(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】ヘアカラートリートメント
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20230307BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230307BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230307BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20230307BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/39
A61Q5/06
A61Q5/10
(21)【出願番号】P 2020203336
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】500365199
【氏名又は名称】株式会社ヌースフィット
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】亀ケ森 統
(72)【発明者】
【氏名】細谷 佳一
(72)【発明者】
【氏名】高見 拓
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-088502(JP,A)
【文献】特開2019-112317(JP,A)
【文献】特開2020-186201(JP,A)
【文献】特開2020-158400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0191844(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0129388(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0354581(US,A1)
【文献】国際公開第2019/074123(WO,A1)
【文献】特開2017-019779(JP,A)
【文献】コーセーコスメニエンス,Nature & Co ボタニカルカラートリートメント(BRICK RED),Cosmetic-Info.jp[online],2017年08月21日, [検索日2022.7.22],URL, https://www.cosmetic-info.jp/
【文献】OPINION OF THE SCIENTIFIC COMMITTEE ON COSMETIC PRODUCTS AND NON-FOOD PRODUCTS INTENDED FOR CONSUMERS,SCCNFP/0661/03,final,2003年03月18日,p.1-19
【文献】化粧品と有機色素~安全性や安定性などについて~,J.Jpn.Soc.Colour Mater.,Vol.85, No.1,2012年,p.19-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒と、
を含むヘアカラートリートメントであって、
前記有機色素が、Basic Red 76を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、4質量%以上の1,2-ペンタンジオール、
7質量%以上の1,5-ペンタンジオール、
7質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(式中、m+n=2)、
4質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
5質量%以上のベンジルアルコール、
9質量%以上の1,2-ブタンジオール、
7質量%以上のベンジルジグリコール及び
3質量%以上のフェニルジグリコールからなる群から選択される1種以上を含む、
ヘアカラートリートメント。
【請求項2】
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒と、
を含むヘアカラートリートメントであって、
前記有機色素が、Basic Red 76を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、3質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(式中、m+n=2)、
3質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
3質量%以上のベンジルアルコール、
8質量%以上の1,2-ブタンジオール、
4質量%以上の1,3-ブタンジオール、
4質量%以上の2,3-ブタンジオール、
8質量%以上のベンジルグリコール、
9質量%以上のベンジルジグリコール、
8質量%以上のフェニルジグリコール、
4質量%以上のイソプレングリコール、
4質量%以上のイソペンチルグリコール、
4質量%以上のPEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、
4質量%以上のポリ1,3-プロパンジオール、
4質量%以上のメチルプロパンジオール及び
4質量%以上のメチルプロピレントリグリコールからなる群から選択される1種以上を含む、
ヘアカラートリートメント。
【請求項3】
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒と、
を含むヘアカラートリートメントであって、
前記有機色素が、HC Yellow 5を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、6質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(式中、m+n=4)、
6質量%以上のベンジルアルコール、
4質量%以上の1,2-ブタンジオール、
8質量%以上のベンジルグリコール、
6質量%以上のベンジルジグリコール、
9質量%以上のプロピレングリコール及び
8質量%以上のメチルプロパンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
ヘアカラートリートメント。
【請求項4】
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒と、
を含むヘアカラートリートメントであって、
前記有機色素が、HC Yellow 5を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、
ヘアカラートリートメントの総質量に対して、5質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(式中、m+n=4)、
9質量%以上のベンジルアルコール、
4質量%以上の1,2-ブタンジオール、
5質量%以上のベンジルグリコール、
4質量%以上のベンジルジグリコール、
4質量%以上のフェニルジグリコール、
3質量%以上のプロピレングリコール、
5質量%以上のイソプレングリコール、
8質量%以上のPEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、
5質量%以上のポリ1,3-プロパンジオール、
5質量%以上のメチルプロピレントリグリコール及び
7質量%以上のエタノールからなる群から選択される1種以上を含む、
ヘアカラートリートメント。
【請求項5】
請求項1に記載のヘアカラートリートメントの製造方法であって、
油相を調製する工程、
Basic Red 76
を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び
塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む乳化剤を用いて、前記油相及び前記水相を混合して乳化させる工程
を含み、
前記油相が、
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(式中、m+n=2)、
ベンジルアルコール、フェニルジグリコール及びベンジルジグリコールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含み、及び/又は
前記水相が、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ブタンジオール
及び
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(式中、m+n=4)
からなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、
方法。
【請求項6】
請求項2に記載のヘアカラートリートメントの製造方法であって、
油相を調製する工程、
Basic Red 76を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び
ポリクオタニウム-37を含む乳化剤を用いて、前記油相及び前記水相を混合して乳化させる工程
を含み、
前記油相が、ベンジルグリコール、下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=2)、
ベンジルアルコール、フェニルジグリコール及びベンジルジグリコールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含み、及び/又は
前記水相が、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及び下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)
からなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、
方法。
【請求項7】
請求項3に記載のヘアカラートリートメントの製造方法であって、
油相を調製する工程、
HC Yellow 5を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び
塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む乳化剤を用いて、前記油相及び前記水相を混合して乳化させる工程
を含み、
前記油相が、ベンジルグリコール、ベンジルアルコール及びベンジルジグリコールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含み、及び/又は
前記水相が、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコール、メチルプロパンジオール及び下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)
からなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、
方法。
【請求項8】
請求項4に記載のヘアカラートリートメントの製造方法であって、
油相を調製する工程、
HC Yellow 5を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び
ポリクオタニウム-37を含む乳化剤を用いて、前記油相及び前記水相を混合して乳化させる工程
を含み、
前記油相が、ベンジルグリコール、ベンジルアルコール、フェニルジグリコール及びベンジルジグリコールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含み、及び/又は
前記水相が、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール、エタノール及び下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)
からなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、
方法。
【請求項9】
Basic Red 76
を含む有機色素
と、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む乳化剤とを含むヘアカラートリートメントにおいて有機色素の結晶化を抑制する方法であって、
1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(式中、m+n=2)、
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、
ベンジルグリコール
及びフェニルジグリコール
からなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を前記ヘアカラートリートメントに添加する工程を含
み、
有機溶媒添加後のヘアカラートリートメントが、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒であって、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、4質量%以上の1,2-ペンタンジオール、7質量%以上の1,5-ペンタンジオール、7質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=2)、
4質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
5質量%以上のベンジルアルコール、9質量%以上の1,2-ブタンジオール、7質量%以上のベンジルジグリコール及び3質量%以上のフェニルジグリコールからなる群から選択される1種以上を含む、有機溶媒と、
を含む、方法。
【請求項10】
Basic Red 76を含む有機色素と、ポリクオタニウム-37を含む乳化剤とを含むヘアカラートリートメントにおいて有機色素の結晶化を抑制する方法であって、
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=2)、
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール及びメチルプロピレントリグリコールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を前記ヘアカラートリートメントに添加する工程を含み、
有機溶媒添加後のヘアカラートリートメントが、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒であって、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、3質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=2)、
3質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
3質量%以上のベンジルアルコール、8質量%以上の1,2-ブタンジオール、4質量%以上の1,3-ブタンジオール、4質量%以上の2,3-ブタンジオール、8質量%以上のベンジルグリコール、9質量%以上のベンジルジグリコール、8質量%以上のフェニルジグリコール、4質量%以上のイソプレングリコール、4質量%以上のイソペンチルグリコール、4質量%以上のPEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、4質量%以上のポリ1,3-プロパンジオール、4質量%以上のメチルプロパンジオール及び4質量%以上のメチルプロピレントリグリコールからなる群から選択される1種以上を含む、有機溶媒と、
