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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】鉄道橋りょう桁端構造
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/06 20060101AFI20230307BHJP
   E01C 11/02 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
E01D19/06
E01C11/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019218057
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088818
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】成田 顕次
(72)【発明者】
【氏名】徳永 宗正
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勉
(72)【発明者】
【氏名】池田 学
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-332601(JP,A)
【文献】特開2006-307472(JP,A)
【文献】特開平11-140806(JP,A)
【文献】特開2000-265410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/06
E01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1橋桁及び第2橋桁のそれぞれの端部を橋脚上で向かい合わせるように配置させこれらの上に鉄道車両を走行させる一対のレールからなるレール対を含む軌道を与えられた鉄道橋りょうの桁端構造であって、
前記第1橋桁及び前記第2橋桁の桁同士の前記端部の間に設けられた遊間を挟んで位置する、前記第1橋桁の第1の軌道スラブ上に固定された第1レール対、及び、前記第2橋桁の第2の軌道スラブに固定された第2レール対、連続した一体のレールとするように前記遊間を跨いで接続する接続部レールと、
前記接続部レールの剛性を高めるように、前記接続部レールの下部に沿って延びて前記下部に締結された略直方体の剛性ブロック部材と、
前記遊間を挟んだ両側に与えられ、前記第1橋桁及び前記第2橋桁の上の天板に前記剛性ブロック部材の底面を載置させて前記剛性ブロック部材をその下部から前記第1橋桁及び前記第2橋桁の上に持ち上げ支持する制振支持装置と、を含み、
前記制振支持装置のうち、前記遊間を挟んだ前記第1橋桁の側の第1の制振支持装置は前記第1橋桁に対して前記剛性ブロック部材をその側方及び長手方向へ移することを規制する規制部材を有し、前記遊間を挟んだ前記第2橋桁の側の第2の支持装置は前記第2橋桁に対して前記剛性ブロック部材をその側方へ移することを規制する規制部材を有することを特徴とする鉄道橋りょうの桁端構造。
【請求項2】
前記制振支持装置は、
前記剛性ブロック部材の側面に沿って立ち上がって、前記剛性ブロック部材の前記側方への移動を規制する第1の突出片と、を含み、
更に、前記第1の制振支持装置は、前記剛性ブロック部材の前記側面から外側に突出する突出部の前後に立ち上がって、前記剛性ブロック部材の前記長手方向への移動を規制する第2の突出片を含むことを特徴とする請求項1記載の鉄道橋りょうの桁端構造。
【請求項3】
前記天板の表面には、低摩擦材を与えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道橋りょうの桁端構造。
【請求項4】
前記低摩擦材はフッ素系皮膜、又は、潤滑油のいずれかであり、金属製の前記天板の上に与えられることを特徴とする請求項記載の鉄道橋りょうの桁端構造。
【請求項5】
前記遊間は、想定される地震に対する応答変位よりも大として設定されることを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載の鉄道橋りょうの桁端構造。
【請求項6】
前記遊間は、1m以上であることを特徴とする請求項記載の鉄道橋りょうの桁端構造。
【請求項7】
前記剛性ブロック部材はプレストレストコンクリートからなり、その上面に前記レールを複数箇所に分散して締結させることを特徴とする請求項1乃至のうちの1つに記載の鉄道橋りょうの桁端構造。
【請求項8】
