(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】外科的ピンドライバーのためのピン配置ホルダー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/17 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
A61B17/17
(21)【出願番号】P 2019507096
(86)(22)【出願日】2017-09-25
(86)【国際出願番号】 US2017053252
(87)【国際公開番号】W WO2018058036
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510018328
【氏名又は名称】シンク サージカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ババク キアンマジド
(72)【発明者】
【氏名】ズハース ジョエル
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0242792(US,A1)
【文献】米国特許第5800440(US,A)
【文献】特開2005-279270(JP,A)
【文献】登録実用新案第3187722(JP,U)
【文献】特表2015-502180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 17/94
A61B 34/00 ― 34/20
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨切断手順を行なうのを助けるための、対象の骨におけるピン挿入のための外科的デバイスであって、
前記外科的デバイスは、
前記骨への挿入のためにネジ付きピンを駆動するように構成された駆動部を備え、
前記駆動部は、
シャフト遠位端を有するシャフトを備える前記駆動部のピン駆動サブアセンブリ、前記シャフト遠位端における前記ピンの牽引および保持に適合された前記シャフト遠位端と関連する少なくとも1つの磁石;および
前記シャフト遠位端における前記ピンの前記牽引および前記保持を克服する程度の骨の保持まで、前記ピンを前記骨の中に回転させるように、前記シャフトを駆動するように適合されたスピンドルアセンブリ
を備える、
デバイス。
【請求項2】
請求項1のデバイスであって、
前記スピンドルアセンブリは、
ハンドヘルド部;および
追跡システムが前記駆動部の位置および方位(POSE)を追跡するのを可能にするために前記駆動部に強固に取り付けられた3個またはそれよりも多くの基準マーカーのセットを有する前記スピンドルアセンブリに連結された基準マーカーアレイ
をさらに備え、
ここで、前記骨内の前記ピン
の位置および方位(POSE)は、切断ガイドのためのガイダンスを提供し、所望の切断平面を作製するように適合される、
デバイス。
【請求項3】
請求項1のデバイスであって、
前記シャフトは、前記シャフトの前記遠位端上に前記の少なくとも1つの磁石を収容する六角ソケットをさらに備え、
前記シャフトは、前記ピンの雄六角末端を受け入れるように構成される、
デバイス。
【請求項4】
請求項1のデバイスであって、
前記の少なくとも1つの磁石は、前記シャフトに接着して取り付けられる、
デバイス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項のデバイスであって、
前記ピン駆動サブアセンブリは、内径を有するピンガイドをさらに備え、
前記内径
は前記ピンの外径に対して密接な寸法であり、前記シャフトのシャフト回転軸に対して前記ピンのピン回転軸を拘束する隙間によって前記ピン上に合う、
デバイス。
【請求項6】
外科的骨切断手順のための整列システムであって、
対象の骨の上に作製される切断平面に対する仮想平面内の複数のネジ付き骨ピン;
請求項
2に記載の外科的デバイスの前記駆動部の位置および方位(POSE)を追跡するように適合された追跡システム;
計算システムであって:
前記の対象の骨の上に作製される前記切断平面に対する前記仮想平面を規定する;
前記仮想平面および前記外科的デバイスの前記駆動部の位置の間の関係を決定する;および
前記仮想平面によるピン挿入軸を維持するためにピッチおよび移動を制御するために、一連のコマンドをハンドヘルド部内のコンポーネントのセットに供給する
ように、プログラムされた計算システム;
前記の複数の骨ピンの上に受け入れられるように構成された切断ガイド;および
前記切断ガイド内の1つまたは複数のガイドスロット、
