(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】画像処理装置、及び、液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20230307BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20230307BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/1347
G09G3/20 612U
G09G3/20 632G
G09G3/20 641K
G09G3/20 641Q
G09G3/20 642E
G09G3/20 680D
(21)【出願番号】P 2019232535
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520154173
【氏名又は名称】株式会社パソナナレッジパートナー
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中西 英行
(72)【発明者】
【氏名】菊池 克浩
(72)【発明者】
【氏名】西口 武伸
(72)【発明者】
【氏名】糸滿 辰夫
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/225137(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/062591(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0027101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液晶パネルと、前記第1液晶パネルと重ね合わせて配置される第2液晶パネルとを備える液晶表示装置の
、前記第1液晶パネルに出力される第1出力画像信号及び前記第2液晶パネルに出力される第2出力画像信号を生成する画像処理装置であって、
入力画像信号の階調値を補正したガンマ補正信号を生成する第1補正部と、
前記ガンマ補正信号が入力され、前記ガンマ補正信号の中から、周囲より明るい画像領域を第1高周波部分として検出する検出部と、
前記ガンマ補正信号及び前記検出部の検出結果が入力され、前記ガンマ補正信号における、前記第1高周波部分の階調値を下げる補正を行う第2補正部と
、
前記入力画像信号と前記第2出力画像信号とに基づいて、前記第1出力画像信号を生成する第4補正部とを有し、
前記第2出力画像信号は、前記第2補正部により補正された前記ガンマ補正信号に基づいて生成され、
前記入力画像信号及び前記第2出力画像信号は、前記第1液晶パネルに出力される
前記第1出力画像信号の生成に用いられ
、
前記第4補正部には、前記ガンマ補正信号が入力され、
前記第4補正部は、前記ガンマ補正信号を前記第2出力画像信号で除算することで、前記入力画像信号に基づく信号の画素値を補正するための補正値を算出する除算処理部と、前記補正値を前記入力画像信号に基づく信号に乗算することで、前記第1出力画像信号を生成する乗算器とを有する
画像処理装置。
【請求項2】
前記第2補正部は、前記第1高周波部分の階調値を、前記入力画像信号における前記第1高周波部分の階調値に補正する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記ガンマ補正信号が入力され、前記ガンマ補正信号に対してローパスフィルタ処理を行うことで処理信号を生成するローパスフィルタと、
前記ガンマ補正信号、及び、前記処理信号が入力され、前記ガンマ補正信号と前記処理信号とに基づいて、前記第1高周波部分を判定する判定部とを有する
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記ガンマ補正信号が示す第1階調値が、前記処理信号が示す第2階調値より高いか否かを複数の画素ごとに判定し、前記第1階調値が前記第2階調値より高い1以上の画素を前記第1高周波部分であると判定する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記第1高周波部分が所定の面積以下であるか否かを検出する第1検出部を有し、
前記第2補正部は、前記検出部が前記所定の面積以下であると判定した前記第1高周波部分に対して、階調値を下げる前記補正を行う
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1検出部は、前記ガンマ補正信号に基づく画像を形成する複数の画素のうち第1閾値以上の階調値の画素ごとに、当該画素の上下M1(M1は1以上の整数)個、及び、左右N1(N1は1以上の整数)個の画素のそれぞれにおいて、階調値が前記第1閾値より低い第2閾値以下である画素の数をカウントし、カウントした画素数の割合が第1所定割合以上である場合、当該画素を前記第2補正部による補正の対象の画素として検出する
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1検出部は、カウントした前記画素数が前記第1所定割合以上であるが否かを示す2値化信号を前記第1閾値以上の階調値の画素ごとに出力し、
前記2値化信号に基づく画像を形成する前記複数の画素ごとに、当該画素の上下M2(M2は1以上の整数)個、及び、左右N2(N2は1以上の整数)個の画素のそれぞれにおいて、階調値が第3閾値以下である画素の数をカウントし、カウントした画素数の割合が第2所定割合以上である場合、当該画素を前記第2補正部による補正の対象の画素として検出する第2検出部をさらに有する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第2補正部により補正された前記ガンマ補正信号の中から、周囲より明るい画像領域を第2高周波部分として検出する第2検出部と、
前記第2高周波部分の階調値を下げる補正を行う第3補正部とをさらに備え、
前記第2検出部は、前記第2補正部により補正された信号に基づく画像を形成する前記複数の画素ごとに、当該画素の上下M2(M2は1以上の整数)個、及び、左右N2(N2は1以上の整数)個の画素のうち階調値が第3閾値以下である画素の数をカウントし、カウントした画素の割合が第2所定割合以上である場合、当該画素を前記第3補正部による補正の対象の画素として検出し、
前記第3閾値は、前記第2閾値より小さい値であり、
前記第2出力画像信号は、前記第3補正部により補正された信号に基づいて生成される
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第2補正部からの信号が入力され、当該信号に対して平滑化処理を行い前記第2出力画像信号を生成する視差低減部をさらに備える
請求項1~7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第3補正部からの信号が入力され、当該信号に対して平滑化処理を行い前記第2出力画像信号を生成する視差低減部をさらに備える
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の
前記画像処理装置と、
前記画像処理装置により生成された前記第2出力画像信号が入力される
前記第2液晶パネルとを備える
液晶表示装置。
【請求項12】
さらに、カラー画像を表示する前記第1液晶パネルを備え、
前記第2液晶パネルは、前記第1液晶パネルの背面側に配置され、モノクロ画像を表示する
請求項
11に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、及び、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを用いた液晶表示装置は、低消費電力で画像を表示することができるため、テレビ又はモニタ等のディスプレイ等として利用されている。しかしながら、液晶表示装置は、有機EL(Electro Luminescence)表示装置と比べてコントラスト比が低い。
【0003】
そこで、複数の液晶パネルを重ね合わせることで、有機EL表示装置に匹敵する又はそれ以上のコントラスト比で画像を表示することができる液晶表示装置が提案されている。例えば、特許文献1には、カラー画像を表示する第1の液晶パネルとモノクロ画像を表示する第2の液晶パネルとを重ね合わせることで、コントラスト比を向上させることができる画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている液晶表示装置は、所定の表示パターンの画像を表示する場合、画質が低下することがある。例えば、特許文献1に開示されている液晶表示装置は、黒背景に文字などの明るい部分がある表示パターンの画像を表示する場合、ハロー、2重像などが見えることにより画質が低下することがある。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、画質の低下を抑制することができる画像表示装置、及び、液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る画像処理装置は、第1液晶パネルと、前記第1液晶パネルと重ね合わせて配置される第2液晶パネルとを備える液晶表示装置の前記第2液晶パネルに出力される第2出力画像信号を生成する画像処理装置であって、入力画像信号の階調値を補正したガンマ補正信号を生成する第1補正部と、前記ガンマ補正信号が入力され、前記ガンマ補正信号の中から、周囲より明るい画像領域を第1高周波部分として検出する検出部と、前記ガンマ補正信号及び前記検出部の検出結果が入力され、前記ガンマ補正信号における、前記第1高周波部分の階調値を下げる補正を行う第2補正部とを有し、前記第2出力画像信号は、前記第2補正部により補正された前記ガンマ補正信号に基づいて生成される。
【0008】
本開示の一態様に係る液晶表示装置は、上記の画像処理装置と、前記画像処理装置により生成された前記第2出力画像信号が入力される第2液晶パネルとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、画質の低下を抑制することができる画像処理装置、及び、液晶表示装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る液晶表示装置の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る検出部の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る検出部の処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る液晶表示装置で生成される各種画像を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係る液晶表示装置において解決する課題を説明するための第1図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る液晶表示装置において解決する課題を説明するための第2図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る画像処理部の一部の機能構成を示すブロック図である。
【
図12A】
図12Aは、実施の形態2に係る第1検出部の処理を説明するための第1図である。
【
図12B】
