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特許7239218管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/06 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
F03B17/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021537421
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 KR2019011533
(87)【国際公開番号】W WO2020050676
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0107129
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0110623
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521098995
【氏名又は名称】キム,ソンシク
【氏名又は名称原語表記】KIM, Seongsik
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンシク
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0319840(US,A1)
【文献】特表2015-535331(JP,A)
【文献】特開2003-214309(JP,A)
【文献】特開2009-228462(JP,A)
【文献】特開2002-242811(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102007034618(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/164091(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 17/06
F03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚水管(410)に配管され、下部貯水槽(300)に充填された水が上部貯水槽(200)に揚水されるようにするポンプ(400)と;
前記上部貯水槽(200)の一側底面から流入口導水管路(510)が接続され、螺旋傾斜道路(100)に沿って下部貯水槽(300)の位置まで配管され、発電のための流量が内部に通過する導水配管路(500)と;
流量が内部に通過する管路(22)の中央に貫通する駆動軸(2)と、前記駆動軸(2)を回転自在に支持し、前記管路(22)の内側面に向かってアーム(6)が延長される管路支持台本体(4)と、前記駆動軸(2)に固定され、流量の移動によって回転するプロペラ(7)と、前記駆動軸(2)の回転力を受けながら電気を発電させる発電機(10)と、を含んで構成される管路タービンユニット(600)と;を含み、
前記管路タービンユニット(600)は、前記導水配管路(500)に少なくとも2個以上多段に配置され
前記管路支持台本体(4)のアーム(6)は平板状にし、流線に抵抗する断面積は最小化し、軸方向の長さは前記管路(22)の半径より長くする
ことを特徴とする管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー。
【請求項2】
前記管路タービンユニット(600)は、
前記各管路支持台本体(4)間で前記駆動軸(2)と共に回転する内部ギア(8)と、前記内部ギア(8)に動力伝達手段を介して回転力が伝達され、前記管路(22)の外部でシャフト(11)と共に駆動する外部ギア(13)と、をさらに含み、
前記発電機(10)は、前記外部ギア(13)及びシャフト(11)を介して回転力を受けることを特徴とする、請求項1に記載の管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー。
【請求項3】
前記各管路支持台本体(4)の各先端部位置には、前記駆動軸(2)と一体に結合された圧力支え台(3)が設置され、前記管路支持台本体(4)と前記圧力支え台(3)との接触部間にはスラストベアリング(26)が構成されることを特徴とする、請求項1に記載の管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー。
【請求項4】
前記管路(22)の下端部には、蛇管構造からなるフレキシブル管(18)がさらに延長設置されることを特徴とする、請求項1に記載の管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー。
【請求項5】
数個の内部骨組柱(116)及び外部骨組柱(114)によって支持され、地上から螺旋状に沿って所定の高さまで連結される螺旋傾斜道路(100)と;
前記螺旋傾斜道路(100)の上部に位置し、各内部骨組柱(116)及び各外部骨組柱(114)によって支持された状態で内部に水が充填される上部貯水槽(200)と;
上部貯水槽(200)との高さ差を維持した状態で地面に位置する下部貯水槽(300)と;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー。
【請求項6】