前記剛性ブロック部材は、前記接続部レール対のそれぞれのレールに締結された一対のブロック部材からなり一対の前記ブロック部材の間隔を維持するように、これらの間に亘って複数の梁を与えることを特徴とする請求項1乃至のうちの1つに記載の鉄道橋りょうの桁端構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道を与えられた鉄道橋りょうの桁端構造に関し、特に、巨大地震などの揺動対策として桁端の遊間を拡大した柔構造を与えつつも鉄道車両の走行安定性を確保できる鉄道橋りょうの桁端構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や人の通行する橋桁において、温度による変位を吸収する隙間として、橋桁とパラペット間、若しくは、橋桁同士の間の桁端に遊間が設けられている。一方で、その走行や通行の安全及び安定を確保するために、かかる遊間を補間する各種の伸縮制御装置が提案されている。例えば、橋りょうの橋桁端部の表面ジョイント部には、フィンガージョイントと呼ばれる橋桁の伸びる方向への伸縮に対して遊間表面の隙間を補間する櫛歯を組み合わせたようなスライド機構が用いられている。
【0003】
更に、地震などの偶発的な事象による橋桁の揺動時にあっても、これを吸収するために遊間が有効に働く。このとき、上記したような、温度による変位とは遊間の吸収すべき変位の形態が異なり、別途、制御機構を考慮すべきである。例えば、大型ダンパーを用いて遊間を一定に維持して地震のエネルギーを吸収し、桁端での橋桁とパラペット間、若しくは、橋桁同士の衝突を回避する装置が知られている。しかしながら、工事費の点で問題を有する。そこで、大型地震の揺動対策として、桁端の遊間の拡大を許容する、若しくは、あらかじめ拡大させておく方法などが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、免震橋りょうや長大橋りょうのような地震時において橋桁に大変位が生じる自動車や人の通行する橋りょう構造物において、橋桁の大きな変位にスムーズに対応できる桁端の遊間の拡大を許容する伸縮装置を開示している。ここでは、橋桁は、橋軸直角方向には移動できず、橋桁の橋軸直角方向の変位を拘束しなければ、地震時にジョイントが損傷してしまう。そのため、免震支承にはサイドブロックを装着し、橋桁の直角方向の変位を拘束しているが、これでは橋軸直角方向への免震を得られない。そこで、橋軸直角方向にも移動できるようなラバージョイントを提案している。
【0005】
また、特許文献2では、レベル2地震動のような大型地震の揺動対策として桁端の遊間をあらかじめ拡大しておきつつ、遊間内に張り出した床版部相互が小遊間を構成するようにした橋りょう用伸縮装置を開示している。大きな揺動に対しては、遊間において橋桁とパラペット、若しくは、橋桁同士が衝突して損壊しないよう、遊間をより大きくしておくことが好ましいが、遊間を補間する装置にはより高い強度が求められることになる。そこで、床版部で橋りょう用伸縮装置を支持して強度を高めるようにした桁端構造を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-265410号公報
【文献】特開2006-152729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動車や人の通行する橋りょう構造物だけでなく、鉄道橋りょうの設計においても、分散支承や免震化支承、滑り支承など、支承の大変形を許容する柔構造を与えた設計が提案されている。ここでも、大型地震の揺動対策として、桁端の遊間をあらかじめ拡大させておくことが考慮される。
【0008】
ここで、鉄道橋りょう特有の事情として、鉄道車両はレールを与えた軌道に拘束されて橋りょうの上を移動するため、遊間を拡大したときの軌道や軌道部材への影響を考慮する必要がある。例えば、スラブ軌道、PCまくらぎ軌道、橋まくらぎ軌道等の従来軌道では、レール締結間隔が増加するため、レールの曲げ変形の増大、応力振幅増大による疲労寿命の低下など、鉄道車両の軌道上の走行安定性の確保を考慮する必要がある。また、レール締結装置の負担力の増加、その疲労寿命の低下など、軌道部材についても同様に考慮しておく必要がある。
【0009】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、巨大地震の地震動等に対して鉄道橋りょうを保護すべく桁端の遊間を拡大した柔構造を与えつつも鉄道車両の軌道上の走行安定性を確保できるような鉄道橋りょうの桁端構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による桁端構造は、軌道を与えられた鉄道橋りょうの桁端構造であって、桁同士の遊間を挟んで位置する軌道スラブ上にそれぞれ固定されたレールを接続する一対の接続部レールと、前記接続部レールの剛性を高めるように、前記接続レールの下部に沿って互いに締結された剛性ブロック部材と、前記遊間を挟んだ両側に与えられ、前記剛性ブロック部材をその下部から持ち上げ支持する制振支持装置と、を含み、前記制振支持装置のうち、前記遊間を挟んだ一方の第1の制振支持装置は前記剛性ブロック部材の側方及び長手方向への移動を規制し、他方の第2の制振支持装置は前記剛性ブロック部材の側方への移動のみ規制することを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、巨大地震の地震動等に対して鉄道橋りょうを保護すべく、あらかじめ桁端の遊間を拡大しておいて柔構造としても、軌道の剛性を確保できて、鉄道車両の軌道上の走行安定性を確保できる。一方、遊間を拡大することで、接続部レールの長さも大きくなり、地震時における軌道スラブ上に固定されたレールとの屈曲角を小さくできて、レールや締結部材等への負荷を低減できて、やはり、鉄道車両の軌道上の走行安定性を確保できる。
