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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】電気化学測定用電気回路および測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20230307BHJP
   G01N 27/48 20060101ALI20230307BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G01N27/416 302Z
G01N27/48 311
G01N27/416 338
G01N27/416 336G
G01N27/327
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020510027
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2019012350
(87)【国際公開番号】W WO2019188896
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2018066582
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516089522
【氏名又は名称】株式会社PROVIGATE
(74)【代理人】
【識別番号】100174252
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 豪
(72)【発明者】
【氏名】柳本 吉之
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-051593(JP,A)
【文献】特表2001-522464(JP,A)
【文献】特開平11-326279(JP,A)
【文献】特開平07-209250(JP,A)
【文献】特開昭60-149960(JP,A)
【文献】特表平09-502527(JP,A)
【文献】米国特許第05180968(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液の電気化学測定に用いられる電気回路であって、
電圧発生回路と、
前記溶液と接触する作用極(WE)と接続されるように構成された電流測定回路と、
出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、
前記出力(OUT)が、前記溶液と接触する対極(CE)に接続されるように構成され、
前記反転入力(-IN)が、前記溶液と接触する参照極(RE)に接続されるように構成され、
前記非反転入力(+IN)が、前記電圧発生回路に接続された、
オペアンプと、
1μF以上の容量を有するコンデンサと、
第一入力端と第二入力端と出力端を有するスイッチ回路と、
入力端と出力端とを有するバッファ回路と、
を備え、
前記コンデンサは、一端で前記オペアンプの出力(OUT)に接続され、他端で前記スイッチ回路の出力端に接続され、
前記スイッチ回路は、第一入力端で前記バッファ回路の出力端に接続され、第二入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)との間に接続され、
前記バッファ回路は、入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)との間に接続された、
電気回路。
【請求項2】
前記コンデンサの容量は10μF以上である、請求項1に記載の電気回路。
【請求項3】
前記コンデンサの容量は100μF以上である、請求項2に記載の電気回路。
【請求項4】
前記コンデンサの容量は、測定中の対極の界面の等価回路の静電容量より大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項5】
溶液の電気化学測定装置であって、
前記溶液と接触するように構成された対極(CE)と、
前記溶液と接触するように構成された参照極(RE)と、
前記溶液と接触するように構成された作用極(WE)と、
電圧発生回路と、
前記作用極(WE)と接続された電流測定回路と、
出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、
前記出力(OUT)が前記対極(CE)に接続され、
前記反転入力(-IN)が前記参照極(RE)に接続され、
前記非反転入力(+IN)が前記電圧発生回路に接続された
オペアンプと、
1μF以上の容量を有するコンデンサと、
第一入力端と第二入力端と出力端を有するスイッチ回路と、
入力端と出力端とを有するバッファ回路と
を備え、
前記コンデンサは、一端で前記オペアンプの出力(OUT)と前記対極(CE)とに接続され、他端で前記スイッチ回路の出力端に接続され、
前記スイッチ回路は、第一入力端で前記バッファ回路の出力端に接続され、第二入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)と前記参照極(RE)とに接続され、
前記バッファ回路は、入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)と前記参照極(RE)とに接続された、
電気化学測定装置。
【請求項6】
前記溶液は測定対象物質を含み、
少なくとも前記作用極の前記溶液と接触する表面に設けられ、前記測定対象物質と特異的に反応する分子認識膜を更に備える、
請求項5に記載の電気化学測定装置。
【請求項7】
前記コンデンサの容量は10μF以上である、
請求項5又は6に記載の電気回路。
【請求項8】
前記コンデンサの容量は100μF以上である、
請求項5から7のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項9】
前記コンデンサの容量は、測定中の対極の界面の等価回路の静電容量より大きい、
請求項5から8のいずれか一項に記載の電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学測定用電気回路および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学分野では、溶液中の化学物質や生体物質が電極表面又はその近傍で起こる化学反応または生化学反応により、溶液中に流れる電流を測定することで、化学物質や生体物質を検出又は定量する。このような測定には、例えば三電極法等の手法が広く用いられている。
【0003】
三電極法は、容器内に対極、参照極および作用極を設置し、対極と作用極の間に所定の電位差を持たせ、対極から作用極に流れる電流を測定する方法である。一般的に、金属や金属酸化物などの物質が電解液に入ると、その物質と電解液の間に界面電位と呼ばれる電位差が生じる。この電位差を考慮した上で、対極と作用極の間に電圧を印加すると、対極から電流が流れ、対極と溶液の間の電位差が変化し得る。この電位差の変化により、所望の電圧が溶液に対して正確に加わらない場合がある。三電極法では、これを回避するために、参照極での電位を測定し、その電位が所望の値に定まるように、対極に印加する電圧を制御することができる。また、参照極で測定された電位を、対極を制御する回路に帰還(フィードバック)するフィードバック回路が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態では、溶液の電気化学測定に用いられる電気回路は、電圧発生回路と、出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、出力(OUT)が、溶液と接触する第一電極に接続されるように構成され、反転入力(-IN)が、溶液と接触する第二電極に接続されるように構成され、非反転入力(+IN)が、電圧発生回路に接続されたオペアンプと、出力(OUT)と反転入力(-IN)との間に接続されたコンデンサと、を備える。
