(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】シール構造
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20230307BHJP
E03C 1/20 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
F16J15/10 T
E03C1/20 B
(21)【出願番号】P 2018214543
(22)【出願日】2018-11-15
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2017222211
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】西尾 信洋
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-042456(JP,A)
【文献】特開2004-190371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
E03C 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を通すための開口部を有する
浴室用防水パンと
、上記開口部周縁部に装着される
とともに上記配管を水密に挿通させる支持蓋との間をシールするシール構造において、
環状のシール部材を備え、
上記シール部材が、主環状部と、この主環状部と径方向に隣接して
連なる副環状部とを有し、
上記シール部材の下面が上記主環状部と上記副環状部にわたって面一をなしており、上記副環状部の径方向寸法および厚さ方向寸法が上記主環状部の径方向寸法および厚さ方向寸法より小さく、
上記支持蓋の下面には、上記開口部を囲むようにして環状の支持溝が形成されるとともに、上記支持溝の内周と外周の一方を画成する第1リブと、他方を画成する第2リブが形成され、上記第2リブの突出量が上記第1リブより小さく、
上記主環状部だけが上記支持溝に収容され、上記副環状部が上記第2リブに対向して配置されており、
上記シール部材は、非圧縮状態で上記第1リブから下方に突出しており、
上記支持蓋は垂直にねじ込まれるビスにより浴室用防水パンに固定され、上記第1リブの下端が上記浴室用防水パンの上面に当たり、上記シール部材の主環状部が上記支持溝の底面により圧縮されるとともに上記副環状部が上記第2リブの下端面により圧縮され、この圧縮状態で、上記副環状部の圧縮面積が上記主環状部の圧縮面積より小さく、上記副環状部の圧縮率が上記主環状部の圧縮率より高いことを特徴とするシール構造。
【請求項2】
上記第1リブが上記支持溝の外周を画成し、上記第2リブが上記支持溝の内周を画成し、上記副環状部が上記主環状部の径方向内側に隣接していることを特徴とする請求項
1に記載のシール構造。
【請求項3】
上記浴室用防水パンに上記開口部が複数形成され、上記複数の開口部のうちの選択された開口部に上記配管が通るとともに上記支持蓋が装着されており、選択されない開口部には、
上記開口部を閉塞する閉塞蓋が装着
され、
上記閉塞蓋は、上記支持蓋の上記支持溝と同一形状の他の支持溝を有し、当該他の支持溝に収容され上記シール部材と同形状の他のシール部材により、上記浴室用防水パンとの間をシールされることを特徴とする請求項
1に記載のシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用防水パンの開口部等に適用可能なシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室において、給湯管や給水管等の配管を、浴室用防水パンと床スラブとの間に通し、浴室用防水パンの開口部から上方に導出し、その先端を給水・給湯栓に接続する構成を採用する場合がある。
特許文献1には、上記配管を浴室用防水パンの開口部から上方に導出する構造が開示されている。簡単に説明すると、浴室用防水パンの開口部には、この開口部を覆うようにしてゴムパッキンがビスにより水密に装着されている。このゴムパッキンには筒形状の挿通部が形成されており、この挿通部に配管が水密をなして挿通されている。
【0003】