を備え、
前記の1つまたは複数のガイドスロットは、前記の対象の骨の上に外科的切断を作製するために外科的鋸をガイドするように構成される、
整列システム。
【請求項7】
請求項
6の整列システムであって、
前記切断ガイドは、剛体または半剛体材料で作られる、
整列システム。
【請求項8】
請求項
6の整列システムであって、
前記切断ガイドは、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルスルホン、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)で作られる、
整列システム。
【請求項9】
請求項
6の整列システムであって、
前記外科的骨切断手順は、膝関節全置換または修正膝関節置換において用いられる、
整列システム。
【請求項10】
請求項
6から
9のいずれか一項の整列システムであって、
前記外科的骨切断手順は、脛骨高位骨切り、脊椎再建術、および、外科医が一連の骨切断を作製するのを助けるために前記切断ガイドの正確な配置を必要とする他の手順において用いられる、
整列システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2016年9月26日に出願された米国仮出願番号62/399,634の優先権の利益を主張するものであり;その内容は参照により本明細書中に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、概してコンピューター支援の外科的処置に関し、より特に、整形外科の外科的適用においてピンを能動的に整列するために用いられるツールのための、改善されたピン配置ホルダーに関する。
【背景技術】
【0003】
膝関節全置換(TKA)は、膝関節の接合表面(articulating surface)が、補綴コンポーネントまたは移植片によって置換される外科的手順である。TKAは、遠位大腿骨および近位脛骨上の擦り切れたまたは損傷した関節軟骨および骨の除去を必要とする。除去された軟骨および骨は、それから、典型的に金属またはプラスチックで形成された合成移植片で置換されて、新たな関節表面を作る。
【0004】
骨切断または切除骨と呼ばれる除去された骨の位置および方位(POSE)は、関節内の移植片の最終配置を決定する。一般に、外科医は、移植片の最終配置が、周囲の膝靭帯のバランスを保ちながら、患者の足の機械的軸または運動力学を復元するように、骨切断を計画および作成する。臨床的に許容できる範囲外の小さな移植片配置の誤りでさえ、著しくより悪い成果および修正外科的処置の割合の増大と関連する。TKAでは、大腿骨は、大腿の補綴を受け入れるために少なくとも5つの平面の骨切断を必要とするので、移植片を正しく整列するために骨切断を作ることは、特に困難である。平面切断は、適切な方位を確保するために少なくとも5自由度:前部-後部移動、近位-遠位移動、外部-内部回転、内外反回転、および屈曲-伸長回転で整列されなければならない。平面切断または方位の任意の1つにおける任意の誤整列は、手順および移植片の摩耗パターンの最終結果に徹底的な結論を有し得る。
【0005】
また、切断ガイドは、切断ブロックまたは切断ジグとも呼ばれ、一般に、骨切断の作製を助けるために用いられる。切断ガイドは、正しい骨切除平面内に振動鋸のような骨除去デバイスを制約または整列するための、ガイドスロットを備える。切断ガイドは、いくつかの理由で有利である。一例としては、ガイドスロットは、切断中に骨除去デバイスを安定化して、骨除去デバイスが所望の平面から逸れないことを確実にする。加えて、単一の切断ガイドは、4-in-1切断ブロックのような、2以上の切断場所を正確に整列および切除するための多数のガイドスロットを備えてよい。最後に、振動鋸の作業末端およびガイドスロットは、典型的に平面形状であり、それは、平面の骨切断を作成するのにそれらを理想的にさせる。切断ガイドを使用する利点は明らかであるが、切断ガイドは、骨切断を実行する前に骨の上へ正確に配置される必要が依然としてある。実際に、TKA中に外科医にとって最も困難で、退屈で、そして重大な業務の1つが残っているのは、骨上のガイドスロットの配置である。
【0006】
図1Aおよび1Bは、本出願の譲受人に譲渡されてその全体で本明細書中に参照により援用される米国仮出願番号62/259,487に開示される遠位切断ガイド10の斜視図を示す。
図1Aは遠位切断ガイド10の正面図であり、