【0005】
本開示のある実施形態は、溶液の電気化学測定に用いられる電気回路である。この電気回路は、電圧発生回路と、出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、出力(OUT)が、溶液と接触する対極(CE)に接続されるように構成され、反転入力(-IN)が、溶液と接触する参照極(RE)に接続されるように構成され、非反転入力(+IN)が、電圧発生回路に接続されたオペアンプと、出力(OUT)と反転入力(-IN)との間に接続されたコンデンサと、溶液と接触する作用極(WE)と接続されるように構成された電流測定回路と、を備える。
【0006】
本開示のある実施形態は、溶液の電気化学測定に用いられる電気回路である。この電気回路は、出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、出力(OUT)が、溶液と接触する対極(CE)に接続されるように構成され、反転入力(-IN)が、溶液と接触する参照極(RE)に接続されるように構成され、非反転入力(+IN)が、電圧発生回路に接続されるように構成されたオペアンプと、出力(OUT)と反転入力(-IN)との間に接続されたコンデンサと、溶液と接触する作用極(WE)と電流測定回路とを接続するように構成された配線と、を備える。電圧発生回路は、オペアンプの非反転入力(+IN)に接続されてもよい。電流測定回路は、作用極(WE)と接続されるように構成された配線と接続されてもよい。
【0007】
本開示の別の実施形態は、溶液の電気化学測定装置である。この電気化学測定装置は、溶液と接触するように構成された対極(CE)と、溶液と接触するように構成された参照極(RE)と、溶液と接触するように構成された作用極(WE)と、電圧発生回路と、出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、出力(OUT)で対極(CE)に接続され、反転入力(-IN)で参照極(RE)に接続され、非反転入力(+IN)で電圧発生回路に接続されたオペアンプと、オペアンプの出力(OUT)と反転入力(-IN)との間に接続されたコンデンサと、作用極(WE)と接続された電流測定回路と、を備える。
【0008】
本開示により、潜在的に又は一例として、ノイズが測定に与える影響を低減し、溶液中の電気化学測定において、化学反応および生化学反応により発生する微小電流の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す回路ブロック図である。
図2】ノイズ対策を行わずに測定した電流の一例を示す波形図である。
図3】外部ノイズに対する対策のみを行って測定した電流の一例を示す波形図である。
図4】第一の実施形態に係るノイズ対策を行って測定した電流の一例を示す波形図である。
図5】外部ノイズに対する対策のみを行って測定した電流の一例を示す波形図である。
図6】第一の実施形態に係るノイズ対策を行って測定した電流の一例を示す波形図である。
図7】第二の実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す回路ブロック図である。
図8】電流測定回路を構成する典型的な回路の一例である。
図9】フィードバック回路がノイズを増幅するメカニズムを説明するための回路ブロック図である。
図10】電気等価回路の変換を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般的に、電気的測定を行う測定系はノイズの影響を受ける。ノイズ源としては、例えば、商用電源、スイッチング電源、クロック、外部機器、静電気および通信電波などが挙げられる。これらのノイズの発生源は特定できている。これらは、以下に述べる電極やフィードバックループなどのように測定系に内在するものではなく、その外部に存在するものである。したがって、本開示ではこれらを総称して「外部ノイズ」と呼ぶ。
【0011】
外部ノイズの発生源は比較的特定が容易である。したがって、ノイズの発生源から測定部に伝わる伝搬経路を絶てば、その影響を低減することが可能である。例えば、測定系をシールドで覆えば、外部機器から伝播するノイズ、静電気および通信電波による影響を大幅に低減することができる。また、測定機器の内部に入ってくる、商用電源、スイッチング電源、クロックなどに起因するノイズの影響は、測定機器のグランドを適切に配置することで低減することができる。あるいはまた、静電気と商用電源を除き、これらのノイズは、周波数が高いので、ローパスフィルター(LPF)などにより低減することができる。また、商用電源の周波数は、国や地域で定められており、50Hzまたは60Hzと決まっている。したがって、その周期に合わせた平均処理をする(例えば、0.1秒間のデータを平均すると、50Hz/60Hzの信号はゼロになる)ことで、そのノイズをさらに低減させることができる。静電気は、周波数が定まっていないが、通常、シールドを適切に施すことで対策を十分に行うことができる。
【0012】
一方、外部ノイズ以外に、測定装置内には、熱雑音、ショットノイズ、フリッカノイズ(1/fノイズ)等のノイズも存在する。これらのノイズは、物理現象として、測定装置内のデバイスや電気又は電子素子の内部に存在するため、シールドやグランドの適正配置では低減できない。また、これらのノイズは、低周波に亘るため、平均処理での低減が困難なこともある。特に、フリッカーノイズ(1/fノイズ)は、低周波においてノイズ電力が高くなるため、平均処理で低減することが困難である。
【0013】
電気化学測定においては、化学反応または生化学反応によって作用電極に流れる電流を測定する。測定対象物質が低濃度である場合、流れる電流は微小である。このような場合に、ノイズが大きいと、測定対象物質の定量はおろか、検出すらできない場合がある。定量ができたとしても、定量された値が極めて不正確になることがある。
【0014】
電気化学的な測定をする溶液は、生体から採取された液体でもよい。溶液は、生体から採取された液体そのものでもよく、人体から採取された液体でもよい。生体から採取された液体に対して精製、希釈、他の液体との混合その他の処置が行われた液体又は生体由来の液体でもよい。電気化学的な測定をする溶液は、体液であってもよい。体液は、細胞内液(ICF)であってもよく、細胞外液(ECF)であってもよい。体液は、リンパ液であってもよく、組織間液、細胞間液、間質液組などの組織液であってもよく、体腔液、漿膜腔液、胸水、腹水、心嚢液、脳脊髄液(髄液)、関節液(滑液)、眼房水(房水)であってもよい。体液は、唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液などの消化液であってもよく、汗、涙、鼻水、尿、精液、膣液、羊水、乳汁であってもよい。溶液は、測定対象物質を含む、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)やN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸緩衝液(TES)などの生理緩衝液であってもよい。
