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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 333Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019120782
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021006138
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】河邉 法広
【審査官】荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-088636(JP,A)
【文献】特開2019-205607(JP,A)
【文献】特開2019-068996(JP,A)
【文献】特開2006-061665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件の成立に起因して特別遊技を行う遊技機であって、
前記特別遊技は、大入賞口が開放される開放期間を有するラウンド遊技を複数有し、かつ、前記大入賞口が開放されない非開放期間として、最初の前記ラウンド遊技を実行する前のオープニング期間と、前記ラウンド遊技同士の間のインターバル期間と、最後の前記ラウンド遊技を実行した後のエンディング期間と、を有するものであり、
前記非開放期間に、遊技状況を示唆する遊技状況示唆演出を実行可能であって、
前記遊技状況示唆演出は、前記遊技状況示唆演出を実行するか否かを抽選する示唆実行抽選の結果が当りになったときにのみ行われ、
前記特別遊技として、前記オープニング期間と前記インターバル期間と前記エンディング期間とのうち少なくとも1つの長さが互いに異なる複数の前記特別遊技を有し、
前記非開放期間が長い程、前記示唆実行抽選の実行回数が多くなる遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大入賞口が開放される特別遊技を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機として、特別遊技が、オープニング期間と、ラウンド遊技間のインターバル期間と、エンディング期間とを大入賞口が開放されない非開放期間として有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-159891号公報(段落[0018])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した遊技機では、特別遊技の非開放期間に対して従来よりも興味を持たせることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、所定の条件の成立に起因して特別遊技を行う遊技機であって、前記特別遊技は、大入賞口が開放される開放期間を有するラウンド遊技を複数有し、かつ、前記大入賞口が開放されない非開放期間として、最初の前記ラウンド遊技を実行する前のオープニング期間と、前記ラウンド遊技同士の間のインターバル期間と、最後の前記ラウンド遊技を実行した後のエンディング期間と、を有するものであり、前記非開放期間に、遊技状況を示唆する遊技状況示唆演出を実行可能であって、前記遊技状況示唆演出は、前記遊技状況示唆演出を実行するか否かを抽選する示唆実行抽選の結果が当りになったときにのみ行われ、前記特別遊技として、前記オープニング期間と前記インターバル期間と前記エンディング期間とのうち少なくとも1つの長さが互いに異なる複数の前記特別遊技を有し、前記非開放期間が長い程、前記示唆実行抽選の実行回数が多くなる遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、特別遊技の非開放期間に対して従来よりも興味を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の遊技機の正面図
図2】大当り遊技のタイミングチャート
図3】大当り遊技の種類を示すテーブル
図4】設定の種類を示すテーブル
図5】設定示唆演出の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示されるように、本開示のパチンコ遊技機10(以下、「遊技機10」という)は、前面枠10Zを前面に備え、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、遊技盤11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。
【0009】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wの上方の両側には、スピーカ25Sが備えられている。また、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、発射ハンドル28が備えられている。そして、発射ハンドル28が回動操作されると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0010】
同図に示されるように、遊技領域R1は全体が略円形状となっていて、ガイドレール12により囲まれている。遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成され、この表示開口11Hを通して、表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。
【0011】
表示開口11Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。詳細には、表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれて遊技盤11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
