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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/193 20060101AFI20230307BHJP
   H03F 3/60 20060101ALI20230307BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230307BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230307BHJP
   H03F 1/42 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H03F3/193
H03F3/60
H01L27/04 F
H01L27/04 E
H03F1/42
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019098593
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020195031
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 直行
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-32376(JP,A)
【文献】特開平2-246405(JP,A)
【文献】特開2003-243942(JP,A)
【文献】国際公開第2013/160962(WO,A1)
【文献】特表2014-502797(JP,A)
【文献】特開2004-228989(JP,A)
【文献】特表2008-526044(JP,A)
【文献】特開2000-12871(JP,A)
【文献】特開2001-94357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0381122(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/193
H03F 3/60
H01L 21/822
H03F 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の端辺を有する半導体基板、前記半導体基板上にソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極を有するトランジスタが複数設けられ、前記一対の端辺のうち一方に沿って前記半導体基板上に配置され、前記複数のトランジスタのそれぞれの前記ゲート電極と接続されてなる複数のゲートパッドを含むゲートパッド群、前記一対の端辺のうち他方に沿って前記半導体基板上に配置され、前記複数のトランジスタのそれぞれの前記ドレイン電極と接続されてなる複数のドレインパッドを含むドレインパッド群、並びに、前記複数のトランジスタのそれぞれの前記ソース電極と接続されてなる複数のソースパッドを含むソースパッド群を有する半導体チップと、
前記半導体チップの底面が接合される金属製のベース、前記半導体チップを取り囲む絶縁性の側壁、前記ゲートパッド群と接続され前記側壁の内側から外側へ延在する入力リード、及び前記ドレインパッド群と接続され前記側壁の内側から外側へ延在する出力リードを有するパッケージと、
前記金属製のベース上に設けられる誘電体基板および前記誘電体基板上に配置された帰還抵抗、並びに前記帰還抵抗と直列に接続されたキャパシタを有し、前記ゲートパッド群と前記ドレインパッド群との間に電気的に接続された第1及び第2の帰還回路と、
を備え、
前記第1の帰還回路は、前記一対の端辺の延在方向における前記半導体チップの一方側の前記ベース上に配置されており、
前記第2の帰還回路は、前記延在方向における前記半導体チップの他方側の前記ベース上に配置されている、増幅装置。
【請求項2】
前記第1の帰還回路の前記帰還抵抗の抵抗値と、前記第2の帰還回路の前記帰還抵抗の抵抗値とが互いに等しい、請求項1に記載の増幅装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の帰還回路の前記キャパシタは、前記出力リード上に設けられたダイキャパシタである、請求項1または請求項2に記載の増幅装置。
【請求項4】
前記誘電体基板は、金属含有接着剤を介して前記ベースに固定され、
前記第1及び第2の帰還回路は、前記ゲートパッド群と前記帰還抵抗との間に電気的に接続された入力側キャパシタと、前記ドレインパッド群と前記帰還抵抗との間に電気的に接続された出力側キャパシタとを有する、請求項1または請求項2に記載の増幅装置。
【請求項5】
前記半導体チップは、前記一対の端辺の延在方向における前記ゲートパッド群の一方側の前記半導体基板上に設けられた第1の補助パッドと、前記延在方向における前記ゲートパッド群の他方側の前記半導体基板上に設けられた第2の補助パッドとを更に有し、
