(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法
(51)【国際特許分類】
H01P 1/205 20060101AFI20230307BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H01P1/205 B
H05K7/12 D
(21)【出願番号】P 2021521924
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 KR2019003271
(87)【国際公開番号】W WO2020009312
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0077537
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521005638
【氏名又は名称】ウェイブ テック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン,セ フン
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ミン キョン
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102074776(CN,A)
【文献】実開平04-109593(JP,U)
【文献】中国実用新案第202004121(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0002810(US,A1)
【文献】実開昭55-159602(JP,U)
【文献】特開2012-174654(JP,A)
【文献】特開平10-313202(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第1999-0008899(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/20- 1/219
H01P 7/00- 7/10
H01P 11/00
H05K 3/30
H05K 7/12
H05K 13/00-13/08
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形又は多角形の穴が貫設されている板状本体部の領域を含み、高周波フィルタに使用される第1部品;及び前記第1部品の前記円形又は多角形の穴の内径に一致するように挿入され、円板又は多角形板形状を有する挿入末端部、前記挿入末端部の直径より大きい直径を有する円板、多角形板、円柱又は角柱形状の係止本体部、及び前記挿入末端部の直径より小さい直径を有して前記挿入末端部と前記係止本体部を連結し、円板又は多角形板形状を有する連結部を含む、高周波フィルタに使用される第2部品との間の結合構造の形成方法であって、
前記第2部品は前記構造によって前記係止本体部と前記挿入末端部との間に形成された環状隙間を有し、前記第1部品をなす金属材料の硬度より大きい硬度を有する金属材料で製造され、前記第1部品の下に支持台を配置して前記第2部品を押圧することにより、前記第1部品と前記第2部品との間の結合構造が完成され、
前記支持台は、押圧力により発生する前記第1部品の変形が前記第1部品の下側の境界領域を超えて下方に伝播されることを防ぐ程度の硬度を有し、
前記第1部品と前記第2部品との間の結合構造は、前記第2部品の前記挿入末端部が前記第1部品に設けられた前記円形又は多角形の穴に一致するようにして、前記第2部品に対し下方に力を作用させて前記第2部品を下方に移動させると、前記第2部品の前記連結部及び前記挿入末端部が前記第1部品の前記円形又は多角形の穴に挿入され、前記第2部品の前記係止本体部が前記第1部品の前記板状本体部に係止された状態となり、この状態で引き続き前記第2部品を押圧すると、前記第2部品の前記係止本体部の下に位置する前記第1部品の前記板状本体部の部分が下方に押され、この押圧力により発生する前記板状本体部の垂直方向の変形が、この押圧中に前記第1部品の下側の境界領域を超えて伝播できないために水平方向の変形に変換され、前記第2部品の前記係止本体部と前記挿入末端部との間に形成の間に形成された前記環状隙間を埋めることにより形成されることを特徴とする高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【請求項2】
前記第2部品において前記係止本体部、前記連結部、及び前記挿入末端部は一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【請求項3】
前記第1部品において前記板状本体部の領域の厚さは2mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【請求項4】
前記第1部品は前記高周波フィルタのハウジングの底部であり、前記第2部品は共振棒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【請求項5】
