(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】会計支援システム、会計支援方法及び会計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20230307BHJP
【FI】
G06Q40/04
(21)【出願番号】P 2019020318
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592052416
【氏名又は名称】株式会社 みずほ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松澤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】杉木 佳織
(72)【発明者】
【氏名】石田 祥之
(72)【発明者】
【氏名】市橋 和幸
(72)【発明者】
【氏名】副島 啓司
(72)【発明者】
【氏名】篠原 美沙
(72)【発明者】
【氏名】池田 亜弥
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-242719(JP,A)
【文献】特開2005-050026(JP,A)
【文献】特開2018-055235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入した証券について約定入力内容情報を記録した約定情報記憶部と、
銘柄毎に利渡日を含む銘柄情報を記録した銘柄情報記憶部と、
清算システムに接続された制御部とを備えた会計支援システムであって、
前記制御部が、
前記清算システムから、資金決済予定通知、ネッティング結果通知、ネッティング明細通知を取得し、
前記資金決済予定通知の決済日に基づいて、前記銘柄情報記憶部を用いて銘柄を特定し、
前記銘柄を用いて、前記ネッティング結果通知の送信者リファレンス識別子を特定し、
前記ネッティング明細通知において、前記送信者リファレンス識別子に対応するセンタリファレンス識別子を特定し、
前記センタリファレンス識別子により、前記約定情報記憶部に記録された約定入力内容情報に基づいて保有目的及び額面を特定し、
前記額面に基づいて、前記保有目的に対応した金額を算出することを特徴とする会計支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記約定情報記憶部において、複数の保有目的を特定した場合、前記約定情報記憶部、前記銘柄情報記憶部を用いて、各保有目的に対応した利金額を算出することを特徴とする請求項1に記載の会計支援システム。
【請求項3】
前記制御部が、
証券の購入時に経過利息の仮払金を計上し、
前記資金決済予定通知の金額を按分した金額により、前記仮払金を清算することを特徴とする請求項1又は2に記載の会計支援システム。
【請求項4】
購入した証券について約定入力内容情報を記録した約定情報記憶部と、
銘柄毎に利渡日を含む銘柄情報を記録した銘柄情報記憶部と、
清算システムに接続された制御部とを備えた会計支援システムを用いて、会計処理を支援する方法であって、
前記制御部が、
前記清算システムから、資金決済予定通知、ネッティング結果通知、ネッティング明細通知を取得し、
前記資金決済予定通知の決済日に基づいて、前記銘柄情報記憶部を用いて銘柄を特定し、
前記銘柄を用いて、前記ネッティング結果通知の送信者リファレンス識別子を特定し、
前記ネッティング明細通知において、前記送信者リファレンス識別子に対応するセンタリファレンス識別子を特定し、
前記センタリファレンス識別子により、前記約定情報記憶部に記録された約定入力内容情報に基づいて保有目的及び額面を特定し、
前記額面に基づいて、前記保有目的に対応した金額を算出することを特徴とする会計支援方法。
【請求項5】
購入した証券について約定入力内容情報を記録した約定情報記憶部と、
銘柄毎に利渡日を含む銘柄情報を記録した銘柄情報記憶部と、
清算システムに接続された制御部とを備えた会計支援システムを用いて、会計処理を支援するプログラムであって、
前記制御部を、
前記清算システムから、資金決済予定通知、ネッティング結果通知、ネッティング明細通知を取得し、
前記資金決済予定通知の決済日に基づいて、前記銘柄情報記憶部を用いて銘柄を特定し、
前記銘柄を用いて、前記ネッティング結果通知の送信者リファレンス識別子を特定し、
前記ネッティング明細通知において、前記送信者リファレンス識別子に対応するセンタリファレンス識別子を特定し、
前記センタリファレンス識別子により、前記約定情報記憶部に記録された約定入力内容情報に基づいて保有目的及び額面を特定し、
