(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】鶏皮折畳装置及び鶏皮串刺装置
(51)【国際特許分類】
A22C 21/00 20060101AFI20230307BHJP
A23P 10/10 20160101ALI20230307BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
A23P10/10
(21)【出願番号】P 2019007039
(22)【出願日】2019-01-18
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000113067
【氏名又は名称】プリマハム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】寒沢 信二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 茂明
(72)【発明者】
【氏名】数寄 竜也
【審査官】武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-064775(JP,A)
【文献】実開昭54-174692(JP,U)
【文献】特開平06-292553(JP,A)
【文献】特開2000-175616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
A23P 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行に対向して配置された上下一対の羽根付上コンベアと羽根付下コンベアとを備え、上コンベアの羽根(上羽根)と下コンベアの羽根(下羽根)の高さの合計が上コンベアと下コンベアの離間距離より大きく、上コンベアと下コンベアが上下等速で間欠的に周回駆動することにより、上羽根と下羽根が互い違いに入り込み合うことで、導入された鶏皮が波状に折畳まれることを特徴とする鶏皮折畳装置。
【請求項2】
上コンベアの複数の上羽根と下コンベアの複数の下羽根とは半ピッチずつずれて周回駆動するように配設されていることを特徴とする請求項1記載の鶏皮折畳装置。
【請求項3】
上コンベアと下コンベアの各羽根の、鶏皮の搬送方向と直交する方向の中央部付近に、串貫通用スリットが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の鶏皮折畳装置。
【請求項4】
鶏皮がM字状に折畳まれることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の鶏皮折畳装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか記載の鶏皮折畳装置、及び鶏皮串打手段と鶏皮串取出手段とを備えたことを特徴とする鶏皮串刺装置。
【請求項6】
さらに、鶏皮供給手段を備えていることを特徴とする請求項5記載の鶏皮串刺装置。
【請求項7】
鶏皮供給手段が、対向して配置された上下一対の上コンベアベルトと下コンベアベルトとを備え、上コンベアベルトと下コンベアベルトとで鶏皮を挟持した状態で搬送することを特徴とする請求項6記載の鶏皮串刺装置。
【請求項8】
鶏皮の搬送経路にタイミング光センサーが備えられていることを特徴とする請求項6又は7記載の鶏皮串刺装置。
【請求項9】
鶏皮串打手段が、羽根付上コンベアと羽根付下コンベアの各羽根の中央部付近に設けられた串貫通用スリットを介して串を串打込機により進出させ、波状鶏皮材料に串を挿通することを特徴とする請求項5~8のいずれか記載の鶏皮串刺装置。
【請求項10】
鶏皮串打手段が、羽根付上コンベアと羽根付下コンベアの各羽根の中央部付近に設けられた串貫通用スリットを挿通状態で固定された串であることを特徴とする請求項5~8のいずれか記載の鶏皮串刺装置。
【請求項11】