前記螺旋傾斜道路(100)の内側中央には、地面から各階及び前記上部貯水槽(200)の最上部側位置まで昇降するエレベーター(700)がさらに設置されることを特徴とする、請求項に記載の管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーに関し、より詳細には、螺旋状構造からなる円柱状タワーの螺旋傾斜道路に沿って管路を連結し、上部貯水槽と下部貯水槽との間に落差を確保し、揚水ポンプで揚水された発電流量が螺旋道路に沿って移動する導水管路に管路タービンを多段設置し、低費用で多くの電力を生産することができ、電力の品質維持及び安定的な供給を可能にする揚水発電タワーに関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源(uninterruptible power supply:UPS)を構築したり、発電された電力を貯蔵するためにESS(Energy Storage System)を使用する。ESSは、過剰に生産された電力や商用電力を貯蔵しておいた後、一時的な電力不足時又は断電時に電力を提供する。ESSは、主にバッテリーを使用するバッテリー式であって、リチウムイオンなどを使用しているが、このような素材の価格が漸次上昇することによって経済性が低くなり、高価格化が進められている実情にある。
【0003】
一方、揚水発電は、落差確保のために高い標高差を有する山岳地形を選択し、ダムや貯水池などを必要とするので、このような揚水発電を都市地域又は工場地域や太陽光発電団地に適用することは難しかった。さらに、このような地域に揚水発電システムを構築したとしても、大型タービン及び大型発電機まで設置しなければならないので、空間的な制約及びシステム構成上の費用負担が大きい状況である。
【0004】
また、システムの安定性を高めるために、バックアップのためのタービン及び発電機まで設置した場合、このような制約及び負担がさらに増大するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】大韓民国実用新案登録第20-0478748号公報(登録日:2015年11月05日)
【文献】大韓民国特許登録第10-1868973号公報(登録日:2018年06月12日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低費用で効率的な電力生産が可能な電力貯蔵及び生産システムを構築することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、水の位置エネルギーによるESSの構築に利用可能なシステムを提供することにある。
【0008】
また、本発明の更に他の目的は、設置場所に制約要件がないので、所望の地域で短期間に建設が可能であり、追加増設が容易な電力貯蔵及び生産システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の更に他の目的は、公害物質の排出がなく、環境にやさしく、経済的な費用で安定性が高い電力貯蔵及び生産システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーは、揚水管410に配管され、下部貯水槽300に充填された水が上部貯水槽200に揚水されるようにするポンプ400と;前記上部貯水槽200の一側底面から流入口導水管路510が接続され、螺旋傾斜道路100に沿って下部貯水槽300の位置まで配管され、発電のための流量が内部に通過する導水配管路500と;流量が内部に通過する管路22の中央に貫通する駆動軸2と、前記駆動軸2を支持しながら回転自在に設置され、前記管路22の内側面に向かってアーム6が延長される管路支持台本体4と、前記各管路支持台本体4間で前記駆動軸2に固定され、流量の移動によって回転するプロペラ7と、前記駆動軸2の回転力を受けながら電気を発電させる発電機10とを含んで構成される管路タービンユニット600と;を含み、前記管路タービンユニット600が前記導水配管路500に少なくとも2個以上多段に配置されることを特徴とする。
【0011】
前記のような管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいて、前記管路タービンユニット600は、前記各管路支持台本体4間で前記駆動軸2と共に回転する内部ギア8と、前記内部ギア8に動力伝達手段を介して回転力が伝達され、前記管路22の外部でシャフト11と共に駆動する外部ギア13とをさらに含み、前記発電機10は、前記外部ギア13及びシャフト11を介して回転力を受けることができる。
【0012】
前記のような管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいて、前記各管路支持台本体4の各先端部位置には、前記駆動軸2と一体に結合された圧力支え台3が設置され、前記管路支持台本体4と前記圧力支え台3との接触部間にはスラストベアリング26が構成され得る。
【0013】
前記のような管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいて、前記管路支持台本体4のアーム6は平板状にし、流線に抵抗する断面積は最小化し、軸方向の長さは前記管路22の半径より長くすることができる。
【0014】
前記のような管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいて、前記管路22の下端部には、蛇管構造からなるフレキシブル管18がさらに延長設置され得る。