図1Bはその斜視図である。一般に、本明細書において用いられる切断ガイド10および整列ガイドは、剛体または半剛体材料、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルスルホン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などで作られる。遠位切断ガイド10は、ガイド部12および取付部14を備える。ガイド部12は、ガイドスロット16および底面20を備える。ガイドスロット16は、大腿骨F上に計画された遠位切断CP(
図1D参照)を作製するのに外科的鋸をガイドするためのものである。底面20は、
図1Cに示されるように大腿骨F上に置かれた1つまたは複数の骨ピンPに寄りかかってよい。取付部14およびガイド部12は、ファスナー18を用いて骨ピンPにクランプする。ここで、遠位切断ガイド10に関する仮想ピン平面PPは、計画された遠位切断平面CPのPOSE(
図1Dに示される)、および、ガイド部12の底面20およびガイドスロット16の間の距離を用いて計画ソフトウェアによって外科的計画において規定される。計画ソフトウェアは、骨ピンPの知られている幅を使用してもよい。例えば、ピン平面PPは、遠位切断ガイド10の底面20およびガイドスロット16の間の距離を、計画された遠位切断平面CPを近位に移動させることによって規定され得る。ソフトウェアは、ピンPのさらに半分の幅を、計画された遠位切断平面CPをさらに近位に移動させ得る。したがって、
図1Dに示されるように切断ガイド10が骨ピンPにクランプされる場合、ガイドスロット16は、計画された遠位切断平面CPによって整列される。
【0007】
米国仮特許出願62/259,487もまた、切断ガイドを骨の上に整列するためのシステムおよび方法を説明する。そのシステムは、1つまたは複数のピンを骨の上へ正確に整列するために、動的な2自由度(DOF)ハンドヘルド関節接合デバイスおよび患者に特有の外科的計画を利用する。1つまたは複数のガイドスロットを備える切断ガイドがピンへアセンブルされて、そこで、ガイドスロット(単数または複数)の最終的なPOSEは、所望の骨切断のPOSEと一致する。2-DOFハンドヘルドシステムは、ピンを正確に整列し得るが、1つの設計挑戦は、どのようにピンを関節接合デバイスへ着脱可能に固定して、運転中にピンの回転同心度を維持するか決定することであった。単純な方法は、標準的な3ジョーチャック、または、駆動ツールにピンを保持および固定するためのコレットシステムを使用することであった。3-ジョーチャックまたはピンを固定するためのコレットでの問題は、それらが、外科医の両手の使用または外科助手の関与を必要とすることである。1つの手はピンを挿入するため、そして2つめの手はチャックまたはコレットを閉じるためである。外科医による両手の使用または助手の関与に頼るこの方法は、注意散漫の原因となり得て、ピン配列の誤り、および外科医の疲労を導入する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ピンをデバイス内にロードしてピンが骨内に挿入された時点でデバイスからピンを放すために外科医または操作者の両手を必要としないピン駆動デバイスを用いて、1つまたは複数のピンを骨内に正確に整列および挿入するためのシステムおよび方法に関する必要性が存在する。デバイスの操作中にピンの回転同心度を維持するメカニズムおよびピンホルダー設計に関する必要性がさらに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
骨への挿入のためにピンを駆動するように構成された駆動部を備える、骨切断手順を行なうのを助けるための、対象の骨におけるピン挿入のための外科的デバイスが提供される。駆動部は、シャフト遠位端を有するシャフトを備えるピン駆動アセンブリを有する。少なくとも1つの磁石は、シャフト遠位端におけるピンの牽引および保持に適したシャフト遠位端と関連する。スピンドルアセンブリは、シャフト遠位端におけるピンの牽引および保持を克服する程度の骨の保持まで、ピンを骨の中に回転させるようにシャフトを駆動するように適合される。
【0010】
外科的骨切断手順のための整列システムは、対象の骨の上に作製される切断平面に対する仮想平面内に外科的デバイスを用いて挿入された複数の骨ピンを含む。追跡システムは、外科的デバイスの作業部の位置および方位(POSE)を追跡する。切断ガイドは、複数の骨ピンの上へ受け入れられるように構成されて、切断ガイド内の1つまたは複数のガイドスロットは、対象の骨の上に外科的切断を作製するために外科的鋸をガイドするように存在および構成される。計算システムは、整列システムの一部であり、以下のようにプログラムされる:
・対象の骨の上に作製される切断平面に対する仮想平面を規定する;
・仮想平面および外科的デバイスの作業部の位置の間の関係を決定する;および
・仮想平面によるピンの挿入軸を維持するためにピッチおよび移動を制御するために、一連のコマンドをハンドヘルド部内のコンポーネントのセットに供給する。
【0011】
対象の骨の上に切断ガイドを整列させる方法もまた提供されて、計画ソフトウェアによって得られた外科的計画由来の1つまたは複数の切断平面が決定される。それから、対象の骨の上に作製される1つまたは複数の切断平面のそれぞれに対する1つまたは複数の仮想平面もまた決定される。前述の外科的デバイスは、1つまたは複数の仮想平面由来の仮想表面内に複数の骨ピンを整列および挿入するために用いられる。複数の挿入された骨ピンの上にクランプするように構成されて、1つまたは複数の切断平面に対応する対象の骨の上の外科的切断を外科的鋸が作製するのをガイドするように構成された1つまたは複数のガイドスロットを有する、切断ガイドが取り付けられる。
【0012】
本発明は、本発明の特定の態様を示すことが意図される以下の図面に関してさらに詳述されるが、本発明の実施に対する制限と解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1C】大腿骨における仮想ピン平面と一致して駆動される一組のピンを示す。
【
図2】本発明の実施態様に係る、ハンドヘルドエンドエフェクターの駆動部の斜視図である。
【
図3】本発明の実施態様に係る、
図2に示されるハンドヘルドエンドエフェクターの駆動部の側面図である。
【
図4】本発明の実施態様に係る、
図3の中央の長手方向断面図である。
【
図5A】本発明の実施態様に係る、
図3の分解立体図である。
【
図5B】本発明の実施態様に係る、
図4の分解立体図である。
【
図6A-6H】本発明の実施態様に係る、ハンドヘルドエンドエフェクターの駆動部を形成する主なコンポーネントの詳細な個別の斜視図である。
【
図7A】本発明の実施態様に係る、ピン駆動アセンブリの詳細な側面図である。
【
図7B】本発明の実施態様に係る、ピン駆動アセンブリの詳細に分解した中央の長手方向断面側面図である。
【
図8】本発明の実施態様に係る、手術室(OR)の関連における外科的システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ピンドライバーアセンブリ内のピン配置ホルダーの助けによって、外科医が、対象の骨の上にガイドピンを迅速かつ正確に整列させるのを助けるためのシステムおよび方法として有用性がある。他の従来技術のメカニズムと対照的に、本発明は、ピンをロードおよび固定するために操作者が2つの手を使うことを必要としない。本発明のピンドライバーアセンブリの特定の実施態様は、挿入されたピンをシャフトに整列させるためピンガイドを使用し、シャフトは、シャフトの回転に対してピンを回転的にロックするための六角ソケットを備える。シャフトは、挿入されたピンを牽引および固定するための2つの小さな磁石も格納して、磁石は、従来の3-ジョーチャック、または、ピンを駆動ツールに保持および固定するためのコレットシステムの代わりとなり、それにより、ピンを駆動ツールに固定するために操作者が彼らの両手を使用するまたは補助するための第二の人に頼る必要性を排除する。磁石は、挿入されたピンを六角ソケットの中へ引っ張り、ピンがピンガイドまたは六角ソケットの外に落ちるのを防ぎ、磁石(単数または複数)は、制限されたGauss強度バランスを有し、骨固定の前にピンを保持して、それでもなお、固定の際にピンを放す。操作者または外科医は、ピンがデバイスの外に落ちる心配をせずに、任意の角度でツールを自由に関節接合することができる。
【0015】
システムおよび方法は、所望の切断平面の作製を促進するために、ピンの位置および方位(POSE)が、切断ガイドをその上にアセンブルおよび整列するために用いられる、膝関節全置換および修正膝関節置換に関して特に有利である。しかしながら、他の医療適用は、骨切りおよび脛骨高位骨切りのような本明細書に開示される主題、および、脊椎固定および脊椎再建、顎顔面の外科的処置、骨折、および、骨ピン、スクリュー、または釘の正確な配置を必要とする他の手順のための、スクリューの配置を利用し得ることが理解されるべきである。同様に、本明細書に記載の本発明の実施態様は、スクリュー、釘、またはリベットの正確な配置が必要とされる、例えば、ファスナーの少なくとも一部が強磁性であることが条件である、建設、航空機アセンブリおよび大工職のいずれの非医療現場においても、使用に適合され得る。
【0016】