【0015】
溶液は、測定対象物質を含んでいてもよい。例えば、溶液は涙であって、測定対象物質は涙に含まれるグリコアルブミンであってもよい。あるいは、測定対象物は、血液又は血清中のグルコース、アルブミン、グリコアルブミン、尿酸、グリコヘモグロビン、間質液中のグルコース、涙のグルコース、アルブミン、尿のアルブミン、グルコースなどであってもよい。溶液は測定対象物質が含まれていれば特に限定されるものではない。
【0016】
電気化学測定法は、電気分解の際の電流測定法でもよい。電気分解を用いる測定法では、電位を一定に維持した時の電流値を測定するアンペロメトリーでもよく、電位を変動させたときの電流量の変動を測定する(ボルタンメトリー)であってもよい。電気化学測定法は、三電極法であってもよい。
【0017】
電圧発生回路(電圧発生器、電圧発生部)は、電源を含んでいてもよく、その外部に設けられた電源からの電圧を所望の電圧に変換する構成でもよい。電源電圧を分割する回路を含んで構成されてもよく、所望の電圧を発生することのできる集積回路(IC)を含んで構成されてもよい。電圧発生回路は、ローパスフィルタ回路とバッファ回路とを有して構成されてもよい。
【0018】
本開示において、「接続」は、特段の説明がない限り、電気的な接続を意味する。「接続」は、直接的な接続、すなわち接続される素子等が間に他の電気又は電子素子等を実質的に介さない接続であってもよく、本願に開示に含まれる発明又は実施形態が機能する限り、間接的な接続、すなわち接続される素子等の間に他の電気又は電子素子等を介した接続であってもよい。例えば、オペアンプの出力(OUT)と対極(CE)とは、直接接続でもよく、あるいは、接続ミスをして回路内の電子素子を壊さないように、オペアンプの出力(OUT)と対極(CE)の間に直列に例えば100Ω(オーム)の抵抗を接続してもよい。また例えば、オペアンプの出力を直接対極に接続しなくてもよい。ある実施形態では、後段にさらに増幅回路や減衰回路を入れて接続してもよい。別の実施形態では、オペアンプを複数段使って接続してもよい。ある実施形態では、保護用の抵抗を直列に入れて接続を形成してもよい。
【0019】
ある実施形態では、コンデンサは、出力(OUT)と反転入力(-IN)との間に接続される。コンデンサは、一端で出力(OUT)に接続され、他端で反転入力(-IN)に接続されてもよい。
【0020】
ある実施形態では、コンデンサは、1μF以上の容量を有していてもよい。別の実施形態では、コンデンサは、1μFより大きい容量を有していてもよい。コンデンサの容量は、2μF、3μF、4μF、5μF、6μF、7μF、8μF、9μF又は10μF以上でも良く、それらのいずれかの値より大きい値でもよい。コンデンサの容量は、10μF、20μF、30μF、40μF、50μF、60μF、70μF、80μF、90μF又は100μF以上でもよく、それらのいずれかの値より大きい値でもよい。
【0021】
ある実施形態では、コンデンサの容量は、測定中の対極の界面の等価回路の静電容量より大きくてもよい。ある実施形態ではコンデンサは、ノイズ低減用コンデンサであってもよい。電極の溶液との接触面積は、100平方ミリメートル以下であってもよい。電極界面の静電容量は通常10μF程度以下であってもよい。電気二重層の厚さは、薄いもので1nm程度であってもよく、これより大きくてもよい。一例として、電極界面の静電容量は、C=εS/D=70μF(水の比誘電率ε=80として)であってもよい。あるいは、別の例では、数μF程度であってもよい。これらに合わせて、コンデンサの容量は、10μFであれば十分にノイズを低減することができる。さらにコンデンサの容量は、100μFであれば、さらにノイズを低減することができる。例えば、電極面積がさらに小さければ、コンデンサの容量は0.1μFであってもよい。
【0022】
本開示ではコンデンサの容量に、理論上上限はないが、実際上は上限を設けても良い。コンデンサの容量は、100mF(ミリファラッド)、10mF、1mF、500μF、400μF、300μF、200μF、100μF以下でもよく、それらのいずれかの値より小さい値でもよい。コンデンサの容量は、350μFであってもよく、330μFであってもよい。
【0023】
コンデンサは、セラミックコンデンサでもよい。コンデンサは2つ以上のコンデンサを組み合わせて構成してもよい。例えば、2つの電解コンデンサを逆向きに直列接続してもよい。コンデンサは、極性があってもよいし、なくてもよい。無極性のコンデンサは、これに加わる電圧が正負の間で変動する可能性の場合に有用である。
【0024】
対極、参照極、作用極を電極と呼んでもよく、それぞれ対電極、参照電極、作用電極とよんでもよい。作用極は、少なくとも溶液と接触する表面が、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属で形成されていてもよく、カーボンナノチューブ、グラフェン、ダイヤモンドなどを含む炭素電極でもよく、酸化タンタルなどの金属酸化物でもよく、導電性ポリマーであってもよい。対極は、少なくとも溶液と接触する表面が、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属で形成されてもよく、炭素電極や導電性ポリマーなどで形成されてもよい。参照極は、少なくとも溶液と接触する表面が、銀塩化銀(Ag/AgCl)、飽和KCl塩橋、水銀(Hg)、塩化水銀(HgCl)、標準水素電極などで形成されていてもよい。これらの材料は、一例であって、本開示における電極の素材を特定するものではない。
【0025】
電流測定回路は、電流電圧変換回路を有していてもよい。ある実施形態では、電流測定回路は、電流電圧変換回路と電圧測定回路とが直列に接続されて構成されてもよい。ある実施形態では、電圧測定回路はA/D変換器であってもよい。
【0026】
一般に、電気回路において、複数の回路素子又は配線が接続される点を節点又はノード(node)と呼び黒丸の点で表されることが多い。しかし、本開示では、上記節点又はノードと、明示的に示す電気電子回路又は素子を除き、回路機能上実質的に同電位として扱うことができる配線部などの箇所とを合わせてノードと呼ぶ。
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
<第一の実施形態>
<測定装置の構成>
図1は、本開示のある実施形態(第一の実施形態)に係る測定装置の構成を示す回路ブロック図である。測定装置1は、溶液の電気化学測定をする装置である。測定装置1は、溶液中の測定対象の物質を検出し定量することもできる。図1に示す測定装置1は、電気回路10、溶液を収容する容器90、容器90に配置され測定時には溶液95と接触する対極91、参照極92、作用極93を備えている。電気回路10は、電圧発生回路(電圧発生部、電圧発生器)20、オペアンプ30、コンデンサ40、電流測定回路(電流測定部、電流測定器)50を備えている。電圧発生回路20、オペアンプ30、コンデンサ40、電流測定回路50は、その一部又はすべてが基板(図示せず)上に形成されている。ある実施形態では、基板は、紙フェノール、ガラスエポキシなどの素材の基板であってもよい。