上記ゴムパッキンの代わりに、所定の剛性を有する射出成形品からなる支持蓋(装着部品)で開口部を覆う場合、支持蓋の周縁部に形成された環状の支持溝に環状のシール部材を収容し、支持蓋を浴室用防水パンにビス止めするシール構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記シール構造において、高いシール性能を確保するためには、シール部材の圧縮率を高めた状態で、支持蓋を浴室用防水パンにビス止めする必要があるが、そうすると、支持蓋がシール部材の高い弾性反発力を受けて歪んでしまい、逆にシール性能を損なうおそれがある。そのため、支持蓋の歪みを抑えるべく、多数箇所でビス止めすることを余儀なくされ、支持蓋の装着作業に手間がかかってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、開口部を有する対象と上記開口部周縁部に装着される装着部品との間をシールするシール構造において、
環状のシール部材を備え、上記シール部材が、主環状部と、この主環状部と径方向に隣接して連なるとともに主環状部より径方向寸法が小さい副環状部とを有し、上記シール部材が上記対象と上記装着部品の間で圧縮された状態で、上記副環状部の圧縮率が上記主環状部の圧縮率より高いことを特徴とする。
上記構成によれば、副環状部の圧縮率を高くすることにより高いシール性能を得ることができる。
副環状部は径方向寸法が小さいため、高圧縮率であっても弾性反発力を低く抑えることができ、主環状部は圧縮率が低いので弾性反発力を低く抑えることができる。その結果、装着部品の装着作業の負担を軽くすることができる。
主環状部の径方向寸法が大きいので、シール部材を対象と装着部品との間で安定して保持することができる。
【0007】
好ましくは、上記対象と上記装着部品の一方に、上記開口部を囲むようにして環状の支持溝が形成されており、少なくとも上記主環状部が上記支持溝に収容されている。
上記構成によれば、シール部材をより一層安定して保持することができる。
【0008】
好ましくは、上記シール部材は、上記支持溝の反対側の面が上記主環状部と上記副環状部にわたって面一をなしており、上記副環状部の厚さ方向寸法が上記主環状部より小さい。
上記構成によれば、装着部品を対象に装着する際に、シール部材の支持溝と反対側の面が面一をなしているので、歪むことなく安定して圧縮され、高いシール性能を確実に発揮することができる。
【0009】
好ましくは、上記対象と上記装着部品の一方には、上記支持溝の内周と外周の一方を画成する第1リブと、他方を画成する第2リブとを有し、上記第2リブの突出量が上記第1リブより小さく、上記主環状部だけが上記支持溝に収容され、上記副環状部が上記第2リブに対向して配置されている。
上記構成によれば、シール部材の主環状部が支持溝に収容された状態で、副環状部を第2リブにより圧縮することができ、安定した圧縮状態を得ることができる。
【0010】
好ましくは、上記支持溝と上記第1リブと上記第2リブが、上記装着部品に形成されており、上記第2リブが上記支持溝の内周を画成し、上記副環状部が上記主環状部の径方向内側に隣接している。
上記構成によれば、高圧縮率となる副環状部を内周側に配置したので、装着部品の周縁の歪みをより一層抑制することができる。
【0011】
一態様として、上記対象が浴室用防水パンであり、上記浴室用防水パンには配管を通すための上記開口部が形成され、上記装着部品が、上記配管を水密に挿通させる支持蓋である。
【0012】
上記浴室用防水パンに上記開口部が複数形成され、上記複数の開口部のうちの選択された開口部に上記配管が通るとともに上記支持蓋が装着されており、選択されない開口部には、上記装着部品として上記開口部を閉塞する閉塞蓋が装着されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、良好なシール性能を確保できるとともに、シール部材からの強い反発力を受けずに済み、開口部を有する対象への装着部品の装着作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシール構造が適用された浴槽側防水パンの平面図である。
【
図2】
図1におけるII-II線に沿う断面図である。
【
図3】
図2の構成要素を分解して示す断面図である。
【
