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特許7239426流量抵抗器、流量調節装置、流量調節方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】流量抵抗器、流量調節装置、流量調節方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/02 20060101AFI20230307BHJP
   F16K 7/06 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G01M3/02 A
F16K7/06 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019151307
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021032286
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000130178
【氏名又は名称】株式会社コスモ計器
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 昭男
(72)【発明者】
【氏名】須賀 宣幸
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-174352(JP,A)
【文献】特開2004-084944(JP,A)
【文献】特開2016-031331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0087853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/02
F16K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量抵抗器であって、
第1孔部と、当該第1孔部の径よりも大きい径を持つ第2孔部と、を含む貫通孔が形成されているハウジングと、
第1伸長部と、当該第1伸長部の伸長方向と異なる方向に伸びる第2伸長部と、を含むパイプと、
貫通孔が形成されているアジャスタと
を含み、
上記パイプは、上記ハウジングの上記貫通孔に挿入されており、
上記第1伸長部は、上記第1孔部に位置しており、
上記第2伸長部は、上記第2孔部に位置しており、
上記アジャスタは、上記第2孔部に位置しており且つ上記第2伸長部に向かって移動可能な部材であり、
上記アジャスタの上記貫通孔は、上記第2孔部において上記アジャスタと上記パイプとの間の空間と、上記流量抵抗器の外部と、をつないでいる
流量抵抗器。
【請求項2】
請求項1に記載の流量抵抗器において、
上記アジャスタが、上記第2伸長部に接触しており、
上記第1伸長部の断面、ただし当該断面は上記第1伸長部の伸長方向と直交する、の形状は、上記第2伸長部の断面、ただし当該断面は上記第2伸長部の伸長方向と直交する、の形状と異なる
ことを特徴とする流量抵抗器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流量抵抗器において、
上記第2孔部は雌ネジ部を持ち、
上記アジャスタは、上記雌ネジ部に対応する雄ネジ部を持つ
ことを特徴とする流量抵抗器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の流量抵抗器において、
上記第1伸長部の伸長方向は、上記第2伸長部の伸長方向と直交している
ことを特徴とする流量抵抗器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の流量抵抗器において、
上記空間に収容されるワッシャーをさらに含む
ことを特徴とする流量抵抗器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の流量抵抗器の流量を調節する流量調節装置であって、
上記流量抵抗器の上記アジャスタを、上記流量抵抗器の上記パイプの上記第2伸長部に向かって移動させるための器具と、
上記流量抵抗器を収容する内部空間と、当該内部空間と外部とをつなぎ且つ上記器具が挿入される第1貫通孔と、当該内部空間と外部とをつなぎ且つ上記流量抵抗器に供給される流体の流路である第2貫通孔と、当該内部空間と外部とをつなぎ且つ上記流量抵抗器から出た上記流体の流路である第3貫通孔と、が形成されているハウジングと