図12Bは、実施の形態2に係る第1検出部の処理を説明するための第2図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係る第2検出部の処理を説明するための図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る第2液晶パネルが表示する画像の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2に係る液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係る液晶表示装置において解決する課題を説明するための図である。
【
図17】
図17は、実施の形態3に係る画像処理部の一部の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施の形態の説明に先立ち、本開示の基礎となった知見について説明する。
【0012】
複数の液晶パネル(例えば、第1液晶パネル及び第2液晶パネル)を重ね合わせる構成を有する液晶表示装置において、第1液晶パネル及び第2液晶パネルのギャップによる視差を抑制するために、視差低減処理が行われる。視差低減処理は、例えば、第2液晶パネルに出力される信号にMAXフィルタ処理などのローパスフィルタ処理を行うことである。これにより、視差による画質の低下を抑制することができる。
【0013】
このような液晶表示装置において、黒背景に文字などの明るい部分がある表示パターンの画像を表示する場合、ハロー、2重像などが視認されることにより画質が低下することがある。明るい部分の輝度が高輝度であると、人の目のコントラスト感度の特性から周囲の暗い部分が見えにくくなるため、特に、明るい部分の輝度が低いほどハロー、2重像などが顕著に視認される。
【0014】
そこで、視差低減処理において、フィルタサイズを小さくすることが検討されている。フィルタサイズを小さくすることで、ハロー、2重像などが視認されることを抑制することができる。
【0015】
しかしながら、視差低減処理において、フィルタサイズを小さくすると、画像を斜め方向からみたときに文字などの表示パターンの端部の一部が暗く見える画欠けが発生することがある。画欠けの発生は、視差低減処理において、フィルタサイズを大きくすることで抑制することが可能である。
【0016】
このように、従来の液晶表示装置は、ハローなどの抑制及び画欠けの抑制を両立することが困難であった。そこで、本願発明者らは、ハローなどの抑制及び画欠けの抑制を両立すること、つまり画質の低下の抑制することなどについて鋭意検討を行い、以下に説明する画像処理装置、及び、液晶表示装置を創案した。
【0017】
以下、実施の形態等について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、構成要素の接続形態、ステップ、及び、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0018】
また、本明細書において、直交などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0019】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置10について、
図1~
図8を参照しながら説明する。
【0021】
[1-1.液晶表示装置の構成]
まず、本実施の形態に係る液晶表示装置10の全体の概略構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置10の分解斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る液晶表示装置10の概略構成を示す図である。
図2では、液晶表示装置10における第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30のドライバの構成を示す。
【0022】
図1に示すように、液晶表示装置10は、観察者に近い位置(前側)に配置された第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20よりも観察者から遠い位置(後側)に配置された第2液晶パネル30と、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30を貼り合わせる接着層40と、第2液晶パネル30の背面側(後側)に配置されたバックライト50と、観察者側から第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30を覆うフロントシャーシ60とを備える。
【0023】
接着層40で貼り合わされた第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30は、液晶表示部10a(液晶モジュール)を構成し、バックライト50とともに、中間フレーム(図示せず)及びリアフレーム(図示せず)等に固定されている。液晶表示部10aは、第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20の背面側において当該第1液晶パネル20と重ね合わせて配置される第2液晶パネル30とを有する表示部の一例である。
【0024】
第1液晶パネル20は、メインパネルであって、ユーザが視認する画像を表示する。本実施の形態において、第1液晶パネル20は、カラー画像を表示する。一方、第2液晶パネル30は、第1液晶パネル20の背面側に配置されるサブパネルである。本実施の形態において、第2液晶パネル30は、第1液晶パネル20に表示されるカラー画像に対応した画像パターンのモノクロ画像(白黒画像)を、そのカラー画像に同期させて表示する。
【0025】
第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の液晶駆動方式は、例えばいずれもIPS方式又はFFS方式等の横電界方式であってもよい。また、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30はいずれも、ノーマリーブラックであり、電圧印加時に白表示で、電圧無印加時に黒表示となる。
【0026】
なお、接着層40の厚みは、例えば、0.5mm以下である。接着層40の厚みを0.5mm以下とすることで、上記で説明した視差が発生することを抑制することができる。
【0027】
図2に示すように、第1液晶パネル20には、入力画像信号に応じたカラー画像を第1画像表示領域20aに表示するために、第1ソースドライバ21及び第1ゲートドライバ22が設けられている。
【0028】
一方、第2液晶パネル30には、入力画像信号に応じたモノクロ画像を第2画像表示領域30aに表示するために、第2ソースドライバ31及び第2ゲートドライバ32が設けられている。
【0029】
図1に示すように、バックライト50は、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30に向けて光を照射する面光源である。バックライト50は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を光源とするLEDバックライトであるが、これに限るものではない。また、本実施の形態において、バックライト50は、直下型であるが、エッジ型であってもよい。なお、バックライト50は、光源からの光を拡散させるために拡散板(拡散シート)等の光学部材を有していてもよい。
【0030】
フロントシャーシ60は、観察者側(前方側)に配置されるフロントフレームである。フロントシャーシ60は、例えば矩形状の枠体である。フロントシャーシ60は、鋼板又はアルミニウム板等の剛性の高い金属材料で構成されているとよいが、樹脂材料で構成されていてもよい。
【0031】
また、
図2に示すように、液晶表示装置10は、第1液晶パネル20の第1ソースドライバ21及び第1ゲートドライバ22を制御する第1タイミングコントローラ71と、第2液晶パネル30の第2ソースドライバ31及び第2ゲートドライバ32を制御する第2タイミングコントローラ72と、第1タイミングコントローラ71及び第2タイミングコントローラ72に画像データを出力する画像処理部80とを備える。
【0032】
画像処理部80は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力画像信号Dataを受信し、所定の画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ71に第1出力画像信号DAT1を出力し、第2タイミングコントローラ72に第2出力画像信号DAT2を出力する。また、画像処理部80は、第1タイミングコントローラ71及び第2タイミングコントローラ72に同期信号等の制御信号(図示せず)を出力する。第1出力画像信号DAT1は、カラー表示用の画像データ(カラー画像データ)であり、第2出力画像信号DAT2は、モノクロ表示用の画像データである。また、画像処理部80は、画像処理装置の一例である。
【0033】
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置10では、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の2つの表示パネルを重ね合わせて画像を表示しているので、黒を引き締めることができる。これにより、高コントラスト比の画像を表示することができる。また、液晶表示装置10は、例えばHDR(High Dynamic Range)対応テレビであり、バックライト50として、ローカルディミング対応の直下型LEDバックライトを用いてもよい。この場合、さらに高コントラスト比かつ高画質のカラー画像を表示することができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、第1液晶パネル20が第1画像表示領域20aにカラー画像を表示し、第2液晶パネル30が第2画像表示領域30aに白黒画像を表示する構成としたが、これに限らない。例えば、第1液晶パネル20が第1画像表示領域20aに白黒画像を表示し、第2液晶パネル30が第2画像表示領域30aにカラー画像を表示する構成であってもよい。また、例えば、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30がともにカラー画像又は白黒画像を表示する構成であってもよい。
【0035】
ここで、液晶表示装置10の詳細な構成を、
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の拡大断面図である。
【0036】
まず、第1液晶パネル20について説明する。
図3に示すように、第1液晶パネル20は、一対の第1透明基板23と、第1液晶層24と、一対の第1偏光板25とを有する。
【0037】
一対の第1透明基板23の各々は、例えばガラス基板であり、互いに対面するように配置されている。本実施の形態において、一対の第1透明基板23のうち第2液晶パネル30側の位置する第1透明基板23がTFT(Thin Film Transistor)等を形成するためのTFT基板である第1TFT基板23aであり、一対の第1透明基板23のうち第2液晶パネル30側とは反対側に位置する第1透明基板23が第1対向基板23bである。
【0038】
第1TFT基板23aの第1液晶層24側の面には、TFT又は配線等が設けられた第1TFT層26が形成されている。また、第1TFT層26の平坦化層上には、第1液晶層24に電圧を印加するための画素電極が形成されている。本実施の形態では第1液晶パネル20がIPS方式により駆動されるので、第1TFT基板23aには、画素電極だけではなく、対向電極も形成されている。TFT、画素電極及び対向電極等は、画素それぞれに形成されている。また、画素電極及び対向電極を覆うように配向膜が形成されている。