図4】上記浴槽側防水パンの複数の開口部の一つを拡大して示す平面図である。
【
図5】配管導出用の開口部に設置される芯出し部材の平面図である。
【
図6】(A)は配管導出用開口部に設置される支持蓋の平面図、(B)は
図6(A)のB-B線に沿う断面図である。
【
図7】(A)は配管が導出されない開口部を閉じる閉塞蓋の平面図、(B)は
図7(A)のB-B線に沿う断面図である。
【
図8】上記支持蓋およびシール部材の要部拡大断面図であり、(A)は浴槽側防水パンの開口部に装着する前の状態、(B)は装着が完了した状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、浴室ユニットが納められる建物内の空間の床スラブもしくは浴室ユニット用基礎には、平面長方形をなす浴槽側防水パン1(浴室用防水パン;対象)と洗い場側防水パン2(浴室用防水パン)が設置され、両者の隣接する長辺同士が接続されている。
浴槽側防水パン1には浴槽(図示しない)が設置されている。浴槽側防水パン1は、支持脚を有する架台(図示しない)に支持されており、洗い場側防水パン2も支持脚に支持されている。
【0016】
図2、
図3に示すように、浴槽側防水パン1は、熱可塑性樹脂製の発泡体層10aとこの発泡体層10aの上面に積層された熱可塑性樹脂製の表皮層10bにより構成されている。
洗い場側防水パン2も発泡体層を備えているが、本実施形態では浴槽側防水パン1と異なる層構造を有している。
【0017】
浴槽側防水パン1は、底部11と、その周縁の長辺に形成された立ち上がり部12,13と、短辺に形成された立ち上がり部14を有している。底部11には、洗い場側防水パン2寄りに排水口11aが形成され、この排水口11aには排水ユニット(図示しない)が装着されている。
【0018】
浴槽側防水パン1の一方の長辺に対応する立ち上がり部12が洗い場側防水パン2に接続されている。
浴槽側防水パン1の他方の長辺に対応する立ち上がり部13に2枚の壁パネル(図示しない)が設置され、2つの短辺の立ち上がり部14にそれぞれ1枚の壁パネルが設置されている。洗い場側防水パン2の周縁には、浴槽側防水パン1から離れた長辺に2枚の壁パネルが設置され、一方の短辺に1枚の壁パネルが設置され、他方の短辺にドアが設置されている。これら壁パネルとドアにより浴室が囲われている。
【0019】
上記浴槽側防水パン1の短辺には、底部11と立ち上がり部14との間に、その中間高さの棚部15が形成されており、各棚部15には、2つの開口部16が互いに離間して形成されている。開口部16は、平面長円形状をなし、上記発泡体層10aと表皮層10bを垂直に貫いている。
【0020】
図2~
図4に示すように、浴槽側防水パン1の棚部15には、開口部16の上端部周縁を囲う環状の熱可塑性樹脂製のビス受け部材18が配置されている。
ビス受け部材18は発泡体層10aの上面に埋め込まれ、表皮層10bに覆われている。ビス受け部材18は、長円形状をなし開口部16より大きく、径方向外方向に突出する複数例えば4つのビス受け予定部18aを有している。
【0021】
上記のような浴槽側防水パン1の成形方法について、簡単に説明する。
最初に熱可塑性樹脂としてポリスチレン(PS)、HIPS、ABS等のスチレン系樹脂シートを真空成形することにより、上述した浴槽側防水パン1の上面形状に対応する表皮層10bを得る。
【0022】
表皮層10bと同様のスチレン系樹脂の射出成形品からなるビス受け部材18を表皮層10bの裏側の面に接着した状態で、発泡金型にセットし、ビーズ発泡成形により発泡ポリスチレン(EPS)製の発泡体層10aを得る。この発泡成形の過程で、発泡体層10aが表皮層10bとビス受け部材18に熱溶着され、ビス受け部材18と表示層10bも熱溶着され、これらが一体化される。
【0023】
浴室施工現場では、錐により穴あけ加工して、表皮層10bに挿通穴10xを形成するとともに、ビス受け部材18のビス受け予定部18aにタッピング穴18xを形成する。
【0024】
浴槽側防水パン1の下側の空間に配置された樹脂製の給水管P1(配管)と給湯管P2(配管)は、4つの開口部16のうちの選択された1つ(本実施形態では右下の開口部16)を通って、浴槽側防水パン1の上方に導出され、その先端が給水・給湯栓(図示しない)に接続されている。