前記額面に基づいて、前記保有目的に対応した金額を算出する手段として機能させることを特徴とする会計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清算機関を利用した決済について、会計管理を行なうための会計支援システム、会計支援方法及び会計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の証券市場参加者同士の売買関係を、証券と資金の授受の局面ですべて清算機関を相手方とした関係に置き換え、決済履行を保証する清算機関(CCP:セントラル・カウンターパーティ)が設けられている(例えば、非特許文献1を参照)。この清算機関は、売買の一方の当事者の(証券引渡しまたは資金支払い)債務を引き受けると同時に、それに相当する債権(証券または資金の受領)を取得し、約定の相手方に代わり清算機関が決済における一方の当事者として参加者との間で授受を行う主体となり、決済履行を保証する。そして、清算機関は、証券・資金の効率的な授受のために、債権と債務とを相殺し、差分のみを受け渡すネッティングを行なった後で、その結果を証券・資金の決済機関に対して振替指図を行なう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社日本証券クリアリング機構、「JSCCとは」、[online]、株式会社日本証券クリアリング機構、[平成30年9月17日検索]、インターネット<https://www.jpx.co.jp/jscc/kaisya/jscc.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
清算機関のネッティングを利用する場合には、清算機関にネッティング口座を開設する必要がある。一方、証券に関わる会計処理では、保有目的に応じて金額を分けて管理する必要がある。ここで、口座管理の効率化のために、清算機関におけるネッティング口座を集約した場合には、複数の保有目的でネッティング口座を共用することになり、両目的の金額が合算される。この場合には、2つの保有目的に関する金額が合算されることにより、財務会計上、保有目的毎の正しい金額の認識ができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する会計支援システムは、購入した証券について約定入力内容情報を記録した約定情報記憶部と、銘柄毎に利渡日を含む銘柄情報を記録した銘柄情報記憶部と、清算システムに接続された制御部とを備える。前記制御部が、前記清算システムから、資金決済予定通知、ネッティング結果通知、ネッティング明細通知を取得し、前記資金決済予定通知の決済日に基づいて、前記銘柄情報記憶部を用いて銘柄を特定し、前記銘柄を用いて、前記ネッティング結果通知の送信者リファレンス識別子を特定し、前記ネッティング明細通知において、前記送信者リファレンス識別子に対応するセンタリファレンス識別子を特定し、前記センタリファレンス識別子により、前記約定情報記憶部に記録された約定入力内容情報に基づいて保有目的及び額面を特定し、前記額面に基づいて、前記保有目的に対応した金額を算出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、清算機関を利用した決済について、効率的かつ的確に会計管理を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本実施形態で用いるデータの説明図であって、(a)は約定入力内容情報、(b)は銘柄情報、(c)は資金決済予定通知データ、(d)はネッティング結果通知データ、(e)はネッティング明細通知データの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図7に従って、会計支援システム、会計支援方法及び会計支援プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、銀行が購入する国債の取引について、証券集中保管機関で約定照合を行ない、清算機関で清算し、日本銀行の口座で国債の受け渡しを行なう。ここで、銀行が、清算機関にネッティング口座を保有している場合を想定する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態では、ネットワークを介して接続された銀行システム10、証券集中保管システム20、清算システム30、日銀システム40を用いる。
【0010】
(ハードウェア構成例)
図2は、銀行システム10~日銀システム40等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0011】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0012】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。
表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0013】
記憶部H14は、銀行システム10~日銀システム40の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0014】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、銀行システム10~日銀システム40における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、銀行システム10~日銀システム40のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0015】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサH15は、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0016】