前記第1の帰還回路は前記第1の補助パッドを介して前記ゲートパッド群と電気的に接続され、前記第2の帰還回路は前記第2の補助パッドを介して前記ゲートパッド群と電気的に接続されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の帰還回路の前記帰還抵抗は、前記誘電体基板の主面に形成された薄膜抵抗である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項7】
前記誘電体基板は前記半導体基板よりも厚い、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の帰還回路の前記帰還抵抗は、前記帰還抵抗の延在方向に並ぶ複数のボンディングパッドを有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、広帯域増幅器に関する技術が記載されている。この広帯域増幅器は、信号増幅用トランジスタを備える。信号増幅用トランジスタの入力側及び出力側のそれぞれには、インダクタンスからなる整合回路と、コンデンサからなる整合回路とが接続されている。更に、抵抗及びコンデンサを含む並列帰還回路が、分割された入力整合回路の分割点と、分割された出力整合回路の分割点との間に接続されている。特許文献1に記載された広帯域増幅器は、このような構成を備えることによって、高周波領域の利得の低下を少なくし、増幅器としての周波数帯域を広くすることを企図している。
【0003】
特許文献2には、マイクロ波増幅器に関する技術が記載されている。このマイクロ波増幅器は、入力端子および出力端子を有する増幅素子と、この増幅素子の出力端子側に出力された出力の一部を、増幅素子の入力端子側に帰還する帰還回路とを備える。帰還回路は、増幅素子の位置する面の上方または下方を通るように形成されている。または、帰還回路は、増幅素子の接地端子が接地される2か所の接地場所で挟まれた内側領域を通るように形成されている。特許文献2に記載されたマイクロ波増幅器は、帰還回路長を短くし、特性を向上することを企図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-315865号公報
【文献】特開平6-037559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、高周波且つ広帯域に対応できる半導体増幅装置が求められている。ここでいう広帯域とは、例えば、数十kHzから数百kHzのLF(Low Freqency)帯から、数GHzのRF(Low Freqency)帯までをカバーする周波数帯域である。このような広い周波帯域を対象として、トランジスタの増幅特性を向上させる手法として、トランジスタのドレインからゲートに帰還を施す手法がある(例えば特許文献1,2を参照)。トランジスタのゲートとドレインとでは信号の位相が180°異なるので、ドレインからゲートに帰還を施した回路は負帰還回路となる。そして、利得帯域幅積(GB積)一定の法則により、利得が減じた分だけ帯域が拡大する。帰還回路は、例えば抵抗及びキャパシタの直列回路により構成される。
【0006】
一方、近年の高周波トランジスタにはより大きな電流に対応できるものが望まれている。そのため、トランジスタのサイズが次第に大型化しており、例えば数十本といった多数のゲートフィンガを有するものも実用化されつつある。このようなサイズの大きなトランジスタでは、ゲートとドレインとを接続する帰還回路の配線経路が長くなり、配線のインダクタンスがトランジスタの周波数特性の乱れを誘発する。
【0007】
そこで、本開示は、帰還回路の配線経路を短くしてトランジスタの周波数特性の乱れを抑制できる増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る増幅装置は、互いに対向する一対の端辺を有する半導体基板、半導体基板上にソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極を有するトランジスタが複数設けられ、一対の端辺のうち一方に沿って半導体基板上に配置され、複数のトランジスタのそれぞれのゲート電極と接続されてなる複数のゲートパッドを含むゲートパッド群、一対の端辺のうち他方に沿って半導体基板上に配置され、複数のトランジスタのそれぞれのドレイン電極と接続されてなる複数のドレインパッドを含むドレインパッド群、並びに、複数のトランジスタのそれぞれのソース電極と接続されてなる複数のソースパッドを含むソースパッド群を有する半導体チップと、半導体チップの底面が接合される金属製のベース、半導体チップを取り囲む絶縁性の側壁、ゲートパッド群と接続され側壁の内側から外側へ延在する入力リード、及びドレインパッド群と接続され側壁の内側から外側へ延在する出力リードを有するパッケージと、金属製のベース上に設けられる誘電体基板および誘電体基板上に配置された帰還抵抗、並びに帰還抵抗と直列に接続されたキャパシタを有し、ゲートパッド群とドレインパッド群との間に電気的に接続された第1及び第2の帰還回路と、を備える。第1の帰還回路は、一対の端辺の延在方向における半導体チップの一方側のベース上に配置されており、第2の帰還回路は、延在方向における半導体チップの他方側のベース上に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、帰還回路の配線経路を短くしてトランジスタの周波数特性の乱れを抑制できる増幅装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る増幅装置の構成を示す平面図である。