前記第1部品は前記高周波フィルタのハウジングの側壁部であり、前記第2部品は入出力端子のコネクタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【請求項6】
前記コネクタは前記係止本体部の直径より小さい直径を有する円柱状のコネクタ本体部を含み、前記コネクタ本体部は前記係止本体部上の同心円の位置に設置されることを特徴とする請求項5に記載の高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【請求項7】
前記係止本体部は前記連結部と連結される前記係止本体部の末端面から垂直に切断した後水平に切断して、D形状の断面を有する切断物を除去することにより、前記係止本体部の側面の一部に平らなDカット部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【請求項8】
前記第1部品はアルミニウム、銅メッキされたアルミニウム又は銀メッキされたアルミニウムで製造され、前記第2部品は真鍮、鉄又はステンレス鋼で製造されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高周波フィルタの部品間の結合構造、及びそのような結合構造を含む高周波フィルタに関するものであり、より詳細には、高周波フィルタで共振棒とハウジングの底部との間の結合、及び入出力端子のコネクタとハウジングの側壁部との間の結合などをねじ込み方式によらず、共振棒やコネクタなどの部品に特殊な構造を導入して、ハウジングの底部や側壁部などに押圧して結合することにより、組立時の管理の簡易化及び高周波フィルタの小型化を達成することができる高周波フィルタの部品間の結合構造、及びそのような結合構造を含む高周波フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波フィルタは高周波、特に超高周波を共振するための一種の回路筒体の構造を有する。一般的なコイルとコンデンサによる共振回路は輻射損失が大きいため、超高周波を形成するのに適していない。よって、RFフィルタは複数の共振器で構成する。各共振器は導体で取り囲まれた金属性の円筒又は直方体などの収容空間(cavity)を形成し、その内部には誘電体共振素子(Dielectric Resonance(DR) element)又は金属共振棒で構成された共振素子を備えて固有周波数の電磁場のみが存在するようにすることで、超高周波の共振が可能にする構造を有する。
【0003】
通常の高周波フィルタが
図1及び
図2に示されている。
図1及び
図2を参照すると、通常の高周波フィルタ10は一側面が開放され、内部に収容空間が形成されたハウジング100を有する。ハウジング100は、その内部に収容空間を有する、例えば、直方体状に形成することができる。従って、ハウジング100は底部110と側壁部120を含む。ハウジング100は、その内部に複数の金属共振棒300を収容することができるように、内部収容空間が隔壁130によって区画される構造を有する。ハウジング100の開放された面はカバー200によって覆われる。カバー200にはチューニングスクリュー400が設置されている。ハウジング100の側壁部120には入出力端子のコネクタ500が設置されている。
【0004】
ハウジング100の底部110に金属共振棒300を結合する際には、締結ねじ610を使用する。より具体的に言えば、金属共振棒300は、その底部に締結ねじ610と結合するネジ締結溝を有し、ハウジング100の底部110にはねじ締結孔が形成されている。締結ねじ610をハウジング100の底部110に形成されたねじ締結孔に挿通させた後、金属共振棒300に設けられたねじ締結溝に嵌め込むことにより、ハウジング100の底部110に金属共振棒300を固定させることができる。
【0005】
ところで、このようなねじ込み方式は部品によってサイズが異なる締結ねじ610を使用しなければないため、締結ねじ610のサイズに合わせて異なるトルク(回転力)を適用して組み立てなければならない。このような点で、管理項目が多くなる欠点があった。それだけでなく、締結ねじ610はテーパーした形態(傾斜した形態)の頭部を有し、このような頭部がハウジング100の底部110に設けられたねじ締結孔に結合しなければならない。そのため、ハウジング100の底部110の厚さを薄くするには限界があった。このような理由から、通常の高周波フィルタ10を小型化するには限界があった。
【0006】
一方、カバー200をハウジング100と結合するには締結ねじ630を使用し、また、ハウジング100の側壁部120に入出力端子のコネクタ500を設置するためにも締結ネジ620を使用する。このような締結ねじ630及び620の使用による問題は前述した通りである。特に、コネクタ500をハウジング100の側壁部120に設置するために、コネクタ500にフランジ505を一体に形成し、フランジ505を複数の締結ねじ620によってハウジング100の側壁部120に結合させる構造を採用するが、このような結合構造は前述した問題点をさらに悪化させる。
【0007】