を含む、方法。
【請求項11】
HC Yellow 5を含む有機色素と、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む乳化剤とを含むヘアカラートリートメントにおいて有機色素の結晶化を抑制する方法であって、
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、プロピレングリコール及びメチルプロパンジオールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を前記ヘアカラートリートメントに添加する工程を含み、
有機溶媒添加後のヘアカラートリートメントが、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒であって、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、6質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
6質量%以上のベンジルアルコール、4質量%以上の1,2-ブタンジオール、8質量%以上のベンジルグリコール、6質量%以上のベンジルジグリコール、9質量%以上のプロピレングリコール及び8質量%以上のメチルプロパンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、有機溶媒と、
を含む、方法。
【請求項12】
HC Yellow 5を含む有機色素と、ポリクオタニウム-37を含む乳化剤とを含むヘアカラートリートメントにおいて有機色素の結晶化を抑制する方法であって、
下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を前記ヘアカラートリートメントに添加する工程を含み、
有機溶媒添加後のヘアカラートリートメントが、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、
0.01~2質量%の有機色素と、
0.5~5質量%の乳化剤と、
25質量%以下の有機溶媒であって、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、5質量%以上の下記式で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中、m+n=4)、
9質量%以上のベンジルアルコール、4質量%以上の1,2-ブタンジオール、5質量%以上のベンジルグリコール、4質量%以上のベンジルジグリコール、4質量%以上のフェニルジグリコール、3質量%以上のプロピレングリコール、5質量%以上のイソプレングリコール、8質量%以上のPEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、5質量%以上のポリ1,3-プロパンジオール、5質量%以上のメチルプロピレントリグリコール及び7質量%以上のエタノールからなる群から選択される1種以上を含む、有機溶媒と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアカラートリートメント、特に有機色素の結晶化が抑制されたヘアカラートリートメントに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラートリートメントは、毛髪のトリートメントとカラーリングを同時に行うことが可能である、ヘアケア製品である。ヘアカラートリートメントで使用される有機色素の中で、Basic Red 76(化粧品全成分表示名称:塩基性 赤 76)およびHC Yellow 5(化粧品全成分表示名称:HC 黄 5)と呼ばれる色素は、ヘアカラートリートメント中において時間経過に伴い色素自体が結晶化する性質があることが確認されている。そのため、Basic Red 76やHC Yellow 5を含むヘアカラートリートメントにおけるこれら有機色素の結晶化を抑制することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、有機色素としてBasic Red 76又はHC Yellow 5を含み、有機色素の結晶化が抑制されたヘアカラートリートメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む有機色素と、乳化剤とを含むヘアカラートリートメントにおいて、特定の種類の有機溶媒を使用することにより解決できることが見出された。すなわち、本発明は下記〔1〕~〔10〕に関するものである。
【0005】
〔1〕Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む有機色素と、
乳化剤と、
1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒と、
を含む、ヘアカラートリートメント。
〔2〕前記有機色素が、Basic Red 76を含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール及びメチルプロピレントリグリコールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔3〕前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルジグリコール及びフェニルジグリコールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔2〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔4〕前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール及びメチルプロピレントリグリコールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔2〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔5〕前記有機色素が、HC Yellow 5を含み、
前記有機溶媒が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔6〕前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、プロピレングリコール及びメチルプロパンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔5〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔7〕前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔5〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔8〕ヘアカラートリートメントの総質量に対して、前記有機溶媒を2~25質量%含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載のヘアカラートリートメント。
〔9〕前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメントの製造方法であって、