図2図2は、半導体チップ10を拡大して示す平面図である。
図3図3は、半導体チップ10及び帰還回路30A,40Aを前壁部分22aから見た示す図である。
図4図4は、増幅装置1Aの回路図である。
図5図5は、第1変形例に係る増幅装置1Bの平面図である。
図6図6は、第2変形例に係る増幅装置1Cの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。一実施形態に係る増幅装置は、互いに対向する一対の端辺を有する半導体基板、半導体基板上にソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極を有するトランジスタが複数設けられ、一対の端辺のうち一方に沿って半導体基板上に配置され、複数のトランジスタのそれぞれのゲート電極と接続されてなる複数のゲートパッドを含むゲートパッド群、一対の端辺のうち他方に沿って半導体基板上に配置され、複数のトランジスタのそれぞれのドレイン電極と接続されてなる複数のドレインパッドを含むドレインパッド群、並びに、複数のトランジスタのそれぞれのソース電極と接続されてなる複数のソースパッドを含むソースパッド群を有する半導体チップと、半導体チップの底面が接合される金属製のベース、半導体チップを取り囲む絶縁性の側壁、ゲートパッド群と接続され側壁の内側から外側へ延在する入力リード、及びドレインパッド群と接続され側壁の内側から外側へ延在する出力リードを有するパッケージと、金属製のベース上に設けられる誘電体基板および誘電体基板上に配置された帰還抵抗、並びに帰還抵抗と直列に接続されたキャパシタを有し、ゲートパッド群とドレインパッド群との間に電気的に接続された第1及び第2の帰還回路と、を備える。第1の帰還回路は、一対の端辺の延在方向における半導体チップの一方側のベース上に配置されており、第2の帰還回路は、延在方向における半導体チップの他方側のベース上に配置されている。
【0012】
この増幅装置では、パッケージ内において半導体チップを搭載するベース上に、半導体チップと並んで第1及び第2の帰還回路が設けられている。従って、例えばパッケージの外部に帰還回路を設ける場合と比較して、帰還回路の配線経路を短くすることが可能となる。故に、この増幅装置によれば、半導体チップの周波数特性の乱れを効果的に抑制できる。また、この増幅装置では帰還回路が少なくとも2つ設けられ、第1の帰還回路は一対の端辺の延在方向における半導体チップの一方側に設けられ、第2の帰還回路は該延在方向における半導体チップの他方側に設けられている。この場合、帰還回路が半導体チップの片側のみに設けられる場合と比較して、各ゲートパッド及び各ドレインパッドと帰還回路との距離差に起因する特性ばらつきを低減することができる。
【0013】
上記の増幅装置において、第1の帰還回路の帰還抵抗の抵抗値と、第2の帰還回路の帰還抵抗の抵抗値とが互いに等しくてもよい。この場合、第1及び第2の帰還回路に均等な特性を与えて、半導体チップの周波数特性の乱れを更に効果的に抑制できる。
【0014】
上記の増幅装置において、第1及び第2の帰還回路のキャパシタは、出力リード上に設けられたダイキャパシタであってもよい。この場合、狭いパッケージ内においてキャパシタを容易に配置することができる。
【0015】
上記の増幅装置において、誘電体基板は、金属含有接着剤を介してベースに固定され、第1及び第2の帰還回路は、ゲートパッド群と帰還抵抗との間に電気的に接続された入力側キャパシタと、ドレインパッド群と帰還抵抗との間に電気的に接続された出力側キャパシタとを有してもよい。多くの場合、ゲートバイアスは負電圧であり、誘電体基板とベースとを固定する金属含有接着剤(例えば銀ペースト)の金属が水分によりイオン化すると、その金属イオンが誘電体基板上の負電位の配線に向けて這い上がる(イオンマイグレーション)。上記のように入力側キャパシタ及び出力側キャパシタを設けると、これらのキャパシタ間ではバイアスが遮断されて電位が不定となる。従って、イオンマイグレーションを抑制することができる。
【0016】
上記の増幅装置において、半導体チップは、一対の端辺の延在方向におけるゲートパッド群の一方側の半導体基板上に設けられた第1の補助パッドと、該延在方向におけるゲートパッド群の他方側の半導体基板上に設けられた第2の補助パッドとを更に有し、第1の帰還回路は第1の補助パッドを介してゲートパッド群と電気的に接続され、第2の帰還回路は第2の補助パッドを介してゲートパッド群と電気的に接続されてもよい。この場合、第1及び第2の帰還回路とゲートパッド群とを容易に接続することができる。
【0017】
上記の増幅装置において、第1及び第2の帰還回路の帰還抵抗は、誘電体基板の主面に形成された薄膜抵抗であってもよい。この場合、帰還抵抗を容易に実現することができる。