【0039】
第1対向基板23bは、カラーフィルタ27bが形成されたカラーフィルタ基板(CF基板)であり、第1対向基板23bの第1液晶層24側の面には、第1ブラックマトリクス27a及びカラーフィルタ27bを有する第1画素形成層27が形成されている。
【0040】
第1液晶層24は、一対の第1透明基板23の間に封止されている。第1液晶層24の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。第1液晶層24の厚さは、例えば、2.5μm~6μmであるが、これに限るものではない。
【0041】
第1画素形成層27は、一対の第1透明基板23の間に配置されている。つまり、第1ブラックマトリクス27a及びカラーフィルタ27bは、一対の第1透明基板23の間に配置されている。第1ブラックマトリクス27aには、画素を構成するマトリクス状の複数の第1開口部が形成されている。つまり、複数の第1開口部の各々は、複数の画素の各々に対応している。第1ブラックマトリクス27aは、例えば、各第1開口部の平面視形状が矩形状となるように、格子状に形成されている。
【0042】
カラーフィルタ27bは、第1ブラックマトリクス27aの第1開口部の内部に形成されている。カラーフィルタ27bは、例えば、赤色用のカラーフィルタ、緑色用のカラーフィルタ、及び、青色用のカラーフィルタによって構成されている。各色のカラーフィルタは、各画素に対応している。
【0043】
一対の第1偏光板25は、樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、一対の第1透明基板23を挟むように配置されている。一対の第1偏光板25は、偏光方向が互いに直交するように配置されている。つまり、一対の第1偏光板25は、クロスニコルで配置されている。一対の第1偏光板25の各々の厚さは、例えば、0.05mm~0.5mmであるが、これに限るものではない。
【0044】
次に、第2液晶パネル30について説明する。第2液晶パネル30は、一対の第2透明基板33と、第2液晶層34と、一対の第2偏光板35とを有する。
【0045】
一対の第2透明基板33の各々は、例えばガラス基板であり、互いに対面するように配置されている。本実施の形態において、一対の第2透明基板33のうちバックライト50側に位置する第2透明基板33が第2TFT基板33aであり、一対の第2透明基板33のうち第1液晶パネル20側に位置する第2透明基板33が第2対向基板33bである。第2TFT基板33aは、第1液晶パネル20の第1TFT基板23aと同様の構成である。したがって、第2TFT基板33aの第2液晶層34側の面には第2TFT層36が形成されており、第2TFT層36の平坦化層上には画素それぞれに画素電極及び対向電極が形成されている。
【0046】
第2対向基板33bの第2液晶層34側の面には、第2ブラックマトリクス37aを有する第2画素形成層37が形成されている。
【0047】
第2液晶層34は、一対の第2透明基板33の間に封止されている。第2液晶層34の厚さは、例えば、2.5μm~6μmであるが、これに限るものではない。
【0048】
第2画素形成層37は、一対の第2透明基板33の間に配置されている。つまり、第2ブラックマトリクス37aは、一対の第2透明基板33の間に配置されている。第2ブラックマトリクス37aには、画素を構成するマトリクス状の複数の第2開口部が形成されている。つまり、複数の第2開口部の各々は、複数の画素の各々に対応している。第2ブラックマトリクス37aは、例えば、各第2開口部の平面視形状が矩形状となるように、格子状に形成されている。
【0049】
一対の第2偏光板35は、樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、一対の第2透明基板33を挟むように配置されている。一対の第2偏光板35は、クロスニコルで配置されている。一対の第2偏光板35の各々の厚さは、例えば、0.05mm~0.5mmであるが、これに限るものではない。
【0050】
次に、画像処理部80の構成について、さらに
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る画像処理部80の機能構成を示すブロック図である。
【0051】
図4に示すように、画像処理部80は、入力画像信号Dataに基づいて、第1液晶パネル20に出力する第1出力画像信号DAT1と、第2液晶パネル30に出力する第2出力画像信号DAT2とを生成する。第1出力画像信号DAT1は、例えば、当該第1出力画像信号DAT1に対して追加の信号処理が行われることなく、第1液晶パネル20に入力される。第2出力画像信号DAT2は、例えば、当該第2出力画像信号DAT2に対して追加の信号処理が行われることなく、第2液晶パネル30に入力される。
【0052】
画像処理部80は、第1ガンマ補正部81と、白黒画像生成部91と、第2ガンマ補正部92と、検出部93と、変換部94と、視差低減部95と、補正部100とを有する。なお、白黒画像生成部91と、第2ガンマ補正部92と、検出部93と、変換部94と、視差低減部95とで、第2液晶パネル30に出力するための第2出力画像信号DAT2を生成するSub側画像処理部90が構成される。なお、画像処理部80は、少なくともSub側画像処理部90を有していればよい。なお、
図4以降では、第1タイミングコントローラ71及び第2タイミングコントローラ72等の図示を便宜上省略している。
【0053】
第1ガンマ補正部81及び第2ガンマ補正部92は、入力される信号に対して所定の階調変換を行う。第1ガンマ補正部81は、第1出力画像信号DAT1を生成するための階調変換を行う。第1ガンマ補正部81は、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の合成輝度の特性が所望のガンマになるように入力画像信号Dataの階調変換を行う。第1ガンマ補正部81は、例えば、第1液晶パネル20のガンマ特性に応じて、入力画像信号Dataの階調値を補正する。なお、以降において、第1ガンマ補正部81が階調変換した信号を第1ガンマ補正信号とも記載する。また、第1ガンマ補正部81が階調変換した信号は、入力画像信号Dataに基づく信号の一例である。
【0054】
また、第2ガンマ補正部92は、第2出力画像信号DAT2を生成するための階調変換を行う。第2ガンマ補正部92は、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の合成輝度の特性が所望のガンマになるように、白黒画像生成部91から出力される白黒画像データの階調変換を行う。第2ガンマ補正部92は、例えば、第2液晶パネル30のガンマ特性に応じて、入力画像信号Dataの階調値(例えば、白黒画像データの階調値)を補正する。なお、以降において、第2ガンマ補正部92が階調変換した信号を第2ガンマ補正信号とも記載する。第2ガンマ補正信号は、ガンマ補正信号の一例である。
【0055】
入力画像信号Dataの入力階調(1で正規化した階調値)をD、第1液晶パネル20のガンマ値をrm、第2液晶パネル30のガンマ値をrs、第1ガンマ補正部81のガンマ値をr1、第2ガンマ補正部92のガンマ値をr2とすると、合成輝度Lは、以下の式1で算出される。
【0056】
L=(Dr1)rm×(Dr2)rs=Dr1×rm+r2×rs (式1)
【0057】
第1ガンマ補正部81及び第2ガンマ補正部92は、例えば、第1液晶パネル20のガンマ値rm、及び、第2液晶パネル30のガンマ値rsが2.2である場合、合成輝度Lのガンマ値が2.2になるように、つまり以下の式2を満たすように、階調変換を行う。
【0058】
r1+r2=1 (式2)
【0059】
また、第1ガンマ補正部81及び第2ガンマ補正部92は、例えば、階調変換特性に基づく変換テーブル(ルックアップテーブル)を有しており、当該変換テーブルを用いてカラー画像データ及び白黒画像データに対応する階調値を決定してもよい。変換テーブルは、例えば、画像処理部80が有する記憶部(図示しない)に記憶されている。
【0060】
なお、画像処理部80は、少なくとも第2ガンマ補正部92を有していればよい。第2ガンマ補正部92は、第1補正部の一例である。第1補正部は、入力画像信号Dataと予め決定された補正データとに基づいて、入力画像信号Dataの階調値を補正する。第1補正部は、第2液晶パネル30のガンマ特性に応じて、入力画像信号Dataの階調値を当該階調値に対応した階調値に補正する。第1補正部は、例えば、入力画像信号Dataの階調値をガンマ補正データによって補正する。ガンマ補正データは、予め取得され、例えば、画像処理部80が有する記憶部(図示しない)に記憶されている。第1補正部は、複数の画素のそれぞれにおいて、上記の補正を行う。
【0061】
白黒画像生成部91は、入力画像信号Data(カラー画像信号)に基づいて、第2液晶パネル30が表示する白黒画像(モノクロ画像)に対応する白黒画像データを生成する。白黒画像生成部91は、例えば、入力画像信号Dataを取得すると、入力画像信号Dataの色情報を示す各色の値(例えば、RGB値:[R値、G値、B値])のうち最大値(R値、G値又はB値)を用いて白黒画像に対応する白黒画像データを生成する。具体的には、白黒画像生成部91は、各画素に対応するRGB値において、当該RGB値のうち最大値をその画素の値に設定することにより白黒画像データを生成する。
【0062】
検出部93は、第2ガンマ補正信号の中から、周囲より明るい小面積の画像領域を検出する。検出部93は、第2ガンマ補正信号が示す画像における高周波信号のうち高輝度側を検出するともいえる。検出部93は、例えば、当該画像において、周囲より明るい高周波部分を検出する。これにより、検出部93は、黒背景に文字などの明るい部分がある表示パターンの画像において、当該明るい部分を検出することができる。なお、高周波部分とは、例えば、画像内において、高い空間周波数成分を有する領域を示す。検出部93は、第1検出部の一例である。また、画像領域は、1以上の画素により形成される領域であり、以降において表示部分とも記載する。なお、小面積とは、例えば、数10画素×数10画素程度の面積である。
【0063】
ここで、検出部93について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る検出部93の機能構成を示すブロック図である。
図6は、本実施の形態に係る検出部93の処理を説明するための図である。具体的には、
図6の(a)は、LPF(ローパスフィルタ)93aに入力される第2ガンマ補正信号、及び、LPF93aから出力されるLPF処理信号の一例を示す図である。また、
図6の(b)は、判定部93bが出力する判定結果の一例を示す図である。
【0064】
図5に示すように、検出部93は、LPF93aと、判定部93bとを有する。
【0065】
LPF93aは、第2ガンマ補正信号に対してローパスフィルタ処理を行う。
図6の(a)に示すように、LPF93aは、第2ガンマ補正信号にローパスフィルタ処理を行うことで、LPF処理信号を生成する。なお、LPF93aのフィルタサイズは、特に限定されない。なお、LPF処理信号は、処理信号の一例である。
【0066】
判定部93bは、第2ガンマ補正信号とLPF処理信号とを用いて、第2ガンマ補正信号の中から変換部94で階調値を変換する対象となる高周波部分を判定する。判定部93bは、画素ごとに、第2ガンマ補正信号が示す第1階調値と、LPF処理信号が示す第2階調値とを比較することで、当該画素が高周波部分に含まれるか否かを判定する。本実施の形態では、判定部93bは、第1階調値が第2階調値より大きい場合、当該画素が周囲より高輝度側の高周波部分に含まれると判定する。判定結果は、画素ごとに高周波部分に含まれるか否かを示す情報が含まれる。