【0012】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、第1と第2の始動入賞口14A,14B、大入賞口15が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。第1の始動入賞口14Aの左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。また、表示装飾枠23の左側には、始動ゲート18が設けられている。始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。なお、図示しないが、遊技領域R1には多数の障害釘が植設されている。
【0013】
一般入賞口20は、所謂、ポケット構造をなして、遊技盤11の前面から突出した部材上面に開放しており、遊技球が丁度1つ入球可能な大きさで上方に開口している。そして、一般入賞口20に遊技球が入ると、例えば、10個の遊技球が賞球として上皿26に払い出される。
【0014】
第1と第2の始動入賞口14A,14Bは、共に遊技盤11から突出した部材の上面に開口を備えた、所謂、ポケット構造をなしている。上側に配置された第1の始動入賞口14Aは、遊技球が1つだけ入る開口幅を有している。一方、下側に配置された第2の始動入賞口14Bは、第1の始動入賞口14Aの真下に配置され、その開口の左右両側には可動翼片14C,14Cが備えられている。これら両可動翼片14C,14Cは、常には起立状態になっており、両可動翼片14C,14Cに挟まれた第2の始動入賞口14Bの開口幅は、遊技球が1つだけ入る大きさとなっている。また、第2の始動入賞口14Bの上方空間は、常には、第1の始動入賞口14Aを構成する部材と可動翼片14C,14Cとで囲まれて、遊技球が入らないようになっている。そして、遊技球が始動ゲート18を通過したことに起因して行われる普図判定が当りであった場合に、可動翼片14C,14Cが所定期間に亘って横に倒される。すると、第2の始動入賞口14Bの上方空間が側方に開放し、第1の始動入賞口14Aの両脇を通過した遊技球が可動翼片14Cに受け止められて第2の始動入賞口14Bに案内されるようになる(図1には、横倒しにされた可動翼片14Cが示されている)。
【0015】
大入賞口15は、横長矩形に形成されて、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、可動扉15Tが前側に倒れると、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき15個の遊技球が賞球として上皿26に払い出される。
【0016】
上述した第1と第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球(入賞)すると、例えば、1個の入球につき4個の賞球が上皿26に払い出されると共に、特別図柄の当否判定(以下、「特図判定」という)が行われる。その当否判定の結果は、表示画面13Gにおいて、変動表示されたのち停止表示される特別図柄13A,13B,13Cの組合せによって報知される。そして、特図判定が大当りになると、通常の遊技状態から大当り遊技状態へ移行し、大当り遊技が実行される。
【0017】
大当り遊技では、大入賞口15が所定期間に亘って開放されるラウンド遊技が行われ、賞球を獲得可能となる。詳細には、図2に示すように、特図判定で大当りとなり、大当り遊技が開始されると、オープニング期間を経て、1回目のラウンド遊技が開始され、大入賞口15が開放される。そして、例えば、大入賞口15の開放時間が所定時間(例えば、29秒)に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が所定個数(例えば10個)入賞したか、のどちらかの終了条件が成立すると、大入賞口15が閉鎖されて1回目のラウンド遊技が終了する。次いで、所定のインターバル期間を経て、2回目のラウンド遊技が開始され、再び、大入賞口15が開放される。その後もラウンド遊技とインターバル期間とが繰り返され、最後のラウンド遊技が終了した後、所定のエンディング期間が経過すると、大当り遊技が終了する。オープニング期間とインターバル期間とエンディング期間とを併せて、適宜、「非開放期間」という。
【0018】
本実施形態では、オープニング期間、インターバル期間及びエンディング期間の長さや、ラウンド遊技の回数の異なる4種類の大当り遊技A~Dが設定されている。図3に示すように、大当り遊技Aは、ラウンド数が16、オープニング期間が30秒、インターバル期間が1回あたり2秒、エンディング期間が30秒であり、大当り遊技Bは、ラウンド数が16、オープニング期間が120秒、インターバル期間が1回あたり6秒、エンディング期間が120秒であり、大当り遊技Cは、ラウンド数が8、オープニング期間が60秒、インターバル期間が1回あたりが2秒、エンディング期間が60秒であり、大当り遊技Dは、ラウンド数が4、オープニング期間が120秒、インターバル期間が2秒(2回)と6秒(1回)、エンディング期間が120秒である。また、大当り遊技A~Dの振分けは、大当り遊技Aが10%、大当り遊技Bが40%、大当り遊技Cが25%、大当り遊技Dが25%となっていて、始動入賞口14A,14Bへの入賞時に取得される乱数値によって、特図判定の結果と共に決定される。なお、特別図柄13A,13B,13Cの組合せの種類によって、何れの大当り遊技A~Dが実行されるか報知する構成であってもよい。また、図2のタイムチャートは、大当り遊技Bの流れを例示したものである。
【0019】
なお、本実施形態では、遊技状態として、非確変状態と、非確変状態よりも特図判定で大当りとなる確率(大当り確率)が高い確変状態と、を有し、例えば、大当り遊技が行われたことをもって非確変状態から確変状態へ切り替わり、予め定められた上限回数の特図判定が行われたことをもって確変状態から非確変状態へ切り替わる。
【0020】