鶏皮串取出手段が、羽根付上下コンベアの周回速度を上げて、波状鶏皮材料の移動速度を波状鶏皮材料に挿通した串の退出速度よりも早くさせながら串を退出させる手段であることを特徴とする請求項5~9のいずれか記載の鶏皮串刺装置。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか記載の鶏皮折畳装置を用いて、一串分の折り畳まれた波状の鶏皮
を調製
する方法。
【請求項13】
請求項5~11のいずれか記載の鶏皮串刺装置を用いて、鶏皮串を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鶏皮折畳装置及び鶏皮串刺装置に関し、より詳細には平坦な鶏皮材料から側面視M字状等の波状の鶏皮材料を連続的に成形し、かかる波状に成形された状態の複数の鶏皮材料に串を挿通する鶏皮串刺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
間欠的に走行するコンベヤチエンの材料供給受トレー上にそれぞれが適当な大きさに切断してある串刺し材料を所要数並列状に並べ、串刺し材料の供給ずみ材料供給受トレーが所定の位置に到達して停止すると、まず、材料押え機構部により材料供給受トレー上に串刺し材料を押止し、次いで、串打ち機構部により押止串刺し材料に串を打ち込む自動串刺し機が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、一定のストローク間欠走行する走行体の受座上に長い串材料を複数本並べ、並べた串材料を押え装置により押止し、串供給装置から供給した串を串打込み装置により打ち込み、串の後前を切断装置により切断して、串商品を得る串刺機が知られている(特許文献2)。
【0004】
さらに、材料設置部に配置した複数の材料を、一括して串に突き刺す串刺装置において、後記材料設置部を、材料を串刺方向に並べて配置する材料設置台と、該材料設置台と対向して材料を押圧する材料押え台とで構成し、該材料押え台には、各材料ごとに対応して、材料を押圧する複数の押圧手段を設けた串刺装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公平05-018958号公報
【文献】特開平06-292553号公報
【文献】特開2000-175616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鶏皮の焼き鳥を作るにあたっては、まず鶏皮串を作る必要がある。生鶏皮の串打ちは特に難しく、たとえ下茹で鶏皮であっても油が多く串打ちは難しいとされ、縫うように串を鶏皮に刺していくのが串打ちのコツといわれている。人手による場合、通常、一串分の9~10枚の鶏皮材料の串打ちは3~6分/本、ベテランでも2~3分/本の作業時間を要する上に、油で滑りやすいことから誤って指を怪我する危険性もあった。本発明の課題は、安全で効率よくかつ自動的に鶏皮の串打ちができる鶏皮串刺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究し、平坦な状態の鶏皮をいかに連続的に波状(側面略M字や横S字)に形成するかについて検討した。例えば、周回速度(移動速度)の異なる対向する上下コンベア間に鶏皮材料を挟持させながら移動させ、鶏皮によじれや襞を作る方法や、複数の溝を有する移動受板上の鶏皮材料に、溝に相当する複数の押込み板を有する押圧板を下降させ、押込み板と溝により鶏皮材料を波状にした状態で串打ちをする方法について検討したが、上記よじれや襞を作る方法では鶏皮材料が安定して波状にならず、押込み板と溝により鶏皮材料を波状にする方法では、串打ちした波状鶏皮と波状鶏皮の間隔があき、波状鶏皮と波状鶏皮の間に串棒が見えるばかりでなく、1本の串(長さ200mm)に串打ちできる鶏皮の数が限定され、到底実用的とはいえないという欠点が見いだされた。
【0008】