【0067】
図6の(b)に示すように、判定結果は、第1階調値が第2階調値より大きい領域のみ、高レベルの階調値となるような結果となる。これにより、判定部93bは、第2ガンマ補正信号が示すSubガンマ画像(後述する
図8の(b)を参照)において、周囲より明るい画像領域を高周波部分として判定することができる。
【0068】
図4を再び参照して、変換部94は、判定部93bの判定結果を用いて、第2ガンマ補正信号の階調値を下げる変換を行う。具体的には、変換部94は、第2ガンマ補正信号が示す画像において、検出部93が検出した高周波部分(例えば、文字などの表示部分)に対応する部分の階調値を下げる変換を行う。つまり、変換部94は、第2液晶パネル30が表示する画像において、高周波部分の明るさを下げるように階調値の変換を行う。これにより、第2液晶パネル30が表示する画像の高周波部分の明るさが、第2ガンマ補正信号に基づく画像の高周波部分の明るさより暗くなる。
【0069】
変換部94は、例えば、以下の式3を用いて、第2ガンマ補正信号の高周波部分の階調値を変換した変換値(階調値)を算出する。
【0070】
変換値=(第2ガンマ補正信号の階調値)1/r2 (式3)
【0071】
例えば、第2ガンマ補正部92のガンマ値r2が0.5である場合、変換値は以下の式4により算出される。
【0072】
変換値=(第2ガンマ補正信号の階調値)2 (式4)
【0073】
液晶表示装置10において、入力画像信号Dataが示す画像の輝度が再現できる第2出力画像信号DAT2の最小値は、第1出力画像信号DAT1の階調値が1のときである。このとき、第1出力画像信号DAT1×第2出力画像信号DAT2=入力画像信号Dataの条件から、第2出力画像信号DAT2の階調値は、入力画像信号Dataの階調値と同じになる。つまり、第2出力画像信号DAT2=入力画像信号Dataであるとき、入力画像信号Dataに基づく画像を実現可能な範囲内において、第2出力画像信号DAT2の階調値が最小値となる。変換部94は、第2出力画像信号DAT2の高周波部分の階調値を、入力画像信号Dataにおける当該高周波部分に対応する部分の階調値に変換(補正)するともいえる。
【0074】
上記のように、変換部94は、第2液晶パネル30が表示する第2画像の表示部分の明るさを下げることで、第2液晶パネル30の表示を視認されにくくすることができるので、ハロー、2重像などが発生することを抑制することができる。また、液晶パネルがIPS(In Plane Switching)パネルである場合、低階調部を斜め視したときに色付き(表示色が青くなる又は赤くなる現象)の問題が発生する。2枚以上の液晶パネルを重ねて用いる液晶表示装置においては、この色付きが顕著に見える。本実施の形態に係る液晶表示装置10は、上記の処理によりで第2出力画像信号DAT2のレベル(階調値)を抑え、かつ、第1出力画像信号DAT1のレベル(階調値)を大きくすることにより、低階調部を斜め視したときの色付きも抑制することができる。特に、液晶パネルがIPSパネルである場合に、色付きが大幅に改善される。なお、変換部94は、第2補正部の一例である。
【0075】
なお、このとき、第2液晶パネル30が表示する第2画像の表示部分は、第1液晶パネル20が表示する第1画像の表示部分より暗くなる。言い換えると、変換部94は、例えば、第1液晶パネル20が表示する第1画像(例えば、後述する
図7の(e)に示すMain画像)の表示部分が、第2液晶パネル30が表示する第2画像の表示部分より明るくなるように当該第2画像の表示部分の明るさを変換する。
【0076】
視差低減部95は、変換部94が出力した階調補正された第2ガンマ補正信号が入力され、当該階調補正された入力画像信号Dataに対して平滑化処理を行い、第2出力画像信号DAT2を生成する。視差低減部95は、第1出力画像信号DAT1に基づく第1画像と、第2出力画像信号DAT2に基づく第2画像との視差を低減する補正を行う。視差低減部95は、階調変換された第2ガンマ補正信号を取得すると、当該第2ガンマ補正信号に対して高輝度領域を拡張する拡張フィルタ処理を行う。拡張フィルタ処理は、例えば、第2液晶パネル30の各画素(注目画素)について、所定のフィルタサイズ(例えば、数画素×数画素)内の輝度の最大値をその画素(注目画素)の輝度に設定する処理である。拡張フィルタ処理は、複数の画素のそれぞれにおいて実行される。上記の拡張フィルタ処理により、全体的に高輝度領域(例えば白色領域)が拡張する。これにより、液晶表示装置10を斜め方向から見たときに、視差により画像の輪郭が2重に見える2重像が発生するなど、視差が発生して画像品位が低下することを抑制することができる。なお、フィルタサイズは、特に限定されず、またフィルタ形状は、正方形に限定されず円形などでもよい。
【0077】
視差低減部95は、例えば、いわゆるMAXフィルタ(最大値フィルタ)又はガウシアンフィルタなどのローパスフィルタにより実現される。つまり、視差低減部95は、ローパスフィルタ処理を行う。また、ローパスフィルタは、フィルタサイズを可変できるものであるとよい。視差低減部95は、第1液晶パネル20と第2液晶パネル30との間隔に応じて適切なフィルタサイズを決定することで、当該間隔に応じた視差低減を行うことができる。なお、視差低減部95が出力する信号は、第2出力画像信号DAT2である。第2出力画像信号DAT2は、変換部94により補正された第2ガンマ補正信号に基づいて生成される信号である。
【0078】
補正部100は、少なくとも視差低減部95から出力された第2出力画像信号DAT2が入力され、少なくとも第2出力画像信号DAT2に基づいて第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1を生成する。補正部100は、第2出力画像信号DAT2を用いて、第1ガンマ補正部81により階調補正された入力画像信号Dataである第1ガンマ補正信号を補正することで、第1出力画像信号DAT1を生成する。本実施の形態では、補正部100は、第2出力画像信号DAT2と第2ガンマ補正部92により階調補正された入力画像信号Dataとが入力され、第2出力画像信号DAT2と階調補正された入力画像信号Dataとに基づいて第1出力画像信号DAT1を生成する。
【0079】
補正部100は、第1出力画像信号DAT1に基づいて第1液晶パネル20が表示する第1画像と、第2出力画像信号DAT2に基づいて第2液晶パネル30が表示する第2画像との合成画像が、入力画像信号Dataに基づく画像となるように、第1ガンマ補正部81からの第1ガンマ補正信号の各画素それぞれの階調値を補正することで、第1出力画像信号DAT1を生成する。本実施の形態では、補正部100は、第2ガンマ補正部92から出力された第2ガンマ補正信号と、視差低減部95から出力された第2出力画像信号DAT2とを用いて、第1ガンマ補正部81から出力された第1ガンマ補正信号(カラー画像データ)を補正する。このように、補正部100は、変換部94及び視差低減部95によって変化した信号の変化分を第1液晶パネル20側の信号に帰還する処理を行う。第1出力画像信号DAT1×第2出力画像信号DAT2=入力画像信号Dataが維持されることで、合成輝度Lは、式1によりL=D2.2に維持される。
【0080】
補正部100は、除算処理部101と、乗算器102とを有する。
【0081】
除算処理部101は、第2ガンマ補正信号と第2出力画像信号DAT2とに基づいて、第1ガンマ補正信号の画素ごとの階調値を補正するための補正値を算出する。除算処理部101は、例えば、第2ガンマ補正信号を第2出力画像信号DAT2で除算することで補正値を算出するが、ルックアップテーブルを参照して補正値を取得してもよい。
【0082】
乗算器102は、取得した補正値に基づいて、第1ガンマ補正部81からの第1ガンマ補正信号の階調値を補正する。具体的には、乗算器102は、第1ガンマ補正信号に補正値を乗算して得られた階調値を第1出力画像信号DAT1の階調値とする。これにより、第1出力画像信号DAT1は、変換部94及び視差低減部95の処理を反映した階調値の信号となる。
【0083】
上記のような画像処理部80が備える各構成要素は、例えば、それぞれが専用回路で構成されるが、これに限定されず、プロセッサなどで構成されてもよい。
【0084】
[1-2.液晶表示装置の動作]
次に、上記の液晶表示装置10の動作について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図7は、本実施の形態に係る液晶表示装置10の動作を示すフローチャートである。
図7に示すステップS11~S17は、画像処理部80の動作を示す。また、
図8は、本実施の形態に係る液晶表示装置10で生成される各種画像を模式的に示す図である。
【0085】
図7に示すように、まず、液晶表示装置10は、入力画像信号Dataを取得する(S11)。具体的には、画像処理部80は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力画像信号Dataを受信することで、当該入力画像信号Dataを取得する。なお、入力画像信号Dataがカラー画像を表示するための画像信号であるとする。例えば、液晶表示装置10は、
図8の(a)に示す入力画像を表示するための入力画像信号Dataを取得する。入力画像は、「A」の部分が周囲より明るい画像領域(表示部分)である。
【0086】
次に、画像処理部80は、入力画像信号Dataに対してガンマ補正を行うことで、第1ガンマ補正信号及び第2ガンマ補正信号を生成する(S12)。具体的には、第1ガンマ補正部81は、入力画像信号Dataに対して階調変換を行うことで、第1液晶パネル20のガンマ特性に応じた第1ガンマ補正信号を生成する。第1ガンマ補正部81は、生成した第1ガンマ補正信号を補正部100に出力する。
【0087】
第2ガンマ補正部92は、白黒画像生成部91が入力画像信号Dataに基づいて生成した白黒画像データに対して階調変換を行うことで、第2液晶パネル30のガンマ特性に応じた第2ガンマ補正信号を生成する。第2ガンマ補正部92は、例えば、
図8の(b)に示すSubガンマ画像を示す第2ガンマ補正信号を生成する。そして、第2ガンマ補正部92は、生成した第2ガンマ補正信号を検出部93、変換部94及び補正部100に出力する。
【0088】
次に、検出部93のLPF93aは、第2ガンマ補正信号に対して、ローパスフィルタ処理を行う(S13)。LPF93aは、例えば、ローパスフィルタ処理を行うことで、
図8の(c)に示すLPF処理画像を示すLPF処理信号を生成する。そして、LPF93aは、生成したLPF処理信号を判定部93bに出力する。
【0089】
次に、判定部93bは、第2ガンマ補正信号とLPF処理信号とに基づいて、第2ガンマ補正信号の中に周囲より高輝度側の高周波部分(以降において、単に高周波部分とも記載する)があるか否かを判定する(S14)。判定部93bは、画素ごとに、第2ガンマ補正信号が示す第1階調値が、LPF処理信号が示す第2階調値より大きいか否かを判定し、第1階調値が第2階調値より大きい場合、当該画素が高周波部分に含まれると判定する。判定部93bは、画素ごとに上記の判定を繰り返すことで、Subガンマ画像における高周波部分を判定する。例えば、
図8の(b)を例に説明すると、判定部93bは、Subガンマ画像に示す「A」の部分を高周波部分であると判定する。
【0090】
そして、判定部93bは、高周波部分があるか否かを判定した判定結果を示す判定信号を変換部94に出力する。判定信号は、例えば、高周波部分がHighレベルであり、その以外の部分がLowレベルである信号であってもよい。つまり、判定信号は、2値化された信号(2値化信号)であってもよい。例えば、判定部93bは、