(各情報処理装置の構成)
図1を用いて、銀行システム10~日銀システム40の構成を説明する。
銀行システム10は、国債(証券)を購入する銀行(金融機関)のコンピュータシステムである。銀行システム10は、取引管理部11、会計支援部12、約定情報記憶部13、銘柄情報記憶部14、勘定管理部15を備える。
【0017】
取引管理部11は、担当者によって入力された約定データを受け付けて、証券集中保管システム20に送信する処理を実行する。
会計支援部12は、財務会計のための財務会計データを保持し、財務会計管理を支援する処理を実行する。更に、会計支援部12は、清算システム30からネッティング情報を取得し、保有目的に応じて金額を按分する処理を実行する。このネッティング情報の詳細は後述する。
【0018】
約定情報記憶部13には、銀行において約定された取引についての約定入力内容情報が記録される。
図3(a)に示すように、約定入力内容情報130には、約定番号、センタREF番号、取引種類、保有目的、取引先、約定日、エンド日、ISIN銘柄コード、額面に関するデータが記録される。
【0019】
約定番号データ領域には、約定された取引を特定するための識別子に関するデータが記録される。
センタREF番号データ領域には、銀行において、約定照合時に付与した識別子に関するデータが記録される。
【0020】
取引種類データ領域には、この取引の種類を特定するための識別子に関するデータが記録される。この取引種類を用いることにより、日銀における所有分、清算機関を利用しての貸出(レポ取引)、清算機関を利用しない貸出を特定することができる。ここで、レポ取引は、証券等を一定の価格で、売り戻し或いは買い戻しの条件を付した取引である。
【0021】
保有目的データ領域には、証券を保有する目的を特定するためのフラグが記録される。保有目的には、例えば、「投資/その他」、「商品/売買」、「特定投資」、「投資/満期」がある。
【0022】
取引先データ領域には、取引を行なった相手を特定するための識別子に関するデータが記録される。
約定日データ領域には、取引について約定された年月日に関するデータが記録される。
エンド日データ領域には、この取引の決済年月日に関するデータが記録される。
ISIN銘柄コードデータ領域には、証券銘柄(国債)を特定するための識別子(International Securities Identification Number)に関するデータが記録される。
額面データ領域には、この証券の額面に関するデータが記録される。
【0023】
銘柄情報記憶部14には、各銘柄の証券に関する銘柄情報が記録される。
図3(b)に示すように、銘柄情報140には、ISIN銘柄コード、クーポンレート、利渡日に関するデータが記録される。
【0024】
ISIN銘柄コードデータ領域には、証券銘柄(国債)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
クーポンレートデータ領域には、この証券の利金額を算出するためのクーポン年利率に関するデータが記録される。
利渡日データ領域には、利金を受け取る見込みの年月日に関するデータが記録される。なお、利渡が複数回ある場合には、このデータ領域には、その回数分の利渡日が記録される。
【0025】
勘定管理部15は、財務会計を管理するために、仕訳情報を保持している。本実施形態では、勘定管理部15は、会計支援部12から財務会計データを取得して、仕訳情報に反映させる。
【0026】
証券集中保管システム20は、証券を集中して管理する管理機関(例えば、株式会社証券保管振替機構)のコンピュータシステムである。この証券集中保管システム20は、照合部21を備える。
【0027】
照合部21は、各取引を行なった双方から約定データを取得し、この約定データの照合を行なう。更に、清算システム30から取得したネッティング情報を銀行システム10に転送する。
【0028】
清算システム30は、ネッティングにより決済の清算を行なう清算機関(例えば、株式会社日本証券クリアリング機構)のコンピュータシステムである。この清算システム30は、ネッティング参加者が開設したネッティング口座を管理する。この場合、ネッティング参加者は複数のネッティング口座を開設することができる。例えば、国債の保有目的に応じて清算するためのネッティング口座を保有することも可能である。本実施形態では、保有目的をまとめて集約した一つのネッティング口座を用いて清算を行なう場合を想定する。
【0029】
日銀システム40は、銀行間決済を行なう日本銀行のコンピュータシステムである。この日銀システム40は、清算システム30からの決済指示に応じて、各銀行、清算機関が開設した日銀口座を用いて銀行間決済を行なう。
【0030】
(手続の概略)
次に、
図4を用いて、手続の概略を説明する。