を含む流量調節装置。
【請求項7】
請求項6に記載の流量調節装置において、
上記ハウジングと上記器具との間を塞ぐパッキングを含む
ことを特徴とする流量調節装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の流量抵抗器の流量を調節する流量調節方法であって、
上記流量抵抗器の上記パイプの上記第2伸長部に上記アジャスタを押し付けることによって、上記流量抵抗器の上記パイプの上記第2伸長部を変形させる流量調節ステップ
を有する流量調節方法。
【請求項9】
請求項8に記載の流量調節方法において、
上記流量抵抗器を漏れの無い流路に設置し、上記流量抵抗器を通過した流体の流量を流量計で計測しながら、上記流量調節ステップが実施される
ことを特徴とする流量調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
流量抵抗器は、狭められた流路を持っている。流量抵抗器に所定の圧力で流体が供給された時に、流量抵抗器は、流量抵抗器から吐出する当該流体の流量を所定の値に設定する。流量は例えば単位時間当たりの体積である。このため、流量抵抗器は、漏れ流量の校正のための基準器としても使用できる。流量抵抗器は、当業者によって、流量抵抗ノズル、リークマスターなどとも呼称される。
【0003】
特許文献1に開示されている流量抵抗器は、例えば図1に示すように、パイプ2と、パッキングランド7と、第1金属体12と、第2金属体13と、保護管16を含む。
【0004】
第1金属体12は、第1金属体12の一端部の径が第1金属体12の他端部の径よりも小さい円錐台のような外観形状を持つ。シリンダー状の孔12Cが、第1金属体12の一端部に形成されている。孔12Cは、第1金属体12の一端部に開口部を持ち且つ第1金属体12の中心軸線と一致する中心軸線を持つ。雌ネジ12Bが、第1金属体12の他端部に形成されている。雌ネジ12Bは、孔12Cの径より大きい径を持ち且つ第1金属体12の中心軸線と一致する中心軸線を持つ。孔12Cは、防塵フィルタ17を経由して雌ネジ12Bと連通している。
【0005】
第2金属体13は、異なる径を持ち且つ同じ中心軸線を持つ3個の中空シリンダー部を識別できる形状を持つ。第2金属体13の中空シリンダー状一端部は雌ネジ12Bに対応する雄ネジ13Aであり、第2金属体13の中空シリンダー状他端部は雄ネジ13Eである。雄ネジ13Aの中心軸線は第2金属体13の中心軸線と一致しており、雄ネジ13Eの中心軸線は第2金属体13の中心軸線と一致している。第2金属体13の中心軸線と一致する中心軸線を持つシリンダー状の貫通孔13Bが第2金属体13に形成されている。貫通孔13Bは、雄ネジ13Eの中空部と第2金属体13の中空シリンダー状中央部の中空部が互いに連結した空間に一致している。雌ネジ13Dが、雄ネジ13Aに形成されている。雌ネジ13Dは、雄ネジ13Aの中空部と一致している。雌ネジ13Dは、貫通孔13Bの径より大きく雄ネジ13Aの径よりも小さい径を持ち、且つ、第2金属体13の中心軸線と一致する中心軸線を持つ。貫通孔13Bは、雌ネジ13Dと連通している。雌ネジ13Cが、第2金属体13に形成されている。雌ネジ13Cは、第2金属体13の外周面に一方開口部を持ち且つ貫通穴13Bに他方開口部を持つ。
【0006】
パッキングランド7は、異なる径を持ち且つ同じ中心軸線を持つ2個の中空シリンダー部を識別できる形状を持つ。パッキングランド7の中空シリンダー状一端部は、雌ネジ13Dに対応する雄ネジである。シリンダー状の貫通孔が、パッキングランド7に形成されている。パッキングランド7の貫通孔は、パッキングランド7の一端部に一方開口部を持ち且つパッキングランド7の中空シリンダー状他端部に他方開口部を持つ。
【0007】
貫通孔を持つパッキング4を雌ネジ13Dに収容した状態で、パッキングランド7が、第2金属体13の雌ネジ13Dとパッキングランド7の雄ネジによって第2金属体13に取り付けられる。この状態において、パッキングランド7の他端部はパッキング4を第2金属体13に押し付けている。第2金属体13の中心軸線は、パッキングランド7の中心軸線と一致している。パッキング4は例えばOリングである。
【0008】
直線状のパイプ2は、第2金属体13の貫通孔13B、パッキング4の貫通孔、およびパッキングランド7の貫通孔に挿入されている。パイプ2の一端部はパッキングランド7から突出しており、パイプ2の他端部は金属体13から突出している。