図8の(d)に示す判定結果に基づく画像を示す判定信号を生成する。また、判定部93bは、高周波成分がない場合、高周波成分がないことを示す判定信号を変換部94に出力する。判定信号は、検出結果の一例である。
【0091】
次に、変換部94は、高周波部分があることを示す判定信号を取得すると(S14でYes)、第2ガンマ補正信号における当該高周波部分に相当する部分の階調値を階調変換する(S15)。具体的には、変換部94は、当該高周波部分に相当する部分の第2ガンマ補正信号の階調値を下げるように階調変換する。変換部94は、例えば、当該高周波部分に相当する部分の第2ガンマ補正信号の階調値を入力画像信号Dataが示す階調値に変換する。変換部94は、例えば、階調値の変換を行うことで、
図8の(e)に示すレベル変換後画像を示す階調変換後の第2ガンマ補正信号を生成する。
図8の(b)及び
図8の(e)に示すように、高周波部分である「A」部分の明るさは、Subガンマ画像よりレベル変換後画像の方が暗くなっている。例えば、
図8の(e)に示す高周波部分の階調値は、
図8の(a)に示す高周波部分の階調値と同じであってもよい。そして、変換部94は、階調変換された第2ガンマ補正信号を視差低減部95に出力する。
【0092】
また、変換部94は、高周波成分がないことを示す判定結果を取得すると(S14でNo)、第2ガンマ補正信号の階調変換を行わずにステップS16に進む。
【0093】
視差低減部95は、変換部94から出力された信号(例えば、階調変換された第2ガンマ補正信号)に対して、視差を低減するためのローパスフィルタ処理を実行して、第2出力画像信号DAT2を生成する(S16)。視差を低減するためのローパスフィルタ処理については、既存のいかなる技術が用いられてもよい。そして、視差低減部95は、生成された第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30及び補正部100に出力する。
【0094】
補正部100は、第2出力画像信号DAT2に応じて第1ガンマ補正信号を補正して、第1出力画像信号DAT1を生成する(S17)。具体的には、除算処理部101は、第2ガンマ補正部92からの第2ガンマ補正信号と視差低減部95からの第2出力画像信号DAT2とに基づいて、第1ガンマ補正信号を補正する補正値を算出する。除算処理部101は、例えば、第2ガンマ補正信号を第2出力画像信号DAT2で除算することで補正値を算出する。除算処理部101は、算出した補正値を乗算器102に出力する。
【0095】
乗算器102は、第1ガンマ補正部81からの第1ガンマ補正信号と除算処理部101からの補正値とに基づいて、第1液晶パネル20に出力する第1出力画像信号DAT1を生成する。乗算器102は、例えば、第1ガンマ補正信号に補正値を乗算することで、第1出力画像信号DAT1を生成する。乗算器102は、生成された第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する。例えば、乗算器102は、
図8の(f)に示すMain画像(第1画像)を示す第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する。
【0096】
Main画像は、例えば、レベル変換後画像より明るい画像である。つまり、Main画像は、例えば、Sub画像(第2画像)より明るい画像である。このとき生成される第1出力画像信号DAT1における高周波部分に対応する部分の階調値は、例えば、第2出力画像信号DAT2における高周波部分に対応する部分の階調値より高くなる。
【0097】
次に、液晶表示装置10は、入力画像信号Dataに対応する画像を表示する(S18)。液晶表示装置10は、例えば、第1出力画像信号DAT1に基づく第1画像と第2出力画像信号DAT2に基づく第2画像とを合成した合成画像を表示する。このとき第2液晶パネル30が表示する画像における高周波部分の階調値は、ステップS15の処理により低くなっている。このため、ステップS18で表示される画像において、第2液晶パネル30が表示する第2画像の高周波部分の輝度が低いので、斜め方向から見ても第2液晶パネル30がハローになったり、2重像が見えたりすることが抑制される。また、ハローなどの抑制のために視差低減部95のフィルタサイズを変更していないので、画欠けが発生することが抑制される。
【0098】
[1-3.効果など]
以上説明したように、画像処理部80は、第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20と重ね合わせて配置される第2液晶パネル30とを備える液晶表示装置10の第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2を生成する。画像処理部80は、入力画像信号Dataの階調値を補正した第2ガンマ補正信号を生成する第2ガンマ補正部92と、第2ガンマ補正信号が入力され、第2ガンマ補正信号の中から、周囲より明るい画像領域を第1高周波部分として検出する検出部93と、第2ガンマ補正信号及び検出部93の検出結果が入力され、第2ガンマ補正信号における、第1高周波部分の階調値を下げる補正を行う変換部94とを有する。そして、第2出力画像信号DAT2は、変換部94により補正された第2ガンマ補正信号に基づいて生成される。
【0099】
なお、画像処理部80は、画像処理装置の一例であり、第2ガンマ補正信号は、ガンマ補正信号の一例であり、第2ガンマ補正部92は、第1補正部の一例であり、変換部94は、第2補正部の一例である。
【0100】
これにより、第2出力画像信号DAT2の中の高周波部分を構成する画素の階調値は、低い値となる。つまり、第2液晶パネル30が表示する第2画像であって、第2出力画像信号DAT2に基づく第2画像において、変換部94で階調値が変換されない場合に比べて、高周波部分は暗い表示となる。当該第2画像は、高周波部分が暗いので、斜め方向から見てもハロー、2重像などが視認されることが抑制された画像となる。よって、画像処理部80によれば、第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20の背面側において第1液晶パネル20と重ね合わせて配置される第2液晶パネル30とを備える液晶表示装置10が表示する画像の画質の低下を抑制することができる。
【0101】
また、変換部94は、第1高周波部分の階調値を、入力画像信号Dataにおける第1高周波部分の階調値に補正する。
【0102】
これにより、第2出力画像信号DAT2の高周波部分の階調値を、入力画像信号Dataが示す画像を実現可能な範囲の最小値とすることができる。つまり、第2画像は、高周波部分がより暗いので、斜め方向から見てもハロー、2重像などが視認されることがより抑制された画像となる。よって、画像処理部80によれば、液晶表示装置10が表示する画像の画質の低下をより抑制することができる。
【0103】
また、検出部93は、第2ガンマ補正信号が入力され、第2ガンマ補正信号に対してローパスフィルタ処理を行うことでLPF処理信号を生成するLPF93aと、第2ガンマ補正信号及びLPF処理信号が入力され、第2ガンマ補正信号とLPF処理信号とに基づいて、第1高周波部分を判定する判定部93bとを有する。
【0104】
なお、LPF処理信号は、処理信号の一例である。
【0105】
これにより、簡易な構成で、高周波部分を検出する検出部93を構成することができる。
【0106】
また、判定部93bは、第2ガンマ補正信号が示す第1階調値が、LPF処理信号が示す第2階調値より高いか否かを複数の画素ごとに判定し、第1階調値が第2階調値より高い1以上の画素を第1高周波部分であると判定する。
【0107】
これにより、判定部93bは、階調値の大小関係を比較するといった簡易な処理で高周波部分を検出することができる。よって、判定部93bの処理量を低減することができる。
【0108】
また、画像処理部80は、変換部94からの信号が入力され、当該信号に対して平滑化処理を行い、第2出力画像信号DAT2を生成する視差低減部95をさらに備える。
【0109】
これにより、画像処理部80は、視差低減部95においてフィルタサイズを変更することなく、ハロー、2重像などが視認されることを抑制することができる。つまり、画像処理部80は、ハローなどを抑制するために視差低減部95のフィルタサイズを小さくすることにより、画欠けが発生することを抑制することができる。よって、画像処理部80は、ハローなどの抑制及び画欠けの抑制を両立することができる。
【0110】
また、液晶表示装置10の画像処理部80は、少なくとも第2出力画像信号DAT2が入力され、少なくとも第2出力画像信号DAT2に基づいて第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1を生成する補正部100をさらに有する。また、液晶表示装置10は、第1出力画像信号DAT1が入力される第1液晶パネル20を備える。
【0111】
これにより、液晶表示装置10は、入力画像信号Dataが示す画像の明るさ等を実現しつつ、かつ、ハローなどによる画質の低下を抑制することができる。
【0112】
また、画像処理部80の補正部100には、第2ガンマ補正信号も入力される。そして、補正部100は、ガンマ補正信号と第2出力画像信号DAT2とに基づいて、補正値を算出する除算処理部101と、補正値と第1ガンマ補正信号とに基づいて、第1出力画像信号DAT1を生成する乗算器102とを有する。
【0113】
なお、第1ガンマ補正信号は、入力画像信号Dataに基づく信号の一例である。
【0114】
これにより、算出される補正値は、視差低減部95の処理を反映した値となる。つまり、第1出力画像信号DAT1は、視差低減部95の処理を反映した信号となる。よって、視差低減部95の処理が行われたことによる画質の低下が発生することを抑制することができる。
【0115】
また、以上説明したように、液晶表示装置10は、上記の画像処理部80と、第2出力画像信号DAT2が入力される第2液晶パネル30とを備える。
【0116】
これにより、画質の低下が抑制された液晶表示装置10が実現される。
【0117】
また、液晶表示装置10は、さらに、カラー画像を表示する第1液晶パネルを備える。そして、第2液晶パネル30は、第1液晶パネル20の背面側に配置され、モノクロ画像を表示する。
【0118】
これにより、第1液晶パネル20がカラー画像を表示し、第2液晶パネル30がモノクロ画像を表示する液晶表示装置10において、当該液晶表示装置10が表示する画像の画質の低下を抑制することができる。
【0119】
(実施の形態2)
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置について、
図9~
図15を参照しながら説明する。まず、本実施の形態に係る液晶表示装置において解決する課題について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係る液晶表示装置において解決する課題を説明するための第1図である。具体的には、
図9の(a)は、第2ガンマ補正信号に基づくSubガンマ画像を示しており、
図9の(b)は、判定部に入力される各種信号を示しており、
図9の(c)は、判定部から出力される判定信号を示している。
図10は、本実施の形態に係る液晶表示装置において解決する課題を説明するための第2図である。具体的には、
図10は、比較例に係る液晶表示装置で生成される各種画像を模式的に示す図である。なお、
図9及び
図10では、周囲より明るい画像領域(表示部分)を矩形状で示しているが、当該画像領域の形状は、これに限定されない。
【0120】