【0029】
電圧発生回路20の出力は、オペアンプ30の非反転入力(+IN)に接続され、基準電圧Vrefを供給する。電圧発生回路20は、測定装置1の接地電位に対して安定した電位差Vrefを持つ出力信号を供給する。
【0030】
オペアンプ30の出力(OUT)は対極91に接続され、反転入力(-IN)は参照極92に接続されている。コンデンサ40は、対極91と参照極92との間、又はオペアンプ30の出力(OUT)と反転入力(-IN)との間に接続されている。換言すれば、コンデンサ40は、一端でオペアンプ30の出力(OUT)と対極91とに接続され、他端でオペアンプ30の反転入力(-IN)と参照極92とに接続されている。
【0031】
電流測定回路50は、作用極93に接続され、作用極93からの電流の値を受けて電気回路10外部に出力信号を出力する。
【0032】
オペアンプ30の出力(OUT)とコンデンサ40の間、あるいはオペアンプ30の出力(OUT)、コンデンサ40、対極91の間の実質的に等電位の配線部をノード(第一ノード)11と呼ぶ。オペアンプ30の反転入力(-IN)とコンデンサ40の間、あるいはオペアンプ30の反転入力(-IN)、コンデンサ40、参照極92の間の実質的に等電位の配線部をノード(第二ノード)12と呼ぶ。作用極93と電流測定回路との間の実質的に等電位の配線部をノード(第三ノード)13と呼ぶ。
【0033】
ある実施形態では、溶液95を収容する容器90、対極91、参照極92、作用極93は、測定装置1から取り外すように構成されてもよい。溶液95を収容する容器90、対極91、参照極92、作用極93は、測定ごと、使用頻度あるいは時間間隔に応じて、使い捨てされるように構成されてもよい。ある実施形態では、溶液を収容する容器90、対極91、参照極92、作用極93が測定装置1にはめ込まれて、対極91、参照極92、作用極93がそれぞれ、第一ノード11、第二ノード12、第三ノード13と電気接触を形成するように構成されていてもよい。別の実施形態では、溶液を収容する容器90、対極91、参照極92、作用極93は、測定装置1に一体的に形成又は製造されてもよい。
【0034】
図1では、測定装置1は、シールド60を備えている。シールド60は、外部ノイズを低減することができる。図1では、シールド60は、電気回路10と、容器90、対極91、参照極92、作用極93を囲むように配置されているが、シールド60の配置はこれに限らない。シールド60は、第二ノード12に沿ってあるいは囲むように配置されてもよい。
【0035】
第一ノード11~第三ノード13は、上記の基板に配置されてもよい。シールド60は金属もしくは導電性の素材で作られていてもよい。シールド60は測定装置1の接地電位につながれていてもよい。ある実施形態では、対極、参照極、作用極に接続されるノードの各々又はすべては、部分的に同軸ケーブル(図示せず)で形成されていてもよい。その同軸ケーブルの内部導体が各ノードの配線として各電極に接続され、外部導体がシールド60に接続されていてもよい。ノードが物理的に長い場合に、ノードが拾う外部ノイズを低減することができる。ある実施形態では、同軸ケーブルは、取り外し可能なコネクタ(図示せず)を介して、電気回路と電極間とを接続するように構成されていてもよい。本開示では、測定装置1の第一ノード11、第二ノード12、第三ノード13がどのような形で対極91、参照極92、作用極93につながるかは限定されない。
【0036】
ある実施形態では、オペアンプ30の出力(OUT)、オペアンプ30の反転入力(-IN)、電流測定回路50と接続されるように構成された配線は、それぞれ、電気化学測定の際に溶液と接触する対極91(CE)、参照極92(RE)、作用極93(WE)と接続されるように構成されていてもよい。ある実施形態では、電気回路を含む部品と、対極(CE)、参照極(RE)、作用極(WE)を含む部品とが、機械的にはめ込みなどの形式で接触または合体することで、対極91(CE)、参照極92(RE)、作用極93(WE)との各配線との電気的接触が形成されるように、測定装置1と電気回路路10とが構成されてもよい。
【0037】
ある実施形態では、溶液95を収容する容器90はカートリッジ式に測定装置1に対して取り外し可能に構成されてもよい。容器90は、溶液95やその他の液体を導入する導入口を有していてもよい。容器90は、溶液95やその他の液体を排出する排出口を有していてもよい。導入口と排出口は、それぞれ一つであっても複数であってもよく、また同一の孔として構成されてもよい。ある実施形態では、対極91(CE)、参照極92(RE)、作用極93(WE)は、容器90に対して固定されてもよく、容器90に対して取り外し可能に固定可能であってもよい。ある実施形態では、容器90は、溶液95を測定中に実質的に流れない状態で収容するように構成されてもよい。別の実施形態では、容器90は、流路として構成されてもよい。
【0038】
図1に示す測定装置1は、筐体70を備えている。ある実施形態では、筐体70は、容器90及び電気回路10を収納しまたは支持するように構成されていてもよい。測定装置1は、デスクトップ型の装置であってもよく、ポータブル(携帯)型の装置であってもよい。
【0039】
測定する際には、溶液95が導入部又はインレット(図示せず)から容器90に流入または導入される。
【0040】
測定対象物質又は被測定物質は、予め溶液に含まれていてもよく、測定対象物質を含まない溶液を容器90に導入した後に、異なるタイミングで溶液95に混合させてもよい。測定対象物質と溶液とが混合されるタイミングはこれに限定されない。例えば、ある実施形態では、対極91、参照極92および作用極93が溶液95と接していない状態、つまり、乾燥した状態から、測定対象物質の溶解した溶液95を容器90に注ぎ込んでもよい。別の実施形態では、測定対象物質が含まれない溶液を容器90に導入して、対極91、参照極92および作用極93を浸した後に、測定対象物質が溶解した溶液と置き換えてもよい。さらに別の実施形態では、対極91、参照極92および作用極93を測定対象物質が含まれない溶液に浸しておき、測定対象物質そのものを容器90内の溶液に溶かし込んでもよい。さらに別の実施形態では、対極91、参照極92および作用極93を測定対象物質が含まれない溶液に浸しておき、測定対象物質が混入した被測定サンプルを溶液に溶かし込んでもよい。
【0041】
導入された溶液95は、対極91、参照極92、作用極93の表面の少なくとも一部と接触する。電圧発生器20より電圧が提供されると、オペアンプ30の出力から、第一ノード11、対極91、溶液95、参照極92、第二ノード12を経て、再びオペアンプ30の反転入力(-IN)に戻ってくるフィードバックループが形成される。このフィードバックループの働きで、参照極92から第二ノード12に伝わる電圧が基準電圧Vrefと等しくなるように対極91の電圧が制御される。オペアンプ30はフィードバック回路の1つの構成要素であるがが、別の実施形態では、同様の機能を有する他の回路部品を用いてもよい。
【0042】
コンデンサ40により、熱雑音、ショットノイズ、フリッカーノイズなどの装置の構成部品に内在するノイズ(以下、「物理ノイズ」という)の影響を低減することができる。