【0009】
パイプ2が取り付けられた第2金属体13は、第2金属体13の雄ネジ13Aと第1金属体12の雌ネジ12Bとによって、第1金属体12に取り付けられている。この状態において、パイプ2の一端部は雌ネジ12Bの内部に位置している。第2金属体13の中心軸線は、第1金属体12の中心軸線と一致している。
【0010】
直線状のパイプである保護管16は、その一端部に、第2金属体13の雄ネジ13Eに対応する雌ネジを持つ。パイプ2が取り付けられた第2金属体13は、第2金属体13の雄ネジ13Eと保護管16の雌ネジによって、第2金属体13に取り付けられている。保護管16は、第2金属体13から突出しているパイプ2の部位の長さよりも長い全長を持つので、当該部位は保護管16によって被覆されている。
【0011】
第2金属体13の雌ネジ13Cに雄ネジ6が挿入される。雄ネジ6を雌ネジ13Cにねじ込むことによって、雄ネジ6の先端がパイプ2を押し潰す。パイプ2の変形の程度に応じて所要の流量値が達成される。
【0012】
このタイプの流量抵抗器は、例えば特許文献2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】日本国実開平03-105773号公報
【文献】日本国特開2013-170653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の流量抵抗器では、パイプ2を変形させるために、パイプ2の伸長方向と直交する方向からパイプ2に外力が加えられる。外力を加える器具として雄ネジが使用される。雄ネジの径を考慮して全長の長いパイプ2を使用するので、流量抵抗器を小型にすることが難しかった。
【0015】
本発明の目的は、小型の流量抵抗器、および、この流量抵抗器の流量を調節する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ここで述べる技術事項は、請求の範囲に記載された発明を明示的にまたは黙示的に限定するためではなく、さらに、本発明によって利益を受ける者(例えば出願人と権利者である)以外の者によるそのような限定を容認する可能性の表明でもなく、単に、本発明の要点を容易に理解するために記載される。
本発明の流量抵抗器のパイプは、第1伸長部と第2伸長部を含む。第1伸長部の伸長方向は流量抵抗器の長さ方向、つまり流量抵抗器を通過する流体の流れ方向に関係するが、第2伸長部の伸長方向は第1伸長部の伸長方向と異なる。つまり、このパイプは屈曲パイプである。第2伸長部がアジャスタによって潰されることによって、所要の流量が実現する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、屈曲パイプを採用しているので、小型の流量抵抗器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の流量抵抗器の断面図である。
図2】(a)実施形態の流量抵抗器の左側面図である。(b)実施形態の流量抵抗器の断面図である。(c)実施形態の流量抵抗器の右側面図である。
図3】ハウジングの断面図である。
図4】パイプの正面図である。
図5】(a)アジャスタの断面図である。(b)アジャスタの側面図である。
図6】(a)パッキングランドの側面図である。(b)パッキングランドの断面図である。
図7】アジャスタがパイプを少し潰している状態における流量抵抗器の断面図である。
図8】変形例の流量抵抗器の断面図である。
図9】実施形態の流量調節装置の断面図である。
図10】ハウジングの第1部品の断面図である。
図11】ハウジングの第2部品の断面図である。
図12】ハウジングの第3部品の断面図である。
図13】ハウジングの第4部品の断面図である。
図14】(a)器具の側面図である。(b)器具の正面図である。
図15】実施形態における流量調節の処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<流量抵抗器>
実施形態の流量抵抗器1は、ハウジング100と、パイプ200と、アジャスタ300と、パッキングランド800を含む(図2図7参照)。
【0020】
<ハウジング>
ハウジング100は、この実施形態では、貫通孔101が形成されており、且つ、3個の部位、具体的には中央部100aと一端部100bと他端部100cを識別できる中空棒状体である。
【0021】