なお、以下では、比較例に係る液晶表示装置の各構成要素として、実施の形態1で説明した液晶表示装置10の各構成要素の符号を用いて説明する。
【0121】
図9の(a)に示すように、Subガンマ画像は、白ウィンドウを表示する画像であるとする。また、白ウィンドウは、例えば、LPF93aのフィルタサイズより十分大きいとする。なお、十分大きいとは、例えば、白ウィンドウを構成する複数の画素において、LPF93aによるローパスフィルタ処理前後において階調値が変化しない画素が存在する程度の大きさである。白ウィンドウは、高周波部分の一例である。
【0122】
なお、
図9の(a)に示すSubガンマ画像は、
図10の(b)に示すSubガンマ画像を拡大して示す画像である。なお、
図9の(a)では、便宜上、高周波部分を白色で示している。また、
図9の(a)に示すSubガンマ画像は、
図10の(a)に示す入力画像に基づく画像である。
【0123】
図9の(a)のように、白ウィンドウのサイズがフィルタサイズより十分大きい場合では、検出部93による高周波部分の検出が正確に行えないことがある。以下、詳細を説明する。
【0124】
図9の(b)に示すように、判定部93bは、Subガンマ画像を示す第2ガンマ補正信号と、当該第2ガンマ補正信号をLPF93aでローパスフィルタ処理したLPF処理信号とを比較する。ここで、白ウィンドウのサイズがフィルタサイズより十分大きいので、LPF処理後の階調値がLPF処理前の階調値と等しい画素が存在する(一点破線部分を参照)。
【0125】
判定部93bは、このような第2ガンマ補正信号とLPF処理信号とを比較する場合、ローパスフィルタ処理前後において階調値が変化しない画素において、正確に判定を行えない場合がある。判定部93bは、第2ガンマ補正信号が示す第1階調値が、LPF処理信号が示す第2階調値より大きい場合、当該画素が高周波部分に含まれると判定する。そのため、判定部93bは、第1階調値と第2階調値とが等しい場合、当該画素が高周波部分に含まれると判定しない。これにより、例えば、
図9の(c)に示すように、第1階調値と第2階調値とが等しい画素では、高周波部分ではないことを示す判定結果が出力される。つまり、第1階調値と第2階調値とが等しい画素は、高周波部分として検出されない。
【0126】
図10の(c)は、
図10の(b)に示すSubガンマ画像に対する判定部93bの判定結果に基づく画像を示す。つまり、
図10の(c)に示す画像は、
図9の(c)の判定信号に基づく画像を示す。本来であれば矩形状の高周波部分が検出されるはずであるが、
図10の(c)に示すように、高周波部分の中央部が楕円状に黒く表示されている。これは、高周波部分の中央部は、変換部94において階調変換される対象の部分ではないことを示す。
【0127】
変換部94は、
図10の(c)を示す判定信号を用いてSubガンマ画像の階調値を補正するので、
図10の(d)のレベル変換後画像に示すように、Subガンマ画像における楕円状の部分に対応する部分の階調値は、Subガンマ画像の階調値から変換されない。これにより、第2液晶パネル30が表示する第2画像において、白ウィンドウの中央部と当該中央部の周辺部とで輝度ムラが発生する。
【0128】
このように、比較例に係る液晶表示装置において、高周波部分の大きさが検出部93のLPF93aのフィルタサイズに比べて十分大きい場合、判定部93bは、高周波部分を正確に判定できない場合がある。それにより、変換部94は、第2ガンマ補正信号の階調値の変換を適切に行えない。
【0129】
そこで、本実施の形態では、変換部94での階調変換の対象である高周波部分の検出方法が実施の形態1と異なる画像処理部を備える液晶表示装置について説明する。
【0130】
[2-1.液晶表示装置の構成]
本実施の形態に係る液晶表示装置の構成について、
図11~
図14を参照しながら説明する。
【0131】
図11は、本実施の形態に係る画像処理部180の一部の機能構成を示すブロック図である。具体的には、
図11は、画像処理部180が有する構成のうち、
図4の一点鎖線部分に対応する機能構成を示すブロック図である。画像処理部180は、主に、検出部93に替えて検出部190を有する点で実施の形態1に係る画像処理部80と相違する。以下、本実施の形態に係る画像処理部180について、実施の形態1に係る画像処理部80との相違点を中心に説明する。また、本実施の形態において、実施の形態1に係る画像処理部80と同一または類似の構成については、画像処理部80と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0132】
図11に示すように、画像処理部180は、検出部190を有する。検出部190は、高周波部分の大きさに応じて、階調変換する高周波部分と階調変換しない高周波部分とを検出する。検出部190は、例えば、高周波部分の大きさが所定の面積より大きい場合に、当該高周波部分は階調値を変換しない部分であることを含む判定信号を変換部94に出力する。これにより、画像処理部180では、高周波部分の大きさが所定の面積より大きい場合に、変換部94による階調変換が行われないので、
図10の(d)に示すような高周波部分の輝度ムラが発生することを抑制することができる。
【0133】
検出部190は、第1検出部200と第2検出部210とを有する。検出部190は、Sub側画像処理部に含まれる。なお、検出部190は、少なくとも第1検出部200を有していればよい。
【0134】
第1検出部200は、周囲より明るい画像領域(表示部分)を高周波部分として検出するが、予め定められた範囲である黒背景検出範囲に対して、画像領域が十分小さくないと、変換部94で階調変換される高周波部分として認識されないように動作する。第1検出部200は、高周波部分が所定の面積以下であるか否かを判定することで、上記の動作を実現する。黒背景検出範囲は、後述する第1垂直カウント部201及び第1水平カウント部203がカウントする画素数により規定され、以下の例では、(2N1+1)×(2M1+1)画素となる。
【0135】
第1検出部200は、第1垂直カウント部201と、第1垂直判定部202と、第1水平カウント部203と、第1水平判定部204と、第1AND回路205とを有する。
【0136】
第1垂直カウント部201は、着目画素及び当該着目画素の上下方向に所定範囲の画素、例えば上下M1画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。第1垂直カウント部201は、2M1+1画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。黒背景レベルを示す階調値は、第2閾値の一例であり、予め設定される。なお、M1は、1以上の整数である。また、注目画素は、Subガンマ画像において高周波部分を構成する画素である。注目画素は、例えば、黒背景レベルより階調値が高い画素である。第1垂直カウント部201は、黒背景レベルより階調値が高い画素のそれぞれにおいて、上記の画素数をカウントする。
【0137】
第1垂直判定部202は、第1垂直カウント部201がカウントした黒背景レベルの画素数が第1割合以上であるか否かを判定する。第1垂直判定部202は、例えば、黒背景レベルの画素数が2M1+1画素の50%以上であるか否かを判定する。なお、第1割合は、50%であることに限定されない。
【0138】
第1水平カウント部203は、着目画素及び当該着目画素の左右方向に所定範囲の画素、例えば左右N1画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。第1水平カウント部203は、2N1+1画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。黒背景レベルを示す階調値は、第2閾値の一例であり、予め設定される。第1水平カウント部203が黒背景レベルを判定する階調値は、第1垂直カウント部201が黒背景レベルを判定する階調値と等しくてもよい。なお、N1は、1以上の整数である。N1は、M1と同じ値であってもよい。
【0139】
第1水平判定部204は、第1水平カウント部203がカウントした黒背景レベルの画素数が第2割合以上であるか否かを判定する。第1水平判定部204は、例えば、黒背景レベルの画素数が2N1+1画素の50%以上であるか否かを判定する。なお、第2割合は、50%であることに限定されない。また、第2割合は、第1割合と等しくてもよい。
【0140】
第1AND回路205は、第1垂直判定部202の判定結果及び第1水平判定部204の判定結果に基づいて、注目画素を高周波部分として認識するか否かを示す信号を第2検出部210に出力する。第1AND回路205は、第1垂直判定部202から黒背景レベルの画素数が第1割合以上であることを示す判定結果を取得し、かつ、第1水平判定部204から黒背景レベルの画素数が第2割合以上であることを示す判定結果を取得すると、その注目画素が高周波部分として認識する画素であることを示す信号を第2検出部210に出力する。
【0141】
第1AND回路205は、例えば、第1垂直判定部202からの信号と第1水平判定部204からの信号との論理積をとる。第1AND回路205は、第1垂直判定部202及び第1水平判定部204の双方から黒背景レベルの画素数が第1所定割合以上であることを示すHighレベルの信号を取得すると、当該注目画素が黒背景と検出され、第2検出部210にHighレベルの信号を出力する。黒背景であると検出された注目画素は、変換部94における階調変換の対象となる画素である。Highレベルの信号は、例えば、階調値が1であることを示す信号であってもよい。なお、第1所定割合は、例えば、第1割合と第2割合とが同じ割合である場合を示す。
【0142】
また、第1AND回路205は、第1垂直判定部202及び第1水平判定部204の少なくとも一方から黒背景レベルの画素数が第1所定割合より低いことを示すLowレベルの信号を取得すると、第2検出部210にLowレベルの信号を出力する。Lowレベルの信号は、例えば、階調値が黒背景レベル以下であることを示す信号であってもよい。なお、第1AND回路205から出力されるHighレベル又はLowレベルの信号を2値化信号とも記載する。
【0143】
本実施の形態では、第1検出部200は、垂直方向の黒背景レベルの画素数がM1+1以上であり、かつ、水平方向の黒背景レベルの画素数がN1+1以上である場合、その注目画素を変換部94での階調変換の対象の画素であり、かつ、黒背景と検出する。
【0144】
なお、検出部190が第2検出部210を有していない場合、第1AND回路205は、2値化信号を変換部94に出力する。この場合、第1AND回路205が出力する2値化信号は、判定信号の一例である。
【0145】
図12Aは、本実施の形態に係る第1検出部200の処理を説明するための第1図である。
図12Bは、本実施の形態に係る第1検出部200の処理を説明するための第2図である。なお、
図12A及び
図12Bに示す画像は、黒背景検出範囲の画像を示す。黒背景検出範囲の画像は、Subガンマ画像の一部の領域であってもよい。また、
図12Aに示す表示部分は、N×M画素以下で構成される。
【0146】
図12Aの(a)に示すように、表示部分のパターンが小さい場合、第1検出部200の処理により表示部分は黒背景と検出されるので、
図12Aの(b)に示すようにパターンが消える。これにより、表示部分のパターンが小さい場合、当該表示部分は変換部94による階調変換の対象と認識できる。
【0147】
一方、
図12Bの(a)に示すように、表示部分のパターンが大きい場合、第1検出部200の処理により表示部分は黒背景と検出されないので、
図12Bの(b)に示すようにパターンがそのまま残る。これにより、表示部分のパターンが大きい場合、当該表示部分は変換部94による階調変換の対象ではないと認識できる。