まず、銀行は、売り手から国債(証券)を購入する(ステップS1-1)。
この購入時に支払った経過利金を仮払金として仕訳計上する(ステップS1-2)。具体的には、既に発行された国債の売買において、受渡日がクーポン利払日と異なる場合には、証券価額(額面×価格)の他に、前回利払日から受渡日までの経過日数について、日割計算した経過利金を売り手に支払う。この経過利金は、〔額面×クーポンレート×(経過日数(実日数)/365)〕により算出する。この経過利金を勘定仕訳において、仮払金として計上する。
【0031】
このように購入した国債は、銀行においてそのまま保有する場合と、購入国債を貸出先に対して貸し出す場合とがある。
日銀において、銀行が所有している国債については、日銀から銘柄毎に利金が銀行に支払われる。
【0032】
一方、貸出先に対して貸し出した国債について、清算機関を利用する場合には、貸出先から、清算機関を介して、利金が支払われる。このような利金は、銀行分について合算して支払われる。
なお、清算機関を利用しない場合には、清算機関以外から、銀行に対して銘柄毎に利金が支払われる。
【0033】
所有分については、日銀から受け渡された利金を特定する(ステップS1-3)。この場合、約定情報記憶部13に記録された約定入力内容情報を用いて、銘柄、保有目的を特定する(ステップS1-4)。
【0034】
一方、貸出分については、清算機関からの利金を特定する(ステップS1-5)。この場合、清算機関から、口座毎にネッティング情報(資金決済予定通知、ネッティング結果、ネッティング明細通知等)を取得し、このネッティング情報を用いて、銘柄、保有目的を特定する(ステップS1-6)。
そして、銀行は、特定した銘柄について、仕訳計上した仮払金の清算を行なう。(ステップS1-7)。
【0035】
(清算機関を利用する場合のフロー)
次に、
図5を用いて、約定した取引について清算機関を利用する場合のフローを説明する。
【0036】
銀行が国債を購入した場合、銀行システム10は、約定データの登録処理を実行する(ステップS2-1)。具体的には、取引管理部11は、担当者によって入力された約定入力内容情報を約定情報記憶部13に記録する。
【0037】
次に、取引管理部11は、約定データの送信処理を実行する(ステップS2-2)。具体的には、取引管理部11は、約定した取引内容(取引先、約定日、額面等)についての情報(約定データ)を証券集中保管システム20に送信する。
【0038】
証券集中保管システム20は、照合処理を実行する(ステップS2-3)。ここでは、照合部21は、銀行システム10から取得した約定データの内容と、取引の相手先システムから取得した約定データの内容とを照合する。
【0039】
そして、証券集中保管システム20は、照合結果の送信処理を実行する(ステップS2-4)。ここで、銀行システム10から取得した約定データの内容と、相手先システムから取得した約定データの内容とが一致する場合には、照合結果として照合完了を示す情報を含める。そして、照合部21は、清算システム30に対して、照合結果を送信する。この照合結果には、相手先、約定日、額面、照合を完了したことを示す情報を含める。
【0040】
この場合、清算システム30は、清算処理を実行する(ステップS2-5)。清算システム30は、照合された照合結果に基づいて、ネッティング参加者の証券及び資金の受け渡しを相殺するネッティングを行なう。
【0041】
そして、清算システム30は、ネッティング情報の送信処理を実行する(ステップS2-6)。この場合、清算システム30は、証券集中保管システム20に対して、ネッティング情報を送信する。このネッティング情報には、資金決済予定通知データ、ネッティング結果通知データ、ネッティング明細通知データを含める。
【0042】
図3(c)に示すように、資金決済予定通知データ510には、送信者REF番号、メッセージ作成年月日、決済年月日、ネッティング口座番号、元利金相当額に関するデータが記録される。
【0043】
送信者REF番号データ領域には、清算機関(送信者)が付与した各ネッティングを特定するための識別子に関するデータが記録される。
メッセージ作成年月日データ領域には、メッセージを作成した年月日に関するデータが記録される。
【0044】
決済年月日データ領域には、決済が予定された年月日に関するデータが記録される。
ネッティング口座番号データ領域には、ネッティングに用いる口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
元利金相当額データ領域には、元本及び利金に対応する金額に関するデータが記録される。
【0045】
図3(d)に示すように、ネッティング結果通知データ520には、送信者REF番号、メッセージ作成年月日、決済年月日、ネッティング口座番号、ISIN銘柄コード、レポネッティングポジション額面に関するデータが含まれる。
【0046】
送信者REF番号データ領域には、送信者(清算システム30)におけるネッティングを特定するための識別子に関するデータが記録される。
メッセージ作成年月日データ領域には、メッセージを作成した年月日に関するデータが記録される。
【0047】