本発明の様々な実施態様の以下の説明は、本発明をこれらの特定の実施態様に制限することを意図しないが、むしろ、任意の当業者がその例示的な態様を通して本発明を作製および使用するのを可能にすることを意図する。本明細書において用いられる、患者、または同義的に対象は、ヒト、非ヒト霊長類;またはウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、齧歯類および鳥の動物;または前述のいずれかの死体として定義される。
【0017】
値の範囲が与えられる場合、その範囲は、明示的にその範囲内に含まれてその範囲の最後の有効数字が変化するように、その範囲のエンドポイント値だけでなく、その範囲の中間値も含むことを意図することが理解されるべきである。例として、1~4の挙げられた範囲は、1~2、1~3、2~4、3~4、および1~4を含むことが意図される。
【0018】
ここで図を参照して、
図2は、ハンドヘルド外科的デバイス102の本発明の駆動部30の斜視図であり、本明細書においてピンドライバーデバイスとも呼ばれる(
図8を参照)。
図3は駆動部30の側面図であり、一方で、
図4は
図3の中央の平面の、長手方向断面図である。
図5Aは
図3の分解立体図であり、
図5Bは
図4の分解立体図である。
図6A~6Hは、駆動部30を形成する主なコンポーネントの詳細な個別の斜視図である。
図7Aは、ピン駆動アセンブリ35の詳細な側面図であり、
図7Bは、ピン駆動アセンブリ35の詳細に分解した中央の長手方向断面側面図である。本発明のピンドライバーアセンブリの実施態様は、ハンドヘルドデバイスならびにロボットのためのエンドエフェクターとともに用いられてもよいことに注意する。駆動部30は、2つの主なサブアセンブリ、スピンドルアセンブリ33およびピン駆動アセンブリ35を備える。スピンドル33のモジュール設計は、いくつかの異なる部分の変更および統合を可能にする。スピンドル33は、以下の主なサブコンポーネント:軸受キャップ42、軸受ホルダー44、一組の円板ばね58、カプラー52、モーターホルダー48、モーター50、および、スピンドルカートリッジ46を備える。軸受キャップ42は、軸受の外側ケージを押しつぶして、アンギュラー・コンタクト軸受上のプレローディングを促進する。軸受ホルダー44は、軸受54の配列を保持して、スピンドルカートリッジ46にモジュール接続を提供する。フランジ45は、軸受の軸に垂直であり、スピンドルカートリッジ46に対する垂直性を保証する。スピンドル33の主なサブコンポーネントは、最小の効果によって交換されてよく、または、他のパーツに変更してよいことが理解されよう。例えば、モーターホルダー48は、多くの異なるサイズのモーターを収容するように容易に変更されて、依然としてスピンドルカートリッジ46への取り付けが可能である。円板ばね58のセットは、軸受54の間の衝撃および振動力を減少させる。カプラー52は、ピンドライバーアセンブリシャフト38をモーターシャフト51へ取り付ける。モーターホルダー48は、モーター50を保持して、カプラー52のための場所を提供して、スピンドルカートリッジ46へ取り付けるフランジ49の接続を有する。フランジ49の平坦面は、モーターの軸がスピンドルカートリッジ壁47に対して垂直であることを保証する。加えて、フランジ49は、モーター軸シャフトを並進的に動かす遊びを有し、ピン駆動シャフト38とモーターシャフト51との間の放射状の誤整列を低減させる。
【0019】
スピンドルカートリッジ46は、スピンドルアセンブリ33のセンターピースとして作用する。スピンドルカートリッジ46は、軸受ホルダー44およびモーターホルダー48を取り付けるための2つの平行なフランジ壁47を有しており、モーター50とピンドライバーアセンブリ33との間の通路または平行シャフトを容易にする。スピンドルカートリッジ46は、基準マーカーアレイ32を駆動部30に取り付けるのを可能にする、スクリュー、クラスプ、または他のファスナーのような機構を備えてもよい。他の実施態様では、基準マーカーアレイ32または個々の基準マーカーは、駆動部30の一体的な部分である。ハンドヘルド取付部材40は、スピンドルカートリッジ46と接続して、ハンドヘルド外科的デバイス102のハンドヘルド部を枢動可能に取り付けるように適合される。基準マーカーは、発光ダイオード(LED)のような能動マーカー、再帰反射球体のような受動マーカー、または、磁石センサー、超音波ビーコン、慣性測定装置のような他の追跡参照マーカー、および、それらの組み合わせであってよい。
【0020】