【0148】
上記のように、第1検出部200は、高周波部分の面積が所定の面積より大きい場合、変換部94における階調変換の対象とならないように変換部94で階調変換する画素を検出する。
【0149】
第2検出部210は、第1AND回路205から2値化信号を取得すると、当該2値化信号を用いて、周囲より明るい画像領域が十分小さくないと、変換部94で階調変換される高周波部分として認識されないように動作する。第2検出部210は、高周波部分が所定の面積以下であるか否かを判定することで、上記の動作を実現する。第2検出部210は、第1検出部200の処理を繰り返し実行する処理部であるとも言える。
【0150】
第2検出部210は、第2垂直カウント部211と、第2垂直判定部212と、第2水平カウント部213と、第2水平判定部214と、第2AND回路215とを有する。
【0151】
第2垂直カウント部211は、着目画素及び当該着目画素の上下方向に所定範囲の画素、例えば上下M2画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。第2垂直カウント部211は、2M2+1画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。黒背景レベルの画素は、例えば、第1検出部200からの信号がLowレベルである画素である。黒背景レベルを判定するための階調値(例えば、HighレベルとLowレベルの間の階調値)は、第3閾値の一例である。なお、M2は、1以上の整数である。また、注目画素は、第1検出部200からの2値化信号に基づく画像において、Highレベル(例えば、階調値が1)の画素である。
【0152】
第2垂直判定部212は、第2垂直カウント部211がカウントした黒背景レベルの画素数が第3割合以上であるか否かを判定する。第2垂直判定部212は、例えば、黒背景レベルの画素数が2M2+1画素の50%以上であるか否かを判定する。なお、第3割合は、50%であることに限定されない。
【0153】
第2水平カウント部213は、着目画素及び当該着目画素の左右方向に所定範囲の画素、例えば左右N2画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。第2水平カウント部213は、2N2+1画素から黒背景レベルの画素数をカウントする。黒背景レベルを判定するための階調値(例えば、HighレベルとLowレベルの間の階調値)は、第3閾値の一例である。なお、N2は、1以上の整数である。N2は、M2と同じ値であってもよい。
【0154】
第2水平判定部214は、第2水平カウント部213がカウントした黒背景レベルの画素数が第4割合以上であるか否かを判定する。第2水平判定部214は、例えば、黒背景レベルの画素数が2N2+1画素の50%以上であるか否かを判定する。なお、第4割合は、50%であることに限定されない。
【0155】
第2AND回路215は、第2垂直判定部212の判定結果及び第2水平判定部214の判定結果に基づいて、注目画素を高周波部分として認識するか否かを示す信号を変換部94に出力する。第2AND回路215は、第2垂直判定部212から黒背景レベルの画素数が第3割合以上であることを示す判定結果を取得し、かつ、第2水平判定部214から黒背景レベルの画素数が第4割合以上であることを示す判定結果を取得すると、その注目画素が高周波部分として認識する画素であることを示す信号を変換部94に出力する。つまり、当該注目画素は、変換部94により階調変換される。
【0156】
第2AND回路215は、例えば、第2垂直判定部212からの信号と第2水平判定部214からの信号との論理積をとる。第2AND回路215は、第2垂直判定部212及び第2水平判定部214の双方から黒背景レベルの画素数が第2所定割合以上であることを示すHighレベルの信号を取得すると、当該注目画素が黒背景と検出され、変換部94にHighレベルの信号を出力する。黒背景であると検出された注目画素は、変換部94における階調変換の対象となる画素である。Highレベルの信号は、例えば、階調値が1であることを示す信号であってもよい。なお、第2所定割合は、例えば、第3割合と第4割合とが同じ割合である場合を示す。
【0157】
また、第2AND回路215は、第2垂直判定部212及び第2水平判定部214の少なくとも一方から黒背景レベルの画素数が第2所定割合より低いことを示すLowレベルの信号を取得すると、変換部94にLowレベルの信号を出力する。Lowレベルの信号は、例えば、階調値が黒背景レベル以下であることを示す信号であってもよい。なお、第2AND回路215から出力されるHighレベル又はLowレベルの信号の2値化信号は、判定信号の一例である。
【0158】
本実施の形態では、第2検出部210は、垂直方向の黒背景レベルの画素数がM2+1以上であり、かつ、水平方向の黒背景レベルの画素数がN2+1以上である場合、その注目画素を変換部94での階調変換の対象の画素であり、かつ、黒背景と検出する。
【0159】
なお、例えば、
図12A及び
図12Bに示すような表示部分のパターンを有する画像においては、第2検出部210の検出結果は、第1検出部200の検出結果と同じとなる。例えば、
図12Aの例では、第2AND回路215から出力される判定信号は、
図12Aの(a)の表示部分の判定信号がHighレベルとなる信号である。また、例えば、
図12Bの例では、第2AND回路215から出力される判定信号は、
図12Bの(a)の表示部分の判定信号がLowレベルとなる信号である。
【0160】
ここで、検出部190が第2検出部210を有していることの効果について、
図13を参照しながら説明する。
図13は、本実施の形態に係る第2検出部210の処理を説明するための図である。黒背景検出範囲が(2N+1)×(2M+1)画素の場合、N×M画素以下のパターンは、第1検出部200により黒背景と検出される。しかしながら、
図13の(a)に示すようなN×M以下のパターンが連続して表示される場合、第1検出部200による1回の黒背景検出では、
図13の(b)に示すように、パターンの全てが黒背景と検出されず、ムラとして残ってしまう。当該黒背景と検出されなかった画素は、変換部94で階調変換されない。
【0161】
そこで、上記の第2検出部210により再度黒背景検出の処理を行うことにより、
図13の(c)に示すように、N×Mより小さいパターンをより確実に黒背景として検出することができる。
【0162】
変換部94は、第2ガンマ補正信号において、検出部190からHighレベルの信号を取得した画素の階調値を下げる変換を行う。本実施の形態では、変換部94は、検出部190により表示部分が所定の面積以下であると判定された高周波部分に対して、階調値を下げる変換を行う。変換処理は、実施の形態1に係る変換部94と同様であり説明を省略する。
【0163】
上記のような画像処理部180が備える各構成要素は、例えば、それぞれが専用回路で構成されるが、これに限定されず、プロセッサなどで構成されてもよい。
【0164】
また、上記のような検出部190を備える液晶表示装置において、変換部94が出力する画像について、
図14を参照しながら説明する。
図14は、本実施の形態に係る第2液晶パネル30が表示する画像の一例を示す図である。
図14の(b)は、
図14の(a)に示す入力画像が入力されたときに変換部94から出力されるレベル変換後画像の一例を示す。
【0165】
図14の(a)及び(b)に示すように、表示部分の面積が小さい場合、変換部94の階調変換により当該表示部分の画素の階調値がSubガンマ画像から下がるので、暗くなる。例えば、表示部分の面積が小さい部分のレベル変換後画像の階調値は、入力画像の当該表示部分の階調値となる。また、表示部分の面積が大きい場合、変換部94の階調変換が行われないので、当該表示部分のレベル変換後画像における階調値はSubガンマ画像の階調値のままである。例えば、表示部分の面積が大きい部分のレベル変換後画像の階調値は、入力画像の当該表示部分の階調値より大きい。また、例えば、表示部分の面積が大きい部分のレベル変換後画像の階調値は、当該レベル変換後画像の表示部分の面積が小さい部分の階調値より大きい。
【0166】
[2-2.液晶表示装置の動作]
次に、上記の液晶表示装置の動作について、
図15を参照しながら説明する。
図15は、本実施の形態に係る液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図15に示すフローチャートは、実施の形態1の
図7に示すフローチャートのステップS14に替えて、ステップS21を含む。また、
図15に示すフローチャートでは、実施の形態1の
図7に示すフローチャートのステップS13の処理は行われない。
【0167】
図15に示すように、画像処理部180は、入力画像信号Dataを取得し(S11)、取得した入力画像信号Dataに対してガンマ補正を行うことで、第1ガンマ補正信号及び第2ガンマ補正信号を生成する(S12)と、第2ガンマ補正信号に対して所定の面積以下の高周波部分があるか否かの判定を行う(S21)。具体的には、検出部190は、注目画素の上下及び左右の黒背景レベルの画素の画素数に応じて、上記の判定を行う。検出部190は、所定の面積以下の高周波部分がある場合(S21Yes)、当該高周波部分を構成する画素に対する判定信号をHighレベルとする。そして、変換部94は、Highレベルの判定信号を取得した高周波部分を階調変換する(S15)。変換部94は、Subガンマ画像において、所定の面積以下の高周波部分と所定の面積より大きい高周波部分とが混在する場合、所定の面積以下の高周波部分のみの階調値を下げる階調変換を行う。
【0168】
また、検出部190は、所定の面積以下の高周波部分がない場合(S21No)、例えば、所定の面積より大きい高周波部分がある場合、当該高周波部分を構成する画素に対する判定信号をLowレベルとする。そして、変換部94は、Lowレベルの判定信号を取得した高周波部分の階調変換を行わない。これにより、所定の面積より大きい高周波部分を構成する画素の階調値は変換されないので、変換部94による階調変換により高周波部分が輝度ムラとなってしまうことを抑制することができる。
【0169】
なお、ステップS16以降の処理は、
図7に示すステップS16以降の処理と同様であり、説明を省略する。
【0170】
[2-3.効果など]
以上説明したように、画像処理部180が有する検出部190は、第1高周波部分が所定の面積以下であるか否かを検出する第1検出部200を有する。そして、変換部94は、検出部190が所定の面積以下であると判定した第1高周波部分に対して、階調値を下げる補正を行う。
【0171】
これにより、所定の面積以下である高周波部分に対してのみ、変換部94で階調変換が行われる。言い換えると、所定の面積より大きい高周波部分に対しては、変換部94での階調変換が行われない。つまり、面積が大きいので、変換部94において正確に階調変換できない可能性がある高周波部分は、階調変換が行われない。よって、画像処理部180は、変換部94による階調変換に起因する輝度ムラが発生することを抑制することができる。
【0172】
また、第1検出部200は、第2ガンマ補正信号に基づく画像を形成する複数の画素のうち第1閾値以上の階調値の画素ごとに、当該画素の上下M1(M1は1以上の整数)個、及び、左右N1(N1は1以上の整数)個の画素のそれぞれにおいて、階調値が第1閾値より低い第2閾値以下である画素の数をカウントし、カウントした画素数の割合が第1所定割合以上である場合、当該画素を変換部94による補正の対象の画素として検出する。
【0173】
これにより、第1検出部200は、階調値が第1閾値以下である画素の数をカウントするだけで、高周波部分の面積が所定の面積以下であるか否かを判定することができる。