【0018】
上記の増幅装置において、誘電体基板は半導体基板よりも厚くてもよい。この場合、誘電体基板上の帰還回路の配線とベースとの間に生じる寄生容量を小さく抑えることができる。
【0019】
上記の増幅装置において、第1及び第2の帰還回路の帰還抵抗は、帰還抵抗の延在方向に並ぶ複数のボンディングパッドを有してもよい。この場合、ボンディングワイヤを用いて任意のボンディングパッド間を短絡させることにより、帰還抵抗の抵抗値を任意の大きさに容易に調整することができる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の増幅装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る増幅装置の構成を示す平面図である。この増幅装置1Aは、半導体チップ10と、パッケージ20と、第1の帰還回路30Aと、第2の帰還回路40Aとを備える。半導体チップ10は、半導体基板上にソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極を有するトランジスタが複数設けられてなる。半導体チップ10を構成するトランジスタは、例えばゲート幅が6mmのFETであって、一例ではGaN系半導体を主に含む高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。半導体チップ10の最大出力は、例えば30Wである。
【0022】
図2は、半導体チップ10を拡大して示す平面図である。半導体チップ10は、半導体基板11と、半導体基板11の主面上に設けられた、ゲートパッド群12、ドレインパッド群13、第1の補助パッド14、第2の補助パッド15、及びソースパッド群16を有する。半導体基板11は、方向D1を長手方向とする長方形状の平面形形状を有している。半導体基板11は、方向D1に沿ってそれぞれ延在し、方向D1と交差する方向に互いに対向する一対の端辺11a,11bを有する。また、半導体基板11は、端辺11a,11bの一端同士を繋ぎ方向D1と交差する方向に延在する側辺11cと、端辺11a,11bの他端同士を繋ぎ方向D1と交差する方向に延在する側辺11dとを更に有する。
【0023】
ゲートパッド群12は、複数のトランジスタのそれぞれのゲート電極と接続されてなる複数のゲートパッド12aを含む。複数のゲートパッド12aは、半導体基板11上に形成された金属膜(例えばAu膜)であって、一対の端辺11a,11bのうち一方(例えば端辺11a)に沿って半導体基板11上に並んで配置されている。なお、図には4つのゲートパッド12aが例として示されているが、ゲートパッド12aの個数は2以上の任意の個数である。各ゲートパッド12aは、半導体基板11の活性領域上に設けられた図示しない1本又は2本以上(例えば6本)のゲート電極(ゲートフィンガ)と電気的に接続されており、図1に示されるように、ボンディングワイヤ51を介してパッケージ20の入力リード23(後述)と電気的に接続されている。なお、各ゲート電極と半導体との接触幅(単位ゲート幅)は例えば200μmである。
【0024】
ドレインパッド群13は、複数のトランジスタのそれぞれのドレイン電極と接続されてなる複数のドレインパッド13aを含む。複数のドレインパッド13aは、半導体基板11上に形成された金属膜(例えばAu膜)であって、一対の端辺11a,11bのうち他方(例えば端辺11b)に沿って半導体基板11上に並んで配置されている。ドレインパッド13aの個数は、例えばゲートパッド12aの個数と同じである。各ドレインパッド13aは、半導体基板11の活性領域上に設けられた図示しない2本以上のドレイン電極(ドレインフィンガ)と電気的に接続されており、図1に示されるように、ボンディングワイヤ52を介してパッケージ20の出力リード24(後述)と電気的に接続されている。
【0025】
補助パッド14は、半導体基板11上に形成された金属膜(例えばAu膜)であって、方向D1におけるゲートパッド群12の一方側の半導体基板11上の領域(すなわち、ゲートパッド群12と側辺11cとの間の領域)に設けられている。補助パッド14は、半導体基板11上に設けられた配線を通じて、ゲートパッド群12と電気的に接続されている。また、図1に示されるように、補助パッド14は、ボンディングワイヤ53を介して帰還回路30Aと電気的に接続されている。
【0026】
補助パッド15は、半導体基板11上に形成された金属膜(例えばAu膜)であって、方向D1におけるゲートパッド群12の他方側の半導体基板11上の領域(すなわち、ゲートパッド群12と側辺11dとの間の領域)に設けられている。補助パッド15は、半導体基板11上に設けられた配線を通じて、ゲートパッド群12と電気的に接続されている。また、図1に示されるように、補助パッド15は、ボンディングワイヤ54を介して帰還回路30Aと電気的に接続されている。
【0027】