【0012】
上記した発明において、前記制振支持装置は、前記剛性ブロック部材の底面を載置され、前記剛性ブロック部材の鉛直下方向への荷重のみを負担する天板を有する鉛直支持部と、前記剛性ブロック部材の側面に立ち上がって、前記剛性ブロック部材の前記側方への移動を規制する第1の突出片と、を含み、更に、前記大1の制振支持装置は、前記剛性ブロック部材の前記側面から外側に突出する突出部の前後に立ち上がって、前記剛性ブロック部材の前記長手方向への移動を規制する第2の突出片を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、簡便に剛性ブロック部材の移動を規制し得て、鉄道車両の軌道上の走行安定性をより簡便に確保できる。
【0013】
上記した発明において、前記鉛直支持部は弾性部材の上に前記天板を配置してなることを特徴としてもよい。また、前記天板の表面には、低摩擦材を与えられていることを特徴としてもよい。更に、前記低摩擦材はフッ素系皮膜、又は、潤滑油のいずれかであり、金属製の前記天板の上に与えられることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、軌道部材等への負荷を低減できて、鉄道車両の軌道上の走行安定性を確保できるのである。
【0014】
上記した発明において、前記遊間は、橋桁とパラペット間、若しくは、橋桁同士の間であることを特徴としてもよい。また、前記遊間は、想定される地震に対する応答変位よりも大として設定されることを特徴としてもよい。更に、前記遊間は、1m以上であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、軌道部材等への負荷を低減できて、鉄道車両の軌道上の走行安定性を確保できるのである。
【0015】
上記した発明において、前記剛性ブロック部材はプレストレストコンクリートからなり、その上面に前記レールを複数箇所に分散して締結させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、軌道の剛性をより高く確保できて、鉄道車両の軌道上の走行安定性を確保できる。
【0016】
上記した発明において、一対の前記接続部レールに与えられた一対の前記剛性ブロック部材の間隔を維持するように、これらの間に亘って複数の梁を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、軌道の剛性をより高く確保できて、鉄道車両の軌道上の走行安定性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による鉄道橋りょうの桁端構造の一例を示す側面図である。
図2】桁端構造の要部の拡大正面図である。
図3】桁端構造の要部の斜視図である。
図4】桁端構造の要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による鉄道橋りょうの桁端構造の具体的な実施態様について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0019】
図1に示すように、鉄道橋りょうの桁端10は、例えば、高架橋の橋脚13上に構成される。第1橋桁11及び第2橋桁12のそれぞれは、端部を橋脚13上で向かい合わせるように配置される。第1橋桁11は、橋脚13の上面13aの端部の立ち上がりであるパラペット13aの上端に第1支承15を介して設置される。このとき、パラペット13a及び第1橋桁11は、第2橋桁12側の端面を揃えられるように配置される。また、第2橋桁12は、橋脚13のパラペット13aとは反対側の上面13aの上に第2支承14を介して設置される。
【0020】
ここで、第1橋桁11と第2橋桁12との間、及び、パラペット13aと第2橋桁12との間など、桁同士の間には温度による変位を吸収する隙間として遊間gが設けられている。ここでは、地震などによる第1橋桁11及び第2橋桁12の揺動時の大きな動きに対しても橋桁同士の衝突を避けるよう遊間gは広く設定されている。つまり、想定される地震に対する第1橋桁11と第2橋桁12との間の応答変位よりも遊間gを大として設定することが好ましい。遊間gは1m以上、例えば1.56mなどに設定し得る。また、第2支承14は、第2橋桁12の大きな動きを許容するように例えばゴム支承とされる。
【0021】
遊間gを挟んで位置する第1橋桁11及び第2橋桁12の上に軌道9が構成される。すなわち、第1橋桁11及び第2橋桁12のそれぞれの上面には、路盤4a及び4bが設置されており、その上面にてん充層5を介してそれぞれ軌道スラブ6a及び6bが配置される。また、軌道スラブ6a及び6b上に一対のレール1a及び1bがそれぞれ固定される。遊間gを跨いでレール1a及び1bを接続する一対のレールを接続部レール1とする。レール1a、接続部レール1、レール1bは連続した一体のレールである。なお、以後、レールの長手方向を前後方向、短手方向を左右方向と呼ぶことがある。
【0022】