【0174】
また、第1検出部200は、カウントした画素数が第1所定割合以上であるが否かを示す2値化信号を第1閾値以上の階調値の画素ごとに出力する。そして、画像処理部180は、2値化信号に基づく画像を形成する複数の画素ごとに、当該画素の上下M2(M2は1以上の整数)個、及び、左右N2(N2は1以上の整数)個の画素のそれぞれにおいて、階調値が第3閾値以下である画素の数をカウントし、カウントした画素数の割合が第2所定割合以上である場合、当該画素を変換部94による補正の対象の画素として検出する第2検出部210をさらに有する。
【0175】
これにより、検出部190は、N×M画素以下の表示パターンが画像上で連続して表示されている場合であっても、変換部94により階調変換を行う表示パターンをより確実に検出することができる。よって、画像処理部180は、変換部94による階調変換に起因する輝度ムラが発生することをさらに抑制することができる。
【0176】
(実施の形態3)
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置について、
図16及び
図17を参照しながら説明する。まず、本実施の形態に係る液晶表示装置において解決する課題について、
図16を参照しながら説明する。
図16は、本実施の形態に係る液晶表示装置において解決する課題を説明するための図である。具体的には、
図16の(a)は、入力画像信号Dataを示しており、
図16の(b)は、第2ガンマ補正信号を示しており、
図16の(c)は、変換部94の出力信号を示している。なお、以下では、第2ガンマ補正部92のガンマ値r2を0.5とする。
【0177】
図16の(a)に示すように、入力画像信号Dataとして、階調値0.05及び0.1を含む信号が入力されたとする。階調値0.1は、階調値0.05より明るいことを示す。
【0178】
第2ガンマ補正部92は、以下の式5によりガンマ補正後の第2ガンマ補正信号が示す階調値を算出する。
【0179】
補正値=(入力画像信号の階調値)r2 (式5)
【0180】
第2ガンマ補正部92は、(式5)を用いて補正値を算出することで、
図16の(b)に示す第2ガンマ補正信号を生成する。ここで、黒検出レベルが階調値0.2236と、0.3162の間の値(例えば、0.25)であった場合、検出部は、階調値0.3162の画素(高周波部分の画素)が変換部94で階調変換される対象であると検出する。変換部94は、式4により高周波部分の画素の階調変換後の階調値を算出する。これにより、
図16の(c)に示すように、高周波部分の画素の階調値は、0.1となる。つまり、高周波部分の画素の階調変換後の階調値は、入力画像信号Dataの階調値と同じ値である。
【0181】
ここで、高周波部分と高周波以外の部分との明暗の関係が、
図16の(a)と
図16の(c)とで逆転していることがわかる。これは、視差として残るので、画質の低下につながる。このような現象は、黒検出レベルを高い階調値とし、かつ、周囲より明るい画像領域(高周波部分)の階調値が当該黒検出レベルと近い場合に起こりうる。
【0182】
そこで、本実施の形態では、入力画像信号Dataにおける明暗の関係と、変換部94から出力される信号における明暗の関係とが反転することを抑制することができる画像処理部を備える液晶表示装置について説明する。
【0183】
[3-1.液晶表示装置の構成]
本実施の形態に係る液晶表示装置の構成について、
図17を参照しながら説明する。
図17は、本実施の形態に係る画像処理部380の一部の機能構成を示すブロック図である。具体的には、
図17は、画像処理部380が有する構成のうち、
図4の一点鎖線部分に対応する機能構成を示すブロック図である。
【0184】
図17に示すように、画像処理部380は、
図4に示す画像処理部80の検出部93に替えて第1検出部310及び第2検出部330を有し、変換部94に替えて第1変換部320及び第2変換部340を有する。第1検出部310、第1変換部320、第2検出部330、及び、第2変換部340は、Sub側画像処理部に含まれる。
【0185】
第1検出部310は、Subガンマ画像において、第1の黒レベル以下の画素を黒背景として検出する。第1の黒レベルの階調値は、特に限定されないが、例えば0.25である。第1検出部310は、例えば、実施の形態2に係る第1検出部200又は検出部190により構成される。第1の黒レベルの階調値は、例えば、第2閾値である。
【0186】
第1変換部320は、第1の黒レベルで黒検出された領域より明るい部分(高周波部分)を、式3で算出される変換値(階調値)及び第1の黒レベルの大きい方に変換する回路である。第1変換部320は、Subガンマ画像における画素の階調値を、変換値と第1の黒レベルのうち、大きい方の値に変換して出力する。
【0187】
第2検出部330は、第1変換部320から出力される画像において、第2の黒レベル以下の画素を黒背景として検出する。第2の黒レベルの階調値は、第1の黒レベルの階調値より小さければ特に限定されないが、例えば0.05である。第2検出部330は、例えば、実施の形態2に係る第1検出部200又は検出部190により構成される。第2の黒レベルの階調値は、例えば、第3閾値である。
【0188】
第2変換部340は、第2の黒レベルで黒検出された領域より明るい部分(高周波部分)を、式3で算出される変換値(階調値)及び第2の黒レベルの大きい方に変換する回路である。第2変換部340は、第1変換部320から出力される画像における画素の階調値を、変換値と第2の黒レベルのうち、大きい方の値に変換して出力する。第2変換部340が出力する信号は、視差低減部95に入力される。
【0189】
なお、上記の画像処理部380は、検出部及び変換部のセットを1段とすると、2段の検出部及び変換部を有する構成であったが、これに限定されず、3段以上の検出部及び変換部のセットを有していてもよい。この場合、第2ガンマ補正部92から視差低減部95までの信号の流れにおいて、検出部の黒背景レベルの階調値は、視差低減部95側に配置されるほど小さな値となる。このように、画像処理部380は、検出部及び変換部のセットを複数段有することで、黒背景部分と明るい部分との階調差が小さくなるので、視差低減効果が大きくなる。
【0190】
[3-2.効果など]
以上説明したように、画像処理部380は、第1変換部320により補正されたガンマ補正信号の中から、周囲より明るい画像領域を第2高周波部分として検出する第2検出部330と、第2高周波部分の階調値を下げる補正を行う第2変換部340とをさらに備える。第2検出部330は、第1変換部320により補正された信号に基づく画像を形成する複数の画素ごとに、当該画素の上下M2(M2は1以上の整数)個、及び、左右N2(N2は1以上の整数)個の画素のうち階調値が第3閾値以下である画素の数をカウントし、カウントした画素の割合が第2所定割合以上である場合、当該画素を第2変換部340による補正の対象の画素として検出する。そして、第3閾値は、第2閾値より小さい値である。
【0191】
なお、画像処理部380は、画像処理装置の一例であり、第1変換部320は、第2補正部の一例であり、第2変換部340は、第3補正部の一例である。
【0192】
これにより、画像処理部380は、入力画像信号Dataに基づく入力画像における明暗の関係と、第2液晶パネル30が表示する第2画像における明暗の関係とが逆転することを抑制することができる。よって、画像処理部380は、視差が低減された画像を表示することができる。
【0193】
また、画像処理部380は、第2変換部340からの信号が入力され、当該信号に対して平滑化処理を行い、第2出力画像信号DAT2を生成する視差低減部95をさらに備える。
【0194】
なお、第2変換部340は、第3補正部の一例である。
【0195】
これにより、画像処理部380は、視差低減部95においてフィルタサイズを変更することなく、ハロー、2重像などが視認されることを抑制することができる。つまり、画像処理部380は、ハローなどを抑制するために視差低減部95のフィルタサイズを小さくすることにより、画欠けが発生することを抑制することができる。よって、画像処理部380は、ハローなどの抑制及び画欠けの抑制を両立することができる。
【0196】
(その他の実施の形態)
以上、各実施の形態(以下において、実施の形態等とも記載する)に係る画像処理装置及び液晶表示装置について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0197】
例えば、上記実施の形態等において、液晶表示装置は、2つの液晶パネルを備える例について説明したが、これに限定されない。液晶表示装置は、例えば、3つ以上の液晶パネルを備えていてもよい。
【0198】
また、一対の第1透明基板及び一対の第2透明基板は、ガラス基板としたが、これに限らず、透明樹脂基板等であってもよい。
【0199】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0200】
また、上記実施の形態等において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、プロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、一つのチップに集積されていてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0201】
また、上記実施の形態等において説明された複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理の少なくとも一部は、並行して実行されてもよい。
【0202】
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0203】
10 液晶表示装置
10a 液晶表示部(表示部)
20 第1液晶パネル
20a 第1画像表示領域
21 第1ソースドライバ
22 第1ゲートドライバ
23 第1透明基板
23a 第1TFT基板
23b 第1対向基板
24 第1液晶層
25 第1偏光板
26 第1TFT層
27 第1画素形成層
27a 第1ブラックマトリクス
27b カラーフィルタ
30 第2液晶パネル
30a 第2画像表示領域
31 第2ソースドライバ
32 第2ゲートドライバ
33 第2透明基板
33a 第2TFT基板
33b 第2対向基板
34 第2液晶層
35 第2偏光板
36 第2TFT層
37 第2画素形成層
37a 第2ブラックマトリクス
40 接着層
50 バックライト
60 フロントシャーシ
71 第1タイミングコントローラ
72 第2タイミングコントローラ
80、180、380 画像処理部(画像処理装置)
81 第1ガンマ補正部
90 Sub側画像処理部
91 白黒画像生成部
92 第2ガンマ補正部(第1補正部)
93 検出部(第1検出部)
93a LPF
93b 判定部
94 変換部(第2補正部)
95 視差低減部
100 補正部(第4補正部)
101 除算処理部
102 乗算器
190 検出部
200、310 第1検出部
201 第1垂直カウント部
202 第1垂直判定部
203 第1水平カウント部
204 第1水平判定部
205 第1AND回路
210、330 第2検出部
211 第2垂直カウント部
212 第2垂直判定部
213 第2水平カウント部
214 第2水平判定部
215 第2AND回路
320 第1変換部(第2補正部)
340 第2変換部(第3補正部)
D 入力階調
Data 入力画像信号
DAT1 第1出力画像信号
DAT2 第2出力画像信号
L 合成輝度
rm、rs、r1、r2 ガンマ値