【0043】
図1のようなフィードバック回路において、物理ノイズは、電圧発生回路20の構成部品やオペアンプ30に内在している。電圧発生回路20の構成部品に内在する物理ノイズは、電圧ノイズとして基準電圧信号に重畳され、オペアンプ30の非反転入力端子(+IN)に入力される。オペアンプ30に内在する物理ノイズは、反転入力(―IN)と非反転入力(+IN)の両方に存在するが、等価的にはその和がオペアンプ30の非反転入力(+IN)に集中して存在するとして計算することができる。このオペアンプ30のノイズは、基準電圧信号に重畳される。これらから、さまざまな場所に存在する物理ノイズは基準電圧Vrefに重畳してオペアンプ30の非反転入力(+IN)に集約した1つのノイズと考えることができる。これを以下「集約された物理ノイズ」と表現する。
【0044】
ここで、電極と溶液の界面の物性と電気的な性質について簡単に説明する。電極と溶液の界面は、複雑な現象で取り巻かれている。界面に交流電圧を印加すると、それに応じた電流が流れるので、その比により界面のインピーダンスが定義できる。本開示ではそれを界面インピーダンスと称する。界面インピーダンスを構成するものは、酸化還元反応と電気二重層である。酸化還元反応は溶液と電極の間での電子の授受を発生させ、これにより直流電流が流れる。電気二重層は、界面に集まるイオンにより形成され、電子の授受は発生させない。しかし、電極の電位が変化すると溶液中のイオン濃度分布の変化が起こりそれに応じて電極の電子の状態が変化し、これが交流電流として検出される。よって、電気的には、酸化還元反応を抵抗、電気二重層をコンデンサとして表現することができる。したがって、界面インピーダンスは近似的にこれらの並列回路として表現できる。その他、界面においては、拡散律速によって支配されるワールブルグインピーダンスなどの複雑な要素が存在する。しかし、これらは本開示に大きく影響を及ぼす要素ではないので、説明を省略する。対極91、参照極92、作用極93は、それぞれが界面インピーダンスをもち、それぞれ、抵抗と静電容量の並列回路として近似的に表現することができる。
【0045】
集約された物理ノイズはフィードバックループによって増幅される。そのメカニズムを以下に説明する。オペアンプ出力から反転入力までのフィードバック量は、対極91と溶液95との界面インピーダンスZcと、作用極93と溶液95との界面インピーダンスZwとのインピーンダンス分割Zw/(Zc+Zw)で決まる。
【0046】
実際には、参照極92と溶液95との界面の等価回路のインピーダンスZrを経由する経路が存在する。しかし、その先にあるオペアンプ30の反転入力(―IN)の入力インピーダンスが充分に大きいので、参照極92でのインピーダンスZrは、フィードバック経路におけるインピーダンス分割に影響を及ぼさないと考えて良い。また、一般的なオペアンプの入力インピーダンスは現実的に得られるZcやZwの値に比べ充分に大きい。また、電流測定回路50の入力インピーダンスは充分に小さいと考えて良い。これも、電流計は入力インピーダンスが低いことが要件となるためである。例えば、図8に示す電流測定回路50において、電流電圧変換回路51は入力部で仮想接地となっており、入力インピーダンスはゼロとみなしてよい。
【0047】
オペアンプ30、対極91と作用極93の等価インピーダンスZc、Zwおよび仮想接地となる電流測定回路50の入力だけをモデル化した図9を見ると、このフィードバック回路の配置は、典型的な非反転増幅器を構成している。したがって、オペアンプ30の非反転入力(+IN)に集約された物理ノイズは、(Zc+Zw)/Zw倍に増幅されてオペアンプ30の出力に現れ、そのまま、第一ノード11を経て対極91に現れると考えることができる。
【0048】
三電極法などの電気化学測定では、溶液に含まれる微小量の物質による化学反応または生化学反応による電流を測定する。より多くの電流を得るために、作用極の溶液との接触面積を大きくすることが有効である。一般的には、作用極の面積は対極の面積に比べて大きい。接触面積が大きいと、界面のインピーダンスが小さくなり、静電容量が大きくなる。
【0049】
以下具体的に計算により考察する。例えば、実施例で実測したところ、作用極の面積は対極の面積の約2.5倍あり、対極、参照極および作用極の界面の等価回路は、それぞれ35MΩ//2.8μF、2MΩ//1.4μF、14MΩ//7μFであった。ここで、「//」はその左右の素子が並列接続されていることを表す。
【0050】
化学反応のスピードを考慮すると、測定に必要な時間は0.1秒程度から1分程度であり、周波数では、おおよそ0.01Hz(ヘルツ)から10Hzの範囲となる。その周波数帯では、界面の等価回路においては静電容量が支配的であるので、インピーダンスは実質的に静電容量の逆数に比例する。オペアンプ30の反転入力(―IN)の入力インピーダンスは十分に大きいとすると、コンデンサ40がない場合はZrが無視できて、フィードバックループ内ノイズの増幅率は、(Zc+Zw)/Zwと表現できる。
【0051】
上記の場合、対極91のインピーダンスZcと作用極93のインピーダンスZwの比率は、Zc/Zw≒(1/Cc)/(1/Cw)=Cw/Cc=7μF/2.8μF=2.5と計算される。したがって、コンデンサ40がない場合のフィードバックループ内ノイズの増幅率は、(Zc+Zw)/Zw=(1+2.5)/1=3.5である。
【0052】
一方、本開示では、コンデンサ40は、オペアンプ30の出力である第一ノード11とオペアンプ30の反転入力(―IN)である第二ノード12につながるように接続されている。コンデンサ40は、フィードバックループの内部において、オペアンプ30の出力(OUT)である第一ノード11から対極91、溶液95および参照極92を経由してオペアンプ30の反転入力(―IN)である第二ノード12に帰還する経路に並列に配置されている。したがって、コンデンサ40がないときと比べ、フィードバックループの帰還量が大きくなる。これにより、第一ノード11を経由して対極91に現れるノイズ電力が小さくなり、微小電流の測定精度を向上させることが可能となる。
【0053】
フィードバックループの帰還量が大きくなると、ノイズの増幅率が小さくなることは、次のように考えても理解できる。まず、Zc、Zr及びコンデンサ40のインピーダンスZnの接続をπ型接続と捉え(図10A)、これをT型接続(図10B)に変換することができる。より具体的には、図10Cに示すZc、Zr、Znのπ型接続は、図10Dに示すZ1、Z2、Z3のT型接続に変換することができる。このとき、Z1=(Zc×Zn)/(Zr+Zn+Zc)、Z2=(Zr×Zc)/(Zr+Zn+Zc)、Z3=(Zn×Zr)/(Zr+Zn+Zc)と表現することができる。図10Bに示すT型接続のZ1、Z2、Z3も同様に表現することができる。そうすると、オペアンプ30を配置し、オペアンプ30の入力インピーダンスが十分大きいとすると、Z3は無視できるので、フィードバックループの帰還量を(Z2+Zw)/(Z1+Z2+Zw)と、ノイズの増幅率を(Z1+Z2+Zw)/(Z2+Zw)と表現できる。ここで、コンデンサ40のインピーダンスZnが対極91でのインピーダンスZcに比べて十分小さい場合は、Z2>>Z1となるので、ノイズの増幅率は(Z1+Z2+Zw)/(Z2+Zw)≒(Z2+Zw)/(Z2+Zw)=1となる。あるいは、フィードバックループが構成する非反転増幅器の増幅率が小さくなることで、オペアンプ30の非反転入力(+IN)に存在する集約された物理ノイズの増幅率が小さくなると理解してもよい。