韓国特許登録第10-1217184号は無線周波数フィルタを開示する。開示された発明はハウジングカバーとハウジング本体との間にハウジングの気密層を挿入し、ハウジングの気密層を溶融させた後、固化させることにより、ハウジングカバーとハウジング本体を結合して受動相互変調歪み(Passive Inter-Modulation Distortion:PIMD)を減らすものである。この特許発明は、金属棒気密層をハウジング本体と共振金属棒との間に挿入して、同一の方式でハウジング本体と共振金属棒を結合する。この特許発明は前述した通常の高周波フィルタの問題点を解決するために案出されたものではないが、ねじ込み方式を回避するものであるため、そのような問題は現れないこともあり得る。ただし、ハウジング気密層と金属棒気密層による結合は機械的構造による結合方式ではなく、物理化学的接着結合方式に該当して耐久性に疑問があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は前述した通常の高周波フィルタの問題点、即ち組立時の管理項目が多くなるという点と、小型化が難しいという点を改善するために案出されたものである。
【0010】
従って、本発明の目的は高周波フィルタで共振棒とハウジングの底部との間の結合、及び入出力端子のコネクタとハウジングの側壁部との間の結合などをねじ込み方式によらず、共振棒やコネクタなどの部品に特殊な構造を導入して、ハウジングの底部や側壁部などに押圧して結合することにより、組立時の管理の簡易化及び高周波フィルタの小型化を達成することができる高周波フィルタの部品間の結合構造の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するための本発明に係る高周波フィルタの部品間の結合構造は、円形又は多角形の穴が貫設されている板状本体部の領域を含み、高周波フィルタに使用される第1部品;及び前記第1部品の前記円形又は多角形の穴の内径に一致するように挿入され、円板又は多角形板形状を有する挿入末端部、前記挿入末端部の直径より大きい直径を有する円板、多角形板、円柱又は角柱形状の係止本体部、及び前記挿入末端部の直径より小さい直径を有して前記挿入末端部と前記係止本体部を連結し、円板又は多角形板形状を有する連結部を含む、高周波フィルタに使用される第2部品との間の結合構造である。
【0012】
ここで、前記第2部品は前記構造によって前記係止本体部と前記挿入末端部との間に形成された環状隙間を有し、前記第1部品をなす金属材料の硬度より大きい硬度を有する金属材料で製造され、前記第1部品の下に支持台を配置して前記第1部品を押圧することにより、前記第1部品と前記第2部品との間の結合構造が完成される。この時、前記第1部品と前記第2部品との間の結合構造は、前記第2部品の前記連結部及び前記挿入端部が前記第1部品の前記円形又は多角形の穴に挿入され、前記第2部品の前記係止本体部が前記第1部品の前記本体部に係止された状態で前記第2部品を押圧すると、前記第2部品の前記係止本体部の下に位置する前記第1部品の前記本体部の部分が下方に押される過程で、前記第2部品の前記係止本体部と前記挿入末端部との間に形成された前記環状隙間を埋めることにより形成される。
【0013】
前記第2部品において前記係止本体部、前記連結部、及び前記挿入末端部は一体に形成されることが好ましい。
【0014】
前記第1部品において前記板状本体部領域の厚さは2mm以下であり得る。
【0015】
本発明の一実施形態として、前記第1部品は前記高周波フィルタのハウジングの底部であり、前記第2部品は共振棒であり得る。
【0016】
本発明の他の実施形態として、前記第1部品は前記高周波フィルタのハウジングの側壁部であり、前記第2部品は入出力端子のコネクタであり得る。
【0017】
前記コネクタは前記係止本体部の直径より小さい直径を有する円柱状のコネクタ本体部を含み、前記コネクタ本体部は前記係止本体部上の同心円の位置に設置されることができる。
【0018】
前記係止本体部は前記連結部と連結される前記係止本体部の末端面から垂直に切断した後水平に切断して、D形状の断面を有する切断物を除去することにより、前記係止本体部の側面の一部に平らなDカット部を有することができる。
【0019】
前記第1部品はアルミニウム、銅メッキされたアルミニウム又は銀メッキされたアルミニウムで製造され、前記第2部品は真鍮、鉄又はステンレス鋼で製造されることができる。
【0020】
本発明は前述した部品間の結合構造を含む高周波フィルタを提供する。
【0021】
一方、本発明は前述した部品間の結合構造を達成するための高周波フィルタの部品を提供する。本発明に係る高周波フィルタの部品は、円板又は多角形板形状を有する挿入末端部、前記挿入末端部の直径より大きい直径を有する円板、多角形板、円柱又は角柱形状の係止本体部、及び前記挿入末端部の直径より小さい直径を有する前記挿入末端部と前記係止本体部を連結し、円板又は多角形板形状を有する連結部を含む。
【0022】
前記係止本体部、前記連結部、及び前記挿入末端部は一体に形成され、前記部品は共振棒又は入出力端子のコネクタであり得る。
【0023】