ソースパッド群16は、複数のトランジスタのそれぞれのソース電極と接続されてなる複数のソースパッド16aを含む。複数のソースパッド16aは、半導体基板11上に形成された金属膜(例えばAu膜)であって、一対の端辺11a,11bのうち一方(例えば端辺11a)に沿ってゲートパッド12aと交互に、半導体基板11上に並んで配置されている。各ソースパッド16aは、半導体基板11の活性領域上に設けられた図示しない2本以上のソース電極(ソースフィンガ)と電気的に接続されている。また、各ソースパッド16aは、半導体基板11を貫通するビアを介して半導体チップ10の裏面電極膜(不図示)と電気的に接続されている。
【0028】
なお、1個のゲートパッド12aに接続された1又は2以上のゲートフィンガと、それらのゲートフィンガを挟むソースフィンガ及びドレインフィンガとは、1個のトランジスタユニットを構成する。図2には4個のトランジスタユニットを含む半導体チップ10が示されているが、トランジスタユニットの個数は任意である。例えば、半導体チップ10が8個のトランジスタユニットを含む場合、トランジスタユニットの並び方向(方向D1)における半導体チップ10の全幅は例えば6mmにもなる。
【0029】
再び図1を参照する。パッケージ20は、ベース21、側壁22、入力リード23、及び出力リード24を有する。ベース21は金属製の板状の部材である。方向D1におけるベース21の両端には、ネジ止めにより増幅装置1Aを固定するための半円形の一対の凹部21b,21cが形成されている。ベース21は平坦な主面21aを有しており、方向D1における該主面21aの中央部には、半導体チップ10の底面(裏面電極膜)が金属含有接着剤を介して導電接合されている。金属含有接着剤は、例えば焼結型の金属ペースト(一例では銀ペースト)である。半導体チップ10のベース21への導電接合は、例えば、金属ペーストをベース21の主面21aに塗布し、半導体チップ10を該金属ペースト上に配置したのち、金属ペーストに含まれる樹脂を熱処理により揮発させることにより行われる。多くの場合、ベース21は基準電位(GND電位)に規定されるので、半導体チップ10のソース電極は、裏面電極膜及びビアを通じて基準電位に規定される。
【0030】
側壁22は、半導体チップ10を取り囲む絶縁性の部材であって、ベース21の主面21a上に立設している。本実施形態の側壁22の平面形状は、方向D1を長手方向とする略長方形の枠状である。具体的には、側壁22は、方向D1に沿ってそれぞれ延在すると共に方向D1と交差する方向に互いに対向する前壁部分22a及び後壁部分22bと、前壁部分22a及び後壁部分22bの各一端を繋ぐ側壁部分22cと、前壁部分22a及び後壁部分22bの各他端を繋ぐ側壁部分22dとを含む。側壁22は、例えばセラミック製である。なお、側壁22の上面には図示しない蓋部(リッド)が接合され、これにより側壁22の内側は気密に封止される。
【0031】
入力リード23は、金属製の板状部材であって、前壁部分22aを貫通し、前壁部分22aの内側から外側へ延在している。入力リード23の上面は、前壁部分22aの内側及び外側の双方において前壁部分22aから露出している。前壁部分22aの内側における入力リード23の上面は、複数のボンディングワイヤ51を介して複数のゲートパッド12aと電気的に接続されている。一例では、1個のゲートパッド12aにつき1本のボンディングワイヤ51が接続されている。前壁部分22aの外側に位置する入力リード23の部分には、増幅装置1Aの外部の配線が導電接続される。
【0032】
出力リード24は、入力リード23と同様の金属製の板状部材であって、後壁部分22bを貫通し、後壁部分22bの内側から外側へ延在している。出力リード24の上面は、後壁部分22bの内側及び外側の双方において後壁部分22bから露出している。後壁部分22bの内側における出力リード24の上面は、複数のボンディングワイヤ52を介して複数のドレインパッド13aと電気的に接続されている。一例では、1個のドレインパッド13aにつき2本のボンディングワイヤ52が接続されている。後壁部分22bの外側に位置する出力リード24の部分には、増幅装置1Aの外部の配線が導電接続される。
【0033】
帰還回路30Aは、方向D1における半導体チップ10の一方側のベース21上の領域に配置されている。帰還回路30Aは、誘電体基板31、帰還抵抗32、及びキャパシタ33を有する。帰還回路40Aは、方向D1における半導体チップ10の他方側のベース21上の領域に配置されている。帰還回路40Aは、誘電体基板41、帰還抵抗42、及びキャパシタ43を有する。帰還回路30A,40Aの一端側はそれぞれ補助パッド14,15を介してゲートパッド群12と電気的に接続されており、帰還回路30A,40Aの他端側は出力リード24と電気的に接続されている。
【0034】
誘電体基板31,41は、方向D1を短手方向とする長方形状の平面形状を有し、例えばAl23といったセラミックからなる。図3は、半導体チップ10及び帰還回路30A,40Aを前壁部分22aから見た示す図である。図3に示すように、誘電体基板31,41は半導体基板11よりも厚い。一例では、誘電体基板31,41の厚さは250μm程度であり、半導体基板11の厚さは100μm程度である。
【0035】