上記のような試行錯誤の後、対向して配置された上下一対の羽根付コンベアの使用に着想するに至った。羽根付き移送コンベア(下コンベア)と、該下コンベアに対向して配置された羽根付き押さえコンベア(上コンベア)との離間距離が鶏皮材料が搬送されるに従って漸次狭くなるように構成し、上下コンベアの始端付近では上コンベアの羽根(上羽根)と下コンベアの羽根(下羽根)は離間しているものの、鶏皮材料が進行するに従って上羽根と下羽根とが近接して互い違いに入り込み合うことで、平坦状の鶏皮材料が連続的に波状(側面略M字や横S字)に形成されるのではないかと考え、かかる鶏皮折畳装置(
図7参照)を試作したところ、平坦状の鶏皮材料が予想に反して連続的に波状(側面略M字や横S字)とはならず、鶏皮がちぎれてしまう上に、串に隙間なく鶏皮を刺すことができないことがわかった。
【0009】
そこで、鶏皮材料の搬送方向の長さ、上羽根と下羽根の長さやピッチ、上コンベアと下コンベアとの離間距離、搬送される鶏皮材料の上下コンベアとの接触のタイミング等につき、再度検討した結果、鶏皮折畳装置として略平行に対向して配置された上下一対の羽根付上コンベアと羽根付下コンベアとを備え、上羽根と下羽根の高さの合計が上コンベアと下コンベアの離間距離より大きく、上羽根と下羽根が互い違いに入り込み合うことで、鶏皮折畳装置に導入された鶏皮材料がM字状に折畳まれることを確認し、本発明を完成するに至った。また、上羽根と下羽根の中央部付近に設けられた串貫通用スリット(溝)を介して串打込機により串を進出させ、かかる波状鶏皮材料に串を挿通し、その後上コンベアと下コンベアの周回速度(移動速度)を波状鶏皮材料に挿通した串の退出速度よりも早くさせながら串を退出させることにより、M字状の鶏皮と鶏皮の間に隙間がない鶏皮串が、安全で効率よく、かつ自動的に得られることを確認した。
【0010】
すなわち、本発明は以下の事項により特定されるとおりのものである。
(1)略平行に対向して配置された上下一対の羽根付上コンベアと羽根付下コンベアとを備え、上コンベアの羽根(上羽根)と下コンベアの羽根(下羽根)の高さの合計が上コンベアと下コンベアの離間距離より大きく、上コンベアと下コンベアが上下等速で間欠的に周回駆動することにより、上羽根と下羽根が互い違いに入り込み合うことで、導入された鶏皮が波状に折畳まれることを特徴とする鶏皮折畳装置。
(2)上コンベアの複数の上羽根と下コンベアの複数の下羽根とは半ピッチずつずれて周回駆動するように配設されていることを特徴とする上記(1)記載の鶏皮折畳装置。
(3)上コンベアと下コンベアの各羽根の、鶏皮の搬送方向と直交する方向の中央部付近に、串貫通用スリットが設けられていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の鶏皮折畳装置。
(4)鶏皮がM字状に折畳まれることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか記載の鶏皮折畳装置。
(5)上記(1)~(4)のいずれか記載の鶏皮折畳装置、及び鶏皮串打手段と鶏皮串取出手段とを備えたことを特徴とする鶏皮串刺装置。
(6)さらに、鶏皮供給手段を備えていることを特徴とする上記(5)記載の鶏皮串刺装置。
(7)鶏皮供給手段が、対向して配置された上下一対の上コンベアベルトと下コンベアベルトとを備え、上コンベアベルトと下コンベアベルトとで鶏皮を挟持した状態で搬送することを特徴とする上記(6)記載の鶏皮串刺装置。
(8)鶏皮の搬送経路にタイミング光センサーが備えられていることを特徴とする上記(6)又は(7)記載の鶏皮串刺装置。
(9)鶏皮串打手段が、羽根付上コンベアと羽根付下コンベアの各羽根の中央部付近に設けられた串貫通用スリットを介して串を串打込機により進出させ、波状鶏皮材料に串を挿通することを特徴とする上記(5)~(8)のいずれか記載の鶏皮串刺装置。
(10)鶏皮串打手段が、羽根付上コンベアと羽根付下コンベアの各羽根の中央部付近に設けられた串貫通用スリットを挿通状態で固定された串であることを特徴とする上記(5)~(8)のいずれか記載の鶏皮串刺装置。
(11)鶏皮串取出手段が、羽根付上下コンベアの周回速度を上げて、波状鶏皮材料の移動速度を波状鶏皮材料に挿通した串の退出速度よりも早くさせながら串を退出させる手段であることを特徴とする上記(5)~(9)のいずれか記載の鶏皮串刺装置。