【0015】
前記のような管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいて、数個の内部骨組柱116及び外部骨組柱114によって支持され、地上から螺旋状に沿って所定の高さまで連結される螺旋傾斜道路100と、前記螺旋傾斜道路100の上部に位置し、各内部骨組柱116及び各外部骨組柱114によって支持された状態で内部に水が充填される上部貯水槽200と、上部貯水槽200との高さ差を維持した状態で地面に位置する下部貯水槽300とをさらに含み得る。
【0016】
前記のような管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいて、前記螺旋傾斜道路100の内側中央には、地面から各階及び前記上部貯水槽200の最上部側位置まで昇降するエレベーター700がさらに設置され得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、低価格でありながら小型であるプロペラ7及び発電機10などを用いて管路タービンユニット600を構成することができ、これを導水管路の代わりに多段設置することによって、低費用でも大きな電力を貯蔵及び生産できるようになり、必要に応じて設置台数を容易に増減できるという長所がある。
【0018】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、導水配管路500の代わりに管路タービンをその位置に設置するので、効率的な電力貯蔵及び生産が可能であり、設置空間が節約されるという長所がある。
【0019】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーを用いると、上部貯水槽200と下部貯水槽300との間に螺旋状に沿って多段設置することによって、水の位置エネルギーによるESSの構築が可能であるという長所がある。
【0020】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、多数の管路タービンユニット600を多段設置するので、そのうちの1つや2つが故障したとしても、残りの管路タービンユニット600が正常に発電可能であるので、電力供給の安定性が高く、低費用で具現可能であるという長所がある。
【0021】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、管路配管を組み立てる方法で簡単に発電装置の設置が可能であるという長所がある。
【0022】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、電力需要が必要な地域に簡単に設置可能であり、与えられた流量でも発電容量を大幅に増大させることができる。
【0023】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、実需要地域を選択して建設するようになるので、送電塔や送電線路の建設を最小化させることができ、短期間に総発電容量の増設が可能になる。
【0024】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、自然環境の毀損がなく、発電過程で環境汚染物質を全く排出していない清浄エネルギーを得ることができ、どの地域でも年中発電運用が可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る管路タービンユニットの構成を示した斜視図である。
図2図1の縦断面図である。
図3図1の平面図である。
図4】本発明の管路にボールチェーンが通過する位置に穴及び固定台設置用ボルト穴が穿孔される状態を示した要部図である。
図5】管路支持台本体と固定台との分解状態を示した平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る管路タービンユニットが導水配管路に沿って螺旋状に多段設置された状態を示した要部斜視図である。
図7】本発明の全体の装置構成を示した縦断面図である。
図8図7のA-A線横断面図である。
図9】エアベントが備えられたエアベント管の構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付の各図面と関連付けられる以下の詳細な説明及び各実施形態からさらに明らかになるだろう。本明細書において、各図面の各構成要素に参照番号を付する際、同一の構成要素には、たとえ他の図面上に表示されたとしても、可能な限り同一の番号を付していることに留意しなければならない。
【0027】
また、本発明を説明するにおいて、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合、それについての詳細な説明は省略する。添付の図面において、一部の構成要素は、誇張又は省略したり、又は概略的に示しており、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
本発明の好適な実施形態に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーは、主に夜や発電容量に余裕があるとき、下部貯水槽300から上部貯水槽200に揚水をし、電力使用量が多くなったり断電する状況などの非常時に発電をする用途などに利用可能である。