ハウジング100の中央部100aは、ハウジング100の中心軸線CLと一致する中心軸線を持つ中空六角柱形状を持つ。
【0022】
ハウジング100の一端部100bは、ハウジング100の中心軸線CLと一致する中心軸線を持ち且つ中央部100aの対辺距離とほぼ同じ外径を持つ中空シリンダー形状を持つ。一端部100bの一端はハウジング100の一端面100dであり、一端部100bの他端は中央部100aと一端部100bとの境界に位置する。
【0023】
ハウジング100の他端部100cは、ハウジング100の中心軸線CLと一致する中心軸線を持ち且つ中央部100aの対辺距離よりも小さい外径を持つ中空シリンダー形状を持つ。他端部100cの一端は中央部100aと他端部100cとの境界に位置しており、他端部100cの他端はハウジング100の他端面100eである。他端部100cの外周面に、螺旋状の溝つまり雄ネジ部100caが形成されている。
【0024】
ハウジング100に形成されている貫通孔101は、3個の孔部、具体的には第1孔部101aと第2孔部101bと第3孔部101cを識別できるシリンダー形状を持つ。
【0025】
シリンダー状の第1孔部101aは、ハウジング100の中心軸線CLと一致する中心軸線を持ち、且つ、後述するパイプ200の第1伸長部200aの外径よりもわずかに大きい径を持つ。シリンダー状の第2孔部101bは、ハウジング100の中心軸線CLと一致する中心軸線を持ち、且つ、第1孔部101aの径よりも大きい径を持つ。シリンダー状の第3孔部101cは、ハウジング100の中心軸線CLと一致する中心軸線を持ち、且つ、第1孔部101aの径よりも大きい径を持つ。
【0026】
第1孔部101aの一端は中央部100aと一端部100bとの境界に位置し、第1孔部101aの他端は中央部100aの中央付近に位置する。
【0027】
第2孔部101bは、ハウジング100の一端部100bの全長とほぼ同じ全長を持つ。ただし、「全長」は、中心軸線CLの方向における長さである。第2孔部101bの一端は、ハウジング100の一端面100dに位置する開口部であり、第2孔部101bの他端は、中央部100aと一端部100bとの境界に位置する。一端部100bの内周面つまり第2孔部101bを取り囲む一端部100bの内壁面に、螺旋状の溝つまり雌ネジ部101baが形成されている。
【0028】
第3孔部101cは、ハウジング100の他端部100cの全長よりも長い全長を持ち、第3孔部101cの一端は中央部100aの中央付近に位置しており、第3孔部101cの他端はハウジング100の他端面100eに位置する開口部である。他端部100cの内周面つまり第3孔部101cを取り囲む他端部100cの内壁面に、螺旋状の溝つまり雌ネジ部101cbが形成されている。
【0029】
<パイプ>
パイプ200は、この実施形態では、2個の伸長部、具体的には、直線状に伸びる第1伸長部200aと、第1伸長部200aの伸長方向と異なる方向に直線状に伸びる第2伸長部200bを識別できる形状を持つ。この実施形態では、第1伸長部200aの伸長方向は、第2伸長部200bの伸長方向と直交している。
【0030】
<アジャスタ>
アジャスタ300は中空シリンダー形状を持つ。アジャスタ300に形成されているシリンダー状の貫通孔301は、アジャスタ300の中心軸線CL1と一致する中心軸線を持つ。アジャスタ300の一方端面300aに直線状の溝302が形成されている。この実施形態では、貫通孔301の一方開口部は溝302の底に位置する。アジャスタ300の外周面に、ハウジング100の雌ネジ部101baに対応する螺旋状の溝つまり雄ネジ部300bが形成されている。
【0031】
<パッキングランド>
パッキングランド800は中空シリンダー形状を持つ。パッキングランド800に形成されているシリンダー状の貫通孔801は、パッキングランド800の中心軸線CL2と一致する中心軸線を持つ。パッキングランド800の一方端面800aに直線状の溝802が形成されている。この実施形態では、貫通孔801の一方開口部は溝802の底に位置する。パッキングランド800の外周面に、ハウジング100の雌ネジ部101cbに対応する螺旋状の溝つまり雄ネジ部800bが形成されている。
【0032】
<組立>
流量抵抗器1において、ハウジング100の第3孔部101cの径よりもわずかに大きい外径を持つパッキング400が、第3孔部101cにねじ込まれているパッキングランド800によって第3孔部101cの奥、つまり第3孔部101cと第1孔部101aとの境界付近に押し込まれている。パッキングランド800は、例えば溝802に入り込む先端部を持つスクリュードライバーで第3孔部101cにねじ込まれている。パッキング400に、パイプ200の外径よりもわずかに小さい径を持つ貫通孔が形成されている。パッキング400は例えばOリングである。