【0025】
次に、選択された開口部16における配管導出構造5について、
図2、
図3を参照しながら説明する。配管導出構造5は、芯出し部材20と、支持蓋30(蓋体;装着部品)と、ゴムからなる弾性部材40と、固定リング50と、締付バンド60とを備えている。芯出し部材20と支持蓋30と固定リング50は樹脂製の射出成形品からなり、剛性を有している。
【0026】
図3、
図5に示すように、芯出し部材20は、長円形状をなす底壁21と、底壁21の周縁から起立する周壁22と、底壁21の2箇所に形成された円形の穴の周縁から垂直に起立する支持筒部23と、底壁21と周壁22と支持筒部23を連ねるリブ24とを有している。
【0027】
芯出し部材20は、上方から開口部16に圧入することにより、
図2に示すように開口部16内に設置される。芯出し部材20の周壁22のテーパをなす外周が、開口部16のテーパをなす内周に接している。
【0028】
図3、
図6に示すように、支持蓋30は、平面長方形の蓋板部31と、蓋板部31から上方に垂直に突出する一対の取付筒部32とを有している。蓋板部31の周縁部は他の部位より低くなっており、その下面には環状をなす支持溝33が形成されており、この支持溝33には、環状のシール部材70が嵌められている。蓋板部31の4隅部には、支持溝33より内側において、挿通穴31aが形成されている。
【0029】
図2に示すように、蓋板部31を上記浴槽側防水パン1の開口部16に被せ、
図8(B)に示すようにビス39(固定手段)を、蓋板部31の挿通穴31aおよび表皮10bの挿通穴10xに通し、発泡体層10aに埋め込まれたビス受け部材18のタッピング穴18xにタッピングしながらねじ込むことにより、支持蓋30がビス受け部材18に固定される。この状態で、圧縮されたシール部材70により支持蓋30と浴槽側防水パン1の表皮層10bとの間の水密が確保される。
【0030】
図2、
図3に示すように、支持蓋30の2つの取付筒部32のそれぞれに、固定リング50により、上方に行くに従って段階的に縮径する筒形状をなす弾性部材40が水密をなして取り付けられている。
【0031】
給水管P1と給湯管P2は、上述した配管導出構造5を通って浴槽側防水パン1の上方に導出される。詳述すると、給水管P1と給湯管P2は上方に曲げられて開口部16内に配置された芯出し部材20の支持筒部23を通り、弾性部材40を通って上方に垂直に導出される。弾性部材40の上端部は最小径部をなしており、この上端部を締め付けバンド60により締め付けることにより、弾性部材40と給水管P1、給湯管P2との間の水密が確保される。
【0032】
給水管P1と給湯管P2を導出するために選択されなかった他の開口部16は、
図7に示す閉塞蓋30A(蓋体;装着部品)により閉塞される。
図1は、選択されなかった3つの開口部16のうち左下の開口部16が閉塞蓋30Aにより閉塞されている状態を示しているが、他の2つの開口部16も同様にして閉塞される。
【0033】
支持蓋30と同様に、閉塞蓋30Aの周縁部には、支持溝33が形成され、4隅に挿通穴31aが形成されている。支持溝33にはパッキン70が装着されている。ビス39による閉塞蓋30Aのビス受け部材18への固定は、支持蓋30と同様である。
【0034】
次に、本発明の特徴部である支持蓋30と浴槽側防水パン1との間のシール構造について詳述する。
図8(A)に示すように、支持蓋30の支持溝33は、開口部16を囲むようにして形成されており、その外周は環状の第1リブ34により画成され、その内周は環状の第2リブ35により画成されている。
【0035】
第1リブ34は、挿通穴31aが形成されたボス部36と同一突出高さにある。第1リ
ブ34の支持溝33の底面からの突出高さはΔT1である。例えばΔT1=2.0mmである。第2リブ35の突出高さは、第1リブ34よりΔT2だけ低い。例えばΔT2--=0.5mmである。
【0036】
シール部材70は、例えば発泡EPDMからなり比較的高い弾性係数を有している。シール部材70は、外周側の主環状部71と、内周側の副環状部72とを、径方向(幅方向)に連ねることにより構成されている。主環状部71の幅をW1として副環状部72の幅をW2とすると、W2<W1である。例えばW1=7.5mm、W2=2.5mmである。
【0037】