誘電体基板31は、互いに対向する主面31a及び裏面31bを有する。同様に、誘電体基板41は、互いに対向する主面41a及び裏面41bを有する。誘電体基板31,41の裏面31b,41bはベース21の主面21aと対向しており、金属含有接着剤を介して主面21aに接合されている。金属含有接着剤は、例えば焼結型の金属ペースト(一例では銀ペースト)である。誘電体基板31,41とベース21との接合方法は、半導体チップ10のベース21への接合方法と同様である。すなわち、焼結型の金属ペーストをベース21の主面21aに塗布し、誘電体基板31,41を該金属ペースト上に配置したのち、金属ペーストに含まれる樹脂を熱処理により揮発させることにより行われる。ベース21への誘電体基板31,41の接合は、ベース21への半導体チップ10の接合と同時に行われてもよい。
【0036】
帰還抵抗32は、誘電体基板31上に配置され、誘電体基板31の長手方向に延びている。帰還抵抗32は、例えば誘電体基板31の主面31aに形成された薄膜抵抗であり、一例ではNiCrからなる。帰還抵抗32の抵抗値は例えば300Ωである。主面31aにおける帰還抵抗32の両端には、ワイヤボンディングのためのパッド34,35が設けられている。一方のパッド34には前述したボンディングワイヤ53の一端が接続され、該パッド34はボンディングワイヤ53を介して補助パッド14と電気的に接続されている。これにより、帰還抵抗32のDC電位はゲートバイアス(例えば-2.8V)に規定される。他方のパッド35は、ボンディングワイヤ55を介してキャパシタ33の一方の電極と電気的に接続されている。
【0037】
帰還抵抗42は、誘電体基板41上に配置され、誘電体基板41の長手方向に延びている。帰還抵抗42は、帰還抵抗32と同様に、例えば誘電体基板41の主面41aに形成された薄膜抵抗であり、一例ではNiCrからなる。帰還抵抗42の抵抗値は、例えば帰還抵抗32の抵抗値と等しい。主面41aにおける帰還抵抗42の両端には、ワイヤボンディングのためのパッド44,45が設けられている。一方のパッド44には前述したボンディングワイヤ54の一端が接続され、該パッド44はボンディングワイヤ54を介して補助パッド15と電気的に接続されている。これにより、帰還抵抗42のDC電位はゲートバイアスに規定される。他方のパッド45は、ボンディングワイヤ56を介してキャパシタ43の一方の電極と電気的に接続されている。帰還抵抗42の抵抗値は、帰還抵抗32の抵抗値と等しい。
【0038】
キャパシタ33は、側壁22の内側の出力リード24と補助パッド14との間において、帰還抵抗32と直列に接続されている。本実施形態のキャパシタ33は側壁22の内側の出力リード24上に配置されたダイキャパシタであり、ボンディングワイヤ55に接続された電極とは反対側の電極と出力リード24とが導電接合されている。同様に、キャパシタ43は、側壁22の内側の出力リード24と補助パッド15との間において、帰還抵抗42と直列に接続されている。本実施形態のキャパシタ43は側壁22の内側の出力リード24上に配置されたダイキャパシタであり、ボンディングワイヤ56に接続された電極とは反対側の電極と出力リード24とが導電接合されている。キャパシタ43の容量値は、キャパシタ33の容量値と等しい。キャパシタ33,43の容量値は、数GHz帯~LF帯において実質ショートと見なせる大きさであり、例えば20pFである。
【0039】
なお、本実施形態では帰還回路30A,40Aの各一端は、補助パッド14,15をそれぞれ介してゲートパッド群12と接続されているが、補助パッド14,15を介さずに、ボンディングワイヤ等を介してゲートパッド群12と直接接続されてもよい。また、本実施形態では帰還回路30A,40Aの各他端は、出力リード24を介してドレインパッド群13と接続されているが、出力リード24を介さずに、ボンディングワイヤ等を介してドレインパッド群13と直接接続されてもよい。
【0040】
以上に説明した本実施形態の増幅装置1Aによって得られる効果について説明する。図4は、本実施形態の増幅装置1Aの回路図である。本実施形態では、広い周波帯域において半導体チップ10の増幅特性を向上させるために、帰還回路30A,40Aによって、半導体チップ10のドレインからゲートに帰還を施す。半導体チップ10のゲートとドレインとでは信号の位相が180°異なるので、ドレインからゲートに帰還を施す回路は負帰還回路となる。そして、利得帯域幅積(GB積)一定の法則により、利得が減じた分だけ帯域が拡大する。なお、帰還は専ら帰還抵抗32,42に依存し、キャパシタ33,43は直流成分を遮断するために設けられる。キャパシタ33,43の容量値としては、帰還が作用する周波数帯域において実質的にショート(短絡)と見なすことのできる値が設定される。
【0041】
一方、近年の高周波トランジスタにはより大きな電流に対応できるものが望まれている。そのため、半導体チップのサイズが次第に大型化しており、本実施形態のように、例えば数十本といった多数のゲートフィンガを有するものも実用化されつつある。このようなサイズの大きな半導体チップを備える増幅装置において、従来のように、装置外部の入力リード23と出力リード24との間に帰還回路を接続すると、帰還回路の配線経路が長くなり、配線のインダクタンスがトランジスタの周波数特性の乱れを誘発する。