【0054】
コンデンサ40の容量Cnが対極91の界面の静電容量Ccより大きいと、帰還量が大きくなる。例えば、上述の対極91と作用極93の静電容量Cc、Cwをそのまま用い、コンデンサ40の容量Cnを100μFとすると、ほとんどの帰還はコンデンサ40を通して行われるため、帰還量はほぼ1となり、ノイズは増幅されない。すなわち、コンデンサ40がない場合に比べて、3.5倍のノイズ低減につながる。
【0055】
周波数が比較的高い外部雑音によるノイズは、シールドやグランドでの対策に合わせて、平均処理で低減することができる。しかし、周波数が比較的低いノイズは、平均処理などの手法で低減することは期待できない。例えば、物理ノイズは、部品に内在するため、シールドやグランドで低減することができない。さらに、周波数が低い物理ノイズを平均処理で低減しようとすると、本来の信号も低減されうる。物理ノイズの中でも、周波数に反比例して大きくなるフリッカーノイズは、低周波数における支配的なノイズである。電気化学反応の時定数の近傍にあるフリッカーノイズは、従来の方法では、除去することが非常に難しい。
【0056】
これに対して、コンデンサ40を有する電気回路とそのフィードバック回路は、例えば0.01Hzから10Hz程度の周波数範囲で、そのノイズ低減の効果を顕著に高めることができる。あるいは、コンデンサ40を有する電気回路とそのフィードバック回路は、例えば0.01Hzから10Hz程度の周波数を有するノイズの帰還量を増大させることができるので、フィードバック回路におけるノイズの増幅が抑えられる。電気化学測定において、化学反応は、0.1秒から1分程度、もしくはそれ以上かかることもある。したがって、本開示のコンデンサ40を含む電気回路は、電気化学測定の精度を向上させることができる。
【0057】
図8に示すように、電流測定回路50は、電流電圧変換回路51を備えていてもよい。ある実施形態では、電流電圧変換回路51は、オペアンプと抵抗を用いて構成してもよい。このとき、オペアンプの反転入力は、仮想接地となる。第三ノード13の入力インピーダンスは低く、ゼロとみなすことができる。測定装置1は、電流電圧変換回路50の内部(図8)あるいはその外側にアナログデジタル(A/D)変換回路52を有していてもよい。図8に示す電流測定回路50では、作用極93からの電流信号は、電流電圧変換回路51により電流-電圧変換され、A/D変換器52でデジタルデータに変換され、電気回路10外部にデジタル信号として出力される。
【0058】
対極91は、作用極93との間に所定の電圧差を持つ電極である。電圧差は、測定に使う電極の種類や、測定対象物質に応じて定めてもよい。ある実施形態では、電極や電極表面に分子認識膜を設ける場合、当該分子認識膜に過度の負荷がかからない範囲でなるべく高い電圧を印加してもよい。対極91と溶液95との電位差は流れる電流量に応じて変化する。したがって、溶液95の電位を所定の値に保つために、参照極92により溶液の電位を測定し、フィードバック回路により対極91の電位が制御される。
【0059】
ある実施形態では、作用極93の表面上に、測定対象物質に特異的に反応する分子認識膜が設けられている(図示せず)。分子認識膜は、高分子膜を含んでいてもよい。高分子膜は、測定対象物質に応じて、例えば、抗原、抗体、酵素等の生体分子、自己組織化単分子膜(SAM:Self-Assembled Monolayer)、分子鋳型ポリマー(MIP:Molecular Imprinted Polymer)等の高分子膜であってもよい。対極91からの電圧が印加された環境において、分子認識膜が測定対象物質と反応を起こすと、電流が発生する。例えば、測定対象物質が分子認識膜において分解されると、酸化還元などの電子の授受により電流が発生すると考えられる。測定対象物質が分子認識膜において結合されると、表面電荷が変化することにより電流が発生すると考えられる。分子認識膜での測定対象物質の何らかの変化が作用極を通して電気信号として検出されると考えられる。以上のメカニズムは、例示でありまた推定であり、本開示を限定するものではなく、他のメカニズムもあり得る。
【0060】
シールド60は、例えば金属を含む電気伝導性を有する材料で構成される。ある実施形態では、シールド60は、機器外部から進入するノイズを遮断することができる。ある実施形態では、シールドをグランド電位と同一にすることで、商用電源ノイズやスイッチングノイズなど、内部回路で発生するノイズを低減することもができる。
【0061】
測定時、電圧発生回路20は、基準電圧Vrefを生成し、これをオペアンプ30へ供給する。オペアンプ30は、参照極92が基準電圧Vrefとなるよう出力電圧の制御を行う。作用極93では、化学反応が行われる。
【0062】
<実施例1>
ここで、本開示に含まれる一つの実施例について説明する。対極91として、面積約4平方ミリメートルの白金電極を用いた。作用極93として、約10平方ミリメートルの白金電極を用い、この表面にグリコアルブミンを測定するためのフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FAOD)酵素膜を形成した。参照極92として、約2平方ミリメートルの白金電極を用い、その表面に銀塩化銀を配置した。
【0063】
対極91と作用極93の間に450mVの電圧を印加した状態において、3つの電極を、グッド緩衝剤である300mMのN-[トリス(ヒドロキシメチル)-メチル]-2-アミノエタンスルホン酸 (TES)溶液に浸した状態で測定した。その際のノイズ波形を図2図3図4に示す。図2は、本開示に係るノイズ対策を施さずに測定したノイズ波形を示す。図3は、シールドや適切なグランド配置などを行うことで、外部ノイズを低減する対策を施した場合のノイズ波形を示す。図4は、本開示に係るコンデンサ40として10μFのコンデンサを配置したときのノイズ波形を示す。
【0064】
図2に示すように、ノイズ対策が施されていない場合では、0.7nA(ナノアンペア)p-p(ピークtоピーク)程度のノイズが観測された。図3に示すように、外部ノイズを低減する対策を施した場合では、0.12nAp-p程度のノイズが観測された。外部ノイズの影響がほぼなくなり、観測されるノイズは物理ノイズが支配的となった。しかし、フィードバックループでの増幅効果が見られた。図4に示すように、ノイズ低減用コンデンサを含む電気回路を用いた場合は、0.04nAp-p程度までノイズが低減した。ノイズの増幅効果が低減したことが確認された。
【0065】
次に、本開示に含まれる他の実施例について説明する。
【0066】
<実施例2>
本実施例では、グリコアルブミンを含まないTESを容器90に導入して、対極91、参照極92および作用極93を浸した後に、1mg/mLのグリコアルブミンを溶解したTESに置換(交換)した。この溶液に対して、実施例1と同じ条件で測定した電流波形を図5図6に示す。図5は、シールドや適切なグランド配置などを行うことで、外部ノイズを低減する対策を施した場合の電流波形の一例を示す。図6は、コンデンサ40として10μFのコンデンサを配置したときの電流波形を示す。
【0067】