(12)上記(1)~(4)のいずれか記載の鶏皮折畳装置を用いて、一串分の折り畳まれた波状の鶏皮の調製方法。
(13)上記(5)~(11)のいずれか記載の鶏皮串刺装置を用いて、鶏皮串を製造する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、油で滑りやすく、柔らかい上に串が挿通しづらい鶏皮に、安全で30秒/本という高効率で、かつ自動的に鶏皮の串打ちができる鶏皮串刺装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】鶏皮供給手段を備えた本発明の鶏皮串刺装置の斜視図である。
【
図4】鶏皮供給手段を備えた本発明の鶏皮串刺装置の縦断面図である。
【
図5】平坦な鶏皮材料が波状となっていく説明図である。
【
図7】上下コンベアの離間距離が漸次狭くなるように構成された鶏皮折畳装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を
図1~
図6を参照して以下に説明するが、以下の説明において、「前」とは
図4の右側、「後」とは同左側をいい、また、「左右」とは前から見た場合の左右をいうものとする。
【0014】
本発明の鶏皮折畳装置(2)としては、略平行に対向して配置された上下一対の羽根付上コンベア(「上コンベア」ということもある;3)と羽根付下コンベア(「下コンベア」ということもある;5)とを備え、上コンベアの羽根(上羽根;4)と下コンベアの羽根(下羽根;6)の高さ(h)の合計が上コンベアと下コンベアの離間距離(D)より大きく、上コンベア(3)と下コンベア(5)が上下等速で間欠的に周回駆動することにより、上羽根(4)と下羽根(6)が互い違いに入り込み合うことで、導入された鶏皮材料が波状(側面略M字や横S字)に折畳まれる装置(
図1及び2参照)であれば特に制限されず、また本発明の鶏皮串刺装置(1)としては、上記本発明の鶏皮折畳装置(2)、及び鶏皮串打手段と鶏皮串取出手段とを備えた装置であれば特に制限されない。上記鶏皮折畳装置(2)の始端側(前側)は鶏皮供給ステーション(10)が通常設けられ、鶏皮供給ステーション(10)において、鶏皮材料(S)を1枚ずつ手動で鶏皮折畳装置(2)に導入してもよいが、鶏皮供給手段により鶏皮材料(S)を1枚ずつ鶏皮折畳装置(2)に導入することが好ましい。
【0015】
上記羽根付上コンベア(3)や羽根付下コンベア(5)はサーボモーター等により一定のパターンで間欠的に周回する無端状の走行体として構成されている。羽根付上コンベア(3)と羽根付下コンベア(5)は前後方向略同じ長さ、左右方向略同じ幅とすることができる。鶏皮折畳装置(2)の前方部分(羽根付上下コンベアの前方部分)は鶏皮折畳ステーションを形成する。かかる鶏皮折畳ステーションにおける上コンベア(3)と下コンベア(5)とは、上羽根(4)と下羽根(6)の周回が1/3~2/3ピッチ、好ましくは半ピッチずれており、上羽根(4)と下羽根(6)の高さ(h)の合計が上コンベアと下コンベアの離間距離(D)より大きく、鶏皮折畳ステーションにおいて上羽根(4)と下羽根(6)が互い違いに入り込み合うように構成されており、導入されてきた鶏皮材料(S)が波状(W)に形成される。また、上記一定のパターンとしては、鶏皮供給ステーション(10)から1枚目の鶏皮(S)が鶏皮折畳装置(2)の始端に導入されると、羽根付上下コンベア(3,5)が周回し始めて1枚目の鶏皮がM字状に折り畳まれる。折畳が完了すると周回が停止し、続いて鶏皮供給ステーション(10)から2枚目の鶏皮材料(S)が鶏皮折畳装置(2)の始端に導入されると、羽根付上下コンベア(3,5)が周回し始めて2枚目の鶏皮がM字状に折り畳まれる。折畳が完了すると周回が停止し、同様な操作を9~10枚目の鶏皮がM字状に折畳が完了するまで繰り返すパターンを例示することができる(
図5a~e参照)。
【0016】