ピンドライバーアセンブリ35は、外科的利用可能性および精度を増大するように設計される。ピンドライバーアセンブリ35は、以下の主なサブコンポーネント:スピンドルシャフト38、ピンガイド36、および、磁石56を備える。ピンドライバーアセンブリ35は、スピンドルシャフト38を用いてスピンドルアセンブリ33にアセンブルして、ここで、スピンドルシャフト38は、軸受ホルダー44を経由してスピンドルカートリッジ46を通り抜けて、カプラー52を経由してモーター50へ取り付ける。操作において、外科医は、ピンPをピンガイド36の中に置く。シャフト38内に固定されている少なくとも1つの磁石56は、ピンPの雄六角末端64をシャフト38の六角ソケット59の中にスナップする。本発明の特定の実施態様では、磁石56は、六角ソケット59に近位の磁石ホルダー57内のシャフト38に接着して結合される。磁石(単数または複数)56は、磁力によって引き付けられる金属ピンP上の磁石の引力を維持することによって、ピンガイド36の外にピンPが落ちるのを防ぐ。ピンガイド36は、遠位端37および近位端39を有する。遠位端37の内径は、ピンPの外径に対して密接な寸法であり、非常に少量の遊びでシャフトの回転軸に対してピンの回転軸を拘束する少量の隙間によってピンP上に合う。ピンガイド近位端39は、遠位端37のものよりも大きな内径を有し、シャフト38の遠位部66の外径に対して密接な寸法である。ピンガイド36の設計は、ピンPを安定化して、モーター50がピンPを駆動(すなわち回転)するときに、シャフトの縦軸に関して同心円状にピンPを回転させる。より深い六角ソケットを備えるシャフト38を製造することによってこの安定化および整列を達成し得るが、製造の制約およびそのようにするための追加コストが存在する。したがって、ピンガイド36は、製造の視点から有利である。
【0021】
スピンドルシャフト38上の六角ソケット59は、ピンPを回転させて、ピンPが対象の骨の内側に深く穴を開けて、ピンP上の溝62がピンPを所定の位置に固く保持するようにさせる。ピンPが対象の骨の内側に固く配置された時点で、ピンPに対する磁石の引力が打ち負け、外科医がピンドライバーアセンブリ35を取り外すと、ピンPはピンドライバーアセンブリ35から離れる。特定の本発明の実施態様では、ピンPは、磁力によって引き付けるステンレススチールで作られて、ピンガイド36はアルミニウムで作られる。
【0022】
図8は、手術室(OR)の関連におけるピン駆動外科的システム100の本発明の実施態様を示す。外科的システム100は一般に、駆動部30、計算システム104、および追跡システム106の実施態様で、関節接合の外科的デバイス102を備える。外科的システム100は、ユーザーが、対象の骨に対して規定される仮想平面と一致してピンを正確に置くのをガイドおよび支援することが可能である。仮想平面は、切断ガイドが、挿入されたピンにアセンブルされた場合に、1つまたは複数のガイドスロットを、計画された位置および方位において補綴の移植片を受け入れることが必要とされる骨切断と整列させるように、外科的計画において規定される。
【0023】
[計算システムおよび追跡システム]
ピンドライバーデバイス102は、計算システム104からのコマンドによって制御されて、外科的計画において規定された仮想平面とピンPの縦軸の一致を維持する。計算システム104は、プロセッサを備える計画コンピューター108;プロセッサを備えるデバイスコンピューター110;プロセッサを備える追跡コンピューター112;および、周辺デバイスを備えてよい。プロセッサは、計算システム104内で働いて、本発明のシステムおよび方法と関連する計算を行なう。プロセッサ機能は、コンピューター、リモートサーバ、クラウド・コンピューティング設備、またはそれらの組み合わせの間で共有されることが理解されよう。
【0024】
特定の実施態様では、デバイスコンピューター110は、外科的デバイス102の操作に関連する機能を実施するために、1つまたは複数のプロセッサ、コントローラー、および、RAM、ROMまたは他の非揮発性メモリのような任意のさらなるデータ保存媒体を備えてよい。例えば、デバイスコンピューター110は、外科的デバイス102をコントロールするための、追跡データを受信および処理するための、登録アルゴリズムを実行するための、キャリブレーションルーチンを実行するための、外科的手順を通してユーザーにワークフロー指示を提供するための、ソフトウェア、データおよびユーティリティ、ならびに、本発明の実施態様に係る手順を成功的に実施するために必要な任意の他の適切なソフトウェア、データまたはユーティリティを備えてよい。
【0025】