図5図6は、それぞれのグラフで、28秒、32秒の時点で溶液の交換を行った。溶液交換の際に、電流値が急激に増加した。(これらの図では、測定系の関係でグラフ下方向が電流の増加を意味する。)その後、80秒付近になると、電流が安定した。このようなピーク電流は、電気二重層の形成や、溶液内でのイオンの濃度分布の変動など、所望の化学反応以外の要因により発生すると考えられる。このピーク電流により、測定すべき化学反応に対応する電流を測定することが困難になる。したがって、ピーク電流や電流の急激な変化がなくなった後、安定した電流を測定することが好ましい。
【0068】
例えば10μL程度の涙に含まれるグリコアルブミンの濃度は1mg/mL程度である。したがって、涙におけるグリコアルブミンの定量には、この程度の電流を正確に測定することが要求される。安定時の電流値は5から10nA程度である。この値を1%単位の精度、すなわち0.05nAから0.1nA程度の精度で測定することが要求される。図5の測定では、電流値の1%の精度を確保するのはほぼ不可能である。一方、図6の測定では、ノイズの影響を1%以下に低減することが可能である。さらに、時間平均を用いてもよい。これによりさらに測定精度を上げることができる。
【0069】
本実施例の場合のように、測定対象物質が含まれない溶液に、測定対象物質が追加されると、対極から作用極に流れる電流が変化し、それに応じて対極91の電位が変化する。参照極92の電位は一定なので、コンデンサ40の両端に加わる電位差が変化する。この変化には電荷の注入が必要であるので、コンデンサ40は測定途中に充電される必要がある。この際、コンデンサ40に注入する電荷は、参照極92から第二ノード12を経由させるしかない。参照極92から注入する電流は参照極92の電気抵抗によって制限を受ける。すなわち、コンデンサ40への電荷の注入時間は、参照極92の電気抵抗とコンデンサ40の静電容量とによって決定される。
【0070】
例えば、本実施例のように、コンデンサ40の容量が10μFで、参照極92の電気抵抗が約2MΩである場合には、コンデンサ40の充電の時定数は20秒となる。したがって、この構成は、ノイズを抑えられる効果を奏しつつ、コンデンサ40の充電の待ち時間が測定に大きな支障を与えることを回避又は低減することができる。言い換えれば、微小電流の測定精度の向上と、測定時間の抑制とを両立させることが可能となる。
【0071】
別の実施形態では、コンデンサ40の容量が100μF以上であってもよい。コンデンサ40のインピーダンスZnは、更に小さくなり、ノイズの帰還量をより一層向上させ、ノイズの増幅をより一層抑えることができる。これにより、微小電流の測定精度をより一層向上させることが可能となる。
【0072】
<第二の実施形態>
次に、図7を用いて、本開示の別の実施形態(第二の実施形態)について説明する。以下、前述の実施形態と重複する箇所については、原則としてその説明を省略する。
【0073】
図7は、第二の実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す回路ブロック図である。図7に示す測定装置101は、電気回路110、溶液95を収容する容器90、対極91、参照極92、作用極93、シールド60、筐体70を備えている。電気回路110は、電圧発生回路20、オペアンプ30、コンデンサ40、スイッチ(スイッチ回路)180、バッファ回路181を備えている。ある実施形態では、電気回路110は、電圧発生回路20、オペアンプ30、コンデンサ40、電流測定回路50、コンデンサ充電用回路(図示せず)を備えていてもよい。コンデンサ充電回路によるコンデンサ40を充電する時間が1秒、5秒、10秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、60分のいずれかの値以下又は未満であってもよい。
【0074】
図7に示すコンデンサ40は、第一ノード11とスイッチ180との間に設けられている。すなわち、このコンデンサ40は、一端でオペアンプの出力(OUT)と第一ノード11とに接続され、他端でスイッチ回路180の出力端180cに接続されている。
【0075】
スイッチ180は、第1入力端180a、第2入力端180b、及び出力端180cを備える回路ブロックである。スイッチ180は、制御部(図示せず)を有し、この制御部により2つの入力端の接続を切り替えることができる。第1入力端180aは、バッファ回路181の出力端に接続されている。第2入力端180bは、オペアンプ30の反転入力(-IN)と参照極92とに接続され、すなわち第二ノード12に接続されている。出力端180cはコンデンサ40の一端に接続されている。スイッチ180は、入力端の接続を切り替えることで、コンデンサ40の接続先を切り換えることができる。
【0076】
バッファ回路181は、高インピーダンスで入力電圧を受け、低インピーダンスで入力電圧と同じ電圧を出力する回路である。図7に示すバッファ回路181は、出力端でスイッチ回路180の第1入力端180aでと接続されている。入力端は、反転入力(-IN)と参照極92とに接続されすなわち第二ノード12に接続されている。バッファ回路181は、スイッチ180が第1入力端180aで接続されているときに、参照極92と第二ノード12の電圧を高インピーダンスで受け、コンデンサ40に低インピーダンスで充電することができる。バッファ回路181は、オペアンプを使ったボルテージフォロワーであってもよい。しかし、バッファ回路181は、これに限らず違う構成でもよい。
【0077】
コンデンサ40の容量は、対極91の界面容量及び参照極92の界面容量よりも大きい場合がある。この場合、コンデンサ40の充電時間が、化学反応が安定になるまでの時間よりも長くなることがある。コンデンサ40が化学反応の進行を遅らせることもある。コンデンサ40が充電されている間は正しく電気化学測定を行うことはできない。したがって、コンデンサ40が充電されている間は待ち時間となる。このため、コンデンサ40がない場合に比べ測定時間を長く設定する必要があり、別の言い方をすれば、コンデンサ40の充電の待ち時間を含めて測定時間を十分に長く設定する必要がある。例えば、コンデンサ40の容量が10μF、100μFで、参照極92の界面での抵抗成分が2MΩ(メガオーム)である場合、単純なCR積として計算される時定数は、それぞれ20秒、200秒である。これらの時定数は、化学反応および生化学反応に影響を与える可能性がある。
【0078】
また、ノイズの増幅率の低減と、反応への影響の極小化や測定時間の短時間化とがトレードオフの関係になり得る。したがって、最適化された構成でも、ノイズ低減効果と測定時間との両方を少しずつ犠牲することがあり得る。さらに、使用する電極によっては、最適なノイズ低減用コンデンサの容量が異なる。例えば、測定対象物質、使用する電極、分子認識膜、測定時の溶液や溶液中の測定物質の濃度、測定したい濃度によって、使用すべき電極は異なることがあるので、ノイズ低減用コンデンサを取り替えることが必要になり得る。
【0079】