油相を調製する工程、
Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び
乳化剤を用いて、前記油相及び前記水相を混合して乳化させる工程
を含み、
前記油相が、ベンジルグリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルジグリコール及びベンジルジグリコールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含み、及び/又は
前記水相が、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール、エタノール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、
方法。
〔10〕Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む有機色素を含むヘアカラートリートメントにおいて有機色素の結晶化を抑制する方法であって、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を前記ヘアカラートリートメントに添加する工程を含む、方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、有機色素としてBasic Red 76又はHC Yellow 5を含み、有機色素の結晶化が抑制されたヘアカラートリートメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、各有機溶媒を添加した、Basic Red 76及び塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント(10℃で48時間保存後)の、顕微鏡写真を示す。
【
図2】
図2は、各有機溶媒を添加した、Basic Red 76及びポリクオタニウム-37を含むヘアカラートリートメント(10℃で48時間保存後)の、顕微鏡写真を示す。
【
図3】
図3は、各有機溶媒を添加した、HC Yellow 5及び塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント(10℃で48時間保存後)の、顕微鏡写真を示す。
【
図4】
図2は、各有機溶媒を添加した、HC Yellow 5及びポリクオタニウム-37を含むヘアカラートリートメント(10℃で48時間保存後)の、顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む有機色素と、乳化剤と、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒とを含む、ヘアカラートリートメントである。
【0009】
有機色素は、Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む。Basic Red 76はMadder Redの名称でも知られており、その化合物名は7-ヒドロキシ-8-[(2-メトキシフェニル)アゾ]-n,n,n-トリメチル-2-ナフタレンアミニウムクロリドである。HC Yellow 5の化合物名は2-アミノ-4-ニトロ-N-(2-ヒドロキシエチル)アニリンである。Basic Red 76又はHC Yellow 5は公知であり、市場において容易に入手することができる。
【0010】
ヘアカラートリートメントは、Basic Red 76又はHC Yellow 5を含んでいれば、他の有機色素を含んでもよい。他の有機色素としては、例えば、1-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロベンゼン(HC Yellow 4)、1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Yellow 2)、2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロフェノール(HC Yellow 11)、3-[(2-アミノエチル)アミノ]-1-メトキシ-4-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Yellow 9)、4-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-3-ニトロ-1-トリフルオルメチル-ベンゼン(HC Yellow 6)、1-クロル-2、4-ビス[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロベンゼン(HC Yellow 10)、1-クロル-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロベンゼン(HC Yellow 12)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-トリフルオルメチル-ベンゼン(HC Yellow 13)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-ベンゾニトリル(HC Yellow 14)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-ベンズアミド(HC Yellow 15)、1-アミノ-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Red 7)、4-アミノ-2-ニトロ-ジフェニルアミン(HC Red 1)、1-アミノ-4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Red 13)、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン(HC Red 3)、2-ニトロ-4‘-ヒドロキシジフェニルアミン(HC Orange 1)、1-[(2-アミノエチル)アミノ]-4-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ニトロベンゼン(HC Orange 2)、4-(2、3-ジヒドロキシプロポキシ)-1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Orange 3)、1-アミノ-5-クロル-4-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Red 10)、5-クロル-1、4-[ジ(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Red 11)、7-アミノ-3,4-ジヒドロ-6-ニトロ-2H-1,4-ベンゾキサジン(HC Red 14)、N1,N4,N4-トリス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン(HC Blue 2)、1-アミノ-3-メチル-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-6-ニトロベンゼン(HC Violet 1)、4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Blue 12)、4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-[(2-メトキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Blue 