【0042】
本実施形態の増幅装置1Aでは、パッケージ20内において半導体チップ10を搭載するベース21上に、半導体チップ10と並んで帰還回路30A,40Aが設けられている。従って、例えばパッケージ20の外部に帰還回路を設ける場合と比較して、帰還回路の配線経路を短くすることが可能となる。故に、この増幅装置1Aによれば、半導体チップ10の周波数特性の乱れを効果的に抑制できる。
【0043】
また、帰還回路が半導体チップ10の片側のみに設けられる場合、方向D1に並ぶゲートパッド12aの個数が多くなるほど、各ゲートパッド12aの位置に応じて帰還回路との距離に差が生じる。同様に、方向D1に並ぶドレインパッド13aの個数が多くなるほど、各ゲートパッド12aの位置に応じて帰還回路との距離に差が生じる。各ゲートパッド12aと帰還回路とを接続する配線はその長さに応じたインダクタンスを有するので、これらの距離差は、帰還効果の差となって、半導体チップ10に含まれる各トランジスタの特性ばらつきの要因となる。特に、数GHzを超える周波数領域では、配線のインダクタンスによる帰還効果への影響が大きくなり、周波数特性の乱れが顕著に現れてしまう。
【0044】
これに対し、本実施形態では、2つの帰還回路30A,40Aが設けられ、一方の帰還回路30Aは方向D1における半導体チップ10の一方側に設けられ、他方の帰還回路40Aは方向D1における半導体チップ10の他方側に設けられている。この場合、帰還回路に対する各ゲートパッド12a及び各ドレインパッド13aの距離差を短縮し、該距離差に起因する特性ばらつきを低減することができる。また、帰還回路が半導体チップ10の片側のみに設けられる場合と比較して、帰還回路と半導体チップ10とを接続する配線の長さを短くすることができるので、配線のインダクタンスによる帰還効果への影響を更に低減することができる。
【0045】
本実施形態のように、帰還回路30Aの帰還抵抗32の抵抗値と、帰還回路40Aの帰還抵抗42の抵抗値とが互いに等しくてもよい。この場合、帰還回路30A,40Aに均等な特性を与えて、半導体チップ10の周波数特性の乱れを更に効果的に抑制できる。
【0046】
本実施形態のように、帰還回路30A,40Aのキャパシタ33,43は、出力リード24上に設けられたダイキャパシタであってもよい。この場合、狭いパッケージ20内においてキャパシタ33,43を容易に配置することができる。また、キャパシタ33,43と出力リード24とを接続するボンディングワイヤを不要として、配線のインダクタンスを低減することができる。
【0047】
本実施形態のように、半導体チップ10は、方向D1におけるゲートパッド群12の一方側の半導体基板11上に設けられた補助パッド14と、方向D1におけるゲートパッド群12の他方側の半導体基板11上に設けられた補助パッド15とを有してもよい。そして、帰還回路30Aは補助パッド14を介してゲートパッド群12と接続され、帰還回路40Aは補助パッド15を介してゲートパッド群12と接続されてもよい。この場合、帰還回路30A,40Aとゲートパッド群12とを容易に接続することができる。
【0048】
本実施形態のように、帰還回路30Aの帰還抵抗32は、誘電体基板31の主面31aに形成された薄膜抵抗であってもよい。同様に、帰還回路40Aの帰還抵抗42は、誘電体基板41の主面41aに形成された薄膜抵抗であってもよい。これらの場合、帰還抵抗32,42を容易に実現することができる。
【0049】
本実施形態のように、帰還回路30A,40Aの帰還抵抗32,42は、それぞれ誘電体基板31,41上に設けられてもよい。この場合、誘電体基板31上の帰還回路30Aの配線とベース21との間に生じる寄生容量、及び誘電体基板41上の帰還回路40Aの配線とベース21との間に生じる寄生容量を小さく抑えることができる。特に、誘電体基板31,41が半導体基板11よりも厚い場合、これらの寄生容量をより効果的に抑えることができる。
【0050】
(第1変形例)
図5は、上記実施形態の第1変形例に係る増幅装置1Bの平面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、帰還回路の構成及び形状である。具体的には、本変形例の増幅装置1Bは、上記実施形態の帰還回路30A,40Aに代えて、帰還回路30B,40Bを有する。帰還回路30Bは、上記実施形態の帰還抵抗32に代えて、帰還抵抗36を有する。また、帰還回路40Bは、上記実施形態の帰還抵抗42に代えて、帰還抵抗46を有する。
【0051】
