯状リング31dとを有する(
図9~
図10)。第2半球体32は、複数の第2通気孔32bが形成された第2周壁32aと、第2周壁32aと一体的に形成された比較的幅の広い第2帯状リング32dと、この第2帯状リング32dとは別に形成され第2開口部32cを形成するために第2帯状リング32dに係合するリング部材32eとを有する。リング部材32eは、第2帯状リング32dに形成された複数の角孔32hに、リング部材32eの爪32iを引っ掛けることにより、リング部材32eが第2帯状リング32dに係合するようになっている(
図9及び
図10)。また、第1半球体31の第1帯状リング31dの第1開口部31cと第2半球体32のリング部材32eの第2開口部32cとを合せることにより、第1半球体31と第2半球体32とが合体されるように構成される。なお、
図9及び
図10中の符号32fはリング部材32eと一体的に形成された円板部材である。また、第1及び第2半球体31,32は、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)等のプラスチックにより形成される。更に、リング部材32eは、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等のプラスチックにより形成される。
【0028】
一方、第1及び第2開口部31c,32cを合せて内部を閉止した閉止状態又は第1及び第2開口部31c,32cをそれぞれ露出させて内部を開放した開放状態のいずれかに変更可能な半球体用ヒンジ部33は、第1開口部31c周縁に第1半球体31の第1帯状リング31dと一体的に設けられた半球体用ヒンジフック33aと、第2開口部32c周縁に第2半球体32のリング部材32eと一体的に設けられ半球体用ヒンジフック33aに係合可能な半球体用ヒンジピン33bとを有する(
図9及び
図10)。また、第1及び第2半球体31,32に設けられ第1及び第2半球体31,32を上記閉止状態に保持可能な半球体用係止機構34は、第2開口部32c周縁に第2半球体32のリング部材32eの円板部材32fと一体的に設けられた半球体用係止部34aと、第1開口部31c周縁に第1半球体31と一体的に設けられ半球体用係止部34aが係止可能な半球体用被係止部34bとを有する。
【0029】
図11に示すように、第3開口部32gは、この実施の形態では、円形状に形成される。第3開口部32gの周縁には、所定の間隔をあけて外方に突出する一対の枢着用起立片37aがそれぞれ形成される。また、第3開口部32gの周縁には、第3開口部32cを挟んで一対の枢着用起立片37aに対向するように一対の係止用起立片38aがそれぞれ形成される。更に、一対の枢着用起立片37aには蓋用ヒンジ孔37bがそれぞれ形成され、一対の係止用起立片38aには互いに対向する面に蓋用係止ピン38bがそれぞれ突設される。
【0030】
蓋体36は、この蓋体36により第3開口部32gを閉止したときに第2半球体32の湾曲面になだらかに連なって湾曲する円板状に形成される(
図9~
図11)。また、蓋体36の外周縁には、両端が上記一対の蓋用ヒンジ孔37bに係合する単一の蓋体用ヒンジピン37cが蓋体36と一体的に形成される。更に、蓋体36の外周縁には、この蓋体36を挟んで蓋用ヒンジピン37cに対向する位置に単一の蓋用係止突片38cが蓋体36と一体的に形成される(
図11)。この蓋用係止突片38cの幅は一対の係止用起立片38aの内幅より狭くかつ一対の蓋用係止ピン38bの先端間の間隔より広く形成される。上記一対の枢着用起立片37a、一対の蓋用ヒンジ孔37b及び単一の蓋用ヒンジピン37cにより蓋用ヒンジ部37が構成され、上記一対の係止用起立片38a、一対の蓋用係止ピン38b及び単一の蓋用係止突片38cにより蓋用係止機構38が構成される。なお、蓋体36は、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等のプラスチックにより形成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0031】
このように構成された虫かご30では、第3開口部32gを閉止する蓋体36を開放することにより、虫かご30に虫を出し入れすることができるので、虫かご30への虫の出し入れが第1の実施の形態の虫かごより容易になる。上記以外の動作は、第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0032】
なお、上記第1の実施の形態では、半球体用ヒンジ部の半球体用ヒンジフックを第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設け、半球体用ヒンジピンを第2開口部周縁に第2半球体と一体的に設けたが、半球体用ヒンジ部の半球体用ヒンジフックを第2開口部周縁に第2半球体と一体的に設け、半球体用ヒンジピンを第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設けてもよい。また、上記第2の実施の形態では、半球体用ヒンジ部の半球体用ヒンジフックを第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設け、半球体用ヒンジピンを第2開口部周縁に第2半球体のリング部材と一体的に設けたが、半球体用ヒンジ部の半球体用ヒンジフックを第2開口部周縁に第2半球体のリング部材と一体的に設け、半球体用ヒンジピンを第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設けてもよい。
【0033】
また、上記第1の実施の形態では、半球体用係止機構の半球体用係止部を第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設け、半球体用被係止部を第2開口部周縁に第2半球体と一体的に設けたが、半球体用係止機構の半球体用係止部を第2開口部周縁に第2半球体と一体的に設け、半球体用被係止部を第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設けてもよい。また、上記第2の実施の形態では、半球体用係止機構の半球体用係止部を第2開口部周縁に第2半球体のリング部材と一体的に設け、半球体用被係止部を第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設けたが、半球体用係止機構の半球体用係止部を第1開口部周縁に第1半球体と一体的に設け、半球体用被係止部を第2開口部周縁に第2半球体のリング部材と一体的に設けてもよい。
【0034】
また、上記第2の実施の形態では、蓋体により開閉されかつ第2開口部より小さい第3開口部を第2半球体の湾曲面中央に形成したが、蓋体により開閉されかつ第1開口部より小さい第3開口部を第1半球体の湾曲面中央に形成してもよい。更に、上記第2の実施の形態では、第3開口部を円形状に形成し、蓋体をこの蓋体により第3開口部を閉止したときに第2半球体の湾曲面になだらかに連なって湾曲する円板状に形成したが、第3開口部を四角形状、五角形状又はその他の多角形状に形成し、蓋体をこの蓋体により第3開口部を閉止したときに第2半球体の湾曲面になだらかに連なって湾曲する四角板状、湾曲する五角板状又はその他の湾曲する多角板状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10,30 虫かご
11,31 第1半球体
11a,31a 第1周壁
11b,31b 第1通気孔
11c,31c 第1開口部
12,32 第2半球体
12a,32a 第2周壁
12b,32b 第2通気孔
12c,32c 第2開口部
13,33 半球体用ヒンジ部
13a,33a 半球体用ヒンジフック
13b,33b 半球体用ヒンジピン
14,34 半球体用係止機構
14a,34a 半球体用係止部
14b,34b 半球体用被係止部
32g 第3開口部
36 蓋体