前記係止本体部は前記連結部と連結される前記係止本体部の末端面から垂直に切断した後水平に切断して、D形状の断面を有する切断物を除去することにより、前記係止本体部の側面の一部に平らなDカット部を有することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る高周波フィルタの部品間の結合構造は、高周波フィルタで共振棒とハウジングの底部との間の結合、及び入出力端子のコネクタとハウジングの側壁部との間の結合などをねじ込み方式によらず、共振棒やコネクタなどの部品に特殊な構造を導入して、ハウジングの底部や側壁部などに押圧して結合することにより、組立時の管理の簡易化及び高周波フィルタの小型化を達成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】通常の高周波フィルタの全体形状を示す分解斜視図である。
【
図2】通常の高周波フィルタで共振棒とハウジングの底部との間の結合構造を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造をなす過程を説明するための断面図である。
【
図4】
図3に示した結合構造をなす過程で、第1部品の変形に対する説明を提供するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造に適用される共振棒(第2部品)の形状を例示した斜視図である。
【
図6】
図3及び
図4に示した高周波フィルタの部品間の結合構造を通常の高周波フィルタの部品間の結合構造と比較した断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造を通常の高周波フィルタの部品間の結合構造と比較した図である。
【
図8】通常の高周波フィルタの部品間の結合構造と比較して、本発明に係る高周波フィルタの部品間の結合構造によって小型化が達成されることを示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造を達成するために設計した共振棒(第2部品)の実際形状を撮影した写真である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造を達成するためのハウジングの底部(第1部品)を模写した金属板の形状を撮影した写真である。
【
図11】
図9の共振棒を
図10のハウジング底部に結合して、本発明の一実施形態として高周波フィルタの部品間の結合構造を完成した状態を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明に係る高周波フィルタ10の全体的な形状は
図1に示した通常の高周波フィルタと同じであり得る。本発明の特徴は下記で具体的に説明する高周波フィルタの部品間の結合構造が通常の高周波フィルタでの対応結合構造とは異なることにある。従って、本発明の高周波フィルタ10の全体的な形状は
図1を参照することができるので、ここではその詳細な説明を省略することにする。
【0028】
図3は本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造をなす過程を説明するための断面図である。ここで、第1部品は高周波フィルタ10のハウジング100の底部110であり、第2部品は金属共振棒300である。
【0029】
図3に示したように、本発明において第1部品であるハウジング100の底部110は板状本体部の領域を含み、そのような本体部には円形の穴112が貫設されている。円形の穴112の代わりに、多角形の穴を形成することも可能である。以下では円形の穴112を基準に説明することにする。
【0030】
一方、本発明において第2部品である金属共振棒300は挿入末端部310、係止本体部320及び連結部330を含む。金属共振棒300のその他の構成は通常の金属共振棒同じであり得る。
【0031】
共振棒300の挿入末端部310はハウジング底部110に形成された円形の穴112の内径に一致するように挿入される。従って、挿入末端部310は円板状である。もしハウジング底部110が円形の穴112の代わりに、多角形の穴を有する場合、挿入末端部310は多角形板状を有しなければならないことは当然である。
【0032】
共振棒300の係止本体部320は挿入末端部310の直径より大きい直径を有する円板又は円柱状に形成される。もしハウジング底部110が円形の穴112の代わりに、多角形の穴を有する場合、係止本体部320は多角形板又は角柱形状に形成することができる。このとき、係止本体部320から延びて共振棒300の残りの構成を形成することができる。
【0033】
共振棒300の連結部330は挿入末端部310の直径より小さい直径を有する挿入末端部310と係止本体部320を連結するものである。連結部330は円板状である。もしハウジング底部110が円形の穴112の代わりに、多角形の穴を有する場合、連結部330は多角形板状に形成することができる。
【0034】
共振棒300がこのような構造で形成されるので、係止本体部320と挿入末端部310との間に環状間隙340が形成される。前述した挿入末端部310、連結部330及び係止本体部320は一体に形成されることが好ましい。
【0035】