【0033】
流量抵抗器1において、パイプ200は、ハウジング100の貫通孔101に挿入されている。パイプ200の第1伸長部200aはハウジング100の第1孔部101aに位置しており、パイプ200の第2伸長部200bはハウジング100の第2孔部101bに位置している。より詳しくは、第1伸長部200aと第2伸長部200bとの境界である屈曲部200cは、中央部100aと一端部100bとの境界に位置する。第2伸長部200bは、壁面100abに接触している、あるいは、壁面100abの近傍に位置している。壁面100abは、第1孔部101aと第2孔部101bとの境界に位置し且つ第1孔部101aの一端を取り囲む壁面である。
【0034】
第2伸長部200bから離れた第1伸長部200aの端部は、この実施形態では、パッキング400の貫通孔を通過した結果、パッキングランド800の貫通孔801に位置している。パッキング400は、中央部100aの内周面、つまり第3孔部101cを取り囲む中央部100aの内壁面およびパイプ200の外周面に密着している。パッキング400によって、第1孔部101aと第3孔部101cとの間の気密または水密が保たれている。換言すれば、第3孔部101cは、パッキングランド800の貫通孔801とパイプ200を経由して、第2孔部101bと連通している。
【0035】
アジャスタ300は第2孔部101bに位置している。この状態において、アジャスタ300の中心軸線CL1とハウジング100の中心軸線CLは一致している。アジャスタ300がハウジング100の雌ネジ部101baに対応する雄ネジ部300bを持っているので、適切な器具を用いることによって、アジャスタ300を第2伸長部200bに向かって移動させることができる。このような器具は、この実施形態では、溝302に入り込む先端部を持つスクリュードライバーである。
【0036】
アジャスタ300をスクリュードライバーで移動させることによって、アジャスタ300は第2伸長部200bに接触する。アジャスタ300をさらに移動させることによって、アジャスタ300は第2伸長部200bを押し潰す(図7参照)。この結果、第1伸長部200aの断面の形状は、第2伸長部200bの断面の形状と異なり、さらに、第2伸長部200bの変形の程度に応じて所要の流量値が達成される。ただし、第1伸長部200aの断面は第1伸長部200aの伸長方向と直交する断面であり、第2伸長部200bの断面は第2伸長部200bの伸長方向と直交する断面である。
【0037】
アジャスタ300の貫通孔301は、第2孔部101bにおけるアジャスタ300とパイプ200との間の空間Sと、流量抵抗器1の外部と、をつないでいる。したがって、ハウジング100の第3孔部101cに流入する流体は、パッキングランド800の貫通孔801とパイプ200と空間Sとアジャスタ300の貫通孔301を経由して、第2孔部101bから流量抵抗器1の外部に出ることができる。あるいは、第2孔部101bに流入する流体は、アジャスタ300の貫通孔301と空間Sとパイプ200とパッキングランド800の貫通孔801を経由して、第3孔部101cから流量抵抗器1の外部に出ることができる。
【0038】
流量抵抗器1は、屈曲したパイプ200を持ち、且つ、流量抵抗器1の長さ方向、つまり流量抵抗器1を通過する流体の流れ方向のサイズに大きく寄与することのない第2伸長部200bをアジャスタ300で潰す構成を採用している。したがって、流量抵抗器1の全長を、流量抵抗器の長さ方向と直交する方向で直線状パイプを潰す構成を採用していた従来の流量抵抗器の全長よりも短くできる。流量抵抗器1は従来の流量抵抗器と比較して小さいサイズを持つので、雄ネジ部100caに対応する雌ネジ部または雌ネジ部101baに対応する雄ネジ部を持つ検査対象物に流量抵抗器1を直接的に取り付けることが容易である。
【0039】