11)、1-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-4-[メチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Blue 10)、1-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Blue 9)、1-(3-ヒドロキシプロピルアミノ)-4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Violet 2)、1-メチルアミノ-4-[メチル-(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Blue 6)、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]-5-ジメチルアミノ-安息香酸(HC Blue 13)、2-[(2-アミノエチル)アミノ]-9、10-アンスラキノン(HC Orange 5)、1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-メチルアミノ-9、10-アンスラキノン(HC Blue 8)、1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-9、10-アンスラキノン(HC Red 8)、4-[(4-アミノフェニル)アゾ]-1-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-メチルベンゼン(HC Yellow 7)等が挙げられる。
【0011】
有機色素の配合量は、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1質量%、更に好ましくは0.1~0.6質量%である。また、有機色素としてBasic Red 76又はHC Yellow 5以外を含む場合、有機色素中にBasic Red 76又はHC Yellow 5が50質量%以上、例えば75質量%以上含まれるのが好ましい。
【0012】
本発明における乳化剤としては、従来ヘアカラートリートメントに用いられている公知の乳化剤を特に制限なく使用することができるが、カチオン性界面活性剤であることが好ましく、四級アンモニウム塩又は三級アミン塩であることがより好ましい。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸類、モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキルアンモニウム塩、モノ長鎖アルキルジ短鎖アルキルアミンオキサイド(ここで、長鎖アルキルはC10~C20、短鎖アルキルはC1~C6、好ましくはC1~C3である。)等が挙げられ、好ましくは、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリクオタニウム-37、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12~C15)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化O-〔2-ヒドロキシ3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5E.O.)、塩化ラウリルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム液、塩化ジアルキル(C14~C18)ジメチルアンモニウム、塩化γ-グルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、ラノリン脂肪酸第四級アンモニウム塩、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化ステアルジメチルベンジルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12~C18)ジメチルアンモニウム、及びその塩が挙げられる。特に好ましい乳化剤は、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム又はポリクオタニウム-37である。乳化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0013】
乳化剤の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、0.5~5質量%が好ましく、より好ましくは2~3.5質量%である。
【0014】
本発明は、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を含む。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、以下の式で表される、DMH-20(m+n=2)やDMH-40(m+n=4)として市販されているものが好適である。
PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンの市販品としては「ウィルブライドS753」が、ポリ1,3-プロパンジオールの市販品としては「SENSATIS H250」が挙げられる。上記有機溶媒とともに、従来からヘアカラートリートメントに使用されている他の溶媒を併用してもよい。
【0015】
有機溶媒としては、有機色素及び乳化剤との組み合わせに応じて、有機色素の結晶化抑制作用が大きなものを使用するのが好ましい。例えば、有機色素がBasic Red 76を含む場合には、有機溶媒は、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール及びメチルプロピレントリグリコールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。特に、有機色素がBasic Red 76を含み、乳化剤が塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む場合には、有機溶媒は、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルジグリコール及びフェニルジグリコールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。また、有機色素がBasic Red 76を含み、乳化剤がポリクオタニウム-37を含む場合には、有機溶媒は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール及びメチルプロピレントリグリコールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0016】
有機色素がHC Yellow 5を含む場合には、有機溶媒は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。特に、有機色素がHC Yellow 5を含み、乳化剤が塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む場合には、有機溶媒は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、プロピレングリコール及びメチルプロパンジオールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。また、有機色素がHC Yellow 5を含み、乳化剤がポリクオタニウム-37を含む場合には、有機溶媒は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0017】