図5に示すように、本変形例では帰還抵抗を長くして更に高抵抗とするため、帰還抵抗36,46は、誘電体基板31,41上の長手方向における一端から他端にわたって複数回曲折しながら延在している。また、帰還抵抗36上には帰還抵抗36の延在方向に沿って複数のボンディングパッド37が並んで設けられている。任意の対のボンディングパッド37をワイヤボンディングにより短絡することで、帰還抵抗36の抵抗値を段階的に可変とすることができる。同様に、帰還抵抗46上には帰還抵抗46の延在方向に沿って複数のボンディングパッド47が並んで設けられている。任意の対のボンディングパッド47をワイヤボンディングにより短絡することで、帰還抵抗46の抵抗値を段階的に可変とすることができる。このように、本変形例によれば、帰還抵抗36,46の抵抗値を任意の大きさに容易に調整することができる。帰還回路30B,40Bによる帰還量は帰還抵抗36,46の抵抗値に反比例するので、これにより帰還量を容易に調整することができる。また、帰還抵抗36,46の抵抗値の変更は半導体チップ10とは独立に実施することができる。従って、増幅装置毎の半導体チップ10の特性にバラツキが存在する場合においても、それぞれの特性に応じて帰還量を設定して、バラツキを低減することができる。
【0052】
(第2変形例)
図6は、上記実施形態の第2変形例に係る増幅装置1Cの平面図である。本変形例と上記第1変形例との相違点は、帰還回路の構成である。具体的には、本変形例の増幅装置1Cは、上記第1変形例の帰還回路30B,40Bに代えて、帰還回路30C,40Cを有する。
【0053】
帰還回路30Cは、第1変形例の帰還回路30Bの構成に加えて、キャパシタ38を更に有する。キャパシタ38は、側壁22の内側の入力リード23と出力リード24との間において、帰還抵抗36及びキャパシタ33と直列に接続されている。キャパシタ38は、側壁22の内側の入力リード23上に配置されたダイキャパシタである。キャパシタ38の一方の電極は、ボンディングワイヤ57を介してパッド34と電気的に接続されており、他方の電極は入力リード23と導電接合されている。
【0054】
同様に、帰還回路40Cは、第1変形例の帰還回路40Bの構成に加えて、キャパシタ48を更に有する。キャパシタ48は、側壁22の内側の入力リード23と出力リード24との間において、帰還抵抗46及びキャパシタ43と直列に接続されている。キャパシタ48は、側壁22の内側の入力リード23上に配置されたダイキャパシタである。キャパシタ48の一方の電極は、ボンディングワイヤ58を介してパッド44と電気的に接続されており、他方の電極は入力リード23と導電接合されている。キャパシタ48の容量値は、キャパシタ38の容量値と等しい。
【0055】
なお、キャパシタ38,48は、本変形例における入力側キャパシタに相当する。また、キャパシタ33,43は、本変形例における出力側キャパシタに相当する。本変形例のキャパシタ38,48は入力リード23に接続されているが、入力リード23を介さずに、ボンディングワイヤ等を介してゲートパッド群12に直接接続されてもよい。
【0056】
多くの場合、ゲートバイアスは負電圧であり、誘電体基板31,41とベース21とを固定する金属含有接着剤(例えば銀ペースト)の金属が水分によりイオン化すると、その金属イオンが誘電体基板31,41上の負電位の配線に向けて這い上がり、誘電体基板31,41上の配線と基準電位であるベース21とが短絡するおそれがある(イオンマイグレーション)。本変形例のように入力側のキャパシタ38,48及び出力側のキャパシタ33,43を設けると、これらのキャパシタ間ではバイアスが遮断されて電位が不定(フロート)となる。従って、イオンマイグレーションを抑制することができる。
【0057】
なお、このようなイオンマイグレーションへの対策は、セラミックパッケージに限らず、樹脂モールドパッケージにおいても有効である。樹脂モールドパッケージでは、パッケージ内への水分の侵入がセラミックパッケージよりも多くなるので、誘電体基板31,41上の配線のDC電位をフロート状態にすることはさらに効果的である。
【0058】
本発明による増幅装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態及び各変形例ではキャパシタ33,43が出力リード24上に実装されているが、キャパシタ33,43はそれぞれ誘電体基板31,41上に配置されてもよい。その場合、キャパシタ33,43と出力リード24またはドレインパッド群13とをボンディングワイヤにて接続することとなる。
【符号の説明】
【0059】
1A,1B,1C…増幅装置、10…半導体チップ、11…半導体基板、11a,11b…端辺、11c,11d…側辺、12…ゲートパッド群、12a…ゲートパッド、13…ドレインパッド群、13a…ドレインパッド、14,15…補助パッド、16…ソースパッド群、16a…ソースパッド、20…パッケージ、21…ベース、21a…主面、21b,21c…凹部、22…側壁、22a…前壁部分、22b…後壁部分、22c,22d…側壁部分、23…入力リード、24…出力リード、30A,30B,30C…(第1の)帰還回路、40A,40B,40C…(第2の)帰還回路、31,41…誘電体基板、31a,41a…主面、31b,41b…裏面、32,42…帰還抵抗、33,43…キャパシタ、34,35,44,45…パッド、36,46…帰還抵抗、37,47…ボンディングパッド、38,48…キャパシタ、51~58…ボンディングワイヤ、D1…方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6