流量抵抗器1は、従来の流量抵抗器と比較してシンプルな構造を持っているので、安価に流量抵抗器1を製造できる。実施形態において、パッキングランド800は流量抵抗器1の必須構成要素ではない。パッキングランド800を使用しない場合、パッキング400も不要であり、部品数をさらに低減できる。この場合、パイプ200は例えば接着剤でハウジング100の第1孔部101aに取り付けられる。しかし、パッキングランド800を使用することによって、パイプ200の交換が可能である。つまり、パイプ200をハウジング100に完全に固定しないので、ハウジング100からアジャスタ300を外すことによってパイプ200を取り外すことができる。例えば、過失によってパイプ200を過度に潰した場合、押し潰されたパイプ200を新しいパイプと交換することで、流量抵抗器1の歩留りの低下を避けられる。
【0040】
所定の流量が達成された以降、アジャスタ300の移動は行われない。つまり、アジャスタ300は、所定の流量を達成したときの位置にて、第2孔部101bに残される。パイプ200の第2伸長部200bをアジャスタ300で潰すことによってネジのバックラッシュが無くなり、この結果、ハウジング100とパイプ200とアジャスタ300の牢固な機械的結合が実現する。したがって、流量抵抗器1の組立時に設定された流量が流量抵抗器1を使用する時でも維持される。
【0041】
流量抵抗器1は、雌ネジ部101baを持っているので、雌ネジ部101baに対応する雄ネジ部を持つホースジョイントを接続することができる。ホースジョイントを例えば図示しない流量計に接続することによって、流量抵抗器1の流量を確認できる。
【0042】
流量抵抗器1は六角柱状の中央部100aを持つので、レンチで流量抵抗器1を締めることができる。
【0043】
<変形例>
アジャスタ300で直接的にパイプ200を潰す上述の実施形態に替えて、次の変形例も許容される。図8に示すように、空間Sにワッシャー700を収容した状態で、パイプ200をアジャスタ300で間接的に潰してもよい。ワッシャー700は例えば平座金である。ワッシャー700が緩衝材としての役割を果たすので、アジャスタ300によるパイプ200の破損の防止を期待できる。
【0044】
<流量調節装置/方法>
次に、流量抵抗器1の流量を調節する流量調節装置と流量調節方法について説明する。
実施形態の流量調節装置500は、器具510と、ハウジング520を含む(図9図14参照)。
【0045】
<器具>
器具510は、上述のとおり、アジャスタ300を第2伸長部200bに向かって移動させる器具であり、例えば、アジャスタ300の溝302に入り込む先端部を持つスクリュードライバーである。
【0046】
<ハウジング>
ハウジング520に、流量抵抗器1を収容する内部空間590と、内部空間590と流量調節装置500の外部とをつなぎ且つ器具510が挿入される第1貫通孔523aと、内部空間590と流量調節装置500の外部とをつなぎ且つ流量抵抗器1に供給される流体の流路である第2貫通孔521aと、内部空間590と流量調節装置500の外部とをつなぎ且つ流量抵抗器1から出た流体の流路である第3貫通孔521bと、が形成されている。この実施形態では、ハウジング520は4個の部品521,522,523,524で構成される。
【0047】
<第1部品>
シリンダー状の第2貫通孔521aとL字型の第3貫通孔521bが形成されている第1部品521は、異なる径を持ち且つ同じ中心軸線を持つ3個の中空シリンダー部を識別できる中空棒状体である。第1部品521の中空シリンダー状一端部5212の外周面に螺旋状の溝つまり雄ネジ部521cが形成されており、且つ、一端部5212の内周面、つまり第2貫通孔521aを取り囲む一端部5212の内壁面に、流量抵抗器1の雄ネジ部100caに対応する螺旋状の溝つまり雌ネジ部521dが形成されている。第3貫通孔521bの一方開口部は、第1部品521の一端部5212の端面5212aに位置する。第3貫通孔521bの他方開口部は、第1部品521の中空シリンダー状中央部5211の外周面5211aに位置する。第3貫通孔521bの他方開口部の近傍を取り囲む中央部5211の内壁面に、螺旋状の溝つまり雌ネジ部521eが形成されている。第1部品521の中空シリンダー状他端部5213の外周面に螺旋状の溝つまり雄ネジ部521gが形成されている。
【0048】
<第2部品>
シリンダー状の貫通孔522cが形成されている中空シリンダー状の第2部品522の一端部の内周面、つまり貫通孔522cを取り囲む一端部の内壁面に、螺旋状の溝つまり雌ネジ部522aが形成されている。第2部品522の他端部の内周面、つまり貫通孔522cを取り囲む他端部の内壁面に、第1部品521の雄ネジ部521cに対応する螺旋状の溝つまり雌ネジ部522bが形成されている。
【0049】
<第3部品>