有機溶媒の配合量は、有機色素の結晶化抑制作用を示す範囲内で適宜選択でき、例えば、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、又は9質量%以上であってもよい。また、有機溶媒の配合量は、ヘアカラートリートメントの染色性や色調に悪影響を及ぼさない範囲であることが好ましく、例えば、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、又は5質量%以下であってもよい。
【0018】
本発明のヘアカラートリートメントには、さらに油状成分を含ませることができる。油状成分としては、例えばステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、硬化ナタネ油アルコール、ラノリン、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ヒマシ油、メチルポリシロキサン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、グリチルレチン酸ステアリル、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、高級脂肪酸、トリグリセライド、エステル油等が挙げられ、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、硬化ナタネ油アルコール、ラノリン、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ヒマシ油、メチルポリシロキサン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル又はグリチルレチン酸ステアリルが好適である。なお、油性成分の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、3~20質量%が好適であり、5~15質量%がさらに好適である。
【0019】
本発明のヘアカラートリートメントにおいては、上記成分の他にも、保湿剤、上記有機溶媒以外の追加のアルコール類等の、通常ヘアカラートリートメントに配合されるような原料を使用目的に合わせて適宜配合することができる。
【0020】
保湿剤としては、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸塩、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ピロリドンカルボン酸、ラクトース、オリゴ糖等が挙げられ、濃グリセリンが好適である。なお、保湿剤の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、1~10質量%が好適であり、3~7質量%がさらに好適である。
【0021】
追加のアルコール類としては、例えばプロパノール、イソプロパノール等を配合してもよい。なお、追加のアルコール類の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、0.5~15質量%が好適であり、1~5質量%がさらに好適である。
【0022】
さらに、本発明のヘアカラートリートメントにおいては、上記成分の他にも、コラーゲン加水分解物、ケラチン加水分解物、シルクプロテイン加水分解物、エラスチン加水分解物、大豆蛋白加水分解物等の蛋白質加水分解物及びこれらの四級化塩;フエナセチン、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩、EDTA及びその塩、パラベン類、スズ酸塩類等の金属イオン封鎖剤及び防腐剤;ポリ(ジメチルアリルアンモニウムハライド)型カチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン及び牛脂脂肪酸より得られるタロイルアミンの縮合生成物型であるカチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン、ヤシ油脂肪より得られるココイルアミンの縮合生成物型であるカチオン高分子、ビニルピロリドン、ジメチルアミノメタアクリレート共重合体型カチオン高分子、第4級窒素含有セルロースエーテル型カチオン高分子等のカチオン高分子類を配合することもできる。
【0023】
本発明のヘアカラートリートメントとしては、種々の使用態様の組成物とすることができる。例えば液体状、ジェル状、泡状、クリーム状等の種々の使用態様のものとすることができ、クリーム状であることが好ましい。
【0024】
本発明のヘアカラートリートメントの製造方法は、例えば、油相を調製する工程、Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び乳化剤を用いて、前記油相及び水相を混合して乳化させる工程を含む。乳化剤は、あらかじめ油相又は水相に添加しておいてもよく、あるいは、油相と水相を混合する際に添加してもよい。この製造方法においては、油相が、ベンジルグリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-20)、ベンジルアルコール、フェニルジグリコール及びベンジルジグリコールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、及び/又は、水相が、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール、エタノール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-40)からなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む。
【0025】
本発明はまた、Basic Red 76又はHC Yellow 5を含む有機色素を含むヘアカラートリートメントにおいて有機色素の結晶化を抑制する方法に関する。本発明の結晶化抑制方法は、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルジグリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリ1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、メチルプロピレントリグリコール及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒をヘアカラートリートメントに添加する工程を含む。
【0026】
以下、本発明について、具体的な実施例を示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、配合量は特に断らない限り質量%で示す。
【実施例】
【0027】
1.Basic Red 76の結晶化防止
[試料の調製]
1-1.乳化剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント
表1に記載の組成のヘアカラートリートメントを以下の手順で調製した。油相(1)~(9)を80℃~85℃に加温溶解した。別容器において水相(10)~(13)を80℃~85℃に加温溶解した。有機溶媒(14)としては、表2に示す種類及び量のものをそれぞれ使用し、DMH-20、ベンジルアルコール、フェニルジグリコール、ベンジルジグリコール、ベンジルグリコールは油相に添加し、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、DMH-40、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコール、エタノール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ウィルブライドS753、SentatisH 250、イソプレングリコール、メチルプロパンジオール、イソペンチルグリコール、メチルプロピレントリグリコール、グリセリンは水相に添加した。油相に水相を攪拌しながら投入し乳化させた。5分ほど攪拌を行い、攪拌しながら冷却を開始した。50℃以下になったら、添加剤(15)~(19)を任意に順次投入し、攪拌し、均一溶解した。35℃以下になったら、攪拌をやめて放置した。