本発明において第2部品である共振棒300は第1部品であるハウジング底部110を構成する金属材料の硬度より大きい硬度を有する金属材料で製造される。例えば、共振棒300は真鍮、鉄又はステンレス鋼で製造することができ、ハウジング底部110はアルミニウム、銅めっきされたアルミニウム又は銀メッキされたアルミニウムで製造することができる。
【0036】
共振棒300をハウジング底部110に結合するためには、
図3には図示しなかったが、ハウジング底部110の下に支持台を配置して共振棒300を適切なジグを用いて押圧することにより、ハウジング底部110と共振棒300との間の結合構造を完成することができる。この時、支持台は、押圧力により発生するハウジング底部110の変形がハウジング底部110の下側の境界領域を超えて下方に伝播されることを防ぐ程度の硬度を有するものであれば何でもよい。
【0037】
具体的に、共振棒300の挿入末端部310がハウジング底部110に設けられた円形の穴112に一致するようにジグ(図示せず)に共振棒300を固定した後、下方力を作用させて共振棒300を下方に移動させる(
図3の一番目の図)。そうすると、共振棒300の挿入末端部310と連結部330は、ハウジング底部110に形成された円形の穴112に挿入され、共振棒300の係止本体部320は円形の穴112に挿入されないため、ハウジング底部110に係止された状態になる(
図3の二番目の図)。この状態で引き続き共振棒300を押圧すると、係止本体部320の硬度がハウジング底部110の硬度より大きいため、係止本体部320の下に位置するハウジング底部110の部分は係止本体部320によって下方に押圧される(
図3の三番目の図)。即ち、ハウジング底部110の該当部分に垂直変形が発生するようになる。ところで、このような過程でハウジング底部110は支持台に配置されているので、押圧力により発生するハウジング底部110の垂直変形はハウジング底部110の下側の境界領域を超えて下方に伝播することができない。従って、結局はハウジング底部110の垂直変形は水平変形に変換されて、ハウジング底部110のそのような変形部分が係止本体部320と挿入末端部310との間に形成された環状間隙340を満たすようになる(
図3の四番目の図)。
【0038】
前述した過程によりハウジング底部110の水平変形によって新たに生成された突出部が共振棒300の環状間隙340に嵌め込まれることにより、共振棒300とハウジング底部110との間の結合が強固に行われる。
図4を参照すると、ハウジング底部110の(1)部分は共振棒300の押圧過程中で下方に押されるようになり、そのようなハウジング底部110の垂直変形は水平変形に変換されて、結局はハウジング底部110の(2)部分が突出して新たに形成される。ハウジング底部110から突出して新たに形成された(2)部分は共振棒300の環状間隙340に嵌め込まれて、ハウジング底部110と共振棒300が結合されるようになる。従って、ハウジング底部110の厚さによって共振棒300の挿入末端部310と連結部330の厚さを適切に選択すると、前述のような結合構造を実現することができるようになる。
【0039】
本発明に係る高周波フィルタの部品間の結合構造は、部品の組立時にハウジング底部110のせん断強度以上の力でジグを用いて共振棒300を押圧するだけで十分である。そのため、部品の組立時の管理が簡単で容易である。必要な場合、ハウジング底部110の円形の穴112に対して共振棒300を押圧する長さをさらに管理することができる。このように、押圧長さの追加管理も難なく行うことができる。従って、本発明に係る高周波フィルタは通常の高周波フィルタに比べて部品の組み立てが簡単で容易であるという長所を有する。
【0040】
図5は本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造に適用される共振棒(第2部品)の形状を例示した斜視図である。
図5の共振棒300において、係止本体部320にはDカット部325が設けられている。Dカット部325は連結部330と連結される係止本体部320の末端面から垂直に切断した後水平に切断して、D形状の断面を有する切断物を除去することにより、係止本体部320の側面の一部に平らに形成される。
【0041】
前述したように、共振棒300がハウジング底部110の円形の穴112に押圧される際に、ハウジング底部110の垂直変形が水平変形に転換されてハウジング底部110に突出部が形成され、このような突出部は共振棒300の環状間隙340に嵌め込まれる。この時、共振棒300の係止本体部320にDカット部325が形成されている場合、ハウジング底部110はDカット部325に対応する部分では垂直変形を起こさない。そのため、ハウジング底部110はDカット部325により共振棒300の係止本体部320に係止されるようになる。
【0042】
従って、共振棒300の係止本体部320にDカット部325が更に設けられると、共振棒300をハウジング底部110の円形の穴112に押圧した後、共振棒300が回転することを確実に阻止する。
【0043】
図6は
図3及び
図4に示した高周波フィルタの部品間の結合構造を通常の高周波フィルタの部品間の結合構造と比較した断面図である。