シリンダー状の第1貫通孔523aが形成されている第3部品523は、異なる径を持ち且つ同じ中心軸線を持つ2個の中空シリンダー部を識別できる中空棒状体である。第3部品523の中空シリンダー状一端部5231に、2個以上のボルト孔523dが形成されている。第1貫通孔523aの一方開口部は、第3部品523の一端部5231の端面5231aに位置する。第3部品523の一端部5231に、第1貫通孔523aの一方開口部を取り囲む環状凹部523bが形成されている。第3部品523の中空シリンダー状他端部5232の外周面に螺旋状の溝つまり雄ネジ部523cが形成されている。
【0050】
<第4部品>
第4部品524は、貫通孔524aとボルト貫通孔524bが形成されている円板状の部品である。
【0051】
<組立>
第1部品521の雌ネジ部521dに流量抵抗器1の雄ネジ部100caをねじ込むことによって、流量抵抗器1が第1部品521に取り付けられる。第1部品521と流量抵抗器1との間の気密または水密は、第1部品521の一端部5212に形成された環状凹部に嵌め込まれているガスケット544によって保たれる。ガスケット544は例えばOリングである。第2部品522の雌ネジ部522bに、流量抵抗器1が取り付けられている第1部品521の雄ネジ部521cをねじ込むことによって、第1部品521が第2部品522に取り付けられる。第1部品521と第2部品522との間の気密または水密は、第1部品521の中央部5211に形成された環状凹部に嵌め込まれているガスケット541によって保たれる。ガスケット541は例えばOリングである。第2部品522の雌ネジ部522aに第3部品523の雄ネジ部523cをねじ込むことによって、第3部品523が第2部品522に取り付けられる。第2部品522と第3部品523との間の気密または水密は、第3部品523の一端部5231に形成された環状凹部に嵌め込まれているガスケット542によって保たれる。ガスケット542は例えばOリングである。第1部品521と第2部品522と第3部品523とによって囲まれた内部空間590に、流量抵抗器1が位置する。この実施形態では、第4部品524が第3部品523の一端部5231にボルト締めで取り付けられている。
【0052】
ハウジング520の第2貫通孔521aに流入する流体は、流量抵抗器1、ハウジング520の内部空間590、ハウジング520の第3貫通孔521bの順番でこれらを通過してから、流量調節装置500の外部に流出する。
【0053】
<手順>
流量調節装置500を用いて流量抵抗器1の流量を調節する方法、具体的には、流量抵抗器1の流量を所要の流量に設定する方法は、次のとおりである(図15参照)。
【0054】
ハウジング520の雌ネジ部521eに図示しないホースジョイントを接続する。ホースジョイントは図示しない流量計に接続されている。第1部品521の他端部5213は、雄ネジ部521gをねじ込むことのできる雌ネジ部を持つ図示しないホースジョイントなどを経由して図示しない定圧流体供給源に接続されている。定圧流体供給源は、一定の圧力で流体を供給できる。定圧流体供給源からハウジング520の第2貫通孔521aを経由して流量抵抗器1に流体が継続的に供給されている。
【0055】
器具510を第4部品524の貫通孔524aと第3部品523の第1貫通孔523aに挿入した状態で、器具510の先端をアジャスタ300の溝302に嵌め込む。環状凹部523bに嵌め込まれているパッキング543によってハウジング520と器具510との間の気密または水密が保たれる。器具510を回すことによって、アジャスタ300をパイプ200の第2伸長部200bに向かって移動させる(ステップS1)。
【0056】
流量抵抗器1を通過した流体の流量を流量計で計測しながら、パイプ200の第2伸長部200bにアジャスタ300を押し付ける(ステップS2)。第2伸長部200bが変形した結果、流量が変化する。所要の流量値が計測された時点で、器具510の操作を中止する。
【0057】
上述の実施形態において、ネジのサイズとして、JIS(Japanese Industrial Standards)またはISO(International Organization for Standardization)のサイズを採用できる。例えば、流量抵抗器1の雌ネジ部101baとして直径5mmの雌ネジを採用できる。
【0058】