図2を併せて参照すると、接続部レール1は、その下部に沿って延びる略直方体の剛性ブロック部材2と締結部材28を用いて複数箇所に分散して互いに締結されて長手方向(図面左右方向)の曲げに対する剛性を高められている。また、剛性ブロック部材2は、路盤4a及び4bの上に遊間gを挟んでそれぞれ配置された台座21a及び21bによって下部から持ち上げ支持される。剛性ブロック部材2は、一対の接続部レール1に対して一対で設けられ、剛性ブロック部材2同士の横方向の間隔を一定に維持するようこれらの間に亘って複数箇所を横梁29で互いに固定される。剛性ブロック部材2は、比較的軽く且つ高い剛性を有することが好ましく、例えば、プレストレストコンクリートを好適に用い得る。
【0023】
また、台座21a及び21bは制振支持装置として用いられ、例えば、ダクタイル鋳鉄などの弾性部材によって構成されて剛性ブロック部材2を制振支持し得る。台座21a又は21bのうち、一方の台座21aは、剛性ブロック部材2の側方及び長手方向への移動を規制する。また、他方の台座21bは、剛性ブロック部材2の側方への移動のみを規制する。これらについては後述する。台座21a及び21bのうち、遊間gに近い2つは、路盤4a及び4bの端部に近づけて配置されることで遊間gをより広くし得る。
【0024】
さらに、図3及び図4を併せて参照すると、台座21a及び21bは、路盤4a及び4bの上に固定される。台座21a及び21bは、左右方向外側から鉛直方向に立ち上がった突出片である規制部22を備えて、剛性ブロック部材2の外側面との間に緩衝材23を挟んで規制部22を配置させる。これによって、規制部22は、剛性ブロック部材2の外側方への移動を規制する。ここで台座21a及び21bは、剛性ブロック部材2に対して滑りやすい材料からなる天板24を挿入される。つまり、剛性ブロック部材2は天板24の上に載置されてその鉛直下方向への荷重のみを天板24で負担される。このように、天板24の配置された部分は剛性ブロック部材の鉛直支持部として機能する。例えば、天板24としてはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂製の板や、ステンレスなどの金属製の板を用い得る。また、金属製の板を用いた場合、天板24の表面に低摩擦材となるフッ素系皮膜又は潤滑油のいずれかを与えることも好適である。
【0025】
特に、ここでは、遊間gを挟んだ一方の路盤4a上において、剛性ブロック部材2の前後方向への移動を路盤4a上に固定された規制台座31によって規制するようにされる。なお、規制台座31もまた制振支持装置である。ここで、剛性ブロック部材2は、左右方向のうち外側へ突出する突出部2aを備える。一方、規制台座31は、前後方向の両側端部に鉛直に立ち上がる一対の突出片からなる規制部32を備えており、緩衝材33を介して突出部2aの前後の面を規制部材32で挟む。これによって突出部2aとともに剛性ブロック部材2の前後方向への移動が規制される。
【0026】
これに対し、遊間gを挟んだ他方の路盤4b上においては、規制台座を設けず、剛性ブロック部材2の左右方向への移動のみを台座21b及び天板24によって規制する。
【0027】
これによって、地震等で第1橋桁11及び第2橋桁12の間に変位が発生した場合、接続部レール1は剛性ブロック部材2とともに第1橋桁11(路盤4a)に対して移動を規制され、第2橋桁12に対しては長手方向に移動する。つまり、桁端10は遊間gの変位を吸収する柔構造となる。また、規制部22及び規制部32による規制の範囲内で緩衝材23及び緩衝材33によって接続部レール1などの軌道部材同士の移動を吸収するよう鉛直支持防振部材を用いられており、これによって軌道部材の負荷を軽減し得る。
【0028】
以上のような桁端10の構造から、軌道9のうち、特に遊間gを跨ぐ接続部レール1の剛性を剛性ブロック部材2で確保でき、遊間gを拡大した柔構造を桁端10に与えても鉄道車両の軌道9上の走行安定性を確保できる。これによって、巨大地震の地震動等に対しても第1橋桁11及び第2橋桁12の衝突を防止するよう遊間gを拡大して鉄道橋りょうを保護できる。
【0029】
なお、第1橋桁11及び第2橋桁12の間の横方向の変位については、台座21a及び21bの規制部22で規制される。さらに、剛性ブロック部材2同士の横方向の間隔も横梁29によって一定に維持される。つまり、横方向の変位に対しては剛構造とするとともに、レール間隔を一定に保つようにすることで、鉄道車両の軌道9上の走行安定性を確保できる。また、横方向への変位について剛構造としながらも、緩衝材23の変形によって軌道部材への負荷を低減できる。さらに、遊間gを広くすることによって、横方向の変位に対する軌道9の変形角度を小さくできる。これらによって、巨大地震の地震動等に対しても軌道9の角折れや目違いを防止し得て、鉄道車両の走行安定性の確保に寄与し得る。
【0030】
以上、本発明による代表的な実施例について述べたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0031】
1 接続部レール
2 剛性ブロック部材
4a、4b 路盤
6a、6b 軌道スラブ
9 軌道
10 桁端
21a、21b 台座(防振部材)
g 遊間

図1
図2
図3
図4