上下コンベア(3,5)の前後方向の長さは約0.5~1mである。その上下コンベア(3,5)の全周に羽根(4,6)を設けてもよいが、少なくとも鶏皮折畳ステーションに羽根(4,6)が存在するように上下コンベア(3,5)の全周の一部に羽根(4,6)を設けることもできる。鶏皮折畳ステーションにおける下羽根(6)や上羽根(4)の各羽根同士の間隔(ピッチ;p)は約5~11mm、好ましくは6~9mmである。上羽根(4)と下羽根(6)の高さ(h)は必ずしも同じにする必要はないが、約10~12mmの同じ高さにすることが好ましく、左右方向の長さはスリット幅も含めて40~50mmである。また、羽根の板厚としては1.5mmを例示することができる。上羽根(4)と下羽根(6)の中央部付近には串貫通用スリット(溝;7)が設けられている。このスリット(7)の幅は略串の断面幅(例えば4mm)+1mmである。
【0017】
上記鶏皮供給手段としては、鶏皮折畳装置(2)の始端部(前端部)に鶏皮材料(S)を1枚ずつ搬送するコンベアベルトを例示することができるが、鶏皮材料(S)を1枚ずつ確実に搬送することができるように、上下等速で間欠的に周回駆動する、鶏皮の厚み間隔で略平行に対向して配置された上下一対のコンベアベルト(11,12)を好適に挙げることができる。かかる上下一対のコンベアベルト(11,12)の始端部(前端部)においては、鶏皮材料(S)をセットしやすくするために、下コンベアベルト(12)の方が上コンベアベルト(11)よりも手前側に長くなっており、あわせて上コンベアベルト(11)の幅が下コンベアベルト(12)の幅よりも狭くなっている。このため、下コンベアベルト上で、鶏皮材料(S)の両側を指で押さえてセットすることができる(
図3及び4参照)。
【0018】
下コンベアベルト(12)の始端部(前端部)に1枚の鶏皮材料(S)をセットし終えると、上下一対のコンベアベルトが上下等速で周回駆動し、鶏皮材料(S)を鶏皮折畳装置(2)の始端部(前端部)に向けて搬送し、搬送終了後、コンベアベルトの駆動が停止する。1枚分の鶏皮材料の折畳が終了すると、再び上下一対のコンベアベルト(11,12)が上下等速で周回駆動し、鶏皮材料(S)を鶏皮折畳装置(2)の始端部(前端部)に搬送する。このような鶏皮供給手段の搬送経路に、タイミング光センサー(13)を設けることが特に好ましい。かかるタイミング光センサー(13)を設けることにより、搬送途中の鶏皮材料(S)を感知し、鶏皮材料(S)が鶏皮折畳装置(2)の始端部(前端部)に到達し、羽根付下コンベアの羽根(6)に係止すると略同時のタイミングで、鶏皮折畳装置(2)の羽根付上下コンベア(3,5)が周回駆動をし始め、鶏皮を確実にM字状に折畳むことができる。鶏皮供給ステーション(10)の長さとしては通常200~300mmである。
【0019】
上記鶏皮串打手段としては、鶏皮折畳装置(2)により波状に折り畳まれた9~10枚の鶏皮材料(W)に対して、羽根付上コンベア(3)と羽根付下コンベア(5)の各羽根の幅方向の中央部付近に設けられた串貫通用スリット(7)を介して串(K)を串打込機(20)により進出させ、9~10枚の波状鶏皮材料(W)に串(K)を挿通(串打ち)する手段を例示することができる。串打込み中は、通常上下コンベアは周回停止状態にある。
【0020】
上記串打込機(20)としては、前記特許文献2に記載の「串打込み装置」等の従来公知の串打込機を含め特に制限されないが、
図6に示されているように、左右方向の回転軸によりサーボモータ等により間欠的に回転する串保持ロータ(21)と、上羽根(4)と下羽根(6)の中央部付近に設けられた串貫通用スリット(7)の延長線上に串が水平に停止したときに、串保持ロータ(21)を串保持ロータガイド(22)に沿って、前方向に移動させ、串(K)を串貫通用スリット(7)を介して進出させるエアシリンダ等の串保持ロータプッシャー(23)とを有している(
図6参照)。
【0021】
この串打込機(20)を用いるタイプの鶏皮串打手段を用いた場合の鶏皮串取出手段としては、羽根付上下コンベア(3,5)の周回速度を上げて、波状鶏皮材料(W)の移動速度を波状鶏皮材料に挿通した串(K)の退出速度よりも早くさせながら串(K)を退出させる手段を挙げることができる。上コンベア(3)と下コンベア(5)の周回速度(移動速度)を波状鶏皮材料(W)に挿通した串の退出速度よりも早くさせながら串(K)を退出させることにより、M字状の鶏皮材料(W)と鶏皮材料(W)の間に隙間がない鶏皮串が、安全で効率よく、かつ自動的に得ることができる。