【0030】
揚水を通じて落差及び流量を確保し、揚水発電タワーの構造物の内部には螺旋傾斜道路100を設置し、これを数個の内部骨組柱116及び外部骨組柱114によって支持するようになる。
【0031】
螺旋傾斜道路100は、地上の1階から最上階まで螺旋状に沿って継続して繰り返される鉄筋及びコンクリート構造物であって、その内側中央部に円状空間部が形成された状態であり、揚水発電タワーは全体的に円柱状の構造物に施工される。
【0032】
本発明の揚水発電タワーは、円柱に沿って外部に数個の外部骨組柱114が立てられ、中央の円状空間部に沿って内部に数個の内部骨組柱116が立てられることによって全体の構造物を安定的に支持するようになる。
【0033】
螺旋傾斜道路100は、地上から最上階まで360度曲線道路のように螺旋状に沿って一つの傾斜した道路で連結され、多数の管路タービンユニット600が十分に配置され得る長さを確保するようになる。
【0034】
螺旋傾斜道路100は、円周に沿って数回回転する螺旋状にすることによって、その上部に配管される導水配管路500と多数の管路タービンユニット600とが全体的に曲がることなく柔らかく連結されるようにし、曲がり部で発生する圧力損失を防止する。
【0035】
この螺旋傾斜道路100の最上部には、内部に水が充填される上部貯水槽200が位置し、この上部貯水槽200も各内部骨組柱116及び各外部骨組柱114によって堅固に支持される。
【0036】
そして、地面又は地面と近接した位置に上部貯水槽200との高さ差を維持した状態で水が内部に充填される下部貯水槽300が備えられ、下部貯水槽300と上部貯水槽200との間に揚水管410が連結・配管される。
【0037】
下部貯水槽300は、上部貯水槽200に充填される流量より多い流量を貯水できるようにやや大きく製作することが好ましく、揚水管410にはポンプ400が設置され、下部貯水槽300に充填された水が上部貯水槽200に揚水されるようになる。
【0038】
このとき、下部貯水槽300がポンプ400のフード管路と直接連結されるようにし、フード管路の前側にろ過網構造のフィルターを設置し、これによって固形物などの各種異物の流入を遮断するようになる。
【0039】
前記ポンプ400としては、揚水能力が十分な諸元を選定するようになるが、非常時に備えて、選択的に作動するように予備用ポンプをさらに設置することもできる。
【0040】
本発明で使用される水を確保し、蒸発などで減少する流量を充填するためには、地下水を開発したり、上水道又は周辺の川や湖から水を揚水して調逹することもできる。このような本発明の 揚水発電タワーを駆動するためには、中央制御室及び変圧器を含む施設と事務室などの付帯施設とが共に備えられてもよい。
【0041】
一方、前記螺旋傾斜道路100の上部面に沿って導水配管路500が配管され、上部貯水槽200に充填された発電流量が、導水配管路500の内部を介して下部貯水槽300の位置まで落差によって移動できるようにする。
【0042】
上部貯水槽200は、枠及び底面が閉鎖され、上部は開放又は閉鎖されている容器状に揚水発電タワーの最上階に位置し、揚水発電タワーの面積と同一又は類似する底面積を有することができる。
【0043】
本発明は、通常、断電発生などの非常時や電力不足などの状況で非常代替時間や電力補充時間に発電できるように上部貯水槽200の貯蔵容量を設計・施工する必要がある。そして、平常時又は電力に余裕があるとき、ポンプ400は、下部貯水槽300の水を上部貯水槽200に揚水管410を介して揚水し、常に発電が可能な状態に準備される。
【0044】
上部貯水槽200は、図7に示すように、底面が一側に傾斜して形成され、その一側底面には、導水配管路500の上端に位置した流入口導水管路510とバルブ511とが順次接続される。
【0045】
流入口導水管路510には、固形物などの異物が流量に含まれて管路タービンユニット600に供給されることを防止するためにフィルターを設置することが好ましい。
【0046】
また、流量が速く供給されながら渦巻き流線が発生し、空気が管路に流入することを防止するために、多数の隔板をジグザグ式に交互に設置することによって気泡の発生を抑制するようになり、導水配管路500の中間に自動エアベント39をさらに設置することが好ましい。また、上部貯水槽200の位置まで設置される外部骨組柱114及び内部骨組柱116には、欄干又は隔壁を設置することができる。
【0047】
そして、導水配管路500の下端部の流量出口側にはバルブ511が設置され、これにより、下部貯水槽300に移動する流量を制御するようになる。
【0048】
発電のための流量が内部に通過する導水配管路500には、管路タービンユニット600を少なくとも2個以上、好ましくは5個以上多段に連続して設置し、図6乃至図8では、便宜上、管路タービンユニット600が曲率を有する場合を示したが、下記のフレキシブル管18部分を除いては、直線である駆動軸2に相応するように直線状を有する。
【0049】
各管路タービンユニット600では、揚水によって確保された流体(水)の位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。小容量である管路タービンユニット600のそれぞれの発電容量を全部合わせると、総発電容量を大容量に増大できるようになる。
【0050】