図6に示したように、通常の高周波フィルタにおいて共振棒300をハウジング底部110に結合するために締結ねじ610を採用する。そのため、ハウジング底部110の厚さは最小限にしても2mmより大きくしなければならない。通常の高周波フィルタにおいてハウジング底部110の厚さは、例えば2~4mm又はそれ以上でなければならない。反面、本発明に係る高周波フィルタにおいては前述した結合構造によって共振棒300とハウジング底部110が結合するので、2mm以下の厚さでハウジング底部110を形成することができる。本発明の高周波フィルタにおいて共振棒300と結合するハウジング底部110の厚さは1~2mmで設計することができ、より正確に設計する場合は、それよりも小さな厚さ、例えば、1~0.5mm程度の厚さでハウジング底部110を設計することもできる。
【0044】
一方、
図9は本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造を達成するために設計した共振棒(第2部品)の実際形状を撮影した写真であり、
図10は本発明の一実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造を達成するためのハウジングの底部(第1部品)を模写した金属板の形状を撮影した写真であり、
図11乃至
図13は
図9の共振棒を
図10のハウジング底部に結合して本発明の一実施形態として高周波フィルタの部品間の結合構造を完成した状態を撮影した写真である。この時、
図11は金属板の上部面を斜めに撮影した写真であり、
図12は側方から撮影した写真であり、
図13は金属板の下部面を撮影した写真である。
図9乃至
図13から確認できるように、本発明に係る高周波フィルタの部品間の結合構造は設計した通りよく実現された。
【0045】
図7は本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタの部品間の結合構造を通常の高周波フィルタの部品間の結合構造と比較した図である。
【0046】
図7を参照すると、本発明の高周波フィルタにおいて第1部品はハウジング100の側壁部120であり、第2部品は入出力端子のコネクタ500であり得る。従って、ハウジング側壁部120にはハウジング底部110に設けられた円形の穴112に対応する円形の穴122が形成されており、コネクタ500は挿入末端部510、係止本体部520、及び連結部530を有する。コネクタ500の挿入末端部510、係止本体部520、及び連結部530は前述したように、共振棒300の挿入末端部310、係止本体部320、及び連結部330が円形の穴112を備えたハウジング底部110に対して有する結合機能及び技術的効果と同じ機能及び効果を、円形の穴122を備えたハウジング側壁部120に対して発揮することができる。
【0047】
一方、コネクタ500は係止本体部520の直径より小さい直径を有する円柱状のコネクタ本体部550を含む。コネクタ本体部550は係止本体部520上の同心円の位置に設置される。この時、コネクタ500をハウジング側壁部120に結合するためにジグにより握られる部分とジグにより押される部分はコネクタ本体部550ではなく、係止本体部520であることが好ましい。このため、係止本体部520の直径をコネクタ本体部550の直径より大きく形成するものである。コネクタ本体部550がジグにより握られて押された場合は、そのような過程でコネクタ本体部550が損傷する恐れがある。
【0048】
図7に示したように、通常の高周波フィルタにおいて入出力端子のコネクタ500をハウジング側壁部120に結合するために締結ねじ620を採用する。そのため、ハウジング側壁部110の厚さは最小限にしても、3mmより大きくしなければならない。通常の高周波フィルタにおいてハウジング側壁部110の厚さは、例えば3~5mm又はそれ以上でなければならない。反面、本発明に係る高周波フィルタにおいては前述した結合構造によってコネクタ500とハウジング側壁部110が結合するので、2mm以下の厚さでハウジング側壁部120を形成することができる。本発明の高周波フィルタにおいてコネクタ500と結合するハウジング側壁部110の厚さは1~2mmで設計することができ、より正確に設計する場合は、それよりも小さな厚さ、例えば、1~0.5mm程度の厚さでハウジング側壁部110を設計することもできる。
【0049】
また、本発明によれば、通常の高周波フィルタで採用するコネクタ500はねじ込み方式でハウジング側壁部120に結合するためにフランジ505が必要であるが、本発明に係るコネクタ500はこのようなフランジを必要としない。従って、本発明の高周波フィルタは、このような点でさらに有用な側面を有する。
【0050】
図8は通常の高周波フィルタの部品間の結合構造と比較して本発明に係る高周波フィルタの部品間の結合構造によって小型化が達成されることを示す図である。
図8に示したように、本発明に係る高周波フィルタは共振棒300とハウジング底部110が前述した結合構造で結合する。そのため、通常の高周波フィルタに比べて、その高さを少なくとも1mm以上減らすことができ、小型化の達成に寄与するようになる。