さて、本実施形態の遊技機10は、大当り確率を、複数の大当り確率の中から遊技ホールの店員等が任意に選択可能になっている。詳細には、遊技機10では、非確変状態の大当り確率と確変状態の大当り確率とがそれぞれ異なる6種類の「設定1~6」が図示しない主制御基板に記憶されている。図4に示すように、「設定1~6」では、「設定1」から「設定6」まで進むにつれて、非確変状態の大当り確率と確変状態の大当り確率とが共に高くなっていて、「設定1」では、非確変状態の大当り確率が1/300、確変状態の大当り確率が1/75であるのに対し、「設定6」では、非確変状態の大当り確率が1/200、確変状態の大当り確率が1/50まで上昇している。そして、例えば、遊技盤11の裏側に配された設定変更スイッチ(図示せず)を操作すると、「設定1~6」の中から1つの「設定」を、現状の設定としてセットすることができる。
【0021】
ところで、「設定1~6」の中から何れの「設定」がセットされているかを示唆する設定示唆演出が行われることがある。設定示唆演出は、例えば、図5に示されるように、表示画面13Gに宝箱が表示され、この宝箱が開いて飛び出す星の数によって、「設定」を示唆する内容になっている。図5では、3つの星が飛び出すことで「設定3」であることを示唆する場合が例示されている。
【0022】
ここで、本実施形態の遊技機10では、設定示唆演出が、大当り遊技における非開放期間に行われるように構成されている。以下、詳細を説明する。
【0023】
設定示唆演出は、設定示唆演出を実行するか否かを抽選する示唆実行抽選で当りになった場合のみに行われる。本実施形態では、この示唆実行抽選が、大当り遊技の非開放期間にのみ行われる。また、図3に示すように、示唆実行抽選は、所定秒数ごとに行われる。例えば、オープニング期間とエンディング期間では30秒毎に示唆実行抽選が行われ、インターバル期間では6秒毎に示唆実行抽選が行われる。これにより、示唆実行抽選が行われる回数が、大当り遊技Aでは、オープニング期間中に1回、インターバル期間中に0回、エンディング期間中に1回の計2回、大当り遊技B(図2参照)では、オープニング期間中に4回、インターバル期間中に15回、エンディング期間中に4回の計23回、大当り遊技Cでは、オープニング期間中に2回、インターバル期間中に0回、エンディング期間中に2回の計4回、大当り遊技Dでは、オープニング期間中に4回、インターバル期間中に1回、エンディング期間中に4回の計9回、となっている。つまり、オープニング期間、インターバル期間及びエンディング期間(即ち、非開放時期間)が長いほど示唆実行抽選が多く行われ、設定示唆演出が行われやすくなっている。
【0024】
なお、示唆実行抽選が実行されたこと及びその示唆実行抽選の結果を遊技者に報知した上で、設定示唆演出を実行する構成であってもよいし、示唆実行抽選は内部的にのみ行って遊技者に報知せず、いきなり設定示唆演出を実行する構成であってもよい。また、示唆実行抽選の結果と設定示唆演出とを同じタイミングで報知する構成であってもよい。例えば、示唆実行抽選が外れの場合、宝箱を表示しておきながらも開けても何も出てこないという演出を行う構成であってもよい。
【0025】
本実施形態の遊技機10の構成は以上である。次に、遊技機10の作用効果について説明する。遊技機10では、特図判定が大当りになると、大当り遊技が実行される。大当り遊技では、ラウンド遊技において大入賞口15に遊技球を入球させることで賞球を獲得可能であると共に、オープニング期間、インターバル期間及びエンディング期間といった非開放期間において、所定秒数ごとに示唆実行抽選が行われる。そして、示唆実行抽選で当りになると、現在の「設定」(即ち、大当り確率の高さ)を示唆する設定示唆演出が行われる。これにより、大当り遊技において、ラウンド遊技だけでなく、非開放期間に対しても、従来よりも興味を持たせることができる。しかも、設定示唆演出が大当り遊技の非開放期間にのみ行われ得るように構成されているので、大当り遊技の非開放期間への関心をより高めることができる。
【0026】
また、非開放期間は、大入賞口15に起因した賞球を獲得できず、特図判定も行われないため、非開放期間が長いと、その分遊技の進行が遅くなることになり、遊技者によっては、興ざめしてしまうことが考えられる。これに対して、本実施形態の遊技機10では、非開放期間が長いほど、示唆実行抽選が多く行われ、設定示唆演出が行われやすくなるので、非開放期間が長いことに対して興ざめしにくくさせることができる。
【0027】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、設定示唆演出が、示唆実行抽選で当りになったときに行われる構成であったが、非開放期間において所定時間毎に行われる構成であってもよいし、複数の大当り遊技の中に、設定示唆演出が行われるものと行われないものとが予め設定されている構成であってもよい。
【0028】
(2)上記実施形態では、特許請求の範囲の「遊技状況示唆演出」において示唆されるものが、大当り確率を示す「設定」であったが、大当り確率そのものであってもよいし、それらに限られるものでなく、例えば、大入賞口15が開くが遊技状態を変更させない小当りの確率であってもよいし、潜伏確変状態(確変状態であることを明示的に報知しない確変状態)であるか否かであってもよい。
【0029】
(3)上記実施形態では、設定示唆演出が大当り遊技の非開放期間にのみ行われ得るように構成されていたが、それ以外の期間にも行われてもよい。
【0030】
(4)上記実施形態では、設定示唆演出が、表示画面13Gにおいて表示されるものであったが、スピーカ25Sによって音声で出力されるものであってもよい。
【0031】
(5)上記実施形態では、ラウンド遊技の間中、大入賞口15が開放している構成であったが、1つのラウンド遊技において、大入賞口15の開閉が繰り返される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 遊技機
13 表示装置
13G 表示画面
15 大入賞口
図1
図2
図3
図4
図5