管路タービンユニット600で流体(水)が移動する管路22の中央に設置される駆動軸2は、管路支持台本体4によって支持することによって、駆動軸2の回転運動を安定的に持続できるようにする。
【0051】
管路支持台本体4は、同一の長さからなる数個(好ましくは4個)のアーム6を通じて管路22の内側面によって支持された状態であって、アーム6は、管路22の外側面に位置する固定台5と多数のボルトで締結され、管路22と駆動軸2とが同軸を維持した状態で駆動軸2の回転を安定的に支持できるようにする。
【0052】
管路支持台本体4は、例えば、2個に分割された状態であって、そのフランジに各ボルトで締結・組み立てられ、内部に各ベアリング26、27が設置された状態で円筒状に組み立てられる。
【0053】
管路支持台本体4と駆動軸2との接触部には、例えば、3個のベアリング27を構成し、これによって駆動軸2の回転を支持している。特に、管路支持台本体4と圧力支え台3との接触部間にはスラストベアリング26を構成し、管路支持台本体4に対して軸方向の荷重を加えている圧力支え台3及び駆動軸2が抵抗なく回転しながら支持できるようにする。
【0054】
駆動軸2の最先端は、水頭抵抗を減少させるために半円状又は尖ったコーン状に成形し、各管路支持台本体4の先端側には、圧力支え台3が駆動軸2と一体に結合されるように設置され、駆動軸2などの荷重が各管路支持台本体4によって支持されるようにし、前記スラストベアリング26によって回転自在の状態で支持されるようにする。
【0055】
圧力支え台3は、各管路支持台本体4の先端側ごとに設置されるが、管路22に流れる流体の流速が速く、流量が多いと、圧力が大きくなり、重力荷重が大きくなるので、管路支持台本体4を図面のように3ヶ所に設置することによって駆動軸2を安定的に支持し、圧力及び荷重が分散されるようにした。
【0056】
また、管路支持台本体4のアーム6は平板状にし、流線に抵抗する断面積は最小化し、軸方向の長さは、少なくとも管路22の半径より長くし、プロペラ7によって撹乱された流線を再び元に戻し、発電効率を向上できるようにする。
【0057】
各管路支持台本体4間には一つ又は複数のプロペラ7が設置され、管路22の内部に流量が流れるようになると、流量状態量(落差、流量、流速)エネルギーによってプロペラ7と共に駆動軸2を回転させる。例えば、図面には、2個の2葉プロペラ7が直列に駆動軸2に設置される場合を示しているが、1個や2個の4葉プロペラ7が設置される場合などの多様な実施形態が可能である。
【0058】
プロペラ7により、流体が有する直線運動エネルギーの一部が回転運動エネルギーに転換され、内部ギア8及び外部ギア13を通じて発電機10を駆動できるようになる。管路22の内部では、内部ギア8が共に駆動するように駆動軸2に固定設置され、管路の外部では、内部ギア8の回転力を受けながら共に駆動する外部ギア13が発電機10と連結されている。
【0059】
内部ギア8と外部ギア13とを連結し、回転動力を伝達するための手段として、ステンレススチールワイヤからなるボールチェーン17が備えられ、水が常に流れる管路の内部で機械的な損傷や腐食のおそれがないので、安定的な運転効率を達成できるようになる。ボールチェーン17は、駆動軸2の回転運動エネルギーが大きいので、効果的且つ安定的な動力伝達のために、図面のように2列に設置することが好ましい。一方、ボールチェーン17の代わりに、他の種類のチェーンやタイミングベルトなどの動力伝達手段を選択することも可能であることを明らかにしておく。
【0060】
内部ギア8の両側にも管路支持台本体4が設置され、内部ギア8を安定的に回転可能な状態で支持するようになる。ボールチェーン17を介して外部ギア13に動力を伝達するために、管路22には、ボールチェーン17が通過する位置に穴37が穿孔されている(図3及び図4参照)。
【0061】
そして、外部ギア13の外側に内部の水が流出することなく、外側から空気が流入しないようにケース12で覆うことによって内部を密閉させる。ケース12は、各ボルトを用いて組み立てられるようにし、各内部装置の組み立て又は分解を容易にする。
【0062】
外部ギア13と発電機10とは同軸で連結され、ベアリング14によって回転自在にシャフト11を軸支するようになり、シャフト11と発電機10との間には、カップリング15を介して動力が連結される。前記発電機10は、発電機支え台24によって管路22の外側に安定的に設置されるようにする。
【0063】
一方、前記管路22の下端部にはフレキシブル管18を溶接したり、そのフランジにボルトを締結して固定・付着する。この蛇管構造のフレキシブル管18は、管路タービンユニット600のほとんどが直線であるという点を補償し、螺旋傾斜道路100に設置できるようにし、配管過程での長さ誤差を補正し、配管作業を容易に行えるようにするだけでなく、管路タービンユニット600が多段に設置された状態でいずれか一つを抜き取って交替又は整備する際に便利に作業を行えるようにする。
【0064】
また、全体の装置に振動が発生する場合、その振動を吸収し、地震などの天災地変が発生する場合にも、全体の配管に衝撃が伝達されないように緩衝作用をし、安定性を向上できるようにする。
【0065】
このような構造からなる管路タービンユニット600は、導水配管路500に一定の間隔を維持した状態で少なくとも2個以上多段に繰り返し設置される。
【0066】
最終端部に設置される管路タービンユニット600の配管端には、排出管路518とバルブ511を順次配管した後、下部貯水槽300を連結するようになる。