計画コンピューター108、デバイスコンピューター110、および、追跡コンピューター112は、示されるように別個の実体であってよく、または、それらの操作は、外科的システム100の構成に応じて、ただ1つまたは2つのコンピューター上で実行され得ることが検討される。例えば、追跡コンピューター112は、デバイスコンピューター110の必要なしにデバイス102をコントロールするための操作データを有してよい。または、デバイスコンピューター110は、計画コンピューター108を必要とせずに外科的手順を計画するための操作データを備えてよい。任意の場合において、周辺機器は、ユーザーが外科的システム100とインターフェース接続することを可能にして、ディスプレイまたはモニター114のような1つまたは複数のユーザーインターフェース;および、キーボード116、マウス118、ペンダント120、ジョイスティック122、フットペダル124などのユーザー入力メカニズムを備えてよく、または、モニター114は、タッチスクリーン機能を有してよい。
【0026】
計画コンピューター108は、ハードウエア(例えば、プロセッサ、コントローラー、およびメモリ)、ソフトウェア、データおよびユーティリティ(ユーザーが手術前または手術中のいずれかに外科的手順を計画するのを助けることを専門とする)を備える。これは、医療イメージングデータの解読、イメージングデータのセグメント化、三次元(3D)仮想モデルの構築および操作、コンピューター支援設計(CAD)ファイルの保存および提供、骨に対する移植片のPOSEの計画、仮想ピン平面の規定、および、システム100との使用のための外科的プランデータの生成を含んでよい。最終的な外科的プランデータは、骨の画像データセット、骨登録データポイント、対象識別情報、骨に対する移植片のPOSE、骨に対して規定される1つまたは複数の仮想平面のPOSE、および、任意の組織改変指示を含んでよい。最終的な外科的プランは、手術室(OR)内でワイヤ接続またはワイヤレス接続を通してデバイスコンピューター110および/または追跡コンピューター112に容易に移行されて;または、計画コンピューター108がORの外側に置かれた場合は、非一過的データ保存媒体(例えばコンパクトディスク(CD)、ポータブルユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ)を介して移行される。
【0027】
デバイスコンピューター110は、ハードウェア、ソフトウェア、データおよびユーティリティ(関節接合デバイス102の操作を主に専門とする)を備える。これは、ピンPの位置および/または方位(POSE)の制御、モーター50のスピードの制御、デバイス102の運動学および逆運動学データの処理、登録アルゴリズムの実行、校正ルーチンの実行、外科的計画データの実行、座標変換処理、ユーザーへの作業指示の提供、および、追跡システム106からのPOSEデータの利用を含んでよい。
【0028】
追跡システム106は、基準マーカーの位置を検出するための2以上の受光器126を備える。剛体上に独特に整列された一組の基準マーカーは、本明細書において基準マーカーアレイと呼ばれる(32、130a、130b)。基準マーカーの例示的な例は、LEDまたは電磁気エミッタのような能動トランスミッタ;再帰反射フィルムを有するプラスチック球体のような受動リフレクタ;形状、線または他の特徴の明確なパターンまたは配列を含んでよい。光学追跡システムの例は、米国特許第6,061,644号に記載される。追跡システム106は、ブーム、スタンド上に配置された外科的ライト128内に形成され得て、または、ORの壁または天井内に形成され得る。追跡システムコンピューター112は、局所または全体座標フレームにおける物体(例えば、骨B、関節接合デバイス102)のPOSEを決定するための、追跡ハードウェア、ソフトウェア、データおよびユーティリティを備えてよい。物体のPOSEは、本明細書において、POSEデータとも呼ばれて、このPOSEデータは、ワイヤ接続またはワイヤレス接続を通してデバイスコンピューター110に容易に通信される。あるいは、デバイスコンピューター110は、受光器126から直接検出される基準マーカーの位置を用いてPOSEデータを決定し得る。
【0029】