決済年月日データ領域には、決済を行なった年月日に関するデータが記録される。
ネッティング口座番号データ領域には、ネッティングに用いられた口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0048】
ISIN銘柄コードデータ領域には、銘柄を特定するための識別子に関するデータが記録される。
レポネッティングポジション額面データ領域には、ネッティングを行なった結果のレポ取引の国債の持ち高の額面に関するデータが記録される。
【0049】
図3(e)に示すように、ネッティング明細通知データ530には、送信者REF番号、センタREF番号に関するデータが含まれる。
送信者REF番号データ領域には、送信者(清算システム30)におけるネッティングを特定するための識別子に関するデータが記録される。
センタREF番号データ領域には、銀行システム10において約定を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0050】
そして、証券集中保管システム20は、ネッティング情報の転送処理を実行する(ステップS2-7)具体的には、証券集中保管システム20の照合部21は、清算システム30から取得したネッティング情報を銀行システム10に転送する。
【0051】
そして、ネッティング情報を受信した銀行システム10は、決済指示の送信処理を実行する(ステップS2-8)。具体的には、銀行システム10は、ネッティング情報に基づいて決済の指示を日銀システム40に送信する。
【0052】
この場合、日銀システム40は、証券及び資金の受け渡し処理を実行する(ステップS2-9)。ここでは、日銀システム40に開設された銀行の口座と、清算機関の口座との間で、証券及び資金の受け渡しを行なう。
【0053】
また、銀行システム10は、保有目的で按分処理を実行する(ステップS2-10)。この按分処理については、
図7を用いて後述する。
【0054】
(利金取得時処理)
図6を用いて、利金取得時処理を説明する。この利金取得時処理は、ネッティング情報の取得時に実行される。
まず、銀行システム10は、利金情報の取得処理を実行する(ステップS3-1)。具体的には、会計支援部12は、清算システム30から、ネッティング情報(資金決済予定通知データ、ネッティング結果通知データ、ネッティング明細通知データ)を取得する。
【0055】
次に、銀行システム10は、利渡対象銘柄の特定処理を実行する(ステップS3-2)。具体的には、会計支援部12は、銘柄情報記憶部14を用いて、資金決済予定通知データ510の決済年月日に対応する利渡日が記録された銘柄情報140を特定する。そして、会計支援部12は、特定した銘柄情報140に記録されたISIN銘柄コードを特定する。
【0056】
次に、銀行システム10は、日銀分(所有分)で利金を充当可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS3-3)。具体的には、会計支援部12は、特定したISIN銘柄コードが記録された約定入力内容情報130を約定情報記憶部13から取得する。そして、取引種類として「所有分」のみが記録されている場合には、日銀分(所有分)で利金を充当可能と判定する。
【0057】
日銀分(所有分)で利金を充当可能と判定した場合(ステップS3-3において「YES」の場合)、銀行システム10は、利金取得時処理を終了する。
一方、約定情報記憶部13に貸出分が記録されており、日銀分(所有分)で利金を充当不可と判定した場合(ステップS3-3において「NO」の場合)、銀行システム10は、この銘柄について清算機関の取引有無の確認処理を実行する(ステップS3-4)。具体的には、会計支援部12は、約定情報記憶部13の約定入力内容情報130に記録された取引種類を用いて、この銘柄について、清算機関を利用したレポ取引があるかどうかを確認する。
【0058】
清算機関を利用したレポ取引がないと判定した場合(ステップS3-5において「NO」の場合)、銀行システム10は、利金取得時処理を終了する。
一方、清算機関を利用したレポ取引があると判定した場合(ステップS3-5において「YES」の場合)、銀行システム10は、この銘柄について清算機関の利金の計算処理を実行する(ステップS3-6)。具体的には、会計支援部12は、約定情報記憶部13を用いて、清算機関を利用した取引における利渡日の利金額を算出する。
【0059】
次に、銀行システム10は、清算機関分の按分処理を実行する(ステップS3-7)。具体的には、会計支援部12は、日銀分以外の清算機関分については、後述する按分処理を行なうことにより、保有目的に応じた金額を算出する。
【0060】
(按分処理)
次に、
図7を用いて、按分処理を説明する。ここでは、保有目的に対して、「商品/売買」及び「特定投資」を含めた「投資/その他」、「投資/満期」に按分する。
【0061】
まず、銀行システム10は、資金決済予定通知データの取得処理を実行する(ステップS4-1)。具体的には、会計支援部12は、証券集中保管システム20から資金決済予定通知データ510を取得する。
【0062】