【0067】
最上側に位置する上部貯水槽200の底面から最下階に螺旋状曲線道路の形態で設置される螺旋傾斜道路100に沿って導水配管路500と一定間隔だけ多段に接続される多数の管路タービンユニット600は、堅固に位置・固定させるようになる。
【0068】
図7に示すように、本発明の揚水発電タワーは、ポンプ400の揚水によって上部貯水槽200に流量が確保されると、導水配管路500の最上端に形成された流入口導水管路510を介して流入した流量が落下することによって管路タービンユニット600の発電機10を通じて発電する。そして、水は、最後の管路タービンユニット600に連結された排出管路518及びバルブ511を経て下部貯水槽300に貯蔵される。
【0069】
そして、導水配管路500の中間には、一定区間ごとにエアベント39が備えられた各エアベント管38を設置し、これにより、管の内部の空気を外部に排出させるようになる。そして、ポンプ400を稼動し、下部貯水槽300の水が上部貯水槽200に充填されるように揚水作業が行われる。
【0070】
本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、低価格でありながら小型であるプロペラ7及び発電機10などを用いて管路タービンユニット600を構成することができ、導水配管路500に管路タービンを多段設置することによって、低費用でも大きな電力を生産できるようになり、必要に応じて設置台数を容易に増減できるという長所がある。
【0071】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーにおいては、確保された流量を循環しながら発電がなされるので、効率的な電力生産が可能であり、設置空間が節約されるという長所がある。
【0072】
また、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーを用いると、螺旋傾斜道路100に沿って螺旋状に配管され、全体的に配管が長い各管路タービンユニット600を多段設置することによって、水の位置エネルギーによるESSの構築が可能であるという長所がある。
【0073】
以下、本発明に係る揚水発電タワーの運転に対して説明する。
【0074】
まず、水道水又は地下水や周辺の貯水池などの水源池から下部貯水槽300に水を充填し、ポンプ400を稼動すると、揚水管410に沿って上部貯水槽200の水位が一定水準以上になるように水を充填する。
【0075】
そして、導水配管路500のバルブ511を開放すると、上部貯水槽200から落下する管路の流量が各管路タービンユニット600を通過しながら流量状態量(落差、流量、流速)エネルギーによってプロペラ7が回転し、ボールチェーン17によって動力が伝達される発電機10から発電がなされ、各発電量を合わせて変圧器で変圧させた後、送電又は配電線路に電力を供給するようになる。
【0076】
一方、多段に設置されるいずれか一つの管路タービンユニット600に故障が発生した場合にも、該当の管路タービンユニット600のプロペラ7が空回転をするだけで、残りの管路タービンユニット600の発電を継続することができ、残りの多数の管路タービンユニット600の生産電力に適宜変圧された電力を供給できるので、電力の供給において安定性が大きいという長所がある。
【0077】
一方、導水配管路500は、点検や補修が必要である場合、作業車両又は作業者が移動し、補修作業を行える空間として使用される作業道路空間117と、管路タービンユニット600が設置される配管空間113とを備える。
【0078】
作業者、装備及び設置される管路タービンユニット600は、地上から補修や点検が必要な階の位置まで作業道路空間117を用いて徒歩又は自動車によって移動し得る。また、作業者又は装備などは、本発明の装置の中央に垂直に設置されるエレベーター700を用いて所望の階まで迅速に移動することもできる。また、最上端の上部貯水槽200より高い位置には展望台が設置され得るが、この場合、これをエレベーター700と直ぐに連結させることもできる。
【0079】
本発明の揚水発電タワーは、各管路タービンユニット600において同一の発電容量で発電がなされ、これらが多段に連結されているので、総発電容量の増設が容易に可能になる。
【0080】
このような本発明は、実需要地域を選択して建設するようになるので、送電塔や送電線路の建設を最小化させることができ、短期間に総発電容量の増設が可能になる。
【0081】
以上では、本発明について実施形態を通じて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明に係る管路タービン多段設置を通じた揚水発電タワーは、これに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野で通常の知識を有する者によってその変形や改良が可能であることは明らかであると言えるだろう。
【0082】
本発明の単純な変形及び変更は、いずれも本発明の領域に属するものであって、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明確になるだろう。
図1
図2
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図7
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図9