POSEデータは、受光器126から検出される基準マーカー(130a、130b、130c)の位置、および、画像処理、画像フィルタリング、三角測量アルゴリズム、幾何学的関係の処理、登録アルゴリズム、キャリブレーションアルゴリズム、および座標変換処理のような操作/処理を用いて決定される。追跡システム106からのPOSEデータを計算システム104によって用いて、様々な機能を行なう。例えば、取り付けられたプローブ基準マーカーアレイ130bによるデジタイザプローブ132のPOSEは、米国特許第7,043,961号に記載されるように、プローブチップが継続的に知られるように校正され得る。ピンPの軸またはチップのPOSEは、米国仮特許出願62/128,857に記載の校正方法を用いてデバイス基準マーカーアレイ32に関して知られ得る。米国特許第6,033,415号、および第8,287,522号に記載の登録方法を用いて、骨Bと外科的計画との間の座標変換および/またはPOSEを決定するために、登録アルゴリズムが容易に実行される。例えば、登録方法において、追跡されたデジタイザプローブ132から患者の骨の上の点が集められて、外科的計画の座標を骨の座標へ変換され得る。
【0030】
特定の実施態様では、電磁場追跡システム、機械的追跡システム、または、音響エミッタまたはリフレクタ;磁力エミッタまたはリフレクタ;加速度計;ジャイロスコープなどを利用する他の追跡システム、またはそれらの任意の組み合わせのような、他の追跡システムが、外科的システム100とともに組み込まれてよいことが理解されるべきである。特定の発明の実施態様では、機械的追跡システムが用いられてよい。機械的追跡システムと非機械的追跡システムの置き換えは、当業者に明らかであるはずである。特定の実施態様では、機械的追跡システムの使用は、本出願の譲受人に譲渡されてその全体で参照により援用される米国特許第6,322,567号に記載のもののような、使用される外科的システムのタイプに応じて有利であり得る。
【0031】
外科的計画および膝関節全置換(TKA)適用に関する実行
外科的計画は、手術前または手術中のいずれかに、計画ソフトウェアを用いてユーザーによって作製される。計画ソフトウェアは、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、x線、または超音波画像データセットから、対象の骨の解剖学的構造の三次元(3D)モデルを生産するために用いられ得る。あるいは、外科的計画は、手術ごとの(per-operative)画像データセットを用いるよりむしろ、例えば、典型的な画像のない(imageless)ナビゲーションシステムによって、手術中に患者から直接集めたデータ(例えばデジタル化ポイント、運動学的な大腿骨骨頭中央、足首中央、統計上の骨モーフィング)を用いて作製される。製造元の補綴の一組の3Dコンピューター支援設計(CAD)モデルは、ソフトウェア内に予めロードされて、ベストフィット(骨に対する移植片の位置および方位)を指定するために、骨の解剖学的構造の3Dモデルに所望の補綴のコンポーネントをユーザーが置くのを可能にする。
【0032】
外科的計画は、1つまたは複数の仮想ピン平面の位置と組み合わせた患者の手術骨の3Dモデルを含む。仮想ピン平面(単数または複数)の位置は、1つまたは複数の計画された切断平面のPOSEおよび切断ガイドの1つまたは複数の寸法を用いて、計画ソフトウェアによって規定される。
【0033】
手術中に、外科的計画は骨に対して登録される。それから、外科的デバイス102は、ピンPを仮想ピン平面と並べるために、1つまたは複数の自由度においてピンを関節接合する。整列された時点で、ユーザーは、仮想ピン平面と一致してピンPを骨の中に手作業で進めながら、トリガーを介してデバイス102をコマンドし得て、ピンPを駆動(例えば回転)させる。一部の実施態様では、ピンPは、外科的デバイス102と関連するコンポーネントによって骨の中に自動的に進行される。ピンPは、磁石56に対するピンPの牽引を克服する程度の骨の保持まで、骨の中に挿入される。したがって、外科的デバイス102は、ピンPから容易に取り外され得て、その後のピンをアセンブルおよびインストールする。それから、切断ガイドがピンにアセンブルされて、膝補綴を受け入れる平面状の切断の作製を促進する。
【0034】
他の実施態様
少なくとも1つの例示的な実施態様が前述の詳細な説明に提示されているが、膨大な数のバリエーションが存在することが理解されるべきである。また、例示的な実施態様(単数または複数)は単に例示であって、いかなる方法においても、記載される実施態様の範囲、適用性、または構成を制限することを意図しないことも理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、例示的な実施態様(単数または複数)を実施するための便利なロードマップを当業者に与える。添付の特許請求の範囲に記載の範囲およびその法的等価物から逸脱せずに、エレメントの機能および配列において様々な変更がなされ得ることが理解されるべきである。