これに対し、本実施形態のようなバッファ回路181とスイッチ180とを有する電気回路110により、潜在的に以下のような効果を奏する。すなわち、化学反応が安定になる前、すなわち、測定を開始する前の待ち時間において、制御部からの信号により、スイッチ180の出力端180cと入力端180aを接続する。これにより、スイッチ180は、コンデンサ40とバッファ回路181の出力端とを接続する。したがって、化学反応が安定するまでは、バッファ181を有する電気回路の構成により、コンデンサ40を所定の電圧まで急速に充電することができる。充電中、コンデンサ40は、フィードバックループの構成要素にならないので、化学反応および生化学反応にもフィードバック回路の収束時間にも影響を与えない。ある実施形態では、バッファ回路181の出力インピーダンスは1Ω以下とすることができ、これによりコンデンサ40の充電時間を100μ秒(マイクロ秒)以下にすることができる。例えば、図5又は図6に示す実施例では、化学反応が1分程度で落ち着いた。このような場合には、充電時間を1秒から数秒程度にすれば測定には大きな問題とはならない。化学反応が5秒程度で落ち着く場合には、回路の時定数を100msec(ミリ秒)にすることもできる。
【0080】
化学反応が安定になると、制御部はスイッチ180を切り替えて、コンデンサ40と第二ノード12とを接続する。このとき、コンデンサ40は、バッファ181により第二ノード12の電圧と同一の電圧まで充電されている。したがって、スイッチ切り換えによるフィードバック回路を再収束する必要は生じず、測定時のノイズ低減を一つの効果として奏する。
【0081】
本開示は以下の実施形態を非限定的に含む:
【0082】
1.溶液の電気化学測定に用いられる電気回路であって、
電圧発生回路と、
出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、
前記出力(OUT)が、前記溶液と接触する対極(CE)に接続されるように構成され、
前記反転入力(-IN)が、前記溶液と接触する参照極(RE)に接続されるように構成され、
前記非反転入力(+IN)が、前記電圧発生回路に接続された、
オペアンプと、
前記出力(OUT)と前記反転入力(-IN)との間に接続され、1μF以上の容量を有するコンデンサと、
前記溶液と接触する作用極(WE)と接続されるように構成された電流測定回路と、
を備える電気回路。
2.前記コンデンサの容量は10μF以上である、実施形態1に記載の電気回路。
3.前記コンデンサの容量は100μF以上である、実施形態2に記載の電気回路。
4.前記コンデンサの容量は、測定中の対極の界面の等価回路の静電容量より大きい、実施形態1から3のいずれか一実施形態に記載の電気回路。
5.溶液の電気化学測定に用いられる電気回路であって、
電圧発生回路と、
前記溶液と接触する作用極(WE)と接続されるように構成された電流測定回路と、
出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、
前記出力(OUT)が、前記溶液と接触する対極(CE)に接続されるように構成され、
前記反転入力(-IN)が、前記溶液と接触する参照極(RE)に接続されるように構成され、
前記非反転入力(+IN)が、前記電圧発生回路に接続された、
オペアンプと、
1μF以上の容量を有するコンデンサと、
第一入力端と第二入力端と出力端を有するスイッチ回路と、
入力端と出力端とを有するバッファ回路と、
を備え、
前記コンデンサは、一端で前記オペアンプの出力(OUT)に接続され、他端で前記スイッチ回路の出力端に接続され、
前記スイッチ回路は、第一入力端で前記バッファ回路の出力端に接続され、第二入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)との間に接続され、
前記バッファ回路は、入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)との間に接続された、
電気回路。
6.溶液の電気化学測定装置であって、
前記溶液と接触するように構成された対極(CE)と、
前記溶液と接触するように構成された参照極(RE)と、
前記溶液と接触するように構成された作用極と(WE)と、
電圧発生回路と、
出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、
前記出力(OUT)で前記対極(CE)に接続され、
前記反転入力(-IN)で前記参照極(RE)に接続され、
前記非反転入力(+IN)で前記電圧発生回路に接続された
オペアンプと、
前記オペアンプの出力(OUT)と前記反転入力(-IN)との間に接続され、1μF以上の容量を有するコンデンサと、
前記作用極(WE)と接続された電流測定回路と、
を備える電気化学測定装置。
7.前記溶液は測定対象物質を含み、
少なくとも前記作用極の前記溶液と接触する表面に設けられ、前記測定対象物質と特異的に反応する分子認識膜を更に備える、
実施形態6に記載の電気化学測定装置。
8.溶液の電気化学測定装置であって、
前記溶液と接触するように構成された対極(CE)と、
前記溶液と接触するように構成された参照極(RE)と、
前記溶液と接触するように構成された作用極と(WE)と、
電圧発生回路と、
前記作用極(WE)と接続された電流測定回路と、
出力(OUT)、非反転入力(+IN)、反転入力(-IN)を有するオペアンプであって、
前記出力(OUT)が前記対極(CE)に接続され、
前記反転入力(-IN)が前記参照極(RE)に接続され、
前記非反転入力(+IN)が前記電圧発生回路に接続された
オペアンプと、
1μF以上の容量を有するコンデンサと、
第一入力端と第二入力端と出力端を有するスイッチ回路と、
入力端と出力端とを有するバッファ回路と
を備え、
前記コンデンサは、一端で前記オペアンプの出力(OUT)と前記対極(CE)とに接続され、他端で前記スイッチ回路の出力端に接続され、
前記スイッチ回路は、第一入力端で前記バッファ回路の出力端に接続され、第二入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)と前記参照極(RE)とに接続され、
前記バッファ回路は、入力端で前記オペアンプの反転入力(-IN)と前記参照極(RE)とに接続された、
電気化学測定装置。
9.前記溶液は測定対象物質を含み、
少なくとも前記作用極の前記溶液と接触する表面に設けられ、前記測定対象物質と特異的に反応する分子認識膜を更に備える、
実施形態8に記載の電気化学測定装置。
【0083】
以上、本開示の幾つかの実施形態及び実施例について説明したが、これらの実施形態及び実施例は、本開示を例示的に説明するものである。例えば、上記各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必要に応じて回路を追加してもよい。特許請求の範囲は、本開示の技術的思想から逸脱することのない範囲で、実施形態に対する多数の変形形態を包括するものである。したがって、本明細書に開示された実施形態及び実施例は、例示のために示されたものであり、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【符号の説明】
【0084】
1,101…測定装置
10,110…電気回路
11,12,13…ノード
20…電圧発生回路
30…フィードバック回路
40…コンデンサ
50…電流測定回路
51…電流電圧変換回路
52…アナログデジタル変換回路
60…シールド
70…筐体
90…容器
91…対極
92…参照極
93…作用極
95…溶液
180…スイッチ
181…バッファ回路


図1
図2
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図10