【0028】
【0029】
1-2.乳化剤としてポリクオタニウム-37を含むヘアカラートリートメント
表3に記載の組成のヘアカラートリートメントを以下の手順で調製した。油相(1)~(9)を80℃~85℃に加温溶解した。別容器において水相(10)~(12)を80℃~85℃に加温溶解した。有機溶媒(13)としては、表4に示す種類及び量のものをそれぞれ使用し、DMH-20、ベンジルアルコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコールは油相に添加し、DMH-40、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ウィルブライドS753、SentatisH 250、イソプレングリコール、メチルプロパンジオール、イソペンチルグリコール、メチルプロピレントリグリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、プロピレングリコール、エタノール、グリセリンは水相に添加した。油相に水相を攪拌しながら投入し乳化させた。5分ほど攪拌を行い、攪拌しながら冷却を開始した。50℃以下になったら、添加剤(14)及び(15)を任意に順次投入し、攪拌し、均一溶解した。35℃以下になったら、攪拌をやめて放置した。
【0030】
【0031】
[評価方法]
(1)結晶化抑制効果
10℃で48時間保存した後、各試料について、Basic Red 76の結晶化の程度を、目視及び顕微鏡により、以下の基準で判定した。結果が△であった濃度以上の濃度を、有機溶媒の有効濃度とした。ただし、20質量%までの有機溶媒濃度で〇の結果が得られなかったものについては、有効濃度は特定しなかった。結果を表5及び表6に、各試料(〇の結果が得られたものについては〇の濃度、〇の結果が得られなかったものについては×の濃度)の顕微鏡写真を
図1及び
図2に示す。
〇:有機溶媒非添加条件と比較して、明らかに結晶の量が少ない
△:有機溶媒非添加条件と比較して、やや結晶の量が少ない
×:有機溶媒非添加条件と比較して、結晶の量が同程度
【0032】
(2)染色性
食品用ラップフィルム上で、調製直後の各試料2gをビューラックス製白髪毛束0.5gに刷毛を使用して塗布した。次いでラップを閉じた状態にし、40℃で15分放置した後、ぬるま湯で洗浄した。洗浄後、ドライヤーで乾かし、染色毛束を得た。各試料の染色性を、染色毛束の目視により、以下の基準で判定した。結果を表5及び表6に示す。
〇:有機溶媒非添加条件と比較して、同程度の色の濃さ
×:有機溶媒非添加条件と比較して、色が薄い
【0033】
(3)クリーム色調
調製直後の各試料の色調について、目視により、以下の基準で判定した。結果を表5及び表6に示す。
〇:有機溶媒非添加条件と比較して、変化が見られない
△:有機溶媒非添加条件と比較して、わずかに変化している
×:有機溶媒非添加条件と比較して、明らかに変化している
【0034】
1-1.乳化剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント
【表5】
【0035】
1-2.乳化剤としてポリクオタニウム-37を含むヘアカラートリートメント
【表6】
【0036】
2.HC Yellow 5の結晶化防止
[試料の調製]
2-1.乳化剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント
表7に記載の組成のヘアカラートリートメントを以下の手順で調製した。油相(1)~(9)を80℃~85℃に加温溶解した。別容器において水相(10)~(13)を80℃~85℃に加温溶解した。有機溶媒(14)としては、表8に示す種類及び量のものをそれぞれ使用し、ベンジルアルコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、DMH-20、フェニルジグリコールは油相に添加し、DMH-40、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、メチルプロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、エタノール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ウィルブライドS753、SentatisH 250、イソプレングリコール、イソペンチルグリコール、メチルプロピレントリグリコール、グリセリンは水相に添加した。油相に水相を攪拌しながら投入し乳化させた。5分ほど攪拌を行い、攪拌しながら冷却を開始した。50℃以下になったら、添加剤(15)~(19)を任意に順次投入し、攪拌し、均一溶解した。35℃以下になったら、攪拌をやめて放置した。
【0037】
【0038】
2-2.乳化剤としてポリクオタニウム-37を含むヘアカラートリートメント
表9に記載の組成のヘアカラートリートメントを以下の手順で調製した。油相(1)~(9)を80℃~85℃に加温溶解した。別容器において水相(10)~(12)を80℃~85℃に加温溶解した。有機溶媒(13)としては、表10に示す種類及び量のものをそれぞれ使用し、ベンジルアルコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、DMH-20は油相に添加し、DMH-40、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、エタノール、ウィルブライドS753、SentatisH 250、イソプレングリコール、メチルプロピレントリグリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、メチルプロパンジオール、イソペンチルグリコール、グリセリンは水相に添加した。油相に水相を攪拌しながら投入し乳化させた。5分ほど攪拌を行い、攪拌しながら冷却を開始した。50℃以下になったら、添加剤(14)及び(15)を任意に順次投入し、攪拌し、均一溶解した。35℃以下になったら、攪拌をやめて放置した。
【0039】
【0040】
[評価方法]
Basic Red 76の場合と同様にして、(1)結晶化抑制効果(有効溶媒濃度)、(2)染色性及び(3)クリーム色調について評価した。結果を表11及び表12に、各試料の顕微鏡写真を
図3及び
図4に示す。
【0041】
2-1.乳化剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント
【表11】
【0042】
2-2.乳化剤としてポリクオタニウム-37を含むヘアカラートリートメント
【表12】
【0043】
表5、6、11及び12に示される結果から、特定の有機溶媒を添加することにより、染色性やクリーム色調に大きな悪影響を及ぼすことなく、ヘアカラートリートメントにおけるBasic Red 76及びHC Yellow 5の結晶化を抑制できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ヘアカラートリートメントにおける有機色素の結晶化の抑制において、特に有用である。