次に、銀行システム10は、資金決済予定通知データの決済年月日に対応する利渡日の特定処理を実行する(ステップS4-2)。具体的には、会計支援部12は、資金決済予定通知データ510に含まれる決済年月日を特定する。そして、会計支援部12は、銘柄情報記憶部14の銘柄情報140を用いて、特定した決済年月日に対応する利渡日を特定する。
【0063】
次に、銀行システム10は、利渡日に基づいて銘柄コードの特定処理を実行する(ステップS4-3)。具体的には、会計支援部12は、決済年月日に対応する利渡日が記録された銘柄情報140において、ISIN銘柄コードを特定する。
【0064】
次に、銀行システム10は、ネッティング結果通知データにおいて送信者REF番号の特定処理を実行する(ステップS4-4)。具体的には、会計支援部12は、特定したISIN銘柄コードに関連付けられた送信者REF番号を、ネッティング結果通知データ520から取得する。
【0065】
次に、銀行システム10は、送信者REF番号に対応したセンタREF番号の特定処理を実行する(ステップS4-5)。具体的には、会計支援部12は、取得した送信者REF番号が含まれるネッティング明細通知データ530を特定する。そして、会計支援部12は、ネッティング明細通知データ530に記録されたセンタREF番号を特定する。
【0066】
次に、銀行システム10は、センタREF番号に対応した保有目的の特定処理を実行する(ステップS4-6)。具体的には、会計支援部12は、約定入力内容情報130において、センタREF番号に対応した保有目的を特定する。
【0067】
次に、銀行システム10は、保有目的に応じた按分処理を実行する(ステップS4-7)。具体的には、会計支援部12は、資金決済予定通知データ510に記録された元利金相当額を按分する。ここでは、約定入力内容情報130の額面、銘柄情報140のクーポンレート、利払回数を用いて、下記式により按分額を算出する。この利払回数は、銘柄情報140に記録された利渡日の日数(回数)を計数して用いる。
按分額=額面×(クーポンレート/100)×(1/利払回数)
【0068】
そして、会計支援部12は、保有目的に応じた按分額を含めた財務会計データを生成する。
【0069】
次に、銀行システム10は、フェイル分の算出処理を実行する(ステップS4-8)。具体的には、会計支援部12は、銀行が取得した利金に対して、按分額を差し引いた残り金額をフェイル分(決済不履行分)として算出する。このフェイル分は、銀行が利金を受け取る側である場合、利払/償還が発生する銘柄を相手に渡せていない状態である。
【0070】
次に、銀行システム10は、フェイル分を「投資/その他」に割当処理を実行する(ステップS4-9)。具体的には、算出したフェイル分は保有目的の判別ができないため、会計支援部12は、「投資/その他」に分類した財務会計データを生成する。
【0071】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、銀行システム10は、利金情報の取得処理(ステップS3-1)、日銀分(所有分)で利金を充当可能かどうかについての判定処理(ステップS3-3)を実行する。清算機関を利用した取引があると判定した場合(ステップS3-5において「YES」の場合)、銀行システム10は、この銘柄について清算機関の利金の計算処理を実行する(ステップS3-6)。これにより、清算機関を利用した利金額を特定することができる。
【0072】
(2)本実施形態では、銀行システム10は、約定情報記憶部13、銘柄情報記憶部14、資金決済予定通知、ネッティング結果通知、ネッティング明細通知を用いて、按分処理を実行する。これにより、一つのネッティング口座への入金を保有目的に応じて按分することができる。従って、清算システム30に開設したネッティング口座を効率的に活用するとともに、適正な会計管理を行なうことができる。
【0073】
(3)本実施形態では、銀行システム10は、フェイル分の算出処理(ステップS4-8)、フェイル分を「投資/その他」に割当処理(ステップS4-9)を実行する。これにより、フェイル分についても仕訳を行なうことができる。
【0074】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、銀行システム10は、取引管理部11、会計支援部12、約定情報記憶部13、銘柄情報記憶部14、勘定管理部15を備える。銀行システム10の構成は、これに限定されるものではない。
【0075】
・上記実施形態では、元利相当額に按分処理を用いたが、按分処理の対象は元利相当額に限定されるものではない。
・上記実施形態では、銀行システム10は、按分処理において、「投資/その他」、「投資/満期」に按分する。按分先は、これに限定されるものではない。例えば、保有目的「投資/その他」、「商品/売買」、「特定投資」、「投資/満期」で按分してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…銀行システム、11…取引管理部、12…会計支援部、13…約定情報記憶部、14…銘柄情報記憶部、15…勘定管理部、20…証券集中保管システム、21…照合部、30…清算システム、40…日銀システム。