器具510として、よく知られているスクリュードライバーを使用してもよいが、図14に示すスクリュードライバー510を用いてもよい。スクリュードライバー510は、二分岐の先端部を持つ。スクリュードライバー510の先端部が溝302に入り込んだ状態において、スクリュードライバー510の先端部は、溝302の底に位置する貫通孔301の開口部を塞がない。つまり、スクリュードライバー510は、継続的な流量計測を妨げることなくアジャスタ300を移動できる。
【0059】
<補遺>
請求の範囲と明細書において、特に断りが無い限り、「接続された」という用語とこのあらゆる語形変形は、互いに「接続」された2個の要素の間に1個又はそれ以上の中間要素が存在することを必ずしも否定しない。
【0060】
請求の範囲と明細書において、序数詞は、特に断りが無い限り、序数詞で修飾されるまたは序数詞と結合する要素を当該要素の順序または当該要素の量で限定することを意図しない。序数詞の使用は、特段の断りが無い限り、単に、2個以上の要素を互いに区別する便利な表現方法として使用される。したがって、例えば語句「第1のX」と語句「第2のX」は、2つのXを区別するための表現であり、Xの総数が2であることを必ずしも意味せず、あるいは、第1のXが第2のXに先行しなければならないことを必ずしも意味しない。「第1」という用語について、必ずしも「最初」を意味するとは限らない。
【0061】
請求の範囲と明細書において、用語「含む」とその語形変化は非排他的表現として使用されている。例えば、「XはAとBを含む」という文は、XがAとB以外の構成要素(例えばC)を含むことを否定しない。また、或る文が用語「含む」またはその語形変化が否定辞と結合した語句(例えば「含まない」)を含む場合、当該文はその目的語について言及するだけである。したがって、例えば「XはAとBを含まない」という文は、XがAとB以外の構成要素を含む可能性を認めている。さらに、用語「または」は排他的論理和ではないことが意図される。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更と変形が許される。選択され且つ説明された実施形態は、本発明の原理およびその実際的応用を解説するためのものである。本発明は様々な変更あるいは変形を伴って様々な実施形態として使用され、様々な変更あるいは変形は期待される用途に応じて決定される。そのような変更および変形のすべては、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲に含まれることが意図されており、公平、適法および公正に与えられる広さに従って解釈される場合、同じ保護が与えられることが意図されている。
【符号の説明】
【0063】
1 流量抵抗器
2 パイプ
6 雄ネジ
7 パッキングランド
12 第1金属体
12B 雌ネジ
12C 孔
13 第2金属体
13A 雄ネジ
13B 貫通孔
13C 雌ネジ
13D 雌ネジ
13E 雄ネジ
16 保護管
17 防塵フィルタ
100 ハウジング
100a 中央部
100ab 壁面
100b 一端部
100c 他端部
100ca 雄ネジ部
100d 一端面
100e 他端面
101 貫通孔
101a 第1孔部
101b 第2孔部
101ba 雌ネジ部
101c 第3孔部
101cb 雌ネジ部
200 パイプ
200a 第1伸長部
200b 第2伸長部
200c 屈曲部
300 アジャスタ
300a 一方端面
300b 雄ネジ部
301 貫通孔
302 溝
400 パッキング
500 流量調節装置
510 器具
520 ハウジング
521 第1部品
5211 中央部
5211a 外周面
5212 一端部
5212a 端面
5213 他端部
521a 第2貫通孔
521b 第3貫通孔
521c 雄ネジ部
521d 雌ネジ部
521e 雌ネジ部
521g 雄ネジ部
522 第2部品
522a 雌ネジ部
522b 雌ネジ部
522c 貫通孔
523 第3部品
5231 一端部
5231a 端面
5232 他端部
523a 第1貫通孔
523b 環状凹部
523c 雄ネジ部
523d ボルト孔
524 第4部品
524a 貫通孔
524b ボルト貫通孔
541 ガスケット
542 ガスケット
543 パッキング
544 ガスケット
590 内部空間
700 ワッシャー
800 パッキングランド
800a 一方端面
800b 雄ネジ部
801 貫通孔
802 溝
CL 中心軸線
CL1 中心軸線
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15