シール部材70の下面(浴槽側防水パン1と対向する面)は、主環状部71と副環状部72にわたって面一をなしている。
シール部材70の圧縮前の状態、すなわち自然状態において、主環状部71の厚さをT1とし、副環状部72の厚さをT2とすると、T2<T1である。例えばT1=4.5mm、T2=2.5mmである。
【0038】
シール部材70の主環状部71だけが支持溝33に収容され、副環状部72は間隙80を介して第2リブ35の先端面と対向している。本実施形態では間隙80を形成したが、副環状部72が第2リブ35の先端面に接していてもよい。
なお、支持溝33の平坦な底面には両面接着テープが貼り付けられており、この両面接着テープにより、主環状部71の平坦な面が支持溝33の底面に固定されている。主環状部71は幅広かつ厚肉をなしているので、シール部材70の取扱いが容易であり、シール部材70を支持溝33へ円滑にセットすることができるとともに、シール部材70を安定して支持溝33に保持することができる。
【0039】
図8(B)に示すように、シール部材70を装着した支持蓋30を4つのビス39で浴槽側防水パン1のビス受け部材18に固定する。この際、前述したようにシール部材70が支持蓋30と浴槽側防水パン1との間で圧縮される。
シール部材70の下面が主環状部71と副環状部72にわたって面一をなしており、浴槽側防水パン1に最初から全面にわたって接するので、シール部材70は支持蓋30の装着の際に歪むことなく、圧縮することができる。
【0040】
上記支持蓋30の装着状態において、第1リブ34はボス部36とともに浴槽側防水パン1の上面に当たる。
シール部材70の主環状部71と副環状部72は、圧縮率が異なる。詳述すると、主環状部71は、自然厚さT1=45mmからΔT1=20mmまで圧縮され、圧縮率は55%である。これに対して副環状部72は、自然厚さT2=2.5mmからΔT2=0.5mmまで圧縮され、圧縮率は80%である。
【0041】
上述したように、副環状部72が高い圧縮率で圧縮されるため、高いシール性能を発揮することができる。副環状部72は、幅W2が狭く面積が小さいので、高い圧縮率であるにも拘わらず、弾性反発力は低く抑えられている。主環状部71は低い圧縮率であるため幅W1が広くても弾性反発力は小さい。その結果、支持蓋30の周縁部を歪めることがなく、少ないビス固定箇所(本実施形態では4箇所)で、支持蓋30を浴槽側防水パン1に装着することができる。
なお、副環状部72が内周側に配置されているので、副環状部72の弾性反発力による支持蓋30の周縁部の歪みをより一層低く抑えることができる。
【0042】
閉塞蓋30Aの支持溝33も支持蓋30と同一構成を有し、支持蓋30と同じシール部材70を用いるので、高いシール性能を持って閉塞蓋30Aを浴槽側防水パン1に装着することができる。
【0043】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の形態を採用することが可能である。
上記実施形態とは逆に、第1リブ34を内側に第2リブ35を外側に配置し、上記シール部材70の主環状部71を内側に、副環状部72を外側に配置してもよい。
支持溝を装着部品ではなく開口部を有する対象に形成してもよい。
シール部材70においてT1<T2とし、支持溝33の底面からの突出高さΔT1を小さくしたりマイナスにしてもよい。
上記実施形態では、開口部およびシール構造を浴槽側防水パンに設けたが、洗い場側防水パンに設けてもよい。
本願における浴室は、シャワーのみが可能な浴室(シャワー室)を含む。
本発明は、浴室用防水パンに限らず、開口部を有する対象と装着部品との間をシールするあらゆるシール構造に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、浴室用防水パンの開口部等のシール構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 浴槽側防水パン(浴室用防水パン;対象)
2 洗い場側防水パン(浴室用防水パン;対象)
18 開口部
30 支持蓋(装着部品)
30A 閉塞蓋(装着部品)
33 支持溝
34 第1リブ
35 第2リブ
39 ビス(固定手段)
70 シール部材
71 主環状部
72 副環状部
P1 給水管(配管)
P2 給湯管(配管)