【0022】
他の態様の鶏皮串打手段としては、尖鋭な先端を前方に向け、羽根付上コンベア(3)と羽根付下コンベア(5)の各羽根の中央部付近に設けられた串貫通用スリット(7)を挿通状態に串固定具(24)で串(K)を固定する手段を挙げることができる。上下コンベア(3,5)の間欠的な周回により、M字状の鶏皮材料(W)が間欠的に後方に搬送されると同時に串固定具(24)により固定された串(K)に順次挿通されることになり串打ちが終了する。この固定串を用いるタイプの鶏皮串打手段を用いた場合の鶏皮串取出手段としては、例えば、串打ち終了後、羽根付上コンベア(3)を上昇させ、次いで固定串を下コンベア(5)の羽根(6)の高さより上方にリフトアップした後、左右方向に退出させる手段を挙げることができる。
【0023】
鶏皮材料としては、生鶏皮材料でもよいが、下茹でした鶏皮材料でもよく、下茹でした鶏皮材料の方が串打ち等の取り扱いがしやすくなる。鶏皮材料として前後方向の長さは約40~60mm、左右方向の長さは約45~50mmをそれぞれ例示することができる。
【0024】
本発明において串(K)とは、具材である鶏皮が挿通される竹や金属の棒状物をいい、上記串(棒)の形状としてはその基端部が扁平状であるものが好ましく、鉄砲串、平串、田楽串の他、手で持つ部分が平べったい丸串や角串等を挙げることができ、串の基端部が板状の場合、その断面寸法としては略2~5mm×5~12mm、好ましくは3~4mm×4~5mmを例示することができる。また、串の長さとしては200mm(有効串差し部150mm)を例示することができ、1本の串には、波状鶏皮が9~10枚挿通され、波状鶏皮間の串が見えないことが好ましい。
【0025】
本発明の一串分の折り畳まれた波状の鶏皮の調製方法としては、上記本発明の鶏皮折畳装置を用いる方法であれば特に制限されず、より具体的には、鶏皮供給ステーションから搬送されてきた平坦鶏皮材料(S)を鶏皮折畳装置の始端部(前端部)に導入し、略平行に対向して配置された上下一対の羽根付上コンベアの羽根(上羽根)と羽根付下コンベアの羽根(下羽根)の高さの合計が上コンベアと下コンベアの離間距離より大きいことから、上コンベアと下コンベアが上下等速で間欠的に周回駆動することにより、上羽根と下羽根が互い違いに入り込み合うことで、順次導入された平坦鶏皮材料(S)を折り畳むことで波状鶏皮材料(W)を調製することができる。
【0026】
本発明の鶏皮串を製造する方法としては、上記本発明の鶏皮串刺装置(1)を用いる方法であれば特に制限されず、鶏皮供給ステーションから搬送されてきた平坦鶏皮材料(S)から波状鶏皮材料(W)を調製し、羽根付上下コンベアの串貫通用スリット(7)を介して波状鶏皮材料(W)に串(K)を挿通し、その後羽根付上下コンベアの回転速度を上げて、波状鶏皮材料(W)の移動速度を波状鶏皮材料(W)に挿通した串(K)の退出速度よりも早くさせながら串(K)を串刺しステーション(6)から退出させる鶏皮串の製造方法等を挙げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は鶏肉加工分野、とりわけ鶏皮焼き鳥の分野において有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 鶏皮串刺装置
2 鶏皮折畳装置
3 羽根付き上コンベア
4 上羽根
5 羽根付き下コンベア
6 下羽根
7 串貫通用スリット
10 鶏皮供給ステーション
11 上コンベアベルト
12 下コンベアベルト
13 タイミング光センサー
20 串打込機
21 串保持ロータ
22 串保持ロータガイド
23 串保持ロータプッシャー
24 串固定具
K 串
S 平坦鶏皮材料
W 波状鶏皮材料
D 羽根付き上下コンベアの離間距離
h 上羽根と下羽根の高さ
p 上羽根同士と下羽根同士の間隔(ピッチ)